JP2010195620A - カルシウム−マンガン複合酸化物の製造方法 - Google Patents

カルシウム−マンガン複合酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒径が小さく、かつ単相のカルシウム−マンガン複合酸化物の粒子を容易に製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】本発明のカルシウム−マンガン複合酸化物の製造方法は、カルシウム源及びマンガン源を分散媒と混合してスラリーを調製し、このスラリーをメディアミルによって湿式粉砕し、粉砕後のスラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となし、この乾燥粉体を焼成することを特徴とする。焼成は750〜1200℃で行うことが好適である。
【選択図】図2

Description

本発明は、カルシウム及びマンガンを含む複合酸化物の製造方法に関する。本発明に従い製造されたカルシウム−マンガン複合酸化物は、例えば熱電変換材料として特に有用である。
熱電変換とは、ゼーベック効果を利用し、熱電変換材料の両端に温度差を設けることで電位差を生じさせて発電を行うエネルギー変換法である。この熱電発電では、熱電変換材料の一端を廃熱により生じた高温部に配置し、もう一端を大気中(室温)に配置して、それぞれの両端に導線を接続するだけで電気が得られる。したがって、一般の発電に必要なモーターやタービン等の可動装置は全く必要ない。このため発電コストが安く、燃焼等によるガスの排出もなく、熱電変換材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができるという利点がある。
高温の空気中で優れた熱電変換性能を示す物質としてCa3Co49等のCoO2系層状酸化物が報告されている。これらの酸化物はすべてp型の熱電特性を有するものであり、ゼーベック係数が正の値を示す材料、すなわち高温側に位置する部分が低電位部となる材料である。一方、n型熱電変換特性を有する酸化物としては、SrTiO3、ZnO、LaNiO3等が知られている。これらのうち、SrTiO3については、高い導電性を得るためには結晶内に酸素欠損が必要であり、高温の空気中では酸化によって熱電変換特性が劣化するという欠点がある。またZnO、LaNiO3等については、高温の空気中でも高い導電性を示すものの、ゼーベック係数が低いため、十分な熱電変換効率を得ることができない。
一方、CaMnO3は、Ca又はMnの一部を適当な元素で置換することによって、高温の空気中でも良好な導電性を示すようになる。また、ゼーベック係数が100μV/Kを超えるので、n型酸化物熱電変換材料として実用化が期待されている(非特許文献1及び2参照)。この酸化物の多結晶体を用いて焼結体を製造する場合、該多結晶体として粒径の小さいものを用いることで、緻密な焼結体が得られる。しかし、これまでに知られている製造方法では、この酸化物の多結晶体を小粒径にすることは容易ではない。しかも、単相の多結晶体を得ることも容易ではない。
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本発明は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るカルシウム−マンガン複合酸化物の製造方法を提供するものである。
本発明は、カルシウム源及びマンガン源を分散媒と混合してスラリーを調製し、このスラリーをメディアミルによって湿式粉砕し、粉砕後のスラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となし、この乾燥粉体を焼成することを特徴とするカルシウム−マンガン複合酸化物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、粒径が小さく、かつ単相のカルシウム−マンガン複合酸化物の粒子を容易に製造することができる。このカルシウム−マンガン複合酸化物を用いることで、焼き締まった緻密な焼結体を得ることができる。
図1は、実施例1並びに比較例1及び2で得られたカルシウム−マンガン複合酸化物のX線回折パターンを示す図である。 図2は、実施例1及び比較例2で得られたカルシウム−マンガン複合酸化物のSEM像である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の製造方法は、カルシウム及びマンガンを必須の成分として含み、必要に応じ他の金属元素を含む複合酸化物を製造するための方法である。本製造方法は、大別して(イ)スラリー調製工程、(ロ)湿式粉砕工程、(ハ)乾燥工程及び(ニ)焼成工程を含んでいる。以下、それぞれの工程について説明する。
