JP7477729B2 - 複合酸化物粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は複合酸化物粉末およびその製造方法に関し、より詳細には、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell、以下、単に「SOFC」ということがある。)の空気極材料として好適に用いられる複合酸化物粉末およびその製造方法に関するものである。
SOFCは、種々のタイプの燃料電池のなかでも発電効率が高く、また多様な燃料が使用可能なこと等から、環境負荷の少ない次世代の発電装置として開発が進められている。図1に示すように、SOFCの単セルは、多孔質構造の空気極(カソード)3と、酸化物イオン伝導体を含む緻密な固体電解質2と、多孔質構造の燃料極(アノード)1とがこの順に積層された構造を有する。SOFCの作動時には、空気極3に空気等のO(酸素)含有ガスが、燃料極1にH(水素)等の燃料ガスが、それぞれ供給される。この状態で、SOFCに電流を印加すると、空気極3でOが還元されてO2-アニオン(酸素イオン)となる。そして、このO2-アニオンが固体電解質2を通過して燃料極1に到達し、Hを酸化して電子を放出する。これによって、電気エネルギーの生成(すなわち発電)が行われる。
このようなSOFCにおいて空気極3を形成する場合、一般に、酸化物粉末と溶媒とを混合して塗料を作製し、当該塗料を所定の基体表面に塗布して形成していた(例えば特許文献1)。ここで、固体電解質型燃料電池の空気極をより安価に製造する観点からは、塗料中の溶媒量を少なくすることが望ましい。しかし、従来の塗料において溶媒量を少なくすると粘度が高くなり過ぎて塗料として使用できなかった。
そこで本出願人は、従来よりも少ない溶媒と混合しても従来と同等以下の粘度が得られる複合酸化物粉末およびその製造方法を提案した(特許文献2)。
特開2013-140737号公報 特開2018-162176号公報
前記提案の製造方法で得られる複合酸化物粉末によれば、使用する溶媒量を従来よりも少なくできるものの、複合酸化物粉末の製造工程において、焼成物を炭酸ガスの存在下で熱処理する必要があった。このため、従来の製造方法よりも製造工程が増え生産性が低下することが懸念される。また全ての炭酸ガスが焼成物に吸着するわけではなく、無駄になる炭酸ガスが不可避的に発生する。
そこで本発明の目的は、炭酸ガスを焼成物に吸着させる工程を必要とせず、従来よりも少ない溶媒と混合したとしても塗料(ペースト)の作製が可能な複合酸化物粉末を提供することにある。
本発明者らは種々の検討により次に示すような粉末であれば、前記の課題は解決可能であることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、第1の発明に係る複合酸化物粉末は、下記組成式(1)で示される組成を有し、下記式(2)から算出される比表面積値β(m/g)が0.35以下であることを特徴とする。
ABO3-δ ・・・(1)
(式中、A:La,Sr,Caから選ばれる1種類以上の元素、B:Fe,Co,Ni,Mnから選ばれる1種類以上の元素、0≦δ<1)
比表面積値β(m/g)=比表面積値γ-比表面積値ε ・・・(2)
(式中、比表面積値γ(m/g):水銀圧入法測定より測定される全細孔径範囲の比表面積値の累積値,比表面積値ε(m/g):粒度分布測定装置により算出された粒度分布における体積基準の累積50%粒子径(平均粒子径D50)よりも大きい細孔径範囲の比表面積値の累積値)
なお、本明細書における「比表面積値」および「平均粒子径D50」は、後述の実施例に記載の測定方法による測定値をいうものとする。
第2の発明は、第1の発明において、前記平均粒子径D50が20μm以上40μm以下の範囲であるのが好ましい。
第3の発明は、第1または第2の発明において、一般式(1)におけるBサイトに含まれる元素がMnであるのが好ましい。
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、一般式(1)におけるAサイトに含まれる元素がLa,SrおよびCaであるのが好ましい。
第5の発明に係る燃料電池用の空気極は、第1ないし第4の発明のいずれかの発明に係る複合酸化物粉末を含み形成されることを特徴とする。
第6の発明に係る固体酸化物型燃料電池は、燃料極と、固体電解質と、空気極とを備えた固体酸化物型燃料電池であって、前記空気極として第5の発明に係る空気極を用いたことを特徴とする。
