JP2004017333A - 二軸延伸ポリプロピレン多層フィルム及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩擦性、耐ピンホール性に優れ、且つガスバリア性、耐ブロッキング性を有する包装用材料に好適な二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムを開発することを目的とする。
【解決手段】プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)から得られる中間層の両面にプロピレン重合体(B)から得られる表面層が積層され、かつ表面層の少なくとも片面に塩化ビニリデン重合体(C)層が積層されてなることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【選択図】なし。
【解決手段】プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)から得られる中間層の両面にプロピレン重合体(B)から得られる表面層が積層され、かつ表面層の少なくとも片面に塩化ビニリデン重合体(C)層が積層されてなることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【選択図】なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩擦性、耐ピンホール性に優れ、且つガスバリア性、耐ブロッキング性を有する包装用材料に好適な二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPフィルムと呼ぶことがある)は、その優れた透明性、機械的強度、剛性等を活かして包装材料をはじめ広い分野で使用されている。そして、通常OPPフイルムには、用途に応じてブロッキング防止剤、帯電防止剤を始め、種々の安定剤が添加されており、又、得られるOPPフィルムは用途に応じてポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の他のフィルムを積層したり、あるいはOPPフィルムの表面に塩化ビニリデン重合体等のガスバリア性重合体を積層して使用されている。
【0003】
かかる塩化ビニリデン重合体をOPPフィルム等の延伸熱可塑性フィルムに積層あるいは被覆することは多数提案されている(特開昭57−20346号公報、特許第2944192号公報)。そしてかかる塩化ビニリデン重合体を積層(被覆)したOPPフィルムは、高水分下でのガスバリア性に優れることから、食品包装用、特にハム・ソーセージ等の食肉加工品の包装材料として使用されている。ところが、かかる積層フィルムを包装袋として用いた場合、袋の端部が輸送時に擦られてピンホールが発生する虞があることが分かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、耐摩擦性、耐ピンホール性に優れ、且つガスバリア性、耐ブロッキング性を有する包装用材料に好適な二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムを開発することを目的として種々検討した結果、二軸延伸ポリプロピレンの中間層(基材層)をプロピレン・α−オレフィン共重合体とすることにより、かかる目的を達成し得ることを見出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【発明の概要】
本発明は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)から得られる中間層の両面にプロピレン重合体(B)から得られる表面層が積層され、かつ表面層の少なくとも片面に塩化ビニリデン重合体(C)層が積層されてなることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【0006】
本発明の他の態様は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)とプロピレン系重合体(D)との組成物から得られる中間層の両面にプロピレン重合体(B)から得られる表面層が積層され、かつ表面層の少なくとも片面に塩化ビニリデン重合体(C)層が積層されてなる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【0007】
本発明の更なる態様は、プロピレン重合体(B)がブロッキング防止剤を含んでなる含んでなる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【0008】
本発明の他の態様は、前記二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムからなる包装用材料、特に食肉加工品用である包装用材料に関する。
【0009】
【発明の具体的説明】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)は、α−オレフィン含有量が通常1.5〜30モル%、好ましくは2〜20モル%、更に好ましくは3〜15モル%のプロピレンとのランダム共重合体である。α−オレフィンの含有量が1.5モル%未満のものでは、多層フィルムにした際に耐ピンホール性が改良されない虞があり、一方、30モル%を越えるものは後述のプロピレン系重合体(D)等他のプロピレン系重合体との組成物にしても得られる多層フィルムの剛性に劣る虞がある。プロピレンと共重合されるα―オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。これらの中では、エチレン及び1−ブテンが好ましい。又、MFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)は延伸フィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常0.5〜10g/10分、好ましくは2〜7g/10分の範囲にある。
【0010】
プロピレン重合体(B)