(イ)のスラリー調製工程においては、カルシウム源及びマンガン源を分散媒と混合してスラリーを調製する。カルシウム源及びマンガン源としては、目的物であるカルシウム−マンガン複合酸化物中に、焼成による残留物が生じないものを用いることが好ましい。そのようなカルシウム源及びマンガン源としては、例えばカルシウムやマンガンの酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、アルコキシド化合物などを用いることができる。具体的には、カルシウム源としては、酸化カルシウム(CaO)、炭酸カルシウム(CaCO3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、ジメトキシカルシウム(Ca(OCH32)、ジエトキシカルシウム(Ca(OC252)、ジプロポキシカルシウム(Ca(OC372)等)等を用いることができる。一方、具体的なマンガン源としては、酸化マンガン(Mn23)、二酸化マンガン(MnO2)、水酸化マンガン(Mn(OH)3)、ジメトキシマンガン(Mn(OCH33)、ジエトキシマンガン(Mn(OC253)、ジプロポキシマンガン(Mn(OC373)等)等を用いることができる。これらのカルシウム源及びマンガン源は、それぞれ1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルシウム源及びマンガン源はいずれも固体粉末状態のものであり、分散媒中で溶解することなく固体の状態を保っている。カルシウム源及びマンガン源は、その平均粒径が0.1〜20μm、特に0.1〜10μmであることが、後述する(ロ)の湿式粉砕工程を短時間で行うことができ、所望のカルシウム−マンガン複合酸化物を得ることができる観点から好ましい。
分散媒に分散させるカルシウム源とマンガン源との比率は、カルシウムとマンガンのモル比に換算して、Ca:Mn=0.8:1.0〜1.2:1.0、特に0.9:1.0〜1.1:1.0であることが、所望の組成を有し、熱電変換特性の高いカルシウム−マンガン複合酸化物を得ることができる観点から好ましい。
目的とするカルシウム−マンガン複合酸化物の熱電変換特性を更に向上させることを目的として、分散媒に分散させる物質として、前記のカルシウム源及びマンガン源に加え、他の金属元素の化合物を用いてもよい。他の金属元素としては、例えばCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Yb、Dy、Ho、Er、Tm、Tb、Lu、Sr、Ba、Al、Bi、Y及びLaが挙げられる(これらの金属元素を第1群金属元素という。)。また他の金属元素として、Ta、Nb、W及びMoを用いることもできる(これらの金属元素を第2群金属元素という。)。第1群金属元素及び第2群金属元素は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの他の金属元素は、カルシウム源及びマンガン源と同様に、酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、アルコキシド化合物などの状態で用いることができる。
第1群金属元素の使用量は、カルシウム源の使用量との関係で決定される。具体的には、カルシウム1モルに対して第1群金属元素が0〜1モル、特に0〜0.5モルとなるような量で用いられることが好ましい。一方、第2群金属元素の使用量は、マンガン源の使用量との関係で決定される。具体的には、マンガン1モルに対して第2群金属元素が0〜0.25モル、特に0〜0.2モルとなるような量で用いられることが好ましい。
前記のカルシウム源及びマンガン源を分散させるための分散媒としては水及び非水分散媒のいずれも用いることができる。取り扱いが容易である等の観点からは、分散媒として水を用いることが好ましい。
カルシウム源及びマンガン源を含む固形分のスラリー中における濃度は、1〜50重量%、特に10〜40重量%であることが好ましい。固形分の濃度をこの範囲内に設定することで、スラリーの粘度を適切な範囲にすることができ、後述する(ロ)の湿式粉砕工程を首尾よく行うことができ、かつ(ハ)の乾燥工程に要する時間を短縮化することができる。また、(ハ)の乾燥工程で得られる乾燥粉体の密度を高めることができる。乾燥粉体の密度が高いことは、(ニ)の焼成工程での焼成温度を低くできる点から有利である。
