JP2006347841A - 電気分解槽用電極 - Google Patents

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Masashi Mori
昌史 森
Hirotaka Kawamura
浩孝 河村
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Abstract

【課題】硫黄サイクルハイブリッド法の実用化に向けて、硫酸中においても高い化学的安定性と導電性を有し、低コストなアノード電極材料を提供する。
【解決手段】ストロンチウムチタネート(SrTiO)に異種元素の置換を行って、Aサイト欠損形ストロンチウムチタネートを作製し、これに還元処理を行うことで、高い耐硫酸特性を維持しつつ、電子導電性を有するセラミックス粉体およびその焼結体を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気分解槽用電極に関する。さらに詳述すると、本発明は、Aサイト欠損形ストロンチウムチタネートを還元処理して得られる電気分解槽用電極および該電極を利用した硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽に関する。
水素を燃料として用いる燃料電池自動車を積極的に社会に導入しようとする試みが、国策として進められている。この試みは、CO排出量の削減が大きな目的の一つである。
工業化された一般的な水素製造方法として知られているのは水蒸気改質法、メタン部分酸化法および炭酸ガス改質法等であるが、これらの方法では、エネルギー源として化石燃料を燃焼させるため、COが排出される。よってCO排出量の削減を行うためには、COを別途処理する手段を設けなければならないため、水素製造コストがかさんでしまうという問題がある。
そこで、原子力エネルギーにより稼動する超高温ガス炉を用いて硫酸を熱分解し、それにより生じた二酸化硫黄を水と混合してその水溶液を電気分解し、高純度水素を製造する硫黄サイクルハイブリッド法が提案されている。この方法においては、化石燃料のような炭化水素系の燃料を用いる必要がないため、COガスを排出することなく、水素を高効率に大量生産することができる。
これまで、硫黄サイクルハイブリッド水素製造用の電気分解層の電極材料としては、耐食性に優れ、高触媒能を有する白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)を中心とした白金族酸化物、あるいはそれらの酸化物やチタン(Ti)が候補として考えられ、これらの適用評価試験が米国Westinghouse社により実施されてきた。具体的には、アノード極(硫酸析出極、SOの酸化反応極)としてTi上にパラジウム酸化物や酸化チタンをコーティングさせた電極(PdO−TiO/Ti電極)やPt黒/Ti電極等の各種複合電極の触媒能について検討されてきた。その結果、(1)PdO−TiO/Ti電極およびPt黒/Ti電極は、Pt単独電極、RuO−TiO/Ti電極、IrO−TiO/Ti電極に比して電解電圧が0.15V程度低い0.6Vであること(RuO−TiO/Ti電極、IrO−TiO/Ti電極はSOの酸化反応に対して不活性)、(2)限界電流密度も2桁以上高いため、SOの酸化反応に対し優れた触媒能を有すること、が明らかになった。また、SOの酸化反応に対して極端に不活性であるカーボンを組み合わせた複合電極についても検討され、PdO/C電極はPt黒/C電極に比して高触媒能を示すことが明らかになった(非特許文献1)。
L.E.Brecher, S.Spewock, and C.J.Warde, "The Westinghouse Sulfer Cycle for the Thermochemical Decomposition of Water", Int.J.of Hydrogen Energy, Vol.2, pp.7-15(1977).
しかしながら、白金族を中心とした従来の酸化物電極材料では、過電圧が硫酸溶液の理論電気分解電圧(0.17V)に比べ高くなってしまい、硫黄サイクルハイブリッド水素製造法の特徴である低電圧(水の理論電気分解電圧の1/7)で電気分解を行えるという利点が生かしきれていない上に、コストも非常に高いという問題を有している。
また、硫黄サイクルハイブリッド水素製造法において、非化石燃料を用いた他の水素製造法よりもランニングコストを低くするには、水素製造効率を60%以上に引き上げる必要がある。そのためには、水素が発生する電気分解槽のアノード電極材料として、高耐食性と高導電性を有する安価な材料を開発する必要がある。
そこで、本発明は、硫黄サイクルハイブリッド水素製造法に好適な高耐食性、高導電性を有する安価なアノード電極材料に適した電子導電性セラミックス粉体とそれから形成される焼結体、およびこの焼結体を利用した硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明者は、電気分解環境である50重量%硫酸水溶液中での耐酸性、ならびに電極表面積の向上等の観点からすれば、金属と同等の導電性を示す可能性がある電子導電性セラミックス材料が、従来の白金族を中心とした酸化物電極材料に比べ有利であり、電解槽電極として有望と考えた。
そこで、耐酸性に優れている材料が多いチタン系酸化物の中でも特にペロブスカイト形構造の酸化物(一般式ABO)に着目して、種々の実験、検討を行った結果、ストロンチウムチタネート(SrTiO)が硫黄サイクルハイブリッド水素製造法の運転条件にも十分耐えうる耐酸性を有することを知見した。
しかし、SrTiOはそのペロブスカイト構造中のTi4+イオンがd軌道に電子を持たないため絶縁体である。そこで、本発明者は、SrTiO中のTi4+イオンをd軌道に電子を一個有することができるTi3+イオンに還元して安定に存在させることで、電子導電性を発現する可能性があることを考え、種々検討を行ったところ、ペロブスカイト構造中にTi3+イオンを安定に存在させて電子導電性を発現させることはできたが、Aサイトを欠損させないと耐酸性が低下することを知見した。
上記知見に基づき、さらに鋭意研究を重ねた結果、本発明者はAサイトを欠損させつつ、ペロブスカイト構造中にTi3+を安定に存在させる技術を知見し、耐酸性を維持しつつ電子導電性を有するセラミックス粉体およびその焼結体を得るに至った。
本発明はかかる知見に基づくものであり、請求項1に記載の発明であるセラミックス粉体は、主成分の組成式がSr1−xTi1−y3+δで表され、
(a)MはNb、Taのうち一つもしくは両方を含むBサイトを部分置換可能な元素であり、
(b)0<x<0.15、0<y<0.3
であることを特徴とするAサイト欠損形ストロンチウムチタネートを還元処理してなるものである。尚、δは組成・温度などで種々に変化する酸素量を表し、0≦δ≦0.45である。
このように、Aサイト欠損形ストロンチウムチタネートを還元処理することで、耐酸性を有し、尚かつ電子導電性を有するセラミックス粉体が得られる。尚、本発明のセラミックス粉体は、主成分の組成式がSr1−xTi1−y3+δで表されるものであり、若干の不純物が混在していても良い。
次に、請求項2に記載の発明であるセラミックス粉体は、主成分の組成式が(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δで表され、
(a)REはSc、Yおよびランタノイド系列元素のうち一つもしくは2つ以上を含むAサイトを部分置換可能な元素であり、
(b)MはNb、Taのうち一つもしくは両方を含むBサイトを部分置換可能な元素であり、
