JP2018095524A - ペロブスカイト型複合酸化物の製造方法 - Google Patents

ペロブスカイト型複合酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、比表面積が大きく高活性なペロブスカイト型複合酸化物を容易に製造できる方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係るペロブスカイト型複合酸化物の製造方法は、少なくとも、上記ペロブスカイト型複合酸化物を構成する各金属元素成分を含む金属化合物と、分子中に水酸基および/またはアミノ基を有するジカルボン酸化合物とを溶媒に溶解して溶液を得る工程、上記溶液から上記ペロブスカイト型複合酸化物の前駆体を調製する工程、および、上記前駆体を焼成して上記ペロブスカイト型複合酸化物を得る工程を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、比表面積が大きく高活性なペロブスカイト型複合酸化物を容易に製造できる方法に関するものである。
ペロブスカイト型複合酸化物の中には、高い触媒活性、高誘電率、低誘電損失、超伝導特性など、非常に有用な特性を示すものがある。その上、ペロブスカイト型複合酸化物は緻密な結晶構造を有し、耐熱性や伝導性などに優れるため、触媒、圧電体、強誘電体、磁性材料などの工業材料などとして有用である。
ペロブスカイト型複合酸化物は、かつて各酸化物の粉末を混合した後に1000℃以上といった高温で焼成することにより製造されていた。しかし高温での焼成を経ると、粒子が成長したり結着するなどして比表面積が低下し、触媒活性などが低下してしまうという問題があった。そこで、各構成金属元素の硝酸塩とクエン酸の溶液を調製して当該溶液から得られるクエン酸錯体を700℃といった比較的低温で焼成するクエン酸錯体法が開発されていた。
しかしクエン酸錯体法には、クエン酸錯体溶液中の各成分濃度が極めて薄く、溶媒を蒸発させて固形分を取り出すまでに長時間を要し、また、組成均一性が低いという問題があったことから、特許文献1の発明では、各構成金属の塩をエチレングリコールなどと混合し、当該混合物を乾燥した後に焼成している。当該発明により、焼成温度を比較的低くすることができ、比表面積が12m2/gと11m2/gのペロブスカイト型複合酸化物が製造されている。
また、特許文献2には、比表面積の記載は無いが、複合酸化物中における貴金属元素の分散度を改善してペロブスカイト型複合酸化物の触媒活性や吸着活性などを向上させるべく、クエン酸錯体を真空中や不活性ガス中で加熱した後に700〜950℃の温度で焼成することが記載されている。
高比表面積を有するペロブスカイト型複合酸化物を製造するための発明として、特許文献3には、前駆体スラリーをその平均粒子径が1.0μm以下になるまで湿式粉砕して、比表面積が約30m2/gまでのペロブスカイト型複合酸化物が製造できることが示されている。
また、比表面積の増加を課題とするものではないが、特許文献4には、アルカリ水溶液に各構成金属の塩を添加して得られた水酸化物または水和物を含む懸濁液のpHを調製した後に水熱処理をすることにより、平均粒子径が5nm以上50nmと微細なペロブスカイト型複合酸化物粒子を製造する発明が記載されている。
特許文献5には、一次粒子径のばらつきが低減されたペロブスカイト型複合酸化物粉末を製造するために、各構成金属元素を含む化合物のスラリーに、マレイン酸、酒石酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸など、偶数個のカルボキシ基を有し且つ全てのカルボキシ基が対になっている有機酸やその酸無水物などを添加することが記載されている。
特開平4−254419号公報 特開平6−100319号公報 特開2014−118330号公報 特開2007−84390号公報 特開2015−166302号公報
上述したように、高比表面積のペロブスカイト型複合酸化物を製造するための技術は開発されている。しかし、特許文献1の発明で得られる比表面積では不十分であり、改善の余地がある。また、特許文献3の発明では約30m2/gといった高比表面積のペロブスカイト型複合酸化物が製造されているが、前駆体スラリーに含まれる固形分をその平均粒子径が1.0μm以下になるまで湿式粉砕しなければならない。このようにナノメーターレベルまでの粉砕には多大なエネルギーや時間を要し、また、微細に粉砕するほど粒子間のファンデルワールス力が大きくなって凝集するため、界面活性剤の使用も必要となってくる。スラリー中に界面活性剤が含まれると、前駆体の乾燥や焼成の際に余分なエネルギーや時間が必要となり、全体の製造効率が低下してしまう。その他、硝酸塩を原料として用いるクエン酸錯体法には、クエン酸錯体の調製に手間がかかるという問題があった。
