JP2003017088A - 固体電解質材料、その製造方法および固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質材料、その製造方法および固体電解質型燃料電池

Info

Publication number
JP2003017088A
JP2003017088A JP2001193270A JP2001193270A JP2003017088A JP 2003017088 A JP2003017088 A JP 2003017088A JP 2001193270 A JP2001193270 A JP 2001193270A JP 2001193270 A JP2001193270 A JP 2001193270A JP 2003017088 A JP2003017088 A JP 2003017088A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolyte
electrolyte material
electrical conductor
fuel cell
good electrical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001193270A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Furuya
健司 古谷
Fumio Munakata
文男 宗像
Masaharu Hatano
正治 秦野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2001193270A priority Critical patent/JP2003017088A/ja
Publication of JP2003017088A publication Critical patent/JP2003017088A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン伝導度に優れると共に、急速な加熱を
可能とすることにより起動時間を短縮した固体電解質材
料を提供する。 【解決手段】 固体電解質材料を、ペロブスカイト型高
速酸素イオン伝導材料であるランタンガレート固体電解
質材料に、電気良導体粒子を均一に分散させて構成し
た。固体電解質材料中に分散させる材料としては、金
(Au)、白金(Pt)、ジルコニウム(Zr)、ロジ
ウム(Rh)、タンタル(Ta)、タングステン(W)
などの電気良導体として金属粒子が誘導加熱のための良
電気伝導体として有効であり、ランタンガレート固体電
解質材料とほとんど相互反応せずに化学的に安定であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体電解質材料、そ
の製造方法および固体電解質型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】1899年にNernstが固体電解質を発見
した後、1937年にBaurとPreisが1000℃で固体
電解質燃料電池(S0FC:Solid Oxide Fuel Cell)
を運転して以来、固体電解質燃料電池は進歩を続けて、
出力数kWのジルコニア質セラミックス燃料電池が数万
時間の運転実績を積んでいる。この固体燃料電池は、1
000℃以上の高温で運転するために、炭化水素系燃料
を電池内で改質することができ、60%以上の高い燃焼
効率を得ることが可能であると考えられている。
【0003】通常、固体電解質燃焼電池の構成は、固体
電解質と燃焼極と中間層とからなる。全ての構成材料
は、酸化還元雰囲気で安定であり、適度な導電性を有す
る必要がある。また、構成材料同士の熱膨張係数は近似
し、アノードとカソードとが多孔質体でガスが透過でき
ることが必要である。当然ながら電池材料として、酸化
還元雰囲気に対する化学的安定性と安価であることが望
まれる。運転時の安定性から見るとイオン伝導体の基本
要件としてできるだけ低温で高いイオン伝導性を有する
材料系が望ましい。さらには、発電効率を向上するため
に、固体電解質を薄膜化することにより、固体電解質の
内部抵抗を低減する検討が主にジルコニア材料において
されている。そのため、高い酸素イオン伝導性と薄膜化
できる強度を兼ね備えた材料系の開発が強く望まれてい
る。
【0004】現在、固体電解質としては、安定化Zn0
2が最も盛んに研究されている。安定化剤としては、2
価のアルカリ土類元素の酸化物CaO、MgO、Sc2
3などやY23などの希土類酸化物などがある。アル
カリ土類元素の酸化物であるCaOをドープしたときの
特性値は、800℃で0.01(Ωcm)-1のイオン伝
導性を示す。論文に示されたとおり(H.Tannenberger
等、Proc.Int'l Etude Piles Combust、19-26(1965)希
