JP2011056488A - アンモニア改質触媒とこれを用いた水素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
貴金属の中で白金を含むNi−La−Pt/SiO2を用いた場合、SV=1200h−1,400℃においてアンモニア転化率は20%程度であり,アンモニアの平衡転化率がほぼ100%に到達する400℃において高活性を示し,このアンモニア改質を小型の燃料電池などでの水素製造反応の場合,改質器の起動と停止が繰り返され,起動した直後から水素を得るために、低温から水素を製造可能な触媒を提供する.
【解決手段】酸化プラセオジウム,酸化ランタン,及び酸化セリウムの1以上の希土類酸化物からなる担体と,前記担体に担持され,ルテニウムを含むアンモニア改質触媒.セシウム,ルビジウム,カリウム,ナトリウムのいずれかのアルカリ金属をさらに含むアンモニア改質触媒。これらの触媒を用いてアンモニアを改質し水素と窒素を製造することによる水素の製造方法.
【選択図】図1

Description

本発明は、アンモニア改質触媒とこれを用いた水素の製造方法に関するものである。
現在,石油資源の枯渇や環境問題を解決するために水素社会の確立が求められている.特に水素を利用した燃料電池はエネルギー効率が高く,有害なNOxやSOxを排出しないため,広く普及することが期待されている.
水素の製造法としては炭化水素の改質が一般的であるが,高い転化率でH2を取り出すためには700℃以上の高温が必要である.またこの方法では副生成物のCOが低温作動の燃料電池の電極を被毒するため,CO変成やCO選択酸化のステップが必要となり,装置の大型化,複雑化を招いている.これに対して,アンモニアを直接分解する事で水素を得るアンモニア改質(2NH3→N2+3H2)では,0.1MPa,で100%の濃度のアンモニアを反応ガスとして用いた場合,理論的には300℃,400℃という低温でアンモニアの転化率がそれぞれ96%,99%に達しCOの生成もない.また,アンモニアは室温でも圧縮により容易に液化するため,圧縮によるエネルギー損失が少なく運搬も容易であるという特徴がある.
特開平05−330802号公報
アンモニア改質触媒についてはこれまでも検討がされているが,公開特許文献:特開平05−330802号公報にあるように,貴金属の中でも高価な白金を含むNi−La−Pt/SiO2を用いた場合でもSV=1200h−1,400℃においてアンモニア転化率は20%程度であり,触媒活性が低いという問題があった.そのため,アンモニアの平衡転化率がほぼ100%に到達する400℃において,高活性を示す触媒の開発が必要であるという課題があった.また,このアンモニア改質を小型の燃料電池などでの水素製造反応として用いた場合,改質器の起動と停止が繰り返されるが,起動した直後から水素を得るには,250〜300℃という低温から水素を製造可能であることも求められるため,低温活性の向上も課題とした.
(1)、酸化プラセオジウム,酸化ランタン,及び酸化セリウムからなる群より選択される1以上の希土類酸化物からなる担体と,前記担体に担持され,ルテニウムとを含むことを特徴とするアンモニア改質触媒.
(2)、セシウム,ルビジウム,カリウムのいずれかのアルカリ金属をさらに含むことを特徴とする前記(1)に記載のアンモニア改質触媒.
(3)、前記(1)又は(2)のいずれかに記載のアンモニア改質触媒を用いて,アンモニアを改質すること特徴とする水素の製造方法.
本発明によれば,低温から水素を発生可能であり,400℃で高活性を示すアンモニア改質触媒とこれを用いたアンモニア改質による水素の製造方法を提供する.
本発明において,アンモニア改質に用いる希土類酸化物を担体としたルテニウム触媒としては,希土類としてランタン,セリウム,プラセオジム,より好ましくはランタン,プラセオジムのうち1種類もしくは2種類以上(複合種)を含む希土類酸化物を担体として,ルテニウムを担持した触媒をいう.希土類としては特にランタンとプラセオジムはその酸化物が強塩基性であり,ルテニウムに電子を供与しアンモニア改質を促進するために好ましい.さらにこれらの触媒に促進剤として,酸化物が強塩基性のアルカリ金属であるセシウム,ルビジウム,カリウム,ナトリウム,より好ましくはセシウム,ルビジウムのうち1種類もしくは2種類以上を加えることでアンモニア改質活性はさらに向上することで本発明は完成した.
