JP2008034130A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】プロトン化およびプロトン伝導を効率よく行うことができる燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池100は、水素分離膜10と、水素分離膜上に形成されAB(1−x)MxO3型ペロブスカイトからなる第1のプロトン伝導性電解質膜20と、第1のプロトン伝導性電解質膜上に形成されAB(1−x)NxO3型ペロブスカイトからなる第2のプロトン伝導性電解質膜30とを備え、MおよびNは4価よりも小さい価数を有し、Mの電気陰性度はNの電気陰性度よりも高い。
【選択図】図1
【解決手段】燃料電池100は、水素分離膜10と、水素分離膜上に形成されAB(1−x)MxO3型ペロブスカイトからなる第1のプロトン伝導性電解質膜20と、第1のプロトン伝導性電解質膜上に形成されAB(1−x)NxO3型ペロブスカイトからなる第2のプロトン伝導性電解質膜30とを備え、MおよびNは4価よりも小さい価数を有し、Mの電気陰性度はNの電気陰性度よりも高い。
【選択図】図1
Description
本発明は、プロトン伝導性電解質を備えた燃料電池に関する。
燃料電池は、一般的には水素及び酸素を燃料として電気エネルギーを得る装置である。この燃料電池は、環境面において優れかつ高いエネルギー効率を実現できることから、今後のエネルギー供給システムとして広く開発が進められてきている。
燃料電池のうち固体電解質を用いたものには、固体高分子型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、水素分離膜電池等がある。ここで、水素分離膜電池とは、緻密な水素分離膜を備えた燃料電池である(例えば、特許文献1参照)。緻密な水素分離膜は水素透過性を有する金属によって形成される層であり、アノードとしても機能する。水素分離膜電池は、この水素分離膜上にプロトン導電性を有する電解質膜が積層された構造をとっている。水素分離膜に供給された水素は水素分離膜を透過し、電解質膜においてプロトンに変換され、電解質膜中を移動し、カソードにおいて酸素と結合する。
しかしながら、特許文献1の技術に係る水素分離膜電池では、電解質膜と水素分離膜との界面において水素分離膜を構成する金属が電解質膜の酸素によってターミネーションされる。それにより、水素分離膜におけるプロトン化能が十分得られない。そこで、高いプロトン化能を有する電解質膜を用いることが考えられる。しかしながら、プロトン伝導性電解質膜においては、プロトン化能が高くなるとプロトン伝導性が低くなってしまう。
本発明は、プロトン化およびプロトン伝導を効率よく行うことができる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、水素分離膜と、水素分離膜上に形成されAB(1−x)MxO3型ペロブスカイトからなる第1のプロトン伝導性電解質膜と、第1のプロトン伝導性電解質膜上に形成されAB(1−x)NxO3型ペロブスカイトからなる第2のプロトン伝導性電解質膜とを備え、MおよびNは4価よりも小さい価数を有し、Mの電気陰性度はNの電気陰性度よりも高いことを特徴とするものである。
本発明に係る燃料電池においては、水素分離膜に供給された水素分子は、原子状水素となって水素分離膜を透過する。Bサイトの価数よりも小さい価数を有するMが第1のプロトン伝導性電解質膜に含有されていることから、Mの近傍にホールが形成される。水素分離膜を透過してきた水素原子は、ホールの電子引力によってプロトンと電子とに分離する。Mの電気陰性度が高いことから、Mは水素原子から電子を引き抜きやすい。それにより、第1のプロトン伝導性電解質膜における水素原子のプロトン化が促進される。その結果、アノード過電圧を抑制することができる。また、Nの電気陰性度がMの電気陰性度よりも小さいことから、第1のプロトン伝導性電解質膜のプロトン電導性に比較して第2のプロトン伝導性電解質膜のプロトン伝導性が高くなる。したがって、プロトンは効率よくカソードに到達する。
このように、本発明に係る燃料電池においては、第1のプロトン伝導性電解質膜において効率よく水素のプロトン化反応が行われるとともに、生成されたプロトンが効率よく第2のプロトン伝導性電解質膜を伝導する。すなわち、第1のプロトン伝導性電解質膜および第2のプロトン伝導性電解質膜の全体において、プロトン生成過程およびプロトン伝導過程の効率が向上する。その結果、本発明に係る燃料電池の発電効率が向上する。
第1のプロトン伝導性電解質膜のAサイトと第2のプロトン伝導性電解質膜のAサイトとが同じであり、第1のプロトン伝導性電解質膜のBサイトと第2のプロトン伝導性電解質膜のBサイトとが同じであってもよい。また、AサイトはSr,BaまたはCaであり、BサイトはZrまたはCeであってもよい。さらに、MはYまたはInであり、NはIn,Sc,Rh,GaまたはAlであってもよい。
