JP6625856B2 - 水蒸気電解用セル - Google Patents

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Description

本発明は、消費電力が低く且つ電流効率が高く、水素ガスを水蒸気から効率的に製造することができる水蒸気電解用セルに関するものである。
近年、資源枯渇や地球温暖化を防止する技術が求められている。特に電力分野においては、温暖化ガスの一つである二酸化炭素の排出を抑制し、化石資源に頼らない再生可能エネルギーの開発が進んでいる。再生可能エネルギーは、太陽光、太陽熱、水力、風力、地熱、バイオマスなど、自然から定常的または反復的に補充される再生可能エネルギー源から得られるエネルギーであり、例えば、バイオマスから水素を製造し、燃料電池を使って水素と空気から発電することにより得られる電力が挙げられる。
最近、水素を製造するための有力な技術として、水蒸気電解の研究が広く進められている。水蒸気電解は、H2Oを電気分解して水素と酸素を得る際に、液体である水ではなく気体の水蒸気を用いるものであり、高温で作動させることができるため電解に必要な電圧が小さく、エネルギー効率が高いという特徴を有する。
従来、水蒸気電解では、電解質として酸素イオン伝導性のものが専ら用いられていた。例えば特許文献1には、固体電解質として、酸素イオン伝導性であるイットリア安定化ジルコニアを用いた水蒸気電解技術が開示されている。酸素イオン伝導性固体電解質を用いて水蒸気電解を行う場合、アノードおよびカソードで起こる電極反応はそれぞれ以下の通りである。
アノード: 2O2- → O2 + 4e-
カソード: 2H2O + 4e- → 2H2 + 2O2-
上記式のとおり、この場合には、水素はカソード側で発生し、共存する水蒸気と分離する工程が別途必要になるという問題がある。
かかる問題を解決できる技術としては、例えば特許文献2のように、プロトン伝導性の電解質を用いて水蒸気電解する技術が開発されている。当該技術においてアノード及びカソードで起こる電極反応はそれぞれ以下の通りである。
アノード: 2H2O → O2 + 4H+ + 4e-
カソード: 4H+ + 4e- → 2H2
上記式のとおり、この場合には、酸素イオン伝導性電解質を用いた場合と同様に水素はカソード側で発生するものの、水蒸気はアノード側に導入されるため、水素を水蒸気から分離する必要がないという利点がある。
特開2005−150122号公報 特開2009−209441号公報
上述したように、特許文献2にはプロトン伝導性の固体電解質を含む水蒸気電解用セルが開示されている。しかし、特許文献2に記載の水蒸気電解用セルは、セル端子電圧は低いものの電流効率が低いという問題があった。
このような状況下、本発明は、低いセル端子電圧で高い電流効率が得られ、H2を効率的に製造することができる水蒸気電解用セルを提供することを課題として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のプロトン伝導性固体電解質を含む電解質前駆体層を2層以上形成した後にこれを焼成して得られるプロトン伝導性固体電解質層は、従来の水蒸気電解用セルに比べ、消費電力が低く、高い電流効率が得られ、効率的に水素を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る水蒸気電解用セルは以下の点に要旨を有する。
[1]アノード層とカソード層を有し、当該アノード層と当該カソード層との間にプロトン伝導性固体電解質層を有する水蒸気電解用セルであって、前記プロトン伝導性固体電解質層が、AサイトにSrを有するペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層Iを形成する工程;AサイトにBa及びSrを有するペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層IIを形成する工程;前記電解質前駆体層I及び前記電解質前駆体層IIを形成した後に焼成する工程;により製造されたものであることを特徴とする水蒸気電解用セル。
[2]前記電解質前駆体層Iがカソードに接しており、前記電解質前駆体層IIがアノード層に接している[1]に記載の水蒸気電解用セル。
[3]前記焼成工程前に、前記電解質前駆体層Iと前記電解質前駆体層IIの間に、AサイトにSrを有するペロブスカイト型金属酸化物と、AサイトにBa及びSrを有するペロブスカイト型金属酸化物の混合物を含有する電解質前駆体層IIIを形成する[1]または[2]に記載の水蒸気電解用セル。
[4]前記カソード層が、Ni、Co、Feおよびこれらの酸化物から選択される1以上の金属元素とAサイトにストロンチウムを含み、Bサイトに周期律表の第4族から第14族に属する3価あるいは4価の元素を含むペロブスカイト型金属酸化物を含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の水蒸気電解用セル。
本発明に係る水蒸気電解用セルは、従来の1層のみを積層した水蒸気電解用セルに比べて電極面積当たりのH2生成速度が大きく、なおかつ消費電力が低い。また、当該セルの還元処理時間(NiOの還元処理)を短縮することもできるため、本発明に係る水蒸気電解用セルは、H2を効率的に製造できるものとして産業上非常に優れている。
