JP2004134131A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】原料として用いるメタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガス中の酸素分圧が高くなっても、アノード層の電導性が維持され、燃料極機能が維持される燃料電池を提供する。
【解決手段】酸素イオン伝導型の固体電解質層70cの一面側にカソード層70bが形成され、他面側にアノード層70aが形成された単一セル70に、メタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガスが、カソード層70bとアノード層70aとが晒されるように供給され、単一セル70を介して燃料ガスと酸素との間の酸化還元反応が生起されて起電力が生じる燃料電池において、該アノード層70aが、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成され、且つアノード層70aにロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されていることを特徴とする。
【選択図】 図4
【解決手段】酸素イオン伝導型の固体電解質層70cの一面側にカソード層70bが形成され、他面側にアノード層70aが形成された単一セル70に、メタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガスが、カソード層70bとアノード層70aとが晒されるように供給され、単一セル70を介して燃料ガスと酸素との間の酸化還元反応が生起されて起電力が生じる燃料電池において、該アノード層70aが、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成され、且つアノード層70aにロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されていることを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池に関し、更に詳細にはメタン等の燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスや排ガスの給排口が形成された容器内に燃料電池用セルが収容された燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、火力発電等の発電効率に比較して、高効率の発電効率が期待できるため、現在、多くの研究がなされている。
かかる燃料電池には、図6に示す様に、イットリア(Y2O3)が添加された安定化ジルコニアから成る焼成体を酸素イオン伝導型の固体電解質層100として用い、この固体電解質層100の一面側にカソード層102が形成されていると共に、固体電解質層100の他面側にアノード層104が形成された燃料電池用セル106が配設されている。
この燃料電池用セル106のカソード層102側には、酸素又は酸素含有気体が供給される。他方のアノード層104側には、メタン等の燃料ガスが供給される。この燃料電池は、セル106によって、燃料ガス供給側チャンバーと酸素または酸素含有ガス供給側チャンバーとが分離されたセパレートチャンバー型をなす。
【0003】
かかる図6に示す燃料電池用セル106のカソード層102側に供給された酸素(O2)は、カソード層102と固体電解質層100との境界で酸素イオン(O2−)にイオン化され、この酸素イオン(O2−)は、固体電解質層100によってアノード層104に伝導される。アノード層104に伝導された酸素イオン(O2−)は、アノード層104に供給されたメタン(CH4 )ガスと反応し、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)が生成される。かかる反応の際に、酸素イオンが電子を放出するため、カソード層102とアノード層104との間に電位差が生じる。このため、カソ−ド層102とアノード層104を取出線108によって電気的に接続することにより、アノード層104の電子はカソード層102の方向(矢印の方向)に取出線108を流れ、燃料電池から電気を取り出すことができる。
尚、かかる図6に示す燃料電池の駆動温度は、約1000℃である。
【0004】
しかし、図6に示す燃料電池用セル106は、約1000℃もの高温下で、カソード層102側は酸化性雰囲気に晒されていると共に、アノード層104側は還元性雰囲気に晒されているため、燃料電池用セル106の耐久性を向上することは困難であった。
一方、図7に示す様に、固体電解質層100の両面側にカソード層102とアノード層104とが形成された燃料電池用セル106を、メタンガスと酸素とが混合された混合燃料ガス内に載置しても、燃料電池用セル106に起電力が発生する(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0005】
【非特許文献1】
SCIENCE,Vol.288(2000),p2031−2033
【非特許文献2】
Journal of The Electrochemical Society,149(2)A133−A136(2002)
【0006】
図7に示す燃料電池のように、燃料電池用セル106を混合燃料ガス内に載置することによって、燃料電池用セル106の全体を実質的に同一雰囲気とすることができ、両面の各々を異なる雰囲気に晒す図6に示す燃料電池用セル106に比較して、その耐久性の向上を図ることができる。この燃料電池は、燃料ガスと、酸素又は酸素含有ガスとの混合燃料ガスが供給されるシングルチャンバー型である。
しかしながら、図7に示す燃料電池には、約1000℃もの高温下でメタンガスと酸素とが混合された混合燃料ガスを供給するため、混合燃料ガスは、爆発の危険性を回避すべく、酸素濃度が発火限界よりも低濃度となるように(メタン濃度が発火限界を超える高濃度に)調整されて供給される。
このため、メタン等の燃料が完全燃焼するには著しく酸素量が不足し、メタン等の燃料の炭化が進行して電池性能が低下することがある。
【0007】
このため、本発明者等は、先に特願2001−281730号明細書において、メタン等の燃料と酸素との混合燃料ガスを用い、混合燃料ガスの爆発を防止しつつ、燃料の炭化の進行を防止し得る程度に酸素濃度を向上した混合燃料ガスを使用し得る燃料電池を提案した。
この燃料電池は、メタン等の燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスや排ガスの給排口が形成された容器内に燃料電池用セルが収容された燃料電池において、この容器内の燃料電池用セルを除く部分であって、混合燃料ガスや排ガスが流動する容器内の空間部に充填物を充填し、充填物間の間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部内に発火限界内の混合燃料ガスが存在しても発火し得ない間隙としているものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
先に本発明者等が提案した燃料電池では、発火限界内の混合燃料ガスを用いることができ、燃料ガスの完全燃焼化が促進され、電池性能を向上できる。
しかしながら、混合燃料ガス中の酸素濃度が高くなったことに因り、アノード層(燃料極)に用いられているニッケルやニッケルサーメットが酸化され易くなる。
アノード層を形成するニッケルが酸化すると、アノード層の電極抵抗が上昇して発電効率の低下或いは発電不能となり、更にはアノード層に剥離が生じ易くなることが判明した。
そこで、本発明の課題は、原料ガスとして用いるメタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガス中の酸素分圧が高くなっても、アノード層の電導性が維持され、燃料極機能が維持される燃料電池を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体中に白金等の酸化触媒が配合されて成るアノード層が形成された燃料電池によれば、原料ガスとしての混合燃料ガス中の酸素分圧を高くしても、アノード層の燃料電池機能が維持されると共に、高い発電能力も呈することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、酸素イオン伝導型の固体電解質層の一面側にカソード層が形成され、他面側にアノード層が形成されたセルに、メタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガスが、前記カソード層とアノード層とが晒されるように供給され、前記セルを介して前記燃料ガスと酸素との間の酸化還元反応が生起されて起電力が生じる燃料電池において、該アノード層が、前記燃料電池の駆動温度において、前記混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成され、且つ前記アノード層にロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されていることを特徴とする燃料電池にある。
また、本発明は、メタン等の燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスや排ガスの給排口が形成された容器内に燃料電池用セルが収容された燃料電池において、該容器内の燃料電池用セルを除く部分であって、混合燃料ガスや排ガスが流動する空間部に充填物が充填され、前記充填物間の間隙が、電池を駆動した際に、前記空間部内に発火限界内の混合燃料ガスが存在しても発火し得ない間隙を成し、前記アノード層が、前記燃料電池の駆動温度において、前記混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成され、且つ前記アノード層にロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されていることを特徴とする燃料電池でもある。
【0010】