(c)0<x<0.15、0<y<0.3、0<z<0.3
であることを特徴とするAサイト欠損形ストロンチウムチタネートを還元処理してなるものである。尚、δは上記と同じく、組成・温度などで種々に変化する酸素量を表し、0≦δ≦0.45である。
この場合にも、上記と同様に、耐酸性を有し、尚かつ電子導電性を有するセラミックス粉体が得られる。尚、本発明のセラミックス粉体は、主成分の組成式が(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δで表されるものであり、若干の不純物が混在していても良い。
次に、請求項3に記載のセラミックス焼結体は、耐酸性および電子導電性を有するセラミックス粉体により形成される。
本発明のセラミックス粉体は、耐酸性および電子導電性を有するので、ある条件下で焼結させることで、その性質を維持したセラミックス焼結体を得ることができる。
次に、請求項4に記載の電気分解槽は、請求項1もしくは2に記載のセラミックス粉体によって電極が構成されているものである。
次に、請求項5に記載の電気分解槽は、請求項3に記載のセラミックス焼結体によって電極が構成されているものである。
次に、請求項6に記載の硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽は、請求項1もしくは2に記載のセラミックス粉体によって、アノード電極が構成されているものである。
次に、請求項7に記載の硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽は、請求項3に記載のセラミックス焼結体によって、アノード電極が構成されているものである。
以上のように、請求項1もしくは2のAサイト欠損形ストロンチウムチタネートが還元処理されてなる耐酸性および電子導電性を有するセラミックス粉体は、Aサイトを欠損させて不定比化し、電荷補償のためにBサイトを部分置換した上で還元処理することで、チタンの価数が+4価から+3価に変化してd軌道に電子を1個有するようになり、電子導電性を発現させることが可能となる。また、本発明のセラミックス粉体は、電気分解環境である濃硫酸中でも長時間に亘り高耐食性を示す。この結果、特に硫黄サイクルハイブリッド水素製造法に好適な高耐食性、高導電性を両立したセラミックス粉体が実現する。しかも、ストロンチウムチタネートのBサイトをNb、Taのうち一つもしくは両方で部分置換したものであるため、白金族を中心とした従来の酸化物電極材料に比べ低コスト化が期待できる。
次に、請求項3に記載の発明によれば、上記のセラミックス粉体から得られるセラミックス焼結体は、耐酸性および電子導電性を有する。
セラミックス粉体もしくは焼結体によって電極が構成される請求項4もしくは5の電気分解槽は、耐酸性および電子導電性を有する安価な電極を備えており、酸性電解質を用いるような電気分解槽においては特に有用な電極材料である。
また、これらの電極は、電気分解槽中において、アノード電極として、もしくはカソード電極として使用することができる。
また、請求項6もしくは7に記載したように、耐酸性および電子導電性を有する安価な電極を備えた電気分解槽は、硫黄サイクルハイブリッド水素製造法の電気分解槽とすることで、電気分解時に問題となっていた過電圧を低下させることができるとともに、耐久性も維持できる。また、水素製造効率の向上ならびにコスト低減に大きく寄与することができるものである。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のセラミックス粉体(組成式:Sr1−xTi1−y3+δ)は、耐酸性および電子導電性を有しており、これらの性質はストロンチウムチタネート(SrTiO)のペロブスカイト構造中(一般式ABO)のAサイトを欠損させて不定比化し、電荷補償のためにBサイトをNb、Taのうち一つもしくは両方で部分置換した上で還元処理することで得られるものである。
ここで、耐酸性とは、硫酸、塩酸、硝酸に対する耐食性が高いことを意味しており、本発明のセラミックス粉体は、これらの酸の中でも、特に、硫酸に対する耐食性が高い。
Aサイトを欠損させない場合には、Aサイトの元素が酸と反応しやすくなるが、Aサイトを欠損させて不定比化させることで、Aサイトの元素が酸と反応し難くなるため、耐酸性が向上し、特に硫酸に対する耐性が向上する。
Aサイト欠損形ストロンチウムチタネートを得るためには、Aサイト元素量の不定比化に対する電荷補償が必要である。そこで、本発明では、BサイトをNb、Taのうち一つもしくは両方で部分置換し、電荷補償を行うようにしているが、電荷補償を行えるのであれば、これらの元素に限られるものではない。
次に、Bサイト元素置換量およびAサイト元素欠損量について説明する。
Bサイト置換元素Mの置換量yについては、最小値側の条件は 置換が必須であることを考えると、0<yとなる。次に、図32〜図35に示すMの置換量yに対するX線回折パターンと格子定数変化の関係について検討すると、MがTaの場合には、y<0.3でペロブスカイト相以外の酸化物が検出されなくなり、かつ格子定数の減少が起こることから、Taの場合には置換量は0<y<0.3の範囲内の値を取り得る。次に、MがNbの場合には、y<0.3でペロブスカイト相以外の酸化物が検出されなくなるが、Taの場合とは異なり、y>0.2で格子定数の変化が一定となる。すなわち、Nbの場合には置換量yは0<y≦0.2の範囲内の値を取り得る。
TaとNb両方を用いてBサイトを部分置換する場合には、Taに対するNbの割合を大きくすれば、置換量yの最大値は0.2に近づく。逆に、Nbに対するTaの割合を大きくすれば、置換量yの最大値は0.3に近づく。
また、Aサイト欠損量xについては、図36〜図43に示すAサイトの欠損量xに対するX線回折パターンと格子定数変化の関係について検討すると、BサイトをTaで部分置換した場合、Bサイト置換量yが0.2、0.3の場合には、Aサイトの欠損量xは0<x<0.15の範囲内の値を取り得る。置換量yが0.1の場合には、Aサイトの欠損量xは0<x<0.1の範囲内の値を取り得る。すなわち、Bサイト置換量yを大きくすれば、Aサイト欠損量xは大きくなるし、Bサイト置換量yを小さくすれば、Aサイト欠損量xも小さくなる。
BサイトをNbで部分置換した場合、Bサイト置換量yが0.3の場合には、Aサイトを欠損させることはできない。yが0.2の場合には、Aサイトの欠損量xは0<x<0.1の範囲内の値を取り得る。置換量yが0.1の場合には、Aサイトの欠損量xは0<x<0.05の範囲内の値を取り得る。すなわち、Bサイト置換量yを大きくすれば、Aサイト欠損量xは大きくなるし、Bサイト置換量yを小さくすれば、Aサイト欠損量xも小さくなる。
BサイトをTaとNb両方で部分置換した場合、Nbに対するTaのBサイト部分置換割合が大きければ、Aサイト欠損量xの最大値は、BサイトをTaで部分置換した場合のAサイト欠損量xの最大値、すなわち、0.15に近づく。逆に、Taに対するNbのBサイト部分置換割合が大きければ、Aサイト欠損量xの最大値は、BサイトをNbで部分置換した場合のAサイト欠損量xの最大値、すなわち、0.1に近づく。また、Bサイト置換量yを大きくすれば、Aサイト欠損量xは大きくなるし、Bサイト置換量yを小さくすれば、Aサイト欠損量xも小さくなる。
以上より、NbよりもTaを用いた方がAサイト欠損量の置換量xが大きくなる傾向がある。また、Bサイト置換元素をTaとして、その置換量yを0.2≦y<0.3とした場合には、Aサイトの欠損量xが最も大きくなる。
