JP6124629B2 - ガレート複合酸化物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物の製造方法に関する。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、電解質として酸素イオン導電性を示す固体電解質を用いた燃料電池で、起電力を生じる電気化学反応が水素の酸化反応であり、炭酸ガスを発生させないため、クリーンエネルギー源として注目されている。固体酸化物型燃料電池は、一般に、酸化物である空気極と固体電解質と燃料極とからなる単セルをインターコネクターによって接続したスタック構造を有している。その動作温度は、通常1000℃程度であり、種々の検討により、近年低温化し、実用化されているものの最低温度は600℃以上と依然として高温である。
現在、800℃程度で動作する固体酸化物型燃料電池の固体電解質に用いられるセラミックス材料は、安定化ジルコニアが主流であり、安定化剤としては2価のアルカリ土類金属の酸化物や希土類酸化物、例えばカルシア、マグネシア、スカンジア、イットリアなどが用いられている。
低温で使用できる他の固体電解質としてはペロブスカイト構造の複合酸化物があり、研究開発が推進されている。ペロブスカイト構造の複合酸化物は通常、AおよびBを金属元素の陽イオン、Oを酸素イオンとしたときにABOから成る化合物である。例えば、BaCe0.9Gd0.1、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2、CaAl0.1Ti0.9とSrZr0.9Sc0.1などがある。中でも、La1−xSrGa1−y Mg系の化合物については、T.Ishiharaらや、M.FengとJ.B.Goodenough、T.−Y.Chenらにより報告されており、低温、酸化還元雰囲気下での高い酸素イオン伝導性が期待されている。(非特許文献1、2、3参照)
La1−xSrGa1−yMgの製造方法としては、一般的な複合酸化物の製造方法である固相法やクエン酸塩法などの液相法が使用されるが、単相のペロブスカイト構造を有するLa1−xSrGa1−yMg(113相)を製造することは難しい。また、一般的な複合酸化物の製造方法ではLaSrGaO(214相)や、LaSrGa(237相)などの不純物相が生じやすい。
非特許文献3には、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2の製造方法として、原料酸化物を含む原料混合物粉末を99.8%エタノール中で湿式ボールミル粉砕した後、乾燥し、1373Kで焼成して仮焼成粉を製造し、この仮焼成粉を再粉砕した後、直径25mm厚さ4mmの円盤状に200MPaで加圧成形して得たペレットを1773Kで本焼成する方法が記載されている。しかし、エタノール中での粉砕は、火災や毒性の危険が大きく、また、固体酸化物燃料電池用の固体電解質粉末に用いるためには、仮焼成粉の高圧でのペレット成形工程と、本焼成後のペレットの再粉砕工程とを必要とするので、工業的な製法に採用することは困難である。
特許文献1には、 ガレート複合酸化物が次式(1)
Ln1−XGa1−Y−Z3−δ …(1)
(ただし、式(1)において、Lnがランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素、Aはストロンチウム、カルシウム、バリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素、Bはマグネシウム、アルミニウム、インジウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素、Cは鉄、コバルト、ニッケル、マンガンからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.05≦x≦0.4,0.02≦y≦0.4,0.1≦y+z≦0.45,0≦δ≦1である。)で表されるペロブスカイト構造を有する固体酸化物燃料電池用複合酸化物が記載されている。
さらに、走査型電子顕微鏡写真の画像解析により求めた、該複合酸化物中のペロブスカイト構造を有する相と異なる相の存在比率が面積分率で0.3%以下であることを特徴とする固体酸化物燃料電池用複合酸化物と、その製造方法として、Ln原料およびGa原料がいずれも水酸化物であり、かつ、A原料が炭酸塩であることを特徴の一つとするクエン酸塩法が記載されている。
しかし、実施例1〜4の複合酸化物のX線回折パターンを詳細に観察すると、113相の他に不純物相である214相や237相が観察でき、生成物である複合酸化物の結晶相がペロブスカイト構造単相になっていないことが分かる。
特許文献2には、ランタンガレート系酸化物を母材とする焼結体であって、スカンジア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、またはカルシア安定化ジルコニアである蛍石型酸素イオン伝導体を含む粒子が前記母材中に分散されてなる焼結体と、その放電プラズマ焼結法による製造方法が記載されている。実施例1にはランタンガレート材料の固相法による製造方法として、所定量のランタンガレートの原料粉末を秤量し、ボールミルによりアルコール中で24時間混合することにより得たスラリーを乾燥させた後、1150℃、6時間、大気中で仮焼成して仮焼成粉とし、その仮焼成粉を再度ボールミルで平均粒径が0.8μm以下となるようにアルコール中で粉砕した後、乾燥し、さらに1400℃、6時間、大気中で焼成したことや、その後、再度ボールミルで平均粒径が0.8μm以下となるようにアルコール中で粉砕することによりランタンガレート化合物粉末としたことが記載されている。しかし、アルコール中での粉砕は、火災や毒性の危険が大きく、工業的な製造法としての使用は困難であり、また得られるランタンガレートの純度についての記載もない。
特許第4393027号 特開2003−317744号
J.Am .Chem.Soc.,116,3801−3803(1994) Eur. J.Solid. State Inorg.Chem.31,663−672(1994) J.Alloys.Compounds,368,106−115(2004)
本発明者らは、従来の製造方法では、単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物が工業的に得にくいという問題があることを認識した。
本発明の目的は、固体酸化物型燃料電池用固体電解質材料として好適な単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物を得るための工業的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究したところ、下記する工程(1)〜(4)を含む製造方法により単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の[1]〜[8]を要旨とするものである。
[1]下記の工程(1)〜(4)を含む一般式(1)で示されるペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物の製造方法。
Ln1−xGa1−y3−δ …(1)
(ただし、式(1)において、Lnがランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素、Aはストロンチウム、カルシウムおよびバリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素、Bはマグネシウム、アルミニウム、鉄およびインジウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素、0.05≦x≦0.22、0.15≦y≦0.22、0≦δ≦0.22である。)
工程(1):Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程、
工程(2):前記粉末を1000℃〜1300℃で焼成し、仮焼成粉を得る工程、