1. プロトン伝導性固体電解質層
本発明に係る水蒸気電解用セルは、アノード層とカソード層を有し、当該アノード層と当該カソード層との間にプロトン伝導性固体電解質層を有する。水蒸気電解用セルには、主に電解質支持型セルと電極支持型セルがあり、電解質支持型セルの場合、一般的に、プロトン伝導性固体電解質層、アノード層、カソード層の中ではプロトン伝導性固体電解質層の焼成温度が最も高いことから、先ず、プロトン伝導性固体電解質層を準備する。プロトン伝導性固体電解質層の作製方法としては、例えば、電解質用粉体に、エタノールやテルピネオールなどの有機溶媒、分散剤、可塑剤、およびエチルセルロースなどのバインダーなどを加え、ボールミルなどで湿式粉砕混合し、スラリーとする(当該スラリーを以後「電解質前駆体」と称することがある)。このスラリーをドクターブレード法などでシート化(当該シート化した層を「電解質前駆体層」と称することがある)する方法等が挙げられ、シート化した後焼成することにより、プロトン伝導性固体電解質層とすることができる。電極支持型セルの場合には、支持層となる電極層の上に電解質層を形成するため、例えば、支持層となる電極層の上に上記スラリー(電解質前駆体)をスクリーン印刷法等で塗布してシート化(電解質前駆体層)し、次いで焼成することにより、支持電極層の上にプロトン伝導性固体電解質層を形成するとよい。
本発明は、プロトン伝導性固体電解質層が、
AサイトにSrを有するペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層Iを形成する工程、
AサイトにBa及びSrを有するペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層IIを形成する工程、
前記電解質前駆体層I及び前記電解質前駆体層IIを形成した後に焼成する工程、
により製造される点に特徴を有する。本方法により製造されたプロトン伝導性固体電解質層は、XRDによる結晶構造解析、EPMAによる成分のマッピング解析、ならびに電子顕微鏡写真による層界面の確認などの構造解析から、従来の1層のみを積層したプロトン伝導性固体電解質層と比べて、構造上、明確な区別は認められない。しかしながら、特定のペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層を2層以上形成した後にこれを焼成することにより、低い消費電力と高い電流効率を両立することが可能となる。
本発明では、前記電解質前駆体層Iがカソードに接しており、前記電解質前駆体層IIがアノード層に接していることが望ましい。電極支持型セルの場合には、電解質前駆体層Iはカソード上に形成され、電解質前駆体層IIは前記電解質前駆体層Iの上に形成されることが望ましい。電解質前駆体層をこの順で形成することにより、消費電力を下げながら、電流効率を向上させることが可能となる。
電解質前駆体層Iに含まれるプロトン伝導性固体電解質は、AサイトにSrを有するABO3型の構造のペロブスカイト型金属酸化物である。電解質前駆体層Iに含まれるプロトン伝導性固体電解質は、AサイトにBaを実質的に含まないことが望ましく、例えば、Aサイトに位置する金属元素におけるBaのモル比が1%以下(より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0%)であることが好ましい。前記プロトン伝導性固体電解質としては、下記式(1):
SrZraCebc1 dx (1)
(ここで、Srはストロンチウム、Zrはジルコニウム、Ceはセリウム、Yはイットリウム、M1はスカンジウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、a、b、c、dおよびxはそれぞれ、Zr、Ce、Y、M1およびOの原子比を表し、0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.9、0.01≦c≦0.2、0≦d≦0.1であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である)で表されるペロブスカイト型金属酸化物が望ましい。
式(1)において、aは、好ましくは0.2≦a≦0.8、より好ましくは0.3≦a≦0.7、更に好ましくは0.4≦a≦0.6である。
bは、好ましくは0.2≦b≦0.8、より好ましくは0.3≦b≦0.7、更に好ましくは0.3≦b≦0.6である。
cは、好ましくは0.05≦c≦0.15、より好ましくは0.07≦c≦0.12、更に好ましくは0.09≦c≦0.11である。
dは、好ましくは0≦d≦0.05、より好ましくは0である。
電解質前駆体層IIに含まれるプロトン伝導性固体電解質は、下記式(2):
Ba(1-e)SreZrfCeg2 hx (2)