そこで本発明は、比表面積が大きく高活性なペロブスカイト型複合酸化物を容易に製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、原料化合物の溶液へ、前駆体への添加剤として従来用いられていたクエン酸に代わりに特定のジカルボン酸化合物を添加することによって、前駆体スラリーを微粉砕するといった処理をすることなく、比表面積が大きいペロブスカイト型複合酸化物を容易に製造できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] ペロブスカイト型複合酸化物を製造するための方法であって、
少なくとも、上記ペロブスカイト型複合酸化物を構成する各金属元素成分を含む金属化合物と、分子中に水酸基および/またはアミノ基を有するジカルボン酸化合物とを溶媒に溶解して溶液を得る工程、
上記溶液から上記ペロブスカイト型複合酸化物の前駆体を調製する工程、および、
上記前駆体を焼成して上記ペロブスカイト型複合酸化物を得る工程を含むことを特徴とする方法。
[2] 上記前駆体を500℃以上650℃未満で熱処理する上記[1]に記載の方法。
[3] 上記ジカルボン酸化合物がリンゴ酸および/またはアスパラギン酸である上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 上記金属化合物が、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、リン酸塩および有機酸塩から選ばれる少なくとも1種以上である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 上記ペロブスカイト型複合酸化物が、一般式ABO3-x(式中、Aは希土類元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し;Bは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金およびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し;0≦x≦0.5である)で表されるものである上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
本発明方法によれば、原料金属化合物や前駆体スラリーの固形分を微粉砕するといった高エネルギーを要する処理をすることなく、ペロブスカイト型複合酸化物を簡便に製造することができる。その上、本発明方法で製造されるペロブスカイト型複合酸化物の比表面積は大きい。よって本発明は、種々の特性に優れたペロブスカイト型複合酸化物を効率的に製造できる技術として、産業上非常に優れている。
以下、本発明に係るペロブスカイト型複合酸化物の製造方法を工程毎に説明する。
1.前駆体溶液の調製工程
本工程では、少なくとも、上記ペロブスカイト型複合酸化物を構成する各金属元素成分を含む金属化合物と、分子中に水酸基および/またはアミノ基を有するジカルボン酸化合物とを溶媒に溶解して溶液を得る。
ペロブスカイト型複合酸化物は、灰チタン石CaTiO3と同様の結晶構造を有する複合酸化物であり、一般式ABO3-xで表される。Aサイトを構成する金属元素としては、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)から選択されるアルカリ土類金属元素;ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などの希土類金属元素;マグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などその他の金属元素から選択される少なくとも1種の金属元素を挙げることができ、好ましくはアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種の金属元素である。
Bサイトを構成する金属元素としては、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、アンチモン(Sb)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素などを挙げることができ、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金およびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素が好ましい。
上記式中、xは酸素欠陥を示し、通常は0≦x≦0.5であり、好ましくは0≦x≦0.2である。
本発明方法は、目的化合物であるペロブスカイト型複合酸化物を構成する各金属元素成分を含む金属化合物を溶媒に溶解して溶液を調製することを特徴の一つとする。よって、原料金属化合物としては、各金属元素成分を含み且つ溶媒に可溶なものを選択する。かかる原料金属化合物としては、金属単体、酸化物、アルコキシド、塩化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩および有機酸塩などを挙げることができ、本発明で用いるジカルボン酸化合物との溶液中での錯形成が容易になることから、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、リン酸塩および有機酸塩から選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。有機酸塩としては、蟻酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩などを挙げることができる。
