次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[IH炊飯器の全体構成例]
図1は、実施の形態に係るIH炊飯器(電磁炊飯器)1の斜視図である。このIH炊飯器1は、IHによる炊飯技術を使用し、無線通信・電力供給により本体とIH部の分離を可能とするIHジャー炊飯器である。
具体的には、図1に示すように、IH炊飯器1は、炊飯器部100とIH調理器(電磁調理器)200とに上下分離可能となっている。外観はジャー炊飯器であるが、炊飯器部100を取り外すと、IH調理器200の操作部が現れる。IH調理器200側は単独でIH調理に使用することができ、炊飯器部100側は御櫃として食卓に簡単に運ぶことができる。
また、実施の形態に係るIH炊飯器1は、自動計量機能およびカロリー量の表示機能を備える。なお、自動計量機能およびカロリー量の表示機能の詳細については後述する。
[炊飯器部の構成例]
以下、炊飯器部100の構成について説明する。
図2は、図1に示されるIH炊飯器1が備える炊飯器部100の斜視図である。図2に示すように、炊飯器部100は、蓋部(外蓋)100Aと、炊飯器本体100Bと、底部100Cとを備える。外蓋100Aの天面には、炊飯器部100を操作するための炊飯器操作部(操作パネル)101が設けられている。炊飯器本体100Bの前面には、米や水の重量の表示およびご飯のカロリー量の表示を行う操作表示パネル102が設けられている。炊飯器部100の外観は略直方体状である。
なお、ユーザから操作表示パネル102を見え易くするため、炊飯器本体100Bの前面をやや傾斜させるのが望ましい。
また、図示は省略するが、外蓋100Aの開閉を検知する開閉検知手段(開閉検知センサ)SN10が、外蓋100Aの近傍に設けられている。
底部100Cの外縁部は、IH調理器200の天面の外縁部と嵌合する構造になっている。具体的には8.5mm程度、炊飯器部100側の筐体とIH調理器200側の筐体とがオーバーラップするようになっている。IH調理器200の設置面積と炊飯器部100の設置面積がほぼ等しいため、上下の筺体がぴったり一致し、外観がスマートであるとともに、省スペース化を図ることができる。上下嵌合の工夫として、IH調理器200の天面の外縁部と底部100Cの外縁部にテーパを付けてもよいし、前後の間違いをなくすため前後でRが異なるようにしてもよい。
[内蓋等の構成例]
図3〜図8を参照して、外蓋100Aに着脱自在に装着される二重構造蓋700等の構成例について説明する。
ここで、図3は、図2に示される炊飯器要部の断面図、図4は、実施の形態に係るIH炊飯器1が備える内釜121、二重構造蓋700を構成する内蓋710および断熱蓋720を示す斜視図、図5は、二重構造蓋700の全体を示す斜視図、図6は、二重構造蓋700を構成する内蓋710の全体を示す斜視図、図7は、二重構造蓋700を構成する断熱蓋720とパッキン部材750を示す分解斜視図、図8は、二重構造蓋700を構成する断熱蓋720の上面を示す斜視図である。
図3に示すように、後方側に設けた蓋ヒンジ129を支点として外蓋100Aの前方側が上下方向に回動するようになっている。
この前方側の外蓋100Aと炊飯器本体100Bとの対向位置に蓋ロック機構124を設けている。
炊飯器本体100Bの上部開口から内釜(炊飯釜)121を収容する。
内釜121の周囲に断熱材や保護枠を設け、内釜121の底に温度を計測する温度センサとしてのサーミスタ(図示省略)を設けている。
内釜121内で発生した蒸気は、二重構造蓋700に設けた蒸気筒128を介して外部に排出される。
炊飯器本体100Bの側壁部には、炊飯器部100を持ち運ぶためのハンドル(図示せず)が回動自在に設けられている。
炊飯器操作部(操作パネル)101の近傍には、炊飯器操作部101を制御する炊飯器操作基板126が配置されている。
図4等に示すように、二重構造蓋700は、高熱伝導性材で構成される内蓋710と、内蓋710と外蓋100Aとの間に設けられ、内蓋710との間に空間A1を形成する断熱蓋720とから構成されている。
ここで、高熱伝導性材とは、熱伝導性が良く、熱容量が小さいもののことをいい、例えば、銅、アルミニウム等の金属、これらの合金、カーボン、ステンレスなどが挙げられる。なお、本実施の形態では、内蓋710は、例えばアルミニウム製の板材を加工して構成されている。
内蓋710は、周縁に曲げ部715を有し、この曲げ部715を介して内釜(炊飯釜)121の開口上端部130と当接するようになっている。
より具体的には、開口上端部130は、炊飯釜121の開口周縁に外周方向に拡径する湾曲部121aと、当該湾曲部121aに連続するフランジ部121bとで形成されており、曲げ部715は、湾曲部121aと当接している。
このような構成により、IH炊飯器1の保温モードにおいて、内釜(炊飯釜)121の熱は、周縁の曲げ部715と湾曲部121aとの当接箇所P1から内蓋710に伝熱される。これにより、内蓋710の温度は、内釜(炊飯釜)121と略同じ温度(例えば、69℃程度)となる。
ここで、従来の炊飯器では、内蓋は、ゴム製のパッキンを介して内釜の開口上端部に当接していたので、パッキンにより内釜の熱が内蓋に伝わり難く、内釜の温度に比して内蓋の温度が低く(例えば、内釜の温度より3℃〜4℃低い62℃程度)なり、ご飯から生じる水蒸気が内蓋に結露し易いという不都合があった。そのため、外蓋を開けた際に、内釜に付着した露が内釜の中に落下して、ご飯の食味を損なう虞があった。