本発明に係わるプロピレン重合体(B)は、プロピレンの単独重合体、若しくはプロピレンと少量、通常1.5モル%未満、好ましくは1.2モル%以下のエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα―オレフィンとの共重合体である。プロピレン重合体(D)のMFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)は延伸フィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常0.5〜20g/10分、好ましくは2〜15g/10分の範囲にある。中でもプロピレン単独重合体若しくはα―オレフィンを0.5モル%以下である共重合体が、得られる多層フィルムをヒートシールした際にヒーシールバーへの付着を防止でき、又かかる多層フィルムから得られる包装袋の形状保持性に優れるので好ましい。
【0011】
本発明に係わるプロピレン重合体(B)には、ブロッキング防止剤が添加されてなるが、その量は通常、0.01〜3.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%の範囲にある。ブロッキング防止剤の量をかかる範囲にすることにより、透明性に優れ、且つブロッキング防止性を有する二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムとすることができる。ブロッキング防止剤の量が0.01重量%未満では、得られる二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムのブロッキング防止効果が充分でなく、一方、3.0重量%を越えると、得られる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムの透明性が劣る傾向にある。かかるブロッキング防止剤としては、種々公知のもの、例えば、シリカ、タルク、雲母、ゼオライトや更には金属アルコキシドを焼成して得た金属酸化物等の無機化合物粒子、ポリメタクリル酸メチル、メラミンホルマリン樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリエステル樹脂等の有機化合物粒子等を用い得る。これらの中でも、シリカ、ポリメタクリル酸メチルがアンチブロッキング性、透明性の面から特に好ましい。
【0012】
塩化ビニリデン系重合体(C)
本発明に係わる塩化ビニリデン系重合体(C)は、塩化ビニリデンの単独重合体若しくは共重合体である。これら重合体の中でも塩化ビニリデン含有量が50〜98モル%の範囲、好ましくは75〜96モル%の範囲にある共重合体が、成膜性、ガスバリア性のバランスに優れている。塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の具体例として、例えば塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸等のうち一種または二種以上を選択して用いることができる。中でも製膜性の点から塩化ビニル、アクリル酸エステルが好ましく用いられる。また組成物としては、上記共重合体を適宜組み合わせて用いることができる。また塩化ビニリデン重合体(C)には熱安定剤や光安定剤、滑剤等添加剤を適宜添加して用いることもできる。
本発明に係わる塩化ビニリデン重合体(C)は通常、エマルジョン或いは溶液として用いられる。
【0013】
プロピレン系重合体(D)
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)に添加されるプロピレン系重合体(D)は、プロピレン単独重合体あるいは共重合体、更には、低結晶性のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体若しくはプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体等のプロピレンを主体とする重合体である。かかるプロピレン系重合体の好ましい例としては、プロピレンの単独重合体、若しくはプロピレンと10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下、特に好ましくは2モル%以下のエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα―オレフィンとの共重合体であるからなり、通常、MFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)が、通常0.5〜10g/10分、好ましくは2〜5g/10分の範囲にある。
【0014】
組成物
本発明に係わる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムの中間層を形成する組成物は、少なくともプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)を30重量%、好ましくは40重量%含む組成物であって、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)が100重量%であってもよい。組成物がプロピレン系重合体(D)を含む場合は、組成物としてのα―オレフィン含有量が、通常α−オレフィン含有量が1.5〜30モル%、好ましくは2〜20モル%の範囲にある。
【0015】
又、本発明に係わるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)、プロピレン重合体(B)あるいはプロピレン系重合体(D)には、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤等の通常ポリオレフィンに用いる各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しておいてもよい。
【0016】
二軸延伸ポリプロピレン多層フィルム
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは、前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)から得られ中間層、当該中間層の両面に積層されたプロピレン重合体(B)から得られる表面層及び当該表面層の少なくとも片面に積層された塩化ビニリデン重合体(C)層とから構成される。
【0017】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムの厚さは用途に応じて種々選択される。例えば、通常、中間層となる基材層の厚さが10〜30 μm、好ましくは15〜25μm、表面層の厚さが0.2〜4μm、好ましくは0.5〜2μm、塩化ビニリデン重合体(C)層の厚さが0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの範囲にある。