かかる本発明において、アノード層を、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体によって形成することが好ましい。この焼成体としては、Li化合物をニッケル酸化物に添加し焼成処理して得た成分を主成分とする焼成体を好適に用いることができる。特に、アノード層としては、Li化合物をNiOにLi2O換算で1〜15mol%添加し、焼成処理して形成した焼成体を主成分とするアノード層が好ましい。
【0011】
また、アノード層を形成する混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属としては、銀を好適に用いることができる。
更に、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物のアノード層中の含有量は、金属換算で1〜50重量%とすることが好ましい。
かかるロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物を配合したアノード層には、サマリアドープドセリア、スカンジア安定化ジルコニア又はイットリア安定化ジルコニアを50体積%以下含有させることによって、ロジウム等の金属と混合燃料ガスとの接触面積を拡大できる。
【0012】
本発明において、アノード層は、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成されている。このため、アノード層を形成する金属が混合燃料ガスによって酸化されることに起因する、アノード層の導電性の低下等を防止できる。
しかも、アノード層中には、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が含有されているため、高い発電能力を呈することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る燃料電池の一例を示す断面図である。図1に示す燃料電池では、複数の単一燃料電池用セル16,16・・を積層した多層燃料電池用セルが用いられている。この単一燃料電池用セル16を、メタン等の燃料ガスと酸素とを含む混合燃料ガス(以下、混合燃料ガスと称することがある)が供給される複数の供給配管20a,20a・・と、排ガスが排出される複数の排出配管20b,20bとが形成された、横断面形状が矩形又は円形の容器20内に、単一燃料電池用セル16の積層面が筒(容器)の径方向と直交する方向に配置するように収容している。
【0014】
この容器20は、燃料電池の駆動温度で充分に耐熱性を呈するように、1200℃程度まで耐熱性を有するセラミック等の耐熱材料によって形成され、多層燃料電池用セルを構成する単一燃料電池用セル16,16・・の各々は、緻密構造の固体電解質層10の一面側に形成された多孔質層のカソード層12と、この固体電解質層10の他面側に形成された多孔質層のアノード層14とから形成されている。
かかる単一燃料電池用セル16のアノード層14と、他の単一燃料電池用セル16のカソード層12とは、直接接合されて多層燃料電池用セルを形成する。この多層燃料電池用セルで発電された電力は、多層燃料電池用セルの最外層の一方に位置する単一燃料電池用セル16のカソード層12と、他方の最外層に位置する単一燃料電池用セル16のアノード層14とから引き出された引出線(図示せず)によって取出される。
【0015】
図1に示す単一燃料電池用セル16を形成する固体電解質層10は、酸素イオン誘導体であって、イットリウム(Y)やスカンジウム(Sc)等の周期律表第3族元素により部分安定化されたジルコニア酸化物、或いはサマリウム(Sm)やガドリウム(Gd)等がドープされたセリウム酸化物によって形成される。
更に、カソード層12は、ストロンチウム(Sr)等の周期律表第3族元素が添加されたランタンのマンガン、ガリウム又はコバルト酸化化合物から形成される。
アノード層14は、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成されている。アノード層14が、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して酸化性の金属、例えばニッケルやニッケルサーメットによって主として形成されている場合、燃料電池の作動中にニッケルが酸化されてアノード層14の電極抵抗が上昇して発電効率の低下或いは発電不能となり、更にはアノード層14に剥離が生じ易くなる。
この点、図1に示す単一燃料電池用セル16では、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによってアノード層14が主として形成されている。このため、燃料電池の作動中に、アノード層14を主として形成する金属が酸化されることに起因して発生する、アノード層14の電極抵抗の上昇に因る発電効率低下或いは発電不能、更にはアノード層14の剥離といった現象を防止できる。
【0016】
かかるアノード層14としては、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体によって形成されているアノード層14を好適に採用できる。この焼成体は、導電性を有するセラミックであって、Li化合物をNiOにLi2O換算で1〜15mol%添加し、焼成処理して得られる焼成体である。
更に、図1に示す単一燃料電池用セル16のアノード層14中には、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されている。かかる金属又はその酸化物が配合されたアノード層14を具備する単一燃料電池用セル16から構成される燃料電池によれば、ロジウム等の金属又はその酸化物が配合されていないアノード層14を具備する単一燃料電池用セル16から構成される燃料電池よりも高い発電性能を呈することができる。
このロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物は、アノード層14中に金属換算で1〜50重量%となるように配合することが好ましい。
また、アノード層14を構成する副成分として、サマリアドープドセリア、スカンジア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニアのうちのいずれかが50体積%以下含まれるようにすることによって、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物と混合燃料ガスとの接触面積を拡大できる。
【0017】
図1に示す多層燃料電池用セル16を形成するカソード層12及びアノード層14は、多孔質層であって、その開気孔率を20%以上、好ましくは30〜70%、特に40〜50%とすることが好ましい。
かかる多孔質層のカソード層12及びアノード層14が形成された図1に示す多層燃料電池用セル16から成る燃料電池は、予め焼成して形成した固体電解質層10に、所定形状の各層用のグリーンシートを積層した後、又は各積層用のペーストを所定形状に塗布した後、再焼成することによって得ることができる。
また、予め焼成して形成した単一燃料電池用セル16,16・・を積層して一体化することによっても、多層燃料電池用セルを得ることができる。
【0018】
図1に示す燃料電池で用いる多層燃料電池用セル16のカソード層12とアノード層14とは、多孔質層であるため、供給配管20a,20a・・から供給された混合燃料ガスは通過可能である。
このため、図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セル16を、そのカソード層12及びアノード層14が供給配管20a,20a・・から供給した混合燃料ガスの流動方向と平行となるように、容器20内に収容している。
その際に、容器20内に供給した混合燃料ガスが多層燃料電池用セルのカソード層12及びアノード層14を経由して流れるように、多層燃料電池用セルの外周面の略全面を容器20の内周面に密着し、容器20内に供給した混合燃料ガスが、容器20の内壁面と多層燃料電池用セルの外周面との間等から流出することを防止している。
尚、必要に応じて容器20の内壁面と多層燃料電池用セルの外周面との間に、例えばアルミナセメントや高融点ガラス等の低気孔率材料を用いて封止を施してもよい。
【0019】
このように容器20内に収容した多層燃料電池用セルと供給配管20a,20a・・との間、及び多層燃料電池用セルと排出配管20b,20b・・との間に、空間部22,24が形成される。かかる空間部22,24が、空状態の場合は、燃料電池の駆動温度である約1000℃の高温下において、混合燃料ガスの発火を防止するには、混合燃料ガス中の酸素濃度を発火限界よりも低濃度(メタン等の燃料ガスを発火限界よりも高濃度)とすることが必要である。
多層燃料電池用セルに供給する混合燃料ガスとして、酸素濃度が低濃度の混合燃料ガスを用いる場合、混合燃料ガス中のメタン等の燃料ガスが炭化して電池性能が低下することがある。
一方、混合燃料ガス中の酸素濃度を、燃料ガスが炭化することのない濃度にすると、空間部22中の混合燃料ガスの組成が発火限界内に入り、爆発の危険性が著しく高くなる。
【0020】
この点、図1の燃料電池では、空間部22,24に充填物26を充填し、充填物26、26間の間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24内に酸素濃度(燃料ガス濃度)が発火限界内の混合燃料ガスが存在していても発火し得ない距離としている。
具体的には、充填物26、26間の間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24内に存在する発火限界内の混合燃料ガスの消炎距離よりも狭くなるように、充填物を充填している。
【0021】
このため、容器20に供給する混合燃料ガス中の酸素濃度を、メタン等の燃料ガスが発火する発火限界内まで高めても、空間部22,24での発火を回避できる。
ここで言う「混合燃料ガスの消炎距離」とは、「化学便覧(応用化学編II)」(社団法人日本化学会編、昭和63年11月15日第2刷発行)の第407頁に規定されており、混合燃料ガスの発火が起こり得る最小電極間距離のことである。この距離よりも狭い電極間距離では、エネルギーをいくら大きくして発火が起こらない。
かかる消炎距離は、混合燃料ガス中の酸素濃度や圧力等に応じて変化するため、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24の混合燃料ガスの消炎距離を実験的に求めておくことが好ましい。
