JP2021142465A - アンモニア脱水素反応触媒、アンモニア脱水素反応触媒の製造方法、及び、アンモニア脱水素反応触媒を用いた水素の製造方法 - Google Patents

アンモニア脱水素反応触媒、アンモニア脱水素反応触媒の製造方法、及び、アンモニア脱水素反応触媒を用いた水素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】300〜700℃程度の比較的低い温度下でも高活性を示すアンモニア脱水素反応触媒、当該アンモニア脱水素反応触媒の製造方法、及び、当該アンモニア脱水素反応触媒を用いた水素の製造方法を提供する。【課題手段】セリアを主成分とする担体と、前記担体に担持されたルテニウムと、を含み、担体表面のCe3+/Ce4+比が0.5〜1.2であることを特徴とするアンモニア脱水素反応触媒。【選択図】図2

Description

本発明は、アンモニアを含むガスから水素を製造するためのアンモニア脱水素反応触媒、アンモニア脱水素反応触媒の製造方法、及び、アンモニア脱水素反応触媒を用いた水素の製造方法に関する。
昨今の地球温暖化に鑑み、水素を燃料源に利用することに着眼した水素社会へ向けた取り組みが本格化している。水素を製造する方法としては、化石資源、例えば、天然ガスや石油、石炭を改質する方法のほかに、水の電気分解などの方法も検討されている。しかし、いずれの方法も、炭化水素を原料とすることのほかに熱や電力が必要となるため、多量のCOが発生してしまうという問題がある。
こうした中、種々の水素含有化合物からの脱水素による水素製造に向けた取り組みが進められており、特に、単位体積当たり、単位質量当たりの水素含有量が大きいアンモニアに注目が集まっている。アンモニアは、水素原子、及び、窒素原子のみから構成されているため、分解反応後のガス中にCOが全く含まれないことから、未利用な排熱を用いてアンモニアを高効率で分解することができれば、CO発生がゼロの環境負荷のない極めて理想的な水素製造方法になり得る。
これまでに取り組まれているアンモニアからの脱水素反応に関しては、現在、一部の製鉄所の工場において、900℃前後の高温にした炉内で触媒を利用せず熱分解により水素を製造し、冷延コイルの焼鈍用に利用するなどされているが、900℃という高温を必要とするために昇温のための電力コストが高いことが課題である。
一方、より低温化が期待できるアンモニアからの触媒を用いた脱水素反応については、アンモニア合成反応と表裏一体であるために古くから研究がなされ、触媒成分(すなわち、活性金属及び触媒担体)も多岐に亘って検討されている。活性金属としては、例えば、ルテニウム、ニッケル、鉄、コバルトが知られており、触媒担体として、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、セリアなどが知られている。(特許文献1〜4)
ここで言うアンモニアを含むガスは、基礎化学品や肥料の原料用としての合成した高純度アンモニアの他、工業排出ガス(例えば、コークス炉ガス、尿素製造プラント、半導体関連の処理工程、ニトリル製造プラントなど)から分離回収されたアンモニアの精製ガスが挙げられる。
分離回収されたアンモニアの例として、コークス炉ガスの精製過程で分離・回収されたアンモニアがある。コークス炉から発生するコークス炉ガス(COG)中には、原料の石炭に含有される窒素原子由来のアンモニアが8〜10g/Nm程度含有されているが、アンモニアは配管を腐食すると共に、COGを燃料として燃焼する際にNOxの発生原因となることから、事前に回収されている。COGからアンモニアを除去する方法としては、一般にCOGを希硫酸で洗浄し、硫安(硫酸アンモニウム)を回収する硫安回収法が採用されている。ただ、本方法では、硫安の需要が市況に大きく左右される傾向がある。そこで、他のアンモニア処理方法として、例えば、高純度の液体アンモニアを製造するフォッサム法や、アンモニアを分離後に直接燃焼するコッパース法、触媒の存在下で燃焼するカールスチル法等も採用されている。回収されたアンモニアは、硫安などの肥料として利用されている工場もあったが、アンモニアを燃焼させて、脱硝処理後に大気放散する等、利用が不十分な工場もあった。
これら分離回収されたアンモニアも有用な水素源となる。
特開2010−094668号公報 特開2011−056488号公報 特開2016−159209号公報 特開2016−198720号公報 特開2011−078888号公報
アンモニアからの脱水素反応は触媒を用いて700℃程度以下の比較的低い温度の下で実施することで経済的に実施できる。また、アンモニアからの脱水素反応は製鉄所内の未活用な300〜700℃の中程度の温度の排熱を利用することでさらに経済的に実施できる。そのため、アンモニアからの脱水素反応には、300〜700℃の温度領域において高いアンモニア分解率(転化率)が得られることが望まれる。特許文献1〜3に開示されたアンモニア脱水素反応触媒のように従来のいくつかのアンモニア脱水素反応触媒においても、500℃など比較的低温領域において高いアンモニア分解率が得られているとの報告がなされている。しかし、300℃以上500℃未満のさらに低温の領域では検討例が少なく、かつ、300℃以上500℃未満ではそもそもアンモニア脱水素反応触媒の活性が低い。
また、これらの触媒には、アンモニアを基準とした接触時間が長い条件下でアンモニア分解率を測定している事例があり、必ずしも触媒性能が高いわけではない。つまり、従来の触媒を使用した脱水素反応では、高いアンモニア分解率を得るために接触時間を長くせざるを得ない場合があった。
中には特許文献4に記載された触媒のように高活性を示す触媒もあるが、このような触媒には、還元工程にてHClを含んだ廃液が大量に出るという別の問題があった。
特許文献5に記載された触媒も高活性を示すが、触媒成分に追加で助触媒としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属を添加することが必須である。助触媒は用いても構わないが、経済性を考慮した際には無い方が望ましい。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、製鉄所内の未活用な中程度の温度排熱を利用できるように、300〜700℃程度の温度でも高いアンモニア転化率でアンモニア脱水素反応を生じさせることができるアンモニア脱水素反応触媒、アンモニア脱水素反応触媒の製造方法、及び、アンモニア脱水素反応触媒を用いた水素製造方法を提供することを課題とする。
発明者等が鋭意検討した結果、アンモニア脱水素反応触媒において、ルテニウム化合物を担持する担体に有機酸法で製造したセリア系担体を用いることで、比較的低い温度下でも優れた活性を示す触媒が得られることを見出した。
このようにして、反応温度が低くても高活性を示すアンモニア脱水素反応触媒が得られることを見出して、本発明に至った。
本発明の要旨は、以下の通りである。
<1>セリアを主成分とする担体と、
前記担体に担持されたルテニウムと、
