JP2019031699A - 貴金属等の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来に比べて製造プロセスの簡素化および低コスト化が可能となる、貴金属等の回収方法を提供する。【解決手段】被回収成分を回収する方法であって、1vol%〜100vol%の酸素濃度および30vol%以下の水蒸気濃度の雰囲気において、CaMnO3またはCaMnO3形成源と、被回収成分含有材とを、700℃以上、1000℃未満の範囲で熱処理することにより、処理体を形成する工程、を有する、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、貴金属等の回収方法に関する。
貴金属および希少金属は、安定性や触媒活性等に優れることから、工業的に幅広く用いられている。また、これらの金属は、希少で高価な資源であり、これらを有効活用することに対して高いニーズがある。
例えば、使用済みの貴金属および希少金属を含有する廃棄材料から、これらに含まれる貴金属および希少金属(以下、「貴金属等」という)を効率良く回収できる技術には、大きなニーズがある。
このような観点から、特許文献1には、ペロブスカイト型複合酸化物中に貴金属等を吸蔵させることにより、貴金属等を含有する部材から貴金属等を回収する技術が提案されている。
国際公開第2009/107647号
前述の特許文献1に記載のプロセスでは、ペロブスカイト型複合酸化物の存在下で、貴金属等を含有する部材を、例えば1300℃〜1600℃の温度で加熱することにより、貴金属等を回収する。
しかしながら、このプロセスでは、処理温度に耐え得る設備などが必要となる。このため、特許文献1に記載のプロセスでは、製造プロセスの簡素化および低コスト化が難しいという問題がある。また、このような理由から、特許文献1に記載のプロセスは、産業スケール規模で適用することは難しいという問題がある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて製造プロセスの簡素化および低コスト化が可能となる、貴金属等の回収方法を提供することを目的とする。
本発明では、被回収成分を回収する方法であって、
(a)1vol%〜100vol%の酸素濃度および30vol%以下の水蒸気濃度の雰囲気において、CaMnOまたはCaMnO形成源と、被回収成分含有材とを、700℃以上、1000℃未満の範囲で熱処理することにより、処理体を形成する工程、
を有する、方法が提供される。
本発明では、従来に比べて製造プロセスの簡素化および低コスト化が可能となる、貴金属等の回収方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による被回収成分を回収する方法のフローを模式的に示した図である。 本発明の一実施形態による被回収成分を回収する別の方法のフローを模式的に示した図である。 例1において得られた黒色粉末のX線回折結果を示した図である。 例1において得られた混合粉末のX線回折結果を示した図である。 例1において得られた処理体のX線回折結果を示した図である。 例2において得られた混合粉末のX線回折結果を示した図である。 例2において得られた処理体のX線回折結果を示した図である。 例3において得られた処理体のX線回折結果を示した図である。 例4において得られた処理体のX線回折結果を示した図である。 例5において得られた混合粉末のX線回折結果を示した図である。 例5において得られた処理体のX線回折結果を示した図である。 例6において得られた混合粉末のX線回折結果を示した図である。 例6において得られた処理体のX線回折結果を示した図である。
(本願に使用される用語について)
まず、本願において使用される各用語の意味について説明する。
「貴金属等」とは、前述のように、廃棄材料などに含まれる、回収の対象となる貴金属および希少金属を意味する。貴金属としては、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、およびロジウム(Rh)が、希少金属としてはレニウム(Re)が該当する。
「被回収成分」とは、廃棄材料などに含まれる、本願に記載のプロセスによる回収の対象となる貴金属等を意味する。
「被回収成分含有材」とは、「被回収成分」を含み、本願に記載のプロセスにおいて処理される部材等を表す。「被回収成分含有材」は、例えば廃棄材料などであっても良い。
「回収剤」とは、「被回収成分含有材」から「被回収成分」を回収するために使用される材料を意味する。
(本発明の一実施形態による被回収成分を回収する方法)
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による被回収成分を回収する方法について説明する。
図1には、本発明の一実施形態による被回収成分を回収する方法(以下、「第1の回収方法」と称する)のフローを模式的に示す。