工程(3):前記仮焼成粉を粉砕し、体積平均粒径(D50)が0.49μm以下である粉砕仮焼成粉を得る工程、
工程(4):前記粉砕仮焼成粉を1380℃〜1520℃で焼成する工程。
[2]工程(1)が、Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する複数の原料金属化合物を乾式で混合あるいは混合・粉砕してLn、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程である上記[1]に記載の製造方法。
〔3〕工程(1)が、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素(但し、炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい)と、低級アルコールとを含有する媒体の存在下で、Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する複数の原料金属化合物を混合あるいは混合・粉砕し、媒体を除去して、体積平均粒径が5μm以下であるLn、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程である上記〔1〕に記載の製造方法。
〔4〕工程(1)が、Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する単独の、または複数の原料金属化合物とクエン酸とを反応して得られるクエン酸塩スラリーを噴霧乾燥して Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程である上記〔1〕に記載の製造方法。
〔5〕工程(3)が、前記仮焼成粉を、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素(但し、炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい)と、低級アルコールとを含有する媒体の存在下で粉砕し、次いで、前記媒体を除去して、粉砕仮焼成粉を得る工程である上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕前記媒体が引火点を有さない、上記〔3〕または〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕Lnがランタンであり、Aがストロンチウムであり、かつBがマグネシウムである、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕前記原料金属化合物が、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および有機酸塩からなる群より選択される1種以上の化合物であることを特徴とする上記〔2〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、従来の製造方法では工業的に得にくかった単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合粉末の製造方法が提供される。
実施例1におけるLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85のX線回折パターン図。 実施例1におけるLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85のX線回折パターン図の拡大図。
本発明の製造方法で得られるガレート複合酸化物は、式(1)で示される単相のペロブスカイト構造を有する。
Ln1−xGa1−y3−δ …(1)
ただし、式(1)において、Lnがランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)およびジスプロシウム(Dy)からなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、Aはストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Bはマグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)およびインジウム(In)からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。またAとBの組成を表わすxとyは、それぞれ0.05≦x≦0.22、0.15≦y≦0.22であり,酸素の欠損量を表わすδは0≦δ≦0.22であり、AやBの価数や焼成条件などにより決まる量である。ここで、式中、x、y、δの範囲が0.05≦x≦0.22、0.15≦y≦0.22であることは、本発明に係わる製造方法において単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物が得られる組成範囲である。
本発明において、単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物とは、X線源にCuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ベースラインの強度の平均値をaとし標準偏差をσとしたときに、不純物相である31.5°付近におけるLaSrGaO(214相)に相当する回折強度と、30°付近におけるLaSrGa(237相)に相当する回折強度がa+6σ以下であることを意味する。
本発明の単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物は、不純物相であるLaSrGaO(214相)や、LaSrGa(237相)を含まないので、ガレート複合酸化物の酸素イオン伝導度を高くできる。従って、本発明の単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物は、固体酸化物燃料電池用の固体電解質として好適である。
式(1)において、Lnは、Laであるのが好ましく、Aは、Srであるのが好ましく、BはMgまたはFeであるのが好ましい。Bは、Mgであるのがさらに好ましい。xは、0.05〜0.20であるのが好ましく、yは、0.15〜0.20であるのが好ましい。また、δは、0.1〜0.2であるのが好ましい。
具体的には、式(1)式で表されるガレート複合酸化物の一例としては、例えば以下のようなものが挙げられるが、もちろんこれに限定されるものではない。
La0.95Sr0.05Ga0.85Mg0.152.90
(式(I)において、Ln=La、A=Sr、B=Mgでありx=0.05、y=0.15、δ=0.1である。)
La0.9Sr0.1Ga0.85Mg0.152.875
(式(I)において、Ln=La、A=Sr、B=Mgでありx=0.1、y=0.15、δ=0.125である。)
La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85
(式(I)において、Ln=La、A=Sr、B=Mgでありx=0.1、y=0.2、δ=0.15である。)
La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80
(式(I)において、Ln=La、A=Sr、B=Mgでありx=0.2、y=0.2、δ=0.2である。)
La0.8Sr0.2Ga0.8Fe0.22.80
(式(I)において、Ln=La、A=Sr、B=Feでありx=0.2、y=0.2、δ=0.2である。)
以下、本発明に係るガレート複合酸化物粉末からなる固体酸化物型燃料電池用複合酸化物の製造方法についてさらに具体的に説明する。
(原料金属化合物)
