JP2019029184A - リチウム二次電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高容量であり、かつ寿命特性に優れたリチウム二次電池を提供することを目的とする。【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明に係るリチウム二次電池は、正極と、負極と、正極側集電部材と、負極側集電部材と、非水電解液と、を備え、非水電解液は、(BO)3(OR)3又は(BO)3R3(Rは炭素数1〜6の有機基である。)で表される環状ホウ酸エステル又はその誘導体を含み、負極側集電部材は、銅箔と、銅箔の表面に形成された皮膜と、を備え、被膜は、N−Cu−N結合を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池及びその製造方法に関する。
近年の携帯電話や携帯用パソコン等の移動体通信用電源はますます小型化、高エネルギー密度化(高容量化)が要望されており、電気自動車や、電力を動力の一部に利用したハイブリッド車、ハイブリッド電車の実用化が進んでいる。さらに、環境保護の観点から、深夜電力の貯蔵のみならず、太陽電池や風力発電と組み合わせた電力貯蔵用電源の開発も進んでいる。このような状況下、リチウム二次電池が注目されているが、リチウム二次電池は、充放電を繰り返すことで充放電効率の低下を示すため、電池性能の経時劣化が小さいリチウム二次電池が求められている。
例えば、特許文献1には、トリメチルボロキシンあるいはトリメトキシボロキシンをリチウム二次電池用の非水電解液に添加することで、リチウム二次電池のサイクル充放電による容量損失を抑制できる方法が開示されている。
また、特許文献2には、活物資すスラリーとの密着性に優れた銅箔を提供するために、リチウム二次電池の負極に用いられる銅箔表面に、モノエチルアミンを含有したカルボキシベンゾトリアゾール由来の表面被膜を形成させることが開示されている。
特開平10−223258 特開2008−251469
特許文献1に開示されたトリメトキシボロキシンおよびトリメチルボロキシンが添加された非水電解液は、リチウム二次電池を構成する金属部品と反応し、電解液中に金属イオンを溶出させ易くするという課題がある。金属イオンの溶出により、電子抵抗が増加する虞がある。
特許文献2には、添加剤が添加された電解液と銅箔との反応について考慮されていない。また、銅箔表面に形成される被覆層が、電子抵抗成分の増加要因になると考えられ、リチウム二次電池の放電性能低下要因になる虞がある。
上記従来の状況に鑑み、本発明は、高容量であり、かつ寿命特性にも優れたリチウム二次電池を提供すること目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、正極側集電部材と、負極側集電部材と、非水電解液と、を備え、非水電解液は、(BO)(OR)又は(BO)(Rは炭素数1〜6の有機基である。)で表される環状ホウ酸エステル又はその誘導体を含み、負極側集電部材は、銅箔と、銅箔の表面に形成された皮膜と、を備え、被膜は、N−Cu−N結合を有することを特徴とする。
本発明によれば、高容量であり、かつ寿命特性に優れたリチウム二次電池を提供することが可能になる。
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の内部構造を模式的に表す図である。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材又は部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。図面における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、実際の寸法関係を反映するものではない。
発明者らは、リチウム二次電池用電解液添加剤として、一般式(BO)(OR)又は(BO)で示される環状ホウ酸エステルを用いた場合、リチウム二次電池内の集電部等の金属が露出している部分と電解液とが接触すると、電解液が集電部を構成する金属と反応し、電解液中に金属イオンが溶出しやすくなるという課題を見出した。金属の溶解は酸化反応であるため、酸化反応により電子抵抗が増加する虞がある。
鋭意検討した結果、リチウム二次電池用電解液添加剤として一般式(BO)(OR)又は(BO)で表される環状ホウ酸エステルを用いる場合は、集電部材に金属イオンの溶出を抑制する被膜を形成させることで、サイクル充放電による容量損失を抑制できることを見出した。集電部材に形成させる被膜はベンゾトリアゾールなどの防食機能を有する物質由来の皮膜であることが好ましく、活物質が塗布されていない集電部等の電解液と直接接触する部分に形成されていることを特徴とする。
<リチウム二次電池>