【0018】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは、通常、縦方向の引張弾性率が1000〜1900MPa、好ましくは1200から1800MPa、横方向の引張弾性率が1500〜3500MPa、好ましくは1700から3000MPaの範囲、縦方向のループスティフネスが0.15〜0.3N/15mm、好ましくは0.18〜0.29N/15mm、横方向のループスティフネスが0.25〜0.58N/15mm、好ましくは0.3〜0.55N/15mmの範囲にある。それに対し、中間層がプロピレン単独重合体から得られる二軸延伸ポリプロピン多層フィルムは、通常、縦方向の引張弾性率が2000MPa、横方向の引張弾性率が4000MPaと、何れも高く、かかる二軸延伸ポリプロピン多層フィルムから得られる包装材料は、屈曲部が擦られるとピンホールが発生し易くなる。
【0019】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは必要に応じて表面層をコロナ処理、火炎処理等の表面処理をしてもよい。表面層を表面処理しておくと、当該層に他の層を積層する際に表面層とのラミネート強度が改良されるので好ましい。
【0020】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは種々公知の方法で製造し得る。例えば、夫々、両表面層を構成するプロピレン重合体(B)、中間層を構成するエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(A)を夫々別個のフィルム成形機に投入してT−ダイ、環状ダイ等を用いてフィルムにした後、貼り合せる方法、あるいは夫々別個の押出し機で溶融した後、フィルム成形機の先端に三層からなる多層ダイを備えたフィルム成形機により共押出し成形して得た多層シートを、公知の同時二軸延伸法あるいは逐次二軸延伸法等の二軸延伸フィルム製造方法により二軸延伸フィルムとした後、少なくともプロピレン重合体(B)から得られる表面層に塩化ビニリデン重合体(C)層を被覆して二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムとする方法、あるいは多層シートを縦方向に延伸した後、プロピレン重合体(B)層の片面に塩化ビニリデン重合体(C)層を被覆した後、横方向に延伸して二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムとする方法等が挙げられる。二軸延伸の条件は、公知の二軸延伸フィルムの製造条件、例えば、逐次二軸延伸法では、縦延伸温度を110℃〜130℃、延伸倍率を4.5〜6倍の範囲、横延伸温度を140〜180℃、延伸倍率を9〜11倍の範囲にすればよい。
【0021】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムには、前記少なくとも四層構成からなる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムの表面層であるプロピレン重合体(B)層あるいは塩化ビニリデン重合体(C)に他の基材を積層しておいてもよい。かかる基材としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、及びポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルム等の熱可塑性樹脂製フィルム、あるいはアルミニューム箔、紙等から構成される。かかる熱可塑性樹脂製フィルムからなる基材は無延伸フィルムであっても一軸あるいは二軸延伸フィルムであっても良い。勿論、基材は1層でも2層以上としても良い。又、熱可塑性樹脂製フィルムはアルミニューム、亜鉛、シリカ等の無機物あるいはその酸化物を蒸着したフィルムであってもよい。
【0022】
包装用材料
本発明の包装材料は、前記二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムを用いて平袋状4方シール袋あるいはハム・ウインナー用で広く使用されているガゼット包装袋の耐ピンホール性、特に耐摩耗性を改良したフィルムとして好ましく使用される。
【0023】
【発明の効果】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは、耐ピンホール性、特に耐摩耗性に優れ、かつガスバリア性、耐ブロッキング性に優れるという特徴を有する。したがって、ガゼット包装袋のように端部が折畳まれ、かつ端部が擦られることが多い包装材料として好適であり、このような特徴を活かして、特にハム・ソーセージ等の食肉加工品の包装用フィルムや、和菓子のガゼット包装等袋の輸送時に擦られてピンホールが発生しやすい食品の包装フィルムに好適であり、又、かかる用途に限らず、漬物、水産加工品やスナック菓子等幅広い分野の包装用フィルムとしても使用できる。
【0024】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。
【0025】
実施例1
中間層に融点138℃、MFRが7.0g/10分、エチレン含有量3モル%、1−ブテン含有量1.6モル%のプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体を用い、その両面(被覆層)に、融点が162℃、MFR4g/10分のプロピレン単独重合体にブロッキング防止剤として、平均粒径2.0μmのポリメタクリル酸メチル:1000ppm添加してなるプロピレン重合体組成物を用い、縦方向に延伸(延伸倍率5倍、延伸温度120℃)後、片面にコロナ放電処理をして、アクリル酸エステル含有量8モル%の塩化ビニリデン共重合体層をコートした後、横方向に延伸(延伸倍率10倍、延伸温度155℃)して、被覆層/中間層/被覆層/コート層:1μm/18μm/1μm/2μmからなる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムを得た。
得られた二軸延伸多層フィルムを以下の方法で評価した。
〈引張り弾性率〉
