JP2019031855A - 制振構造 - Google Patents

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【課題】小振幅から大振幅の振動を低減できる制振構造を提供する。【解決手段】制振構造は、柱梁架構12と、柱梁架構12における第1構面V1に配置された履歴系ダンパー20と、第1構面V1と柱14Aを挟んで横方向に隣接する第2構面V2に配置された粘性系ダンパー30と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、制振構造に関する。
下記特許文献1には、柱、梁で形成された架構の構面に鉄骨ブレースを配置して耐震強度を高めた壁式SRC構造物が記載されている。
特開平8−27929号公報
上記特許文献1のように架構の構面に配置された鉄骨ブレースは、地震力を受けて塑性変形することで地震エネルギーを吸収し、振動を減衰させるものである。しかし一般的に、鋼材等の塑性変形による履歴減衰により地震エネルギーを吸収するブレースは、大振幅の振動を低減しやすいが、小振幅の振動は低減しにくい。
本発明は、上記事実を考慮して、小振幅から大振幅の振動を低減できる制振構造を提供することを目的とする。
請求項1の制振構造は、柱梁架構と、前記柱梁架構における第1構面に配置された履歴系ダンパーと、前記第1構面と柱を挟んで横方向に隣接する第2構面に配置された粘性系ダンパーと、を有する。
請求項1の制振構造では、履歴系ダンパーと粘性系ダンパーとを隣接した構面に配置している。履歴系ダンパーは大振幅の振動を低減できる。また粘性系ダンパーは小振幅から大振幅までの振動を低減できる。このため請求項1の制振構造は、履歴系ダンパーのみを用いる場合と比較して、小振幅から大振幅までの振動を低減できる。
また、粘性系ダンパーは速度が大きな振動を有効に低減できる。地震による周期的な振動は、変位が最大となる時に速度がゼロになり、速度が最大となる時に変位がゼロになる。変位が最大となる時には、履歴系ダンパーが減衰効果を発揮し、速度が最大となる時には、粘性系ダンパーが減衰効果を発揮する。これにより、履歴系ダンパーと粘性系ダンパーの何れかのダンパーが減衰効果を発揮している状態が維持され、地震エネルギーを安定して吸収することができる。
請求項2の制振構造は、前記第1構面及び前記第2構面と交わる方向に配置され前記第1構面及び前記第2構面と前記柱を挟んで隣接する第3構面に、前記履歴系ダンパー又は前記粘性系ダンパーが配置されている。
請求項2の制振構造では、第1構面及び第2構面と交わる方向の第3構面にも、履歴系ダンパー又は前記粘性系ダンパーが配置されている。このため、第1構面及び第2構面と交わる方向の振動に対しても、減衰効果を発揮できる。
請求項3の制振構造は、前記第1構面と上下方向に隣接する第4構面には、前記第1構面における前記履歴系ダンパーに沿う方向に前記粘性系ダンパーが配置されており、
前記第2構面と上下方向に隣接する第5構面には、前記第2構面における前記粘性系ダンパーに沿う方向に前記履歴系ダンパーが配置されている。
請求項3の制振構造では、履歴系ダンパーの上下に粘性系ダンパーが配置されるため、履歴系ダンパーが上下方向に連続して配置される場合と比較して、地震時に柱梁架構の柱が受ける上向き及び下向きの軸力を小さくできる。このため、柱梁架構の曲げ変形が抑制される。これにより柱梁架構にはせん断変形が卓越し、履歴系ダンパー及び粘性系ダンパーへ軸力が作用しやすくなる。これによりエネルギー吸収効果を高めることができる。
本発明に係る制振構造によると、小振幅から大振幅の振動を低減できる。
本発明の実施形態に係る制振構造が適用された建物の鉛直構面を示す立面図である。 本発明の実施形態に係る制振構造が適用された建物を示す平面図である。 (A)は本発明の実施形態に係る制振構造が適用された建物の地震時における経過時間と変位との関係を示すグラフであり、(B)は経過時間と変形速度との関係を示すグラフであり、(C)は経過時間と履歴系ダンパーによる減衰力との関係及び経過時間と粘性系ダンパーによる減衰力との関係を示すグラフである。 (A)は本発明の実施形態に係る制振構造において上下方向に履歴系ダンパーを連続して配置し粘性系ダンパーを連続して配置した変形例を示す部分立面図であり、(B)は上下方向に履歴系ダンパー及び粘性系ダンパーを一層置きに配置した変形例を示す部分立面図であり、(C)は上下方向に履歴系ダンパー及び粘性系ダンパーを一層置きに交互に配置した変形例を示す部分立面図であり、(D)は履歴系ダンパー及び粘性系ダンパーの下端部を、1つの柱の下端部に接合した変形例を示す部分立面図である。 (A)は本発明の実施形態に係る制振構造が適用された建物の地震時における経過時間と履歴系ダンパー及び粘性系ダンパーによる合成減衰力を示すグラフであり、(B)は(A)に示す時間t1における柱梁架構、履歴系ダンパー及び粘性系ダンパーの応力状態を示す部分立面図である。 (A)は比較例に係る制振構造が適用された建物の地震時における経過時間と履歴系ダンパーによる合成減衰力を示すグラフであり、(B)は(A)に示す時間t1における柱梁架構及び履歴系ダンパーの応力状態を示す部分立面図である。