これに対して、上記構成の内蓋710は、内釜(炊飯釜)121と略同じ温度となるので、内蓋710に結露を生じ難く、露が内釜121の中に落下して、ご飯の食味を損なう事態を抑制することができる。
加えて、図5等に示すように、内蓋710には、多数のディンプル710aが形成されている。したがって、内蓋710の表面に結露した場合であっても、露はディンプル710aの作用により表面に拡散し易くなり、露が内釜121の中に落下する事態をより抑制できる。
また、内蓋710は、周縁に曲げ部715が形成されているので、内蓋710自体の強度を上げることができる。
また、外蓋100Aを閉めた状態で、周縁の曲げ部715と内釜(炊飯釜)121の湾曲部121aとが当接するので、内釜121に当たる際の衝撃を緩和することができ、内釜表面のコーティングに傷が付く事態を抑制することができる。
また、樹脂で成形される断熱蓋720との間に空間A1が形成されているので、空間A1内の空気による断熱効果により、内釜121内のご飯の保温性をより向上することができる。
また、図5等に示すように、内蓋710の略中央には、ゴム製のツマミ711が設けられており、断熱蓋720との脱着の利便性が高められている。
また、内蓋710には、断熱蓋720側に設けられる圧力調整部721を露出させる開口部712aが形成され、環状のパッキン712が係合されている。
一方、図7等に示すように、樹脂製の断熱蓋720には、圧力調整用のボール等を収容した凸部状の圧力調整部721が形成されている。
また、断熱蓋720の周縁の溝部740には、環状のパッキン部材750が嵌合されている。
また、断熱蓋720と内蓋710とは、保持手段を構成する断熱蓋720側の突起部731と、ツマミ711の断熱蓋720側に形成される窪み部730との嵌合により保持される。
ここで、パッキン部材750は、外蓋100Aを閉めた状態で、内釜121の開口上端面121aと当接する第1のシール部材752と、内蓋710と断熱蓋720との間に形成される空間A1を塞ぐ第2のシール部材751とが、シリコンゴム等により一体的に成形されている。
なお、第1のシール部材752は、内蓋710または断熱蓋720に設けるように構成できる。
また、第2のシール部材751も内蓋710または断熱蓋720に設けるように構成できる。
また、図8等に示すように、断熱蓋720の表面には、外蓋100Aに対向する所定高さの環状のリブ725が同心円状に2本、形成されている。
そして、図3に示すように、このリブ725により、断熱蓋720の上面と外蓋100Aの底面との間に隙間A2が形成される。この隙間A2の空気層により、内釜121内のご飯の保温性をより向上することができる。
以上述べたような構成を有する二重構造蓋700により、従来のように蓋ヒータを設けること無く、内釜121の保温性を向上できる。したがって、蓋ヒータおよびこの蓋ヒータの温度制御を行う制御装置等が不要となり、小型化とコストの低廉化を図りつつ、ご飯の保温性能を向上させることができる。
なお、より構造を簡易化したい場合や、コストの低廉化を図りたい場合には、断熱蓋720を省略し、高熱伝導性の内蓋710のみを備える構成としてもよい。この場合においても、アルミニウム等で構成される内蓋の周縁部が、内釜(炊飯釜)121の湾曲部121aと直接当接するので、内蓋の温度は、内釜(炊飯釜)121と略同じ温度とすることができ、パッキンを介して開口上端部130と当接する従来の内蓋に比して保温性を向上させることが可能である。
[IH調理器の構成例]
以下、IH調理器200の構成を詳細に説明する。
図9は、図1に示されるIH炊飯器1が備えるIH調理器200の斜視図である。 図9に示すように、IH調理器200は、食卓などの上に置いて使用する卓上型の電磁調理器であり、外観は薄型の略直方体状である。IH調理器本体200Aの上部開口を塞ぐように、結晶化ガラス等で構成されたトッププレート200Bが配置されている。IH調理器200の天面の前方側には、電源ボタンや温度調整ボタンなどを有するIH操作部201が設けられている。トッププレート200BとIH操作部201とは平面視で互いに重ならないように配置される。IH調理器200の後方側には、マグネットで着脱自在に電源コードのプラグを装着する差し込み口が設けられている。
図10は、図9に示されるIH調理器200のトッププレート200Bを取り外した状態の斜視図である。図5に示すように、IH調理器本体200A上のトッププレート200Bを取り外すと、加熱手段としてのIHコイル211と、電力供給コイル212と、通信端子213と、リードスイッチ214が現れる。IHコイル211は、被加熱物を電磁誘導加熱する加熱コイルである。電力供給コイル212は、炊飯器部100側の電力受給コイルに電磁誘導により電力を供給するためのコイルである。通信端子213は、炊飯器部100と無線通信するための端子である。リードスイッチ214は、磁石を近づけると作動するスイッチである。これら部材の作用については後述する。
図11は、図9に示されるIH調理器200の断面図である。図11に示すように、IH調理器本体200Aのほぼ中央の上部にIHコイル211が配置されている。IH調理器本体200Aの内部で発生した熱はファン221により外部に排気される構造になっている。IH調理器本体200Aの上部の前方側には、IH操作部201を制御するIH操作基板224が配置されている。その近傍には、IH加熱用のメイン基板225が配置されている。IH調理器本体200Aの底部の四隅から外表面に4つの台座部223が突き出している。台座部223は、金型入れ子対応で重量センサを取り付け可能となっている。