を含み、前記担体表面のCe3+/Ce4+比が0.50〜1.20であることを特徴とするアンモニア脱水素反応触媒。
<2> 前記<1>に記載のアンモニア脱水素反応触媒の製造方法であって、
触媒の活性金属の前駆体としてルテニウム化合物を、有機酸法で製造したセリアを主成分とする担体に担持させる含浸担持工程と、
前記含浸担持工程後の前記触媒担体を焼成して触媒を製造する焼成工程と、
を含むアンモニア脱水素反応触媒の製造方法。
<3> 前記焼成工程後の前記触媒を、さらに水素を含むガスで還元処理する還元処理工程を含む、前記<2>に記載のアンモニア脱水素反応触媒の製造方法。
<4> 前記<1>に記載のアンモニア脱水素反応触媒、または前記<2>に記載の製造方法にて製造したアンモニア脱水素反応触媒を、水素を含むガスで還元処理をした後に、アンモニアを含むガスに接触させて水素を製造する水素の製造方法。
<5> 前記<3>に記載の製造方法にて製造したアンモニア脱水素反応触媒を、アンモニアを含むガスに接触させて水素を製造する水素の製造方法。
<6>前記アンモニアを含むガスが、コークス炉ガスの精製過程で分離された後に回収されたガスであることを特徴とする、前記<4>又は前記<5>に記載の水素の製造方法。
なお、本発明において触媒は、触媒担体に活性金属が担持されたものと定義する。必要に応じて助触媒を含んでいても構わない。助触媒は活性の更なる向上を目的に添加する第三成分であり、本発明においては必ずしも必要な成分ではない。
本発明によれば、300〜700℃程度の温度でも高いアンモニア転化率でアンモニア脱水素反応を生じさせることができるアンモニア脱水素反応触媒、アンモニア脱水素反応触媒の製造方法、及び、アンモニア脱水素反応触媒を用いた水素製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るアンモニア脱水素反応触媒の製造フローを示した図である。 本発明の実施形態に係る水素製造設備を示した模式図である。 XPS測定後にピーク分離を行い、Ce3+由来のピークとCe4+由来のピークに分けた結果の一例を示した図である。
以下、本発明の実施形態について例を挙げて説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
<本実施形態の概要>
本実施形態に係るアンモニア脱水素反応触媒の製造方法は、活性金属であるルテニウムの前駆体としてルテニウム化合物が溶解した混合溶液に、有機酸法で製造したセリアを主成分とする触媒担体を含浸し、前記触媒担体に前記金属化合物を担持させる含浸担持工程と、前記含浸担持工程後の前記触媒担体を焼成する焼成工程と、を含む。
本実施形態に係るアンモニア脱水素反応触媒には助触媒としてアルカリ金属、アルカリ土類金属を添加することで更に高い活性が得られるが、添加しなくても十分な活性を得られるため、必ずしも添加する必要はない。アンモニア脱水素反応触媒に助触媒を添加する場合は、助触媒元素には、例えば、カリウム、ナトリウム、セシウムなどが好適に用いられる。
本実施形態によれば、アンモニアを含むガス(反応ガス)の温度が低くても高活性を示すアンモニア脱水素反応触媒が得られる。
尚、本触媒は低温のみならず、700℃超の高温下でも高活性を示す。
前記アンモニアを含むガス(以下、「アンモニア含有ガス」とも称する)には、コークス炉ガスの精製過程で分離された後に回収されたアンモニア含有ガスも含まれる。アンモニアの分離回収は、硫安回収法、フォッサム法、コッパース法、カールスチル法等によって可能である。
アンモニア脱水素反応は、2NH→N+3Hで進行する、アンモニアを水素と窒素に分解する吸熱反応であり、CO発生がゼロの環境負荷のない極めて理想的な水素製造方法である。
<アンモニア脱水素反応触媒の製造方法>
本実施形態の製造方法では、アンモニア含有ガスから水素を製造するための触媒(アンモニア脱水素反応触媒)が製造される。この本実施形態により得られるアンモニア脱水素反応触媒は、活性成分として、ルテニウムを含み、かつ、この活性成分を担持する触媒担体として、有機酸法で製造したセリアを用いるものである。
以下に、本実施形態に係る触媒の製造方法の一例を示す。図1はその製造フローを示したものである。
・触媒担体
本実施形態の製造方法に用いる触媒担体としては、有機酸法で製造したセリアを主成分とした触媒担体(以下、「セリア系担体」とも言う)を使用する。ここで言う主成分は、酸化物換算で50質量%以上を占める成分を指し、主成分以外の成分は本実施形態の効果を阻害しない元素であることが好ましい。
有機酸法では、まず、セリウム前駆体試薬の溶液に有機酸を溶解し、金属錯体を形成させる。これにより、金属元素が均一に含まれるゲルが合成されるので、得られたゲルを焼成して燃焼分解する。これにより、セリア系担体の主成分となるセリアが均一に混合されたセリア系担体を合成することができる。有機酸には、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン等を用いることが可能である。これらのうち、特に、リンゴ酸、クエン酸を用いることが好ましい。リンゴ酸、クエン酸は、他の有機酸に比べて安価なため、リンゴ酸、クエン酸を使用することで、低コストでセリア系担体を合成することが可能となる。
また、有機酸法で製造したセリア系担体では、セリア系担体の表面における3価セリウムの存在割合が多くなる。つまり、後述するCe3+/Ce4+比を0.50〜1.20とすることができる。アンモニア脱水素反応では、活性金属がカチオニックな状態にあると金属−窒素原子間の結合エネルギーが増大し、生成物であるNの脱離が律速になる。ここで、塩基性が高い酸化物を担体として用いることで、活性金属であるルテニウム粒子が金属に近い電子リッチな状態に保たれ、生成物であるNへの電子移動により脱離が促進されると推測される。したがって、セリア系担体の表面においてCe4+に対してCe3+の存在割合が多いほど、Nの脱離が促進されると推測される。本実施形態における反応雰囲気(還元)下では、セリア系担体の表面で酸素欠陥を生じやすく、Ce3+が一定濃度存在して安定になると考えられる。ここで、有機酸法で調製したセリア系担体ではCe3+の割合が元々多い。このため、ルテニウムからの電子をセリア系担体に供給してCe3+を増やす必要がないことから、ルテニウムが電子リッチな状態を保ちやすくなる。このため、生成物であるNの脱離が促進されて高い分解活性を示すと推察される。
有機酸法に用いるセリウム前駆体試薬としては、特に制限されるものではないが、例えば、硝酸化物、塩化物、酢酸化物、炭酸化物、硫化物、水酸化物などを好適に用いることができる。
ここで、有機酸と金属イオンとのモル比は、任意の値を選ぶことができるが、本実施形態においては、有機酸と金属イオンとのモル比を、有機酸:金属イオン=0.5〜4:1とすると、期待通りの触媒が得られやすく、特に、有機酸:金属イオン=1〜3:1とすることが好ましい。つまり、セリア系担体の表面におけるCe3+/Ce4+比を容易に0.50〜1.20とすることができる。有機酸の量が少なすぎる場合には、金属錯体の形成が不十分となり、セリア系担体中のセリウムが不均一となりやすい。また、有機酸の量が多すぎる場合には、コストが増大するほか、焼成時の有機酸分解反応が過剰に激しくなり、セリア系担体が飛散するなどの問題が生じる可能性がある。