(建物)
本発明の実施形態に係る制振構造は、図1に示すように、建物10を形成する柱梁架構12の鉛直構面Vに、履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30とが設置されて構成された、地震エネルギー吸収機構である。
建物10は、平面プランにおける中央部分にエレベーター、階段、トイレや給湯室などを集約したセンターコア形式の建物であり、本発明の実施形態に係る制振構造は、図2に示すように建物10の中央部分(センターコアCC)に適用される。なお、図2においては建物10の外形線を外形線Fで示しており、この外形線FとセンターコアCC以外の部分の構成については、発明の構成を明確にするために図示を省略している。
(柱梁架構)
柱梁架構12は、鉄骨製の柱14に鉄骨製の梁16が支持された鉄骨造のラーメン架構とされ、図1に示すX方向(建物10の長手方向)、Z方向(建物10の高さ方向)及び図2に示すY方向(建物10の短手方向)の複数スパンに亘って形成されている。なお、図2においては履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30の配置を明確にするために梁16の図示は省略している。
(履歴系ダンパー)
履歴系ダンパー20は、柱梁架構12における鉛直構面Vにおいて、柱14と梁16の接合部J間に斜めに架け渡された変位依存型制振ダンパーである。「変位依存型制振ダンパー」とは、地震時に建物10の変形が大きくなるほど(柱梁架構12の変形が大きくなるほど)地震エネルギーの吸収量が多くなり、振動の減衰効果が高くなる制振ダンパーのことである。
履歴系ダンパー20は、接合部J間に配置された弾塑性部材であり、例えば鋼材や鉛などで形成され、弾性変形及び塑性変形に伴って地震エネルギーを吸収する。
(粘性系ダンパー)
粘性系ダンパー30は、柱梁架構12における鉛直構面Vにおいて、柱14と梁16の接合部J間に斜めに架け渡された速度依存型制振ダンパーである。「速度依存型制振ダンパー」とは、地震時に建物10の変形速度が大きくなるほど(柱梁架構12の変形速度が大きくなるほど)地震エネルギーの吸収量が多くなり、振動の減衰効果が高くなる制振ダンパーのことである。
粘性系ダンパー30は、接合部J間に配置された粘性部材32であり、例えばオイルが充填されたシリンダー内部をピストンが軸方向に沿って移動することで地震エネルギーを吸収する。
(制振構造)
本発明の実施形態に係る制振構造においては、図1に示すように、柱梁架構12が、履歴系ダンパー20が配置された第1構面V1と、第1構面V1と柱14Aを挟んで隣接し、粘性系ダンパー30が配置された第2構面V2と、を備えている。また、柱14Aを挟んで隣接する履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30は、何れも上端部が柱14Aの上端部と梁16との接合部(仕口部)にピン接合されている。なお、第1構面V1、第2構面V2、後述する第4構面及び第5構面は、鉛直構面Vに含まれる部分的な構面である。
また、図2に示すように、柱梁架構12は、第1構面V1及び第2構面V2と交わる方向(Y方向)に配置され第1構面V1及び第2構面V2と柱14Aを挟んで隣接する第3構面V3を備えている。この第3構面V3には履歴系ダンパー20が配置されている。また、第3構面V3に配置された履歴系ダンパー20の上端部は、柱14Aの上端部と梁16との接合部にピン接合されている。
さらに、図1に示すように、柱梁架構12は、第1構面V1と上下方向に隣接し粘性系ダンパー30が配置された第4構面V4と、第2構面V2と上下方向に隣接し、履歴系ダンパー20が配置された第5構面V5と、を備えている。第4構面V4と第5構面V5とは、柱14Bを挟んで隣接しており、第4構面V4及び第5構面V5にそれぞれ配置された粘性系ダンパー30及び履歴系ダンパー20の上端部は、柱14Bの上端部と梁16との接合部にピン接合されている。
これにより、第4構面V4における粘性系ダンパー30は、第1構面V1における履歴系ダンパー20に沿う方向へ延設され、第5構面V5における履歴系ダンパー20は、第2構面V2における粘性系ダンパー30に沿う方向へ延設される。なお、第1構面V1を備えた階の階高と第4構面V4を備えた階の階高とが異なる場合、上下方向に隣接する各粘性系ダンパー30及び履歴系ダンパー20は「平行」にはならないが、本発明の実施形態は、そのような状態も含むものとする。
第1構面V1と第4構面V4とは、柱梁架構12において上下方向に交互に配置されており、同様に第2構面V2と第5構面V5も、柱梁架構12において上下方向に交互に配置されている。
このように、第1構面V1、第2構面V2、第4構面V4、第5構面V5によって形成され、履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30が横方向(X方向)に隣接し上下方向(Z方向)に交互に配置された構面群12Vは、センターコアCCにおいて複数設けられており、図2に平面視で示すように、各構面群12Vは、建物10の中心線CL1、CL2に対して線対称となる位置に設置されている。