[重量センサの構成例]
以下、計量手段としての重量センサの構成を詳細に説明する。
図12は、IH炊飯器1の底面の斜視図である。図13は、図12に示される重量センサ部分(台座部223)を拡大した拡大図である。
図12および図13に示すように、四隅の台座部223に歪ゲージ223Bを設け、重量測定を行う。具体的には、ベース部材223Aに歪ゲージ223B、重量センサ台座223C、ゴム足223Dを取り付け、重量センサカバー223Eで固定している。 IH調理器200に炊飯器部100が搭載されると、ゴム足223Dが重量センサ台座223C全体を押し上げ、歪ゲージ223Bを変形させる。これにより、各歪ゲージ223Bの歪に基づいて重量センサ基板224a(図15参照)が重量測定を行うようになっている。
そして、炊き上がったご飯を食す分だけ取った場合に、取った分のご飯の重量を差分として測定し、そのご飯の重量に所定のカロリー係数を乗じることで、カロリー量を求めることができる。
このカロリー量を操作表示パネル102に表示することにより、ユーザは、食する分のご飯のカロリー量を知得することができる。
[炊飯器の機能構成]
図14の機能ブロックを参照して、実施の形態に係るIH炊飯器1の構成について説明する。
本実施の形態に係る炊飯器1は、炊飯工程を実行可能な炊飯手段500と、炊飯手段500を制御する制御手段501と、制御手段501への指示や設定等を行う操作パネル101、100VのAC電源601に接続されて各構成部材への電力供給を行う電源回路600、上述のような構成の重量センサで構成される計量手段(歪ゲージ)223B、表示切替手段(スイッチ)SW1を備える表示部(表示手段)102等から構成されている。
操作パネル101には、「無洗米」、「白米」等の選択や、「コシヒカリ」等の銘柄を選択する炊飯メニュー選択手段173としての各種ボタンが設けられている。
また、表示手段を構成する操作表示パネル102には、計量処理を指示する計量ボタンB11およびカロリー表示を指示するカロリーボタンB12が設けられている。
また、操作表示パネル102上の表示切替を行う表示切替手段SW1は、例えば、計量したご飯のカロリー表示と、ご飯の重量表示を切り替えるスイッチであり、ユーザが手動で切り替えるようにしてもよいし、表示制御部161の制御により、所定時間で表示内容を自動的に切り替えるようにしてもよい。
炊飯手段500は、米および水を含む被炊飯物を収容する内釜(炊飯釜)121と、この炊飯釜121を加熱する加熱手段としてのIHコイル211と、炊飯釜121の温度を検知する温度検出手段としての温度センサ131と、上述のような構成の外蓋100Aと、この外蓋100Aの開閉を検知する開閉検知手段SN10等から構成されている。
なお、炊飯器1をマイコン式炊飯器として構成する場合には、加熱手段として、IHコイル211に代えてヒータが設けられる。
温度センサ131は、上述のように、例えば炊飯釜121の底面側に配置されるサーミスタ等で構成される。
制御手段501は、マイクロコンピュータ等で構成され、温度センサ131の検知結果や、操作パネル101からの指示等に基づいてCPU等のハードウェアおよびソフトウェア(プログラム)の協働によって、各工程において付与する熱量(電力)を設定する熱量設定手段150や、炊飯する米の量を判定する合数判定部151等を構成している。
なお、合数判定方法には、既存の手法を適用することができる。
また、制御手段501としてのマイクロコンピュータは、ROMやフラッシュメモリ等で構成される格納手段152を備え、炊飯処理やカロリー算出等の実行プログラムを格納すると共に、各工程等に関するデータ等をデータテーブル153として予め格納している。
また、データテーブル153には、各炊飯メニューに対応させた被炊飯物の単位重量当たりのカロリー係数等のデータも格納されている。
制御手段501は、各工程の継続時間や切り替えタイミングを調整するタイマ154を備えている。
また、制御手段501は、計量手段(歪みゲージ)223Bで計量した炊飯物の重量の変化量に、被炊飯物の単位重量当たりのカロリー係数を乗じてカロリー量を算出する算出部160を備えている。
また、加熱手段211への通電を所定の操作等に基いて中断するように制御する通電制御部701と、炊飯手段500等との通信を行う通信部702を備えている。
ここで、制御手段としてのマイクロコンピュータ101は、計量手段(歪みゲージ)223Bによる被炊飯物としてのご飯の計量を行う際には、加熱手段としてのIHヒータ211への通電を中断するように制御している。
これにより、ご飯を計量する際に、IHヒータ211を発生源とする電磁ノイズを無くし、この電磁ノイズによる計量手段(歪みゲージ)223Bの計量誤差を解消している。
また、制御手段501は、表示切替手段SW1の動作を制御する表示制御部161を備えている。
そして、表示制御部161は、操作表示パネル102におけるカロリー量の表示に代えて、炊飯物の重量の変化量(グラム表示)を表示するように制御できる。
[炊飯器の概略回路構成例]
図15は、実施の形態に係るIH炊飯器1の概略回路構成図である。
図15に示すように、IH炊飯器1の炊飯器部100側には、インターフェース基板122と、このインターフェース基板122と接続される炊飯器操作基板126が配置されている。
炊飯器操作基板126には、制御手段501の全部または一部を構成するマイクロコンピュータ(MCU1)が設けられている。
インターフェース基板122には、制御手段501の全部または一部を構成するマイクロコンピュータ(MCU2)が設けられている。