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池は、正極と、負極と、正極側集電部材と、負極側集電部材と、電解液と、を備える。図1に本発明の一実施形態に係るリチウムン次電池の内部構造を示す。図1に示す本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池1は、正極10、セパレータ11、負極12、電池容器13、正極集電タブ(正極側集電部材)14、負極集電タブ(負極側集電部材)15、内蓋16、内圧解放弁17、ガスケット18、正温度係数(Positive Temperature Coefficient;PTC)抵抗素子19、電池蓋20及び軸心21から概略構成される。電池蓋20は、内蓋16、内圧開放弁17、ガスケット18及び正温度係数抵抗素子19からなる一体化部品である。また、軸心21には、正極10、セパレータ11及び負極12が捲回されている。
セパレータ11を正極10及び負極12の間に挿入し、軸心21に捲回した電極群において、軸心21は、正極10、セパレータ11及び負極12を担持できるものであれば公知の任意の軸心を用いることができる。この実施の形態では、電極群は、円筒形状に形成されている。電池容器13の形状は、電極群の形状に合わせて円筒形に形成されている。
電池容器13の材質は、電解液に対し耐食性のある材料、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等から選択される。電池容器13を正極10又は負極12に電気的に接続する場合に、電解液と接触している部分において、電池容器13の腐食やリチウムイオンとの合金化による材料の変質が起こらないように、電池容器13の材料の選定を行う。
電池容器13に電極群を収納し、電池容器13の内壁に負極集電タブ15を接続し、電池蓋20の底面に正極集電タブ14を接続する。電解液は、電池を密閉する前に電池容器13の内部に注入する。電解液の注入方法は、電池蓋20を開放した状態にて電極群に直接添加する方法、又は電池蓋20に設置した注入口から添加する方法がある。
その後、電池蓋20を電池容器13に密着させ、電池全体を密閉する。電解液の注入口がある場合は、それも密封する。電池密閉は、溶接、かしめ等公知の技術を用いて行うことができる。
<電解液>
電解液は、電解質と、非水溶媒と、添加剤と、を含有している。
電解質としては、LiPFのみを単独で用いてもよいし、その他のリチウム塩を併用してもよい。LiPFと併用するその他のリチウム塩としては、例えば、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(FSON、LiF、LiCO、LiPF(CF、LiPF(CFSO、LiBF(CF)、LiBF(CFSO等が挙げられる。
電解液におけるリチウムイオン濃度は、0.6mol/L以上1.5mol/L以下の範囲とすることが好ましい。濃度が0.6mol/L以上であると、良好なイオン伝導性を実現することができる。また、濃度が1.5mol/L以下であると、イオン伝導の抵抗が小さく抑えられ、リチウムイオンの移動速度も速くなる。
電解液に用いる非水溶媒としては、例えば、鎖状カーボネート、環状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、環状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、環状エーテル、有機リン化合物、有機硫黄化合物等が挙げられる。これらの化合物は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート等が挙げられる。また、環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート等が挙げられる。鎖状カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル等が挙げられる。また、環状カルボン酸エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。鎖状エーテルとしては、例えば、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン等が挙げられる。また、環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。有機リン化合物としては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステルや、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸エステルや、トリメチルホスフィンオキシド等が挙げられる。また、有機硫黄化合物としては、例えば、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、メチルフェニルスルホン、エチルフェニルスルホン等が挙げられる。