【0022】
また、空間部22,24に充填に充填した充填物の充填物間隙は、一様ではなく分布を有している。このため、充填物26、26間の間隙が、平均では、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24の混合燃料ガスの消炎距離よりも狭いものの、最大間隙が広くなる場合がある。この場合、混合燃料ガスが発火したとき、爆轟に繋がるおそれがあるため、充填物26間の最大間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24内に存在する混合燃料ガスの爆轟を防止し得る消炎直径以下とすることによって、例え混合燃料ガスに着火しても爆轟を防止できる。
尚、「消炎直径」とは、筒から吹出す混合気体に着火しても、筒内に燃焼波が浸入できない限界の直径をいい、メタンと酸素との混合気体の消炎直径は、0.1〜3mmである。
【0023】
図1に示す燃料電池の空間部22,24に充填する充填物26としては、燃料電池の駆動条件で安定している金属又はセラミックから成る粉粒体、多孔体又は細管を用いることができる。
かかる粉粒体、多孔体又は細管としては、Ti,Cr,Te、Co、Ni,Cu,Al,Mo,Rh,Pd,Ag,W,Pt,Auから成る群から選ばれた一種又は二種以上を含む合金によって形成された粉粒体、多孔体又は細管、或いはMg,Al,Si,Zrから成る群から選ばれた一種又は二種以上含むセラミックによって形成された粉粒体、多孔体又は細管を好適に用いることができる。
【0024】
また、粉粒体としては、粒径が50〜1000μmの粉粒体が好ましく、多孔体としては、開気孔率が50%以上の多孔体が好ましい。細管としては、内径100〜200μmの細管が好適に使用でき、長い細管を空間部22,24に混合燃料ガスの流動方向に並べて充填してもよく、短管状の細管を空間部22,24にランダムに充填してもよい。
尚、混合燃料ガスを燃料電池に供給する供給配管20a,20a・・での発火を防止すべく、供給配管20a内に充填物を充填してもよい。
【0025】
図1に示す燃料電池には、混合燃料ガスを複数の供給配管20a,20a・・から供給する。この様に、混合燃料ガスを分散して供給することによって、供給配管20a内での混合燃料ガスの発火を極力防止している。
容器20の空間部22に供給された混合燃料ガスは、充填された充填物26間の間隙を通過して多層燃料電池用セルに到達し、多孔質層のカソード層12及びアノード層14を空間部24の方向に流動する。この際に、混合燃料ガスは、カソード層12及びアノード層14を形成する微細孔内に拡散し、固体電解質層10の表面に到達する。
【0026】
固体電解質層10の表面に到達した混合燃料ガスのうち、メタン等の可燃性ガスと固体電解質層10を通過した酸素イオンとが電気化学的に反応し、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)を生成すると共に、酸素イオンが電子を放出する。この電気化学的反応によって生成した水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)は、空間部24から排出配管20b,20b・・から排出される。
【0027】
混合燃料ガスは、多層燃料電池用セルのカソード層12及びアノード層14を流れるに従って酸素量が減少し、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)が増加するが、多層燃料電池用セルの発電有効面積や効率によっては、爆発性混合物が排出側にも存在する。
このため、排出ガスが充填される空間部24も、空間部22と同様に、充填物26を充填して防爆構造にしておくことを必要とする。
尚、図1の燃料電池に供給する混合燃料ガスとしては、メタンの他に、水素ガス、エタン,プロパン、ブタン等の可燃性ガスと空気とを混合した混合燃料ガスを好適に用いることができる。
【0028】
かかる発火限界内の混合燃料ガスを供給することによって、アノード層(燃料極)14は酸化性雰囲気中におかれる。
この様に、酸化性雰囲気中におかれても、アノード層14を、Liを固溶させたNiOを主成分とする焼成体によって形成することによって、長時間使用してもアノード層14の電気電導性が維持され、電池性能が維持される。
しかも、アノード層14中に、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されているため、高い発電能力を呈する。
【0029】
図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セルを構成する固体電解質層10が緻密構造であるため、多層燃料電池用セルを、その単一燃料電池用セル16を形成するカソード層12及びアノード層14を供給配管20a,20a・・から供給した混合燃料ガスの流動方向と平行となるように容器20内に収容し、多孔質層であるカソード層12及びアノード層14を混合燃料ガスの流路としている。かかる図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セルの外周面と容器20の内周面との封止が困難となり易い傾向にある。
【0030】
この点、図2に示す燃料電池のように、複数の単一燃料電池用セル40,40・・が積層された多層燃料電池用セルを、単一燃料電池用セル40を形成するカソード層12及びアノード層14を供給配管20a,20a・・から供給した混合燃料ガスの流動方向と直角となるように容器20内に収容することによって、多層燃料電池用セルの外周面と容器20の内周面との封止を容易とすることができる。
但し、混合燃料ガスが多層燃料電池用セルを通過することを要するため、図2に示す多層燃料電池用セルを構成する単一燃料電池用セル40は、カソード層12、アノード層14及び固体電解質層30が多孔質層によって形成されている。
【0031】
図2に示す多層燃料電池用セルは、所定形状に形成した各層のグリーンシートを積層した積層体を同時焼成することによって得ることができる。このため、図2に示す多層燃料電池用セルは、予め焼成して形成した固体電解質層10に、所定形状の各層用のグリーンシートを積層した後、又は各層用のペーストを所定形状に塗布した後、再焼成することによって得る図1に示す多層燃料電池用セルに比較して、製造コスト等を安価とすることができる。
ここで、図2に示す燃料電池を形成する部材のうち、図1に示す燃料電池と同一部材については図1と同一番号を付して詳細な説明を省略する。
かかる図2に示す燃料電池の供給配管20a,20a・・から供給した混合燃料ガスは、多孔質層のカソード層12、アノード層14及び固体電解質層30内を流れつつ、電気化学反応を惹起し、排出配管20b,20b・・から排出される。
【0032】
図1及び図2に示す燃料電池は、燃料電池全体を所定温度雰囲気下に置いて発電を行っているが、図3に示す様に、多層燃料電池用セルが収容された部分を加熱する加熱手段としての加熱ヒータ50を設け、多層燃料電池用セル近傍で且つ充填物26が充填された空間部22,24には、冷却手段としての冷却管52を設けてもよい。この様に、空間部22,24の混合燃料ガスを冷却することによって、空間部22,24における混合燃料ガスの消炎直径を大きくできる。
このように、空間部22,24を強制冷却する場合には、空間部22,24に充填する充填物26を、伝熱性が良好な金属とすることが好ましい。
尚、図3に示す燃料電池を形成する部材について、図1及び図2に示す燃料電池と同一部材は同一番号を付して詳細な説明を省略した。
【0033】
これまでの説明では、アノード層14は、Liを固溶させたNiOを主成分とする焼成体によって形成されている。かかる焼成体は、それ自身でも発電性能を有する。
かかる焼成体に代えて、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性を呈するものの、発電性能を有しない金属、例えば銀によってアノード層14を形成しても、アノード層14中にロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されている燃料電池では、高い発電性能を呈する。アノード層14中に配合されたロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物の触媒活性によって、燃料ガスと酸素との間の酸化還元反応が生起されて起電力が生じるものと推察される。
【0034】
また、アノード層14を、主として導電性を有しないサマリアドープドセリア(SDC)によって形成しても、アノード層14中に配合されたロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物を配合した燃料電池では、発電性能を呈する。
例えば、サマリアドープドセリア(SDC)から成る固体電解質層の両面側に、SDCとPtとから成るアノード層と、SDCが40重量%添加されて形成されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層とから成る単一セルに、ブタンと空気との混合比が燃焼範囲内(ブタン:1.8〜8.4vol%)にある混合燃料ガスを供給したところ、単一セルの外周近傍の温度が500℃において520mVの開回路電圧を測定した。
【0035】
【実施例】
実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
(1)実験装置
本実施例に用いた実験装置を図4に示す。図4に示す実験装置では、アルミナ製のセラミック管60内に、アルミナ製で且つ分割可能なセラミック多孔体62a,62bが挿入されている。このセラミック多孔体62aのセラミック多孔体62bとの分割面に凹部64が形成されている。この凹部64は、固体電解質層70cの両面側にアノード層70a及びカソード層70bが形成された単一セル70が挿入される。
かかる凹部64に挿入された単一セル70のアノード層70a及びカソード層70bの各々に埋めこまれた白金メッシュに一端部が溶接された白金リード72,72は、セラミック多孔体62a,62bを貫通して他端部が引き出されている。