土類酸化物)Y2O3、Yb2O3、やGd2O3)をドープしたときの
イオン伝導度は800℃で1×10-1から1×10
-2(Ωcm)-1程度である。650℃以下になると2×
10-2(Ωcm)-1以下に落ち出力が低下する。また、
低温域における電解質抵抗を少なくするために、固体電
解質膜を5〜10μm程度に薄膜化する検討もされてい
るが、ある程度の内部抵抗の低減が図れるが、イオン伝
導度が低いために電極性能が十分に発揮できないという
問題が明らかになってきている。
【0005】希土類単独の安定化ジルコニアは、197
0年までに公知となっており、希土類およびアルカリ土
類の安定化ジルコニアに関しては特公昭57−5074
8号公報に開示されている。
【0006】その他の固体電解質材料としては、安定化
ビスマスが知られている。Bi23の高温相(δ相)は
欠陥蛍石構造をとり(Bi462)、酸化物イオン移
動の活性化エネルギーが低く、高い酸化物イオン伝導率
を示す。高温相は希土類酸化物を固溶させることで低温
まで安定化でき、大きな酸素イオン導電性を示す。論文
にT.Takahashi等、J.APPL.Electrochemistry,5(3),18
7-195(1975)に示したように希土類安定化ジルコニ
ア、例えば(Bi231-x(Y23xは700℃で
0.1(Ωcm)-1、500℃で0.001(Ωcm)
-1であり、安定化ジルコニアよりも10〜100倍大き
な値を示す。特公昭62−45191号公報には安定化
酸化ビスマスと安定化酸化ジルコニウムの混合物で70
0℃で0.1(Ωcm)-1以上の結果が開示されてい
る。このため、1000℃未満の温度域で高イオン伝導
度が得られることが期待できるが、還元性雰囲気下では
Bi金属に還元されるため電子伝導性が生じてしまい、
固体電解質として用いた場合、効率が低下してしまうた
め、直接利用することは困難である。
【0007】その他の固体電解質材料としては、セリア
系材料が知られている。CeO2では、室温から融点に
至る温度範囲で蛍石型の立方晶構造をとる。この酸化物
に希土類やCaOを添加すると広範囲に固溶体を形成す
る。本材料系は、KudoとH.Obayashi(J.Electrochem. S
oc.,123[3],416-419(1976))等により報告されてい
る。最近の研究の中心化合物であるCeO2−Gd23
ではCe1-xGdx(2-x )/2となり、酸素の空孔が形成
される。この系ではCeの価数が変わるため、ビスマス
系と同様に還元性雰囲気下ではCe金属に還元されるた
め電子伝導性が生じ、直接利用することは困難である。
【0008】また、近年、ペロブスカイト型酸化物にお
いて高い酸化物イオン伝導性を示す材料が発見され、盛
んに研究開発されている。ペロブスカイト型酸化物はA
BO からなりA、Bの2種のイオン例えば、BaCe
0.9Gd0.1、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg
0.2、CaAl0.7TiOとSrZr0.9
0.1などである。La1−xSrGa1−y
Mg系(LSGM)では、T. Ishihara等、J. A
m. Chem. Soc., 116, 3801-03(1994)、T. Ishihara等、
M. Feng and J. B. Goodenough、Eur. J. Solid State
Inorg. Chem., 31,663-672(1994) により紹介されてお
り、特に低温・酸化還元雰囲気下で高い酸化物イオン伝
導度が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな酸化物イオン伝導体を用いた固体酸化物燃料電池を
自動車などの移動体の電源や小型分散電源として使用す
るには、頻繁な始動停止(温度変化)に耐えることがで
きるとともに、酸素イオン伝導が開始する温度までの起
動時間が短時間で行われることが要求される。一方、酸
化物イオン伝導体は現時点ではセラミックス材料が使用
されるため、材料破壊を起こさずに急速な昇降温ができ
る材料および手法の開発が重要な課題となっている。
【0010】そのため、これまで燃料電池セル設計を工
夫することにより、セルにかかる熱衝撃を低減し、昇降
温速度を向上する工夫などが検討されている。例えば、
J. Power Sources 71,268(1998)に示されているよう
に、固体電解質を押し出し成型によって、直径2.4mm、
厚さ200μmm程度の小型で薄型のチューブ上のマイクロ
セルを多数設置して、熱衝撃を緩和する方法が考えられ
ている。また、例えば、特開2000−058102号
公報に開示されているように、固体電解質セル内の燃料
ガス排出の流量を平準化して、固体電解質等の構成材料
へのヒートスポットに起因するクラック等を防止して、
耐熱衝撃性を向上する試みがなされている。