ゲル焼成時の雰囲気は、有機酸を分解するのに十分な量の酸素を含むガスの雰囲気とすればよく、空気を用いて簡便に実施可能である。この際、焼成雰囲気の換気が不十分であると、有機酸の燃焼分解が十分に進行せず、一部に炭化セリウムなどの炭化物が生成してしまう可能性がある。したがって、ゲル焼成時には換気を十分に行うことが好ましい。焼成時の最高温度は、実際に触媒反応(すなわちアンモニア脱水素反応)を行う反応温度以上の温度に設定することが好ましい。ただし、急速に昇温を行うと、有機酸の分解反応が急速に進行し、セリア系担体が飛散する原因となりうる。このため、昇温速度は具体的には5℃/min以下であることが好ましく、さらに好ましくは3℃/min以下、さらに好ましくは1℃/min以下である。また、焼成温度は400〜750℃が好ましく、さらに好ましくは500〜700℃、さらに好ましくは550〜600℃である。焼成時間は3時間以上が好ましい。なお、焼成処理の焼成温度等を調整することによりCe3+/Ce4+比を調整することができる。
−含浸担持工程−
含浸担持工程では、触媒の活性金属の前駆体としてルテニウム化合物が溶解した溶液に、有機酸法で製造したセリア系担体を含浸し、セリア系担体に金属化合物を担持させる。
・前駆体(金属化合物)
含浸担持工程では、セリア系担体に活性金属であるルテニウムの前駆体としてルテニウム化合物を担持させる。この際に使用するルテニウム化合物(前駆体)としては、担持後に焼成処理及び還元処理する際に、カウンターイオン(例えば硝酸ルテニウム塩であればRu(NO中の(NO)が揮散するルテニウム化合物、例えば硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、アセチルアセトナート、アンモニウム塩などが使用可能である。ただし、含侵担持工程を行う際に水溶液を用いることができる水溶性のルテニウム化合物を用いることが、製造コストの低減や安全な製造作業環境の確保のためには好ましい。また、焼成時に酸化物状態または金属状態に容易に変化するルテニウム化合物が好ましい。具体的には、硝酸塩や塩化物が好ましい。
助触媒元素を添加する場合は、ルテニウム化合物と併せて助触媒元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、アセチルアセトナート、アンモニウム塩などを用意する。
・前駆体溶液
含浸担持工程にて用いる前駆体溶液は、ルテニウム化合物が溶解した溶液である。また、必要に応じて助触媒元素が溶解した助触媒溶液も用意する。
前駆体溶液に用いる溶媒としては、例えば水(水溶液)、エタノール、メタノール、エチレングリコール、プロパノール等が挙げられ、中でも水が好ましい。
また、前駆体溶液における固形分濃度は、特に限定されるものではないが、例えば1〜5質量%の範囲に調整される。
・含浸方法
前駆体溶液の含侵方法は、通常の含浸法、例えばインシピエントウェットネス(Incipient Wetness)法、イオン交換法等の公知の方法であればよい。なお、助触媒元素をセリア系担体に担持させる場合には、これらの含侵方法により前駆体溶液及び助触媒溶液をセリア系担体に含侵させればよい。
・担持率
アンモニア脱水素反応触媒におけるルテニウム金属の担持率は、少量でも活性は出るものの、好ましくは0.1〜50質量%である。0.1質量%以上であることで活性を十分発現し得る。また、50質量%以下であることで分散度の低下が抑制され、担持したルテニウムの利用効率が高められ、経済性が上げられる。より好ましくは0.5〜20質量%である。製造工程においては、上記適正な担持率になるように、混合溶液中に含まれるルテニウム化合物(硝酸ルテニウムなど)の量を調整することが好ましい。
ここで、担持率は、アンモニア脱水素反応触媒の質量(より厳密には、質量%の測定用の試料の質量)を分母とし、分子となるルテニウム金属元素は金属換算した質量として求める。また、担持金属の含有量を上記範囲になるように調製するためには、各出発原料を予め計算の上、準備しておくことが好ましい。尚、一度触媒が狙いの成分組成となれば、それ以降はその時の配合で調製すればよい。
なお、担持率を調整することによりCe3+/Ce4+比を調整することができる。
−乾燥工程−
含浸担持工程後のセリア系担体に対して焼成工程を行う前に、乾燥処理を施してもよい。
前記乾燥処理は80〜120℃で行うことが好ましい。さらに好ましくは、90〜110℃である。乾燥の時間としては、例えば1〜10時間が好ましい。乾燥は、例えば空気雰囲気下で行い乾燥機等の十分な温度に達することができる装置であればよい。
−焼成工程−
本実施形態では、含浸担持工程後のセリア系担体に対して焼成処理(焼成工程)を行う。
前記焼成処理は400〜700℃で行うことが好ましい。さらに好ましくは、450〜600℃、更に好ましくは500〜550℃である。焼成の時間としては、例えば3〜8時間が好ましい。焼成は、例えば空気雰囲気下で行い、マッフル炉等の十分な温度に達することができる装置で行えばよい。
−造粒工程−
作成されたアンモニア脱水素反応触媒は、粉末であってもよいし、成型体であっても良い。したがって、造粒工程はあってもなくても構わないが、アンモニア脱水素反応触媒を固定床で用いる場合、通気性を向上させるために造粒した方が望ましい。粉末であればアンモニア脱水素反応触媒の粒径や表面積を、また、成型体であれば表面積と強度との兼ね合いでアンモニア脱水素反応触媒の細孔容積、細孔径、形状等を適宜調整することが好ましい。造粒したアンモニア脱水素反応触媒のサイズは、0.1〜50mm、好ましくは0.5〜40mm、さらに好ましくは1〜30mmである。造粒方法の例として押し出し成形、圧縮成型などが挙げられる。成型体の形状は、球状、シリンダー状、リング状、ホイール状、粒状等いずれでもよい。なお、アンモニア脱水素反応触媒のサイズは、例えばアンモニア脱水素反応触媒が押し出し成形で作製されたもの(例えばシリンダー状の触媒)となる場合、押し出し成形に使用した金型のサイズ(より詳細には、開口部分の直径)としてもよい。また、篩による分級によってアンモニア脱水素反応触媒のサイズを一定範囲に揃えることが可能である。例えば、目開きがX1mm、X2mmとなる(X1<X2)篩にアンモニア脱水素反応触媒を掛けた時に、目開きX2mm篩から落下し、目開きX1の篩に残った粒子のサイズはX1〜X2mmと判断することができる。また、アンモニア脱水素反応触媒は、金属又はセラミックスのハニカム状基材へ触媒成分をコーティングしたもの等であってもよい。
−還元処理工程−
焼成工程後のアンモニア脱水素反応触媒に対して、水素を含むガスで還元処理を施してもよい。製造した触媒をすぐに使わず一時保管する場合などは、水素還元は行わず、使用する直前に還元処理を施すと良い。