JIS K7127に準拠し、オリエンテック社製 型式RTM100を用いて縦方向,横方向の引張り弾性率の測定を行った。
〈ループスティフネス〉
東洋精機製作所製ループステフネステスタを用い、15mm幅の試料をループ状に曲げ、自重によって弛みにくい方向(幅方向を垂直)に固定して、そのループの直径方向を押しつぶしたときの荷重によって、腰の強弱を、縦方向、横方向の評価を行った。
〈耐摩耗性〉
二軸延伸多層フィルムのコート面に、三井化学製;高圧法低密度ポリエチレン商品名ミラソン11P(密度0.917g/cm3、MFR7.2g/10分)を厚さ20μmで押し出し、東セロ社製;線状低密度ポリエチレンフィルム(商品名TUX VNF;密度0.905g/cm3、厚さ30μm)をラミネートし、積層フィルムとした。得られた積層フィルムから、10cm×10cmの袋を作成し、中に三菱ガス化学社製:商品名エージレスシールチェック液を入れた後、四つ折りにし先端を段ボールに軽く当て、10cmの距離を往復させ、内部の液が漏れ出すまでの擦り回数を測定した。
その結果、得られた多層フィルムは柔らかく、積層フィルムの耐摩耗性は良好であった。また、耐ブロッキング性、ガスバリア性も良好である。それらの結果を表1に示す。
【0026】
実施例2
実施例1の中間層で用いたプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体に代えて、融点138℃、MFRが7.0g/10分、エチレン含有量3モル%、1−ブテン含有量1.6モル%のプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体50重量%と、融点162℃、MFR2g/10分のプロピレン単独重合体50重量%からなるプロピレン重合体組成物(平均α―オレフィン含有量:2.3モル%)を用いる以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、得られた多層フィルは柔らかく、積層フィルムの耐摩耗性は良好であった。また、耐ブロッキング性、ガスバリア性も良好である。それらの結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
実施例1の中間層を、融点162℃、MFR4g/10分のプロピレン単独重合体に代える以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、得られた多層フィルムは腰があり、積層フィルムの耐摩耗性はよくなかった。それらの結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
表1から明らかなように、中間層にプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体を用いた二軸延伸フィルムに塩化ビニリデン重合体を積層した二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは(実施例1および実施例2)は、中間層にプロピレン単独重合体を用いた多層フィルム(比較例1)に比べ耐摩耗性が向上している。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩擦性、耐ピンホール性に優れ、且つガスバリア性、耐ブロッキング性を有する包装用材料に好適な二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPフィルムと呼ぶことがある)は、その優れた透明性、機械的強度、剛性等を活かして包装材料をはじめ広い分野で使用されている。そして、通常OPPフイルムには、用途に応じてブロッキング防止剤、帯電防止剤を始め、種々の安定剤が添加されており、又、得られるOPPフィルムは用途に応じてポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の他のフィルムを積層したり、あるいはOPPフィルムの表面に塩化ビニリデン重合体等のガスバリア性重合体を積層して使用されている。
【0003】
かかる塩化ビニリデン重合体をOPPフィルム等の延伸熱可塑性フィルムに積層あるいは被覆することは多数提案されている(特開昭57−20346号公報、特許第2944192号公報)。そしてかかる塩化ビニリデン重合体を積層(被覆)したOPPフィルムは、高水分下でのガスバリア性に優れることから、食品包装用、特にハム・ソーセージ等の食肉加工品の包装材料として使用されている。ところが、かかる積層フィルムを包装袋として用いた場合、袋の端部が輸送時に擦られてピンホールが発生する虞があることが分かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、耐摩擦性、耐ピンホール性に優れ、且つガスバリア性、耐ブロッキング性を有する包装用材料に好適な二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムを開発することを目的として種々検討した結果、二軸延伸ポリプロピレンの中間層(基材層)をプロピレン・α−オレフィン共重合体とすることにより、かかる目的を達成し得ることを見出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【発明の概要】
本発明は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)から得られる中間層の両面にプロピレン重合体(B)から得られる表面層が積層され、かつ表面層の少なくとも片面に塩化ビニリデン重合体(C)層が積層されてなることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【0006】
本発明の他の態様は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)とプロピレン系重合体(D)との組成物から得られる中間層の両面にプロピレン重合体(B)から得られる表面層が積層され、かつ表面層の少なくとも片面に塩化ビニリデン重合体(C)層が積層されてなる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【0007】
本発明の更なる態様は、プロピレン重合体(B)がブロッキング防止剤を含んでなる含んでなる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムに関する。
【0008】