次に組成式Sr1−xTi1−y3+δで表されるAサイト欠損形ストロンチウムチタネートの合成方法について説明する。
出発原料としては、例えば、Sr源としてSrCO、Ti源としてTiO、Bサイト置換元素M源としてNb、Ta等を用いればよいが、これらに限られるものではない。
これらを上記範囲内のAサイト欠損量およびBサイト置換量となるように原料を混合して、600℃以上、好ましくは1000℃以上、より好ましくは1500℃で焼成することで、目的のペロブスカイト酸化物の単一成分のみを得ることが可能となる。Aサイト欠損量およびBサイト置換量を上記範囲内で混合しない場合であっても、ペロブスカイト酸化物は得られるが、それ以外の成分、すなわち、余剰となった原料成分の酸化物等も形成されるようになるので、ペロブスカイト酸化物の単一成分のみを得るためには、Aサイト欠損量およびBサイト置換量を上記範囲内となるようにして原料を混合することが好ましい。
焼成直後のペロブスカイト酸化物は酸素原子が過剰に存在している状態である。そこで、さらに水素雰囲気にて還元処理することで、当該酸化物からの酸素放出が起こり、Ti4+がTi3+となることで、また、Nb5+がNb2+、Nb3+およびNb4+に、Ta5+がTa2+、Ta3+、Ta4+に変化することで電荷補償が生じる。この際にTi4+がTi3+となることで、Tiのd軌道に一個電子を有するようになり、電子導電性を有するようになる。
以上により、組成式Sr1−xTi1−y3+δで表される、耐酸性および電子導電性を有するセラミックス粉体を得ることが可能となる。
尚、セラミックス粉体の粒子径は合成方法、焼成温度に依存する。より小さなセラミックス粉体を得たい場合には、固相反応法よりもむしろ液相反応法、例えば、共沈法や実施例の項で詳述するpechini法を用い、焼成温度をペロブスカイト酸化物が合成可能な範囲で低くすればよい。逆により大きなセラミックス粉体を得たい場合には、固相反応法を用いて、焼成温度を高くすればよい。
次に、本発明の第二の実施形態について詳細に説明する。
Aサイト欠損形ストロンチウムチタネートのAサイトを3族の希土類元素、例えばSc、Yおよびランタノイド系列元素であるLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1つもしくは2つ以上の元素により部分置換した上で、Aサイトを欠損させるようにして、さらにBサイトも部分置換し、還元することで耐硫酸性および電子導電性を有するセラミック粉体を得ることができる。
この場合、組成式は(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δで表され、REはSc、Yおよびランタノイド系列元素であるCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luである。(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δの合成は、Sr1−xTi1−y3+δを合成する場合の原料に加えて、Sc、Yおよびランタノイド系列元素を有する希土類酸化物を用いればよいが、これに限られるものではない。
不定比量zについては、図18に示すように、Sr1−zRETiO3+δの場合においては0<z<0.3までの範囲を取り得ることが確認された。(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δは、Sr1−zRETiO3+δのAサイトを欠損させ、Bサイトを部分置換したのみであることから、(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δにおいても0<z<0.3の範囲内の値を取り得る。
また、x、yについても、(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δ は、請求項1のAサイト欠損形ストロンチウムチタネートSr1−xTi1−y3+δのAサイトを部分置換しただけであることから、この組成においてもAサイト欠損量xについては0<x<0.15の範囲内の値を取り得る。また、Bサイト置換量yについては0<y<0.3の範囲内の値を取り得る。
次に、本発明のセラミックス粉体により形成されるセラミックス焼結体について説明する。本発明のセラミックス粉体は電子導電性を有しており、水素雰囲気下で焼結させたり、無酸素雰囲気下で焼結させることで、電子導電性を維持したセラミックス焼結体を得ることができる。
尚、焼結したことで電子導電性が失われた場合には、再び還元処理することで、電子導電性を有するようになる。
さらに、合成直後の電子導電性を有しないペロブスカイト酸化物を焼結させた後に、還元処理することで、電子導電性を有するようにしてもよい。
要するに、電子導電性は、Tiがd軌道に一個の電子を有する状態であれば発現するので、この状態を維持するようにすればよい。Tiがd軌道に電子を有しなくなった場合には再び還元処理をおこなって、Tiのd軌道に一個の電子を有する状態にすれば、電子導電性は再び発現するようになる。
本発明のセラミックス粉体およびセラミックス焼結体は、電子導電性を有しているので、電気分解槽の電極材料として用いることが可能である。また、耐酸性も有していることから、硫酸、硝酸および塩酸のような電解質溶液を用いる電気分解槽においても十分な耐久性を有する電極として機能する。
セラミックス粉体は、例えば、他の電極材料表面にコーティング等により担持させて用いても良いし、他の電極材料と混合して焼結してから用いるようにしても良い。また、セラミックス焼結体は、そのまま電極として用いても良いし、電極担持体として用いても良い。
さらに、これらの電極は、アノード電極として用いても良いし、カソード電極として用いても良い。
次に、硫黄サイクルハイブリッド法の温度と各反応工程を図1に示す。硫黄サイクルハイブリッド法は、熱分解工程(熱化学法)と電気分解工程(電気分解法)で構成されている。熱分解工程では、電気分解により得られた硫酸(HSO)が80℃を越える温度で蒸発し始める。
SO (液相) → HSO (気相) (熱分解工程1)
次に、500℃付近で、硫酸は三酸化硫黄(SO)と水(HO)に分解する。
SO(気相) → SO(気相)+HO(気相) (熱分解工程2)
さらに、三酸化硫黄は850℃付近で、二酸化硫黄(SO)と酸素(O)に分解する。
SO(気相) → SO(気相) + 1/2 O(気相) (熱分解工程3)
次に、このSOとOの混合ガスからSOを分離し、もう一度電気分解槽に送り込むと水との平衡反応により亜硫酸(HSO)が生成する。
SO(気相) + HO(液相) → HSO(液相) (亜硫酸再生工程)
この条件下で電気分解を行うことで、水素を発生し、副生成物として硫酸ができる。
SO(液相) + HO(液相) → HSO(液相) + H(気相) (電気分解工程)
硫酸は熱分解工程により再び分解され、上記サイクルの中で繰り返し使用される。アノード電極は、電気分解で副生成物として得られた硫酸に曝されることになるため、高い耐硫酸特性が不可欠となる。また、電流の増加とともに得られる水素量も増加するので、ジュール熱による効率低下を防ぐため、高い電子導電性を有することが重要である。そこで、アノード電極として、本発明の耐酸性および電子導電性を有するセラミックス粉体もしくはその焼結体を用いることで、電気分解時に問題となっていた過電圧を低下させることができるとともに、耐久性も維持できる。また、水素製造効率の向上ならびにコスト低減に大きく寄与することができるものである。