前記還元処理は、水素を20体積%(反応ガスの総体積(より厳密には、測定に使用されるガスの総体積)に対する体積%)以上含んだ反応ガスを300〜600℃(より好ましくは400〜500℃)で1〜4時間(より好ましくは1〜2時間)流通させ、還元を進行させることが望ましい。また、水素以外に含まれるガス成分はヘリウム、アルゴン等の不活性ガスであることが望ましい。
還元処理は、例えば管型反応管に触媒を充填した上で行うことができる。
上記還元処理工程の一例では、ルテニウム化合物を還元する際の水素を含む混合ガスの接触時間は水素ベースで0.01〜1g・h/L、好ましくは0.1〜0.5g・h/Lである。
還元ガス中の水素濃度を高くすることで、活性金属が効率的に還元されて性能が向上し、還元処理工程の時間の短縮化が図られ、処理コストが低減される。このため、還元処理工程における水素濃度は高い方が好ましい。
前記通常の含浸法で調製した触媒の活性金属は、セリア系担体の表面上に担持される。触媒中のルテニウム金属の存在は、X線回折(X−ray diffraction、XRD)によって確認可能である。XRD測定は、触媒試料をメノウ乳鉢で十分にすり潰して、例えば、Rigaku製SmartLabを用いて、試料とホルダー面が水平になるように試料台に設置した後、測定を行う。X線源はCuKα線で、X線出力:30mA、40kV、発散スリットを0.2mm、長手制限スリットを0.5mm、スキャン速度:4deg/min、スキャンステップ:0.01degの条件で測定すると、ピーク位置と強度から触媒中のルテニウム金属の存在を評価できる。
上記で調製した触媒を構成するルテニウム金属の含有量の測定方法には、蛍光X線(X−ray Fluorescence、XRF)分析を用いることができる。XRF分析はガラスビード法で行うことができ、例えば、Rigaku製ZSX PrimusIIを用いて行うことができる。XRF分析を行う際には、分析の対象となる粉末試料を事前に1000℃で1時間強熱減量することでガラスビード製作時の溶融剤と試料の比が変化しないようにすることが好ましい。ガラスビード作成は、例えば粉末試料0.2gに対して融剤として四ホウ酸リチウムを1g量りとりメノウ乳鉢で調合後、剥離剤としてヨウ化リチウムを加え合計8分間1300℃で加熱溶解させて行えばよい。
この際、標準状態で安定な酸化物に換算するものとし、安定な酸化物が複数ある場合には、それらの中で最も酸化数が大きい酸化物に換算するものとする。特に、ランタノイド系列の元素について、セリウムは、酸化セリウム(IV)に換算し、その他の元素は、三価の酸化物に換算した上で、全窒化物の含有量をこれら換算値の和として計算する。
こうして各元素を酸化物換算し、更に、日本化学会作成の周期表記載の原子量を用いて質量比に換算することで、触媒の全組成を決定することが可能であり、モル比表示と質量比表示のいずれの組成比についても、計算可能である。これにより、ルテニウム金属の含有量を測定することができ、ルテニウム金属の含有量からルテニウム金属の担持率等を計算することができる。
上記の製造方法により、本実施形態に係るアンモニア脱水素反応触媒、つまり有機酸法で製造したセリア系担体と、前記セリア系担体に担持された活性金属と、を有するアンモニア脱水素反応触媒が得られる。
上記で調製した触媒を構成するセリア系担体の表面価数(すなわち、セリア系担体の表面に存在するセリウムの価数)の測定方法には、XPS(X線光電子分光)を用いることができる。XPS測定は、触媒試料をメノウ乳鉢で十分にすり潰して、例えば、JEOL製JPS−9200を用いて評価ができる。インジウムのチップの上に試料粉末を乗せ、飛散防止のためにガラス板を用いて固定し、表面のみを測定した。なお、本測定では、触媒粒子の表面数nm以下(すなわちX線が照射されて電子が放出できる深さ)部分のみ測定されるが、測定結果を全表面に適用して問題ない。X線源はAlKαで、検出角度:45°、X線出力:15kV、25W、真空度:2.6×10−9torr、測定領域:300μm角、積算回数(例えば2回)の条件で測定すると、ピーク位置と強度からセリア系担体の表面価数を評価できる。
Ce3+/Ce4+比を計算するに当たっては、ピーク分離を行いCe3+由来のピークとCe4+由来のピークを明確にした上で行うことができる。ピーク分離の一例を図3に示す。Ce4+量は915〜916eV近傍のピーク面積、Ce3+量は902〜903eV近傍のピーク面積を用いて算出できる。なお、ピーク分離は例えばSpec Surf(Analysis)を用いて行うことができる。ピーク分離を行うにあたって、ピークフィッティングを行ってもよい。ピークフィッティングは、例えば、以下の工程で行ってもよい。(1)バックグラウンドをShirley法で差し引く(バックグラウンド処理)、(2)炭素1Sスペクトルを285.0eVに合わせる(位置合わせ)、(3)Gauss−Lorentz(ガウス関数とローレンツ関数の混合関数)を選択してピークフィッティングを行う。また、本実施形態におけるCe3+/Ce4+比は、下記で定義するものとする。後述する実施例では、上述した方法によりCe3+/Ce4+比を測定した。
(Ce3+/Ce4+比)=(Ce3+のピーク面積)/(Ce4+のピーク面積)
本実施形態におけるCe3+/Ce4+比は0.50〜1.20である。Ce3+/Ce4+比が0.50未満ではルテニウムが電子リッチな状態を保ちにくく、吸着Nの脱離が促進されない。一方で、Ce3+/Ce4+比を1.20超とすることは困難である。このため、本実施形態におけるCe3+/Ce4+比は0.50〜1.20とされる。
<水素の製造方法>
こうして得られた本実施形態に係るアンモニア脱水素反応触媒は、アンモニア含有ガス(反応ガス)からアンモニア脱水素反応により水素を製造する水素の製造方法に、好適に用いられる。還元処理を施していないアンモニア脱水素反応触媒は、反応に用いる前に還元処理を行うことが好ましい。前記還元処理は、水素を20体積%以上含んだ反応ガスを300〜600℃(より好ましくは400〜500℃)で1〜4時間(より好ましくは1〜2時間)流通させ、還元を進行させることが望ましい。また、水素以外に含まれるガス成分はヘリウム、アルゴン等の不活性ガスであることが望ましい。
アンモニア脱水素反応はアンモニア含有ガスをアンモニア脱水素反応触媒に接触させることで行う。反応は、アンモニア脱水素反応触媒が前記造粒工程にて1mm未満に造粒した粉体であれば流動床、1mm以上に造粒した成型体であれば固定床で行うことができる。反応は、300〜700℃で行うことが望ましい。好ましくは400〜700℃である。図2は反応器の事例を示したものである。反応器は、熱電対1、電気炉2、及びガラス管(ガラス反応管)5を備える。この反応器を用いる場合、アンモニア脱水素反応触媒の試料3をガラス管5内に挿入し、試料3の上下を石英ウール4で固定して、充填する。そして、電気炉2で試料3を加熱し、かつ熱電対1で試料3の温度を測定しながら、ガラス管5にアンモニア含有ガスを流通させる。これにより、アンモニア脱水素反応を進行させる。