本発明は,アンモニアを改質し水素と窒素を製造する触媒と,その触媒によるアンモニア改質による水素の製造方法を提供するものである
本発明の触媒は下記の手順で調製することができる.
(1),担体として用いる希土酸化物の調製法には特に制限がないが,好ましくは沈殿法がよい.例えば25%のアンモニア水に希土類硝酸塩の水溶液を滴下して沈殿を生成させ,濾過分離,乾燥,焼成することで調製できる.この方法によりルテニウムが分散し易い担体を調製できると推察している.用いる希土類はランタン,セリウム,プラセオジム,より好ましくはランタン,プラセオジムである.希土類は少なくとも1種類であり,2種類以上の複合種を用いてもよい.複合種の場合には全ての塩を含む水溶液を調製し,アンモニア水に滴下する.沈殿生成の際,アルカリ金属の残留を防ぐためにアンモニア水を使用することが望ましい.
次に得られた固体を焼成する.この操作により希土類酸化物の結晶が安定化する.結果としてこの焼成により,活性の安定した触媒を得ることができる.焼成雰囲気は,空気,O,He等の流通下(Ar等不活性ガスで希釈されていてもよい),または流通ガス無しの大気雰囲気下が好ましい.また焼成温度は,250℃〜900℃であり,好ましくは300℃〜750℃である.焼成時間は0.5〜20時間の範囲が好ましい.
(2),上記(1)で得られた焼成済希土類酸化物へのルテニウム担持は,含浸法により行う.原料として使用されるルテニウム化合物は塩化ルテニウム,ルテニウムカルボニル,ルテニウムアセチルアセトナート,ルテニウムシアン酸カリウム,ルテニウム酸カリウム,酸化ルテニウム,硝酸ルテニウム等であるが,特にルテニウムカルボニルの使用が好ましい.これらのルテニウム化合物はアセトン,テトラヒドロフラン等の極性有機溶媒,または水に溶解させてセリウム担体に含浸させる.ルテニウム担持量はルテニウム金属としてRuOと希土類酸化物担体の合計の重量に対して0.1〜15wt%,好ましくは1〜10wt%である.担持量0.1wt%以下では触媒活性が低く,担持量15wt%以上では担持量を増やしてもアンモニア合成活性の向上が認められず,高価なルテニウムを多量に使用する意味がない.
(3),ルテニウム化合物に含まれる陰イオンや配位子を真空排気,あるいはHeなどの不活性ガス流通下で加熱処理することにより除去する.加熱処理の温度は50〜600℃,好ましくは150〜550℃で行い,0.5〜20時間である.水素還元処理を加熱処理に引き続いて行ってもよく,または加熱処理のみを行い,水素還元処理を省略しても良い.水素還元温度は100〜700℃,好ましくは300〜600℃,水素還元時間は通常0.5〜20時間である.
(4),上記(3)で調製した希土類酸化物担持ルテニウム触媒に促進剤として,アルカリ金属であるセシウム,ルビジウム,カリウム,ナトリウム,より好ましくはセシウム,ルビジウムのうち1種類もしくは2種類以上を含浸法によりドープしてもよい.アルカリ金属の添加は,アルカリ金属化合物の水溶液に上記(3)で調製した希土類酸化物担持ルテニウム触媒を浸漬し,引き続いて乾燥することによって行われる.この操作は希土類酸化物へのルテニウムの担持に先立って,あるいは担持後に行うことができる.アルカリ金属の添加量はルテニウムに対する原子比として0.01〜20の範囲で選ぶことが出来る.アルカリ金属の添加量が前記の範囲より少ないとアンモニア改質活性の向上が認められず,前記の範囲を越えると逆にアンモニア改質活性が低下する.
(5)アルカリ金属化合物に含まれる陰イオンや配位子をH流通下,Air流通下,Heなどの不活性ガス流通下,Air中,あるいは真空排気で加熱処理することにより除去する.加熱処理の温度は100〜700℃,好ましくは150〜600℃で行い,加熱処理時間は通常0.5〜20時間である.
(6)次に,これらのようにして得た触媒を還元し活性化する.この工程では触媒中のルテニウムを還元し,金属状態にする.水素還元温度は100〜700℃,好ましくは300〜600℃,水素還元時間は通常0.5〜20時間である.