インターフェース基板122には、操作表示パネル102を構成する表示基板123、温度検知を行うサーミスタ131、無線通信(赤外線通信等)を行う通信手段を構成する通信端子112、IH調理器200側から電力の供給を受ける電力受給コイル113が接続されている。
また、IH調理器200側には、IH操作基板224と、このIH操作基板224と接続されるメイン基板(IH加熱用)225が配置されている。
IH操作基板224には、制御手段501の全部または一部を構成するマイクロコンピュータ(MCU3)が設けられている。
メイン基板225には、制御手段501の全部または一部を構成するマイクロコンピュータ(MCU4)が設けられている。
なお、炊飯器操作基板126およびインターフェース基板122が備えるUART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)は、シリアル転送方式のデータとパラレル転送方式のデータを相互に変換するためのデバイスである。
また、IH操作基板224およびメイン基板225が備えるSPI(Serial Peripheral Interface)は、IH操作基板224,メイン基板225同士を接続するシリアルバスの一種である。
また、各基板122、126、224、225には、所定のプログラムを格納したROMが搭載されている。そして、マイクロコンピュータMCU1〜MCU4がROMに格納された所定のプログラムを実行することで各種制御が実現される。
図15に示すように、IH調理器200のメイン基板225にはマグネットプラグ等を介して電源コードが接続される。IH調理器200に炊飯器部100が搭載されると、炊飯器部100側の検知用磁石(図示せず)がIH調理器200側のリードスイッチ(図示せず)をオンするようになっている。
この状態で、IH調理器200のメイン基板225は、IH操作基板224を介して駆動信号を電力供給コイル212に印加する。これにより、電磁誘導作用で炊飯器部100側の電力受給コイル113に電力信号が発生し、インターフェース基板122を介して表示基板123や炊飯器操作基板126等に印加される。その結果、IH調理器200側の通信端子213と炊飯器部100側の通信端子112を介して赤外線通信等の無線通信が可能となる。
この状態で炊飯器操作部(操作パネル)101が操作されると、その操作信号が炊飯器操作基板126から通信端子112・213を介してIH調理器200側のメイン基板225に伝送される。メイン基板225は、受信した操作信号に基づいてIHコイル211への電流供給の開始や停止を制御したり、IHコイル211に流す高周波電流の電流値を制御したりする。この制御において、重量センサ基板224aから得られる被炊飯物(米や水など)の重量情報や、サーミスタ131から得られる内釜121の温度情報を利用することができる。重量情報は、炊飯器部100側の表示基板123を介して操作表示パネル102に表示される。
また、インターフェース基板122等で、被炊飯物の重量情報に所定のカロリー係数を乗じることにより、カロリー量が算出され、炊飯器部100側の表示基板123を介して操作表示パネル102に表示される。
なお、IH調理器200に炊飯器部100が搭載されていない状態では、IH調理器200の天面が露出しているため、IH操作部201(図4参照)を操作することができる。 IH操作部201が操作されると、その操作信号がIH操作基板224からメイン基板225に伝送されるようになっている。すなわち、IH調理器200から炊飯器部100を取り外すと、IH調理器200の操作部201が現れるため、IH調理器200側は単独でIH調理に使用することができる。
また、カロリーボタンB12が押された時のIH停止信号(火力調整信号)は、インターフェース基板122から出力され、炊飯操作基板126が判断してIHコイル211への通電を中断するようにできる。
また、カロリー量は、炊飯操作基板126からインターフェース基板122に送られる炊飯メニューに関する情報に基づき、炊飯メニューに対応付けされたカロリー係数をインターフェース基板122のROMから読み出し、インターフェース基板122のMCU2で演算するようにできる。
また、内釜121から取ったご飯の変化量は、インターフェース基板122のMCU2で演算するようにできる。
[操作パネルの構成例]
図16は、実施の形態に係るIH炊飯器1が備える操作パネル101の説明図である。
具体的には、図16(a)は、炊飯器部100の天面に設けられた炊飯器操作部(操作パネル)101の構成例を示している。
操作パネル101は、液晶表示部D1に加え、メニューボタンB1、保温/取消ボタンB2、米銘柄ボタンB3、炊飯ボタンB4等の各種ボタンを備える。
液晶表示部D1は、IH炊飯器1の設定状況等を表示する表示装置である。メニューボタンB1は、炊き方等を選択するためのボタンである。保温/取消ボタンB2は、保温とその取り消しを指示するためのボタンである。米銘柄ボタンB3は、お米の銘柄を選択するためのボタンである。米銘柄ボタンB3を押すことにより、こしひかり、あきたこまち、つや姫、ゆめぴりか、ひとめぼれ、ヒノヒカリ等の銘柄を選択することができる。炊飯ボタンB4は、炊飯を指示するためのボタンである。
また、図16(b)は、炊飯器部100の前面に設けられた操作表示パネル102を示している。操作表示パネル102は、液晶表示部D11に加え、後述する計量モードの実行を指示する計量ボタンB11と、カロリー計算モードの実行を指示するカロリーボタンB12を備える。
