次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
[IH炊飯器の全体構成例]
図1を参照して、第1の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)1の全体構成例について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)1の斜視図である。このIH炊飯器1は、IHによる炊飯技術を使用し、無線通信・電力供給により本体とIH部の分離を可能とするIHジャー炊飯器である。
具体的には、図1に示すように、IH炊飯器1は、炊飯器部100とIH調理器(電磁調理器)200とに上下分離可能となっている。外観はジャー炊飯器であるが、炊飯器部100を取り外すと、IH調理器200の操作部が現れる。IH調理器200側は単独でIH調理に使用することができ、炊飯器部100側は御櫃として食卓に簡単に運ぶことができるようになっている。
そして、後出の図7、図8等に示すように、IH調理器200は、炊飯器部100へ電力供給する電力供給コイル212を備え、炊飯器部100は、電力供給コイル212と対向される電力受給コイル113と、炊飯器部100の本体上部にあって開閉可能に設けられる蓋部(内蓋)127と、蓋部127に設置されて被炊飯物を加熱する蓋加熱部(蓋ヒータ)Hと、IH調理器200および炊飯器部100を動作させるための入力を行う操作部101と、IH調理器200および炊飯器部100の動作を制御する制御部(マイクロコンピュータMCU1~MUC4等で構成される)とを備え、操作部101および蓋ヒータHへの電力供給は、電力供給コイル212および電力受給コイル113を介して行うように構成されている。
このように、本実施の形態に係るIH炊飯器(電磁炊飯器)1では、それぞれ一つの電力供給コイル212および電力受給コイル113によって、操作部101および蓋ヒータHへの電力供給を行っているので、電力供給コイルおよび電力受給コイルを複数に亘って設ける構成に比して、マイクロコンピュータMCU1~MUC4への電磁ノイズの影響を低減でき、電磁ノイズに起因する誤作動を抑制することができる。
[炊飯器部の構成例]
図2、図3(a)、(b)および図4を参照して炊飯器部100の構成について説明する。
ここで、図2は、図1に示されるIH炊飯器1が備える炊飯器部100の斜視図、図3(a)は、炊飯器部100の断面図、図3(b)は要部の拡大断面図、図4は、IH炊飯器1の要部を示す一部透視図である。
図2に示すように、炊飯器部100は、蓋部100Aと、炊飯器本体100Bと、底部100Cとを備える。
蓋部100Aの天面には、炊飯器部100を操作するための炊飯器操作部(操作部)101が設けられている。
底部100Cの外縁部は、IH調理器200の天面の外縁部と嵌合する構造になっている。具体的には8.5mm程度、炊飯器部100側の筐体とIH調理器200側の筐体とがオーバーラップするようになっている。IH調理器200の設置面積と炊飯器部100の設置面積がほぼ等しいため、上下の筺体がぴったり一致し、外観がスマートであると共に、省スペース化を図ることができる。上下嵌合の工夫として、IH調理器200の天面の外縁部と底部100Cの外縁部にテーパを付けてもよいし、前後の間違いをなくすため前後でRが異なるようにしてもよい。
図3(a)は、炊飯器部100の断面図、図3(b)は、その要部の拡大断面図である。
図3(a)に示すように、後方側に設けた蓋ヒンジ129を支点として蓋部100Aの前方側が上下方向に回動するようになっている。この前方側の蓋部100Aと炊飯器本体100Bとの対向位置に蓋ロック機構124を設けている。炊飯器本体100Bの上部開口から内釜(炊飯釜)121を収容する。内釜121の周囲に断熱材や保護枠を設け、内釜121の底に温度を計測するサーミスタ131を設けている。内釜121内で発生した蒸気は、アルミ等で構成される内蓋127に設けた蒸気筒128を介して外部に排出される。
炊飯器本体100Bの側壁部には、炊飯器部100を持ち運ぶためのハンドル130が回動自在に設けられている。
炊飯器操作部101の近傍には、炊飯器操作部101を制御する炊飯器操作基板126が配置されている。