非水溶媒として用いられるこれらの化合物は、置換基を有していてもよいし、酸素原子が硫黄原子で置換された化合物であってもよい。置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。非水溶媒として二種以上の化合物を併用する場合は、環状カーボネートや環状ラクトン等のように比誘電率が高く粘度が相対的に高い化合物と、鎖状カーボネート等のように粘度が相対的に低い化合物とを組み合わせることが好ましい。特に、充放電に伴う放電容量の低下が大きい、エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネート又はジエチルカーボネートとの組み合わせは、被膜の形成によるサイクル特性の向上の効果が有効となる点で好適である。
以上の非水電解液は、リチウムイオン二次電池の他、リチウムイオンをキャリアとするその他の蓄電デバイスに用いることもできる。その他の蓄電デバイスとしては、例えば、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタが挙げられる。キャパシタは、例えば、分極を生じる正極と、負極と、リチウム塩を含む前記の非水電解液とを備えて構成される。分極を生じる電極材料としては、例えば、活性炭等の前記の炭素材料を用いることが可能である。前記の非水電解液を備えた蓄電デバイスによると、非水電解液の分解が抑制され、高温の保存条件において促進される非水電解液の組成変化や、分解物の堆積に起因する放電容量の低下を低減することができる。
<電解液添加剤>
電解液には、添加剤として、一般式(BO)(OR)又は(BO)(Rは炭素数1〜6の有機基である)で示される環状ホウ酸エステルを含む。
有機基Rは、直鎖または分岐したアルキル基、シクロへキシルなどの環状であっても良い。このような有機基Rの具体例としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
鎖状アルキル基の具体例としては、R=C(Cは炭素原子、Hは水素原子を表し、aは3以上の整数であり、bはb=2a+1を満たす数である)で表される直鎖の鎖状アルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖の飽和炭化水素基、あるいは、R=C(Cは炭素原子、Hは水素原子を表し、cは4以上の整数であり、dはd=2a+1を満たす数である)で表される、分岐を有するアルキル基、具体的には、イソプロピル基、1−メチル−プロピル基、1−エチル−プロピル基、2−メチル−プロピル基、1−メチル−ブチル基、1−エチル−ブチル基、2−メチル−ブチル基、2−エチル−ブチル基、3−メチル−ブチル基、1−メチル−ペンチル基、1−エチル−ペンチル基、1−プロピル−ペンチル基、2−メチル−ペンチル基、2−エチル−ペンチル基、2−プロピル−ペンチル基、3−メチル−ペンチル基、3−エチル−ペンチル基、4−メチル−ペンチル基、1−メチル−ヘキシル基、1−エチル−ヘキシル基、1−プロピル−ヘキシル基、1−ブチル−ヘキシル基、1−ペンチル−ヘキシル基、2−メチル−ヘキシル基、2−エチル−ヘキシル基、2−プロピル−ヘキシル基、2−ブチル−ヘキシル基、3−メチル−ヘキシル基、3−エチル−ヘキシル基、3−プロピル−ヘキシル基、4−メチル−ヘキシル基、4−エチル−ヘキシル基、5−メチル−ヘキシル基等が挙げられる。
環状ホウ酸エステルとしては、具体的には、トリメトキシボロキシン((BO)(OCH)、トリメチルボロキシン((BO)(CH)、トリエトキシボロキシン((BO)(OC)、トリエチルボロキシン((BO)(C)、トリプロポキシボロキシン((BO)(OCHCHCH)、トリプロピルボロキシン((BO)(OCHCHCH)、トリイソプロポキシボロキシン((O−CH(CH(BO))、トリシクロヘキソキシボロキシン(O−C11(BO)等が挙げられる。
有機基Rは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子に例示されるハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子等を含有していてもよい。
一般式(BO)(OR)又は(BO)(Rは炭素数1〜6の有機基である)で示される環状ホウ酸エステルを、電解液に添加することで正極表面に保護膜を形成させ、正極の造安定化や正極表面における電解液の酸化分解抑制効果が発現する。その結果、
サイクル特性が向上する。