液晶表示部D11は、計量値およびカロリー量等を表示する表示装置である。
計量ボタンB11は、計量モードの使用等を指示するためのボタンである。
カロリーボタンB12は、ユーザが食するご飯のカロリー量の計算の実行を指示するためのボタンである。
[計量操作例の概要]
以下、計量操作例の概要を説明する。
まず、ユーザは、操作パネル101においてメニュー・かたさ・米銘柄を選択し、炊飯器部100の外蓋100Aを開け、内釜121にお米を入れる。次いで、表示部102の計量ボタンB11を押し(表示で米重量がナビゲートされる)、内釜121を取り出し洗米した後、炊飯器部100に内釜121をセットし、その後、内釜121に水を入れていく(表示と音で水量がナビゲートされる)。ここでは、ユーザに計量モードの使用を認識させるために計量ボタンB11を押すこととしているが、外蓋100Aを開けたら自動で計量モードに移行するようにしてもよい。最後に、炊飯器部100の外蓋100Aを閉じ、炊飯器操作部101の炊飯ボタンB4を押すと、炊飯が開始される。
[計量操作例の詳細]
図17は、図16(b)に示される操作表示パネル102の画面遷移図である。
まず、ユーザが計量モードにおいて内釜121にお米を入れると、米重量が測定される。 ここで、米重量が規定範囲以下の場合、図17(a)に示すように、液晶表示部D11に「米を入れて計量ボタンを押す」等と表示する(計量ボタンB11点滅)。なお、計量モードに入る前には内釜121を炊飯器本体100Bに装着した状態でゼロ点調整が行われている。一方、米重量が許容重量より多い場合、図17(b)に示すように、液晶表示部D11にエラーを表示する(計量ボタンB11消灯)。
次いで、ユーザが計量ボタンB11を押すと、米重量が確定し、水計量モードに移行する。ただし、計測した米重量が仕様重量範囲外なら水計量モードに移行せず、米計量モードのままである。問題がなければ、図17(c)に示すように、液晶表示部D11に「(洗米後、)水を入れる」等と表示する。このとき、液晶表示部D11には、必要水量を表示するようになっている。
次いで、洗米(無洗米ならこのステップは不要である)し、図示しないカップなどにより水を追加していくと、水重量が測定され、図17(d)に示すように、水量の追加とともに、液晶表示部D11に表示される必要水量は減少していく。水重量が最適範囲に入ったら「ピッ」と一度音を鳴らし、最適範囲から外れたら「ピッ、ピッ」と二度音を鳴らす。最適値範囲では、図17(e)に示すように、液晶表示部D11に「0」等と表示し、最適値範囲を過ぎたら、図17(f)に示すように、液晶表示部D11に「水を減らす」等と表示する。
最後に、外蓋100Aを閉じると、計量表示を消灯する。この状態で炊飯ボタンB4(または予約後に炊飯ボタンB4)を押すと、炊飯が開始される。
[カロリー表示操作例]
図18は、図16(b)に示されるカロリー表示部の画面遷移図である。
カロリー表示を行う場合には、図18(a)のような全点灯状態から図18(b)のような保温時表示(保温モード)となっていることを確認して、カロリーボタンB12を1回押す。
これにより、カロリー表示処理(カロリー計算モード)が開始される。
即ち、まず、図14等に示す制御手段501としてのマイクロコンピュータの制御に基いて、計量手段223Bによって内釜121から取られたご飯の重量が計量される。
次いで、データ格納手段152のデータテーブル153に格納されているカロリー係数(例えば、炊飯メニューに対応付けされている)を読み出して、内釜121から取られたご飯の重量に乗じる演算を行う。
このようにして算出されたカロリー量は、図18(c)に示すように、液晶表示部D11に例えば「170kcal」のように表示される。
なお、炊飯メニューで白米が選択され、100gが内釜121から取られた場合には、実際には「168kcal」であるが、図18に示す例では、表示を5g単位としているため、四捨五入して「170kcal」と表示される。
より正確なカロリー量を知得したい場合には、表示を1g単位等として、より詳細なカロリー量を表示するようにしてもよい。
また、内釜121から取られたご飯の重量を表示したい場合には、所定位置に設けられる表示切替スイッチ(表示切替手段)SW1を操作する。
これにより、表示制御部161の制御により、図18(d)に示すように、例えば「100g」と表示される。
なお、制御手段501としてのマイクロコンピュータの制御により、所定時間(例えば、10秒等)が経過した時点で、カロリー表示からグラム表示に自動的に切り替わるようにしてもよい。
[計量炊飯動作例]
図19A〜Gは、IH炊飯器1の計量炊飯動作を示すフローチャートである。
まず、炊飯器部100がIH調理器200の上に載っていない場合、炊飯器操作部101は時刻表示のみ、操作表示パネル102の液晶表示部D11は消灯のままである(S1→S2→S3→S2)。
炊飯器部100がIH調理器200の上に載ると、炊飯器操作部101のメニュー表示等は起動するが、操作表示パネル102の液晶表示部D11は消灯のままである(S2→S4)。このとき、メニュー・銘柄・かたさについては以前の情報が維持されている(S5)。
次いで、ステップS501では、現在設定されている炊飯メニューNo.が設定される。
次に、ユーザがメニューボタンB1を押すと、メニュー選択が切り替わる(S6→S7→S6)。例えば、(1)無洗米→(2)無洗米,新米→(3)無洗米,省エネ→(4)無洗米,早炊き→(5)白米→(6)白米,新米→(7)白米,省エネ→(8)白米,早炊き→(9)炊き込み→(10)おかゆ→(11)玄米→(12)煮込み/蒸し→(1)無洗米→・・・の順に切り替わるようになっている。