(ここで、Baはバリウム、Srはストロンチウム、Zrはジルコニウム、Ceはセリウム、M2はスカンジウム、イットリウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、e、f、g、hおよびxはそれぞれ、Sr、Zr、Ce、M2およびOの原子比を表し、0.01≦e≦0.3、0.1≦f≦0.8、0.1≦g≦0.8、0≦h≦0.2であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である)で表されるABO3型の構造を有するペロブスカイト型金属酸化物が望ましい。前記M2としてより好ましくはイットリウムである。
式(2)において、eは、好ましくは0.05≦e≦0.2、より好ましくは0.07≦e≦0.15、更に好ましくは0.09≦e≦0.11である。
fは、好ましくは0.20≦f≦0.75、より好ましくは0.30≦f≦0.65、更に好ましくは0.40≦f≦0.55である。
gは、好ましくは0.1≦g≦0.6、より好ましくは0.1≦g≦0.5、更に好ましくは0.1≦g≦0.4である。
hは、好ましくは0.01≦h≦0.2、より好ましくは0.1≦h≦0.2、更に好ましくは0.15≦h≦0.2、特に好ましくは0.2である。
また、前記電解質前駆体層Iと前記電解質前駆体層IIの間に、電解質前駆体層IIIが形成されていてもよい。すなわち、プロトン伝導性固体電解質層の製造方法は、焼成前に、電解質前駆体層IIIを形成する工程を有していてもよい。電解質前駆体層IIIを形成する場合には、例えば、カソード上に前記電解質前駆体層Iを形成し、当該電解質前駆体層Iの上に前記電解質前駆体層IIIを形成し、さらに当該電解質前駆体層IIIの上に前記電解質前駆体層IIを形成するとよい。
電解質前駆体層IIIに含まれるプロトン伝導性固体電解質は、特に限定されるものではないが、好ましくはAサイトにSrを有するペロブスカイト型金属酸化物Iと、AサイトにBa及びSrを有するペロブスカイト型金属酸化物IIの混合物であることが望ましい。
電解質前駆体層IIIにおけるペロブスカイト型金属酸化物IIに対するペロブスカイト型金属酸化物Iの比率は特に限定されるものではないが、質量比で好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.9以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.2以下である。
電解質前駆体層IIIを設ける場合、前記ペロブスカイト型金属酸化物Iは電解質前駆体層Iに含まれるペロブスカイト型金属酸化物と同一であることが望ましく、前記ペロブスカイト型金属酸化物IIは形成する電解質前駆体層IIに含まれるペロブスカイト型金属酸化物と同一であることが望ましい。
プロトン伝導性固体電解質の材料としては、上記一般式で表される限り特に限定はなく、比表面積が3g/cm2以上、20g/cm2以下のものが好ましく、より好ましくは4g/cm2以上、18g/cm2以下、更に好ましくは5g/cm2以上、15g/cm2以下、特に粉体形状を使用することが好ましい。
プロトン伝導性固体電解質層の厚さは特に制限されず、セル形状などに応じて適宜設定すればよい。例えば、電解質支持型セルの場合では50μm以上、500μm以下とすることが好ましい。当該厚さが50μm未満であると、十分な強度が得られない可能性がある。一方、当該厚さが500μmを超えると、プロトン伝導性に支障が生じる虞がある。電極支持型セルの場合では、当該厚さは1μm以上、50μm以下とすることが好ましい。当該厚さが1μm未満であると、スクリーンプリントなどの工業的プロセスでプロトン伝導性固体電解質層を形成することが難しくなり得る。一方、当該厚さが50μmを超えると、プロトン伝導性に支障が生じる虞がある。
プロトン伝導性固体電解質層を形成するための好ましい焼成条件としては、例えば、空気雰囲気下、1000℃以上、1500℃以下で、1時間以上、5時間以下とすることができる。焼成温度について、1000℃未満では、強度が十分ではなく剥離が生じ、性能が低下してしまう可能性があり得、一方、1500℃より高いと焼成治具の成分とセルの成分とが一部反応してしまう虞があり、また、セルの反りや割れなどが発生しやすくなり歩留りが低下するため好ましくない。焼成温度として好ましくは1300℃以上である。
2. アノード層の形成
本発明の水蒸気電解用セルが電解質支持型セルである場合には、プロトン伝導性固体電解質層にアノード層ペーストとカソード層ペーストを塗布した後に焼成する。アノード層とカソード層は、各ペーストをプロトン伝導性固体電解質層に塗布した後に同時に焼成して形成しても、別々に焼成して形成してもよいが、アノード層とカソード層の焼成温度が同じであるとは限らないため、一般的には、焼成温度がより高い電極層を先に形成した後に、他方の電極層を形成することが好ましい。
本発明の水蒸気電解用セルが電極支持型セルである場合には、支持層となる電極層の上に電解質層を形成し、更に当該電解質層の上に他方の電極層を形成してもよい。この場合、一般的にはアノード層よりもカソード層の焼成温度が高いため、カソード層またはその前駆体を支持層とし、その上に電解質層を形成し、更に当該電解質層の上にアノード層を形成するとよい。