第7の発明に係る複合酸化物粉末の製造方法は、下記組成式(1)で示される組成を有する複合酸化物粉末の製造方法であって、A成分原料とB成分原料とを分散媒中に投入してスラリーを得るスラリー化工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉を得る乾燥工程と、酸素を含む環境下で温度1300℃以上1600℃以下で前記乾燥粉を焼成して焼成物を得る焼成工程とを有し、前記焼成工程において、焼成温度までの昇温速度を0.5℃/min以上2.0℃/min未満の範囲とする。
ABO3-δ ・・・(1)
(式中、A:La,Sr,Caから選ばれる1種類以上の元素、B:Fe,Co,Ni,Mnから選ばれる1種類以上の元素、0≦δ<1)
第8の発明は、第7の発明において、前記焼成工程における焼成温度までの昇温過程を複数段階に分け、連続する2つの段階では、後段の昇温速度を前段の昇温速度よりも遅くするのが好ましい。
第9の発明は、第8の発明において、前記焼成工程において、焼成温度までの昇温過程を前段と後段の2段階に分け、前段を昇温開始温度から結晶化開始温度までとし、後段を結晶化開始温度以降焼成温度までとするのが好ましい。なお、「結晶化開始温度」とはX線回折による測定において、ペロブスカイト型複合酸化物のピークが現れはじめる温度をいう。
第10の発明は、第8の発明または第9の発明において、前記焼成工程における焼成温度までの昇温過程を前段と後段の2段階に分け、前段の昇温速度を1.0℃/min以上2.0℃/min以下の範囲とし、後段の昇温速度を0.5℃/min以上1.5℃/min以下の範囲とするのが好ましい。
本発明に係る複合酸化物粉末によれば、炭酸ガスを焼成物に吸着させる工程を必要とせず、従来よりも少ない溶媒と混合したとしても塗料(ペースト)の作製が可能である。
実施例1の複合酸化物粉末の細孔分布測定結果である。 固体酸化物型燃料電池の一例を模式的に示す断面構成図である。
(複合酸化物粉末)
本発明に係る複合酸化物粉末の大きな特徴の一つは、前記式(2)から算出される比表面積値β(m/g)が0.35以下であることである。固体表面における不均一性は、液体と固体の濡れに影響を及ぼすとされている。特に「ある液体」に対して「濡れにくい」固体であれば、粗面になればより濡れにくくなるとされている。よって、汎用性の求められる用途の場合には、粒子はより平滑な表面とすることが好ましい。
ここで特に、複合酸化物を塗料化する際において、液体と固体における指標を考えたときには、通常用いられる窒素吸着量により算出されるBET法による比表面積値よりも、濡れ性への影響が大きいメソポアを測定することができる水銀圧入法に基づき比表面積値により算出することが適当であることに想到した。
本発明者らの検討によれば、粒子としては水銀圧入法により算出される比表面積値βが0.35(m/g)よりも大きい場合、本発明に従うような表面性の粒子と比較して、粒子表面を全体的に溶媒で被覆するにはより多くの溶媒が必要となることになるため適切ではないことが判明した。また、溶媒が少なくてすむので、ペースト形成時における粉体濃度を高めることができ、より高粉末濃度のペーストとすることができるようになり好ましい。より好ましくは0.30(m/g)以下、一層好ましくは0.20(m/g)以下である。溶媒量が少なければ、粒子表面における溶媒による被覆もしくは浸透に要する時間も低減できるようになるので、生産性も有利なものとなる。以上のことから、表面が極めて平滑であるときには、βは0(m/g)となる。よって、βの取り得る値は0(m/g)以上となるが、好ましくは0.03(m/g)以上、より好ましくは0.05(m/g)以上であるのがよい。
なお、本発明では、水銀圧入法測定による比表面積値β(m/g)を算出するときに水銀圧入法測定により測定される全細孔径範囲の比表面積値の累積値である比表面積値γ(m/g)と、レーザー回折・散乱法を用いた粒度分布測定装置により算出された粒度分布における50%累積粒子径(体積換算・D50)よりも大きい細孔径範囲の比表面積値の累積値である比表面積値ε(m/g)を算出し、「比表面積値β=比表面積値γ-比表面積値ε」により算出したのは、水銀圧入法測定より測定される全細孔径範囲の比表面積値の累積値である比表面積値γは、粒子の細孔だけでなく、粒子間の隙間をも累積した比表面積値になってしまうので、平均粒子径D50よりも大きい細孔径範囲の比表面積値の累積値である比表面積値εを引くことで前記粒子間の隙間を排除した比表面積値にするためである。
比表面積値γに特に限定はないが0.05m/g以上であるのが好ましい。比表面積値γの上限値は0.5m/g以下が好ましく、より好ましくは0.2m/g以下である。比表面積値εも特に限定はないが、パッキングの観点から粒子間の隙間が少なくできる、0m/gより大きく、0.15m/g以下とするのが好ましい。より好ましくは0.1m/g以下、さらに好ましくは0.05m/g以下である。また、比表面積値γと比表面積値εは、0.5×γ>εの関係を満たすのが好ましい。より好ましくは0.25×γ>εである。さらに好ましくは0.10×γ>εである。