なお、本実施の形態では、炊飯器部100の底にサーミスタ131を設けた場合を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、サーミスタ131は、炊飯器部100の側面に設けてもよいし、内蓋127に設けてもよい。
そして、図3(b)および図4に示すように、内蓋127と、アルミ等で構成される中蓋720との間には、蓋加熱部としての蓋ヒータHおよび断熱材700が配置されている。
より具体的には、絶縁被覆された電熱線(ニクロム線等)701をアルミコーティングフィルム702等で覆って構成される蓋ヒータHが内蓋127の内面に配置され、その蓋ヒータHと中蓋720との間に、グラスウール等で構成される断熱材700が配置されている。
図4に示す構成例では、蓋ヒータHの電熱線701は二重に蛇行して敷設されている。また、蓋ヒータHは、内蓋127の取付孔800および蒸気孔801を避けるように設けられている。
なお、蓋ヒータHの電熱線701は、図示しないリード線を介して、炊飯器操作基板126および炊飯器本体100B側のインターフェース基板122等に接続されている。
[IH調理器の構成例]
次に、図5および図6を参照してIH調理器200の構成例について説明する。
ここで、図5は、図1に示されるIH炊飯器1が備えるIH調理器200の斜視図、図6は、IH調理器200のトッププレートを取り外した状態の斜視図である。
図5に示すように、IH調理器200は、食卓などの上に置いて使用する卓上型の電磁調理器であり、外観は薄型の略直方体状である。IH調理器本体200Aの上部開口を塞ぐように、結晶化ガラス等で構成されたトッププレート200Bが配置されている。IH調理器200の天面の前方側には、電源ボタンや温度調整ボタンなどを有するIH操作部201が設けられている。トッププレート200BとIH操作部201とは平面視で互いに重ならないように配置される。IH調理器200の後方側には、マグネットで着脱自在に電源コードのプラグを装着する差し込み口が設けられている。
図6に示すように、IH調理器本体200A内にはIHコイル211が配置されている。また、図示は省略するが、電力供給コイル、通信端子等もIH調理器本体200A内に配置されている。
IHコイル211は、被加熱物を電磁誘導加熱する加熱コイルである。また、電力供給コイルは、炊飯器部100側の電力受給コイルに電磁誘導により電力を供給するためのコイルである。また、通信端子は、炊飯器部100と無線通信するための端子である。
[炊飯器の機能構成]
次に、図7の機能ブロックを参照して、IH炊飯器(炊飯器)1の機能構成について説明する。
IH炊飯器(炊飯器)1は、上述のように、IH調理器200と、その上に載置される炊飯器部100とから構成されている。
IH調理器200は、炊飯釜(内釜)121を加熱するIHコイル211と、100VのAC電源601に接続されて各構成部材への電力供給を行う電源回路600と、マイクロコンピュータMCU3、MCU4等で構成される制御部と、電源回路600に接続されて炊飯器部100側への電力供給を行う電力供給コイル212とを備える。
一方、炊飯器部100は、被炊飯物としての米を炊く炊飯釜(内釜)121と、外蓋100Aと、この外蓋100Aの開閉を検知する開閉検知手段SN1と、蓋加熱部としての蓋ヒータHを備える内蓋(蓋部)127と、IH調理器200側の電力供給コイル212と対向して配置される電力受給コイル113と、IH調理器200および炊飯器部100を動作させるための入力を行う操作部101と、マイクロコンピュータMCU1、MCU2等で構成される制御部とを備える。
そして、制御部は、炊飯器部100が保温状態の場合には、蓋ヒータHによる加熱が可能となる第1の電力を炊飯器部100に供給し、炊飯器部100が待機状態の場合には、操作部101が動作可能となる、第1の電力よりも小さな第2の電力を炊飯器部100に供給するように、電力供給コイル212への通電を行うよう制御するようにできる。
また、制御部は、開閉検知手段SN1の検知状態に応じて、蓋ヒータHへの加熱量を調整するようにできる。
また、制御部は、炊飯器部100が保温状態であって、開閉検知手段SN1により、蓋部127が開状態から閉状態に切り換わったことを検知した場合、蓋ヒータHへ供給する電力を第1の電力よりも大きな第3の電力に切り換えるよう制御するようにできる。