【0011】しかしながら、いずれの場合でも耐熱衝撃
性は実際に燃料電池として作用させるには十分でなく、
固体電解質材料が破壊せずに急速に昇温ができる固体電
解質材料の開発が望まれている。
【0012】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
イオン伝導度に優れると共に、急速な加熱を可能とする
ことにより起動時間を短縮した固体電解質材料、その製
造方法および固体電解質型燃料電池を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記固体
電解質材料の起動性の向上に関して、鋭意研究を重ねた
結果、酸素イオン伝導のために高温が必要な固体電解質
膜を選択的に加熱することにより、昇温に必要な熱容量
を小さくし、起動性を向上できると考えた。そのため
に、固体電解質材料中に電気良伝導体の粒子を分散し、
この粒子を外部より誘導加熱を行うことにより、固体電
解質を均一に加熱することを可能とした。また、熱応力
集中によるクラックの発生を抑えながら、酸素イオン伝
導が開始するまでの昇温時間短縮できる、優れた燃料電
池に用いることのできる固体電解質材料が得られること
を見出した。
【0014】本発明の固体電解質材料は、ペロブスカイ
ト型高速酸素イオン伝導材料に、電気良導体粒子が均一
に分散され多相系セラミックスからなることを特徴とし
ている。
【0015】ペロブスカイト型高速酸素イオン伝導材料
としては、ランタンガレート固体電解質材料を用いる。
また、固体電解質材料中に分散させる材料としては、金
(Au)、白金(Pt)、ジルコニウム(Zr)、ロジ
ウム(Rh)、タンタル(Ta)、タングステン(W)
などの電気良導体として金属粒子が誘導加熱のための良
電気伝導体として有効であり、ランタンガレート固体電
解質材料とほとんど相互反応せずに化学的に安定であ
る。このような構成としたことにより、酸化物イオン伝
導率の低下を招かず、起動性に優れた燃料電池用固体電
解質材料が得られた。
【0016】この固体電解質材料は、燃料電池としての
効率の観点から、酸素イオン伝導性が大きいことが望ま
れる一方、電気伝導性は限りなく低いことが必要であ
る。そのため、固体電解質中に添加粒子による電気伝導
パスが発現すると、固体電解室内で短絡した状況が発生
し、燃料電池の効率を低下してしまう。そのために、添
加する電気伝導性粒子の添加量、分散状態、粒径を最適
化することにより、固体電解質内で電気伝導性を発現さ
せず、熱の集中によるクラックの発生を抑えることので
き、効果的に固体電解質材料の起動性と酸素イオン伝導
性を両立することが可能となった。
【0017】そして、このようにして得られた焼結体
は、良好なる酸化物イオン伝導特性を保ちながら、電子
・正孔による伝導性を抑え、外部からの誘導加熱により
均一に自己加熱するため、優れた燃料電池用固体電解質
材料として用いることができる。
【0018】高温が必要な固体電解質膜のみを誘導加熱
できるため、燃料電池全体を加熱するような大きな熱容
量が必要なく、酸素イオン伝導を開始するまでの時間
(起動時間)を短縮することができる。また、固体電解
質全体が均一に加熱されるため、ヒートスポット形成に
よる熱応力集中によるクラックの発生を抑えることが可
能となる。
【0019】
【発明の効果】請求項1〜請求項4に記載された発明に
よれば、添加する電気伝導性粒子の添加量、分散状態、
粒径を最適化することにより、固体電解質内で電気伝導
性を発現させず、熱の集中によるクラックの発生を抑え
ることのでき、固体電解質材料の起動性と酸素イオン伝
導性を効果的に両立することができる。このため、燃料
電池用として、特性の良好な固体電解質材料を得ること
ができる。
【0020】請求項5および請求項6に記載された発明
によれば、ランタンガレート粉末と電気良導体粉末とを
混合して焼結させるという簡単な手法で、得られた焼結
体が良好な酸化物イオン伝導特性を保ちながら、電子・
正孔による伝導性を抑え、外部からの誘導加熱により均
一に自己加熱するため、優れた燃料電池用固体電解質材
料を作製できるという効果がある。
【0021】請求項7記載の発明によれば、高温が必要
な固体電解質膜のみを誘導加熱できるため、燃料電池全
体を加熱するような大きな熱容量が必要なく、酸素イオ
ン伝導を開始するまでの時間(起動時間)を短縮するこ
とができる。また、固体電解質全体が均一に加熱される
ため、ヒートスポット形成による熱応力集中によるクラ
ックの発生を抑えることができるため、耐久性の高い燃
料電池を実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る固体電解質材
料、その製造方法および固体電解質型燃料電池の詳細を
図面を用いて説明する。
【0023】本発明で用いるペロブスカイト型酸素イオ
ン高速伝導体は、ペロブスカイト構造を有しているガリ
ウム(Ga)系酸化物であれば特に限定されるものでは