図4に示す様に、単一セル70が凹部64に挿入されたセラミック多孔体62a,62bが挿入されたセラミック管60を小型電気炉に入れて所定温度に加熱すると共に、セラミック管60の一方側から燃料ガスとしてのブタンと空気との混合燃料ガスを流し、白金リード72,72を用いて単一セル70の発生電流量を測定した。
(2)単一セル70の製造
サマリアドープドセリア(SDC)から成る固体電解質基板の両面側の各々に、約1cm2に亘って所定のペースト状のカソード材とアノード材とを印刷した。
このカソード材は、SDCを40重量%添加して得たLa0.8Sr0.2MnO3から成るペーストであり、アノード材は、Rh2O3を添加して得たLi2O−NiOから成るペーストである。
かかるアノード材は、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、5重量%のRh2O3粉末とバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものである。
次いで、固体電解質基板の両面側の各々に印刷されたペースト状のカソード材とアノード材とに、白金リード72,72の一端部が溶接された白金メッシュを埋め込んだ後、大気中で1200℃で焼成を行って単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、Rh2O3が5重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成される。
(3)発電性能
▲1▼得られた単一セル70を図4に示す様にセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。発生電流量の値は、白金リード72,72とを接触させたときに流れる短絡電流量である。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が327℃において8.5mAであり、475℃において80.1mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が410℃において590mVであり、555℃において855mVであった。
▲2▼混合燃料ガス中のブタンの濃度を8〜15vol%に変更し、電流密度に対する出力密度について測定し、その結果を図5に示す。図5から明らかな様に、ブタンの濃度が10vol%のとき、最大の出力密度を示す。
【0036】
実施例2
実施例1において、アノード材として、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、50重量%のPtとバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、Ptが50重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が330℃において7.0mAであり、422℃において94.4mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が372℃において630mVであった。
【0037】
実施例3
実施例1において、アノード材として、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、1重量%のRuO2とバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、RuO2が1重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が330℃において1.9mAであり、464℃において36.1mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が300℃において502mVであった。
【0038】
実施例4
実施例1において、アノード材として、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、5重量%のPdOとバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、PdOが5重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が320℃において0.6mAであり、331℃において32.4mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が336℃において297mVであった。
【0039】
実施例5
実施例1において、アノード材として、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、5重量%のReとバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、Reが5重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が304℃において1.7mAであり、395℃において19.6mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が429℃において312mVであった。
【0040】
比較例1
実施例1において、アノード材として、PdOが無添加のアノード材を用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、Li2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が500℃において33mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が500℃において386mVであった。
【0041】
実施例6
実施例1において、アノード材として、Agペーストに10重量%のIrO2を添加したペーストを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、10重量%のIrO2と Agとから成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において42mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において503mVであった。
【0042】
実施例7
実施例1において、アノード材として、Agペーストに5重量%のPdOを添加したペーストを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、5重量%のPdOと Agとから成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において12mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において330mVであった。
【0043】
実施例8
実施例1において、アノード材として、Agペーストに5重量%のReを添加したペーストを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、5重量%のReと Agとから成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において8mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において391mVであった。
【0044】
比較例2
実施例1において、アノード層70aとして、PdOが5重量%及びSDCが30重量%含有されたNiサーメットから成るアノード層を形成した他は、実施例1と同様な単一セル70を得た。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量を測定せんと試みた。
しかし、セラミック管60の外周近傍の温度が単一セル70の駆動温度に到達するまでに、アノード層70aの導電性が低下して発電不能となり、以後の実験を中止した。
【0045】
比較例3
実施例1において、アノード材として、他の金属が無添加のAgペーストのみを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、 Agのみから成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が414℃において開回路電圧は−72mVであり、正常な発電を行うことができなかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料極(アノード層)側の酸素分圧が高くなり、電極金属が酸化される条件下においても、電導性が維持され、燃料極機能が維持されると共に、発電能力の高い燃料電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池の一例を説明する縦断面図である。
【図2】本発明に係る燃料電池の他の例を説明する縦断面図である。
【図3】本発明に係る燃料電池の他の例を説明する縦断面図である。
【図4】実施例に用いた実施装置の概略を説明する部分断面図である。
【図5】得られた単一セルに供する混合燃料ガス中のブタンの濃度を8〜15vol%に変更し、電流密度に対する出力密度について測定した結果を示すグラフである。
【図6】従来の燃料電池を説明する概略図である。
【図7】改良された燃料電池を説明する概略図である。
【符号の説明】
10,30 固体電解質層
12 カソード層
14 アノード層
16,40 単一燃料電池用セル
20 容器
20a 供給配管
20b 排出配管
22,24 空間部
26 充填物
50 加熱ヒータ
52 冷却管
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池に関し、更に詳細にはメタン等の燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスや排ガスの給排口が形成された容器内に燃料電池用セルが収容された燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、火力発電等の発電効率に比較して、高効率の発電効率が期待できるため、現在、多くの研究がなされている。