なお、開閉検知手段SN1は、1つのセンサで蓋部127の開状態と閉状態を結果するように構成してもよいし、或いは2つのセンサで蓋部127の開状態と閉状態を個別に検知するように構成してもよい。
また、内蓋(蓋部)127の装着の有無を検知する内釜検知手段661を設けてもよい。この場合には、制御部は、内釜検知手段661が、内釜121が載置されていない状態を検知した場合には、蓋ヒータHへの電力供給を停止させるように制御するようにできる。
さらに、蓋ヒータHに供給する電力を蓄電可能なバッテリBを設けてもよい。
このバッテリBは、例えばリチウムイオン電池等で構成され、炊飯器部100がIH調理器200から分離された状態において、電力受給コイル113に代わって蓋ヒータHに電力を供給する。
また、炊飯器部100の載置状態を検出するリミットスイッチやセンサ等で構成される載置検出手段650を設けてもよい。
この場合に、制御部は、載置検知手段650が、炊飯器部100がIH調理器200に載置されていない状態を検知した場合は、バッテリBに蓄電された電力を蓋ヒータHに供給するように制御するようにできる。
そして、制御部は、載置検知手段650が、炊飯器部100がIH調理器200に載置されていない状態を検知した場合は、蓋ヒータHへ供給する電力を第1の電力よりも大きな第4の電力に切り換えるよう制御するようにできる。
また、バッテリBの電力残量を検知する残量検知手段660を設けてもよい。
この場合には、残量検知手段660によって電力残量の不足が検知された場合に、例えば、その旨を音声等により報知するようにできる。これにより、ユーザは、バッテリBの電力不足により蓋ヒータHによる加熱(保温)が不十分となり、炊き上がったご飯が冷える事態を把握することができ、利便性が向上される。
[炊飯器の概略回路構成例]
図8は、本実施の形態に係るIH炊飯器1の概略回路構成図である。
図8に示すように、IH炊飯器1の炊飯器部100側には、インターフェース基板122と、このインターフェース基板122と接続される炊飯器操作基板126が配置されている。
炊飯器操作基板126には、制御部の一部を構成するマイクロコンピュータMCU1が設けられている。
また、インターフェース基板122には、制御部の一部を構成するマイクロコンピュータMCU2が設けられている。
インターフェース基板122には、表示基板123、サーミスタ131、無線通信(赤外線通信等)を行う通信端子112、IH調理器200側から電力の供給を受ける電力受給コイル113が接続されている。
また、IH調理器200側には、IH操作基板224と、このIH操作基板224と接続されるメイン基板(IH加熱用)225が配置されている。
IH操作基板224には、制御部の一部を構成するマイクロコンピュータMCU3が設けられている。
メイン基板225には、制御部の一部を構成するマイクロコンピュータMCU4が設けられている。
なお、炊飯器操作基板126およびインターフェース基板122が備える汎用非同期送受信機(UART:Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)は、シリアル転送方式のデータとパラレル転送方式のデータを相互に変換するためのデバイスである。
また、IH操作基板224およびメイン基板225が備えるシリアル同期インターフェース(SPI:Serial Peripheral Interface)は、IH操作基板224,メイン基板225同士を接続するシリアルバスの一種である。
また、各基板122、126、224、225には、所定のプログラムを格納したROMが搭載されている。そして、マイクロコンピュータMCU1~MCU4がROMに格納された所定のプログラムを実行することで各種制御が実現される。
図8に示すように、IH調理器200のメイン基板225にはマグネットプラグ等を介して電源コードが接続される。IH調理器200に炊飯器部100が載置されると、炊飯器部100側の検知用磁石602がIH調理器200側のリードスイッチ601をオンするようになっている。
この状態で、IH調理器200のメイン基板225は、IH操作基板224を介して駆動信号を電力供給コイル212に印加する。これにより、電磁誘導作用で炊飯器部100側の電力受給コイル113に電力信号が発生し、インターフェース基板122を介して表示基板123や炊飯器操作基板126等に印加される。その結果、IH調理器200側の通信端子213と炊飯器部100側の通信端子112を介して赤外線通信等の無線通信が可能となる。