本発明に係る水蒸気電解用セルのアノード層は、2H2O → O2 + 4H+ + 4e-の反応を促進する触媒作用を示すと共に、電子伝導性を有する必要がある。このような材料としては、上記反応を促進する触媒成分である遷移金属元素を含むペロブスカイト型金属酸化物を用いることができ、本発明では、ペロブスカイト型金属酸化物を主成分として用いることが好ましい。
上記のとおり、本発明に係る水蒸気電解用セルのアノード層の主成分は、ペロブスカイト型金属酸化物であることが好ましい。本発明において「ペロブスカイト型金属酸化物がアノード層の主成分である」とは、アノード層形成時において、バインダーや溶媒など焼成により消失する成分を除いたアノード層を構成する成分の原料に占めるペロブスカイト型金属酸化物の割合が60v/v%以上であることをいうものとする。当該割合としては65v/v%以上が好ましく、70v/v%以上がより好ましく、75v/v%以上がさらに好ましい。一方、当該割合の上限は特に制限されず、不可避的不純物や不可避的残留物を除いた実質的に100v/v%がペロブスカイト型金属酸化物であってもよいが、後述するように他成分が含まれていてもよいため、当該割合としては95v/v%以下が好ましく、90v/v%以下がより好ましく、85v/v%以下がさらに好ましい。
アノード層を構成するペロブスカイト型金属酸化物は、例えば、AサイトにBa、Sr、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、GdおよびYbから選択される1以上の元素を含み、BサイトにCo、NiおよびFeから選択される1以上の元素を含むことが好ましく、AサイトにはBa、Sr、La、Pr、Nd、およびSmから選択される1以上の元素が含まれていることがより好ましい。具体的には、Ba−La−Co系、Sm−Sr−Co系、La−Sr−Co系、La−Ba−Co−Fe系、Pr−Sr−Co系、Nd−Sr−Co系、Ba−Sr−Co−Fe系などのペロブスカイト型金属酸化物が挙げられる。これらを単独で用いることもできるし、或いは上記プロトン伝導性酸化物等を加えた電極も用いることができる。
本発明に係る水蒸気電解用セルのアノード層には、上記ペロブスカイト型金属酸化物に加え、電子伝導性成分が含まれていてもよい。電子伝導性成分としては、銀、ニッケル、コバルト、鉄、白金、パラジウム、ルテニウム等の金属;酸化銀、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄等の還元性雰囲気や空気雰囲気下で電子伝導性金属に変化する金属酸化物;或いはこれらの金属酸化物を2種以上含有するニッケルフェライトやコバルトフェライト等の複合金属酸化物が挙げられる。これらは単独で使用し得るほか、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用できる。これらの中でも、銀、金属ニッケル、金属コバルト、金属鉄またはこれらの酸化物が好ましい。
電子伝導性成分の使用量は特に制限されるものではないが、例えば、電極全体に対する質量割合で、2.0質量%以上、25質量%以下とすることが好ましい。当該割合が2.0質量%以上であれば、電子伝導性がより確実に発揮される。一方、当該割合が大き過ぎると電極の気孔率が過剰に低下するおそれがあるので、当該割合としては25質量%以下が好ましい。
アノード層の厚さは特に限定されず、セル形状などに応じて適宜決定すればよい。アノード層の厚さは、例えば、電解質支持型セルと電極支持型セルのいずれにおいても好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下の範囲内とすることが好ましい。
アノード層は、常法により形成することができる。例えば、プロトン伝導性固体電解質層の場合と同様に上記構成成分のペーストを調製した後に、上記プロトン伝導性固体電解質層上に所望の膜厚が得られるよう塗布した後、焼成すればよい。電極層を支持層とする電極支持型セルの場合には、支持体としての役割も有する当該電極層を形成した後、その上にプロトン伝導性固体電解質層を形成し、さらに当該電解質層の上に他方の電極層を形成すればよい。或いは、当該電極層の下(電解質層の反対側)に多孔質のサポート層を形成してもよい。
アノード層を形成するための主要な原料として、アノード層を形成するための焼成条件と同じ条件で焼成したときにBET比表面積が2.0m2/g以上となるペロブスカイト型金属酸化物粉末を用いることが好適である。当該BET比表面積としては2.1m2/g以上が好ましく、2.2m2/g以上がより好ましく、2.4m2/g以上がさらに好ましい。当該BET比表面積が大きいほどH2の製造効率は向上するが、過剰に大きいとアノード層の強度が十分に確保できなくなる虞があるため、当該BET比表面積は15m2/g以下が好ましく、10m2/g以下がより好ましく、8m2/g以下がさらに好ましい。なお、アノード層の原料粉末である上記ペロブスカイト型金属酸化物粉末の焼成は、あくまで本発明の指標となるBET比表面積を測定するために行うのであって、実際にアノード層を形成するために用いる原料ペロブスカイト型金属酸化物粉末としては、上記焼成を行う前のものを用いる。即ち、上記の焼成とBET比表面積の測定は、アノード層の形成とは独立して別で行う。