以下に本発明を下記の実施例によってより具体的に説明する。
実験方法について以下に示す。置換限度量を調べる試料は固相反応法により合成した。出発原料としてAECO(AE=Ca,Sr、高純度化学製99.9%)、TiO(高純度化学製99.9%)、希土類酸化物(RE 、RE=Y,La,Pr,Nd,Sm,Gd,Yb,尚Prの化学式はPr11,高純度化学製99.9%)、Nb(高純度化学製99.5%)、Ta(高純度化学製99.9%)を用いて、アルミナ乳鉢により所定のモル比で混合し、1200℃、10時間仮焼成した。その後、ジルコニア製遊星形ボールミルを用い、エタノール(ナカライテスク製98%)で湿式混合した後、この粉体を直径30mm、厚さ約5mmのペレットに100MPaで加圧成形後、1500℃、10時間焼成したものを粉砕して再び混合・焼成を行った。尚、この粉砕から焼成工程は2〜3回繰り返した。
焼成したセラミックスの結晶構造を粉末X線回折法(X−ray Diffractometry、Mac Science, M18XHF22、以下XRD測定と略す)により同定した。スキャンスピードは0.02°/秒とした。
セラミックス中の酸素欠損量を熱重量測定(Thermal Gravity、Mac Science,TG−DTA−5000S、以下TG測定と略す)により定量した。昇温速度は5℃/分とした。水素は10℃の純水を通してバブリングし、50mL/分で供給した。
Pechini法により導電性測定用試料を合成した。出発原料としてAECO(AE=Ca,Sr高純度化学製99.9%)と希土類酸化物(RE 、RE=Y,La,Pr,Nd,Sm,Gd,Yb,尚Prの化学式はPr11,高純度化学製99.9%)を用いて、所定のモル比でこれらを硝酸(ナカライテスク製)で溶かし、タスファイン(フルウチ化学製20%)を所定のモル比で混合し、エチレングリコール(ナカライテスク製)とクエン酸(ナカライテスク製)を添加し、スターラーで攪拌しながらホットプレート上において200℃付近の温度で反応させた。その後、脱脂炉で400℃、5時間で焼成し、アルミナ乳鉢で混合した後、800℃、5時間で焼成した。さらに、ジルコニア製遊星形ボールミルを用い、エタノールで湿式混合した後、乾燥した粉体を直径30mm、厚さ約5mmのペレットに100MPaで加圧成形後、1500℃、10時間焼成した。
Pechini法により作製した試料のペレットを5mm幅×5mm高さ×10mm長さに切り出し、水素還元処理を1200℃、1時間施した後、電気炉中、真空雰囲気下において、電気分解温度である80℃で、直流四端子法により導電率を測定した後、この試料を電気分解環境である80℃,の50重量% HSO水溶液中で65時間、360時間、1000時間で耐硫酸性を評価した。試験装置を図2に示す。なお、図中の1は三口フラスコ、2はリービッヒ冷却管、3は油浴、4は熱電対、5はヒーター、6は温度調節器、7はスターラー、8は酸化物セラミックス、9は硫酸水溶液である。
耐硫酸性の評価は、試料の重量変化量ならびに高周波誘導結合プラズマ発光質量分析(島津製作所(株)製、ICPM−8500型、Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、以下ICP−MSと略す)を用い、構成元素の溶解量測定により行った。
[比較例1]AETiO系ペロブスカイトの耐硫酸特性
チタン系酸化物は耐硫酸特性に優れている材料が多いが、室温で導電性を有する材料はほとんどない。そこで、導電性を発現できる可能性が高い複合酸化物、ペロブスカイト形構造の酸化物に着目した。チタン系酸化物はアルカリ土類金属とペロブスカイト形構造(AETiO)を形成することが知られている。そこで、CaTiOとSrTiOの2種類のペロブスカイトを合成し、耐硫酸特性を調べた。
出発原料としてアルカリ土類金属の炭酸化物と酸化チタンを所定のモル比で秤量し、上述した手法で試料粉体を得た。以下に組成と秤量結果を示す。
(a) CaTiO:CaCO 11.1229g, TiO 8.8771g
(b) SrTiO:SrCO 12.9777g, TiO 7.0223g
(c) GdTi:Gd2O 13.8821g, TiO 6.1179g
図3にCaTiOとSrTiOの硫酸中における浸漬実験結果を、耐硫酸特性の高いパイロクロア形酸化物のGdTiと比較して示す。1000時間で硫酸中への溶解度が1%以内であることが実用化の評価指標の一つとなっている。CaTiO系ペロブスカイトは360時間後に既に溶解度1%を超えるが、SrTiO系ペロブスカイトは、パイロクロア形構造を有するGdTiと比較すると若干高い溶解度を示すものの、1000時間後でも溶解度1%以内であった。従って、SrTiOは、硫黄サイクルハイブリッド法の運転条件にも充分耐えうる材料であることが確認された。しかしながら、SrTiO電気を通さない絶縁体であることが知られており、電極として使うことはできない。
[比較例2]SrTiO系ペロブスカイトへのAサイト置換
比較例1で示したように、SrTiOは高い耐硫酸特性を示すものの、電気を通さない絶縁体である。電気を通さない理由の一つとして、ペロブスカイト形構造中のTi4+イオンは最外殻(d軌道)に電子をもたないことが考えられる。よって、Ti4+イオンをTi3+イオンに還元できれば、d軌道に電子を一つ有することになり、導電性が発現する可能性がある。事実、Ti3+イオンを有するLaTiOは高い電子伝導性を示すことが知られている。
SrTiOはAサイトに+2価の金属元素、Bサイトに+4価の金属元素を配置するペロブスカイト形構造の酸化物である。
SrTiO3 → Sr2+Ti4+2−
+2価のアルカリ土類金属が存在するAサイトに+3価の異種金属元素を置換すれば、電荷補償によりTi4+イオンがTi3+イオンに還元されるか、酸素が過剰に存在することになる。このペロブスカイトは酸素が過剰なペロブスカイトに変化することが知られている。
Sr2+Ti4+2− +RE3+2− 1.5 → Sr2+ 1−xRE3+ Ti4+2− 3+δ
そこで、還元処理し過剰酸素を定比に戻すことにより、ペロブスカイト形構造中にTi3+イオンを安定に存在させることができる可能性がある。
そこで、Aサイト置換化合物を得るため、炭酸ストロンチウム、希土類酸化物及び酸化チタンを所定のモル比で秤量し、上述した手法で試料粉体を得た。以下に組成と秤量結果を示す。
<Aサイト置換元素がLaの場合>
(a) Sr0.98La0.02TiO3+δ:SrCO 12.7010g, La 0.2860g, TiO 7.0120g
(b) Sr0.95La0.05TiO3+δ:SrCO 12.2880g, La 0.7140g, TiO 6.9990g
(c) Sr0.9La0.1TiO3+δ:SrCO 11.6020g, La 1.4230g, TiO 6.9750g
(d) Sr0.8La0.2TiO3+δ:SrCO 10.2450g, La 2.8260g, TiO 6.9290g
(e) Sr0.75La0.25TiO3+δ:SrCO 9.5730g, La 3.5210g, TiO 6.9060g
(f) Sr0.7La0.3TiO3+δ:SrCO 8.9050g, La 4.2110g, TiO 6.8840g
<Aサイト置換元素がPrの場合>
(a) Sr0.98Pr0.02TiO3+δ:SrCO 12.6930g, Pr11 0.2990g, TiO 7.0080g
(b) Sr0.95Pr0.05TiO3+δ:SrCO 12.2680g, Pr11 0.7450g, TiO 6.9870g