ここで、ステップS6において、メニューボタンB1を押したかの判定結果が「No」の場合には、現在設定されている炊飯メニューNo.を代入してステップS8に移行する。
また、ステップS6において、メニューボタンB1を押したかの判定結果が「Yes」の場合には、ステップS208に移行して、炊飯メニューNo.は1〜12か否かが判定される。
そして、M=12と判定された場合には、ステップS209に移行して、Mを「0」にリセットしてステップS210に移行する。
一方、ステップS208で「No」と判定された場合には、ステップS210に移行して、Mを「1」インクリメントしてステップS7に移行する。
次いで、ユーザが米銘柄ボタンB3を押すと、選択メニューが白米または無洗米でない場合、銘柄選択は消灯のままである(S8→S9→S10→S8)。一方、選択メニューが白米または無洗米である場合、銘柄選択が切り替わる(S8→S9→S11→S8)。例えば、(0)その他→(1)こしひかり→(2)あきたこまち→(3)つや姫→(4)ゆめぴりか→(5)ひとめぼれ→(6)ヒノヒカリ→(0)その他→・・・の順に切り替わるようになっている。
次いで、ユーザがかたさボタンを押すと、選択メニューが白米または無洗米でない場合、かたさ選択は消灯のままである(S12→S13→S14→S12)。一方、選択メニューが白米または無洗米である場合、かたさ選択が切り替わる(S12→S13→S15→S12)。例えば、(1)標準→(2)かため→(3)やわらか→(1)標準→・・・の順に切り替わるようになっている。
次いで、外蓋100Aが開いており、重量が釜妥当重量以上になっており、保温が「切」になっている場合、計量表示をスタートする(S16→S18→S20→S24)。釜妥当重量とは、釜重量から所定値を引いた重量である。
一方、外蓋100Aが開いていないか、重量が釜妥当重量以上になっていないか、保温が「切」になっていない場合、そのままの状態とする(S16→S17,S18→S19,S20→S21)。ただし、保温/取消ボタンB2が押された場合、計量表示をスタートする(S21→S22→S24)。また、外蓋100Aが閉じられた場合(S23:YES)、ステップS16に戻る。
次いで、計量表示をスタートしてから10分以上放置されている場合、計量ボタンB11が押されない限り、計量表示を消灯する(S25→S26→S27→S26)。10分以上放置されていない場合でも、保温/取消ボタンB2が押されたときは、計量ボタンB11が押されない限り、省エネの観点から計量表示を消灯する(S25→S28→S29→S30→S29)。
一方、10分以上放置されることも保温/取消ボタンB2が押されることもなかった場合において、米重量が炊飯メニューの許容米重量・上限以下であるときは、「米を入れて計量ボタンを押す」等と表示する(S25→S28→S31→S33)。米重量が炊飯メニューの許容米重量・上限以下でないときは、エラーを表示する(S25→S28→S31→S32)。なお、本フローでは放置時間を10分としたが、これに限定されるものではない。
次いで、米重量が炊飯メニューの許容米重量内である場合、「米を入れて計量ボタンを押す」の表示を維持し、計量ボタンB11を点滅させる(S34→S35)。これにより、使用者が計量ボタンB11を押すと、米重量が許容米重量の範囲内である場合、米重量を記憶して、その米状量に最適な水量を表示させる。具体的には水計量モード「○○cc水を入れる(減らす)」等と表示する(S36→S37→S38)。なお、許容米重量「○合〜○合」は、炊飯メニューごとに決められている。
ここで、メニューが「無洗米」である場合、「○○cc水を入れる」等と表示する(S39→S40)。一方、メニューが「無洗米」以外である場合、「○○cc洗米後、水を入れる」等と表示する(S39→S41)。
次いで、取消ボタンが押されなかった場合において、水(+米)重量が最適水量範囲内でないときは、「ピッ、ピッ」と音を鳴らし、炊飯ボタンB4と予約ボタンを消灯させる(S42→S43→S44→S43)。一方、水(+米)重量が最適水量範囲内であるときは、「ピッ」と音を鳴らし、炊飯ボタンB4と予約ボタンを点滅させ、蓋部100Aが閉じていれば、計量モードを解除して「時刻モード:00:00」等と表示する(S42→S43→S45→S46→S47)。なお、最適水量範囲「最適水量±○%」は、炊飯メニュー・銘柄・かたさ設定の組み合わせに基づいて決められている。さらに最適水量範囲になったら、外蓋100Aを閉じるように表示や音声等で促すことが望ましい。
次いで、ユーザが予約ボタンを押すと、予約モードに移行して「00:00」等と表示し、「予約1」を点灯させて以前の登録時間を表示する(S48→S49→S50)。ここで、ユーザが取消ボタンも予約ボタンも押すことなく時・分ボタンを押すと、予約1の登録時間を更新する(S51→S52→S58→S59)。一方、ユーザが取消ボタンを押すことなく予約ボタンを押すと、「予約2」を点灯させて以前の登録時間を表示し、ユーザが予約ボタンを押すことなく時・分ボタンを押すと、予約2の登録時間を更新する(S51→S52→S53→S54→S56→S57)。なお、ステップS54においてユーザが予約ボタンを押した場合、予約モードを解除して「時刻モード:00:00」等と表示する(S54→S55)。
最後に、ユーザが炊飯ボタンB4を押すと、蓋部100Aが閉じている場合、選択された炊飯メニュー・銘柄コースにて炊飯を開始する(S60→S61→S62)。その後、炊飯が完了したら保温を開始し(S63)、ステップS16に戻る。