本発明に係る複合酸化物粉末の組成は前記式(1)で示される組成である。すなわち、一般式ABO3―δで示され、AサイトはLa(ランタン),Sr(ストロンチウム),Ca(カルシウム)から選択される1種以上の元素であり、BサイトはFe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル),Mn(マンガン)から選択される1種以上の元素である。より具体的には、La、Sr、Ca、Mnを含む(La,Sr,Ca)MnO3―δ系複合酸化物(以下、「LSCM」と記すことがある。)、La、Sr、Co、Feを含む(La,Sr)(Co,Fe)O3―δ系複合酸化物(以下、「LSCF」と記すことがある。)、La、Sr、Coを含む(La,Sr)CoO3―δ系複合酸化物(以下、「LSC」と記すことがある。)、La、Sr、Mnを含む (La,Sr)MnO3―δ系複合酸化物(以下、「LSM」と記すことがある。)、La、Ni、Coを含む(La,Ni)CoO3―δ系複合酸化物(以下、「LNC」と記すことがある。)、La、Ni、Feを含む(La,Ni)FeO3―δ系複合酸化物(以下、「LNF」と記すことがある。)を挙げることができる。これらの中でもBサイトがMnであるものが好ましい。これらは、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。これらのペロブスカイト型複合酸化物は、電子導電性を持ち、例えば、吸着剤、触媒担体、分離膜、燃料電池等の酸素極、キャパシタ等の電極、機能性フィルターの部材、更には、ガスセンサー、リチウム蓄電デバイス、色素増感型太陽電池等としての利用も可能である。
なお、酸素の組成は化学量論的には3であるが、場合によっては一部欠損していてもよい。δは0を含む酸素欠損量を示し、δの値の範囲は0≦δ<1である。また本発明に係る複合酸化物は主成分としてペロブスカイト型構造を有していればよく、他に原料などに起因する不可避の不純物相が存在していてもよい。
本発明に係る複合酸化物粉末の平均粒子径D50は20μm以上40μm以下の範囲が好ましい。また本発明に係る複合酸化物粉末の粒度分布は、一山分布の粒度分布を有するのが好ましい。
(複合酸化物粉末の製造方法)
本発明に係る複合酸化物粉末の製造方法に特に限定はなく、例えば下記に説明する方法により本発明に係る複合酸化物粉末は製造され得る。
(原料スラリーの作製)
目的の組成の複合酸化物が生成されるように所定の各成分原料が秤量される。成分原料は、通常使用されるものが好適に使用される。例えば、La、Sr、Ca、Fe、Co、Ni、Mnを含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩などが挙げられる。これらの中でも環境的な側面及び入手し易さなどの理由から、炭酸塩、水酸化物または酸化物が好ましい。また、成分原料は1つの元素につき炭酸塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩などから選ばれた任意の2種類以上の化合物を元素源として選択することもできる。
所定量を秤量された各成分原料は純水と混合されて原料スラリーとされる。原料スラリーの固形分濃度は40質量%以上が好ましい。原料スラリーの粘度が高くなりすぎる場合にはポリアクリル酸アンモニウムなどの分散剤を添加してもよい。またアンモニア水を添加してもよい。
(湿式粉砕)
作製された原料スラリーは湿式粉砕される。湿式粉砕に用いることができる装置としては、ビーズミル、湿式ボールミル、サンドグラインダー、アトライター、パールミルなどが挙げられる。特に、ビーズミルを用いるのが好ましい。粉砕メディアの素材は、機械的強度の高いものならば限定せずに使用できる。具体的には、強度が高いZrOビーズが好ましい。また、ZrOは、Fe等の元素に比べて、たとえコンタミネーションが発生しても許容される範囲が大きい。従って、当該コンタミネーションの観点からもZrOビーズが好ましい。ビーズ径の直径は2.0mm以下であるのが良好な粉砕効率が得られる点から好ましい。
湿式粉砕後の原料スラリーの平均粒子径D50は5μm以下であるのが好ましい。原料スラリーの平均粒子径D50は5μm以下であると、後述する造粒物内における組成の偏りが少なくなり、一般式(1)で表される複合酸化物相以外の異相の生成が抑制される。また造粒物の粒子形状の歪みが小さくなる。原料スラリーの平均粒子径D50は0.8μm以上3.0μm以下の範囲が好ましく、0.8μm以上2.0μm以下の範囲がより好ましい。