電解液には、上記添加剤以外の添加剤を含んでいてもよい。求められる機能に応じて各種添加することができる。具体的には、電極表面に被膜を形成する添加剤、過充電抑制のための添加剤、電解液に難燃性を付与する添加剤、正極活物質からのMnの溶出を抑制する添加剤、電解液のイオン導電性を向上するための添加剤などが挙げられる。
電極表面に被膜を形成させる添加剤としては、ビニレンカーボネート(VC)、モノフッ素化エチレンカーボネート等のカーボネート類、カルボン酸無水物、1,3−プロパンスルトン等の硫黄化合物、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、ホウ酸トリメチル等のホウ素化合物が挙げられる。
負極活物質の表面には、C=O、C−H、COO等の官能基が存在しており、これらの官能基は、電池反応に伴い非水溶媒と不可逆的に反応して、SEI(Solid Electrolyte InterpHase)被膜と呼ばれる表面被膜を形成する。SEI被膜は、非水溶媒の分解を抑制する作用を示すが、電池反応における電荷を消費して生成されるため電池の容量を低下させる一因となる。電池容量や出力低下を抑制する観点から、添加剤の添加量は、電解液の重量当たり0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.3質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜3質量%が更に好ましい。
過充電抑制剤としては、例えば、ビフェニル、ビフェニルエーテル、ターフェニル、メチルターフェニル、ジメチルターフェニル、シクロヘキシルベンゼン、ジシクロヘキシルベンゼン、トリフェニルベンゼン、ヘキサフェニルベンゼン,アジポニトリル,ジオキサン類等を用いることができる。難燃化剤としては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等の有機リン化合物、ホウ酸エステル等をはじめとする非水溶媒のフッ化物等を用いることができる。
また、濡れ性改善剤としては、例えば、1,2−ジメトキシエタン等をはじめとする鎖状エーテル等を用いることができる。また、金属イオンの捕囚効果を示す物質としては、電解液中に溶出した金属イオンと錯体を形成する錯形成能を有した物質で、N、O、Sなどの負電荷に帯電し正電荷である金属イオンと静電気的に結合する物質、また、電解液のイオン導電性を向上させる物質としてはリチウムイオン電池に用いられる電解質の解離度を向上させるために、N、O、Sや電解液中でリチウムカチオンと錯形成し電解質のリチウムカチオンとアニオン部の静電気的な引力を弱めることができる物質などが挙げられる。
<負極側集電部材>
負極側の集電部材としては銅部材を用いる。銅部材表面の電解液と接触する部分に、保護被膜を備える。銅部材の電解液と接触する部分とは、例えば、負極集電体の負極合剤の未塗工部)や、集電リング等である。
保護被膜はN−Cu−N結合を有する。また保護被膜はアゾール基由来の皮膜であることが好ましい。
また、銅部品表面への保護被膜は、NH基を有する5員環又は複素環を有する化合物で表面処理することにより形成することができる。NH基を有する5員環又は複素環を有する化合物とは、例えば、ピロールやイミダゾールなどのピラゾール類、トリアゾール類やSを含むトリアゾール類、メルカプト類などを挙げることができる。さらに具体的には、4−メチルイミダゾール、5−ヒドロキシメチル−4−メチルイミダゾール、4−メチル−5−イミダゾールカルボン酸、エチルー4−メチルー5−イミダゾールカルボン酸、4−メチルー5−イミダゾールカルボアルデヒド、ベンゾトリアゾール、トルトライアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2、5−ジメルカプトチアジアゾール、ベンズイミダドールチオール、ベンズオキソゾールチオール、メチルベンゾオキサゾールチオール、メチルベンゾチアゾール、メルカプトチアゾリン、ジエチルジチオカルバメート、ジメチルジチオカルバメート、N−メチルジチオカルバメート、エチレンービスジチオカルバメート、ジチオカルバメートなどのジチオカルバミン酸誘導体、トリアジン2,4−ジチオールなどが挙げられる。これらの物質を水溶液に溶解させる場合は、温度あるいは溶液のpHなどによって、溶解度が変化することが多く、溶解度すなわち溶液濃度や温度、時間によって、銅表面に生成する被膜厚みを制御することが可能である。なお、上記被膜形成剤を溶解させた表面処理液は、中性又は酸性であることが好ましい。
銅部材の表面に形成する被膜の厚さは、基材になる銅箔厚みに対して0.06%以上0.2%以下で設けることが望ましい。形成する被膜の厚みは、添加剤などによる電解液組成の銅溶解の活性を考慮し、銅の溶解を抑制できる範囲で設けることが可能である。
被膜を形成することにより、電解液と銅部材との接触を抑制し、銅被膜の溶出を抑制することができる。その結果、電子抵抗成分の増加を抑制することができ、電池性能の低下を抑制することができる。