ないが、酸化物イオン伝導率等の各特性を考慮すると、
La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0 .23-δ、あるいは(La
0.9Sr0.1)0.9Ga0.8Mg0.23-δのような組成を有
するものが好適である。
【0024】また、本発明の固体電解質型燃料電池は、
本発明の固体電解質材料と導電性を有する一対の電極か
ら構成された単電池を組み合わせて成るものである。単
電池では、500〜800℃に加熱した状態で空気と燃
料が供給される。そのとき、電解質は、空気側電極より
酸素イオンを燃料側電極に運ぶ働きをすることにより起
電力が生じる。また、この燃料電池では、単電池を組み
合わせた固体電解質型燃料電池セルを取り囲んで電気良
導体粒子を誘導加熱するための誘導加熱装置としての高
周波発生器を備えている。
【0025】また、本発明の固体電解質は、高温で用い
て、燃料電池用の素材となり得る高熱伝導特性を有する
ものであり、早い起動特性が要求される自動車や分散電
源等の燃料電池に十分活用できるものである。
【0026】本実施形態の固体電解質材料では、ペロブ
スカイト型高速酸素イオン伝導材料に、電気良導体粒子
が均一に分散され多相系セラミックスからなる。また、
電気良導体としては、Au、Pt、Zr、Rh、Ta、
Wから選ばれることが好ましい。さらに、これら電気良
導体粒子の直径は、焼結体において1〜50μmである
ことが好ましい。また、固体電解質材料の切断面におい
て、粒径(直径)が1μm以上の電気良導体の面積の割
合が、線インターセプト法で測定した面積分率で2〜2
0面積%の範囲にあることが特性上好ましい。
【0027】本実施形態の固体電解質材料を製造するに
は、まず、ランタンガレート粉末に上記した電気良導体
粉末を適宜添加して混合した混合体または成形体を作製
する。
【0028】その後、混合体や成形体1350℃〜15
50℃の温度範囲で、粒径が1〜50μmの電気良導体
粒子が発現するまで焼成を行って、焼結体を作製する。
【0029】この結果、作製された固体電解質材料の切
断面において、粒径が1μm以上の前記電気良導体粒子
の面積の割合が、線インターセプト法で測定した面積分
率で2〜20面積%となるように予め焼成時間、焼成温
度などの条件を設定しておく。
【0030】実施例 焼結体作製(実施例1〜6,比較例4〜7) マトリックスであるランタンガレートは、各原料(La2
3, SrCO3, Ga 23, MgO)を秤量し、ボール
ミルによりアルコール中で24時間混合した。得られた
スラリーを乾燥した後、1150℃、6時間大気中で仮焼し
た。再度ボールミルで平均粒径が0.8μm以下となるよ
うにアルコール中で粉砕した後、乾燥して、マトリック
ス粉末とした。
【0031】他方、添加相としては、所定の粒径の添加
粒子粉末を前記ランタンガレート粉末と所定の比率にて
ボールミルで1時間混合した後、乾燥した。
【0032】次に、このランタンガレート粉末と金属粉
末との混合体を金型で圧粉し、静水圧プレスで2ton/c
m2の圧力で成形し、1450℃で6時間焼結して、固体
電解質を得た。なお、焼結時には共生地のトチとアルミ
ナ製のサヤを用いるとよいが、トチはアルミナ製であっ
てもよい。
【0033】以上のように作製したペロブスカイト型高
速酸素イオン伝導酸化物焼結体は、図1に示すように、
母相であるランタンガレート酸化物1中に良伝導体粒子
2が全体に均一に分散しており、熱応力集中を防ぎなが
ら、誘導加熱のための有効な発熱体として作用する。
【0034】(材料特性評価) (1)粒子群微構造評価:試料をダイヤモンド粒子
(0.26μm)で研磨した後、光学顕微鏡にて行っ
た。添加粒子の直径は、研磨面上の顕微鏡写真上で、ラ
ンダムに直線を引いてこの直線が横切る全ての添加粒子
の粒径を求め、この平均を添加粒子の数平均として画像
解析装置により粒子の直径を求める線インターセプト法
によった。
【0035】(2)耐熱衝撃試験:直径13mm厚み1mm
に加工した円盤状の試験片を、高周波発生装置内に入
れ、誘導加熱コイルにより発生させた交番磁界によって
加熱した。試料の温度はサーモグラフィにより試料の中
央部を観察することにより、モニターした。高周波発生
装置の出力を調整することにより加熱速度の調節を行い
ながら、室温から600℃まで10分で昇温した後、室
温まで10分かけて冷却した。冷却後、取り出した試料
を目視にて観察し、破壊・クラックの有無により評価し
た。
【0036】(3)輸率の測定:炉の中央に試料を隔壁
とし、炉の中央にセットする。燃料極側および空気極側
にArガスを流しながら、600℃まで昇温してArガ
スを止め燃料極に加湿水素を、空気極に空気を流した。
30分間放置後アノード/カソード間の自然電位を測定
し理論自然電位に対する100分率で求めた。
【0037】試料は、直径13mm厚み1mmに加工した円