アンモニア改質における反応条件は,平衡上高温が望ましい.例えば0.1MPaで100%のアンモニアを反応ガスとして用いた場合,200℃,250℃,300℃,350℃,400℃でのアンモニアの平衡転化率は74%,90%,96%,98%,99%である.高温になるほど,反応速度は速くなるが,本発明の触媒は高活性であり,200℃〜250℃でも微量の水素の生成が見られる.この様な低温活性は,起動と停止が繰り返される小型燃料電池の改質器などでは,装置の起動後にすぐに水素を取り出し始めることができることにつながり,重要な特性であると言える.また,400℃以下であれば産業排熱を利用することも可能である.そのため,反応温度は100℃〜600℃,好ましくは150℃〜450℃である.また,平衡上低圧が好ましいため,反応圧力は0.2〜50気圧,より好ましくは0.25〜10気圧である.
以下に本発明の実施例を示すが,発明を限定するものではない.
1.希土類酸化物の調製例
500mLビーカー中で,0.1mol相当の希土類酸化物の前駆体(Pr(NO3)3・6H2O(関東化学(株)),La(NO3)3・6H2O(和光純薬工業(株)),あるいはCe(NO3)3・6H2O(和光純薬工業(株)))を計り取り,イオン交換水400mLを加え攪拌し溶解した.また,別の1Lビーカーに25%アンモニア水、200mL入れ,スターラーにて攪拌した.そして,マイクロチューブポンプを用い,上記硝酸塩水溶液を上記25%アンモニア水に約4時間程度で滴下した後,1晩攪拌を続けた.その後,イオン交換水で濾過洗浄を繰り返した.得られた固形物は乾燥機での70℃,12時間以上の乾燥,排気焼成炉での大気中300℃,3時間の仮焼成を経て,冷却後に乳鉢で粉砕した.さらにマッフル炉にて700℃,3時間,大気中で本焼成した.
<得られた希土類酸化物>
このような手順で得られた希土類酸化物は、Pr6O11,La2O3,CeO2である.
2.触媒調製例1〜7
担体には<希土類酸化物の調製例>にしたがって調製したものを用いた.なお,ルテニウムの担持量は1,4.5又は5wt%とした.
所定量のRu(CO)12(和光純薬工業(株))をナスフラスコにいれ200mlのテトラヒドロフランに溶解させた後に,所定量の担体を加え12時間常温でマグネットスターラーで攪拌した.その後,ロータリーエバポレーターを使用し溶媒を加熱除去した.このとき温浴の温度は70℃まで徐々に上げた.得られた固形物はナスフラスコから焼成皿に移して70℃の乾燥機で1日乾燥させた.その後パイレックスガラス製のボートにいれ,横型管状炉でHe流通下で350℃,5時間加熱処理することで,ルテニウム化合物の配位子を除去した.
<得られた触媒の成分構成>
このような手順で得られた触媒は、5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例1>,5wt%Ru/La2O3<触媒調製例2>,5wt%Ru/CeO2<触媒調製例3>,1wt%Ru/La2O3<触媒調製例4>,1wt%Ru/Pr6O11,<触媒調製例5>1wt%Ru/CeO2<触媒調製例6>,4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例7>である。
3.触媒調製例8〜11
以下の手順で5wt%Ru/Pr6O11〈触媒調製例7〉にアルカリ金属酸化物をドープした触媒を調製した.なお,触媒中のアルカリ金属とルテニウムの原子比は1となるようにしした.
300mlビーカーに150mlの蒸留水を入れアルカリ金属酸化物の前駆体(CsNO3(関東化学(株)),RbNO3(和光純薬工業(株)),KNO3(和光純薬工業(株)),あるいはNaNO3(和光純薬工業(株)))を所定量加えてマグネットスターラーで撹拌し,溶解させた.その後,所定量の5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例7>を加えて常温で12時間撹拌した.その後,ホットスターラ−上で加熱攪拌により水分を蒸発させ,ペースト状になったものを70℃の乾燥機で充分に乾燥させ,乳鉢で粉砕混合した.その後パイレックスガラス製のボートにいれ,横型管状炉で100%のH2流通下で500℃,1時間加熱処理することで,アルカリ金属酸化物前駆体中の硝酸根を除去した.
<得られた触媒の成分構成>
このような手順で得られた触媒は、Cs/4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例8>,Rb/4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例9>,K/4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例10>,Na/4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例11>である.
4.触媒調製比較例1〜4
担体として希土類酸化物の代わりに,700℃で大気焼成したAl2O3(触媒学会参照触媒JRC−ALO−3)触媒,MgO(触媒学会参照触媒500A),あるいはSiO2−Al2O3(触媒化成工業(株)IS−28E−2)を使用した以外は<触媒調製例1〜7>と同様の手順で触媒を調製した.