本発明に係る下記の式(1)で表わされるガレート複合酸化物の原料金属化合物となる金属元素含有化合物は、通常使用されるものを好適に使用することができ、たとえばLn、A、Ga、およびBについて、それらの各元素の1つ以上を含む、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、または有機酸塩などが好ましい。Ln、A、Ga、およびBのうち少なくとも1つを含む酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、または有機酸塩などを使用してガレート複合酸化物を製造すると単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物を得やすいためである。
Ln1−xGa1−y3−δ …(1)
なかでも、原料金属化合物は、環境的な側面、入手し易さの理由から、酸化物、水酸化物、または炭酸塩が好ましい。
(工程(1))
上記の原料金属化合物を、単独により、または、複数混合することにより、Ln、A、Ga、B各元素が式(1)で表わされる目的の組成である、1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程である。
単独の原料金属化合物を使用し、Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る場合、その原料金属化合物はLn、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する。
単独の原料金属化合物粉末をそのまま使用し、Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する金属化合物を準備してもよいし、単独または複数の原料金属化合物を予め粉砕・微細化して混合するか、または混合後に粉砕・微細化し、Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得てもよい。
工程(1)を具体的に実施する好ましい工程としては、以下の工程(a)、工程(b)または工程(c)が挙げられる。
工程(a):複数の原料金属化合物を乾式で混合あるいは混合・粉砕してLn、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程。
工程(b):複数の原料金属化合物と、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素(但し、炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい。)と低級アルコールとを含有する媒体とを混合あるいは混合・粉砕し、次いで前記媒体を除去して、平均粒径が5μm以下の、Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程。
工程(c):単独の、または複数の原料金属化合物とクエン酸とを反応して得たクエン酸塩スラリーを噴霧乾燥して Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程。
以下に、工程(a)、工程(b)および工程(c)について説明する。
(工程(a))
複数の原料金属化合物を使用しLn、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る場合の混合は、特に限定されないが乾式で混合あるいは混合・粉砕することが好ましい。混合粉末の回収率が高く、量産性に優れているためである。
乾式で原料金属化合物を混合するための装置としては特に限定するものではないが、量産性に優れた装置を使用することが好ましい。例えば、ドラムミキサーやロッキングミキサーである。
なお、Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程で使用する複数の原料金属化合物は、予め粉砕・微細化しておくと後の工程を迅速に進行させることができるので好ましい。また、その一部または全部を予め均一に混合しておいてから粉砕・微細化してもよい。
(工程(b))
比較的短時間でLn、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する均質な粉末を得られることから、複数の原料金属化合物を湿式で混合あるいは混合・粉砕することも好ましい。湿式で原料金属化合物を混合しても混合物中のLn、A、Ga、Bの元素が1−x:x:1−y:yのモル比で均質に混合できる。湿式で混合する際に使用する媒体としては、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素(但し、炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい)と、低級アルコールとを含有する媒体(以下、本発明に係る媒体ということもある。)が好ましい。媒体とLn、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する複数の原料金属化合物との親和性が高く、効率よく混合することができるためである。
本発明に係る媒体を構成するフッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素は、炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい。フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素の具体例としては、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロパン(HCFC−225ca)、1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロ−プロパン(HCFC−225cb)、2,2−ジクロロ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−プロパン、1,2−ジクロロ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−プロパン、1,2−ジクロロ−1,1,2,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−ブタン、2,3−ジクロロ−1,1,1,2,3,4,4,4−オクタフルオロ−ブタン、1,2−ジクロロ−1,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−ブタン、2,3−ジクロロ−1,1,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−ブタンなどが挙げられる。
また、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換し、かつ炭素−炭素間にエーテル酸素を含む炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素の具体例としては1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメトキシ)プロパン、1,1,1,2−テトラフルオロ−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、1,1,1,2−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)プロパン、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(2−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタンなどが挙げられる。
上記のパーフルオロ炭化水素は、単独の化合物でもよいし、複数の化合物を含有していてもよい。
本発明に係る媒体を構成する低級アルコールとしては、炭素数が好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3のアルコールが挙げられる。特にメタノール、エタノール、およびイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。このアルコール成分は、単独のメタノール、エタノール、またはイソプロパノールであっても、メタノール、エタノール、イソプロパノールのうちの2〜3種類の混合物であってもよい。