(c) Sr0.9Pr0.1TiO3+δ:SrCO 11.5650g, Pr11 1.4820g, TiO 6.9530g
(d) Sr0.8Pr0.2TiO3+δ:SrCO 10.1800g, Pr11 2.9350g, TiO 6.8850g
(e) Sr0.75Pr0.25TiO3+δ:SrCO 9.4970g, Pr11 3.6510g, TiO 6.8520g
<Aサイト置換元素がNdの場合>
(a) Sr0.98Nd0.02TiO3+δ:SrCO 12.6960g, Nd 0.2950g, TiO 7.0090g
(b) Sr0.95Nd0.05TiO3+δ:SrCO 12.2730g, Nd 0.7360g, TiO 6.9900g
(c) Sr0.9Nd0.1TiO3+δ:SrCO 11.5750g, Nd 14.6600g, TiO 6.9590g
(d) Sr0.8Nd0.2TiO3+δ:SrCO 10.1980g, Nd 2.9050g, TiO 6.8970g
(e) Sr0.75Nd0.25TiO3+δ:SrCO 9.5180g, Nd 3.6160g, TiO 6.8670g
<Aサイト置換元素がSmの場合>
(a) Sr0.98Sm0.02TiO3+δ:SrCO 12.7000g, Sm 0.2890g, TiO 7.0120g
(b) Sr0.95Sm0.05TiO3+δ:SrCO 12.2570g, Sm 0.7620g, TiO 6.9810g
(c) Sr0.9Sm0.1TiO3+δ:SrCO 11.5450g, Sm 1.5150g, TiO 6.9410g
(d) Sr0.8Sm0.2TiO3+δ:SrCO 10.1440g, Sm 2.9950g, TiO 6.8610g
<Aサイト置換元素がGdの場合>
(a) Sr0.98Gd0.02TiO3+δ:SrCO 12.6810g, Gd 0.3180g, TiO 7.0010g
(b) Sr0.95Gd0.05TiO3+δ:SrCO 12.2390g, Gd 0.7910g, TiO 6.9710g
(c) Sr0.9Gd0.1TiO3+δ:SrCO 11.5100g, Gd 1.5700g, TiO 6.9200g
(d) Sr0.8Gd0.2TiO3+δ:SrCO 10.0840g, Gd 3.0950g, TiO 6.8210g
<Aサイト置換元素がYの場合>
(a) Sr0.980.02TiO3+δ:SrCO 12.7570g, Y 0.1990g, TiO 7.0430g
(b) Sr0.950.05TiO3+δ:SrCO 12.4240g, Y 0.5000g, TiO 7.0760g
<Aサイト置換元素がYbの場合>
(a) Sr0.98Yb0.02TiO3+δ:SrCO 12.6610g, Yb 0.3480g, TiO 6.9900g
(b) Sr0.95Yb0.05TiO3+δ:SrCO 12.1910g, Yb 0.8650g, TiO 6.9440g
図4、図5にAサイト置換元素がLaの場合のX線回折パターンとペロブスカイト単位格子の体積変化を示す。図4に示すように、z=0.3のときにLaのピークが観察されるため、La置換範囲は0<z<0.3である。
図6、図7にAサイト置換元素がPrの場合のX線回折パターンとペロブスカイト単位格子の体積変化を示す。図6に示すように、z=0.25のときでもPr11のピークが観察されないため、Pr置換範囲はz≧0.25であることが判る。また、図7のペロブスカイト単位格子の体積変化からz=0.2とz=0.25がほとんど変化しないので、Pr置換範囲は0<z≦0.2である。
図8、図9にAサイト置換元素がNdの場合のX線回折パターンとペロブスカイト単位格子の体積変化を示す。図8に示すようにz=0.25のときにNdのピークが観察されるため、Nd置換範囲は0<z<0.25であることが判る。また、図9のペロブスカイト単位格子の体積変化がz=0.2まで単調に減少することから、Nd置換範囲は0<z≦0.2である。
図10、図11にAサイト置換元素がSmの場合のX線回折パターンとペロブスカイト単位格子の体積変化を示す。図10に示すようにz=0.2のときにSmのピークが観察されるため、Sm置換範囲は0<z<0.2であることが判る。また、図11のペロブスカイト単位格子の体積変化がz=0.2まで減少することから、Sm置換範囲は0<z<0.2である。
図12、図13にAサイト置換元素がGdの場合のX線回折パターンとペロブスカイト単位格子の体積変化を示す。図12に示すようにz=0.1のときにGdのピークが観察されるためGd置換範囲は0<z<0.1であることが判る。また、図13のペロブスカイト単位格子の体積変化がz=0.1まで減少することから、Gd置換範囲は0<z<0.1である。
図14、図15にAサイト置換元素がYの場合のX線回折パターンとペロブスカイト単位格子の体積変化を示す。図14に示すようにz=0.05のときにYのピークが観察されるためY置換範囲は0<z<0.05であることが判る。また、図15のペロブスカイト単位格子の体積変化がz=0.02まで減少することから、Y置換範囲は0<z<0.02である。
図16、図17にAサイト置換元素がYbの場合のX線回折パターンとペロブスカイト単位格子の体積変化を示す。図16に示すようにz=0.05のときにYbのピークが観察されるためYb置換範囲は0<z<0.05であることが判る。また、図17のペロブスカイト単位格子の体積変化がz=0.02まで減少することから、Yb置換範囲は0<z<0.02である。
図18にSr1−zRETiO3+δのREイオン半径とRE置換限度量の関係を示す。REイオン半径が大きくなるに従い、置換限度量が増加することが判った。以上のことから、RE置換量zは0.3未満まで可能であることが確認された。すなわち、Aサイト置換量zは最大で0.3未満までは置換可能であることが確認された。
次に、これら試料の導電性に関して、置換限度量が多かったLa,Pr,Ndで置換した試料により実験した。導電率測定に関しては、90%以上の相対密度をもつ緻密試料が必要なため、焼結性の高いPechini法により、焼結させやすい微粒子を合成し、緻密試料を作製した。
アルカリ土類金属の炭酸化物、希土類酸化物及び酸化チタンを所定のモル比で秤量し、上述した手法で試料粉体を得た。以下に組成と秤量結果を示す。
<Aサイト置換元素がLaの場合>
Sr0.8La0.2TiO3+δ:SrCO 9.4578g, La 2.6092g, タスファイン 19.1520g、HNO 22mL, クエン酸 91g、エチレングリコール 40mL
<Aサイト置換元素がPrの場合>
Sr0.8Pr0.2TiO3+δ:SrCO 9.4578g, Pr11 2.7266g, タスファイン 19.1520g、HNO 22mL, クエン酸 91g、エチレングリコール 40mL
<Aサイト置換元素がNdの場合>
Sr0.8Nd0.2TiO3+δ:SrCO 9.4578g, Nd 2.6946g, タスファイン 19.1520g、HNO 22mL, クエン酸 91g、エチレングリコール 40mL
図19、図20、図21にSr0.8La0.2TiO3+δ、Sr0.8Pr0.2TiO3+δ、Sr0.8Nd0.2TiO3+δを各温度で焼成した試料のX線回折パターンを示す。600℃で焼成後、既にペロブスカイト形構造が形成されていることが判り、不純物のピークも観察されないため、組成通りの試料が合成できていることが確認された。