このように、300〜700℃程度の比較的低い温度下、特に500℃以下の温度下でも高活性を示すアンモニア脱水素反応触媒が製造できる。
上記の水素の製造に用いられるアンモニア含有ガスとしては、特に制限するものではないが、例えば、アンモニアが全体の50体積%(反応ガスの総体積(より厳密には、測定に使用されるガスの総体積)に対する体積%)以上であるガスが、生産性の面から好ましい。例えば、合成した高純度アンモニアのほか、硫安回収法、フォッサム法、コッパース法、カールスチル法等のコークス炉ガスの精製過程で分離・回収されたアンモニア含有ガスなどが好適に用いられ、アンモニアのほかにメタンなどの炭化水素、H、CO、CO、N、HS、HCN、HSCNなどが含まれてもよい。尚、アンモニア含有ガスは、合成または分離に限らずいかなる経路で製造されたものであってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
触媒活性の評価は下記のようにして行った。
セリア系担体に、インシピエントウェットネス法で、硝酸ルテニウムを前駆体として、担持させた。次いで、乾燥処理、焼成処理をした後、内径6mmの管型ガラス反応管に触媒担体を充填し、還元処理を行って触媒を得た。その後、流通式マイクロリアクタ装置により触媒活性を評価した。
具体的には、固定床流通式反応装置にアンモニア含有ガスを流通させ、触媒層入口、出口のガス流量変化を測定した。そして、測定結果に基づいてアンモニア転化率を算出し、このアンモニア転化率で触媒活性を評価した。液化アンモニアボンベ及びヘリウムボンベから、各ガスをマスフローコントローラを用いて所定量導入、混合して、アンモニア含有ガスとした。アンモニア含有ガスの組成は、NH3/He=1/2(流量比)とし、アンモニアベースでの接触時間を0.167g・h/L、温度を300℃、400℃、600℃とした条件で評価試験を行った。アンモニア転化率は、供給ガス及びガラス反応管出口ガスの組成をガスクロマトグラフィーにより求め、その結果に基づいて測定した。
アンモニア転化率は、下記で定義するものとする。
(アンモニア転化率(%))={(反応前NHの流量)−(反応後NHの流量)}/(反応前NHの流量)×100
また、実施例および比較例の主たる条件と結果については、表1A、1B(以下、単に「表1」とも称する)に纏めて記載した。なお、表1中の「焼成温度」は、セリア系担体調製時の焼成温度、すなわちゲル焼成時の焼成温度であり、「還元温度」は、アンモニア脱水素反応触媒を還元処理する際の還元温度を示す。
(実施例1:セリア系担体(クエン酸法))
実施例1では、クエン酸法にてセリア系担体を調製した。具体的には、硝酸セリウム(III)・6水和物(関東化学、純度>99.5%)を5.0452g秤取り、純水100mlに溶解させた。得られた溶液に、クエン酸・1水和物(和光純薬、純度>99.5%)4.4655gを更に溶解させ、溶液をマグネチックスターラーで15分間攪拌した。このとき、セリウムイオンとクエン酸のモル比が、1:2となるようにした。溶液が透明となり、溶け残りがないことを確認したうえで、アンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH7.0とした。溶液を更に1時間攪拌し、得られた溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶液の容積を減らした上で、アルミナるつぼへと移した。ホットプレートの上で溶液を100℃に加熱し、更に2時間かけて溶液中の水分を蒸発させ、溶液中の固形分を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、試料を110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.83であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で33.8%、400℃で95.6%、600℃で99.9%であった。
(実施例2)
実施例1において、還元温度を変更した。
具体的には、実施例1において調製したセリア系担体を用いて、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して300℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。アンモニア転化率は反応温度300℃で31.4%、400℃で97.7%、600℃で99.9%であった。
(実施例3)
実施例1において、還元温度を変更した。
具体的には、実施例1において調製したセリア系担体を用いて、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して600℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。アンモニア転化率は反応温度300℃で17.5%、400℃で89.3%、600℃で99.9%であった。
(実施例4)
実施例1において、セリア系担体作製時の焼成温度を変更した。
具体的には、実施例1においてセリア系担体作製時の焼成温度を400℃に変更してセリア系担体を調整した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後の触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.61であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で24.0%、400℃で89.2%、600℃で99.9%であった。
(実施例5)
実施例1において、セリア系担体作製時の焼成温度を変更した。
具体的には、実施例1においてセリア系担体作製時の焼成温度を700℃に変更してセリア系担体を調整した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後の触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.67であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で25.5%、400℃で94.3%、600℃で99.9%であった。
(比較例1)
実施例1において、セリア系担体作製時の焼成温度を変更した。
具体的には、実施例1においてセリア系担体作製時の焼成温度を800℃に変更してセリア系担体を調整した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これによりRu/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後の触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.49であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で14.0%、400℃で84.1%、600℃で99.8%であった。