盤を用い、Ptペーストを塗布後100℃で乾燥し、電
極とした。
【0038】輸率(%)=測定電位/理論電位×100 その結果から輸率>0.9のものを合格品と判断した。
【0039】
【表1】 以上の実施例(1〜5)および比較例(1〜3)につい
て、上記評価法に基づいて得られたランタンガレート系
材料の耐熱衝撃試験の結果を比較した結果である。
【0040】添加粒子元素の効果について実施例1〜5
と比較例1〜3を比較して以下のように検討した。
【0041】良電気伝導体粒子として、Pt,Au,W,
Rh,Coを添加した際に、有効に誘導加熱の発熱体と
して作用し、効果的に電解質膜が加熱できた。一方、A
gを添加した場合は、焼結時にAgが溶融するとともに
Agが試料中を拡散してしまう。このため、焼結体内で
電気的に短絡が起こり、輸率が大きく低下してしまう。
この結果、固体電解質として作用できなくなった。ま
た、溶融により試料中にポアも多く発生してしまい、試
料強度が大きく低下する。このため、誘導加熱時に破壊
が起こっていると考えられる。また、Alを添加した系
では、焼結時にランタンガレートと固溶してしまうた
め、誘導加熱の発熱体として作用せず、昇温することが
できなかった。さらに、Al3を添加した場合には
導電体でないため、誘導加熱できなかった。
【0042】粒子径効果について実施例1、9〜11と
比較例6、7を比較して以下のように検討した。
【0043】添加粒子元素としてPtを用いて、添加す
る粒子の面積比をほぼ一定にして粒径を変化させた結
果、1μm〜50μmの粒径の粒子を分散させると、効
果的に誘導加熱を発生させることができる一方で、焼結
体内に電気伝導パスを生成しないために輸率の低下を起
こさないことがわかった。粒径が1μm以下である場合
は、有効に誘導加熱することができない傾向にあり、ま
た50μm以上では、試料内で短絡が起きてしまい、輸
率が低下する上に、粒子の誘導加熱が粒子周辺に集中し
てしまうため、高い熱応力が発生してしまう傾向が大き
くなり昇温試験において割れが発生してしまう。
【0044】粒子面積分率効果について実施例1、6〜8
と比較例4、5を比較して以下のように検討した。
【0045】焼結体の切断面を観察したとき、線インタ
ーセプト法で測定した面積分率で、2〜30面積%である
ものとすることがより望ましく、良電気伝導体粒子の面
積が小さいと十分な誘導加熱特性を付与することができ
ない傾向となるので、2面積%以上とすることが望まし
く、良電気伝導体粒子の面積が大きいと粒子同士がぶつ
かりあってしまうため、電気的なパスが生成してしまう
ために、輸率が低下するという傾向となるので、30面積
%以下とすることがより望ましい。
【0046】(実施例7:燃料電池)以下、本発明の誘
導加熱式の固体電解質型燃料電池の一実施例を、図2に
基づいて説明する。図2は、本発明の誘導加熱式の固体
電解質型燃料電池20を示す概略断面図である。図2に
示すように、燃料電池セルは、燃料電池室内に固体電解
質膜3の両面に白金ペーストをスクリーン印刷法により
塗布し、それぞれアノード電極4、カソード電極5とし
た燃料電池セルを有している。この燃料電池セルの外周
部には、セラミックス等の耐熱性材料により造られ燃料
ガス流路6Aと酸化性ガス流路7Aが設けられている。
そして、燃料電池セルの外周部には、誘導加熱用のコイ
ル8が設けられている。このコイル8は、セラミックス
等の耐熱性材料により固設されている。また、燃料電池
室のアノード側およびカソード側は二重管構造で構成さ
れており、内側の上記燃料ガス流路6Aと酸化性ガス流
路7Aを形成する管から燃料ガスおよび酸化性ガスがそ
れぞれ流入し、燃料電池セルにおいて反応し、排気ガス
が外側の管で形成された排出流路6B、7Bを通って排
出される構造となっている。
【0047】このような構成によれば、誘導加熱コイル
8により発生させた交番磁界による電磁誘導作用によっ
て電圧が誘起される誘導電流によるジュール熱の加熱が
効果的に作用するので、固体電解質型燃料電池20の起
動時に最も重要な固体電解質膜3の発熱性を向上させ、
酸素イオン伝導性の発現を高速に行うことができるため
効果的に発電することができる。
【0048】一方、誘導加熱用コイル8は、コンバータ
ケースの外側にある例えば12V電圧のバッテリ9と高
周波発生電源10と接続されている。これらによりコイ
ル中に発生させた交番磁界で固体電解質膜を加熱する。
温度制御は、固体電解質膜3に設置した温度センサ12
により検出され、コントローラ11により制御されるよ
うになっている。次に、上記のように構成された固体電
解質型燃料電池20における作用について簡単に説明す
る。エンジン始動時、コンバータ内の排気ガス温度が所
定の作動温度になるまでは、誘導加熱コイル8により固
体電解質膜3を加熱する。この加熱により、固体電解質
膜を酸素イオン伝導が開始する温度にし、酸素イオンが