次に、還元処理前後の酸素欠損量について検討した。図22、図23、図24に、Sr0.8La0.2TiO3+δ、Sr0.8Pr0.2TiO3+δ、Sr0.8Nd0.2TiO3+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量変化から計算した酸素空孔量の温度依存性を示す。温度上昇に従い、ペロブスカイト中の酸素空孔量が減少し、降温過程でも酸素を吸収することなく酸素空孔量が再び増加しないことが確認された。Aサイト置換したペロブスカイト酸化物の酸素放出により、電荷の補償が生じ、その補償はTi4+イオンがTi3+イオンに変化することで行われることが考えられる。その一例の化学反応式を以下に示す。
Sr0.8RE0.2Ti4+3+δ + H → Sr0.8RE0.2Ti4+ 0.8Ti3+ 0.2 + H
この結果から、高温で還元処理して電荷補償を起こさせた後、室温に戻しても、還元処理により得られたペロブスカイト酸化物の組成は変化しないので、電子導電性も保持されることが示唆された。
次に、Pechini法により作製し、1200℃で1時間還元処理したSr0.8La0.2TiO3+δ、Sr0.8Pr0.2TiO3+δ、Sr0.8Nd0.2TiO3+δの80℃の導電率を図25に示す。これらのペロブスカイト酸化物は1S/cmオーダーという高い導電率が得られていることが確認された。この導電率は、チタン系パイロクロア形酸化物と比較し、1桁以上高い値である。
これらの高い導電率を示したペロブスカイト酸化物について、耐硫酸性を評価した。図26に、今回作製し、還元したSr0.8La0.2TiO3+δ、Sr0.8Pr0.2TiO3+δ、Sr0.8Nd0.2TiO3+δの硫酸浸漬実験中の重量変化を示す。これらの試料はすべて重量変化が大きかった上に、ICP−MSで硫酸溶液を測定した結果、希土類元素のピークが観察された。また、試料の色も黒から白に変化しており、Ti3+イオンもTi4+イオンに酸化されていることが示唆された。
図27、図28、図29に、硫酸浸漬実験前後のSr0.8La0.2TiO3+δ、Sr0.8Pr0.2TiO3+δ、Sr0.8Nd0.2TiO3+δ粉末のX線回折パターンを示す。全ての試料にSrSOのピークが観察された。従って、本材料は耐硫酸特性が低く、硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽のアノード電極に適用するのが難しいことが確認された。
[比較例3] SrTiO系ペロブスカイトへのAサイト欠損性
SrTiOが高い耐硫酸特性を有するのに対し、Sr0.8RE0.2TiO3+δの耐硫酸特性が格段に低いことが比較例2で確認された。耐硫酸浸漬実験後にSrSOが形成されていたことから、Aサイトの元素が硫酸と反応しやすいと考え、Aサイトの元素を不足させたペロブスカイト形酸化物、すなわちAサイト欠損形ペロブスカイトSr1−xTiO3+δを合成した。
炭酸ストロンチウムと酸化チタンを所定のモル比で秤量し、上述した手法で試料粉体を得た。以下に組成と秤量結果を示す。
(a)Sr0.9TiO3+δ:SrCO 1.2491g, TiO 0.7509g
(b)Sr1.05TiO3+δ:SrCO 1.3199g, TiO 0.6801g
図30、図31に、Sr1−xTiO3+δ、SrTiO3+δおよびSr1+xTiO3+δのX線回折パターンと格子定数変化を示す。ストロンチウム成分が過剰なSr1.05TiO3+δのX線回折パターンにはSrOのピークが観察され、Sr成分が不足したSr0.95TiO3+δのX線回折パターンにはTiOのピークが観察された。また、Aサイト過剰・不足の組成に対しても格子定数の変化がないことからSrTiOには不定比化合物が存在しないことが確認された。
[比較例4] SrTiO系ペロブスカイトへのBサイト置換
Aサイト欠損形ストロンチウムチタネートを実現するために、変化するAサイト元素量の電荷補償への対応が必要と考え、様々な原子価を有するNbとTaをBサイトに置換することについて検討した。
炭酸ストロンチウムと酸化チタンを所定のモル比で秤量し、上述した手法で試料粉体を得た。以下に組成と秤量結果を示す。
<Bサイト置換元素がNbの場合>
(a) SrTi0.9Nb0.13+δ:SrCO 12.6790g, Nb 1.1460g, TiO 6.1750g
(b) SrTi0.8Nb0.23+δ:SrCO 12.3940g, Nb 2.2410g, TiO 5.3650g
(c) SrTi0.7Nb0.33+δ:SrCO 12.1220g, Nb 3.2870g, TiO 4.5910g
図32、図33に、Bサイト置換元素がNbの場合のX線回折パターンと格子定数変化を示す。図32に示すようにy=0.3のときにNbのピークが観察されるためNb置換範囲は0<y<0.3であることが判る。また、図33のペロブスカイト単位格子の格子定数変化がy=0.2まで増加し、y=0.3まで一定値を示すことから、Nb置換範囲は0<y≦0.2と判断した。
<Bサイト置換元素がTaの場合>
(a) SrTi0.9Ta0.13+δ:SrCO 12.2220g, Ta 1.8290g, TiO 5.9510g
(b) SrTi0.8Ta0.23+δ:SrCO 11.5460g, Ta 3.4560g, TiO 4.9980g
(c) SrTi0.7Ta0.33+δ:SrCO 10.9420g, Ta 4.9130g, TiO 4.1450g
図34、図35に、Bサイト置換元素がTaの場合のX線回折パターンと格子定数変化を示す。図34に示すようにy=0.3のときにTaのピークが観察されるためTa置換範囲は0<y<0.3である。また、図35のペロブスカイト単位格子の格子定数変化がy=0.3まで増加することから、Ta置換範囲は0<y<0.3である。しかし、これらのペロブスカイト酸化物はAサイトの欠損がないため、耐硫酸性を有しない。そこで以下に、Bサイトを置換しつつ、Aサイトを欠損させることを検討した。
[実施例1] SrTiO系ペロブスカイトへのBサイト置換およびAサイト欠損
アルカリ土類金属の炭酸化物と酸化チタンを所定のモル比で秤量し、上述した手法で試料粉体を得た。以下に組成と秤量結果を示す。
<Bサイト置換元素がNbの場合>
(a)Sr0.95Ti0.9Nb0.13+δ:SrCO 12.4400g, Nb 1.1840g, TiO 6.3770g
(b)Sr0.95Ti0.8Nb0.23+δ:SrCO 12.1510g, Nb 2.3120g, TiO 5.5370g
(c)Sr0.95Ti0.7Nb0.33+δ:SrCO3 1.1876g, Nb 0.3390g, TiO 0.4735g
(d)Sr0.9Ti0.9Nb0.13+δ:SrCO 3.0460g, Nb 0.3059g, TiO 1.6481g
(e)Sr0.9Ti0.8Nb0.23+δ:SrCO 2.9730g, Nb 0.5971g, TiO 1.4299g
(f)Sr0.9Ti0.7Nb0.33+δ:SrCO 1.1614g, Nb 0.3499g, TiO 0.4887g
(g)Sr0.85Ti0.8Nb0.23+δ:SrCO 1.1615g, Nb 0.2470g, TiO 0.5915g
(h)Sr0.8Ti0.8Nb0.23+δ:SrCO 1.1318g, Nb 0.2557g, TiO 0.6124g
(i)Sr0.85Ti0.7Nb0.33+δ:SrCO 1.1334g, Nb 0.3616g, TiO 0.5050g
(j)Sr0.8Ti0.7Nb0.33+δ:SrCO 1.1035g, Nb 0.3740g, TiO 0.5225g
(k)Sr0.75Ti0.7Nb0.33+δ:SrCO 1.0715g, Nb 0.3874g, TiO 0.5411g