(乾燥・造粒)
作製された原料スラリーは乾燥・造粒され、乾燥・造粒粉(複合酸化物粉末の前駆体)とされる。乾燥・造粒する方法としては噴霧乾燥が好ましい。噴霧乾燥装置としてはスプレードライヤーが好適に使用される。中でも、ディスク式のスプレードライヤーが、乾燥効率や量産性の観点からより好ましい。乾燥温度は60℃以上350℃以下、好ましくは75℃以上325℃以下、より好ましくは100℃以上300℃以下とするのがよい。この温度範囲を極端に外れた状態で乾燥させると、一部がペロブスカイト化するおそれ、もしくは乾燥しきらずに粉末中に水分が残ることがある。乾燥・造粒粉の平均粒子径は10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、上限値は100μm以下、好ましくは75μm以下、一層好ましくは50μm以下の範囲である。
(焼成)
乾燥・造粒粉は焼成炉で焼成される。焼成炉は、熱源として電気式又はガス式のシャトルキルン、ローラハースキルン、ロータリーキルンなど従来公知のものが使用できる。LSCMにおいては、1300℃以上で粒成長が進み粒子表面の気孔が減少する。焼成温度は、1300℃以上1600℃以下の範囲が好ましく、焼成温度の上限値は1550℃以下が好ましく、1500℃以下がより好ましい。焼成温度までの昇温速度は0.5℃/min以上3.0℃/min以下の範囲が好ましく、0.5℃/min以上2.0℃/min以下の範囲がより好ましい。また昇温速度は昇温途中において変化させてもよい。昇温速度は温度が高くなるほど遅くするのが好ましい。例えば、昇温過程を前段と後段との2段階に分けて後段の昇温速度を前段の昇温速度よりも遅くするのが好ましい。前段の昇温速度は1.0℃/min以上2.0℃/min以下の範囲が好ましく、後段の昇温速度は0.5℃/min以上1.5℃/min以下の範囲が好ましい。
ここで、昇温過程の前段と後段との境界温度は、高温X線測定(室温から1000℃の間において、50℃昇温させるごとにX線回折測定する方法)において、原料由来のX線回折ピークのみだったものが、ペロブスカイト型複合酸化物のピークが現れはじめる温度(結晶化開始温度)とするのがよい。例えば、LSCMの場合、850℃においては原料由来のピークのみであったものが、900℃においてわずかでもペロブスカイト型複合酸化物粉末となったことに由来するピークが観測される。この場合、前段と後段との境界温度は900℃とし、前段は室温から900℃までの範囲、後段は900℃から焼成温度までの範囲となる。なお、結晶化開始温度(℃)は焼成温度よりも10℃以上低い温度である。
複合酸化物粉末の比表面積は、焼成工程における焼成温度までの昇温速度によっても調整可能である。一般に、昇温過程において900℃~1100℃の温度域で炭酸ガスが多く発生する(これは、例えばTG-MSの測定により確認することができる)。発生した炭酸ガスは粒子内部から外に抜け出る。そして、炭酸ガスが抜け出た跡が細孔となる。そこで、例えば炭酸ガスが多く発生する温度域での昇温速度を通常よりも遅くしてガスの発生を抑制して細孔の発生を抑制する。好適な昇温速度としては前述の0.5℃/min以上1.5℃/min以下の範囲である。このようにして昇温過程における細孔の発生を抑制することで焼成温度における焼結が促進され細孔をさらに減少させることができ延いては比表面積を減少させることができる。
一方、炭酸ガスが多く発生する温度域である900℃~1100℃よりも低い温度域では、乾燥・造粒粉の焼結が進んでおらず昇温速度による粉特性への影響は小さいので、昇温速度は、炭酸ガスが多く発生する温度域よりも速くしてもよい。好適な昇温速度としては前述の1.0℃/min以上2.0℃/min以下の範囲である。ただし、昇温速度が速すぎると水分や酸素の放出により粉末が焼成炉内に飛散するおそれがあるので、当該領域における好適な昇温速度は最大でも3.0℃/minである。
焼成時間(焼成温度での保持時間)は3時間以上15時間以下の範囲が好ましく、5時間以上10時間以下の範囲がより好ましい。焼成時の雰囲気は大気であってもよいし還元雰囲気であってもよい。
(解粒)
作製した焼成物を解粒する。焼成物を解粒する装置としてはインパクトミル、サンプルミル、ヘンシェルミキサー等を用いることができ、これらの中でもヘンシェルミキサーが好適に使用される。ヘンシェルミキサーの回転数としては700rpm以上2000rpm以下の範囲が好ましい。なお、ヘンシェルミキサーの回転数と解粒時間は、焼成工程における焼成温度と焼成時間とに関連し、焼成温度が高くまた焼成時間が長いほど、ヘンシェルミキサーの回転数は大きく解粒時間は長くするのが望ましい。解粒後の焼成物すなわち複合酸化物粉末の平均粒子径D50は、前述のとおり、20μm以上40μm以下の範囲が好ましく、複合酸化物粉末の粒度分布は、一山分布の粒度分布を有するのが好ましい。