<負極>
負極12は、負極活物質、バインダ及び集電体から概略構成され、負極活物質を、スチレンブタジエン共重合体等のバインダ及び必要に応じてカルボキシメチルセルロース等と混合して負極合剤スラリーを調製し、これを、例えば、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等によって集電体に塗布、プレスすることにより作製することができる。また、負極合剤スラリーの塗布及び乾燥を複数回行うことにより、複数の合剤層を集電体に積層化させることも可能である。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、石油コークス又は石炭ピッチコークス等から得られる易黒鉛化材料を2500℃以上の高温で処理したもの、メソフェーズカーボン、非晶質炭素、黒鉛の表面に非晶質炭素を被覆したもの、天然又は人造黒鉛の表面を機械的処理することにより表面の結晶性を低下させた炭素材、高分子等の有機物を炭素表面に被覆・吸着させた材料、炭素繊維、リチウム金属、リチウムと合金化する金属、シリコン又は炭素粒子表面に金属を担持した材料等が用いられる。担持させる金属としては、例えば、リチウム、アルミニウム、スズ、ケイ素、インジウム、ガリウム及びマグネシウムより選択される金属、あるいはそれらの合金が挙げられる。また、スズ、ケイ素、鉄、チタン等の金属の酸化物を負極活物質として用いても良い。これら負極活物質は、いずれか1種を単独で又は2種以上を混合させて用いることができる。
負極活物質の粒子径は、負極活物質及びバインダから形成される合剤層の厚さ以下になるように通常は規定される。負極活物質の粉末中に合剤層厚さ以上のサイズを有する粗粒がある場合、予めふるい分級や風流分級等により粗粒を除去し、合剤層厚さ以下の粒子を選別して電極作製することが望ましい。
負極12の集電体には、銅箔等を用いることができる。例えば、厚さ7μm〜25μm程度の銅箔等を用いることが望ましい。
負極合剤層の厚さは、集電体の両面に塗布した場合で、それぞれ50μm〜200μm程度とすることが望ましいが、これに限定されるものではない。
また、負極合剤層の密度は,電池内の活物質量を増加させ電池容量をさせる目的で高充填化した方が望ましいが,負極に用いる活物質の真密度以上に高密度化することは実質的に困難であるので、真密度以下の範囲で適宜調整することが望ましい。
バインダとしては、水に溶解、膨潤又は分散するポリマーを用いることができ、例えば、スチレンブタジエン共重合体、アクリル基を有するポリマー、シアノ基を有するポリマー等が適用可能である。負極合剤層におけるバインダの量は、負極活物質、増粘効果を向上させる目的で用いるカルボキシメチルセルロース等及びバインダの合計量に対して、例えば0.8重量%〜1.5重量%程度とすることが望ましい。バインダ成分が多くなると、内部抵抗値の増加や電池容量の低下につながる。一方で、バインダ成分が少な過ぎると、電極の密着強度が低下し、電極作製が困難になったり、電池の保存特性、サイクル特性などの電池特性低下を招いたりする恐れがある。カルボキシメチルセルロース等の、合剤スラリーの増粘効果の向上を目的として加える有機物自体が、結着力向上効果を発現する場合もあり、さらに、用いる活物質により、その最適値も大きく変わり得るので、電池の初期特性や保存特性、サイクル特性等の電池試験結果を基に配合比率を決定することが望ましい。
また、水には溶解、膨潤又は分散しない有機系のバインダを用いることも可能である。有機系バインダを用いる場合は、負極活物質、カルボキシメチルセルロース等及びバインダの合計量に対して、例えば3重量%〜6重量%程度とすることができる。最適な配合比率は、水系バインダの場合と同様に、電池の保存特性、サイクル特性等の試験結果を基に、決定することが望ましい。
<正極>
正極10は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出可能な正極活物質として、リチウム遷移金属複合酸化物を含んでなる。正極10は、例えば、正極活物質と、導電剤と、バインダとを含んで組成される正極合剤層と、正極合剤層が片面又は両面に塗工された正極集電体とを備えて構成される。正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の状態で含まれていてもよいし、二次粒子を形成した状態で含まれていてもよい。リチウム遷移金属複合酸化物としては、一般的なリチウムイオン二次電池において正極活物質として用いられる適宜の種類を用いることができる。但し、リチウム遷移金属複合酸化物としては、マンガン(Mn)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選択される少なくとも一種の遷移金属を含有することが好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn等が挙げられる。