[重量センサゼロ点調整動作例]
図20は、重量センサゼロ点調整動作を示すフローチャートである。
まず、外蓋100Aが開いていない場合、そのままの状態とする(S71→S72)。
一方、外蓋100Aが開いている場合において、ユーザが計量ボタンB11を長押ししたときは、重量が釜重量妥当範囲に入っていれば、ゼロ点調整を開始し、米計量モードに移行する(S71→S73→S74→S75→S76)。釜重量妥当範囲「釜重量±○%」は、釜重量に基づいて決められている。
[重量センサ制御動作例]
図21は、重量センサ制御動作を示すフローチャートである。
まず、4点の重量センサ(歪ゲージ)のセンサ値を計測し、次式に基づいて一定時間の値を平均する(S81→S82)。
センサ出力平均(電圧)=平均(センサ出力ALL(電圧))
次いで、次式に基づいて出力電圧を荷重(重量)に変換する(S83)。歪ゲージ係数は、現物確認・実験により決定する。
測定値[g]=(センサ出力平均(電圧))/(歪ゲージ係数[電圧/N])/g
(重力加速度[m/s^2])
次いで、次式に基づいて計測重量を算出する(S84)。
計量重量[g]=測定値[g]−ゼロ点重量[g]
このとき、米計量モードである場合、米重量をg単位で記録する(S85→S86)。
一方、水計量モードである場合、次式に基づいて水重量をcc単位で出力する(S87→S88)。
出力値[cc]=(記録した米重量・米の銘柄等から算出された必要水量[cc])−((計量重量[g])−(記録した米重量[g]))
[IH調理動作例]
図22は、IH調理器200の動作を示すフローチャートである。
まず、炊飯器部100がIH調理器200の上に載っている場合、IH操作部201の表示をオフにする(S91→S92→S93→S92)。また、炊飯器部100がIH調理器200の上に載っていない場合でも、ユーザが「加熱スタート」または「揚げ物スタート」のボタン201aまたは201bを押すまでは、IH操作部201の表示 次いで、使用者が「加熱スタート」または「揚げ物スタート」のボタン201aまたは201bを押すと、最低火力で加熱をスタートする(S94→S96)。
最低火力で加熱スタートする理由は、不用意な温度の上昇を防止して、安全性を確保するためである。また、ユーザが「強く」のボタン201cを押すと、それに応じて火力をアップさせ(S97→S98)、「弱く」のボタン201dを押すと、それに応じて火力をダウンさせる(S99→S100)。最後に、ユーザが「切」のボタン201eを押すと、電力をダウンさせる(S101→S102)。
[重量測定構成例]
図23は、実施の形態に係るIH炊飯器1の側面図である。
蓋ロック機構124(図3参照)によるロックを解除すると、蓋ヒンジ129の回転軸129aを支点として外蓋100Aの前方側が上方向に回動し、略垂直な状態で静止するようになっている。
外蓋100Aを開けた状態のIH炊飯器1の重心をGとする。
図24は、図23に示されるIH炊飯器1の底面図である。
ここでは、IH炊飯器1の底部の四隅に4つの台座部223を備えた場合を例示している。4つの台座部223の全てに重量センサが取り付けられている。以下の説明では、台座部223を重量検知脚223と呼ぶ。また、4つの重量検知脚223を区別する場合は、重量検知脚223A,223B,223C,223Dと呼ぶ。
図24に示すように、2つの重量検知脚223C,223Dは、重心Gに対して蓋ヒンジ129側で回転軸129a方向に対して両端に位置する。一方、2つの重量検知脚223A,223Bは、重心Gに対して蓋ヒンジ129の反対側で回転軸129a方向に対して両端に位置する。重量検知脚223A,223B,223C,223Dで形成される四角形の2つの仮想対角線をL1,L2とし、2つの仮想対角線L1,L2の交点をPとする。この場合、重心Gは、2つの仮想対角線L1,L2の交点Pより蓋ヒンジ129側にあるのが望ましい。
具体的には、交点Pと重量検知脚223A,223Bとで形成される三角形の領域を「領域E1」とする。領域E1の内側に重心Gがある場合は、米の偏りや水投入による振動の影響を受けやすく、前後方向にふらつきやすくなる。
また、交点Pと重量検知脚223B,223Cとで形成される三角形の領域を「領域E2」とする。領域E2の内側に重心Gがある場合は、外蓋100Aを開ける際や外蓋100Aを開けた状態で左右方向にふらつきやすくなる。
また、交点Pと重量検知脚223D,223Aとで形成される三角形の領域を「領域E4」とする。領域E4の内側に重心Gがある場合も、外蓋100Aを開ける際や外蓋100Aを開けた状態で左右方向にふらつきやすくなる。
最後に、交点Pと重量検知脚223C,223Dとで形成される三角形の領域を「領域E3」とする。領域E3の内側に重心Gがある場合は、重心Gが2つの仮想対角線L1,L2の交点Pより蓋ヒンジ129側にあるため、前後方向にも左右方向にもふらつきにくくなる。
そこで、領域E3の内側に重心Gがくるように各構成部品を配置する。ここでは、重量物である内釜121やIHコイル211などをIH炊飯器1の後方寄りに配置している。
これにより、外蓋100Aを開けた状態のIH炊飯器1の重心Gを内釜121の中心Oの直下近傍に配置することができる(図23参照)。ここで、内釜121の中心Oとは、内釜121の体積中心(空間中心)を意味する。