膜中を通ることにより燃料電池反応が開始する。そうし
て、固体電解質膜3の温度が所定の作動温度を越える
と、上記温度センサ12からの信号によりコントローラ
11が通電を断つことになる。
【0049】以上、実施の形態について説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、構成の要旨に付
随する各種の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解質材料の実施形態を模式
的に示す説明図である。
【図2】本発明に係る固体電解質型燃料電池の実施形態
を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 ランタンガレート酸化物 2 良伝導体粒子 3 固体電解質膜 4 アノード電極 5 カソード電極 6A 燃料ガス流路 7A 酸化性ガス流路 6B、7B 排出流路 8 誘導加熱コイル 10 高周波発生電源 11 コントローラ 12 温度センサ 20 固体電解質型燃料電池
フロントページの続き (72)発明者 秦野 正治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 5H026 AA06 BB01 CC03 CV02 EE02 EE13 HH01 HH02 HH08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペロブスカイト型高速酸素イオン伝導材
    料に、電気良導体粒子が均一に分散され多相系セラミッ
    クスからなることを特徴とする固体電解質材料。
  2. 【請求項2】 前記電気良導体は、金(Au)、白金
    (Pt)、ジルコニウム(Zr)、ロジウム(Rh)、
    タンタル(Ta)、タングステン(W)から選ばれるこ
    とを特徴とする請求項1記載の固体電解質材料。
  3. 【請求項3】 前記電気良導体粒子の直径が、1〜50
    μmであることを特徴とする請求項1また請求項2に記
    載された固体電解質材料。
  4. 【請求項4】 切断面における粒径が1μm以上の前記
    電気良導体の面積の割合が、線インターセプト法で測定
    した面積分率で2〜20面積%であることを特徴とする
    請求項3記載の固体電解質材料。
  5. 【請求項5】 ランタンガレート粉末に電気良導体粉末
    を添加して混合した混合体または成形体を作製し、粒径
    が1〜50μmの電気良導体粒子が発現するまで135
    0〜1550℃の温度範囲で焼結することを特徴とする
    固体電解質材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 切断面における粒径が1μm以上の前記
    電気良導体粒子の面積の割合が、線インターセプト法で
    測定した面積分率で2〜20面積%となるまで焼結させ
    ることを特徴とする請求項5記載の固体電解質材料の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    された固体電解質材料と一対の電極から構成された単電
    池を組み合わせた燃料電池セルと、前記電気良導体粒子
    を誘導加熱するための誘導加熱装置と、を備えたことを
    特徴とする固体電解質型燃料電池。
JP2001193270A 2001-06-26 2001-06-26 固体電解質材料、その製造方法および固体電解質型燃料電池 Pending JP2003017088A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001193270A JP2003017088A (ja) 2001-06-26 2001-06-26 固体電解質材料、その製造方法および固体電解質型燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001193270A JP2003017088A (ja) 2001-06-26 2001-06-26 固体電解質材料、その製造方法および固体電解質型燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003017088A true JP2003017088A (ja) 2003-01-17

Family

ID=19031587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001193270A Pending JP2003017088A (ja) 2001-06-26 2001-06-26 固体電解質材料、その製造方法および固体電解質型燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003017088A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005216760A (ja) * 2004-01-30 2005-08-11 Kyocera Corp 燃料電池セル及びその製法