かかる燃料電池には、図6に示す様に、イットリア(Y2O3)が添加された安定化ジルコニアから成る焼成体を酸素イオン伝導型の固体電解質層100として用い、この固体電解質層100の一面側にカソード層102が形成されていると共に、固体電解質層100の他面側にアノード層104が形成された燃料電池用セル106が配設されている。
この燃料電池用セル106のカソード層102側には、酸素又は酸素含有気体が供給される。他方のアノード層104側には、メタン等の燃料ガスが供給される。この燃料電池は、セル106によって、燃料ガス供給側チャンバーと酸素または酸素含有ガス供給側チャンバーとが分離されたセパレートチャンバー型をなす。
【0003】
かかる図6に示す燃料電池用セル106のカソード層102側に供給された酸素(O2)は、カソード層102と固体電解質層100との境界で酸素イオン(O2−)にイオン化され、この酸素イオン(O2−)は、固体電解質層100によってアノード層104に伝導される。アノード層104に伝導された酸素イオン(O2−)は、アノード層104に供給されたメタン(CH4 )ガスと反応し、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)が生成される。かかる反応の際に、酸素イオンが電子を放出するため、カソード層102とアノード層104との間に電位差が生じる。このため、カソ−ド層102とアノード層104を取出線108によって電気的に接続することにより、アノード層104の電子はカソード層102の方向(矢印の方向)に取出線108を流れ、燃料電池から電気を取り出すことができる。
尚、かかる図6に示す燃料電池の駆動温度は、約1000℃である。
【0004】
しかし、図6に示す燃料電池用セル106は、約1000℃もの高温下で、カソード層102側は酸化性雰囲気に晒されていると共に、アノード層104側は還元性雰囲気に晒されているため、燃料電池用セル106の耐久性を向上することは困難であった。
一方、図7に示す様に、固体電解質層100の両面側にカソード層102とアノード層104とが形成された燃料電池用セル106を、メタンガスと酸素とが混合された混合燃料ガス内に載置しても、燃料電池用セル106に起電力が発生する(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0005】
【非特許文献1】
SCIENCE,Vol.288(2000),p2031−2033
【非特許文献2】
Journal of The Electrochemical Society,149(2)A133−A136(2002)
【0006】
図7に示す燃料電池のように、燃料電池用セル106を混合燃料ガス内に載置することによって、燃料電池用セル106の全体を実質的に同一雰囲気とすることができ、両面の各々を異なる雰囲気に晒す図6に示す燃料電池用セル106に比較して、その耐久性の向上を図ることができる。この燃料電池は、燃料ガスと、酸素又は酸素含有ガスとの混合燃料ガスが供給されるシングルチャンバー型である。
しかしながら、図7に示す燃料電池には、約1000℃もの高温下でメタンガスと酸素とが混合された混合燃料ガスを供給するため、混合燃料ガスは、爆発の危険性を回避すべく、酸素濃度が発火限界よりも低濃度となるように(メタン濃度が発火限界を超える高濃度に)調整されて供給される。
このため、メタン等の燃料が完全燃焼するには著しく酸素量が不足し、メタン等の燃料の炭化が進行して電池性能が低下することがある。
【0007】
このため、本発明者等は、先に特願2001−281730号明細書において、メタン等の燃料と酸素との混合燃料ガスを用い、混合燃料ガスの爆発を防止しつつ、燃料の炭化の進行を防止し得る程度に酸素濃度を向上した混合燃料ガスを使用し得る燃料電池を提案した。
この燃料電池は、メタン等の燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスや排ガスの給排口が形成された容器内に燃料電池用セルが収容された燃料電池において、この容器内の燃料電池用セルを除く部分であって、混合燃料ガスや排ガスが流動する容器内の空間部に充填物を充填し、充填物間の間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部内に発火限界内の混合燃料ガスが存在しても発火し得ない間隙としているものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
先に本発明者等が提案した燃料電池では、発火限界内の混合燃料ガスを用いることができ、燃料ガスの完全燃焼化が促進され、電池性能を向上できる。
しかしながら、混合燃料ガス中の酸素濃度が高くなったことに因り、アノード層(燃料極)に用いられているニッケルやニッケルサーメットが酸化され易くなる。
アノード層を形成するニッケルが酸化すると、アノード層の電極抵抗が上昇して発電効率の低下或いは発電不能となり、更にはアノード層に剥離が生じ易くなることが判明した。
そこで、本発明の課題は、原料ガスとして用いるメタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガス中の酸素分圧が高くなっても、アノード層の電導性が維持され、燃料極機能が維持される燃料電池を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体中に白金等の酸化触媒が配合されて成るアノード層が形成された燃料電池によれば、原料ガスとしての混合燃料ガス中の酸素分圧を高くしても、アノード層の燃料電池機能が維持されると共に、高い発電能力も呈することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、酸素イオン伝導型の固体電解質層の一面側にカソード層が形成され、他面側にアノード層が形成されたセルに、メタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガスが、前記カソード層とアノード層とが晒されるように供給され、前記セルを介して前記燃料ガスと酸素との間の酸化還元反応が生起されて起電力が生じる燃料電池において、該アノード層が、前記燃料電池の駆動温度において、前記混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成され、且つ前記アノード層にロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されていることを特徴とする燃料電池にある。
また、本発明は、メタン等の燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスや排ガスの給排口が形成された容器内に燃料電池用セルが収容された燃料電池において、該容器内の燃料電池用セルを除く部分であって、混合燃料ガスや排ガスが流動する空間部に充填物が充填され、前記充填物間の間隙が、電池を駆動した際に、前記空間部内に発火限界内の混合燃料ガスが存在しても発火し得ない間隙を成し、前記アノード層が、前記燃料電池の駆動温度において、前記混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成され、且つ前記アノード層にロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されていることを特徴とする燃料電池でもある。
【0010】
かかる本発明において、アノード層を、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体によって形成することが好ましい。この焼成体としては、Li化合物をニッケル酸化物に添加し焼成処理して得た成分を主成分とする焼成体を好適に用いることができる。特に、アノード層としては、Li化合物をNiOにLi2O換算で1〜15mol%添加し、焼成処理して形成した焼成体を主成分とするアノード層が好ましい。
【0011】
また、アノード層を形成する混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属としては、銀を好適に用いることができる。
更に、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物のアノード層中の含有量は、金属換算で1〜50重量%とすることが好ましい。
かかるロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物を配合したアノード層には、サマリアドープドセリア、スカンジア安定化ジルコニア又はイットリア安定化ジルコニアを50体積%以下含有させることによって、ロジウム等の金属と混合燃料ガスとの接触面積を拡大できる。
【0012】
本発明において、アノード層は、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成されている。このため、アノード層を形成する金属が混合燃料ガスによって酸化されることに起因する、アノード層の導電性の低下等を防止できる。
しかも、アノード層中には、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が含有されているため、高い発電能力を呈することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る燃料電池の一例を示す断面図である。図1に示す燃料電池では、複数の単一燃料電池用セル16,16・・を積層した多層燃料電池用セルが用いられている。この単一燃料電池用セル16を、メタン等の燃料ガスと酸素とを含む混合燃料ガス(以下、混合燃料ガスと称することがある)が供給される複数の供給配管20a,20a・・と、排ガスが排出される複数の排出配管20b,20bとが形成された、横断面形状が矩形又は円形の容器20内に、単一燃料電池用セル16の積層面が筒(容器)の径方向と直交する方向に配置するように収容している。
【0014】