この状態で炊飯器操作部(操作パネル)101が操作されると、その操作信号が炊飯器操作基板126から通信端子112・213を介してIH調理器200側のメイン基板225に伝送される。メイン基板225は、受信した操作信号に基づいてIHコイル211への電流供給の開始や停止を制御したり、IHコイル211に流す高周波電流の電流値を制御したりする。
なお、IH調理器200に炊飯器部100が載置されていない状態では、IH調理器200の天面が露出し、IH操作部201(図4参照)を操作することができる。 IH操作部201が操作されると、その操作信号がIH操作基板224からメイン基板225に伝送されるようになっている。すなわち、IH調理器200から炊飯器部100を取り外すと、IH調理器200の操作部201が現れ、IH調理器200側は単独でIH調理に使用することができる。
[炊飯器の制御処理]
図9~図14のフローチャートを参照して、本実施の形態に係るIH炊飯器1で実行される主な制御処理の処理手順について説明する。
まず、図9のフローチャートを参照して、IH炊飯器1で実行される炊飯器部100側の電力伝送処理の処理手順について説明する。
ステップS10では、IH調理器200に炊飯器部100が載置されているか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS11に移行する。
ステップS11では、炊飯器1の状態は保温中であるかが判定され、「Yes」の場合にはステップS12に移行して、保温中を示す状態信号をIH調理器200側に送信して処理を終了する。
また、ステップS11で「No」の場合には、待機中であるとして、ステップS13に移行して、待機中を示す状態信号をIH調理器200側に送信して処理を終了する。
これにより、炊飯器部100の載置の有無により、待機中の状態と保温中の状態とを判別することができる。
次に、図10のフローチャートを参照して、本実施の形態に係るIH炊飯器1で実行されるIH調理器200側の電力伝送処理の処理手順について説明する。
ステップS20では、IH調理器200に炊飯器1が待機中であるか否かが判定され、「No」の場合にはステップS22に移行して、操作部101が動作可能で、且つ、蓋ヒータHによる加熱が可能な電力V1(V)を伝送して処理を終了する。
また、ステップS21で「Yes」の場合には、待機中であるとして、ステップS23に移行して、操作部101が動作可能な電力V2(V)を伝送して処理を終了する。
ここで、電力V1>電力V2の関係となり、例えば、V1=18V、V2=12Vとすることができる。
これにより、待機中における電力消費を低減して、IH炊飯器1の省エネに資することができる。
次に、図11のフローチャートを参照して、本実施の形態に係るIH炊飯器1で実行される蓋ヒータ電力制御処理(その1)の処理手順について説明する。
なお、この処理は、IH炊飯器1が保温中であることが前提となる。
ステップS30では、外蓋100Aは開いているか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS31に移行する。
ステップS31では、現在の蓋ヒータHの温度をFHT0に格納(記憶)してステップS32に移行する。
ステップS32では、蓋ヒータHへの通電を遮断して加熱を中止して、ステップS33に移行する。
なお、ステップS31に代えて、蓋ヒータHへの電力供給量を記憶するようにしてもよい。
ステップS33では、外蓋100Aは開いているか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS34に移行する。
ステップS34では、ステップS31で記憶された蓋ヒータ温度(FHT0)に所定温度ΔTを加算して加熱を再開する。
例えば、ΔTだけ高くした温度での加熱時間計測用のタイマを例えばt=1秒等にセットし、ステップS36では、タイマによる所定時間経過を計測して、t=0になるとステップS36に移行する。
ステップS36では、FHT0+ΔTに相当する温度値FHTで蓋ヒータHの加熱を再開してステップS37に移行する。
ステップS37では、時間tをインクリメントし、ステップS38では、t≧180秒であるか否かが判定される。なお、待ち時間180秒は、適宜変更可能である。