<得られた触媒の成分構成>
これで得られた各触媒は、5wt%Ru/MgO<触媒調製比較例1>,1wt%Ru/MgO<触媒調製比較例2>,1wt%Ru/Al2O3<触媒調製比較例3>,1wt%Ru/SiO2−Al2O3<触媒調製比較例4>である。
5.触媒調製比較例5
アルカリ金属酸化物の前駆体をLiNO3(和光純薬工業(株))とした以外は<触媒調製例8〜11>と同様の手順で触媒を調製した。
<得られた触媒の成分構成>
この調整で得られた触媒は、Li/4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製比較例3>である。
6.反応例1〜11
触媒としては,<触媒調製例1〜11>を用い,これらを乳鉢で充分に粉砕,混合し,ディスク成型にした後,再度,粉砕して250〜500μmに整粒し,反応に用いた.
以下の反応は、常圧固定床流通式反応装置を用いて行った.内径7mmの石英製反応管に触媒調製例触媒0.2gを充填し,H(10mL/分,0.1MPa)を流通しながら500℃まで昇温(10℃/分)し,その温度で1時間保持することにより還元処理を行った.次に流通ガスをAr(10mL/分)に切り替え,触媒層を200℃まで降温した.そして,この温度で100%のアンモニア(10mL/分)を流通し活性測定を開始し,その後,反応温度を50℃ずつ上昇し500℃まで測定を行った.なお,以上の条件により空間速度(GHSV)は3000mL/時間・gであった.ガス分析にはTCD検出器付きガスクロマトグラフ(GC−8A(島津製作所),Active carbon)を用いた.体積が既知のサンプリングループを介しサンプリングを行い,反応管入り口と反応管出口でH2とN2の物質量を測定し,アンモニアの物質量は計算により求めた.なお,アンモニア転化率の計算にはN原子を内部標準として用いた.計算式は数1に示す次式の通りである.
Figure 2011056488
結果を図1 図2に示す.
7.反応比較例1〜5
触媒としては,<触媒調製比較例1〜5>を用い,<反応例>と同様の手順で活性を測定した.結果を図1,図2に示す.
まず,図1の1wt%のルテニウムを担持した触媒についてみると400℃において,1wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例5>,1wt%Ru/La2O3<触媒調製例4>,1wt%Ru/CeO2<触媒調製例6>ではアンモニア転化率が50%を超え有望な触媒であることが分かった.一方,1wt%Ru/MgO<触媒調製比較例2>,1wt%Ru/Al2O3<触媒調製比較例3>,1wt%Ru/SiO2−Al2O3<触媒調製比較例4>ではアンモニア転化率が50%以下にとどまった.
これらの結果を受けて,いくつかの触媒についてルテニウムの担持量を1wt%から5wt%に増加させた(図1).その結果,5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例1>,5wt%Ru/La2O3<触媒調製例2>,5wt%Ru/CeO2<触媒調製例3>では,顕著な活性向上が見られ,400℃でのアンモニア転化率は85%以上となり,特に前者2つの触媒ではアンモニア転化率は95%以上となり,5wt%Ru/MgO<触媒調製比較例1>よりも遥かに高活性であった.また,5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例1>,5wt%Ru/La2O3<触媒調製例2>,5wt%Ru/CeO2<触媒調製例3>では300℃でのアンモニア転化率が10%を超え,低温から水素を生成可能であることが明らかとなった.
これらの結果から触媒担体としては希土類酸化物が適していること,特に強塩基性に分類される((無機化学 3版,サンダーソン,廣川書店,昭和50.))Pr6O11とLa2O3が優れていること,およびこれらの触媒ではルテニウム担持量を増加することで触媒活性が大きく向上することが分かった.5wt%ものRuを担持したにも関わらず,室温でのCO化学吸着量測定から決定した,Ruの分散度は5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例1>,5wt%Ru/La2O3<触媒調製例2>でそれぞれ38.7%,32.6%と非常に高く,このことも触媒活性が向上したことの要因の一つであろう.なお,CO2−TPDにより塩基量を測定したところ,5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例1>,5wt%Ru/La2O3<触媒調製例2>では,それぞれ439.4μmol/g,325.3μmol/gであり塩基点量が非常に多いこと,またCO2の脱離が500℃以上で見られ,強い塩基点が存在することが明らかとなった.また,これら2つの触媒では室温でのCOの化学吸着量測定の結果と活性測定の結果に基づく300℃でのTOF値が約0.029s−1と非常に高く,表面ルテニウム1原子当たりの活性も高かった.これらの実験結果も塩基性が非常に強い担体ではRuの活性が大きく向上することを示唆している.そこで,最も高活性であった5wt%Ru/Pr6O11に強塩基性のアルカリ金属酸化物をドープし,その影響について検討した結果を図2に示す.