本発明によれば、プロトン化反応およびプロトン伝導が効率よく行われる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係る燃料電池100の模式的断面図である。図1に示すように、燃料電池100は、水素分離膜10上に第1電解質膜20、第2電解質膜30およびカソード40が順に積層された構造を有する。水素分離膜10は、緻密な水素透過性金属層からなる。水素分離膜10は、燃料ガスが供給されるアノードとして機能するとともに、第1電解質膜20および第2電解質膜30を支持および補強する支持体として機能する。水素分離膜10を構成する金属は、水素透過性を有していれば特に限定されるものではない。水素分離膜10を構成する金属の例としては、例えば、パラジウム、バナジウム、チタン、タンタル等が挙げられる。水素分離膜10の膜厚は、例えば、40μm程度である。
第1電解質膜20は、AB(1−x)MxO3構造を有するペロブスカイト型のプロトン伝導性電解質である。すなわち、第1電解質膜20は、Bサイトの一部が金属Mによって置換された構造を有する。第2電解質膜30は、AB(1−x)NxO3構造を有するペロブスカイト型のプロトン伝導性電解質である。すなわち、第2電解質膜30は、Bサイトの一部が金属Nによって置換された構造を有する。
Aサイトとしては、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ca(カルシウム)等を用いることができる。Bサイトとしては、Zr(ジルコニウム)、Ce(セリウム)等を用いることができる。金属Mおよび金属Nは、+4価よりも小さい価数を有するドープ金属である。また、金属Mは、金属Nの電気陰性度よりも大きい電気陰性度を有する金属である。なお、xは、0<x<1を満たす値である。金属Mとしては、Y(イットリウム)、In(インジウム)等を用いることができる。金属Nとしては、In、Sc(スカンジウム)、Rh(ロジウム)、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)等を用いることができる。
例えば、第1電解質膜20としてSrZr(1−x)RhxO3、第2電解質膜30としてSrZr(1−x)InxO3を用いることができる。また、例えば、第1電解質膜20としてBaCe(1−x)MxO3(MはIn,Sc,Rh,Ga,Al)、第2電解質膜30としてBaCe(1−x)YxO3を用いることができる。第1電解質膜20の膜厚は、例えば、5nm〜10nm程度である。第2電解質膜30の膜厚は、例えば、2μm程度である。
カソード40は、酸化剤ガスが供給される電極であり、例えば、ランタンコバルトタイト、ランタンマンガネート、銀、白金、白金担持カーボン等の導電性材料から構成される。カソード40の膜厚は、例えば、30μm程度である。
続いて、燃料電池100の製造方法について説明する。図2は、燃料電池100の製造方法を示す製造フロー図である。まず、図2(a)に示すように、水素分離膜10上に、スパッタリング法、PLD(パルスレーザ堆積)法等の方法によって第1電解質膜20を5nm〜10nm程度形成する。次に、図2(b)に示すように、第1電解質膜20上に、スパッタリング法、PLD(パルスレーザ堆積)法等の方法によって第2電解質膜30を2μm程度形成する。次いで、図2(c)に示すように、第2電解質膜30上に、スパッタリング法、スクリーン印刷法等によってカソード40を形成する。以上の工程によって、燃料電池100が完成する。
続いて、燃料電池100の動作について説明する。水素分離膜10には、水素を含有する燃料ガスが供給される。燃料ガスに含まれる水素分子は、原子状水素となって水素分離膜10を透過する。Bサイトの価数よりも小さい価数を有する金属Mが第1電解質膜20にドープされていることから、金属Mの近傍にホールが形成される。水素分離膜10を透過してきた水素原子は、ホールの電子引力によってプロトンと電子とに分離する。本実施例においては金属Mの電気陰性度が高いことから、金属Mは水素原子から電子を引き抜きやすい。それにより、第1電解質膜20における水素原子のプロトン化が促進される。その結果、アノード過電圧を抑制することができる。
第1電解質膜20において発生したプロトンは、第2電解質膜30を伝導する。ここで、金属Nの電気陰性度が金属Mの電気陰性度よりも小さいことから、第1電解質膜20のプロトン電導性に比較して第2電解質膜30のプロトン伝導性が高くなる。したがって、プロトンは効率よくカソード40に到達する。