図2に示すように、構面群12V(第1構面V1及び第2構面V2)と直交する方向(Y方向)に形成され柱14Aと隣接する第3構面V3には、履歴系ダンパー20が設置されている。建物10の中心線CL2に対して互いに線対称となる位置に設置された2つの構面群12Vにそれぞれ隣接する2つの第3構面V3は、互いに中心線CL2上の柱14Cを挟んで配置されている。これにより、建物10のセンターコアCCにおいては、2つの構面群12V(第1構面V1及び第2構面V2)と2つの第3構面V3により、平面視で「H型」の制振構造が形成されている。
さらに、センターコアCCにおいては、Y方向に沿って粘性系ダンパー30が配置されている。このため、センターコアCCにおける柱梁架構12では、Y方向においても履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30の双方が配置される。
(作用・効果)
本実施形態に係る制振構造では、図1に示すように、履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30とを、隣接した構面(第1構面V1と第2構面V2、第4構面V4と第5構面V5)に配置している。履歴系ダンパー20は大振幅の振動を低減できる。また粘性系ダンパー30は小振幅から大振幅までの振動を低減できる。このため、例えば履歴系ダンパー20のみを用いる場合と比較して、小振幅から大振幅までの振動を低減できる。また、粘性系ダンパー30のみを用いる場合と比較して、大きい振動を効果的に低減できる。
図3(A)には、地震時における経過時間と柱梁架構12の変位の関係が曲線Mで示されており、図3(B)には、地震時における経過時間と柱梁架構12の変形速度の関係が曲線Nで示されている。曲線M、Nに示されるように、変位の絶対値が最大となる時間t1において速度はゼロとなり、速度の絶対値が最大となる時間t2において変位がゼロとなる。
なお、図3(A)においては、図1に示すX方向右側への変位を正の値とし、X方向左側への変位を負の値として示している。また、図3(B)においては、図1に示すX方向左側へ向かって変形する速度を正の値とし、X方向右側へ変形する速度を負の値として示している。
さらに図3(C)には、柱梁架構12の変位に応じた履歴系ダンパー20による振動減衰力MF(実線部分)と、柱梁架構12の変形速度に応じた粘性系ダンパー30による振動減衰力NF(一点鎖線部分)とが示されている。
振動減衰力MFは、変位の絶対値が最大である時間t1において最大となり、振動減衰力NFは、変形速度の絶対値が最大となる時間t2において最大となる。すなわち、粘性系ダンパーによる振動減衰力NFが発揮されない時間t1においては、履歴系ダンパー20による振動減衰力MFが発揮され、履歴系ダンパー20による減衰力が発揮されない時間t2においては、粘性系ダンパーによる振動減衰力NFが発揮される。
このように、本実施形態に係る制振構造によると、履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30の何れかのダンパーが振動減衰効果を発揮している状態が維持される。このため、地震エネルギーを安定して吸収することができる。
より具体的には、図5(B)に示すように、柱梁架構12へ水平力Pが作用して柱梁架構12が振動した際、図5(A)に示す振動減衰力MFと振動減衰力NFの合成減衰力MNFによって、振動減衰効果が得られる。ここに示すように、合成減衰力MNFは柱梁架構12が揺れている間はゼロにならないため、安定した振動減衰効果が得られる。
これに対して、粘性系ダンパー30を履歴系ダンパー20に置き換えた図6(B)に示す比較例に係る柱梁架構120においては、隣接する構面V10、V20に配置された履歴系ダンパー20がそれぞれ圧縮力C、引張力Tを負担する。これにより図6(A)に示すように、それぞれの履歴系ダンパー20の振動減衰力MFの合成減衰力M2Fによって、振動減衰効果が得られる。
但し、図6(A)に示すように柱梁架構120の変位が最大である時間t1において振動減衰力MFが最大となる一方で、変形速度が最大となる時間t2においては、振動減衰力が作用しない。このため、地震エネルギーを安定して吸収することが難しい。
なお、図5(A)に示す合成減衰力MNFの最大値Faは、図6(A)に示す合成減衰力M2Fの最大値Fbより小さいが、合成減衰力MNFによる吸収エネルギー量(減衰力を経過時間で積分した値)Saは、合成減衰力M2Fによる吸収エネルギー量Sbと略同一である(Sa、Sbは0.25周期あたりの吸収エネルギー量とする)。
また、本実施形態に係る制振構造では、図1、図2に示すように、建物10のセンターコアCCに、履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30が上下方向、横方向に交互に配置された構面群12Vが複数配置されている。このため、センターコアCCの地震エネルギー吸収効果が高められ、センターコアCC以外の部分における耐震要素を簡略化することができる。