アルカリ金属酸化物の塩基性の強さの序列はCs2O>Rb2O>K2O>Na2O>Li2O(無機化学 3版,サンダーソン,廣川書店,昭和50.)である.酸化物の塩基性が強いセシウム,ルビジウム,カリウム,ナトリウムをドープした触媒<触媒調製例8〜11>では,ドープ無し触媒<触媒調製例7>よりも活性が向上し,予想通りアルカリ金属酸化物の塩基性が強いほど,高活性であるという傾向がえられた.一方これらアルカリ金属酸化物で最も塩基性の弱いリチウムをドープした触媒<触媒調製比較例5>ではドープ無し触媒<触媒調製例7>よりも活性が低下していた.アルカリ金属酸化物はその一部がルテニウムを覆うと考えられる.リチウムドープの場合には,塩基性が弱いために反応を促進する効果よりも,活性サイトであるルテニウム表面を覆う負の効果の方が大きかったと考えられる.400℃での活性について見ると,最も高活性であったセシウムドープ触媒ではアンモニア転化率が99%と平衡に達していた.また,300℃のアンモニア転化率についても,セシウム,ルビジウム,カリウムドープ触媒では20%以上であり,セシウム,ルビジウムドープ触媒では250℃という低温でも約10%ということでこのような低温でも水素を生成できることが分かった.なお,セシウムをドープするとルテニウムの分散度がドープなしと比較して30%まで低下したが,300℃でのTOFは約10倍まで向上していた.これらのことからドープしたセシウムの強塩基性酸化物がルテニウム粒子上を覆うが,その電子的な作用,つまりルテニウムへの電子供与により,ルテニウムの活性が大幅に向上したと推察した.
8.反応例12,13
触媒としては,<触媒調製例1,8>を用い,これらを乳鉢で充分に粉砕,混合し,ディスク成型にした後,再度,粉砕して250〜500μmに整粒し,反応に用いた.
以下の反応は、常圧固定床流通式反応装置を用いて行った.内径7mmの石英製反応管に触媒調製例触媒0.2gを充填し,H(10mL/分,0.1MPa)を流通しながら500℃まで昇温(10℃/分)し,その温度で1時間保持することにより活性化処理を行った.次に流通ガスをAr(10mL/分)に切り替え,触媒層を5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例1>では400℃,Cs/4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例8>では350℃まで降温した.そして,この温度で100%のアンモニア(10mL/分)を流通し120時間の活性測定を行った.なお,以上の条件により空間速度(GHSV)は3000mL/時間・gであった.ガス分析,アンモニア転化率の計算は<触媒調製例1〜11>の場合と同様にした.
結果を図3に示す.
5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例1>,Cs/4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例8>について120時間の活性測定を行った結果を図3に示す.反応温度は5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例1>では400℃,Cs/4.5wt%Ru/Pr6O11<触媒調製例8>では350℃としたが,いずれの触媒についても活性の経時的な低下は見られず,非常に安定した活性を有することが明らかとなった.
250℃という低温から水素が発生でき,400℃で高いアンモニア転化率を得ることができるため,水素社会の構築に資するもので,今後の利用可能性は多大なものがある.
担持Ru触媒の担体がアンモニア転化率に及ぼす影響を温度との関係で示すグラフである。 アルカリ金属ドープがアンモニア転化率に及ぼす影響を温度との関係で示すグラフである。 所定触媒の耐久試験をアンモニア転化率と時間との関係で示すグラフである。

Claims (3)

  1. 酸化プラセオジウム,酸化ランタン,及び酸化セリウムからなる群より選択される1以上の希土類酸化物からなる担体と,前記担体に担持され,ルテニウムとを含むことを特徴とするアンモニア改質触媒.
  2. セシウム,ルビジウム,カリウム,ナトリウムのいずれかのアルカリ金属をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアンモニア改質触媒.
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載のアンモニア改質触媒を用いて,アンモニアを改質すること特徴とする水素の製造方法.
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