そして、ステップS38で「No」の場合にはステップS37に戻り、「Yes」の場合にはステップS39に移行する。
ステップS39では、ステップS31で記憶されている温度値FHT0をFHTに代入し、ステップS40では、温度値FHTで蓋ヒータHの加熱を継続して処理を終了する。
これにより、外蓋100Aの開閉状態に応じて、蓋ヒータHの加熱を制御することができ、炊き上がったご飯の保温効率を向上することができる。
次に、図12のフローチャートを参照して、本実施の形態に係るIH炊飯器1で実行される蓋ヒータ電力制御処理(その2)の処理手順について説明する。
なお、この処理は、図7に示すように、炊飯器部100にバッテリBを搭載しており、且つ、IH炊飯器1が保温中であることが前提となる。
ステップS50では、炊飯器部100とIH調理器200とが分離されているか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS51に移行する。
ステップS51では、現在の蓋ヒータHの温度をFHT0に格納(記憶)してステップS52に移行する。
ステップS52では、ステップS51で記憶された蓋ヒータ温度(FHT0)に所定温度ΔTを加算した温度値をFTHとしてステップS53に移行する。
ステップS53では、蓋ヒータHへの電力供給をバッテリBに切り換えてステップS54に移行する。
ステップS54では、温度値FTHで蓋ヒータHの加熱を再開してステップS55に移行する。
ステップS55では、IH調理器200に炊飯器部100が載置されているか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS56に移行する。
ステップS56では、ステップS31で記憶されている温度値FHT0をFHTに代入してステップS57に移行する。
ステップS57では、蓋ヒータHへの電力供給をIH調理器200からに切り換えてステップS58に移行し、温度値FHTで蓋ヒータHの加熱を継続して処理を終了する。
これにより、炊飯器部100とIH調理器200とが分離されているか否かにより、蓋ヒータHへの電力供給をIH調理器200またはバッテリBに自動的に切り換えることができ、炊き上がったご飯の保温効率を向上することができる。
次に、図13のフローチャートを参照して、IH炊飯器1の炊飯器部100側で実行される蓋ヒータ電力制御処理(その3a)の処理手順について説明する。
なお、この処理は、炊飯器部100が内釜検知センサ(内釜検知手段)661を備え、且つ、IH炊飯器1が保温中であることが前提となる。
ステップS60では、内釜検知センサ(内釜検知手段)661はオンか否かが判定され、「Yes」の場合(内釜121が炊飯器部100にセットされている状態)には検知を継続し、「No」の場合(内釜121が炊飯器部100から外されている状態)にはステップS61に移行する。
ステップS61では、待機中状態信号をIH調理器200側に送信し、IH炊飯器1を待機状態に移行させて処理を終了する。
これにより、内釜121が炊飯器部100から外されている状態で、蓋ヒータHへの電力供給を中断することができ、省エネに資することができる。
次に、図14のフローチャートを参照して、IH炊飯器1のIH調理器200側で実行される蓋ヒータ電力制御処理(その3b)の処理手順について説明する。
ステップS70では、炊飯器部100側から状態信号を受信してステップS71に移行する。
ステップS71では、状態信号が待機中か否かが判定され、「No」の場合にはステップS22に移行して、操作部101が動作可能で、且つ、蓋ヒータHによる加熱が可能な電力V1(V)を伝送して処理を終了する。
また、ステップS71で「Yes」の場合には、待機中であるとして、ステップS23に移行して、操作部101が動作可能な電力V2(V)を伝送して処理を終了する。
ここで、電力V1>電力V2の関係となり、例えば、V1=18V、V2=12Vとすることができる。
これにより、待機中における電力消費を低減して、IH炊飯器1の省エネに資することができる。
なお、後述の第2の実施の形態に係るIH炊飯器901のように、重量センサを備える場合には、重量の変化によって内釜121が炊飯器部100から外されていることを検知するようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