本発明の工程(1)および/または(3)を媒体の存在下で行う場合、該媒体を構成する低級アルコール成分は必須成分であり、その含有率は1〜10重量%が好ましい。低級アルコール成分を1〜10重量%含有することにより媒体とLn、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する複数の原料金属化合物との親和性が向上するためである。粉砕媒体に上記の媒体を使用すると、使用済みの媒体を回収および脱水することにより再利用することもできる。
本発明に係わる媒体は、市販のもでもよく、例えば、AK−225AE、AK−225AES、AK−225T、またはAE−3100E(いずれも旭硝子社製)が好ましく、AK−225AE、またはAE-3100Eがより好ましい。
なお、かかる媒体は、引火点を有しないことが好ましい。ここで、引火点を有しないとは、JIS K 2265-2:2007で規定される測定法で引火点を有さないことを意味する。引火性を有さない媒体としては、市販の含フッ素炭化水素とアルコールの混合溶媒を用いてもよい。
湿式で混合するための装置としては特に限定するものではないが、同時に粉砕を実施するものが好ましい。例えば、ボールミル、ビーズミル、アトリションミル、コロイドミルが好ましい。そのうち特に、ジルコニアボールのような、粉砕メディアを使用する形式のもの、例えばボールミル、ビーズミルが、より好ましく使用される。例えば原料金属化合物に上記の粉砕メディアを加え、ボールミルを用いて12〜48時間粉砕混合してもよい。ボールミル等の粉砕メディアを使用する粉砕混合を行うと、より強い剪断力を付与でき、より均質な原料金属化合物の混合粉末が得られるので好ましい。粉砕をボールミルやビーズミルで行う場合、粉砕メディアとしては、ジルコニアボールやジルコニアビーズが好ましい。
原料金属化合物を湿式で混合あるいは混合・粉砕した後に、原料金属化合物の混合物と、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素(炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい)と低級アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する媒体とからなる原料金属化合物スラリーを乾燥する。原料金属化合物スラリーを乾燥する方法は特に限定されず、例えば、静置乾燥法、噴霧乾燥法を挙げることができる。
静置乾燥法は、上述した原料金属化合物スラリーを耐熱性の容器に移し、乾燥機中で静置乾燥する方法である。乾燥条件は、原料金属化合物スラリー中の固形分濃度にもよるが、一般に40℃〜60℃で12〜24時間乾燥することが好ましい。静置乾燥に使用する乾燥機は特に限定されないが、箱形の棚段乾燥機を使用することが好ましい。
噴霧乾燥法は噴霧乾燥機を用いて、原料金属化合物スラリーを液滴として気流中に浮遊させた状態で乾燥する方法である。
すなわち、上記の原料金属化合物スラリーを、噴霧乾燥機に供給し乾燥する。噴霧乾燥機に供給されたスラリーは、装置内で、微小液滴となり、これが乾燥用の熱風により流動層を形成し、熱風により搬送されながら極めて短時間で乾燥され、Ln、A、Ga、Bの元素を1−x:x:1−y:yのモル比で含有する乾燥した粉末が得られる。
乾燥装置としては、Ln、A、Ga、Bの元素を1−x:x:1−y:yのモル比で含有する乾燥した最も分散された粉末が得られる点で噴霧乾燥機が特に好ましい。噴霧乾燥に使用する噴霧機としては、回転円板、二流体ノズル、加圧ノズル等を有するものが適宜採用でき、また乾燥用熱風温度は、入口で50℃〜100℃、出口で40℃〜80℃程度にすることが好ましい。入口と出口での乾燥用熱風温度をそれぞれ50℃〜100℃、40℃〜80℃とすると、単位時間内の乾燥処理量を多くできるためである。
かかる噴霧乾燥によれば、複数の原料金属化合物を含む原料金属化合物スラリーは、微小液滴状態を形成し、各液滴中の液体は瞬間的、またはごく短時間に、蒸発除去されることにより、各原料金属化合物が均一に混合されたLn、A、Ga、Bの元素を1−x:x:1−y:yのモル比で含有する乾燥した粉末を得ることができる。
上記のLn、A、Ga、Bの元素を1−x:x:1−y:yのモル比で含有する乾燥した粉末の体積平均粒径(D50)は、使用する原料金属化合物の体積平均粒径(D50)に関係なく、5μ以下になるまで混合・粉砕することが好ましい。5μm以下にまで混合・粉砕した後に後述する仮焼成工程や本焼成工程を経ることにより、単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物が得やすくなるためである。粉末の体積平均粒径は、0.6μm〜1μmであるのがさらに好ましい。
(工程(c))
Ln、A、Ga、B各元素が式(1)で表わされる目的の組成である1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程は、Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する単独の、または複数の原料金属化合物とクエン酸とを反応させて Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程(以下、本発明に係るクエン酸塩法工程ともいう。)であってもよい。
工程(c)で得られる粉末の体積平均粒径は、100μm以下であるのが好ましい。
Ln、A、Ga、Bの各元素を1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程に本発明に係るクエン酸塩法工程を使用すると、原料金属化合物の粒度や比表面積などの粉体物性に関係なくクエン酸と原料金属化合物とを反応させることができるので好ましい。
以下に、本発明に係るクエン酸塩法工程の詳細について説明する。
本発明に係るクエン酸塩法工程は、Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する単独の、または複数の原料金属化合物と、クエン酸とを水中で反応させる工程と、原料金属化合物とクエン酸とが反応して生じた中間生成物を乾燥させる工程とを含むものである。
水に溶かすクエン酸としては、無水クエン酸、クエン酸一水和物、無水クエン酸とクエン酸一水和物との混合物のいずれもが使用可能である。クエン酸の使用量は、クエン酸1分子中にはカルボキシル基が3つ存在するので、クエン酸1モルを3当量として、原料金属化合物中に含まれるLn原子、A原子、Ga原子およびB原子の各金属原子の価数とモル数の積の和である当量に対して1〜2倍当量であることが好ましい。クエン酸の使用量が、原料金属化合物中に含まれるLn原子、A原子、Ga原子およびB原子の各金属原子の価数とモル数の積の和である当量に対して1倍当量以上であると、原料金属化合物とクエン酸との反応が速やかに、かつ十分に進行し、均質な中間生成物を得やすく、2倍当量を超えて使用しても、中間体の均質性に影響しにくいからである。
Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する単独の、または複数の原料金属化合物と、クエン酸とを水中で反応させる工程における原料金属化合物とクエン酸水溶液の接触方式は、反応が化学工学的に固−液異相系反応として把握されるので、当該反応が効率的に実施されるものであれば特に限定するものではない。通常は、まず反応容器にクエン酸を含有する水溶液を仕込んでおき、これに撹拌下に原料金属化合物を加えて反応させる方式が好ましい。
複数の原料金属化合物を使用する場合、添加する原料金属化合物は、原料金属化合物ごとに順次添加してもよいし、また、予め原料金属化合物を混合しておき、同時に前記混合した原料金属化合物を供給して反応させてもよい。さらにこれらの供給方法を組み合わせてもよい。