(実施例6)
実施例1において、ルテニウム担持率を変更した。
具体的には、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムを実施例1において調製したセリア系担体に0.5質量%担持させた。これによりRu/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後の触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.66であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で21.2%、400℃で85.4%、600℃で99.9%であった。
(実施例7)
実施例1において、ルテニウム担持率を変更した。
具体的には、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムを実施例1において調製したセリア担体に3質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後の触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.75であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で28.1%、400℃で90.3%、600℃で99.9%であった。
(実施例8)
実施例1において、ルテニウム担持率を変更した。
具体的には、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムを実施例1において調製したセリア担体に10質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後の触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.96であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で38.8%、400℃で97.6%、600℃で99.9%であった。
(実施例9)
実施例1において、ルテニウム担持率を変更した。
具体的には、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムを実施例1において調製したセリア担体に20質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒をの還元処理を行った。焼成後の触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は1.12であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で51.6%、400℃で98.5%、600℃で99.9%であった。
(実施例10)
実施例1において、使用するアンモニア含有ガスをコークス炉ガスの精製過程で硫安回収法にて分離・回収されたアンモニア含有ガスに変更した。
具体的には、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムを実施例1において調製したセリア担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。その後、コークス炉ガスの精製過程で硫安回収法にて分離・回収されたアンモニア含有ガスにHeを混合して、混合ガスの組成をNH3/He=1/2(混合ガス中のアンモニアガスとHeガスとの流量比)とした。
そして、この混合ガスを用いて、アンモニアベースでの接触時間を0.167g・h/L、温度を300℃、400℃、または600℃とした条件でアンモニア転化率を測定した。アンモニア転化率は反応温度300℃で25.8%、400℃で85.7%、600℃で99.9%であった。
(実施例11(実施例11−1〜11−5))
実施例1において、セリウムイオンとクエン酸のモル比が、1:0.5、1、1.5、3、4となるように変更してセリア系担体を調製した。
具体的には、硝酸セリウム(III)・6水和物(関東化学、純度>99.5%)を5.0452g秤取り、純水100mlに溶解させた。得られた溶液に、クエン酸・1水和物(和光純薬、純度>99.5%)を所定の比率になるように(つまり、セリウムイオンとクエン酸のモル比が、1:0.5、1、1.5、3、4のいずれかになるように)更に溶解させ、溶液をマグネチックスターラーで15分間攪拌した。溶液が透明となり、溶け残りがないことを確認したうえで、アンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH7.0とした。溶液を更に1時間攪拌し、得られた溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶液の容積を減らした上で、アルミナるつぼへと移した。ホットプレートの上で溶液を100℃に加熱し、更に2時間かけて溶液中の水分を蒸発させ、溶液中の固形分を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、試料を110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムを調製したセリア担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後の触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は表1の実施例11−1〜11−5に示す通りであった。アンモニア転化率は、表1の実施例11−1〜11−5に示すように、各反応温度で高活性を示した。
(実施例12:セリア系担体(リンゴ酸法)(実施例12−1〜12−6))
実施例12では、リンゴ酸法にてセリア系担体を調製した。具体的には、硝酸セリウム(III)・6水和物(関東化学、純度>99.5%)を5.0452g秤取り、純水100mlに溶解させた。得られた溶液に、DL−リンゴ酸(関東化学、鹿特級)をセリウムイオンとリンゴ酸のモル比が、1:0.5、1、1.5、2、3、4のいずれかとなるように更に溶解させ、溶液をマグネチックスターラーで15分間攪拌した。溶液が透明となり、溶け残りがないことを確認したうえで、アンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH7.0とした。溶液を更に1時間攪拌し、得られた溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶液の容積を減らした上で、アルミナるつぼへと移した。ホットプレートの上で溶液を100℃に加熱し、更に2時間かけて溶液中の水分を蒸発させ、溶液中の固形分を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、試料を110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。ついで、このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は表1の実施例12−1〜12−6に示す通りであった。アンモニア転化率は表1の実施例12−1〜12−6に示すように、各反応温度で高活性を示した。