図1に示すように、第1の回収方法は、
(i)CaMnOを含む回収剤を準備する工程(工程S110)と、
(ii)前記回収剤の存在下、1vol%〜100vol%の酸素濃度および30vol%以下の水蒸気濃度の雰囲気において、被回収成分含有材を700℃以上、1000℃未満の範囲で熱処理することにより、処理体を形成する工程(工程S120)と、
(iii)前記(ii)で得られた処理体から、前記被回収成分含有材に含まれる被回収成分を分離する工程(工程S130)と、
を有する。
ただし、(iii)の工程S130は、必要に応じて実施される工程であり、必ずしも必須の工程ではない。
以下、各工程について説明する。
(工程S110)
まず、回収剤が準備される。
第1の回収方法において、回収剤は、ペロブスカイト型複合酸化物CaMnOを含む。回収剤は、実質的に、CaMnOで構成されても良い。
CaMnOの調製方法は、特に限られず、CaMnOは既存の方法で調製されても良い。例えば、実験化学講座第4版、第16巻、無機化合物、日本化学会編、丸善、1993年には、固相反応法または共沈法等によって、ペロブスカイト型複合酸化物が製造できることが記載されている。
固相反応法では、出発原料として、カルシウム源およびマンガン源が使用される。カルシウム源およびマンガン源は、例えば、酸化物、炭酸塩、または有機化合物等の形態であっても良い。これらのカルシウム源およびマンガン源を所定の割合で混合して、混合物を焼成することにより、CaMnOを得ることができる。
例えば、カルシウム源およびマンガン源がともに酸化物を含む場合、1200℃〜1500℃の範囲における焼成処理により、CaMnOを形成することができる。
なお、焼成処理の前に予備処理を実施しても良い。例えば、カルシウム源および/またはマンガン源が有機化合物など、非酸化物を含む場合には、予め混合物を予備処理して、カルシウム源および/またはマンガン源を分解させ、その後、焼成処理を実施しても良い。
この場合、予備処理の温度は、例えば、1000℃〜1200℃の範囲であっても良い。
焼成雰囲気は、通常、酸素または空気等を含む酸化性雰囲気である。
本工程S110で調製される回収剤の形態は、特に限られない。回収剤は、例えば、粉末状、ディスク状、ペレット状、またはシート状など、各種形態であっても良い。
このうち、粉末状の回収剤は、例えば、前述の処理によって形成されるCaMnO(通常は、塊状)をミル処理することにより、得ることができる。また、ディスク状、ペレット状またはシート状の回収剤は、例えば、CaMnOの粉末を所定の形状に成形することにより、得ることができる。
(工程S120)
次に、前述の工程S110で調製された回収剤の存在下、所定の雰囲気において、被回収成分含有材が熱処理される。
この工程は、熱処理によって、被回収成分含有材から生じる被回収成分の蒸気、または被回収成分の酸化物の蒸気を、被回収剤に接触させるために実施される。この熱処理により、被回収成分含有材に含まれる被回収成分を、回収剤に吸蔵させることができる。
被回収成分含有材に含まれる被回収成分は、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、およびロジウム(Rh)からなる群から選定された少なくとも一つを含む。
被回収成分含有材は、廃棄材料であっても良く、例えば、電子基板、電子部品、排気ガス浄化装置、化学工業用触媒、および電解用電極の少なくとも一部を含んでも良い。
熱処理の雰囲気は、酸素を含む雰囲気である。より具体的には、熱処理は、1vol%〜100vol%の範囲の酸素と、0〜30vol%の範囲の水蒸気とを含む雰囲気(以下、「処理雰囲気」という)下で実施される。
処理雰囲気に含まれる酸素濃度は、5vol%〜90vol%の範囲であることが好ましく、10vol%〜80vol%の範囲であることがより好ましい。また、処理雰囲気に含まれる水蒸気濃度は、1vol%〜20vol%の範囲であることが好ましく、2vol%〜10vol%の範囲であることがより好ましい。
処理雰囲気に含まれる成分としては、酸素、水蒸気以外に、窒素、アルゴンなどの不活性ガスが含まれていても良い。
ここで、第1の回収方法では、熱処理は、700℃以上、1000℃未満の範囲で実施される。熱処理の温度は、700℃以上、800℃未満の範囲であることが好ましい。
前述のように、従来の方法では、ペロブスカイト型複合酸化物の存在下で、貴金属等を含有する部材を、例えば1300℃〜1600℃のような温度で加熱することにより、貴金属等が回収される。
しかしながら、このプロセスでは、高温の処理温度に耐え得る高性能な設備などが必要となる。このため、従来のプロセスでは、製造プロセスの簡素化および低コスト化が難しいという問題がある。また、このような理由から、従来のプロセスは、産業スケール規模で適用することは難しいという問題がある。