なお、原料金属化合物を逐次添加する場合は、まず、一つの金属元素を含む原料金属化合物、例えばLn元素を含む原料金属化合物とGa元素を含む原料金属化合物をクエン酸水溶液に供給して加熱下に反応させ、引き続き残りの原料金属化合物(例えばA元素を含む原料金属化合物とB元素を含む原料金属化合物)を添加し反応させるようにしてもよい。
また、Ln元素を含む原料金属化合物、A元素を含む原料金属化合物、Ga元素を含む原料金属化合物、B元素を含む原料金属化合物のうち任意の2種類の原料金属化合物を投入したクエン酸塩スラリーと、残りの2種類の原料金属化合物を投入したクエン酸塩スラリーとを別々に調製しておき、後でその2種類のクエン酸塩スラリーを混合してもよい。クエン酸塩スラリー調製時に使用する水は製造するガレート複合酸化物中への不純物の混入をできるだけ避けるために蒸留水、純水、またはイオン交換水が好ましい。また、クエン酸塩スラリーには水の他に、錯体溶液の安定化のために、多価アルコール類、アルコール類、ケトン類等を添加してもよい。
クエン酸塩スラリーを調製する際は、加熱下で実施すると、原料金属化合物が溶解する場合があるので好ましい。原料金属化合物が水に溶解することは、Ln、A、Ga、Bの元素がより均質に混合できるので好ましい。通常、クエン酸塩スラリーを調製する際の温度は、30℃〜100℃、好ましくは40℃〜80℃である。また、反応時間、すなわち均質なクエン酸塩スラリーが形成されるまでの時間は、温度、クエン酸の使用量、原料金属化合物の粒径等によって変わりうるが、通常10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間、さらに好ましくは1〜3時間程度である。
上記のクエン酸塩スラリーを調製する際に使用する装置としては、特に限定するものではないが、例えば撹拌手段、加熱手段、原料金属化合物およびクエン酸の供給手段を備え、供給した原料金属化合物を沈殿させることなく浮遊させ、浮遊状態でクエン酸と反応させることができる槽型反応容器が好ましい。撹拌手段としては通常の撹拌機、例えば櫂型撹拌機、プロペラ型撹拌機、タービン型撹拌機等のいずれもが好適に使用される。なお、小規模の反応の場合はフラスコ型容器に撹拌機を設置して実施してもよい。
Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する単独の、または複数の原料金属化合物と、クエン酸とを反応させた後に、本発明に係わる媒体を使用して湿式で原料金属化合物を混合・粉砕した後に、原料金属化合物スラリーを乾燥した場合と同様にして、静置乾燥法や噴霧乾燥法などで乾燥を行う。Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を均質な組成で乾燥できるので、中でも噴霧乾燥法が好ましい。
噴霧乾燥に使用する噴霧機としては、回転円板、二流体ノズル、加圧ノズル等を有するものが適宜採用でき、また乾燥用熱風温度は、入口で150℃〜300℃、出口で100℃〜150℃程度にすることが好ましい。入口と出口での乾燥用熱風温度をそれぞれ150℃〜300℃、100℃〜150℃とすると、単位時間内の乾燥処理量を多くできるためである。
かかる噴霧乾燥によれば、クエン酸塩スラリーは、微小液滴状態を形成し、各液滴中の液体は瞬間的、またはごく短時間に、蒸発除去されることにより、均質なLn、A、Ga、Bの元素を1−x:x:1−y:yのモル比で含有する乾燥した粉末を得ることができる。
次に、原料金属化合物を乾式で、または媒体を使用して湿式で混合した後に、もしくは原料金属化合物とクエン酸とを反応した後に、乾燥したLn、A、Ga、Bの元素を1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を焼成容器に移し、焼成炉にて焼成する。焼成は基本的には仮焼成、本焼成の焼成温度の異なる2工程からなるが、クエン酸由来の有機物を分解することを目的として、必要に応じて仮焼成工程の前に粗焼成工程を設けてもよい。粗焼成工程または仮焼成工程で使用する焼成容器の材質は、特に限定されず、例えばムライト、コージェライト、アルミナを使用できるが、本焼工程ではアルミナ製の焼成容器を使用するのが好ましい。
焼成炉は、熱源として、電気式またはガス式のシャトルキルンでも、場合によってはローラーハースキルンでもロータリーキルンでもよく、特に限定されない。
(工程(2))
(仮焼成)
工程(1)で得られたLn、A、Ga、Bの元素を1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を仮焼成温度(1000℃〜1300℃)で仮焼成する。
仮焼成工程における昇温速度は特に限定されないが、好ましくは50℃/h〜400℃/h、さらに好ましくは50℃/h〜200℃/hの昇温速度で目的の焼成温度まで昇温することが好ましい。生産性を勘案すると昇温速度を50℃/h以上にすることが好ましい。また、昇温速度を400℃/h以下にすることにより、用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性が低くなるので好ましい。
また、昇温する途中で、300℃〜500℃で4〜24時間温度を保持する工程を設けてもよい。たとえば400℃で8時間保持する工程である。
仮焼成の温度は、1000℃〜1300℃であり、1000℃〜1200℃が好ましい。1000℃以上であると炭素成分が残留しにくくなるので好ましい。また、1300℃以下であると焼成粉が過度に焼結しにくくなるので好ましい。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。4時間以上であると、炭素成分が残留しにくくなるので好ましい。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性を勘案すると24時間以下にすることが好ましい。
仮焼成を行う際の雰囲気は、大気中であることが好ましい。
仮焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は特に限定されないが、100℃/h〜200℃/hが好ましい。生産性を勘案すると100℃/h以上にすることが好ましく、200℃/h以下にすることにより用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性が低くなるので好ましい。
(工程(3))
仮焼成で得られた仮焼成粉を必要に応じて解砕する。続いて解砕後の仮焼成粉を体積平均粒径(D50)が0.49μm以下になるまで粉砕する。粉砕後の仮焼成粉(以下において、粉砕仮焼成粉ともいう。)の体積平均粒径(D50)が0.49μm以下であると、本焼成工程において、仮焼成粉同士の接触が向上する結果、本焼成後に単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物が効率的に得られる。
砕仮焼成粉の下限値は特に限定されないが、0.35μm未満にまで粉砕するには長時間を要するので、生産効率からして、粉砕仮焼成粉の体積平均粒径(D50)は0.35μm以上であることが好ましい。

粉砕後の仮焼成粉の比表面積は6m/g〜20m/gであることが好ましい。仮焼成粉の比表面積が6m/g〜20m/gであると、後の本焼成工程において、固相反応が進行しやすくなり、単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物を得やすくなるため好ましい。また、粉砕後の仮焼成粉の嵩密度は0.8g/cm〜1.3g/cmが好ましく、そのタップ密度は1.2g/cm〜2.0g/cmが好ましい。嵩密度が0.8g/cm〜1.3g/cmであったり、タップ密度が1.2g/cm〜2.0g/cmであると、後の大気中における本焼成工程において、仮焼成粉に酸素が十分に行きわたるため、十分に焼成(酸化反応)が進行し、その結果として、単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物を得やすくなるので好ましい。