本発明の他の態様は、前記二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムからなる包装用材料、特に食肉加工品用である包装用材料に関する。
【0009】
【発明の具体的説明】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)は、α−オレフィン含有量が通常1.5〜30モル%、好ましくは2〜20モル%、更に好ましくは3〜15モル%のプロピレンとのランダム共重合体である。α−オレフィンの含有量が1.5モル%未満のものでは、多層フィルムにした際に耐ピンホール性が改良されない虞があり、一方、30モル%を越えるものは後述のプロピレン系重合体(D)等他のプロピレン系重合体との組成物にしても得られる多層フィルムの剛性に劣る虞がある。プロピレンと共重合されるα―オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。これらの中では、エチレン及び1−ブテンが好ましい。又、MFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)は延伸フィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常0.5〜10g/10分、好ましくは2〜7g/10分の範囲にある。
【0010】
プロピレン重合体(B)
本発明に係わるプロピレン重合体(B)は、プロピレンの単独重合体、若しくはプロピレンと少量、通常1.5モル%未満、好ましくは1.2モル%以下のエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα―オレフィンとの共重合体である。プロピレン重合体(D)のMFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)は延伸フィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常0.5〜20g/10分、好ましくは2〜15g/10分の範囲にある。中でもプロピレン単独重合体若しくはα―オレフィンを0.5モル%以下である共重合体が、得られる多層フィルムをヒートシールした際にヒーシールバーへの付着を防止でき、又かかる多層フィルムから得られる包装袋の形状保持性に優れるので好ましい。
【0011】
本発明に係わるプロピレン重合体(B)には、ブロッキング防止剤が添加されてなるが、その量は通常、0.01〜3.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%の範囲にある。ブロッキング防止剤の量をかかる範囲にすることにより、透明性に優れ、且つブロッキング防止性を有する二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムとすることができる。ブロッキング防止剤の量が0.01重量%未満では、得られる二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムのブロッキング防止効果が充分でなく、一方、3.0重量%を越えると、得られる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムの透明性が劣る傾向にある。かかるブロッキング防止剤としては、種々公知のもの、例えば、シリカ、タルク、雲母、ゼオライトや更には金属アルコキシドを焼成して得た金属酸化物等の無機化合物粒子、ポリメタクリル酸メチル、メラミンホルマリン樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリエステル樹脂等の有機化合物粒子等を用い得る。これらの中でも、シリカ、ポリメタクリル酸メチルがアンチブロッキング性、透明性の面から特に好ましい。
【0012】
塩化ビニリデン系重合体(C)
本発明に係わる塩化ビニリデン系重合体(C)は、塩化ビニリデンの単独重合体若しくは共重合体である。これら重合体の中でも塩化ビニリデン含有量が50〜98モル%の範囲、好ましくは75〜96モル%の範囲にある共重合体が、成膜性、ガスバリア性のバランスに優れている。塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の具体例として、例えば塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸等のうち一種または二種以上を選択して用いることができる。中でも製膜性の点から塩化ビニル、アクリル酸エステルが好ましく用いられる。また組成物としては、上記共重合体を適宜組み合わせて用いることができる。また塩化ビニリデン重合体(C)には熱安定剤や光安定剤、滑剤等添加剤を適宜添加して用いることもできる。
本発明に係わる塩化ビニリデン重合体(C)は通常、エマルジョン或いは溶液として用いられる。
【0013】
プロピレン系重合体(D)
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)に添加されるプロピレン系重合体(D)は、プロピレン単独重合体あるいは共重合体、更には、低結晶性のエチレン・α―オレフィンランダム共重合体若しくはプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体等のプロピレンを主体とする重合体である。かかるプロピレン系重合体の好ましい例としては、プロピレンの単独重合体、若しくはプロピレンと10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下、特に好ましくは2モル%以下のエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα―オレフィンとの共重合体であるからなり、通常、MFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)が、通常0.5〜10g/10分、好ましくは2〜5g/10分の範囲にある。
【0014】
組成物