[IH炊飯器の全体構成例]
図15を参照して、第2の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)901の全体構成例について説明する。
図15は、第2の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)901の斜視図である。
なお、第1の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)1と同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
図15に示すように、IH炊飯器901は、炊飯器部910とIH調理器(電磁調理器)920とに上下分離可能となっている。
図15に示すように、炊飯器部910は、蓋部910Aと、炊飯器本体910Bと、底部910Cとを備える。
蓋部910Aの天面には、炊飯器部910を操作するための炊飯器操作部(操作部)101が設けられている。
底部100Cの外縁部は、IH調理器920の天面の外縁部と嵌合する構造になっている。具体的には8.5mm程度、炊飯器部910側の筐体とIH調理器920側の筐体とがオーバーラップするようになっている。IH調理器920の設置面積と炊飯器部910の設置面積がほぼ等しいため、上下の筺体がぴったり一致し、外観がスマートであると共に、省スペース化を図ることができる。上下嵌合の工夫として、IH調理器920の天面の外縁部と底部910Cの外縁部にテーパを付けてもよいし、前後の間違いをなくすため前後でRが異なるようにしてもよい。
炊飯器本体910Bの前面側には、例えば表示切替スイッチ等を備える表示部102が設けられている。
なお、第2の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)901は、後述のように重量センサ233B(図22等参照)が設けられており、重量センサ233Bによる米や水等の計量結果を表示部102に表示することができる。
後出の図16、図22等に示すように、IH調理器920は、炊飯器部910へ電力供給する電力供給コイル212を備え、炊飯器部910は、電力供給コイル212と対向される電力受給コイル113と、炊飯器部910の本体上部にあって開閉可能に設けられる蓋部(内蓋)127と、蓋部127に設置されて被炊飯物を加熱する蓋加熱部(蓋ヒータ)Hと、IH調理器920および炊飯器部910を動作させるための入力を行う操作部101と、IH調理器920および炊飯器部910の動作を制御する制御部(マイクロコンピュータMCU1~MUC4等で構成される)とを備え、操作部101および蓋ヒータHへの電力供給は、電力供給コイル212および電力受給コイル113を介して行うように構成されている。
このように、本実施の形態に係るIH炊飯器(電磁炊飯器)901では、それぞれ一つの電力供給コイル212および電力受給コイル113によって、操作部101および蓋ヒータHへの電力供給を行っているので、電力供給コイルおよび電力受給コイルを複数に亘って設ける構成に比して、マイクロコンピュータMCU1~MUC4への電磁ノイズの影響を低減でき、電磁ノイズに起因する誤作動を抑制することができる。
[炊飯器部の構成例]
図16を参照して炊飯器部910の構成について説明する。
ここで、図16は、炊飯器部910の断面図である。
図16に示すように、後方側に設けた蓋ヒンジ129を支点として蓋部910Aの前方側が上下方向に回動するようになっている。この前方側の蓋部910Aと炊飯器本体910Bとの対向位置に蓋ロック機構124を設けている。
炊飯器本体910Bの上部開口から内釜(炊飯釜)121を収容する。内釜121の周囲に断熱材や保護枠を設け、内釜121の底に温度を計測するサーミスタ131を設けている。内釜121内で発生した蒸気は、アルミ等で構成される内蓋127に設けた蒸気筒128を介して外部に排出される。
炊飯器本体910Bの側壁部には、炊飯器部910を持ち運ぶためのハンドル130が回動自在に設けられている。
炊飯器操作部101の近傍には、炊飯器操作部101を制御する炊飯器操作基板126が配置されている。
なお、本実施の形態では、炊飯器部910の底にサーミスタ131を設けた場合を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、サーミスタ131は、炊飯器部910の側面に設けてもよいし、内蓋127に設けてもよい。