一方、カソード40には酸素を含有する酸化剤ガスが供給される。カソード40においては、酸化剤ガス中の酸素とカソード40に到達したプロトンとから水が発生するとともに電力が発生する。発生した電力は、図示しないセパレータを介して回収される。以上の動作により、燃料電池100による発電が行われる。
このように、本実施例に係る燃料電池100においては、第1電解質膜20において効率よく水素のプロトン化反応が行われるとともに、生成されたプロトンが効率よく第2電解質膜30を伝導する。すなわち、第1電解質膜20および第2電解質膜30の全体において、プロトン生成過程およびプロトン伝導過程の効率が向上する。その結果、燃料電池100の発電効率が向上する。
なお、第1電解質膜20のプロトン伝導性は高い方が好ましい。したがって、第1電解質膜20は、製造上可能な限り薄い方が好ましい。また、第1電解質膜20は、層状であっても島状であってもよい。また、例えば、第1電解質膜20のプロトン伝導性は、第2電解質膜30のプロトン伝導性に近いことが好ましい。
本実施例においては、第1電解質膜20が第1のプロトン伝導性電解質膜に相当し、第2電解質膜30が第2のプロトン伝導性電解質膜に相当する。
10 水素分離膜
20 第1電解質膜
30 第2電解質膜
40 カソード
100 燃料電池
20 第1電解質膜
30 第2電解質膜
40 カソード
100 燃料電池
Claims (4)
- 水素分離膜と、
前記水素分離膜上に形成され、AB(1−x)MxO3型ペロブスカイトからなる第1のプロトン伝導性電解質膜と、
前記第1のプロトン伝導性電解質膜上に形成され、AB(1−x)NxO3型ペロブスカイトからなる第2のプロトン伝導性電解質膜とを備え、
前記Mおよび前記Nは、4価よりも小さい価数を有し、
前記Mの電気陰性度は、前記Nの電気陰性度よりも高いことを特徴とする燃料電池。 - 前記第1のプロトン伝導性電解質膜のAサイトと前記第2のプロトン伝導性電解質膜のAサイトとが同じであり、
前記第1のプロトン伝導性電解質膜のBサイトと前記第2のプロトン伝導性電解質膜のBサイトとが同じであることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。 - 前記Aサイトは、Sr,BaまたはCaであり、
前記Bサイトは、ZrまたはCeであることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池。 - 前記Mは、YまたはInであり、
前記Nは、In,Sc,Rh,GaまたはAlであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006203512A JP2008034130A (ja) | 2006-07-26 | 2006-07-26 | 燃料電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006203512A JP2008034130A (ja) | 2006-07-26 | 2006-07-26 | 燃料電池 |
Publications (1)
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JP2008034130A true JP2008034130A (ja) | 2008-02-14 |
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ID=39123344
Family Applications (1)
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JP2006203512A Pending JP2008034130A (ja) | 2006-07-26 | 2006-07-26 | 燃料電池 |
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JP (1) | JP2008034130A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101543732B (zh) * | 2009-02-25 | 2011-03-16 | 中国科学技术大学 | 一种金属氧化物质子传导材料及其制备方法 |
JP2017071831A (ja) * | 2015-10-07 | 2017-04-13 | 株式会社日本触媒 | 水蒸気電解用セル |
JP2020017425A (ja) * | 2018-07-26 | 2020-01-30 | 東京瓦斯株式会社 | 燃料電池および燃料電池の製造方法 |
-
2006
- 2006-07-26 JP JP2006203512A patent/JP2008034130A/ja active Pending
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