アノード層の形成のための焼成条件と同じ条件で焼成した原料ペロブスカイト型金属酸化物粉末のBET比表面積を所定範囲に調整するためには、例えば、当該焼成前の原料ペロブスカイト型金属酸化物粉末の構成元素、組成比率、粉砕条件、粉砕方法等を調節すればよい。具体的な粉砕方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕あるいは凍結粉砕のいずれでもよく、ボールミル、ビーズミル、アトライタ、ロッドミル、ハンマーミル、フリーザーミル、ジェットミル等を用いることができる。その条件としては、前記した粉砕方法あるいは粉砕機の特性によって適宜選択されるべきであって一概に特定はできないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、アトライタ等の回転式粉砕機を用いる場合、回転数10rpm以上、150rpm以下で1時間以上、200時間以下の範囲で粉砕すればよく、好ましくは、回転数50rpm以上、100rpm以下で1時間以上、100時間以下湿式粉砕することが好ましい。
なお本明細書においてBET比表面積とは、液体窒素温度である−196℃で測定対象物質に窒素分子を吸着させ、その吸着量からBETの式により求められる表面積をいう。
アノード層を形成する方法としては、例えば、プロトン伝導性固体電解質層の場合と同様に上記構成成分のペーストを調製した後に、上記プロトン伝導性固体電解質層上に所望の膜厚が得られるよう塗布した後、焼成すればよい。アノード層を形成するための好ましい焼成条件は、例えば、空気雰囲気下、700℃以上、900℃以下で、30分間以上、2時間以下とすることができる。焼成温度について、700℃未満では電極の密着性が低くなるため剥離が生じ、性能が低下してしまう可能性があり、一方、900℃より高いと水素生成速度が低下する虞があるため好ましくない。焼成温度としては、好ましくは750℃以上、900℃以下であり、より好ましくは800℃以上、900℃以下である。焼成時間としては、好ましくは45分間以上、1時間30分以下である。
3. カソード層の形成
本発明に係るセルのカソード層は、4H+ + 4e- → 2H2の反応を促進する触媒作用を示すと共に、電子伝導性を有する必要がある。このような材料としては、Pt、Pd、Ni、Co、Fe、Ruなどの金属元素の他、当該金属元素とプロトン伝導性固体電解質層の材料であるペロブスカイト型金属酸化物との混合物を挙げることができ、プロトン伝導性固体電解質層との親和性や密着性の観点から、カソード層は、金属元素とペロブスカイト型金属酸化物との混合物を含有することが好ましい。
金属元素としては、Pt、Pd、Ni、Co、Fe、Ruなどの金属;酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄のように還元性雰囲気で電子伝導性金属に変化する金属酸化物;或いはこれらの酸化物を2種以上含有するニッケルフェライトやコバルトフェライトのような複合金属酸化物が挙げられる。これらは単独で使用することができ、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、好ましくはNi、Co、Fe及びこれらの酸化物から選択される1以上、より好ましくは酸化ニッケルである。
ペロブスカイト型金属酸化物は、Aサイトにストロンチウムを含み、Bサイトに周期律表の第4族から第14族に属する3価あるいは4価の元素を含むペロブスカイト型金属酸化物、当該ペロブスカイト型金属酸化物のAサイトおよび/またはBサイトの一部をLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Yb、Sc、Y、Ce、In、Ga、Fe、Co、Ni、Zn、Ta及びNbから選択される1以上の元素に置換したペロブスカイト型金属酸化物を用いることができる。本発明のカソード層には、下記一般式(3):
Sr1Zrb1Cec1d1 (3)
(ここで、b1、c1、d1およびxはそれぞれ、Zr、Ce、YおよびOの原子比を表し、0.4≦b1≦0.7、0.1≦c1≦0.6、0.1≦d1≦0.2であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。)
で表されるペロブスカイト型金属酸化物が好ましく用いられる。
式(3)において、
b1は、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.47以上、好ましくは0.65以下、より好ましくは0.60以下である。
c1は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.50以下である。
d1は、好ましくは0.18以下、より好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.12以下、より更に好ましくは0.1である。
カソード材料として金属元素とペロブスカイト型金属酸化物との混合物を用いる場合、これらの割合は特に制限されず、具体的に使用する材料の電子伝導性や触媒能などを考慮して適宜調整すればよいが、例えば、金属元素とペロブスカイト型金属酸化物との合計に対するペロブスカイト型金属酸化物の割合を20v/v%以上、80v/v%以下とすることができる。当該割合としては、25v/v%以上がより好ましく、また、70v/v%以下がより好ましい。