各金属化合物の使用量は、目的とするペロブスカイト型複合酸化物における各金属のモル比に応じて調整する。
本発明では、上記原料金属化合物の溶液に、分子中に水酸基および/またはアミノ基並びに2つのカルボキシ基を有するジカルボン酸化合物も溶解させる。当該ジカルボン酸化合物の作用効果は必ずしも明らかではないが、上記原料金属化合物を溶解することにより生じる各金属イオンと錯体を形成して、比較的低温で焼成され易いペロブスカイト型複合酸化物前駆体を形成すると考えられる。
上記ジカルボン酸化合物における水酸基およびアミノ基の数は特に制限されず、適宜選択すればよいが、上記ジカルボン酸化合物としては分子中に1つの水酸基または1つのアミノ基を有するものが好ましい。また、上記ジカルボン酸化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、水溶性の向上のため、当該ジカルボン酸化合物として、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩を用いてもよい。
上記ジカルボン酸化合物としては、1つの水酸基を有するものとして、リンゴ酸、ヒドロキシシクロヘキサンジカルボン酸、2−ヒドロキシ−2−ブテンジカルボン酸、ヒドロキシテレフタル酸を挙げることができ、1つのアミノ基を有するものとして、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピロリジンジカルボン酸、イミダゾールジカルボン酸を挙げることができる。上記ジカルボン酸化合物としては、リンゴ酸および/またはアスパラギン酸が好ましい。
上記ジカルボン酸化合物の使用量は、適宜調整すればよいが、例えば、上記金属化合物100質量部に対して、60質量部以上120質量部以下が好ましい。当該割合が少な過ぎると、上記ジカルボン酸化合物と金属との錯形成が不十分となって得られるペロブスカイト型複合酸化物の比表面積が小さくなるおそれがあり得る。一方、当該割合が多過ぎると、前駆体の焼成時において有機質が多くなり焼成温度を上げる必要が生じてやはり得られるペロブスカイト型複合酸化物の比表面積が小さくなるおそれがあり得る。当該割合としては、65質量部以上がより好ましく、70質量部以上がさらに好ましく、75質量部以上がよりさらに好ましく、また、110質量部以下または100質量部以下がより好ましく、95質量部以下がさらに好ましく、90質量部以下がよりさらに好ましい。
本発明では、溶媒として水を用いることが好ましい。水としては、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水など、金属成分を含まないか或いは金属成分の含有量が極微量であるものを用いることが好ましい。
上記金属化合物と上記ジカルボン酸化合物の両方を水のみに溶解し難い場合には、溶媒として水と水混和性有機溶媒との混合溶媒を用いてもよい。水混和性有機溶媒は、水に対して無制限に混和できる有機溶媒をいい、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール溶媒;アセトニトリルなどの低級ニトリル溶媒;アセトンなどの低級ケトン溶媒;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド溶媒を挙げることができる。水混和性有機溶媒を併用する場合には、水との混合溶媒に占める水混和性有機溶媒の割合としては50質量%以下が好ましく、40質量%以下、30質量%以下または20質量%以下がより好ましく、10質量%以下または5質量%以下がよりさらに好ましい。
溶媒の使用量は、上記金属化合物と上記ジカルボン酸化合物を十分に溶解できる範囲で適宜調整すればよいが、例えば、溶液における上記金属化合物と上記ジカルボン酸化合物の合計濃度が2質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。当該濃度が低過ぎると、溶媒の除去に過剰なエネルギーを要するおそれがあり得る。一方、当該濃度が高過ぎると、上記金属化合物と上記ジカルボン酸化合物の両方を十分に溶解できずに錯形成が不十分となって得られるペロブスカイト型複合酸化物の比表面積が小さくなるおそれがあり得る。上記濃度としては、4質量%以上または5質量%以上がより好ましく、6質量%以上または7質量%以上がさらに好ましく、また、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
上記溶液には、金属化合物とジカルボン酸化合物以外にも、錯形成や焼成などを促進するための成分を添加溶解してもよい。