これに対して、第1の回収方法では、熱処理は、前述のような温度範囲で実施される。この場合、高温の処理温度に耐え得る高性能な設備が不要となり、従来に比べて製造プロセスの簡素化および低コスト化を図ることが可能となる。
なお、工程S120では、熱処理の際に被回収成分含有材から生じる被回収成分の蒸気、または被回収成分の酸化物の蒸気(以下、「回収蒸気」という)を、回収剤に接触させる必要がある。
このため、被回収成分含有材は、予め回収剤に接触させた状態で、熱処理に供されても良い。以下、この方法を、特に「接触配置」(の形態)と称する。この「接触配置」の形態では、回収剤と回収蒸気との距離を十分に近づけることができる。また、発生した回収蒸気が系外に逸散することを有意に抑制することができる。従って、「接触配置」の形態では、被回収成分の回収剤への吸蔵を、より短時間で効率的に行うことが可能となる。
あるいは、被回収成分含有材は、回収剤と非接触な状態で、熱処理に供されても良い。以下、この方法を、特に「非接触配置」(の形態)と称する。この場合、回収剤と被回収成分含有材の相互に対する配置形態の自由度が増え、各種態様で、両者を配置することが可能となる。
「接触配置」において、回収剤と被回収成分含有材と接触させる方法は、特に限られない。例えば、回収成分含有材を粉末状に調製し、この粉末状の被回収成分含有材と、粉末状の回収剤とを相互に混合させて、混合粉末を形成しても良い。あるいは、その後、混合粉末を成形して、ディスク状、シート状、またはペレット状など、各種形態の成形体を形成しても良い。
これに対して、「非接触配置」の場合、例えば、回収剤と、被回収成分含有材とを、反応容器内に設置された、それぞれ別の反応皿等の上に載置しても良い。
熱処理の時間は、「接触配置」か「非接触配置」かによっても異なるが、例えば、1時間〜30時間の範囲であっても良い。熱処理の時間は、例えば、5時間〜20時間の範囲であることがより好ましい。
また、熱処理を反応容器内で実施する場合、反応容器内における回収蒸気の圧力(分圧)は、例えば、103Pa程度、またはそれ以上であっても良い。
なお、使用される反応容器は、必ずしも完全な密閉状態である必要はない。ただし、発生した回収蒸気が散逸しない程度の密閉性は、保たれていることが好ましい。
以上の工程S120により、回収剤のCaMnO中に被回収成分が吸蔵され、処理体が形成される。通常、被回収成分の少なくとも一部は、酸化物の形態で、CaMnO中に吸蔵される。
ここで、処理体におけるペロブスカイト型複合酸化物の結晶構造の歪みの程度を表すパラメータとして、トレランスファクターtを導入する。一般式ABOで表されるペロブスカイト型複合酸化物のトレランスファクターtは、以下の(1)式で表される:

t=(r+r)/(21/2・(r+r)) (1)式

なお、rは、Aサイトの陽イオン、すなわちAのイオン半径の相加平均であり、rはBサイトの陽イオン、すなわちBのイオン半径の相加平均であり、rは、酸化物イオン(O2−)のイオン半径(1.40Å)である。トレランスファクターの算出方法としては、例えば、イオン半径の大きさについて記載された文献(R.D.Shannon,Acta Cryst.,A32,751(1976))に基づいて、各イオンのイオン半径を用いて上記定義式より算出すれば良い。
トレランスファクターtが1に近いCaMnOは、理想状態に近い結晶構造を有すると言える。第1の回収方法で得られる処理体に含まれるCaMnOのトレランスファクターtは、例えば、0.9〜1.1の範囲である。
(工程S130)
前述の工程S120までの実施により、被回収成分含有材に含まれる被回収成分を、被回収成分含有材から分離することができる。
ただし、この段階では、回収された被回収成分は、回収剤のCaMnO内に吸蔵された状態にある。そこで、さらに、CaMnOから被回収成分を回収するため、以下の工程(以下、「追加回収工程」という)が実施されても良い。
この追加回収工程では、回収剤が酸に浸漬される。これにより、回収剤中に含まれる被回収成分を、CaMnOとともに溶出させることができる。
使用される酸は、特に限られないが、例えば、塩酸、フッ酸、硝酸、硫酸、憐酸、ギ酸、および酢酸からなる群から選択される1または2以上であっても良い。
なお、被回収成分を短時間で効率的に溶出させるためには、貴金属等を吸蔵したCaMnOとの反応性が高い塩酸または硝酸等の強酸を用いることが好ましい。ただし、硝酸性窒素の排水規制(中央環境審議会、平成25年)を考慮すると、硝酸以外の塩酸などが好ましい。
酸の温度は、特に限られないが、例えば30℃〜100℃の範囲である。
酸による処理の時間は、酸処理の温度および被回収成分の量等によっても変化するが、例えば、5分〜6時間の範囲である。
その後、必要に応じて、酸に溶出した被回収成分が所定の方法で回収される。