この容器20は、燃料電池の駆動温度で充分に耐熱性を呈するように、1200℃程度まで耐熱性を有するセラミック等の耐熱材料によって形成され、多層燃料電池用セルを構成する単一燃料電池用セル16,16・・の各々は、緻密構造の固体電解質層10の一面側に形成された多孔質層のカソード層12と、この固体電解質層10の他面側に形成された多孔質層のアノード層14とから形成されている。
かかる単一燃料電池用セル16のアノード層14と、他の単一燃料電池用セル16のカソード層12とは、直接接合されて多層燃料電池用セルを形成する。この多層燃料電池用セルで発電された電力は、多層燃料電池用セルの最外層の一方に位置する単一燃料電池用セル16のカソード層12と、他方の最外層に位置する単一燃料電池用セル16のアノード層14とから引き出された引出線(図示せず)によって取出される。
【0015】
図1に示す単一燃料電池用セル16を形成する固体電解質層10は、酸素イオン誘導体であって、イットリウム(Y)やスカンジウム(Sc)等の周期律表第3族元素により部分安定化されたジルコニア酸化物、或いはサマリウム(Sm)やガドリウム(Gd)等がドープされたセリウム酸化物によって形成される。
更に、カソード層12は、ストロンチウム(Sr)等の周期律表第3族元素が添加されたランタンのマンガン、ガリウム又はコバルト酸化化合物から形成される。
アノード層14は、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成されている。アノード層14が、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して酸化性の金属、例えばニッケルやニッケルサーメットによって主として形成されている場合、燃料電池の作動中にニッケルが酸化されてアノード層14の電極抵抗が上昇して発電効率の低下或いは発電不能となり、更にはアノード層14に剥離が生じ易くなる。
この点、図1に示す単一燃料電池用セル16では、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによってアノード層14が主として形成されている。このため、燃料電池の作動中に、アノード層14を主として形成する金属が酸化されることに起因して発生する、アノード層14の電極抵抗の上昇に因る発電効率低下或いは発電不能、更にはアノード層14の剥離といった現象を防止できる。
【0016】
かかるアノード層14としては、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体によって形成されているアノード層14を好適に採用できる。この焼成体は、導電性を有するセラミックであって、Li化合物をNiOにLi2O換算で1〜15mol%添加し、焼成処理して得られる焼成体である。
更に、図1に示す単一燃料電池用セル16のアノード層14中には、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されている。かかる金属又はその酸化物が配合されたアノード層14を具備する単一燃料電池用セル16から構成される燃料電池によれば、ロジウム等の金属又はその酸化物が配合されていないアノード層14を具備する単一燃料電池用セル16から構成される燃料電池よりも高い発電性能を呈することができる。
このロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物は、アノード層14中に金属換算で1〜50重量%となるように配合することが好ましい。
また、アノード層14を構成する副成分として、サマリアドープドセリア、スカンジア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニアのうちのいずれかが50体積%以下含まれるようにすることによって、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物と混合燃料ガスとの接触面積を拡大できる。
【0017】
図1に示す多層燃料電池用セル16を形成するカソード層12及びアノード層14は、多孔質層であって、その開気孔率を20%以上、好ましくは30〜70%、特に40〜50%とすることが好ましい。
かかる多孔質層のカソード層12及びアノード層14が形成された図1に示す多層燃料電池用セル16から成る燃料電池は、予め焼成して形成した固体電解質層10に、所定形状の各層用のグリーンシートを積層した後、又は各積層用のペーストを所定形状に塗布した後、再焼成することによって得ることができる。
また、予め焼成して形成した単一燃料電池用セル16,16・・を積層して一体化することによっても、多層燃料電池用セルを得ることができる。
【0018】
図1に示す燃料電池で用いる多層燃料電池用セル16のカソード層12とアノード層14とは、多孔質層であるため、供給配管20a,20a・・から供給された混合燃料ガスは通過可能である。
このため、図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セル16を、そのカソード層12及びアノード層14が供給配管20a,20a・・から供給した混合燃料ガスの流動方向と平行となるように、容器20内に収容している。
その際に、容器20内に供給した混合燃料ガスが多層燃料電池用セルのカソード層12及びアノード層14を経由して流れるように、多層燃料電池用セルの外周面の略全面を容器20の内周面に密着し、容器20内に供給した混合燃料ガスが、容器20の内壁面と多層燃料電池用セルの外周面との間等から流出することを防止している。
尚、必要に応じて容器20の内壁面と多層燃料電池用セルの外周面との間に、例えばアルミナセメントや高融点ガラス等の低気孔率材料を用いて封止を施してもよい。
【0019】
このように容器20内に収容した多層燃料電池用セルと供給配管20a,20a・・との間、及び多層燃料電池用セルと排出配管20b,20b・・との間に、空間部22,24が形成される。かかる空間部22,24が、空状態の場合は、燃料電池の駆動温度である約1000℃の高温下において、混合燃料ガスの発火を防止するには、混合燃料ガス中の酸素濃度を発火限界よりも低濃度(メタン等の燃料ガスを発火限界よりも高濃度)とすることが必要である。
多層燃料電池用セルに供給する混合燃料ガスとして、酸素濃度が低濃度の混合燃料ガスを用いる場合、混合燃料ガス中のメタン等の燃料ガスが炭化して電池性能が低下することがある。
一方、混合燃料ガス中の酸素濃度を、燃料ガスが炭化することのない濃度にすると、空間部22中の混合燃料ガスの組成が発火限界内に入り、爆発の危険性が著しく高くなる。
【0020】
この点、図1の燃料電池では、空間部22,24に充填物26を充填し、充填物26、26間の間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24内に酸素濃度(燃料ガス濃度)が発火限界内の混合燃料ガスが存在していても発火し得ない距離としている。
具体的には、充填物26、26間の間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24内に存在する発火限界内の混合燃料ガスの消炎距離よりも狭くなるように、充填物を充填している。
【0021】
このため、容器20に供給する混合燃料ガス中の酸素濃度を、メタン等の燃料ガスが発火する発火限界内まで高めても、空間部22,24での発火を回避できる。
ここで言う「混合燃料ガスの消炎距離」とは、「化学便覧(応用化学編II)」(社団法人日本化学会編、昭和63年11月15日第2刷発行)の第407頁に規定されており、混合燃料ガスの発火が起こり得る最小電極間距離のことである。この距離よりも狭い電極間距離では、エネルギーをいくら大きくして発火が起こらない。
かかる消炎距離は、混合燃料ガス中の酸素濃度や圧力等に応じて変化するため、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24の混合燃料ガスの消炎距離を実験的に求めておくことが好ましい。
【0022】
また、空間部22,24に充填に充填した充填物の充填物間隙は、一様ではなく分布を有している。このため、充填物26、26間の間隙が、平均では、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24の混合燃料ガスの消炎距離よりも狭いものの、最大間隙が広くなる場合がある。この場合、混合燃料ガスが発火したとき、爆轟に繋がるおそれがあるため、充填物26間の最大間隙を、燃料電池を駆動した際に、空間部22,24内に存在する混合燃料ガスの爆轟を防止し得る消炎直径以下とすることによって、例え混合燃料ガスに着火しても爆轟を防止できる。
尚、「消炎直径」とは、筒から吹出す混合気体に着火しても、筒内に燃焼波が浸入できない限界の直径をいい、メタンと酸素との混合気体の消炎直径は、0.1〜3mmである。
【0023】
図1に示す燃料電池の空間部22,24に充填する充填物26としては、燃料電池の駆動条件で安定している金属又はセラミックから成る粉粒体、多孔体又は細管を用いることができる。
かかる粉粒体、多孔体又は細管としては、Ti,Cr,Te、Co、Ni,Cu,Al,Mo,Rh,Pd,Ag,W,Pt,Auから成る群から選ばれた一種又は二種以上を含む合金によって形成された粉粒体、多孔体又は細管、或いはMg,Al,Si,Zrから成る群から選ばれた一種又は二種以上含むセラミックによって形成された粉粒体、多孔体又は細管を好適に用いることができる。
【0024】
また、粉粒体としては、粒径が50〜1000μmの粉粒体が好ましく、多孔体としては、開気孔率が50%以上の多孔体が好ましい。細管としては、内径100〜200μmの細管が好適に使用でき、長い細管を空間部22,24に混合燃料ガスの流動方向に並べて充填してもよく、短管状の細管を空間部22,24にランダムに充填してもよい。
尚、混合燃料ガスを燃料電池に供給する供給配管20a,20a・・での発火を防止すべく、供給配管20a内に充填物を充填してもよい。
【0025】
図1に示す燃料電池には、混合燃料ガスを複数の供給配管20a,20a・・から供給する。この様に、混合燃料ガスを分散して供給することによって、供給配管20a内での混合燃料ガスの発火を極力防止している。