溶液を作製するためには、上記金属化合物と上記ジカルボン酸化合物と溶媒を混合すればよい。混合効率を高めるために、攪拌したり、40℃以上60℃以下程度で加温してもよい。或いは、酸や塩基を添加してpHを調整してもよい。pHを調整するための酸や塩基としては、ペロブスカイト型複合酸化物を構成するような金属元素を含まないものを用いることが好ましい。
2.前駆体の調製工程
本工程では、得られた金属化合物/ジカルボン酸化合物溶液から、目的化合物であるペロブスカイト型複合酸化物の前駆体を調製する。一般的に、各構成金属元素成分の溶液からペロブスカイト型複合酸化物の前駆体を調製する場合には、共沈法やゾル・ゲル法などが用いられている。しかし特に共沈法では、各構成金属元素成分の溶解度の差により組成制御が難しく、均質な前駆体が得られない場合があり得る。よって、本発明でも前駆体の調製のために共沈法やゾル・ゲル法などの公知方法を用いてもよいが、各金属化合物の使用量を目的とするペロブスカイト型複合酸化物における各金属のモル比に応じて調整し、得られた溶液を直接濃縮および乾燥することによって完全にアモルファスな前駆体を調製することが好ましい。なお、溶液を直接濃縮・乾燥して前駆体を得る方法も、一種のゾル・ゲル法と理解することが可能である。
溶液の濃縮乾燥方法は特に制限されず、公知方法を用いればよい。例えば、加熱により溶媒を留去すればよく、その際、温度の抑制や効率化のために減圧してもよい。また、省エネルギーのために、噴霧乾燥法や薄膜乾燥法を用いてもよい。
3.焼成工程
本工程では、上記前駆体を焼成することにより、目的化合物であるペロブスカイト型複合酸化物を得る。本発明で得られる上記前駆体は完全にアモルファスであるので、比較的低温での焼成が可能であり、高比表面積を有するペロブスカイト型複合酸化物が得られる。
具体的な焼成温度は、ペロブスカイト型複合酸化物が得られる範囲で適宜調整すればよいが、例えば、500℃以上650℃未満とすることができる。当該温度としては、550℃以上がより好ましく、また、620℃以下がより好ましく、600℃以下がさらに好ましい。
4.ペロブスカイト型複合酸化物
本発明方法で製造されるペロブスカイト型複合酸化物は、比較的低温での焼成で得られるものであるため、比表面積が大きく高性能なものである。比表面積としては、例えば30m2/g以上であり、40m2/g以上がより好ましく、45m2/g以上がさらに好ましい。比表面積の上限は特に制限されないが、過剰に大きいと強度が十分でないおそれがあり得るため、100m2/g以下がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
先ず、製造した複合酸化物の評価方法を記載する。
試験例1: 比表面積の測定
製造されたペロブスカイト型複合酸化物試料を測定セルに取り、減圧下、150℃で1時間前処理をした。次いで、全自動比表面積測定装置(型式「Nova−4200e」カンタクローム社製)を用い、窒素ガス気流中、液体窒素温度で維持し、吸着等温線を測定した。吸着ガスの平行相対圧力P/P0が0.05〜0.30の範囲でBET吸着等温式を用いて比表面積を算出した。
試験例2: 粉末X線回折測定
製造されたペロブスカイト型複合酸化物試料を乳鉢で粉砕し、得られた粉末を試料板に充填して、粉末X線回折装置(型式「Ultima IV」リガク社製)により粉末X線回折測定を行った。測定条件は以下の通りである。
線源: CuKα 操作軸: 2θ/θ
測定形式: 連続式 電圧: 40kV
電流: 40mA 開始角度: 10°
終了角度: 80° サンプリング幅: 0.02°
スキャン速度: 20°/min
実施例1
酢酸ストロンチウム0.5水和物(5.64g)、酢酸マンガン4水和物(6.44g)、およびL−アスパラギン酸(10.48g)をイオン交換水(250mL)に溶解させた後、ロータリーエバポレーターを使って70℃で約1時間乾燥させて粉体を得た。さらに、酢酸などのその他の成分を除去するために得られた粉体を190℃で1時間乾燥させ、前駆体を得た。得られた前駆体を粉末X線回折測定に付したところ、結晶に由来するピークは確認されず、アモルファスであった。続いて、前駆体を空気雰囲気中550℃で5時間焼成することにより、複合酸化物を得た。得られた複合酸化物は、元素分析からSr46.08%、Mn27.33%であり、X線回折分析からSrMnO3のペロブスカイト型複合酸化物結晶と特定された。さらに、比表面積は47m2/gであった。
実施例2
L−アスパラギン酸をリンゴ酸(10.56g)に変更した以外は上記実施例1と同様にして、複合酸化物を得た。得られた複合酸化物は、元素分析からSr48.33%、Mn28.82%であり、X線回折分析からSrMnO3のペロブスカイト型複合酸化物結晶であると特定された。さらに、比表面積は42m2/gであった。
実施例3
酢酸バリウム(6.71g)、酢酸マンガン4水和物(6.44g)、およびリンゴ酸(10.56g)をイオン交換水(250mL)に溶解させた後、ロータリーエバポレーターを使って70℃で約1時間乾燥させて粉体を得た。さらに、酢酸などのその他の成分を除去するために得られた粉体を190℃で1時間乾燥させ、前駆体を得た。得られた前駆体を粉末X線回折測定に付したところ、結晶に由来するピークは確認されず、アモルファスであった。続いて、前駆体を空気雰囲気中500℃で5時間焼成することにより、複合酸化物を得た。得られた複合酸化物は、元素分析からBa56.49%、Mn21.93%であり、X線回折分析からBaMnO3のペロブスカイト型複合酸化物結晶と特定された。さらに、比表面積は30m2/gであった。