スラリー中には分散剤を加えてもよい。分散剤の添加によって、カルシウム源及びマンガン源を含む固形分が分散媒中に一層均一に分散するようになる。その結果、後述する(ロ)の湿式粉砕工程を首尾よく行うことができる。使用する分散剤は、分散媒の種類に応じて適切なものを選択すればよい。分散媒が例えば水である場合には、分散剤として各種の界面活性剤、ポリカルボン酸アンモニウム塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビダン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド等を用いることができる。スラリー中における分散剤の濃度は0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%とすることが、十分な分散効果の発現の点から好ましい。
次に(ロ)の湿式粉砕工程について説明する。本工程においては、メディアミルを用いてスラリー中の固形分を粉砕する。メディアミルとしては、例えばビーズミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いることができる。これらのメディアミルのうち、粉砕効率が高い点から、ビーズミルを用いることが好ましい。
メディアミルとしてビーズミルを用いる場合、その運転条件やビーズの種類及び大きさは、装置のサイズや処理量、カルシウム源及びマンガン源の種類等に応じて適切に選択すればよい。湿式粉砕処理は、粉砕すべき固形分の平均粒径が0.1〜2.0μm、特に0.1〜0.8μmとなるまで行うことが好ましい。この範囲になるまで粉砕を行うことで、(ハ)の乾燥工程で得られる乾燥粉体の比表面積を大きくすることができる。乾燥粉体の比表面積が大きいことは、(ニ)の焼成工程における焼成温度を低くすることができる点から有利である。また、(ハ)の乾燥工程における液滴の噴霧を安定して行い得る点からも、前記の範囲の粒径は好ましい。
なお、前記の平均粒径は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子の平均粒径のことである。二次粒子の平均粒径は、例えば光散乱式粒径分布測定装置によって測定することができる。
本工程におけるスラリーの粘度は、メディアミルの安定運転の観点から、0.001〜1.0Pa・s、特に0.001〜0.1Pa・sであることが好ましい。この粘度は、メディアミルによる湿式粉砕時の温度でのものである。スラリーの粘度は、回転粘度計によって測定される。
所望の粒径にまで粉砕された固形分を含むスラリーは、次いで乾燥工程に付される。本工程においてはスプレードライ法によって乾燥を行う。スラリーの乾燥方法にはスプレードライ法以外の方法も知られているが、本発明においてはスプレードライ法を選択することが有利であるとの知見に基づき、この乾燥方法を採用している。詳細には、スプレードライ法を用いると、粒子が密に詰まった状態の乾燥粉体を得ることができるので、(ニ)の焼成工程における焼成温度を低くすることができるという利点がある。
スプレードライ法においては、所定手段によってスラリーを霧化し、それによって生じた微細な液滴を乾燥させることで乾燥粉体を得る。スラリーの霧化には、例えば回転円盤を用いる方法と、圧力ノズルを用いる方法がある。本工程においてはいずれの方法を用いることもできる。
スプレードライ法においては、霧化されたスラリーの液滴の大きさと、それに含まれる粒子の大きさとの関係が、安定した乾燥や、得られる乾燥粉体の性状に影響を与える。詳細には、液滴の大きさに対して粒子の大きさが小さすぎると、液滴が不安定になり、乾燥を首尾よく行いづらくなる。また、乾燥粉体の比表面積や密度を大きくしづらくなる。この観点から、スラリー中の粒子の大きさ(二次粒子の大きさ)が前述の範囲であることを条件として、霧化された液滴の大きさは、2〜500μm、特に10〜300μmであることが好ましい。スプレードライヤーへのスラリーの供給量は、この観点を考慮して決定することが望ましい。
スプレードライ法によって得られる乾燥粉体は、その平均粒径が2〜500μm、特に10〜300μmであることが好ましい。この平均粒径は、上述した装置を用いて測定される。また、乾燥粉体は、その比表面積が30〜80m2/g、特に40〜70m2/gであることが好ましい。比表面積は、例えばマイクロメリテックス社製 フローソーブIIIを用いて測定される。更に乾燥粉体は、その密度(見かけ密度)が0.5〜2.5g/cm3、特に1.0〜2.5g/cm3であることが好ましい。密度は、例えばホソカワミクロン社製、パウダーテスターPN−T型を用いて測定される。乾燥粉体の比表面積や密度がこれらの範囲内となるように乾燥を行うことで、次工程である(ニ)の焼成工程における焼成温度を低くすることができる。焼成温度を低くできることは、目的とするカルシウム−マンガン複合酸化物の粒径を小さくでき、かつ単相のものを得やすいという点から極めて有利である。