酸に含まれる被回収成分の回収方法には、例えば、還元剤により被回収成分を還元する方法、亜鉛等の金属を用いたセメンテーション方法、被回収成分をイオン交換樹脂または活性炭に吸着させる方法、被回収成分を溶媒抽出法により回収した後、分離精製を行う方法、ならびに酸の電解等の方法が含まれる。
以上の工程により、被回収成分含有材に含まれる被回収成分を、金属として回収することができる。
(本発明の一実施形態による被回収成分を回収する別の方法)
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態による被回収成分を回収する別の方法について説明する。
図2には、本発明の一実施形態による被回収成分を回収する別の方法(以下、「第2の回収方法」と称する)のフローを模式的に示す。
図2に示すように、第2の回収方法は、
(i)1vol%〜100vol%の酸素濃度および30vol%以下の水蒸気濃度の雰囲気において、CaMnO形成源と、被回収成分含有材とを700℃以上、1000℃未満の範囲で熱処理することにより、処理体を形成する工程(工程S210)と、
(ii)前記(i)で得られた処理体から、前記被回収成分含有材に含まれる被回収成分を分離する工程(工程S220)と、
を有する。
ただし、(ii)の工程S220は、必要に応じて実施される工程であり、必ずしも必須の工程ではない。
以下、各工程について説明する。
(工程S210)
第2の回収方法では、第1の回収方法とは異なり、CaMnOが事前に準備されないと言う特徴を有する。すなわち、CaMnOは、被回収成分含有材から回収蒸気を発生させる熱処理の際に、in−situで形成される。
このため、工程S210では、熱処理によってペロブスカイト型複合酸化物CaMnOが形成されるような、CaMnOの形成源を、被回収成分含有材と共存させることが必要となる。
そのようなCaMnOの形成源としては、例えば、カルシウム化合物と、マンガン化合物との組が挙げられる。例えば、カルシウム化合物は、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、または炭酸カルシウム(CaCO)等であっても良い。一方、マンガン化合物は、二酸化マンガン(MnO)、または三酸化二マンガン(Mn)等であっても良い。
CaMnOの形成源と、被回収成分含有材とが共存する状態において、1vol%〜100vol%の酸素濃度および30vol%以下の水蒸気濃度の雰囲気下で熱処理を実施することにより、ペロブスカイト型複合酸化物CaMnOが形成される。また、被回収成分含有材から、回収蒸気が生じる。この回収蒸気は、形成されたCaMnO内に吸蔵される。これにより、被回収成分含有材から、被回収成分を分離することができる。
第2の回収方法においても、被回収成分含有材に含まれる被回収成分は、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、およびロジウム(Rh)からなる群から選定された少なくとも一つを含む。
特に、被回収成分含有材は、廃棄材料であっても良く、例えば、電子基板、電子部品、排気ガス浄化装置、化学工業用触媒、および電解用電極の少なくとも一部を含んでも良い。
また、処理雰囲気に含まれる酸素濃度は、5vol%〜90vol%の範囲であることが好ましく、10vol%〜80vol%の範囲であることがより好ましい。また、処理雰囲気に含まれる水蒸気濃度は、1vol%〜20vol%の範囲であることが好ましく、2vol%〜10vol%の範囲であることがより好ましい。
また、熱処理温度は、700℃以上、800℃未満の範囲であることが好ましい。
なお、第2の回収方法においても、工程S210において、前述の「接触配置」および「非接触配置」が採用できる。すなわち、「接触配置」を採用した場合、被回収成分含有材は、熱処理前に、CaMnOの形成源と接触した状態で配置される。一方、「非接触配置」を採用した場合、被回収成分含有材は、CaMnOの形成源と非接触な状態で配置される。
ただし、第2の回収方法では、回収蒸気の発生タイミングと、CaMnOの形成タイミングがずれると、CaMnOが回収蒸気と接触する時間が短くなるおそれがある。この場合、回収効率が低下してしまう。従って、より十分な接触時間を確保するため、「接触配置」を採用することがより好ましい。
このような第2の回収方法においても、第1の回収方法と同様の効果、すなわち、高温の処理温度に耐え得る高性能な設備が不要となり、従来に比べて製造プロセスの簡素化および低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
なお、第2の回収方法においても、工程S210後に得られる処理体に含まれるCaMnOのトレランスファクターtは、例えば、0.9〜1.1の範囲である。
(工程S220)
次に、必要な場合、CaMnOから被回収成分を回収するため、「追加回収工程」が実施されても良い。
なお、この工程は、前述の第1の回収方法における工程S130と同様である。従って、ここではこれ以上説明しない。