(実施例13:セリア系担体(リンゴ酸法)(実施例13−1〜13−2))
実施例12−3において、セリウムイオンとリンゴ酸のモル比が、1:1.5となるように調製したセリア系担体の焼成温度を400℃または700℃に変更した。具体的には、リンゴ酸を用いて調製して得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料を110℃で3時間乾燥させた後、1時間かけて400℃、または、2時間かけて700℃まで昇温し、400℃または700℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。ついで、このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は表1の実施例13−1〜13−2に示す通りであった。アンモニア転化率は表1の実施例13−1〜13−2に示すように、各反応温度で高活性を示した。
(比較例2)
実施例13−2において、セリア系担体の焼成温度を800℃に変更した。具体的には、リンゴ酸を用いて調製して得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料を110℃で3時間乾燥させた後、2.5時間かけて800℃まで昇温し、800℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。ついで、このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.49であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で15.4%、400℃で70.2%、600℃で99.7%であった。
(実施例14:セリア担体(酒石酸法))
実施例14では、酒石酸法にてセリア系担体を調製した。具体的には、硝酸セリウム(III)・6水和物(関東化学、純度>99.5%)を5.0452g秤取り、純水100mlに溶解させた。得られた溶液に、DL−酒石酸(関東化学、鹿特級)3.4881gを更に溶解させ、溶液をマグネチックスターラーで15分間攪拌した。このとき、セリウムイオンと酒石酸のモル比が、1:2となるようにした。溶液が透明となり、溶け残りがないことを確認したうえで、アンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH7.0とした。溶液を更に1時間攪拌し、得られた溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶液の容積を減らした上で、アルミナるつぼへと移した。ホットプレートの上で溶液を100℃に加熱し、更に2時間かけて溶液中の水分を蒸発させ、溶液中の固形分を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、試料を110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.84であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で35.2%、400℃で91.4%、600℃で99.9%であった。
(実施例15:セリア担体(乳酸法))
実施例15では、乳酸法にて触媒を調製した。具体的には、硝酸セリウム(III)・6水和物(関東化学、純度>99.5%)を5.0452g秤取り、純水100mlに溶解させた。得られた溶液に、乳酸(関東化学、特級)2.0935gを更に溶解させ、溶液をマグネチックスターラーで15分間攪拌した。このとき、セリウムイオンと乳酸のモル比が、1:2となるようにした。溶液が透明となり、溶け残りがないことを確認したうえで、アンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH7.0とした。溶液を更に1時間攪拌し、得られた溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶液の容積を減らした上で、アルミナるつぼへと移した。ホットプレートの上で溶液を100℃に加熱し、更に2時間かけて溶液中の水分を蒸発させ、溶液中の固形分を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、試料を110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.78であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で34.2%、400℃で90.5%、600℃で99.9%であった。
(実施例16:セリア担体(グリコール酸法))
実施例16では、グリコール酸法にて触媒を調製した。具体的には、硝酸セリウム(III)・6水和物(関東化学、純度>99.5%)を5.0452g秤取り、純水100mlに溶解させた。得られた溶液に、グリコール酸(関東化学、特級)1.7674gを更に溶解させ、溶液をマグネチックスターラーで15分間攪拌した。このとき、セリウムイオンとグリコール酸のモル比が、1:2となるようにした。溶液が透明となり、溶け残りがないことを確認したうえで、アンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH7.0とした。溶液を更に1時間攪拌し、得られた溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶液の容積を減らした上で、アルミナるつぼへと移した。ホットプレートの上で溶液を100℃に加熱し、更に2時間かけて溶液中の水分を蒸発させ、溶液中の固形分を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、試料を110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.84であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で37.1%、400℃で93.0%、600℃で99.9%であった。
(比較例3)
実施例1において、セリア系担体として触媒学会配布の参照触媒CEO−5(沈殿法で調製)を用いた。
具体的には、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてルテニウムを参照触媒CEO−5に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.42であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で13.8%、400℃で83.2%、600℃で99.9%であった。