容器20の空間部22に供給された混合燃料ガスは、充填された充填物26間の間隙を通過して多層燃料電池用セルに到達し、多孔質層のカソード層12及びアノード層14を空間部24の方向に流動する。この際に、混合燃料ガスは、カソード層12及びアノード層14を形成する微細孔内に拡散し、固体電解質層10の表面に到達する。
【0026】
固体電解質層10の表面に到達した混合燃料ガスのうち、メタン等の可燃性ガスと固体電解質層10を通過した酸素イオンとが電気化学的に反応し、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)を生成すると共に、酸素イオンが電子を放出する。この電気化学的反応によって生成した水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)は、空間部24から排出配管20b,20b・・から排出される。
【0027】
混合燃料ガスは、多層燃料電池用セルのカソード層12及びアノード層14を流れるに従って酸素量が減少し、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)が増加するが、多層燃料電池用セルの発電有効面積や効率によっては、爆発性混合物が排出側にも存在する。
このため、排出ガスが充填される空間部24も、空間部22と同様に、充填物26を充填して防爆構造にしておくことを必要とする。
尚、図1の燃料電池に供給する混合燃料ガスとしては、メタンの他に、水素ガス、エタン,プロパン、ブタン等の可燃性ガスと空気とを混合した混合燃料ガスを好適に用いることができる。
【0028】
かかる発火限界内の混合燃料ガスを供給することによって、アノード層(燃料極)14は酸化性雰囲気中におかれる。
この様に、酸化性雰囲気中におかれても、アノード層14を、Liを固溶させたNiOを主成分とする焼成体によって形成することによって、長時間使用してもアノード層14の電気電導性が維持され、電池性能が維持される。
しかも、アノード層14中に、ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されているため、高い発電能力を呈する。
【0029】
図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セルを構成する固体電解質層10が緻密構造であるため、多層燃料電池用セルを、その単一燃料電池用セル16を形成するカソード層12及びアノード層14を供給配管20a,20a・・から供給した混合燃料ガスの流動方向と平行となるように容器20内に収容し、多孔質層であるカソード層12及びアノード層14を混合燃料ガスの流路としている。かかる図1に示す燃料電池では、多層燃料電池用セルの外周面と容器20の内周面との封止が困難となり易い傾向にある。
【0030】
この点、図2に示す燃料電池のように、複数の単一燃料電池用セル40,40・・が積層された多層燃料電池用セルを、単一燃料電池用セル40を形成するカソード層12及びアノード層14を供給配管20a,20a・・から供給した混合燃料ガスの流動方向と直角となるように容器20内に収容することによって、多層燃料電池用セルの外周面と容器20の内周面との封止を容易とすることができる。
但し、混合燃料ガスが多層燃料電池用セルを通過することを要するため、図2に示す多層燃料電池用セルを構成する単一燃料電池用セル40は、カソード層12、アノード層14及び固体電解質層30が多孔質層によって形成されている。
【0031】
図2に示す多層燃料電池用セルは、所定形状に形成した各層のグリーンシートを積層した積層体を同時焼成することによって得ることができる。このため、図2に示す多層燃料電池用セルは、予め焼成して形成した固体電解質層10に、所定形状の各層用のグリーンシートを積層した後、又は各層用のペーストを所定形状に塗布した後、再焼成することによって得る図1に示す多層燃料電池用セルに比較して、製造コスト等を安価とすることができる。
ここで、図2に示す燃料電池を形成する部材のうち、図1に示す燃料電池と同一部材については図1と同一番号を付して詳細な説明を省略する。
かかる図2に示す燃料電池の供給配管20a,20a・・から供給した混合燃料ガスは、多孔質層のカソード層12、アノード層14及び固体電解質層30内を流れつつ、電気化学反応を惹起し、排出配管20b,20b・・から排出される。
【0032】
図1及び図2に示す燃料電池は、燃料電池全体を所定温度雰囲気下に置いて発電を行っているが、図3に示す様に、多層燃料電池用セルが収容された部分を加熱する加熱手段としての加熱ヒータ50を設け、多層燃料電池用セル近傍で且つ充填物26が充填された空間部22,24には、冷却手段としての冷却管52を設けてもよい。この様に、空間部22,24の混合燃料ガスを冷却することによって、空間部22,24における混合燃料ガスの消炎直径を大きくできる。
このように、空間部22,24を強制冷却する場合には、空間部22,24に充填する充填物26を、伝熱性が良好な金属とすることが好ましい。
尚、図3に示す燃料電池を形成する部材について、図1及び図2に示す燃料電池と同一部材は同一番号を付して詳細な説明を省略した。
【0033】
これまでの説明では、アノード層14は、Liを固溶させたNiOを主成分とする焼成体によって形成されている。かかる焼成体は、それ自身でも発電性能を有する。
かかる焼成体に代えて、燃料電池の駆動温度において、混合燃料ガスに対して耐酸化性を呈するものの、発電性能を有しない金属、例えば銀によってアノード層14を形成しても、アノード層14中にロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されている燃料電池では、高い発電性能を呈する。アノード層14中に配合されたロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物の触媒活性によって、燃料ガスと酸素との間の酸化還元反応が生起されて起電力が生じるものと推察される。
【0034】
また、アノード層14を、主として導電性を有しないサマリアドープドセリア(SDC)によって形成しても、アノード層14中に配合されたロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物を配合した燃料電池では、発電性能を呈する。
例えば、サマリアドープドセリア(SDC)から成る固体電解質層の両面側に、SDCとPtとから成るアノード層と、SDCが40重量%添加されて形成されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層とから成る単一セルに、ブタンと空気との混合比が燃焼範囲内(ブタン:1.8〜8.4vol%)にある混合燃料ガスを供給したところ、単一セルの外周近傍の温度が500℃において520mVの開回路電圧を測定した。
【0035】
【実施例】
実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
(1)実験装置
本実施例に用いた実験装置を図4に示す。図4に示す実験装置では、アルミナ製のセラミック管60内に、アルミナ製で且つ分割可能なセラミック多孔体62a,62bが挿入されている。このセラミック多孔体62aのセラミック多孔体62bとの分割面に凹部64が形成されている。この凹部64は、固体電解質層70cの両面側にアノード層70a及びカソード層70bが形成された単一セル70が挿入される。
かかる凹部64に挿入された単一セル70のアノード層70a及びカソード層70bの各々に埋めこまれた白金メッシュに一端部が溶接された白金リード72,72は、セラミック多孔体62a,62bを貫通して他端部が引き出されている。
図4に示す様に、単一セル70が凹部64に挿入されたセラミック多孔体62a,62bが挿入されたセラミック管60を小型電気炉に入れて所定温度に加熱すると共に、セラミック管60の一方側から燃料ガスとしてのブタンと空気との混合燃料ガスを流し、白金リード72,72を用いて単一セル70の発生電流量を測定した。
(2)単一セル70の製造
サマリアドープドセリア(SDC)から成る固体電解質基板の両面側の各々に、約1cm2に亘って所定のペースト状のカソード材とアノード材とを印刷した。
このカソード材は、SDCを40重量%添加して得たLa0.8Sr0.2MnO3から成るペーストであり、アノード材は、Rh2O3を添加して得たLi2O−NiOから成るペーストである。
かかるアノード材は、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、5重量%のRh2O3粉末とバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものである。
次いで、固体電解質基板の両面側の各々に印刷されたペースト状のカソード材とアノード材とに、白金リード72,72の一端部が溶接された白金メッシュを埋め込んだ後、大気中で1200℃で焼成を行って単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、Rh2O3が5重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成される。
(3)発電性能
▲1▼得られた単一セル70を図4に示す様にセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。発生電流量の値は、白金リード72,72とを接触させたときに流れる短絡電流量である。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が327℃において8.5mAであり、475℃において80.1mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が410℃において590mVであり、555℃において855mVであった。
▲2▼混合燃料ガス中のブタンの濃度を8〜15vol%に変更し、電流密度に対する出力密度について測定し、その結果を図5に示す。図5から明らかな様に、ブタンの濃度が10vol%のとき、最大の出力密度を示す。
【0036】
実施例2