そして、図16に示すように、内蓋127には蓋ヒータHが配置されている。
蓋ヒータHは、第1の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)1のもの(図4等参照)と同様であるので具体的な構成については省略する。
[IH調理器の構成例]
次に、図17および図18を参照してIH調理器920の構成例について説明する。
ここで、図17は、図15に示されるIH炊飯器901が備えるIH調理器920の斜視図、図18は、IH調理器920のトッププレートを取り外した状態の斜視図である。
図17に示すように、IH調理器920は、食卓などの上に置いて使用する卓上型の電磁調理器であり、外観は薄型の略直方体状である。IH調理器本体920Aの上部開口を塞ぐように、結晶化ガラス等で構成されたトッププレート920Bが配置されている。IH調理器920の天面の前方側には、電源ボタンや温度調整ボタンなどを有するIH操作部201(201a~201d)が設けられている。トッププレート920BとIH操作部201とは平面視で互いに重ならないように配置される。IH調理器920の後方側には、マグネットで着脱自在に電源コードのプラグを装着する差し込み口が設けられている。
図18に示すように、IH調理器本体920A内にはIHコイル211が配置されている。また、電力供給コイル212、通信端子213、リードスイッチ214等もIH調理器本体920A内に配置されている。
IHコイル211は、被加熱物を電磁誘導加熱する加熱コイルである。また、電力供給コイルは、炊飯器部910側の電力受給コイルに電磁誘導により電力を供給するためのコイルである。また、通信端子213は、炊飯器部910と無線通信するための端子である。
[重量センサの構成例]
以下、図19~図21を参照して、本実施の形態に係るIH炊飯器901に適用される重量センサ223Bの構成について説明する。
ここで、図19は、IH調理器920の断面図、図20は、IH炊飯器901の断面図、図21は、IH調理器920の底面の斜視図である。
図19~図21に示すように、四隅の台座部223に歪ゲージ223Bを設け、重量測定を行う。
より具体的には、図21に示すように、ベース部材223Aに歪ゲージ223B、重量センサ台座223C、ゴム足223Dを取り付け、重量センサカバー223Eで固定している。
そして、IH調理器920に炊飯器部910が搭載されると、ゴム足223Dが重量センサ台座223C全体を押し上げ、歪ゲージ223Bを変形させる。
これにより、各歪ゲージ223Bの歪に基づいて重量センサ基板224a(図23参照)が重量測定を行うようになっている。
[炊飯器の機能構成]
図22に本実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)901の機能構成を示す。
なお、第1の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)1と殆どの機能構成は共通であるので、共通部分には同一符号を付して重複した説明は割愛する。
本実施の形態に係るIH炊飯器901は、内釜121中の被炊飯物の重量を計量する計量手段(重量センサ)223Bをさらに備えている。
そして、制御部は、重量センサ223Bの計量結果に応じて、蓋ヒータHに供給する電力量を調整するように制御する。
これにより、内釜121中のご飯の量に応じて、効率的に保温することができる。
また、内釜127の温度を検知する温度検知手段(サーミスタ)131を備え、制御部は、重量センサ223Bの計量により内釜121中の被炊飯物が所定量未満で、且つ、サーミスタ131により検知された温度が所定値より高い場合には、蓋ヒータHへの電力供給を停止するように制御できる。
これにより、内釜121中の被炊飯物が無い状態で保温が継続される事態を未然に回避することができる。
[炊飯器の概略回路構成例]
図23は、本実施の形態に係るIH炊飯器901の概略回路構成図である。
なお、第1の実施の形態に係るIH炊飯器(炊飯器)1と殆どの回路構成は共通であるので、共通部分には同一符号を付して重複した説明は割愛する。
異なる点は、IH操作基板224に、重量センサ基板224aを介して重量センサとしての歪ゲージ223Bが接続されている点である。