以上の工程により、被回収成分含有材に含まれる被回収成分を、金属として回収することができる。
(本発明の一実施形態による回収剤)
次に、本発明の一実施形態による回収剤について説明する。
本発明の一実施形態による被回収成分の回収剤(以下、「第1の回収剤」という)は、一般式がCaMnOで表されるペロブスカイト型複合酸化物を含む。
第1の回収剤は、実質的に、一般式がCaMnOで表されるペロブスカイト型複合酸化物で構成されても良い。
この第1の回収剤は、例えば、前述の第1の回収方法を実施する際の回収剤として使用される。すなわち、第1の回収剤を、所定の雰囲気における被回収成分含有材との共存環境下、700℃以上の温度で熱処理することにより、被回収成分含有材に含まれる被回収成分を、第1の回収剤中に吸蔵させることができる。
第1の回収剤を使用して被回収成分の回収を行った場合、高温の処理温度に耐え得る高性能な設備などが不要となり、従来に比べて製造プロセスの簡素化および低コスト化が可能となる。
第1の回収剤の形態は、特に限られず、第1の回収剤は、例えば、粉末状、ディスク状、またはシート状等の形態であっても良い。
なお、前述のように、被回収成分含有材に含まれる被回収成分は、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、およびロジウム(Rh)からなる群から選定された少なくとも一つを含んでも良い。
以下、本発明の実施例について説明する。
(例1)
以下の方法で、CaMnOを用いた金属ルテニウム(Ru)の回収実験を実施した。
(CaMnOの調製)
CaMnOは、以下のように調製した。
まず、カルシウム源としてのCaCO粉末と、マンガン源としてのMnO粉末とを、Ca:Mnの元素比(モル比)が1:1となるように混合した。
この混合物を用いて、空気中、1200℃での焼成、およびその後の粉砕を数回繰り返した。最終的に空気中、1200℃で10時間焼成することにより、黒色粉末を作製した。
この黒色粉末のトレランスファクターtは、1.004である。
図3には、得られた黒色粉末のX線回折結果を示す。
図3に示すように、黒色粉末は、組成式がCaMnOで表される、結晶性の良好な単一相のペロブスカイト型複合酸化物粉末であることが確認された。
(CaMnOへのRu成分の吸蔵)
次に、上記方法で得られたCaMnO粉末とRu粉末とを、重量比が94.5:5.5となるように秤量して、混合粉末を得た。この混合粉末に、エタノールを加えた後、遊星ボールミル(ジルコニア製ポットおよびボール)を用いて、回転数300rpmで、20分間湿式混合した。
図4には、湿式混合後に得られた混合粉末(以下、「混合粉末A」と称する)のX線回折結果を示す。
図4に示すように、混合粉末Aは、CaMnOとRuとを含む混合物であることがわかる。
次に、混合粉末Aをディスク状に成形して成形体(以下、「成形体A」と称する)を得た。
成形体Aを直方体形状のアルミナ容器(容積約30cm)内に入れ、該容器にアルミナ性の蓋をした。
次に、アルミナ容器を反応炉内に入れ、熱処理を実施した。
熱処理温度は、795℃とし、熱処理雰囲気は、酸素9.7vol%+窒素87.3vol%+水蒸気3vol%の濃度の加湿ガス雰囲気とした。また、熱処理時間は、10時間とした。
成形体Aの熱処理により、処理体(以下、「処理体A」と称する)が得られた。
図5には、処理体AのX線回折結果を示す。
リートベルト解析の結果、処理体Aは、Ca(Mn0.7Ru0.3)O相、CaMn相、CaMn相、Ru相、およびCaMnO相を、29.6:0.7:4.6:0.1:65.0質量%の割合で含むことがわかった。
得られた処理体Aのトレランスファクターは、0.990であった。
このように、成形体Aの熱処理により、Ru成分が、CaMnO中に吸蔵された処理体Aが得られることが確認された。
(処理体AからのRu成分の分離)
次に、処理体Aから30mgの粉末を採取した。また、この粉末(「サンプルA」と称する)を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
これにより、サンプルAが酸中に溶解し、濃橙色の塩酸溶液が得られた。ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはRuが含まれていることが確認された。
このように、処理体Aの酸処理により、酸中にRuを溶出できることが確認された。
また、X線回折により、塩酸溶液の残渣としてRuが確認された。これは、回収して混合粉末の作製に使用可能である。
Ruの回収率は、91%であった。なお、Ruの回収率は、塩酸溶液中に含まれるRuの濃度/混合粉末Aに含まれるRuの濃度で表される。
(例2)
以下の方法で、CaMnOを用いた金属イリジウム(Ir)の回収実験を実施した。
(CaMnOの調製)
CaMnOは、例1と同様の方法で調製した。