カソード層の厚さは特に限定されず、セル形状などに応じて適宜決定すればよいが、例えば、電解質支持型セルの場合では5μm以上、100μm以下とすることが好ましい。当該電極層を支持層とする電極支持型セルの場合では、当該厚さは100μm以上、2000μm以下とすることが好ましく、150μm以上、1000μm以下がより好ましい。下限と上限の規定理由は、電解質支持型セルの場合と同様である。
カソード層を形成する方法として、例えば、プロトン伝導性固体電解質層の場合と同様に上記構成成分のペーストを調製した後に、上記プロトン伝導性固体電解質層上に所望の膜厚が得られるよう塗布した後、焼成すればよい。当該カソード層を支持層とする電極支持型セルの場合には、支持体としての役割も有する当該カソード層を形成した後、その上にプロトン伝導性固体電解質層を形成し、さらに当該電解質層の上にアノード層を形成すればよい。或いは、当該カソード層の下(電解質層の反対側)に多孔質のサポート層を形成してもよい。なお、金属元素材料として金属酸化物を用いた場合には、積極的に還元処理を行うことにより金属酸化物が金属元素に還元され、その分体積が減少してカソード層を多孔質にすることができる。かかる多孔質カソード層を有する水蒸気電解用セルは、H2製造能力がより一層高い。
カソード層を形成するための好ましい焼成条件としては、例えば、1000℃以上、1500℃以下で、1時間以上、5時間以下とすることができる。焼成温度について、1000℃未満では、強度が十分ではなく剥離が生じ、性能が低下してしまう可能性があり、一方、1500℃より高いと焼成治具の成分とカソードあるいは電解質の成分とが一部反応してしまう虞があり、また、セルの反りや割れなどが発生しやすくなり歩留りが低下するため好ましくない。焼成温度として、好ましくは1100℃以上であり、さらに好ましくは1300℃以上である。焼成時間として、好ましくは1時間30分間以上、4時間以下である。
本発明に係る水蒸気電解用セルを使い、電極間に電圧をかけて電流を流しつつアノードに水蒸気を供給することにより、H2を効率的に製造することができる。
なお、本発明に係る水蒸気電解用セルは、通電した電流に対するH2の製造効率である電流効率が従来のセルより高く、消費電力が低い。かかる違いは、電流密度が高いほど顕著である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
(1) カソード支持体前駆体の作製
市販の酸化ニッケル粉末(正同化学工業社製,製品名「Green」)と電解質粒子としてSrZr0.5Ce0.40.1x粒子とを、当該酸化ニッケル粉末72vol%、電解質粒子28vol%となるように秤量した。これら粒子へバインダーと溶剤を添加し、さらに可塑剤、分散剤、潤滑剤および消泡剤を添加した。当該混合物をボールミルで30時間湿式粉砕混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを、テープキャスト法によりシート状に成形した後、80℃で1時間乾燥し、カソード支持体前駆体を作製した。
(2) 電解質粉体の調製
本実施例で使用したプロトン伝導性酸化物の合成は、固相法を用いた。
市販の純度99.9質量%のBaCO3、SrCO3、ZrO2、CeO2、Y23の粉末を、それぞれSrZr0.5Ce0.40.1x、Ba0.9Sr0.1Zr0.44Ce0.360.2xの組成となるように混合した。得られた各混合物にエタノールを加え、遊星ボールミルで2時間湿式粉砕した後、120℃で10時間乾燥した。次いで、空気雰囲気下、1200℃で10時間焼成することにより、電解質粉体を得た。さらに得られた電解質粉体にエタノールを加え、遊星ボールミルで3時間湿式粉砕した後、120℃で10時間乾燥することにより、電解質層材料として使用できる電解質粉末を得た。得られた電解質粉末の組成は、それぞれSrZr0.5Ce0.40.1x、Ba0.9Sr0.1Zr0.44Ce0.360.2xであり、X線回折により、共にペロブスカイトからなる単一相であることを確認した。
(3) ハーフセルの作製
上記(2)で得られたSrZr0.5Ce0.40.1x、エチルセルロースおよびα−テルピネオールを乳鉢で混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製,型式「M−80S」)を用いて混練し、電解質前駆体Iのペーストを得た。同様にして、Ba0.9Sr0.1Zr0.44Ce0.360.2x、エチルセルロースおよびα−テルピネオールを乳鉢で混合し、その後、3本ロールミルを用いて混練し、電解質前駆体IIのペーストを得た。
上記(1)で作製したカソード支持体前駆体上に電解質前駆体Iのペーストをスクリーン印刷法で塗布し電解質前駆体層Iを形成し、更にその上に電解質前駆体IIのペーストをスクリーン印刷法で塗布し電解質前駆体層IIを形成した後、80℃で30分間乾燥し、1400℃、空気雰囲気下で3時間焼成することにより、プロトン伝導性固体電解質層の厚さが15μm、カソード支持体の厚さが250μmのハーフセルを作製した。
(4) アノード層の作製