乾燥工程によって得られた乾燥粉体は、(ニ)の焼成工程に付される。乾燥粉体が焼成されることによって、目的とするカルシウム−マンガン複合酸化物が精製する。本工程における焼成は一般に大気下を始めとする含酸素雰囲気下で行うことができる。また焼成は、乾燥粉体を静置した状態で行うことができる。これに代えて、流動式の焼成炉を用いて焼成を行うこともできる。
本工程においては、これまでに説明してきた工程のもたらす利点に起因して、従来の焼成条件よりも緩やかな条件で焼成を行うことができる。その結果、粒径が小さく、結晶子径も小さく、かつ単相のカルシウム−マンガン複合酸化物を得ることができる。結晶子径が小さいことは、カルシウム−マンガン複合酸化物を焼結させて所定の形状の焼結体を製造する場合に、焼き締めを首尾よく行うことができ、ポアの少ない緻密な焼結体が得られやすい点から有利である。
焼成条件の具体例は次のとおりである。焼成温度は、好ましくは750〜1200℃、更に好ましくは800〜1150℃である。焼成時間は0.5〜15時間、更に好ましくは0.5〜12時間である。この焼成温度は、従来採用されていた焼成温度よりも低いものである。また焼成時間に関しても、従来の時間よりも短いものである。
以上の工程を経て得られたカルシウム−マンガン複合酸化物は、単相のものとなる。ここで言う単相とは、生成物中に反応原料がほとんど残存しておらず、かつ単一の組成の物質のみで構成されていることである。生成したカルシウム−マンガン複合酸化物は、原料としてカルシウム源及びマンガン源のみを用いた場合には、CaMnO3で表される化合物となる。これに対して、上述した第1群金属元素や第2群金属元素を用いた場合には、以下の式(1)又は(2)で表される化合物となる。
Ca1-x1 xMn1-y2 yz (1)
(式中、M1は第1群金属元素であり、M2は第2群金属元素である。x、y及びzはそれぞれ次の範囲である:0≦x≦0.5、0≦y≦0.2、2.7≦z≦3.3)
(Ca1-s3 s2Mn1-t4 tu (2)
(式中、M3は第1群金属元素であり、M4は第2群金属元素である。s、t及びuはそれぞれ次の範囲である:0≦s≦0.5、0≦t≦0.2、3.6≦u≦4.4)
(1)の化合物が生成するか、それとも(2)の化合物が生成するかは、焼成条件(酸素分圧、焼成温度、焼成時間)に依存する。いずれの化合物が生成しても、それらは熱電変換材料として有用なものである。
本発明の方法に従い製造されたカルシウム−マンガン複合酸化物は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって測定された一次粒子の平均粒径が好ましくは0.01〜2.0μm、更に好ましくは0.01〜1.0μmという微粒のものである。また、光散乱法によって測定された二次粒子径は好ましくは2〜500μm、更に好ましくは10〜300μmである。更に、X線回折法によって測定された結晶子径は好ましくは10〜75nm、更に好ましくは10〜70nmである。
このようにして得られたカルシウム−マンガン複合酸化物は、これを所定の形状を有する金型に充填し、加圧下に加熱して焼結させることで、所定の形状を有する焼結体となる。上述のとおり、カルシウム−マンガン複合酸化物は微粒のものなので、金型に充填するときの充填密度が高くなる。その結果、焼結を首尾よく行うことができ、ポアの発生が少ない緻密な焼結体となる。焼結に際しては、ポリビニルアルコール等の結着剤や、Bi23、V25、CuO、SiO2等の低融点酸化物からなる焼結助剤を併用してもよい。
本発明においては、上述の方法で得られたカルシウム−マンガン複合酸化物を焼結工程に付す前に、該カルシウム−マンガン複合酸化物を再び分散媒と混合してスラリーを調製し、このスラリーをメディアミルによって湿式粉砕し、粉砕後のスラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となしてもよい。これら一連の工程を行うことで、焼結性が一層良好なカルシウム−マンガン複合酸化物を得ることができる。これら一連の工程は、先に述べた(イ)ないし(ニ)の工程に対応するものなので、一連の工程における条件は、(イ)ないし(ニ)の工程に関して詳述した条件と同様の条件とすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
炭酸カルシウム(平均粒径1.6μm)及び酸化マンガン(平均粒径3.5μm)を、カルシウムとマンガンのモル比が1.0:1.0となるように秤量しタンクに仕込んだ。タンクに水と分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を加え、固形分濃度が30%のスラリーを調製した。分散剤の濃度は2%であった。