(CaMnOへのIr成分の吸蔵)
次に、上記方法で得られたCaMnO粉末とIr粉末とを、重量比が90:10となるように秤量して、混合粉末を得た。この混合粉末に、エタノールを加えた後、遊星ボールミル(ジルコニア製ポットおよびボール)を用いて、回転数300rpmで、20分間湿式混合した。
図6には、湿式混合後に得られた混合粉末(以下、「混合粉末B」と称する)のX線回折結果を示す。
図6に示すように、混合粉末Bは、CaMnOとIrとを含む混合物であることがわかる。
次に、混合粉末Bをディスク状に成形して成形体(以下、「成形体B」と称する)を得た。
成形体Bを直方体形状のアルミナ容器(容積約30cm)内に入れ、該容器にアルミナ性の蓋をした。
次に、アルミナ容器を反応炉内に入れ、熱処理を実施した。熱処理の条件は、例1の場合と同様である。
成形体Bの熱処理により、処理体(以下、「処理体B」と称する)が得られた。
図7には、処理体BのX線回折結果を示す。
リートベルト解析の結果、処理体Bは、Ca(Mn0.88Ir0.12)O相、Ir相、IrO相、およびCaMnO相を20.5:3.2:0.4:75.9質量%の割合で含むことがわかった。
得られた処理体Bのトレランスファクターtは、0.998であった。
このように、成形体Bの熱処理により、Ir成分が、CaMnO中に吸蔵された処理体Bが得られることが確認された。
(処理体BからのIr成分の分離)
次に、処理体Bから30mgの粉末を採取した。また、この粉末(「サンプルB」と称する)を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
これにより、サンプルBが酸中に溶解し、淡橙色の塩酸溶液が得られた。ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはIrが含まれていることが確認された。
このように、処理体Bの酸処理により、酸中にIrを溶出できることが確認された。
また、X線回折により、塩酸溶液の残渣としてIr相およびIrO相が確認された。これらは回収して混合粉末の作製に使用可能である。
(例3)
以下の方法で、CaMnOを用いた金属ルテニウム(Ru)の回収実験を実施した。
(CaMnOの調製)
CaMnOは、例1と同様の方法で調製した。
(CaMnOへのRu成分の吸蔵)
前述の例1と同様の方法により、CaMnOにRu成分を吸蔵させた。ただし、この例3では、成形体Aの熱処理温度を、800℃に変更した。
成形体Aの800℃での熱処理により、処理体(以下、「処理体C」と称する)が得られた。
図8には、処理体CのX線回折結果を示す。
リートベルト解析の結果、処理体Cは、Ca(Mn0.82Ru0.18)O相、CaMn相、CaMn相、およびCaMnO相を、31.4:0.9:4.4:63.2質量%の割合で含むことがわかった。
得られた処理体Cのトレランスファクターtは、0.996であった。
このように、成形体Aの熱処理により、Ru成分が、CaMnO中に吸蔵された処理体Cが得られることが確認された。
(処理体CからのRu成分の分離)
次に、処理体Cから30mgの粉末を採取した。また、この粉末(「サンプルC」と称する)を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
これにより、サンプルCが酸中に溶解し、濃橙色の塩酸溶液が得られた。ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはRuが含まれていることが確認された。
このように、処理体Cの酸処理により、酸中にRuを溶出できることが確認された。
Ruの回収率は、99%以上であった。
(例4)
以下の方法で、CaMnOを用いた金属イリジウム(Ir)の回収実験を実施した。
(CaMnOの調製)
CaMnOは、例1と同様の方法で調製した。
(CaMnOへのIr成分の吸蔵)
前述の例2と同様の方法により、CaMnO回収剤にIr成分を吸蔵させた。ただし、この例4では、成形体Bの熱処理温度を、900℃に変更した。
成形体Bの900℃での熱処理により、処理体(以下、「処理体D」と称する)が得られた。
図9には、処理体DのX線回折結果を示す。
リートベルト解析の結果、処理体Dは、Ca(Mn0.875Ir0.125)O相、CaMn相、およびCaMnO相を、57.4:7.0:35.6質量%の割合で含むことがわかった。
得られた処理体Dのトレランスファクターtは、0.998であった。
このように、成形体Bの熱処理により、Ir成分が、CaMnO中に吸蔵された処理体Dが得られることが確認された。
(処理体DからのIr成分の分離)
次に、処理体Dから30mgの粉末を採取した。また、この粉末(「サンプルD」と称する)を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