本発明に係わる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムの中間層を形成する組成物は、少なくともプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)を30重量%、好ましくは40重量%含む組成物であって、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)が100重量%であってもよい。組成物がプロピレン系重合体(D)を含む場合は、組成物としてのα―オレフィン含有量が、通常α−オレフィン含有量が1.5〜30モル%、好ましくは2〜20モル%の範囲にある。
【0015】
又、本発明に係わるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)、プロピレン重合体(B)あるいはプロピレン系重合体(D)には、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤等の通常ポリオレフィンに用いる各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しておいてもよい。
【0016】
二軸延伸ポリプロピレン多層フィルム
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは、前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)から得られ中間層、当該中間層の両面に積層されたプロピレン重合体(B)から得られる表面層及び当該表面層の少なくとも片面に積層された塩化ビニリデン重合体(C)層とから構成される。
【0017】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムの厚さは用途に応じて種々選択される。例えば、通常、中間層となる基材層の厚さが10〜30 μm、好ましくは15〜25μm、表面層の厚さが0.2〜4μm、好ましくは0.5〜2μm、塩化ビニリデン重合体(C)層の厚さが0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの範囲にある。
【0018】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは、通常、縦方向の引張弾性率が1000〜1900MPa、好ましくは1200から1800MPa、横方向の引張弾性率が1500〜3500MPa、好ましくは1700から3000MPaの範囲、縦方向のループスティフネスが0.15〜0.3N/15mm、好ましくは0.18〜0.29N/15mm、横方向のループスティフネスが0.25〜0.58N/15mm、好ましくは0.3〜0.55N/15mmの範囲にある。それに対し、中間層がプロピレン単独重合体から得られる二軸延伸ポリプロピン多層フィルムは、通常、縦方向の引張弾性率が2000MPa、横方向の引張弾性率が4000MPaと、何れも高く、かかる二軸延伸ポリプロピン多層フィルムから得られる包装材料は、屈曲部が擦られるとピンホールが発生し易くなる。
【0019】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは必要に応じて表面層をコロナ処理、火炎処理等の表面処理をしてもよい。表面層を表面処理しておくと、当該層に他の層を積層する際に表面層とのラミネート強度が改良されるので好ましい。
【0020】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは種々公知の方法で製造し得る。例えば、夫々、両表面層を構成するプロピレン重合体(B)、中間層を構成するエチレン・α―オレフィンランダム共重合体(A)を夫々別個のフィルム成形機に投入してT−ダイ、環状ダイ等を用いてフィルムにした後、貼り合せる方法、あるいは夫々別個の押出し機で溶融した後、フィルム成形機の先端に三層からなる多層ダイを備えたフィルム成形機により共押出し成形して得た多層シートを、公知の同時二軸延伸法あるいは逐次二軸延伸法等の二軸延伸フィルム製造方法により二軸延伸フィルムとした後、少なくともプロピレン重合体(B)から得られる表面層に塩化ビニリデン重合体(C)層を被覆して二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムとする方法、あるいは多層シートを縦方向に延伸した後、プロピレン重合体(B)層の片面に塩化ビニリデン重合体(C)層を被覆した後、横方向に延伸して二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムとする方法等が挙げられる。二軸延伸の条件は、公知の二軸延伸フィルムの製造条件、例えば、逐次二軸延伸法では、縦延伸温度を110℃〜130℃、延伸倍率を4.5〜6倍の範囲、横延伸温度を140〜180℃、延伸倍率を9〜11倍の範囲にすればよい。
【0021】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムには、前記少なくとも四層構成からなる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムの表面層であるプロピレン重合体(B)層あるいは塩化ビニリデン重合体(C)に他の基材を積層しておいてもよい。かかる基材としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、及びポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルム等の熱可塑性樹脂製フィルム、あるいはアルミニューム箔、紙等から構成される。かかる熱可塑性樹脂製フィルムからなる基材は無延伸フィルムであっても一軸あるいは二軸延伸フィルムであっても良い。勿論、基材は1層でも2層以上としても良い。又、熱可塑性樹脂製フィルムはアルミニューム、亜鉛、シリカ等の無機物あるいはその酸化物を蒸着したフィルムであってもよい。
【0022】
包装用材料
本発明の包装材料は、前記二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムを用いて平袋状4方シール袋あるいはハム・ウインナー用で広く使用されているガゼット包装袋の耐ピンホール性、特に耐摩耗性を改良したフィルムとして好ましく使用される。
【0023】
【発明の効果】