(比較例4:セリア系担体(沈殿法))
比較例4では、沈殿法にてセリア系担体を調製した。
具体的には、硝酸セリウム(III)・6水和物(関東化学、純度>99.5%)を0.2088g量り取り、純水100mlに溶解させた。溶液を30分間攪拌し、均一となっていることを確認したうえで、攪拌を継続しながらアンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH10.0とした。溶液を1時間攪拌し、30分間静置した。得られた沈殿を、メンブレンフィルターを用いて吸引濾過し、純水で洗浄した。得られた沈殿物を、アルミナるつぼへと移した後、ホットプレートの上で100℃に加熱した。更に2時間かけて沈殿物中の水分を蒸発させ、沈殿物を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、試料を110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、セリア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてRuをセリア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/CeO触媒を調製した。このRu/CeO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/CeO触媒の還元処理を行った。焼成後のRu/CeO触媒についてXPS測定を行った結果、Ce3+/Ce4+比は0.44であった。アンモニア転化率は反応温度300℃で12.4%、400℃で79.0%、600℃で99.9%であった。
(比較例5:マグネシア系担体(クエン酸法))
比較例5では、クエン酸法にてマグネシア系担体を調製した。
具体的には、硝酸マグネシウム・6水和物(関東化学、純度>99.0%)を5.0452g秤取り、純水100mlに溶解させた。得られた溶液に、クエン酸・1水和物(和光純薬、純度>99.5%)4.4655gを更に溶解させ、溶液をマグネチックスターラーで15分間攪拌した。このとき、マグネシウムイオンとクエン酸のモル比が、1:2となるようにした。溶液が透明となり、溶け残りがないことを確認したうえで、アンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH7.0とした。溶液を更に1時間攪拌し、得られた溶液をロータリーエバポレーターにかけ、溶液の容積を減らした上で、アルミナるつぼへと移した。ホットプレートの上で溶液を100℃に加熱し、更に2時間かけて溶液中の水分を蒸発させ、溶液中の固形分を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、マグネシア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてRuをマグネシア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/MgO触媒を調製した。このRu/MgO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/MgO触媒の還元処理を行った。アンモニア転化率は反応温度300℃で15.9%、400℃で76.3%、600℃で99.9%であった。
(比較例6:マグネシア系担体(沈殿法))
比較例6では、沈殿法にてマグネシア系担体を調製した。
具体的には、硝酸マグネシウム・6水和物(関東化学、純度>99.0%)を12.1986g量り取り、純水100mlに溶解させた。溶液を30分間攪拌し、均一となっていることを確認したうえで、攪拌を継続しながらアンモニア水(和光純薬、濃度28質量%)を溶液に滴下し、pH10.0とした。溶液を1時間攪拌し、30分間静置した。得られた沈殿を、メンブレンフィルターを用いて吸引濾過し、純水で洗浄した。得られた沈殿物を、アルミナるつぼへと移した後、ホットプレートの上で100℃に加熱した。更に2時間かけて沈殿物中の水分を蒸発させ、沈殿物を乾固させた。得られた固形物を、メノウ乳鉢上で潰し、粉状とした上で、アルミナるつぼに戻した。試料をアルミナるつぼごと電気炉に入れ、空気雰囲気下で焼成処理を行った。具体的には、110℃で3時間乾燥させた後、2時間かけて600℃まで昇温し、600℃にて5時間焼成処理を行った。以上の工程により、マグネシア系担体の試料を作製した。ついで、硝酸ルテニウムをルテニウム前駆体として、インシピエントウェットネス法にてRuをマグネシア系担体に5質量%担持させた。これにより、Ru/MgO触媒を調製した。このRu/MgO触媒を500℃で5時間焼成した後、水素ガスを接触時間0.0334g・h/Lに設定して450℃で1時間Ru/MgO触媒の還元処理を行った。アンモニア転化率は反応温度300℃で16.2%、400℃で48.3%、600℃で99.8%であった。
表1に示されるように、本実施形態に係る製造方法で製造されたアンモニア脱水素反応触媒は、300〜700℃の比較的低い温度下でも高活性を示すことが判る。なお、600℃での転化率が十分高い値となっているので、700℃でも高い転化率が得られると推察される。
Figure 2021142465
Figure 2021142465

Claims (6)

  1. セリアを主成分とする担体と、
    前記担体に担持されたルテニウムと、
    を含み、前記担体表面のCe3+/Ce4+比が0.50〜1.20であることを特徴とするアンモニア脱水素反応触媒。
  2. 請求項1記載のアンモニア脱水素反応触媒の製造方法であって、
    触媒の活性金属の前駆体としてルテニウム化合物を、有機酸法で製造したセリアを主成分とする触媒担体に担持させる含浸担持工程と、
    前記含浸担持工程後の前記触媒担体を焼成して触媒を製造する焼成工程と、
    を含むアンモニア脱水素反応触媒の製造方法。
  3. 前記焼成工程後の前記触媒を、さらに水素を含むガスで還元処理する還元処理工程を含む、請求項2に記載のアンモニア脱水素反応触媒の製造方法。
  4. 請求項1に記載のアンモニア脱水素反応触媒、または請求項2に記載の製造方法にて製造したアンモニア脱水素反応触媒を、水素を含むガスで還元処理をした後に、アンモニアを含むガスに接触させて水素を製造する水素の製造方法。
  5. 請求項3に記載の製造方法にて製造したアンモニア脱水素反応触媒を、アンモニアを含むガスに接触させて水素を製造する水素の製造方法。
  6. 前記アンモニアを含むガスが、コークス炉ガスの精製過程で分離された後に回収されたガスであることを特徴とする、請求項4又は5に記載の水素の製造方法。
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