実施例1において、アノード材として、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、50重量%のPtとバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、Ptが50重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が330℃において7.0mAであり、422℃において94.4mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が372℃において630mVであった。
【0037】
実施例3
実施例1において、アノード材として、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、1重量%のRuO2とバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、RuO2が1重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が330℃において1.9mAであり、464℃において36.1mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が300℃において502mVであった。
【0038】
実施例4
実施例1において、アノード材として、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、5重量%のPdOとバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、PdOが5重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が320℃において0.6mAであり、331℃において32.4mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が336℃において297mVであった。
【0039】
実施例5
実施例1において、アノード材として、NiO粉末にLi2CO3粉末を8mol%添加し、1200℃2時間大気中焼成を行い粉砕して得た粉末に、5重量%のReとバインダーとテレピネオールを添加してペースト状に調整したものを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、Reが5重量%含有されたLi2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が304℃において1.7mAであり、395℃において19.6mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が429℃において312mVであった。
【0040】
比較例1
実施例1において、アノード材として、PdOが無添加のアノード材を用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、Li2O−NiOから成る焼成体から成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が500℃において33mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が500℃において386mVであった。
【0041】
実施例6
実施例1において、アノード材として、Agペーストに10重量%のIrO2を添加したペーストを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、10重量%のIrO2と Agとから成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において42mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において503mVであった。
【0042】
実施例7
実施例1において、アノード材として、Agペーストに5重量%のPdOを添加したペーストを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、5重量%のPdOと Agとから成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において12mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において330mVであった。
【0043】
実施例8
実施例1において、アノード材として、Agペーストに5重量%のReを添加したペーストを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、5重量%のReと Agとから成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量及び開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において8mAであった。また、開回路電圧は、セラミック管60の外周近傍の温度が700℃において391mVであった。
【0044】
比較例2
実施例1において、アノード層70aとして、PdOが5重量%及びSDCが30重量%含有されたNiサーメットから成るアノード層を形成した他は、実施例1と同様な単一セル70を得た。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と発生電流量を測定せんと試みた。
しかし、セラミック管60の外周近傍の温度が単一セル70の駆動温度に到達するまでに、アノード層70aの導電性が低下して発電不能となり、以後の実験を中止した。
【0045】
比較例3
実施例1において、アノード材として、他の金属が無添加のAgペーストのみを用いた他は、実施例1と同様にして単一セル70を得た。
得られた単一セル70は、SDCから成る固体電解質層70cの両面側には、 Agのみから成るアノード層70aとSDCが40重量%添加されたLa0.8Sr0.2MnO3から成るカソード層70bとが形成されている。
かかる単一セル70を、実施例1と同様にしてセットし、セラミック管60の一方側から混合燃料ガス[ブタンと空気との混合比は燃焼範囲内(ブタン濃度;1.8〜8.4vol%)に調整]を導入し、セラミック管60の外周近傍の温度と開回路電圧とを測定した。
その結果、発生電流は、セラミック管60の外周近傍の温度が414℃において開回路電圧は−72mVであり、正常な発電を行うことができなかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料極(アノード層)側の酸素分圧が高くなり、電極金属が酸化される条件下においても、電導性が維持され、燃料極機能が維持されると共に、発電能力の高い燃料電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池の一例を説明する縦断面図である。
【図2】本発明に係る燃料電池の他の例を説明する縦断面図である。
【図3】本発明に係る燃料電池の他の例を説明する縦断面図である。
【図4】実施例に用いた実施装置の概略を説明する部分断面図である。
【図5】得られた単一セルに供する混合燃料ガス中のブタンの濃度を8〜15vol%に変更し、電流密度に対する出力密度について測定した結果を示すグラフである。
【図6】従来の燃料電池を説明する概略図である。
【図7】改良された燃料電池を説明する概略図である。
【符号の説明】
10,30 固体電解質層
12 カソード層
14 アノード層
16,40 単一燃料電池用セル
20 容器
20a 供給配管
20b 排出配管
22,24 空間部
26 充填物
50 加熱ヒータ
52 冷却管
Claims (8)
- 酸素イオン伝導型の固体電解質層の一面側にカソード層が形成され、他面側にアノード層が形成されたセルに、メタン等の燃料ガスと酸素との混合燃料ガスが、前記カソード層とアノード層とが晒されるように供給され、前記セルを介して前記燃料ガスと酸素との間の酸化還元反応が生起されて起電力が生じる燃料電池において、
該アノード層が、前記燃料電池の駆動温度において、前記混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成され、
且つ前記アノード層にロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されていることを特徴とする燃料電池。 - メタン等の燃料ガス及び酸素を含む混合燃料ガスや排ガスの給排口が形成された容器内に燃料電池用セルが収容された燃料電池において、
該容器内の燃料電池用セルを除く部分であって、混合燃料ガスや排ガスが流動する空間部に充填物が充填され、
前記充填物間の間隙が、電池を駆動した際に、前記空間部内に発火限界内の混合燃料ガスが存在しても発火し得ない間隙を成し、
前記アノード層が、前記燃料電池の駆動温度において、前記混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属又は導電性を有するセラミックによって主として形成され、
且つ前記アノード層にロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が配合されていることを特徴とする燃料電池。 - アノード層が、Liが固溶されたNiOを主成分とする焼成体によって形成されている請求項1又は請求項2記載の燃料電池。
- 焼成体が、Li化合物をニッケル酸化物に添加し焼成処理して得た成分を主成分とする焼成体である請求項3記載の燃料電池。
- アノード層が、Li化合物をNiOにLi2O換算で1〜15mol%添加し、焼成処理して形成した焼成体を主成分とする請求項3又は請求項4記載の燃料電池。
- 混合燃料ガスに対して耐酸化性の金属が、銀である請求項1記載の燃料電池。
- ロジウム、白金、ルテニウム、パラジウム、レニウム又はイリジウムから成る金属又はその酸化物が、アノード層中に金属換算で1〜50重量%含有されている請求項1〜6記載の燃料電池。
- アノード層には、サマリアドープドセリア、スカンジア安定化ジルコニア又はイットリア安定化ジルコニアが50体積%以下含まれる請求項1〜7のいずれか一項記載の燃料電池。
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