解砕はカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどを用いて、一般に乾式で行なうことができ、粉砕はボールミルやビーズミルを用いて、一般に湿式で行うことができる。
粉砕に要する時間は、粉砕容器とボールまたはビーズの種類や大きさ、粉砕媒体の種類、仮焼成粉の充填量などにもよるが、6〜96時間である。粉砕媒体には、工程(1)における原料金属化合物の粉砕時と同様に、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素(炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい)と、低級アルコールとを含有する媒体などを使用することが好ましい。粉砕媒体に上記の媒体を使用すると、粉砕効率がよく、また使用済みの媒体を回収および脱水することにより再利用できる。粉砕をボールミルやビーズミルで行う場合、粉砕メディアとしては、ジルコニアボールやジルコニアビーズが好ましい。
工程(3)における粉砕を媒体の存在下で行う場合、該媒体は、引火点を有さないのが好ましい。引火性を有さない媒体としては、工程(1)における原料金属化合物の粉砕に使用した媒体と同様に、含フッ素炭化水素と低級アルコールとの混合溶媒を用いるのが好ましい。かかる市販の媒体としては、商品名AK−225AE、AK−225AES、AK−225T、またはAE−3100E(いずれも旭硝子社製)が好ましく、AK−225AEまたはAE−3100Eがより好ましい。
粉砕後、工程(1)における原料金属化合物の湿式での混合あるいは粉砕・混合後の乾燥と同様に、静置乾燥法や噴霧乾燥法などで粉砕仮焼成粉を乾燥し、乾燥した粉砕仮焼成粉を得ることができる。
(工程(4))
(本焼成)
さらに、上記の粉砕仮焼成粉を本焼成温度(1380℃〜1520℃)で本焼成する。
本焼成工程における昇温速度は特に限定されないが、焼成炉の温度を50℃/h〜400℃/h、好ましくは50℃/h〜200℃/hの昇温速度で目的の焼成温度まで昇温することが好ましい。生産性を勘案すると昇温速度を50℃/h以上にすることが好ましい。また、昇温速度を400℃/h以下にすることにより、用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性が低くなるので好ましい。
本焼成の温度は1380℃〜1520℃、好ましくは1400℃〜1500℃である。1380℃〜1520℃で焼成することにより、ペロブスカイト構造以外の異相が生じにくいからである。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、5〜20時間がより好ましい。4時間以上にすることにより、未反応物質が目的とする酸化物中に混在しにくく、また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性を勘案すると24時間以下とすることが好ましい。
本焼成を行う際の雰囲気は、仮焼成時と同様に大気中であることが好ましい。還元雰囲気では、単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物を製造することができないので好ましくない。
本焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は特に限定されないが、50℃/h〜200℃/hが好ましい。生産性を勘案すると50℃/h以上にすることが好ましい。また、200℃/h以下とすることにより、用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性が低くなるので好ましい。
次いで、本焼成で得られた酸化物を仮焼成の後に行ったのと同様に必要に応じて解砕後、粉砕する。解砕はロールクラッシャー、カッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどを用いて一般に乾式で行うことができ、粉砕はボールミルやビーズミルを用いて、一般に湿式で行うことができる。粉砕後の粉体の体積平均粒径(D50)は0.5〜50μmが好ましい。より好ましくは0.5〜20μmである。
以下に、本発明の具体的な実施例について、比較例と対比して説明する。しかしながら、これら実施例は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明がこれらの実施例に特に限定されるものではなく、また、これにより限定的に解釈されたりするものではない。なお、以下における、「%」は、とくに断りなき限り、重量%である。
〔実施例1〕
(1)(原料金属化合物およびクエン酸水溶液の準備)
La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85を形成するように各原料金属化合物の秤量を行った。
すなわち、La源としてLa含有量が84.97%の酸化ランタン(La)1532.58g、Sr源としてSr 含有量が59.18%の炭酸ストロンチウム(SrCO)154.24g、Ga源としてGa含有量が5.29%であり、クエン酸含有量が22.03%のクエン酸ガリウム水溶液(Ga(C)aq)10982.8g、およびMg源としてMg含有量が25.20%の炭酸マグネシウム(MgCO)200.91g(原子比で、La:Sr:Ga:Mgが0.9:0.1:0.8:0.2とする。)をそれぞれ秤量した。
一方で、20L(リットル)のセパラブルフラスコにクエン酸ガリウム水溶液を加え、さらに最終的に得られる水溶液中のクエン酸の当量がLaイオン、Srイオン、Gaイオン、およびMgイオンの各当量の和に対して1.14倍となるようにクエン酸一水和物2571.16gを添加し水溶液を調製した。
(2)(中間生成物および乾燥)
上記の水溶液に上記で秤量した酸化ランタンを投入し、70℃まで加熱し、その温度で2時間反応させ、白色のスラリーを得た。
これに、上記で秤量した炭酸ストロンチウム、および炭酸マグネシウムを添加して55℃でさらに2時間反応させ白色のスラリーを得た。
反応終了後、得られた溶液を噴霧乾燥機で乾燥させ、中間生成物である複合クエン酸塩の乾燥粉末を得た。なお、噴霧乾燥機としては、スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製 BDP−10型)を使用し、入口温度:200℃、出口温度:125℃、アトマイザー回転数:15000rpmの条件で乾燥を行った。
(3)(仮焼成)
得られた乾燥粉末をムライト質の長さ30cmの角サヤ3枚に充填し、大気中において、電気炉で、1200℃で10時間焼成し、含有炭素を分解させた(仮焼成)。室温から1000℃までの昇温速度は100℃/1時間、さらに1200℃までの昇温速度は200℃/3時間とし、1200℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。
(4)(仮焼成粉の粉砕)
得られた仮焼成粉1200gをボールミルで48時間粉砕して粉砕仮焼成粉を得た。なお、ボールミルのポット容量は10Lであり、粉砕メディアとしてはジルコニアボール(5mmφ×20kg)を、粉砕媒体としては1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−プロパン(HCFC−225ca)と1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロ−プロパン(HCFC−225cb)とエタノールとを含有する媒体である旭硝子社製「アサヒクリンAK−225AE」(旭硝子社商品名)2600mLを使用した。粉砕仮焼成粉は、60℃に設定した棚段乾燥機で約12時間乾燥した。粉砕後乾燥した仮焼成粉の粒度分布、BET比表面積、嵩密度、タップ密度を下記の方法に従って測定した。
その結果、粉砕仮焼成粉の体積平均粒径(D50)は0.41μm、BET比表面積は13.4m/g、嵩密度は1.07g/cm、タップ密度は1.51g/cmであった。
(5)(本焼成)