また、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiMn12や、LiMn2−xM1(但し、M1は、Co、Ni、Fe、Cr、Zn及びTiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素であり、x=0.01〜0.2を満たす。)や、LiMnM2O(但し、M2は、Fe、Co、Ni、Cu及びZnからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素である。)や、Li1−yMn(但し、Aは、Mg、B、Al、Fe、Co、Ni、Cr、Zn及びCaからなる群より選択される少なくとも1種であり、y=0.01〜0.1を満たす。)や、LiNi1−ZM2(但し、M2は、Mn、Fe、Co、Al、Ga、Ca及びMgからなる群より選択される少なくとも1種であり、z=0.01〜0.2を満たす。)、LiCo1−vM3(但し、M3は、Ni、Fe及びMnからなる群より選択される少なくとも1種であり、z=0.01〜0.2を満たす。)、LiFeO、Fe(SO、Fe(MoO、FeF、LiFePO、LiMnPO等を用いることができる。
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等の炭素粒子や、炭素繊維等を用いることができる。これらの導電剤は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。導電剤の量は、正極活物質に対して5質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。導電剤の量がこのような範囲であると、良好な導電性が得られると共に、高い容量も確保することができる。
バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル系ポリマ、イミドやアミド基を有するポリマ、これらの共重合体等の適宜の材料を用いることができる。これらのバインダは、一種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。また、カルボキシメチルセルロース等の増粘性のバインダを併用してもよい。バインダの量は、正極活物質、導電剤及びバインダの総計に対して1質量%以上7質量%以下とすることが好ましい。バインダの量がこのような範囲であると、容量が小さくなったり、内部抵抗が過大になったりすることが少ない。また、正極合剤層の塗布性及び成形性や、正極合剤層の強度が損なわれ難い。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等を材質とする金属箔、金属板、発泡金属板、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の適宜の材料を用いることができる。金属箔については、例えば、0.1mm以上10mm以下程度の孔径に穿孔された穿孔箔としてもよい。金属箔の厚さは、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
正極10は、例えば、正極活物質と、導電剤と、バインダとを適宜の溶媒と共に混合して正極合剤とし、この正極合剤を正極集電体に塗布した後、乾燥、圧縮成形することによって作製することができる。正極合剤を塗布する方法としては、例えば、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等を用いることができる。また、正極合剤を圧縮成形する方法としては、例えば、ロールプレス等を用いることができる。
正極合剤層の厚さは、製造しようとするリチウムイオン二次電池の仕様や、負極とのバランスを考慮して、適宜の厚さとすることができるが、正極集電体の両面に塗布した場合、50μm以上250μm以下とすることが好ましい。正極合剤層の厚さは、リチウムイオン二次電池の容量、抵抗値等の仕様に応じて設定することができるが、この程度の塗布量であれば、電極間の距離が過大になったり、リチウムイオンの吸蔵及び放出の反応について分布が生じたりすることは少ない。
正極活物質の粒径は、通常、正極合剤層の厚さ以下とされる。合成した正極活物質の粉末中に粗粒がある場合は、あらかじめ篩分級、風流分級等を行い、正極活物質の平均粒径を正極合剤層の厚さより小さくしておくことが好ましい。
正極合剤層の密度は、製造しようとするリチウムイオン二次電池の仕様や、負極とのバランスを考慮して、適宜の密度とすることができるが、リチウムイオン二次電池についての容量を確保する観点からは、真密度の60%以上の密度とすることが好ましい。
<セパレータ>