比較例1
実施例1においてL−アスパラギン酸をクエン酸(10.08g)に変更した以外は同様にして、複合酸化物を製造した。得られた複合酸化物をX線回折分析に付したところ、ペロブスカイト型複合酸化物であるSrMnO3とSrCO3の混晶であると特定された。
このように、クエン酸を用いた場合には、550℃という比較的低い焼成温度ではペロブスカイト型複合酸化物を良好に製造できないことが明らかとなった。なお、当該酸化物の比表面積は27m2/gであった。
比較例2
比較例1において焼成温度を650℃に変更した以外は同様にして、複合酸化物を得た。得られた複合酸化物は、元素分析からSr45.10%、Mn29.06%であり、X線回折分析からSrMnO3のペロブスカイト型複合酸化物結晶と特定された。さらに、比表面積は18m2/gであった。
かかる結果の通り、クエン酸を用いた場合にはペロブスカイト型複合酸化物を得るために焼成温度を比較的高くせざるを得ず、そのために比表面積が小さい結晶しか得られなかった。
比較例3
硝酸ストロンチウム(22.12g)、硝酸マンガン6水和物(2.87g)、およびクエン酸(15.4g)をイオン交換水(50mL)に溶解させた。次にエチレングリコール(25.0mL)を加えて攪拌し、淡黄色透明溶液を得た。エバポレーターを用い、60℃で溶液を濃縮して黄色透明溶液を得た。ホットスターラーを用い、得られた溶液を攪拌しながら190℃まで徐々に昇温し、暗褐色のゲルを得た。さらに250℃、次いで300℃に加熱して熱分解することにより粉体を得た。自動乳鉢をつかって得られた粉体を1時間粉砕した後、650℃で焼成した。焼成後の粉体を水洗した後に真空乾燥して複合酸化物を得た。得られた複合酸化物は、元素分析からSr45.25%、Mn27.65%であり、X線回折分析からSrMnO3のペロブスカイト型複合酸化物結晶と特定された。さらに、比表面積は25m2/gであった。
上記結果の通り、クエン酸と出発原料化合物として硝酸塩を用いる従来方法により、焼成温度を650℃にしても比表面積が比較的大きいペロブスカイト型複合酸化物結晶を得ることができた。しかし上記の従来方法では、上記の通りクエン酸錯体の形成のために煩雑な操作が必要である。
比較例4
炭酸ストロンチウム(2.95g)および酸化マンガン(1.42g)をアルミナ乳鉢中で混合し、次にエタノールを加えて湿式混合して前駆体を得た。得られた前駆体を1300℃で5時間焼成することにより、複合酸化物を得た。得られた複合酸化物は、X線回折分析からBaMnO3のペロブスカイト型複合酸化物結晶であると特定された。さらに、比表面積は2m2/gであった。このように、特定のジカルボン酸を用いない場合には、ペロブスカイト型複合酸化物の製造には高温での焼成処理が必要となり、比表面積の小さなものしか得られなかった。

Claims (5)

  1. ペロブスカイト型複合酸化物を製造するための方法であって、
    少なくとも、上記ペロブスカイト型複合酸化物を構成する各金属元素成分を含む金属化合物と、分子中に水酸基および/またはアミノ基を有するジカルボン酸化合物とを溶媒に溶解して溶液を得る工程、
    上記溶液から上記ペロブスカイト型複合酸化物の前駆体を調製する工程、および、
    上記前駆体を焼成して上記ペロブスカイト型複合酸化物を得る工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 上記前駆体を500℃以上650℃未満で熱処理する請求項1に記載の方法。
  3. 上記ジカルボン酸化合物がリンゴ酸および/またはアスパラギン酸である請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記金属化合物が、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、リン酸塩および有機酸塩から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 上記ペロブスカイト型複合酸化物が、一般式ABO3-x(式中、Aは希土類元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し;Bは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金およびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し;0≦x≦0.5である)で表されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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