粉砕仮焼成粉をアルミナ質の長さ27.5cmの角サヤ2枚に充填し、大気中において、電気炉で、1400℃で6時間焼成し、目的のLSGM最終粉末(La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85)を得た。室温から1000℃までの昇温速度は100℃/1時間、さらに1400℃までの昇温時間は200℃/3時間とし、1400℃から室温までの降温速度は100℃/1時間とした。本焼成後、焼成粉を解砕し、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85粉を得た。
得られたLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85粉について下記の測定条件でX線回折測定を行った。その結果を図1および2に示す。図1はLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85のX線回折パターンの全体図であり、図2は図1の拡大図である。図2の2θ=30°付近や、2θ=31.5°付近には237相や214相に相当する不純物ピークが観測されていない。従って、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.22.85は菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造単相であることが確認できた。
(6)(成分分析)
(i)粒度分布測定
少量の試料を以下のようにイオン交換水に分散させて試料を調製した。分散剤として、和光純薬社製の二リン酸ナトリウム十水和物を使用した濃度0.24重量%の水溶液を用い、約0.001gの試料と分散液とから全体が10mlとなるように分散液を調製した。測定の直前に180秒間出力30Wの超音波処理を施した。
測定装置:レーザー回折/散乱式粒度分布装置(HORIBA社製 LA−920)
(ii)BET比表面積測定
試料約0.6gを使用し比表面積を測定した。試料の乾燥条件は300℃、20分間とした。
測定装置:全自動比表面積測定装置(マウンテック社製 Macsorp HM model−1208)
(iii)嵩密度測定
容量10cmのメスシリンダーに約10gの試料を充填し、試料の体積と重量から嵩密度を求めた。
(iv)タップ密度測定
容量10cmのメスシリンダーに約10gの試料を充填し、体積の減少が観測されなくなるまでそのメスシリンダーをタップした。タップ後の試料の体積と重量からタップ密度を求めた。
(v)XRD分析
測定装置:リガク社製のRINT2200V
測定条件:管電圧30kV 管電流40mA
X線源:CuKα線
Kα2分離:Niフィルター使用
走査速度:2°/分
発散スリット: 1°
散乱スリット: 1°
受光スリット: 0.3mm
〔実施例2〕
(1)(原料金属化合物の準備)
La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80を形成するように各原料金属化合物の秤量を行った。
すなわち、La源としてLa含有量が85.06%の酸化ランタン(La)279.23g、Sr源としてSr 含有量が59.18%の炭酸ストロンチウム(SrCO)63.28g、Ga源としてGa含有量が74.40%の酸化ガリウム(Ga))160.24g、およびMg源としてMg含有量が24.79%の炭酸マグネシウム(MgCO)41.89g(原子比で、La:Sr:Ga:Mgが0.8:0.2:0.8:0.2とする。)をそれぞれ秤量した。
(2)(原料金属化合物の粉砕)
秤量した原料金属化合物の混合物544.64gをボールミルで96時間粉砕して粉砕粉末を得た。なお、ボールミルのポット容量は5Lであり、粉砕メディアとしてはジルコニアボール(5mmφ×10kg)を、粉砕媒体としては旭硝子社製の「アサヒクリンAK−225AE」1300mLを使用した。
得られた粉砕粉末を60℃に設定した棚段乾燥機で約12時間乾燥し、乾燥した粉砕粉末を得た。乾燥した粉砕粉末の体積平均粒径(D50)を実施例1に記載の粒度分布測定方法に従って測定したところ0.78μmであった。
(3)(仮焼成および仮焼成粉の粉砕)
上記で得られた粉末を実施例1と同様に仮焼成して仮焼成粉とした。その後、実施例1と同様に粉砕仮焼成粉を得た。粉砕仮焼成粉の体積平均粒径(D50)、BET比表面積、嵩密度、タップ密度を実施例1と同様に測定したところ、それぞれ0.43μm、12.5m/g、1.28g/cm、1.91g/cmであった。
(4)(本焼成)
粉砕仮焼成粉を、焼成温度を1500℃とした以外は実施例1と同様にして焼成した。本焼後、実施例1と同様にして焼成粉を解砕し、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80粉を得た。
得られたLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80粉について実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。その結果、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80は菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造単相であることが確認できた。
〔比較例1〕
(1)(原料金属化合物の準備および粉砕)
実施例2において、原子比La:Sr:Ga:Mgを0.8:0.2:0.9:0.1とする他は、実施例2と同様にしてLa0.8Sr0.2Ga0.9Mg0.12.85粉を得た。
得られたLa0.8Sr0.2Ga0.9Mg0.12.85粉について実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。その結果、La0.8Sr0.2Ga0.9Mg0.12.85は菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造に帰属できる回折線の他に、214相と237相に帰属できる回折線が観測された。
〔実施例3〜および比較例2〜5〕
(1)(原料金属化合物の準備および粉砕)
実施例2と同様にして、原料金属化合物を秤量し、原子比La:Sr:Ga:Mgを0.8:0.2:0.8:0.2とする粉砕粉末を得た。
(2)(仮焼成および仮焼成粉の粉砕)
得られた粉砕粉末を実施例1と同様に仮焼成して仮焼成粉とした。得られた仮焼成粉600gをボールミルで0〜96時間粉砕して粉砕時間の異なる種類の粉砕仮焼成粉を得た。なお、ボールミルのポット容量は3Lであり、粉砕メディアとしてはジルコニアボール(5mmφ×5000g)を、粉砕媒体としては旭硝子社製「アサヒクリンAK−225AE」650mLを使用した。粉砕後、種類の粉砕仮焼成粉の粒度分布を実施例1と同様にして測定した。その結果、表1に示すように、種類の粉砕仮焼成粉の体積平均粒径(D50)は0.37μm〜9.50μmの間の値であった。
(3)(本焼成)
上記の粉砕後の体積平均粒径(D50)の異なる種類の仮焼成粉を実施例2と同様にして本焼成した。
本焼成後、実施例1と同様にして焼成粉を解砕し、種類のLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80粉(サンプルA〜J)を得た。サンプルA、B、Cが、それぞれ、実施例3、4、5である。また、サンプルG、H、I、Jが、それぞれ、比較例2、3、4、5である。
得られた各La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80粉について実施例1と同様にしてX線回折測定を行った。
サンプルG、H、I、Jには、菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造に帰属できる回折ピークの他に、31.5°付近に214相に帰属できる回折ピークが観察された。また、サンプルI、Jには、30°付近に237相に帰属できる回折ピークも観測された。