図36、図37、図38に、Sr1−xTi0.9Nb0.13+δ、Sr1−xTi0.8Nb0.23+δ 及びSr1−xTi0.7Nb0.33+δのX線回折パターンを示す。図36に示すようにx=0.05のときにTiOのピークが観察されるためSr1−xTi0.9Nb0.13+δ系のAサイト欠損量の範囲は0<x<0.05である。図37に示すようにx=0.1のときにTiOのピークが観察されるためSr1−xTi0.8Nb0.23+δのAサイト欠損量の範囲は0<x<0.1である。図38に示すようにx=0においてもNbに起因するピークが観察されるためSr1−xTi0.7Nb0.33+δのAサイト欠損量は存在しない。また、図39はSr1−xTi0.9Nb0.13+δ、Sr1−xTi0.8Nb0.23+δ 及びSr1−xTi0.7Nb0.33+δの格子定数変化を示す。白印がAサイト欠損形ペロブスカイトの単一相を形成する組成を示し、黒印はペロブスカイトと第2相との混合相を示す。
<Bサイト置換元素がTaの場合>
(a)Sr0.95Ti0.9Ta0.13+δ:SrCO 11.9750g, Ta 1.8870g, TiO 6.1380g
(b)Sr0.95Ti0.8Ta0.23+δ:SrCO 11.2950g, Ta 3.5590g, TiO 5.1460g
(c)Sr0.95Ti0.7Ta0.33+δ:SrCO 1.0688g, Ta 0.5051g, TiO 0.4261g
(d)Sr0.9Ti0.9Ta0.13+δ:SrCO 2.9285g, Ta 0.4869g, TiO 1.5846g
(e)Sr0.9Ti0.8Ta0.23+δ:SrCO 2.7570g, Ta 0.9169g, TiO 1.3260g
(f)Sr0.9Ti0.7Ta0.33+δ:SrCO 1.0418g, Ta 0.4384g, TiO 0.5197g
(g)Sr0.85Ti0.9Ta0.23+δ:SrCO 1.0745g, Ta 0.3784g, TiO 0.5472g
(h)Sr0.8Ti0.8Ta0.23+δ:SrCO 1.0442g, Ta 0.3907g, TiO 0.5650g
(i)Sr0.85Ti0.7Ta0.33+δ:SrCO 1.0133g, Ta 0.5352g, TiO 0.4515g
(j)Sr0.8Ti0.7Ta0.33+δ:SrCO 0.9830g, Ta 0.5517g, TiO 0.4654g
(k)Sr0.75Ti0.7Ta0.33+δ:SrCO 0.9507g, Ta 0.5691g, TiO 0.4801g
図40、図41、図42に、Sr1−xTi0.9Ta0.13+δ、Sr1−xTi0.8Ta0.23+δ 及びSr1−xTi0.7Ta0.33+δのX線回折パターンを示す。図40に示すようにx=0.1のときにTiOのピークが観察されるためSr1−xTi0.9Ta0.13+δ系のAサイト欠損量の範囲は0<x<0.1である。図41に示すようにx=0.15のときにTiOのピークが観察されるためSr1−xTi0.8Nb0.23+δのAサイト欠損量の範囲は0<x<0.15である。図42に示すようにx=0.15のときにTiOのピークが観察されるためSr1−xTi0.7Ta0.33+δのAサイト欠損量の範囲は0<x<0.15である。また、図43にSr1−xTi0.9Ta0.13+δ、Sr1−xTi0.8Ta0.23+δ 及びSr1−xTi0.7Ta0.33+δの格子定数変化を示す。白印がAサイト欠損形ペロブスカイトの単一相を形成する組成を示し、黒印はペロブスカイトと第2相との混合相を示す。以上より、Nbに比べてTaで置換の方がAサイト欠損量が大きくなる傾向を示すことが確認された。
次に、還元処理前後の酸素欠損量について検討した。図44、図45に、Sr0.95Ti0.9Nb0.13+δとSr0.95Ti0.8Nb0.23+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行った際の重量変化を示す。この重量変化は全てペロブスカイト中の酸素の放出によるものであり、温度上昇に従い、ペロブスカイト中の酸素量が減少し、降温過程でも酸素を吸収することなく酸素量が再び増加しないことが確認された。従って、Aサイト置換したペロブスカイト酸化物の酸素放出により、電荷の補償が生じ、その補償がTi4+イオンがTi3+イオンに、あるいはNb5+がNb2+,Nb3+,Nb4+に変化することで行われていることが考えられる。
図46、図47に、Sr0.95Ti0.9Ta0.13+δとSr0.95Ti0.8Ta0.23+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量を示す。この重量変化は全てペロブスカイト中の酸素の放出によるものであり、温度上昇に従い、ペロブスカイト中の酸素量が減少し、降温過程でも酸素を吸収することなく酸素量が再び増加しないことが確認された。従って、Aサイト置換したペロブスカイト酸化物の酸素放出により、電荷の補償が生じ、その補償がTi4+イオンがTi3+イオンに、あるいはTa5+がTa2+,Ta3+,Ta4+に変化することで行われていることが考えられる。
これらの結果から、高温で還元処理して電荷補償を起こさせた後、室温に戻しても、還元処理により得られたペロブスカイト酸化物の組成は変化しないので、電子導電性も保持されることが示唆された。
次に、図48に、pechini法により作製し、1200℃で1時間還元処理したSr1−xTi1−y3+δ(M = Nb,Ta)の80℃の導電率を示す。この試料の導電率は10S/cmオーダーと非常に高いことが確認された。この導電率は、定比組成のAサイト置換チタン系ペロブスカイト酸化物と比較し、1桁以上高い値であった。
図26に、今回作製し、還元したSr1−xTi1−y3+δ(M = Nb,Ta)の硫酸浸漬実験中の重量変化を示す。50重量%HSO溶液に1000時間浸漬しても重量変化がほとんどなく、耐硫酸特性に優れていることが確認された。
以上より、SrTiOのBサイトを部分置換して、Aサイトを欠損させたペロブスカイト化合物を還元処理することで、耐硫酸特性に優れた電子導電性セラミックスを得ることができることが確認された。
硫黄サイクルハイブリッド法の温度と各反応工程図である。 硫酸浸漬試験装置である。 CaTiOとSrTiOの硫酸中における浸漬実験結果を、耐硫酸特性の高いパイロクロア形酸化物のGdTiと比較した図である。 Sr1−zLaTiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)z=0、(b)z=0.1、(c)z=0.2、(d)z=0.25である。 Sr1−zLaTiO3+δのペロブスカイト単位格子の体積変化を示した図であり、○は空気雰囲気、△は水素雰囲気で測定した結果である。 Sr1−zPrTiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)z=0、(b)z=0.1、(c)z=0.2、(d)z=0.25である。 Sr1−zPrTiO3+δのペロブスカイト単位格子の体積変化を示した図であり、○は空気雰囲気、△は水素雰囲気で測定した結果である。 Sr1−zNdTiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)z=0、(b)z=0.1、(c)z=0.2、(d)z=0.25である。 Sr1−zNdTiO3+δのペロブスカイト単位格子の体積変化を示した図であり、○は空気雰囲気、△は水素雰囲気で測定した結果である。 