スラリーを攪拌しながら、直径0.5mmのジルコニアビーズを仕込んだメディア攪拌型ビーズミルに供給し、90分間混合して湿式粉砕を行った。スラリーの粘度は0.09Pa・s(25℃)であった。湿式粉砕後のスラリー中の原料混合物をSEM観察すると、約0.1μm程度の一次粒子が凝集して二次粒子を形成していた。その二次粒子の平均粒径を光散乱法により測定すると0.4μmであった。
次いで、200℃に設定したスプレードライヤーに、3L/hの供給速度でスラリーを供給し、乾燥原料を得た。乾燥原料の平均粒径は21μm、比表面積は51m2/g、見掛け密度は1.0g/cm3であった。乾燥原料を電気炉に仕込み、大気下に850℃にて5時間静置状態で焼成した。焼成品についてX線回折測定を行い、CaMnO3の単相が得られていることを確認した。X線回折パターンを図1に示す。また、焼成品の一次粒子の平均粒径を、SEMで観察した視野内の50個の粒子の直径を測定して平均をとることにより算出したところ、0.21μmであった。また、光散乱法により測定した二次粒子の平均粒径は22μmであった。更に、X線回折測定によって得られた結晶子径は60nmであった。焼成品のSEM像を図2(a)に示す。
焼成品をφ5mmの金型に仕込み、2t/cm2の圧力で加圧して成形体を作成した。成形体を電気炉に仕込み、1250℃で12時間加熱処理をし、焼結体を製造した。得られた焼結体の密度は4.19g/cm3であった。
〔比較例1〕
本比較例においては、湿式粉砕及びスプレードライ法を行わなかった。すなわち、炭酸カルシウム(平均粒径1.6μm)及び酸化マンガン(平均粒径3.5μm)を、カルシウムとマンガンのモル比が1.0:1.0となるように秤量し、ミキサーで5分間乾式混合した。混合原料を電気炉に仕込み850℃で5時間焼成した。焼成品についてX線回折測定を行ったところ、CaMnO3以外に、原料に由来する多くの不純物ピークが確認された。X線回折パターンを図1に示す。実施例1と同様の方法により測定した焼成品の一次粒子の平均粒径は表1に示すとおりであった。焼成品を実施例1と同様の条件で焼結させて焼結体を製造したところ、焼結体の密度は表1に示すとおりであった。
〔比較例2〕
焼成温度を1250℃とする以外は、比較例1と同様にして焼成品を得た。焼成品についてX線回折測定を行ったところ、CaMnO3の単相が得られていることを確認した。X線回折パターンを図1に示す。実施例1と同様の方法により測定した焼成品の一次粒子の平均粒径は表1に示すとおりであった。焼成品のSEM像を図2(b)に示す。焼成品を実施例1と同様の条件で焼結させて焼結体を製造したところ、焼結体の密度は表1に示すとおりであった。
実施例1と比較例1との対比から明らかなように、実施例の方法で得られたカルシウム−マンガン複合酸化物は、単相のものであり、一次粒子の平均粒径が小さいことが判る。そして、このカルシウム−マンガン複合酸化物を原料として得られた焼結体は、密度が高く緻密なものであることが判る。また、実施例1と比較例2との対比から明らかなように、焼成温度を高く(1250℃)すれば、従来の方法でも単相のカルシウム−マンガン複合酸化物が得られるものの、一次粒子の平均粒径が大きく、焼結体の密度が低くなってしまうことが判る。

Claims (5)

  1. カルシウム源及びマンガン源を分散媒と混合してスラリーを調製し、このスラリーをメディアミルによって湿式粉砕し、粉砕後のスラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となし、この乾燥粉体を焼成することを特徴とするカルシウム−マンガン複合酸化物の製造方法。
  2. 前記の焼成を750〜1200℃で行う請求項1記載の製造方法。
  3. 前記の乾燥粉体の比表面積が30〜80m2/gとなるように湿式粉砕及びスプレードライ法を行う請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 粉砕後の前記スラリー中に含まれる粒子の平均粒径が0.1〜2.0μmとなるように湿式粉砕を行う請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記の焼成によって得られたカルシウム−マンガン複合酸化物を再び分散媒と混合してスラリーを調製し、このスラリーをメディアミルによって湿式粉砕し、粉砕後のスラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となす請求項1ないし4のいずれかに記載の製造方法。
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