これにより、サンプルDが酸中に溶解し、淡黄色の塩酸溶液が得られた。ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはIrが含まれていることが確認された。
このように、処理体Dの酸処理により、酸中にIrを溶出できることが確認された。
Irの回収率は、98%であった。なお、Irの回収率は、塩酸溶液中に含まれるIrの濃度/混合粉末Bに含まれるIrの濃度で表される。
(例5)
以下の方法で、CaCOおよびMnOを用いた金属イリジウム(Ir)の回収実験を実施した。
(CaCO、MnO、Ir混合物粉末の作製)
CaCO粉末、MnO粉末、およびIr粉末を、Ca:Mn:Irがモル比で1.0:0.924:0.076となるように秤量して、混合粉末を得た。
この混合粉末に、エタノールを加えた後、遊星ボールミル(ジルコニア製ポットおよびボール)を用いて、回転数300rpmで、20分間湿式混合した。
図10には、湿式混合後に得られた混合粉末(以下、「混合粉末E」と称する)のX線回折結果を示す。
図10に示すように、混合粉末Eは、CaCO、MnO、およびIrから成る混合物であることがわかる。
(Ir成分の吸蔵)
次に、混合粉末Eをディスク状に成形して成形体(以下、「成形体E」と称する)を得た。
成形体Eを直方体形状のアルミナ容器(容積約30cm)内に入れ、該容器にアルミナ性の蓋をした。
次に、アルミナ容器を反応炉内に入れ、熱処理を実施した。
熱処理温度は、795℃とし、熱処理雰囲気は、酸素48.5vol%+窒素48.5vol%+水蒸気3vol%の濃度の加湿ガス雰囲気とした。また、熱処理時間は、20時間とした。
成形体Eの熱処理により、処理体(以下、「処理体E」と称する)が得られた。
図11には、処理体EのX線回折結果を示す。
リートベルト解析の結果、処理体Eは、Ca(Mn0.96Ir0.04)O相、CaMn相、CaMnO相、CaMn相、CaIrO相、およびMn相を、42.2:3.9:19.8:22.8:3.5:7.8質量%の割合で含むことがわかった。
得られた処理体Eのトレランスファクターtは、1.002であった。
このように、成形体Eの熱処理により、Ir成分が、CaMnO中に吸蔵された処理体Eが得られることが確認された。
(処理体EからのRu成分の分離)
次に、処理体Eから30mgの粉末を採取した。また、この粉末(「サンプルE」と称する)を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
これにより、サンプルEが酸中に溶解し、淡橙色の塩酸溶液が得られた。ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはIrが含まれていることが確認された。
このように、処理体Eの酸処理により、酸中にIrを溶出できることが確認された。
また、X線回折により、塩酸溶液の残渣としてCaIrO相が確認された。これは回収して混合粉末の作製に使用可能である。
Irの回収率は、91%であった。
(例6)
以下の方法で、CaCOおよびMnOを用いた金属ルテニウム(Ru)の回収実験を実施した。
(CaCO、MnO、Ru混合物粉末の作製)
CaCO粉末、MnO粉末、およびRu粉末を、Ca:Mn:Ruがモル比で1.0:0.945:0.055となるように秤量して、混合粉末を得た。
この混合粉末に、エタノールを加えた後、遊星ボールミル(ジルコニア製ポットおよびボール)を用いて、回転数300rpmで、20分間湿式混合した。
図12には、湿式混合後に得られた混合粉末(以下、「混合粉末F」と称する)のX線回折結果を示す。
図12に示すように、混合粉末Fは、CaCO、MnO、およびRuから成る混合物であることがわかる。
(Ru成分の吸蔵)
次に、混合粉末Fをディスク状に成形して成形体(以下、「成形体F」と称する)を得た。
成形体Fを直方体形状のアルミナ容器(容積約30cm)内に入れ、該容器にアルミナ性の蓋をした。
次に、アルミナ容器を反応炉内に入れ、熱処理を実施した。
熱処理温度は、795℃とし、熱処理雰囲気は、酸素48.5vol%+窒素48.5vol%+水蒸気3vol%の濃度の加湿ガス雰囲気とした。また、熱処理時間は、20時間とした。
成形体Fの熱処理により、処理体(以下、「処理体F」と称する)が得られた。
図13には、処理体FのX線回折結果を示す。
リートベルト解析の結果、処理体Fは、Ca(Mn0.955Ru0.045)O相、CaMn相、CaMnO相、CaMn相、およびRuO相を、55.0:8.1:15.1:21.7:1.0質量%の割合で含むことがわかった。
得られた処理体Fのトレランスファクターtは、1.002であった。
このように、成形体Fの熱処理により、Ru成分が、CaMnO中に吸蔵された処理体Fが得られることが確認された。
(処理体FからのRu成分の分離)
次に、処理体Fから30mgの粉末を採取した。また、この粉末(「サンプルF」と称する)を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