セパレータ11は、正極10と負極12とが直接接触して短絡が生じるのを防止するために備えられる。セパレータ11としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂等の微多孔質フィルムや、このような微多孔質フィルムの表面にアルミナ粒子等の耐熱性物質を被覆したフィルム等を用いることができる。なお、セパレータ11の機能は、電池性能を損なわない程度で、正極10及び負極12自体に具備させてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(銅箔の表面処理)
80℃の熱水100gに10gのベンゾトリアゾールを溶解させた表面処理液に、タフピッチ銅(以下、単に純銅という。)50gを、5分間浸漬させ、銅表面を表面処理した。その後、浸漬させた純銅の表面を水洗し、大気中で乾燥させた。
(銅箔の表面状態の評価)
表面処理された銅箔を試験片に加工し、X線光電子分光法で表面状態を確認した。銅箔の表面からはCu、C、O、Nの各元素が検出された。この結果から、ベンゾトリアゾールはCu表面でCu1+と強い配位結合を形成しており、2つのベンゾトリアゾールのN元素がCuと結合した構造をとることで、N−Cu−N結合を有する物質が形成されたと考えられる。なお、表面構造は深さ分解及び赤外分光、二次イオン検出方法などによっても同定できる。
(電解液への銅溶出量の測定)
まず、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(体積比1/2)にヘキサフルオロ酸リチウムを1mol/Lの濃度で溶解させた電解液を調製した。調製した電解液100gに濃度が1wt%になるようにトリメトキシボロキシンを溶解させた後に、表面処理された純銅を5日間浸漬させた。5日間室温で放置した後の電解液の銅溶出量を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)測定で定量した。ICP−AES測定は以下の通りに行った。5日間放置後の電解液20mLをメスフラスコに秤量し、0.1mol/Lになるように硝酸を加えた。次いで、この溶液を純水で希釈し、ICP−AES測定した。ICP−AES測定には、パーキンエルマー社製のOPTIMA−8300を用いた。ICP−AES測定前に濃度既知のCu含有溶液を用いて検量線を作製し、電解液試料中のCu濃度を定量分析した。
(実施例2)
電解液100gに濃度が1wt%となるようにトリメチルボロキシンを溶解させたこと以外実施例1と同様に純銅を浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(実施例3)
電解液100gに濃度が2wt%となるようにトリメトキシボロキシンを溶解させたこと以外実施例1と同様に純銅を浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(実施例4)
電解液100gに濃度が2wt%となるようにトリメチルボロキシンを溶解させたこと以外実施例1と同様に純銅を浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(実施例5)
塩酸を用いてpHが1になるように調整した酸性水溶液100gを80℃になるように熱し、10gのベンゾトリアゾールを溶解させた。その後、純銅をこの酸性水溶液に5分間浸漬させ、銅表面を表面処理した。表面処理された純銅の表面状態を実施例1と同様にX線光電子分光法により確認した。その結果、実施例1と同様の結果が得られたことから、表面にN−Cu−N結合を有する物質が形成されていると考えられる。また、表面処理された純銅を実施例3と同様に電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(実施例6)
電解液100gに濃度が2wt%となるようにトリメチルボロキシンを溶解させたこと以外実施例5と同様に純銅の表面処理を行い、X線光電子分光法により表面状態を確認した。その結果、実施例1と同様の結果が得られたことから、表面にN−Cu−N結合を有する物質が形成されていると考えられる。表面処理された純銅を実施例5と同様に電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(実施例7)
塩酸を用いてpHが1になるように調整した酸性水溶液100gを25℃に、1gのベンゾトリアゾールを溶解させた。その後、純銅をこの酸性水溶液に5分間浸漬させ、銅表面の表面処理を行い、X線光電子分光法により表面状態を確認した。その結果、実施例1と同様の結果が得られたことから、表面にN−Cu−N結合を有する物質が形成されていると考えられる。表面処理された純銅を実施例3と同様に電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(実施例8)