(固体酸化物型燃料電池用空気極)
以上説明した複合酸化物粉末は、固体酸化物型燃料電池の空気極として好適に使用される。例えば、本発明の複合酸化物粉末は、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールなどの溶媒と混合されてペースト状の塗料とされる。作製された塗料は、スクリーン印刷などの従来公知の手段によって固体電解質2(図2に図示)の表面に塗布され、薄板状あるいはシート状の空気極3(図2に図示)とされる。
(固体酸化物型燃料電池,SOFC)
固体酸化物型燃料電池について説明する。図2は、固体酸化物型燃料電池の一例を模式的に示した断面構成図である。支持体となる薄板状あるいはシート状の燃料極1と、燃料極1の表面に形成された固体電解質2と、固体電解質2の表面に形成された薄板状あるいはシート状の空気極3とが積層された構造を有する。
そして、燃料極1に燃料ガス(典型的には水素(H)であるが炭化水素(メタン(CH))等でもよい。)を供給し、空気極3に酸素(O)を含む気体(空気)を流し、燃料電池に電流を印加すると、空気極3において、空気中の酸素が、酸化物イオンとなる。酸化物イオンは、空気極3から固体電解質2を介して燃料極1に供給される。そして、該燃料極1において、燃料ガスと反応して水(HO)を生成し、電子を放出し、発電が行われる。
SOFCは、適用する燃料電池の構成や製造プロセスにもよるが、燃料極、固体電解質等の積層体を予め作製し、その積層体の上に、印刷法等によって上記空気極材料を含む層を形成することで空気極3が形成され、燃料電池が作製される。
空気極3の膜厚はセルの構造等に応じて適宜決定すればよく特に限定されないが、例えば20μm以上50μm以下であることが好ましい。
固体電解質2としては、上記空気極材料に用いる電解質材料を用いることができ、例えば、希土類元素ドープセリア系固体酸化物電解質や、希土類元素ドープジルコニア系固体酸化物電解質が挙げられる。
固体電解質2の膜厚は、固体電解質2の緻密性が維持される程度に厚くする一方、燃料電池として好ましい酸素イオン又は水素イオンの伝導度を供し得る程度に薄くなるよう、両者をバランスさせて設定され、0.1μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましい。
燃料極1としては、多孔質構造を有し、供給される燃料ガスと接触できるように構成されていればよく、従来から固体酸化物型燃料電池に用いられている材料を使用することができる。例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)その他の白金族元素、コバルト(Co)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)等からなる金属および/または金属元素のうちの1種類以上から構成される金属酸化物が挙げられる。これらは、一種又は二種以上を混合して用いてもよい。
燃料極1の膜厚は、耐久性、熱膨張率等から20μm以上1mm以下が好ましく、20μm以上250μm以下であることがより好ましい。
なお、SOFCの構造は、従来公知の平型、多角形型、円筒型(Tubular)あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat Tubular)等とすることができ、形状やサイズは特に限定されない。また、平型のSOFCとしては、燃料極支持型(ASC:Anode-Supported Cell)の他にも、例えば電解質を厚くした電解質支持型(ESC:Electrolyte-Supported Cell)や、空気極を厚くした空気極支持型(CSC:Cathode-Supported Cell)等を用いることができる。その他、燃料極の下に多孔質な金属シートを入れた、メタルサポートセル(MSC:Metal-Supported Cell)とすることもできる。
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
(1)原料スラリーの作製
ビーズミル(容量1.2リットル)を用いて原料スラリーを作製した。具体的手順は以下のとおりである。
(a)LaSrCaMn(但し、x=0.49、y=0.24、z=0.25、w=1.03)の組成を有する粉末製造の為、Laを11895g、SrCOを5385g、CaCOを3640g、MnOを14080g、純水を16781g、ポリアクリル酸アンモニウムの分散剤を1750g、20wt%のNH水を350g秤量した。
(b)ビーズミルのベッセル内に、直径1.75mmのZrOビーズを3100g仕込んだ。