これにより、サンプルFが酸中に溶解し、濃橙色の塩酸溶液が得られた。ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはRuが含まれていることが確認された。
このように、処理体Fの酸処理により、酸中にRuを溶出できることが確認された。
また、X線回折により、塩酸溶液の残渣としてRuO相が確認された。これは回収して混合粉末の作製に使用可能である。
Ruの回収率は、66%であった。
(例7)
例1と同様の方法により、CaMnOを用いた金属ルテニウム(Ru)の回収実験を試みた。
ただし、この例7では、前述の成形体Aに対して熱処理を実施しなかった。すなわち、成形体Aから30mgの粉末を採取し、この粉末を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはRuが含まれていないことが確認された。
このように、成形体Aを単に酸処理しただけでは、酸中にRuが溶出されないことがわかった。
(例8)
例2と同様の方法により、CaMnOを用いた金属イリジウム(Ir)の回収実験を試みた。
ただし、この例8では、前述の成形体Bに対して熱処理を実施しなかった。すなわち、成形体Bから30mgの粉末を採取し、この粉末を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはIrが含まれていないことが確認された。
このように、成形体Bを単に酸処理しただけでは、酸中にIrが溶出されないことがわかった。
(例9)
例5と同様の方法により、CaCOおよびMnOを用いた金属イリジウム(Ir)の回収実験を試みた。
ただし、この例9では、前述の成形体Eに対して熱処理を実施しなかった。すなわち、成形体Eから30mgの粉末を採取し、この粉末を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはIrが含まれていないことが確認された。
このように、成形体Eを単に酸処理しただけでは、酸中にIrが溶出されないことがわかった。
(例10)
例6と同様の方法により、CaCOおよびMnOを用いた金属ルテニウム(Ru)の回収実験を試みた。
ただし、この例10では、前述の成形体Fに対して熱処理を実施しなかった。すなわち、成形体Fから30mgの粉末を採取し、この粉末を、20mLの濃塩酸(12N)に浸漬した。濃塩酸の温度は、90℃であり、浸漬時間は、20分とした。
ICP発光分光分析の結果、塩酸溶液中にはRuが含まれていないことが確認された。
このように、成形体Fを単に酸処理しただけでは、酸中にRuが溶出されないことがわかった。

Claims (8)

  1. 被回収成分を回収する方法であって、
    (a)1vol%〜100vol%の酸素濃度および30vol%以下の水蒸気濃度の雰囲気において、CaMnOまたはCaMnO形成源と、被回収成分含有材とを、700℃以上、1000℃未満の範囲で熱処理することにより、処理体を形成する工程、
    を有する、方法。
  2. 前記(a)の工程中に、前記CaMnO形成源からCaMnOが形成される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記(a)の工程では、前記CaMnOまたはCaMnO形成源と前記被回収成分含有材とは、相互に接触した状態で配置される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記(a)の工程では、前記CaMnOまたはCaMnO形成源と前記被回収成分含有材とは、相互に非接触な状態で配置される、請求項1または2に記載の方法。
  5. さらに、
    (b)前記(a)で得られた処理体から、前記被回収成分含有材に含まれる被回収成分を分離する工程
    を有する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記(b)の工程は、前記処理体を酸に溶出させる工程を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記被回収成分含有材に含まれる被回収成分は、イリジウム、ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム、およびロジウムからなる群から選定される、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の方法。
  8. 前記熱処理は、700℃以上、800℃の未満の温度で実施される、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の方法。
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