市販の純度99.9質量%のLa23、BaCO3およびCo34の粉末を、La0.5Ba0.5CoOxの組成となるように混合した。得られた混合物にエタノールを加え、ボールミルで60時間湿式粉砕した後、120℃で10時間乾燥した。次いで、1100℃で10時間熱処理することにより粉末を得た。さらに、得られた粉末にエタノールを加え、ボールミルで100時間湿式粉砕した後、120℃で10時間乾燥することにより、水蒸気電解用アノード層材料とすることができる原料粉末とした。得られたアノード層原料粉末の組成はLa0.5Ba0.5CoOxであり、X線回折により、ペロブスカイトからなる単一相であることを確認した。
上記アノード層原料粉末に、バインダーとしてエチルセルロース、溶媒としてα−テルピネオールを加え、乳鉢で混合した。次いで、3本ロールミル(EXAKT technologies社製,型式「M−80S」)を用いて混練し、アノード用ペーストを得た。
上記(3)で得たハーフセルのプロトン伝導性金属酸化物におけるカソード支持体の反対側に、上記アノード用ペーストをスクリーンプリント法により塗布した後、空気雰囲気下、850℃で1時間焼成することにより、厚さ30μmのアノード層を形成した。
実施例2〜4
電解質前駆体層IIに含まれるプロトン伝導性金属酸化物を表1に示すペロブスカイト型金属酸化物に変更した以外は、実施例1と同様にしてセルを作製した。
実施例5〜6
Ba0.9Sr0.1Zr0.44Ce0.360.2x、SrZr0.5Ce0.40.1x(Ba0.9Sr0.1Zr0.44Ce0.360.2x:SrZr0.5Ce0.40.1x=1:1(質量比))、エチルセルロースおよびα−テルピネオールを乳鉢で混合し、その後、3本ロールミルを用いて混練し、電解質前駆体IIIのペーストを得た。上記(1)で作製したカソード支持体前駆体上に電解質前駆体Iのペーストをスクリーン印刷法で塗布し電解質前駆体層Iを形成し、その上に電解質前駆体IIIのペーストをスクリーン印刷法で塗布し電解質前駆体層IIIを形成した後、更に電解質前駆体IIのペーストをスクリーン印刷法で塗布し電解質前駆体層IIを形成した。80℃で30分間乾燥し、1400℃、空気雰囲気下で3時間焼成することにより、プロトン伝導性固体電解質層の厚さが15μm、カソード支持体の厚さが250μmのハーフセルを作製した。これ以外は、実施例1と同様の方法により水蒸気電解用セルを製造した。
比較例1
電解質前駆体Iのペーストと電解質前駆体IIのペーストの塗布順を逆にしたこと以外は、実施例1と同様にして水蒸気電解用セルを製造した。
比較例2
電解質前駆体IIのペーストのみを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして水蒸気電解用セルを製造した。
比較例3〜4
電解質前駆体IIIのペーストのみを塗布したこと以外は、実施例5〜6と同様にして水蒸気電解用セルを製造した。
試験例1
実施例1〜6及び比較例1〜4で作製したセルに、そのアノード層に接触しないようガラスリングを挟み、800℃で軟化させることによりガスシールした。次いで、作動温度である600℃まで降温した後、10v/v%H2ガスを含むN2ガスを導入してカソード支持体中のNiOを還元した。アノード層側に、水蒸気20v/v%と酸素1v/v%を含むアルゴンガスを流量100NmL/分で導入し、カソード層側に、水蒸気2v/v%と水素1v/v%を含むアルゴンガスを流量100NmL/分で導入した。ポテンショガルバノスタットを用い、電流を変化させつつ電圧を測定することにより電流−電圧曲線を得た。
また、カソード層において発生した水素の濃度をガスクロマトグラフィで定量し、さらに、カソード出口ガスの流量を高精度精密膜流量計(堀場エステック社製)で測定した。得られた測定値から、下記式によりH2生成速度を算出した。
2生成速度(μmol/h・cm2)=[{(Qv0×Hc0/100)−(Qv1×Hc1/100)}×60×106]/(22400×S)
Qv0: 非通電時のカソード出口ガス流量(NmL/分)
Hc0: 非通電時のカソード出口ガス中のH2濃度(v/v%)
Qv1: 通電時のカソード出口ガス流量(NmL/分)
Hc1: 通電時のカソード出口ガス中のH2濃度(v/v%)
S: アノードの電極面積(cm2
また、下記式により理論H2生成速度を算出した。
理論H2生成速度(μmol/h・cm2)={通電した電流(A)×3600(s)×106}/{2×F×電流面積(cm2)}
F: ファラデー定数
さらに、測定値に基づくH2生成速度と理論H2生成速度から、下記式により電流効率を算出した。
電流効率(%)=(H2生成速度/理論H2生成速度)×100
各セルのアノード層、カソード層および電解質層の組成と電流密度0.5A/cm2でのセル端子電圧、電流効率を表1に示す。
Figure 0006625856
表1に示す結果のとおり、本発明の水蒸気電解用セルによれば、低い消費電力と高い電流効率が可能となり、従来のプロトン伝導性固体電解質より低い温度で焼結させることができる。また還元処理に要する時間も大きく短縮できる。

Claims (10)

  1. アノード層とカソード層を有し、当該アノード層と当該カソード層との間にプロトン伝導性固体電解質層を有する水蒸気電解用セルであって、前記プロトン伝導性固体電解質層が、