(c)純水と、分散剤と、NH水とをバッファータンクに投入して混合し分散剤水溶液とした。そして、当該分散剤水溶液を、ポンプを用いてビーズミルに循環させた。
(d)バッファータンク内の分散剤水溶液を400rpmで攪拌しながら、ここへ、上記秤量したLa、SrCO、CaCO、MnOを投入した。
(e)ビーズミルを1000rpmで回転させ、投入したLa、SrCO、CaCO、MnOを540分間粉砕して、原料スラリーを得た。得られた原料スラリーの平均粒子径D50は1.53μmであった。原料スラリーの粒度分布は、一山分布の粒度分布を有していた。
(2)乾燥、造粒
スプレードライヤーを用いて原料スラリーを噴霧乾燥した。具体的手順は以下のとおりである。
(a)前記原料スラリーに純水を添加し、原料スラリーにおける粉末の固形分濃度を63質量%に調整した。
(b)スプレードライヤーのディスク回転数を20000rpm、乾燥用熱風温度を入口温度で280℃、出口温度で120℃とし、原料スラリーの供給速度を20kg/hとして、原料スラリーの噴霧乾燥を行って造粒物を得た。得られた造粒物の平均粒子径D50は39.9μmであった。
(3)焼成
匣鉢を用いて造粒物を焼成した。具体的には、上部2辺に空気穴(幅8cm,深さ3cm))を持つ匣鉢(縦28cm,横25cm,高さ8cm)に、前記造粒物3500gを仕込み、匣鉢の上部に蓋を載せた。そして、大気中で25℃から900℃まで1.5℃/minで昇温し、さらに900℃から1400℃まで0.9℃/minで昇温し、その後1400℃で8時間保持した後、自然降温した。
(4)解粒
ヘンシェルミキサーを用いて焼成粉を解粒した。具体的には、ヘンシェルミキサーに前記焼成粉2000gを装填した。そして、回転数を1400rpmとし、60秒間の解粒を行って、実施例1に係る複合酸化物粉末を得た。複合酸化物粉末の粒度分布は、一山分布の粒度分布を有していた。
(5)物性測定
得られた粉末の組成、X線回折、細孔(比表面積値γ、比表面積値ε、比表面積値β)、平均粒子径D50を下記方法により測定した。またペースト(塗料)作製の可否を以下の方法で調べた。
(組成分析)
得られたペロブスカイト型複合酸化物粉末について、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製の720ES)によって組成分析を行った。
(X線回折)
具体的には、株式会社リガク製のUltimaIV回折装置を用い、管球をCu管球とし、Cu-Kα線を用いて2θ=10~90°の範囲で測定された回折線と一般式ABO3-δとしてデータベースに登録されている回折ピークとを解析ソフトを用いて比較することにより確認することができる。
(細孔測定)
水銀圧入法による細孔の状況測定は、粉末試料0.3~0.5gをMicrometitics Instrument Corporation社製のAutoPore V 9620型を用いて0.4~30000psiaの範囲で測定した。
・測定装置:Auto Pore V 9620型
・測定圧力:0.4psia~30000psia
・ステップ数:65
・測定モード:自動測定
・水銀接触角:130°
・水銀表面張力:485dyne/cm
・測定試料質量:0.3g~0.5g
・測定温度:22℃
水銀圧入法では粒子間の隙間も計測されるので、粒子間の隙間を除くため、水銀圧入法測定による比表面積値β(m/g)は、水銀圧入法測定より測定される全細孔径範囲の比表面積値の累積値である比表面積値γ(m/g)と、粉末の平均粒子径D50よりも大きい細孔径範囲の比表面積値の累積値である比表面積値ε(m/g)を算出し、「比表面積値β=比表面積値γ-比表面積値ε」により算出される。ただし、水銀圧入法のデータ収集が断続的になっている場合には、比表面積値εは粉末の平均粒子径D50よりも大きい値を下限とする。例えば、細孔径40.2μm、30.2μm、21.3μmのときの比表面積値がそれぞれ算出され、平均粒子径D50が29.2μmの場合、比表面積値εを算出するための細孔径の下限は30.2μmとされ、30.2μm以上の比表面積値の累積値(比表面積値ε)が算出される。
(平均粒子径D50
粉末の50%累積粒子径(体積換算・D50)をレーザー回折・散乱法を用いた粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製のMT3300EXII)により(透過率が適正範囲になる粉末の重量を装置に投入、粒子屈折率を2.40、溶媒は水を使用、溶媒屈折率を1.333、計算モードをMT3000IIとして)測定した。
(ペースト(塗料)作製の可否)