サンプルA〜C、G〜Jの仮焼成粉の体積平均粒径(D50)と、各X線回折パターンにおける2θが31.5°付近における214相の回折線の有無、および30°付近における237相の回折線の有無を表1に示す。
なお、214相と237相の有無については、ベースラインの強度の平均値をaとし、標準偏差をσとしたときに、不純物相であるLaSrGaO(214相)やLaSrGa(237相)に相当する回折強度がa+6σを超えているかどうかで判断した。
例えば、サンプルAではベースラインの強度の平均値aが20cpsであり、標準偏差σが6cpsであった。一方で、31.5°付近における214相の回折強度は33cpsであり、30°付近における237相の回折ピークは28cpsであった。33cpsや28cpsはa+6σである56cpsよりも小さいことから菱面体晶(113相)単相であると判断した。
一方で、サンプルGについて同様に求めたベースラインの強度の平均値aが29cpsであり、標準偏差σは7cpsであった。一方で、31.5°付近における214相の回折強度は103cpsであり、30°付近における237相の回折強度は40cpsであった。103cpsはa+6σである71cpsよりも大きいことから214相が存在すると判断した。
Figure 0006124629
〔実施例9〜13、比較例6〕
(1)(原料金属化合物の準備およびクエン酸との反応)
実施例1において、原子比La:Sr:Ga:Mgを0.8:0.2:0.8:0.2とする他は、実施例1と同様にして、原料金属化合物を秤量し、クエン酸と反応して原子比0.8:0.2:0.8:0.2とする粉末を得た。
(2)(仮焼成および仮焼成粉の粉砕)
得られた粉末を実施例1と同様に仮焼成して仮焼成粉とした。その後、実施例3〜、比較例2〜5と同様に旭硝子社製「アサヒクリンAK−225AE」を使用してボールミルで24〜96時間粉砕し、粉砕時間の異なる種類の粉砕仮焼成粉を得た。粉砕後、種類の粉砕仮焼成粉の粒度分布を実施例1と同様にして測定した。その結果、表2に示すように、種類の粉砕仮焼成粉の体積平均粒径(D50)は0.39μm〜0.62μmの間の値であった。
(3)(本焼成)
上記の粉砕後の体積平均粒径(D50)の異なる種類の仮焼成粉を焼成温度を1500℃とした以外は実施例1と同様にして本焼成した。
本焼成後、実施例1と同様にして焼成粉を解砕し、種類のLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80粉(サンプルK〜Q)を得た。サンプルK、L、M、N、Oが、それぞれ、実施例9、10、11、12、13である。また、サンプルQが、比較例6である。
得られた各La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.22.80粉について実施例1と同様にしてX線回折測定を行い、実施例3〜および比較例2〜5と同様にして214相と237相の有無を調べた。表2にその結果を示す。ベースラインの強度の平均値をaとし、標準偏差をσとしたときに、31.5°付近の回折強度がa+6σを超えていたサンプルQのX線回折パターンには、31.5°付近に214相に帰属できる回折ピークが確認された。
Figure 0006124629
表1、2から仮焼成粉の体積平均粒径(D50)を0.49μm以下にすることで、生成物であるランタンガレート複合酸化物中に不純物相である214相や237相が観測されなくなることが分かる。よって、体積平均粒径(D50)が0.49μm以下の仮焼成粉を本焼成することで菱面体晶(113相)を有するペロブスカイト構造単相のランタンガレート複合酸化物を製造できることが確認できた。


本発明に係わる製造方法は単相のペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物を得ることができる製造方法として有用である。粉砕後の仮焼成粉の体積平均粒径(D50)を制御することを特徴とする簡便な方法であるために、製造コストを抑えることができ、量産性に優れており、その産業上の利用可能性は大きい。

Claims (8)

  1. 下記の工程(1)〜(4)を含む一般式(1)で示されるペロブスカイト構造を有するガレート複合酸化物の製造方法。
    Ln1−xGa1−y3−δ …(1)
    (ただし、式(1)において、Lnがランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素、Aはストロンチウム、カルシウムおよびバリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素、Bはマグネシウム、アルミニウム、鉄およびインジウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素、0.05≦x≦0.22、0.15≦y≦0.22、0≦δ≦0.22である。)
    工程(1):Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程、
    工程(2):前記粉末を1000℃〜1300℃で焼成し、仮焼成粉を得る工程、
    工程(3):前記仮焼成粉を粉砕し、体積平均粒径(D50)が0.49μm以下である粉砕仮焼成粉を得る工程、
    工程(4):前記粉砕仮焼成粉を1380℃〜1520℃で焼成する工程。
  2. 工程(1)が、Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する複数の原料金属化合物を乾式で混合あるいは混合・粉砕してLn、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程である請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程(1)が、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素(但し、炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい)と、低級アルコールとを含有する媒体の存在下で、Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する複数の原料金属化合物を混合あるいは混合・粉砕し、媒体を除去して、体積平均粒径が5μm以下であるLn、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程である請求項1に記載の製造方法。
  4. 工程(1)が、Ln、A、Ga、またはBの元素のうち1種以上を含有する単独の、または複数の原料金属化合物とクエン酸とを反応して得られるクエン酸塩スラリーを噴霧乾燥して Ln、A、Ga、Bを1−x:x:1−y:yのモル比で含有する粉末を得る工程である請求項1に記載の製造方法。
  5. 工程(3)が、前記仮焼成粉を、フッ素原子の2つまたは3つを塩素原子および/または水素原子で置換した炭素数3〜4のパーフルオロ炭化水素(但し、炭素−炭素間にエーテル酸素を含んでもよい)と、低級アルコールとを含有する媒体の存在下で粉砕し、次いで、前記媒体を除去して、粉砕仮焼成粉を得る工程である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記媒体が引火点を有さない、請求項3または5に記載の製造方法。
  7. Lnがランタンであり、Aがストロンチウムであり、かつBがマグネシウムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記原料金属化合物が、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、および有機酸塩からなる群より選択される1種以上の化合物であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
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