また、この構面群12Vは、図2に示すように、建物10の中心線CL1、CL2に対して線対称となる位置に設置されているため、建物10の剛性バランスに偏りが生じ難く、建物10が偏心しにくい。
さらに、建物10のセンターコアCCにおいては、構面群12V(第1構面V1及び第2構面V2)、第3構面V3が、平面視で「H型」に配置されている。このため、X方向の揺れに対しては構面群12Vにおける履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30が振動減衰力を発揮し、Y方向の揺れに対しては第3構面V3における履歴系ダンパー20が振動減衰力を発揮できる。
また、センターコアCCにおいては、Y方向に沿って粘性系ダンパー30も配置されているため、Y方向の揺れに対して粘性系ダンパー30も振動減衰力を発揮することができる。
また、本実施形態に係る制振構造では、履歴系ダンパー20の上下に粘性系ダンパー30が配置される。このため、履歴系ダンパー20が上下方向に連続して配置される場合と比較して、地震時に柱梁架構12の柱14が受ける軸力を小さくできる。
柱14が受ける軸力を小さくできる効果について、一例として、図5(B)に示すように水平力Pによって柱梁架構12が振動する際の、図5(A)に示す時間t1における柱梁架構12、履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30の応力状態を用いて説明する。
時間t1においては、柱梁架構12の変位が最大となっており、履歴系ダンパー20が減衰力を発揮し、粘性系ダンパー30の減衰力は発揮されない。このとき、引張力Tをうける履歴系ダンパー20に接合された柱14D(図5(B)における紙面左側の柱)は、上向きの軸力Nupを受ける。また、圧縮力Cをうける履歴系ダンパー20に接合された柱14E(図5(B)における紙面右側の柱)は、下向きの軸力Ndnを受ける。
柱梁架構12においては、履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30とが上下方向に交互に配置されているため、柱14D、柱14Eに対しては、2スパンごと(1層置き)に軸力Nup、Ndnが作用する。
これに対して、図6(B)に示す比較例においては、粘性系ダンパー30に代えて履歴系ダンパー20が設置されているため、粘性系ダンパー30が上下方向に連続して配置されている。これにより、時間t1においては、柱14D、柱14Eに対して1スパンごとに軸力Nup、Ndnが作用する。すなわち、本実施形態における柱梁架構12においては、比較例における柱梁架構120より、柱14が受ける軸力が小さい。
このため、比較例における柱梁架構120は、本実施形態における柱梁架構12と比較して、曲げ変形が卓越する。換言すると、本実施形態における柱梁架構12は、履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30とが上下方向に交互に配置されているため、曲げ変形し難く、せん断変形が卓越しやすい。これにより、履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30へ軸力が作用しやすくなるため、エネルギー吸収効果を高めることができる。
なお、本実施形態においては、図2に示すように、2つの構面群12Vと2つの第3構面V3とが平面視で「H型」に配置されているものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばY方向に沿って互いに隣接する2つの第3構面V3における一方又は双方の履歴系ダンパー20を省略してもよい。この場合、履歴系ダンパー20に代えて粘性系ダンパー30を設置してもよいし、ダンパーを設置しなくてもよい。柱梁架構12のY方向における各構面にダンパーを設置しなくても、X方向に設置された構面群12Vによって振動減衰力を発揮することができる。
また、本実施形態においては、図2に示すように、複数の構面群12Vが建物10の中心線CL1、CL2に対して線対称となる位置に設置されているものとしたが本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば構面群12Vが複数ある場合において、これらの構面群12Vは、建物10の中心線CL1又は中心線CL2のどちらかのみに対して線対称となる位置に設置してもよいし、中心線CL1、CL2のどちらに対しても線対称でない位置に設置してもよい。さらに、構面群12Vは必ずしも複数備える必要はなく、1箇所のみに設けてもよい。このような実施形態においても、振動減衰力を発揮することができる。
また、構面群12Vは建物10のセンターコアCCに配置されているものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば建物10の外周部(外形線F上)に設置してもよいし、建物10がセンターコア形式以外の構造形式である場合は、任意の場所に設置することができる。このように構面群12Vは、建物10の構造形式、剛性バランスなどを考慮して、設置する箇所数と位置を適宜選択することができる。