JP2014167146A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Jfe Steel Corp 二酸化炭素ガスの電気分解方法。
JP2014177377A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Agc Seimi Chemical Co Ltd ガレート複合酸化物の製造方法
CN113394403A (zh) * 2020-03-12 2021-09-14 恒大新能源技术(深圳)有限公司 固态电池及其制备方法
CN113644303A (zh) * 2021-08-03 2021-11-12 陈沁锴 固体氧化物型燃料电池及其制备方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005216760A (ja) * 2004-01-30 2005-08-11 Kyocera Corp 燃料電池セル及びその製法
JP2014167146A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Jfe Steel Corp 二酸化炭素ガスの電気分解方法。
JP2014177377A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Agc Seimi Chemical Co Ltd ガレート複合酸化物の製造方法
CN113394403A (zh) * 2020-03-12 2021-09-14 恒大新能源技术(深圳)有限公司 固态电池及其制备方法
CN113644303A (zh) * 2021-08-03 2021-11-12 陈沁锴 固体氧化物型燃料电池及其制备方法
CN113644303B (zh) * 2021-08-03 2022-10-28 陈沁锴 固体氧化物型燃料电池及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8535848B2 (en) Structured body for an anode used in fuel cells
JP4608047B2 (ja) 混合イオン伝導体およびこれを用いたデバイス
US7157173B2 (en) Fused zirconia-based solid oxide fuel cell
CN105409041B (zh) 固体氧化物燃料电池及其制造方法
JP2007197315A (ja) 混合イオン伝導体およびこれを用いたデバイス
JP4211254B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP2009140730A (ja) 固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料およびその製造方法
JP3599894B2 (ja) 固体電解質型燃料電池の燃料電極
JP7089838B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用単セル及びその製造方法、並びに、固体酸化物形燃料電池用カソード及びその製造方法
JP2009140693A (ja) 固体酸化物形燃料電池
JPWO2006098272A1 (ja) イオン伝導体
JP2010238431A (ja) 燃料電池の発電セル
JP2003017088A (ja) 固体電解質材料、その製造方法および固体電解質型燃料電池
JP2008077998A (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP4508592B2 (ja) 燃料電池セルの製法
JP6377535B2 (ja) プロトン伝導燃料電池
JP4849774B2 (ja) 固体電解質形燃料電池セル及び固体電解質形燃料電池
JP2004165038A (ja) 固体電解質材料及びその製造方法、並びにそれを用いた固体酸化物形燃料電池セル
JP3598956B2 (ja) ガレート複合酸化物固体電解質材料とその製造方法
JP6891008B2 (ja) イオン伝導性材料及び固体酸化物形電気化学セル
JP2002316872A (ja) ランタンガレート系固体電解質材料、その製造方法および固体電解質型燃料電池
JP2016115415A (ja) 電極用材料及び固体酸化物型燃料電池
JPH05190183A (ja) 固体電解質型燃料電池
JP2004134131A (ja) 燃料電池
JP2007039279A (ja) ランタンクロマイト質材料、インターコネクタ、固体酸化物形燃料電池及び電熱体