[炊飯器の制御処理]
図24、図26、図27のフローチャートおよび図25の図表を参照して、本実施の形態に係るIH炊飯器901で実行される主な制御処理の処理手順について説明する。
図24は、第2の実施の形態に係るIH炊飯器901で実行される蓋ヒータ電力制御処理(その4)の処理手順を示すフローチャートである。
この処理では、IH炊飯器901は保温中であることが前提となる。
ステップS80では、重量センサとしての歪ゲージ223Bを用いて、内釜121中のご飯の計量が行われる。
そして、計量結果が150gの場合にはステップS81でa(V)の電力伝送を行って処理を終了する。
また、計量結果が100gの場合にはステップS82でb(V)の電力伝送を行って処理を終了する。
また、計量結果が50gの場合にはステップS83でc(V)の電力伝送を行って処理を終了する。
これにより、内釜121中のご飯の量(重さ)に応じて、適切な電力量で蓋ヒータHを加熱することができ、炊き上がったご飯の保温効率を向上することができる。
なお、蓋ヒータHへの電力制御と共に、IHコイル211への電力(IH火力)を調整するようにしてもよい。
即ち、例えば図25に示すように、残りご飯量が150gの場合には、蓋ヒータHへの伝送電力量をa(V)、IH火力をA(W)、残りご飯量が100gの場合には、蓋ヒータHへの伝送電力量をb(V)、IH火力をB(W)、残りご飯量が50gの場合には、蓋ヒータHへの伝送電力量をc(V)、IH火力をC(W)のように制御するようにできる。
次に、図26のフローチャートを参照して、IH炊飯器901の炊飯器部910側で実行される蓋ヒータ電力制御処理(その5a)の処理手順について説明する。
なお、この処理では、IH炊飯器901は保温中であることが前提となる。
ステップS90では、重量センサとしての歪ゲージ223Bを用いて、内釜121中のご飯の計量が行われる。
そして、計量結果が1g以上である場合には処理を終了し、1g未満である場合にはステップS91に移行する。
なお、ご飯の1粒は約20mgであるので、ご飯1gは約50粒に相当する。
ステップS91では、内釜121の温度が60℃以上であるか否かが判定され、「No」の場合には処理を終了し、「Yes」の場合にはステップS92に移行する。
ステップS92では、待機中状態信号をIH調理器920側に送信し、IH炊飯器901を待機状態に移行させて処理を終了する。
これにより、内釜121の残りご飯が所定量(例えば1g未満)未満で、内釜121の温度が所定温度以上(例えば60℃以上)の場合に、蓋ヒータHへの電力供給を中断することができ、保温スイッチの切り忘れ防止を図ることができる。
なお、蓋ヒータHへの電力供給を中断すると共に、IHコイル211への電力(IH火力)もオフするようにしてもよい。
次に、図27のフローチャートを参照して、IH炊飯器901のIH調理器920側で実行される蓋ヒータ電力制御処理(その5b)の処理手順について説明する。
次に、図27のフローチャートを参照して、IH炊飯器1のIH調理器920側で実行される蓋ヒータ電力制御処理(その3b)の処理手順について説明する。
ステップS100では、炊飯器部910側から状態信号を受信してステップS10に移行する。
ステップS101では、状態信号が待機中か否かが判定され、「No」の場合にはステップS102に移行して、18Vの電力を伝送して処理を終了する。
また、ステップS101で「Yes」の場合には、待機中であるとして、ステップS103に移行して、12Vの電力を伝送して処理を終了する。
これにより、待機中における電力消費を低減して、IH炊飯器901の省エネに資することができる。
なお、重量センサ223Bで検知した重量の変化によって内釜121が炊飯器部100から外されていることを検知するようにしてもよい。
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、これに限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。 例えば、重量センサをIH調理器200側に設けた場合を例示したが、重量センサは炊飯器部100側に設けることも可能である。また重量センサとして歪ゲージ以外に、圧力センサや他タイプのロードセルなどを用いることもできる。