なお、ここでは4つの重量検知脚223を備えた場合を例示したが、5つ以上の重量検知脚223を備えた場合でも同様、2つのヒンジ側重量検知脚を頂点に含む三角形の領域の内側に重心Gがあればよい。2つのヒンジ側重量検知脚とは、重心Gに対して蓋ヒンジ129側で回転軸129a方向に対して両端に位置する重量検知脚である。この場合も、重心Gが仮想対角線の交点より蓋ヒンジ129側にある点は同様であるため、前後方向にも左右方向にもふらつきにくくなる。
(重量センサ回路構成例)
次に、重量センサ回路構成例について説明する。上記の説明では、四隅の重量センサのセンサ値を平均することで被炊飯物の重量を算出することとしているが(図21のS81→S82)、これに限定されるものではない。すなわち、四隅の重量センサのセンサ値の合計で被炊飯物の重量を算出することも可能である。
図25は、実施の形態に係るIH炊飯器1が備える重量センサの回路構成図であり、図26は、図25に示される単一ロードセルの回路構成図である。この重量センサは、図25に示すように、ロードセルSEL1〜SEL4と、差動増幅回路11と、A/Dコンバータ(12bit)12と、CPU13と、RC平滑回路14とを備える。ロードセルSEL1〜SEL4は、図26に示すような単一ロードセルを4個直列に繋いだものである。4個の単一ロードセルのトータルの微小電圧信号が出力されるようになっている。
まず、回路基本動作について説明する。ロードセルSEL1〜SEL4のブリッジ結線から、印加重量(歪み量)に応じた微小電圧信号(アナログ小信号)が出力される。この微小電圧信号を差動増幅回路11で電圧増幅し、増幅させたアナログ電圧信号をA/Dコンバータ12でデジタル信号に変換し、その重畳データをI2C通信によりCPU13に伝達する。
次に、CPU13によるオフセット調整(マイコン制御)について説明する。重量計測の必要範囲は、「空の内釜121を入れた状態(約5kg)」〜「内釜121に3合の米と水を入れた状態(約6kg)」である。そのため、歪ゲージを重量検知脚223に搭載する場合、ゼロgから6kgまで計測させる必要があり、5kg〜6kg範囲の計測精度が低下してしまう。また、差動増幅回路11の出力ゼロV付近では、ノイズ等の影響を受け、計測精度が低下してしまう。
これらの問題を改善するため、CPU13は、「空の内釜121を入れた状態(約5kg)」時に、差動増幅回路11の出力電圧=1V〜1.5Vの範囲になるよう、PWM信号を出力する。工場検査の工程で全数個別調整するようにしている。また、CPU13は、「内釜121に3合の米と水を入れた状態(約6kg)」時に、差動増幅回路11の出力電圧=Vcc−1V程度になるよう、差動増幅回路11のゲインを調整する。これにより、必要計測範囲(5kg〜6kg)の計測精度を確保し、ノイズ等の影響も受けにくい重量センサを実現することができる。
以上のように、実施の形態に係るIH炊飯器1は、着脱自在に内釜121が収容される本体と、本体に開閉可能に設けられた外蓋100Aと、外蓋100Aを開閉させるために本体上部に設けられる回転軸129aを有する蓋ヒンジ129と、本体の底面に設けられる4つ以上の脚とを備え、脚の少なくとも4つが重量を検知するための重量検知脚223であり、4つの重量検知脚223は、外蓋100Aを開けた状態のIH炊飯器1の重心Gに対して、蓋ヒンジ129側で回転軸129a方向に対して両端に位置する2つのヒンジ側重量検知脚223C,223Dと、蓋ヒンジ129の反対側で回転軸129a方向に対して両端に位置する2つの逆ヒンジ側重量検知脚223A,223Bとで構成され、外蓋100Aを開けた状態のIH炊飯器1の重心Gは、2つのヒンジ側重量検知脚223C,223Dと2つの逆ヒンジ側重量検知脚223A,223Bとで形成される2つの仮想対角線L1,L2の交点Pに対して蓋ヒンジ129側に位置し、外蓋100Aを開けた状態で4つの重量検知脚223を用いて重量を測定する。これにより、重量検知脚223が蓋ヒンジ129側に2つあり、重心Gが2つの仮想対角線L1,L2の交点Pより蓋ヒンジ129側にあるため、前後左右方向のふらつきをなくし、安定して重量を測定することができる。
また、外蓋100Aを開けた状態のIH炊飯器1の重心Gは、内釜121の中心の直下近傍に配置されてもよい。これにより、重心Gが内釜121の中心部に配置され、米の偏りや水投入による振動を殆ど受けない。
また、IH炊飯器1の操作開始に際し、外蓋100Aが開いている状態で重量センサのゼロ点調整を行ってもよい。これにより、外蓋100Aが開いている状態で重量センサの経時変化を吸収し、高精度の重量測定を維持することができる。
また、ゼロ点調整を行った後、外蓋100Aが開いている状態で内釜121に収容された被炊飯物の重量を計量してもよい。これにより、外蓋100Aが開いている状態で水量を精確に調整することができるため、いちいち外蓋100Aを閉めて重量測定する必要がなく、操作が簡単である。
なお、ここでは上下分離型のIH炊飯器1を例示して説明したが、上記したような炊飯器の重心位置に対する重量検知脚の配置関係は、上下に分離しない一般的な炊飯器に適用することもできるし、マイコン式の炊飯器に適用することもできる。
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、これに限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
例えば、重量センサをIH調理器200側に設けた場合を例示したが、重量センサは炊飯器部100側に設けることも可能である。
また、重量センサとして歪ゲージ以外に、圧力センサや他タイプのロードセルなどを用いることもできる。