Sr1−zSmTiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)z=0、(b)z=0.05、(c)z=0.1、(d)z=0.2である。 Sr1−zSmTiO3+δのペロブスカイト単位格子の体積変化を示した図であり、○は空気雰囲気、△は水素雰囲気で測定した結果である。 Sr1−zGdTiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)z=0、(b)z=0.02、(c)z=0.05、(d)z=0.1である。 Sr1−zGdTiO3+δのペロブスカイト単位格子の体積変化を示した図であり、○は空気雰囲気、△は水素雰囲気で測定した結果である。 Sr1−zTiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)z=0、(b)z=0.02、(c)z=0.05である。 Sr1−zTiO3+δのペロブスカイト単位格子の体積変化を示した図であり、○は空気雰囲気、△は水素雰囲気で測定した結果である。 Sr1−zYbTiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)z=0、(b)z=0.02、(c)z=0.05である。 Sr1−zYbTiO3+δのペロブスカイト単位格子の体積変化を示した図であり、○は空気雰囲気、△は水素雰囲気で測定した結果である。 Sr1−zRETiO3+δのREイオン半径とRE置換限度量の関係を示した図である。 Sr0.8La0.2TiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)400℃、(b)600℃、(c)1500℃である。 Sr0.8Pr0.2TiO3+δの X線回折パターンを示した図であり、(a)400℃、(b)600℃、(c)1500℃である。 Sr0.8Nd0.2TiO3+δのX線回折パターンを示した図であり、(a)400℃、(b)600℃、(c)1500℃である。 Sr0.8La0.2TiO3+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量変化から計算した酸素空孔量の温度依存性を示した図である。 Sr0.8Pr0.2TiO3+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量変化から計算した酸素空孔量の温度依存性を示した図である。 Sr0.8Nd0.2TiO3+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量変化から計算した酸素空孔量の温度依存性を示した図である。 還元したSr0.8La0.2TiO3+δ、Sr0.8Pr0.2TiO3+δ、Sr0.8Nd0.2TiO3+δの80℃の導電率を示した図である。 還元したSr0.8La0.2TiO3+δ、Sr0.8Pr0.2TiO3+δ、Sr0.8Nd0.2TiO3+δの硫酸浸漬実験中の重量変化を示した図である。 硫酸浸漬実験前後のSr0.8La0.2TiO3+δ粉末のX線回折パターンを示した図である。●はSrSOのピークである。 硫酸浸漬実験前後のSr0.8Pr0.2TiO3+δ粉末のX線回折パターンを示した図である。●はSrSOのピークである。 硫酸浸漬実験前後のSr0.8Nd0.2TiO3+δ粉末のX線回折パターンを示した図である。●はSrSOのピークである。 Sr1−xTiO3+δ、SrTiO3+δおよびSr1+xTiO3+δのX線回折パターンを示した図である。(a)x=0.95、(b)x=0、(c)x=0.05であり、×はTiO(ルチル型)、○はSrTiOである。 Sr1−xTiO3+δ、SrTiO3+δおよびSr1+xTiO3+δの格子定数変化を示した図である。 SrTi1−yNb3+δのX線回折パターンを示した図である。 SrTi1−yNb3+δの格子定数変化を示した図である。 SrTi1−yTa3+δのX線回折パターンを示した図である。 SrTi1−yTa3+δの格子定数変化を示した図である。 Sr1−xTi0.9Nb0.13+δのX線回折パターンを示した図である。 Sr1−xTi0.8Nb0.23+δのX線回折パターンを示した図である。 Sr1−xTi0.7Nb0.33+δのX線回折パターンを示した図である。 Sr1−xTi0.9Nb0.13+δの格子定数変化を示した図である。 Sr1−xTi0.9Ta0.13+δのX線回折パターンを示した図である。 Sr1−xTi0.8Ta0.23+δのX線回折パターンを示した図である。 Sr1−xTi0.7Ta0.33+δのX線回折パターンを示した図である。 Sr1−xTi0.9Ta0.13+δ、Sr1−xTi0.8Ta0.23+δ 及びSr1−xTi0.7Ta0.33+δの格子定数変化を示した図である。 Sr0.95Ti0.9Nb0.13+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量を示した図である。 Sr0.95Ti0.8Nb0.23+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量を示した図である。 Sr0.95Ti0.9Ta0.13+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量を示した図である。 Sr0.95Ti0.8Ta0.23+δ粉末を水素雰囲気中で重量測定を行い、その重量を示した図である。 還元したSr1−xTi1−y3+δ(M = Nb、Ta)の80℃の導電率を示した図である。
符号の説明
8 酸化物セラミックス

Claims (7)

  1. 主成分の組成式がSr1−xTi1−y3+δで表され、
    (a)MはNb、Taのうち一つもしくは両方を含むBサイトを部分置換可能な元素であり、
    (b)0<x<0.15、0<y<0.3、0≦δ≦0.45
    であることを特徴とするAサイト欠損形ストロンチウムチタネートが還元処理されてなるセラミックス粉体。
  2. 主成分の組成式が(Sr1−zRE1−xTi1−y3+δで表され、
    (a)REはSc、Yおよびランタノイド系列元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)のうち一つもしくは2つ以上を含むAサイトを部分置換可能な元素であり、
    (b)MはNb、Taのうち一つもしくは両方を含むBサイトを部分置換可能な元素であり、
    (c)0<x<0.15、0<y<0.3、0<z<0.3、0≦δ≦0.45
    であることを特徴とするAサイト欠損形ストロンチウムチタネートが還元処理されてなるセラミックス粉体。
  3. 請求項1および2に記載のセラミックス粉体により形成されることを特徴とするセラミックス焼結体。
  4. 請求項1および2に記載のセラミックス粉体によって電極が構成されていることを特徴とする電気分解槽。
  5. 請求項3に記載のセラミックス焼結体によって電極が構成されていることを特徴とする電気分解槽。
  6. 請求項1および2に記載のセラミックス粉体によってアノード電極が構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽。
  7. 請求項3に記載のセラミックス焼結体によってアノード電極が構成されていることを特徴とする硫黄サイクルハイブリッド水素製造用電気分解槽。
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