    AサイトにSrを有するペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層Iを形成する工程、
    AサイトにBa及びSrを有するペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層IIを形成する工程、
    前記電解質前駆体層I及び前記電解質前駆体層IIを形成した後に焼成する工程、
    により製造されたものであることを特徴とする水蒸気電解用セル。
  2. 前記電解質前駆体層Iがカソードに接しており、前記電解質前駆体層IIがアノード層に接している請求項1に記載の水蒸気電解用セル。
  3. 前記焼成工程前に、前記電解質前駆体層Iと前記電解質前駆体層IIの間に、AサイトにSrを有するペロブスカイト型金属酸化物と、AサイトにBa及びSrを有するペロブスカイト型金属酸化物の混合物を含有する電解質前駆体層IIIを形成する請求項1または2に記載の水蒸気電解用セル。
  4. 前記カソード層が、Ni、Co、Feおよびこれらの酸化物から選択される1以上の金属元素とAサイトにストロンチウムを含み、Bサイトに周期律表の第4族から第14族に属する3価あるいは4価の元素を含むペロブスカイト型金属酸化物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の水蒸気電解用セル。
  5. 前記電解質前駆体層Iに含まれるペロブスカイト型金属酸化物が、下記式(1):
    SrZr a Ce b c 1 d x (1)
    (ここで、Srはストロンチウム、Zrはジルコニウム、Ceはセリウム、Yはイットリウム、M 1 はスカンジウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、a、b、c、dおよびxはそれぞれ、Zr、Ce、Y、M 1 およびOの原子比を表し、0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.9、0.01≦c≦0.2、0≦d≦0.1であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である)で表されるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の水蒸気電解用セル。
  6. 前記電解質前駆体層IIに含まれるペロブスカイト型金属酸化物が、下記式(2):
    Ba (1-e) Sr e Zr f Ce g 2 h x (2)
    (ここで、Baはバリウム、Srはストロンチウム、Zrはジルコニウム、Ceはセリウム、M 2 はスカンジウム、イットリウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、e、f、g、hおよびxはそれぞれ、Sr、Zr、Ce、M 2 およびOの原子比を表し、0.01≦e≦0.3、0.1≦f≦0.8、0.1≦g≦0.8、0≦h≦0.2であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である)で表されるものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の水蒸気電解用セル。
  7. アノード層とカソード層を有し、当該アノード層と当該カソード層との間にプロトン伝導性固体電解質層を有する水蒸気電解用セルを製造するための方法であって、
    AサイトにSrを有するペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層Iを形成する工程、
    AサイトにBa及びSrを有するペロブスカイト型金属酸化物を含む電解質前駆体層IIを形成する工程、
    前記電解質前駆体層I及び前記電解質前駆体層IIを形成した後に焼成することにより、前記プロトン伝導性固体電解質層を形成する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  8. 前記電解質前駆体層Iがカソードに接しており、前記電解質前駆体層IIがアノード層に接している請求項7に記載の方法。
  9. 前記焼成工程前に、前記電解質前駆体層Iと前記電解質前駆体層IIの間に、AサイトにSrを有するペロブスカイト型金属酸化物と、AサイトにBa及びSrを有するペロブスカイト型金属酸化物の混合物を含有する電解質前駆体層IIIを形成する請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記カソード層が、Ni、Co、Feおよびこれらの酸化物から選択される1以上の金属元素とAサイトにストロンチウムを含み、Bサイトに周期律表の第4族から第14族に属する3価あるいは4価の元素を含むペロブスカイト型金属酸化物を含有する請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
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