得られた粉末5gと溶媒(2-エチル-1,3-ヘキサンジオール)0.6gとをスパチュラにより混合した(粉末濃度:89%)。得られた混合物を自公転式真空攪拌脱泡装置(株式会社シンキー社製のあわとり練太郎AR-100)により1400rpmで60分間混練してペーストが得られるか調べた。
混練物を目視で観察した結果、粉が十分に分散しておらず、表面部分にのみ溶媒に濡れてしまうことで発生する凝集物は確認されず、溶媒量が少なくても、粉末にまんべんなく溶媒が濡れたことによるペーストを作製できた。
(実施例2)
焼成工程における保持焼成温度を1390℃とした以外は実施例1と同様にして複合酸化物粉末を得た。
そして、得られた複合酸化物粉末の物性およびペーストの作製の可否を実施例1と同様にして測定および調査した。
実施例2の複合酸化物粉末を用いた混練物を目視で観察した結果、粉が十分に分散しておらず、表面部分にのみ溶媒に濡れてしまうことで発生する凝集物は確認されず、溶媒量が少なくても、粉末にまんべんなく溶媒が濡れたことによるペーストを作製できた。
(実施例3)
ビーズミル(容量1.2リットル)を用いて原料スラリーを作製した。具体的手順は以下のとおりである。
(a)LaSrCaMn(但し、x=0.49、y=0.24、z=0.24、w=1.02)の組成を有する粉末製造の為、Laを10445g、SrCOを4705g、CaCOを3180g、MnCOを16665g、純水を17100g、ポリアクリル酸アンモニウムの分散剤を1750g秤量した。
(b)ビーズミルのベッセル内に、直径1.75mmのZrOビーズを3100g仕込んだ。
(c)純水と分散剤とをバッファータンクに投入して混合し分散剤水溶液とした。そして、当該分散剤水溶液を、ポンプを用いてビーズミルに循環させた。
(d)バッファータンク内の分散剤水溶液を400rpmで攪拌しながら、ここへ、上記秤量したLa、SrCO、CaCO、MnCOを投入した。
(e)ビーズミルを1000rpmで回転させ、投入したLa、SrCO、CaCO、MnCOを540分間粉砕して、原料スラリーを得た。得られた原料スラリーの平均粒子径D50は1.59μmであった。
(2)乾燥、造粒
スプレードライヤーを用いて原料スラリーを噴霧乾燥した。具体的手順は以下のとおりである。
(a)前記原料スラリーへ純水を添加し、原料スラリーにおける粉末の固形分濃度を63質量%に調整した。
(b)スプレードライヤーのディスク回転数を25000rpm、乾燥用熱風温度を入口温度で280℃、出口温度で105℃とし、原料スラリーの供給速度を13kg/hとして、原料スラリーの噴霧乾燥を行って造粒物を得た。得られた造粒物の平均粒子径D50は35.2μmでであった。
(3)焼成
匣鉢を用いて造粒物を焼成した。具体的には、上部2辺に空気穴(幅8cm,深さ3cm)を持つ匣鉢(縦28cm,横25cm,高さ8cm)に、前記造粒物2500gを仕込み、匣鉢の上部に蓋を載せた。そして、大気中で25℃から900℃まで1.5℃/minで昇温し、さらに900℃から1385℃まで0.9℃/minで昇温し、その後1385℃で8時間保持した後、自然降温した。
(4)解粒
ヘンシェルミキサーを用いて焼成粉を解粒した。具体的には、ヘンシェルミキサーに前記焼成粉2000gを装填した。回転数を1400rpmとし、60秒間の解粒を行って、実施例3に係る複合酸化物粉末を得た。
(5)物性測定
得られた複合酸化物粉末の物性およびペーストの作製の可否を実施例1と同様にして測定および調査した。
実施例3の複合酸化物粉末を用いた混練物を目視で観察した結果、粉が十分に分散しておらず、表面部分にのみ溶媒に濡れてしまうことで発生する凝集物は確認されず、溶媒量が少なくても、粉末にまんべんなく溶媒が濡れたことによるペーストを作製できた。
(比較例1)
焼成工程における条件を、温度25℃から900℃までの昇温速度を3.1℃/minとし、保持焼成温度を1260℃とし、温度900℃から1260℃までの昇温速度を2.0℃/minとし、そして温度1260℃での保持時間を2時間とした以外は実施例3と同様にして複合酸化物粉末を得た。
そして、得られた複合酸化物粉末の物性を実施例1と同様にして測定した。またペーストの作製の可否を実施例1と同様にして調べたところ、粉が十分に分散しておらず、表面部分にのみ溶媒に濡れてしまうことで発生する凝集物が確認され、均一なペーストを作製することができなかった。
(比較例2)
比較例1で得られた複合酸化物粉末5gと溶媒(2-エチル-1,3-ヘキサンジオール)1.5gとをスパチュラにより混合した(粉末濃度:77%)。得られた混合物を自公転式真空攪拌脱泡装置(株式会社シンキー社製のあわとり練太郎AR-100)により1400rpmで60分間混練したが粉が十分に分散しておらず、表面部分にのみ溶媒に濡れてしまうことで発生する凝集物が確認され、均一なペーストを作製することができなかった。