本発明の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは、耐ピンホール性、特に耐摩耗性に優れ、かつガスバリア性、耐ブロッキング性に優れるという特徴を有する。したがって、ガゼット包装袋のように端部が折畳まれ、かつ端部が擦られることが多い包装材料として好適であり、このような特徴を活かして、特にハム・ソーセージ等の食肉加工品の包装用フィルムや、和菓子のガゼット包装等袋の輸送時に擦られてピンホールが発生しやすい食品の包装フィルムに好適であり、又、かかる用途に限らず、漬物、水産加工品やスナック菓子等幅広い分野の包装用フィルムとしても使用できる。
【0024】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。
【0025】
実施例1
中間層に融点138℃、MFRが7.0g/10分、エチレン含有量3モル%、1−ブテン含有量1.6モル%のプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体を用い、その両面(被覆層)に、融点が162℃、MFR4g/10分のプロピレン単独重合体にブロッキング防止剤として、平均粒径2.0μmのポリメタクリル酸メチル:1000ppm添加してなるプロピレン重合体組成物を用い、縦方向に延伸(延伸倍率5倍、延伸温度120℃)後、片面にコロナ放電処理をして、アクリル酸エステル含有量8モル%の塩化ビニリデン共重合体層をコートした後、横方向に延伸(延伸倍率10倍、延伸温度155℃)して、被覆層/中間層/被覆層/コート層:1μm/18μm/1μm/2μmからなる二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムを得た。
得られた二軸延伸多層フィルムを以下の方法で評価した。
〈引張り弾性率〉
JIS K7127に準拠し、オリエンテック社製 型式RTM100を用いて縦方向,横方向の引張り弾性率の測定を行った。
〈ループスティフネス〉
東洋精機製作所製ループステフネステスタを用い、15mm幅の試料をループ状に曲げ、自重によって弛みにくい方向(幅方向を垂直)に固定して、そのループの直径方向を押しつぶしたときの荷重によって、腰の強弱を、縦方向、横方向の評価を行った。
〈耐摩耗性〉
二軸延伸多層フィルムのコート面に、三井化学製;高圧法低密度ポリエチレン商品名ミラソン11P(密度0.917g/cm3、MFR7.2g/10分)を厚さ20μmで押し出し、東セロ社製;線状低密度ポリエチレンフィルム(商品名TUX VNF;密度0.905g/cm3、厚さ30μm)をラミネートし、積層フィルムとした。得られた積層フィルムから、10cm×10cmの袋を作成し、中に三菱ガス化学社製:商品名エージレスシールチェック液を入れた後、四つ折りにし先端を段ボールに軽く当て、10cmの距離を往復させ、内部の液が漏れ出すまでの擦り回数を測定した。
その結果、得られた多層フィルムは柔らかく、積層フィルムの耐摩耗性は良好であった。また、耐ブロッキング性、ガスバリア性も良好である。それらの結果を表1に示す。
【0026】
実施例2
実施例1の中間層で用いたプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体に代えて、融点138℃、MFRが7.0g/10分、エチレン含有量3モル%、1−ブテン含有量1.6モル%のプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体50重量%と、融点162℃、MFR2g/10分のプロピレン単独重合体50重量%からなるプロピレン重合体組成物(平均α―オレフィン含有量:2.3モル%)を用いる以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、得られた多層フィルは柔らかく、積層フィルムの耐摩耗性は良好であった。また、耐ブロッキング性、ガスバリア性も良好である。それらの結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
実施例1の中間層を、融点162℃、MFR4g/10分のプロピレン単独重合体に代える以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、得られた多層フィルムは腰があり、積層フィルムの耐摩耗性はよくなかった。それらの結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
表1から明らかなように、中間層にプロピレン・α―オレフィンランダム共重合体を用いた二軸延伸フィルムに塩化ビニリデン重合体を積層した二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムは(実施例1および実施例2)は、中間層にプロピレン単独重合体を用いた多層フィルム(比較例1)に比べ耐摩耗性が向上している。
Claims (6)
- 少なくともプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)を30重量%含む組成物から得られる中間層の両面にプロピレン重合体(B)から得られる表面層が積層され、かつ表面層の少なくとも片面に塩化ビニリデン重合体(C)層が積層されてなることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレン多層フィルム。
- プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)がプロピレン系重合体(D)との組成物である請求項1記載の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルム。
- プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(A)が、α−オレフィン含有量が1.5〜30モル%のプロピレン・α−オレフィン共重合体である請求項1または2記載の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルム。
- プロピレン重合体(B)がブロッキング防止剤を含んでなる請求項1記載の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルム。
- 請求項1〜請求項4の何れかに記載の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムからなる包装用材料。
- 包装用材料が食肉加工品用である請求項5記載の包装用材料。
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