またさらに、本実施形態に係る制振構造は、図1に示すように、第1構面V1、第2構面V2、第4構面V4、第5構面V5によって形成され履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30が横方向(X方向)に隣接し上下方向(Z方向)に交互に配置された構面群12Vを備えるものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば図4(A)に示すように、履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30が横方向(X方向)に隣接し、上下方向(Z方向)には履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30がそれぞれ連続するように配置してもよい。
また、図4(B)、(C)に示すように、履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30が横方向(X方向)に隣接し、上下方向(Z方向)には履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30の何れも連続しないように配置してもよい。なお、図4(B)は履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30の上下方向に、一層置きに履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30を設置した例を示し、図4(C)は履歴系ダンパー20及び粘性系ダンパー30の上下方向に、一層置きに粘性系ダンパー30及び履歴系ダンパー20を設置した例を示している。
また、本実施形態においては、柱14A又は柱14Bを挟んで隣接する履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30は、何れも上端部が柱14A、14Bの上端部と梁16との接合部(仕口部)にピン接合されているものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば図4(D)に示すように、柱14A、14Bを挟んで隣接する履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30は、「下端部」を柱14Aの下端部と梁16との接合部にピン接合してもよい。なお、このとき、構面V1、V2、V4、V5に直交する構面(例えば図2に示す構面V3)にダンパーを設置する場合は、下端部を柱14A、14Bの下端部に接合することが好ましい。さらに、履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30の柱梁架構12の仕口部に対する接合形式については必ずしもピン接合である必要はなく、剛接合、半剛接合などを適宜採用することができる。
このように本発明の実施形態は、履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30とが柱14を挟んで横方向(X方向)に隣接した構成を備えていればよく、上下方向における履歴系ダンパー20と粘性系ダンパー30の配置は任意である。
また、本実施形態において柱梁架構12は、鉄骨製の柱14に鉄骨製の梁16が支持されて形成された鉄骨造のラーメン構造とされているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば柱梁架構は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造としてもよい。このように、本発明は様々な実施形態を適用することができる。
12 柱梁架構
14A 柱
20 履歴系ダンパー
30 粘性系ダンパー
V1 第1構面
V2 第2構面
V3 第3構面
V4 第4構面
V5 第5構面

Claims (3)

  1. 柱梁架構と、
    前記柱梁架構における第1構面に配置された履歴系ダンパーと、
    前記第1構面と柱を挟んで横方向に隣接する第2構面に配置された粘性系ダンパーと、
    を有する制振構造。
  2. 前記第1構面及び前記第2構面と交わる方向に配置され前記第1構面及び前記第2構面と前記柱を挟んで隣接する第3構面に、前記履歴系ダンパー又は前記粘性系ダンパーが配置されている、請求項1に記載の制振構造。
  3. 前記第1構面と上下方向に隣接する第4構面には、前記第1構面における前記履歴系ダンパーに沿う方向に前記粘性系ダンパーが配置されており、
    前記第2構面と上下方向に隣接する第5構面には、前記第2構面における前記粘性系ダンパーに沿う方向に前記履歴系ダンパーが配置されている、請求項1又は請求項2に記載の制振構造。
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