実施例1~3および比較例1の複合酸化物粉末は、組成分析の結果からLa、Sr、Ca、Mnを含むことがわかり、X線回折の測定結果から前記式(1)の組成を有するペロブスカイト型の複合酸化物粉末であることが同定され、Aサイトに含まれる元素がLa、SrおよびCaであり、Bサイトに含まれる元素がMnである、(La,Sr,Ca)MnO3―δ系複合酸化物系複合酸化物であることがわかる。また、表1から明らかなように、本発明で規定する組成および比表面積値βを具備する実施例1~3の複合酸化物粉末は、炭酸ガスを焼成物に吸着させる工程を必要とせず、固形分濃度が89%と従来よりも高くても、すなわち溶媒使用量が少なくても、複合酸化物粉末と溶媒とは均一に混合され、塗布に適したペーストが作製できた。
これに対して、比表面積値βが0.77m/gと本発明の規定範囲よりも大きい比較例1,2の複合酸化物粉末では、固形分濃度が89%および77%ではダマ状となってペーストが形成できなかった。
本発明に係る複合酸化物粉末は、炭酸ガスを焼成物に吸着させる工程を必要とせず、従来よりも少ない溶媒使用量でペーストの作製ができる。
される。
1 燃料極
2 固体電解質
3 空気極

Claims (7)

  1. 下記組成式(1)で示される組成を有し、
    下記式(2)から算出される比表面積値β(m/g)が0.35以下であり、
    下記平均粒子径D 50 が20μm以上40μm以下の範囲であ
    ことを特徴とする複合酸化物粉末。
    La Sr Ca Mn3-δ ・・・(1)
    (式中、x+y+z=1、0≦δ<1)
    比表面積値β(m/g)=比表面積値γ-比表面積値ε ・・・(2)
    (式中、比表面積値γ(m/g):水銀圧入法測定より測定される全細孔径範囲の比表面積値の累積値,比表面積値ε(m/g):粒度分布測定装置により算出された粒度分布における体積基準の累積50%粒子径(平均粒子径D50)よりも大きい細孔径範囲の比表面積値の累積値)
  2. 請求項に記載の複合酸化物粉末を含み形成される燃料電池用の空気極。
  3. 燃料極と、固体電解質と、空気極とを備えた固体酸化物型燃料電池であって、
    前記空気極として請求項に記載の空気極を用いた固体酸化物型燃料電池。
  4. 下記組成式(1)で示される組成を有し、
    下記式(2)から算出される比表面積値β(m /g)が0.35以下であり、
    下記平均粒子径D 50 が20μm以上40μm以下の範囲である複合酸化物粉末の製造方法であって、
    A成分原料とB成分原料とを分散媒中に投入して、固形分濃度が40質量%以上のスラリーを得るスラリー化工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉を得る乾燥工程と、酸素を含む環境下で温度1300℃以上1600℃以下で3時間以上15時間以下、前記乾燥粉を焼成して焼成物を得る焼成工程とを有し、
    前記焼成工程において、焼成温度までの昇温速度を0.5℃/min以上2.0℃/min未満の範囲とする複合酸化物粉末の製造方法。
    La Sr Ca Mn3-δ ・・・(1)
    (式中、x+y+z=1、0≦δ<1)
    比表面積値β(m /g)=比表面積値γ-比表面積値ε ・・・(2)
    (式中、比表面積値γ(m /g):水銀圧入法測定より測定される全細孔径範囲の比表面積値の累積値,比表面積値ε(m /g):粒度分布測定装置により算出された粒度分布における体積基準の累積50%粒子径(平均粒子径D 50 )よりも大きい細孔径範囲の比表面
    積値の累積値)
  5. 前記焼成工程において、焼成温度までの昇温過程を複数段階に分け、連続する2つの段階では、後段の昇温速度を前段の昇温速度よりも遅くする請求項に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  6. 前記焼成工程において、焼成温度までの昇温過程を前段と後段の2段階に分け、
    前段を昇温開始温度から結晶化開始温度までとし、後段を結晶化開始温度以降焼成温度までとする請求項に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  7. 前記焼成工程において、焼成温度までの昇温過程を前段と後段の2段階に分け、前段の昇温速度を1.0℃/min以上2.0℃/min以下の範囲とし、後段の昇温速度を0.5℃/min以上1.5℃/min以下の範囲とする請求項又はに記載の複合酸化物粉末の製造方法。
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