電解液100gに濃度が2wt%となるようにトリメチルボロキシンを溶解させたこと以外実施例7と同様に純銅の表面処理を行い電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(比較例1)
純銅を表面処理しなかったこと、電解液に濃度が1wt%となるようにトリメトキシボロキシンを添加しなかったこと以外実施例1と同様に、純銅を電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(比較例2)
純銅を表面処理しなかったこと以外実施例3と同様に純銅を電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(比較例3)
純銅を表面処理しなかったこと以外実施例4と同様に純銅を電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
(比較例4)
水酸化ナトリウムを用いてpHが12になるように調整したアルカリ性水溶液100gを80℃になるように熱し、10gのベンゾトリアゾールを溶解させた。純銅をこのアルカリ性水溶液に5分間浸漬させ、銅表面を表面処理した。その後、浸漬溶液から純銅を取出し、表面を水洗し、大気化で乾燥させた。表面処理された銅表面の表面状態をx線光電子分光法により確認した。N−Cu−N結合が確認できなかった。表面処理された純銅を実施例3と同様に電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
表1に浸漬後の電解液の銅溶出量を示す。
Figure 2019029184
表1より、トリメチルボロキシン又はトリメトキシボロキシンを添加した電解液(比較例2、3)は、添加剤を添加していない電解液(比較例1)と比較すると、銅の溶出量が増加することが分かった。この結果から、環状ホウ酸エステル化合物の添加により、銅の溶出が促進されることが明らかとなった。また、銅部材の表面にN−Cu−N結合を有する被膜を設けることにより、電解液への銅の溶出を抑制できることが分かった。
また、実施例4、6、比較例4より、表面処理時にアルカリ性の溶液を用いると、N−Cu−N結合が生成せず電解液のへの銅の溶出を抑制できないことが分かった。
また、表1に示したように、比較例4では、中性あるいは酸性溶液を用いた実施例4、6よりも銅溶出量が増加した。これはN−Cu−N結合が生成していないあるいは被膜生成量が不十分であったためと考えられる。
上記実施例1〜8及び比較例1〜4で作製した集電部材、電解液を用いて以下の方法でリチウムイオン二次電池を作製した。
<負極>
負極活物質にはX線回折測定で得られた面間隔が0.368nm、平均粒径が20μm、比表面積が5m/gの天然黒鉛を用いた。天然黒鉛、カルボキシメチルセルロースの水膨潤体及びスチレンブタジエン共重合体を含む水分散液を回転翼のような攪拌手段を備えた混合機を用いて充分に混錬し、負極合剤スラリーを調製した。負極活物質、カルボキシメチルセルロース及びスチレンブタジエン共重合体の混合比は、重量比で97:1.5:1.5になるようにした。
この負極合剤スラリーを、集電体としての厚さ10μmの圧延銅箔の両面に実質的に均一に塗布した。乾燥後に、ロールプレス機により、負極電極密度が約1.5g/cmになるように圧縮成形し負極を作製した。密度調整のためのプレス後に、負極を合剤層の塗布長さ55cmと未塗布部5cmの合計60cm、塗布幅5.6cmになるように切断した。負極合剤スラリーが塗布されていない銅箔が露出した未塗工部に上記実施例1〜8、比較例1〜4の条件で表面処理を行った。乾燥後、負極合剤スラリーの未塗布部(表面処理部)にNi製のリード片を溶接し、電流取出し部を具備した負極を作製した。
<正極>
正極活物質には、平均粒径10μm、比表面積1.5m/gのLiNiCoMnOを用いた。正極活物質と、塊状黒鉛及びアセチレンブラックを9:2に混合した導電剤とを、バインダとして予め5重量%PVDFに調整されたNMP溶液に分散させて正極合剤スラリーを調製した。スラリーの作製は、負極の場合と同様に、回転翼のような撹拌手段を備えた混合機を用いて充分に混練した。正極活物質、導電剤及びPVDFの混合比は、重量比で85:10:5になるようにした。
この正極合剤スラリーを集電体としての厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にできるだけ均一かつ均等に、負極と同じ手順で塗布し乾燥した。その後、ロールプレス機により、正極の活物質密度が2.6g/cmになるよう圧縮成形し、正極を作製した。その後、正極を合剤層の塗布長さ50cmと未塗布部5cmの合計55cmとなるよう切断した。そして、電流を取り出すためのアルミニウム箔製のリード片を未塗布部に溶接し、電流取出し部を具備した正極を作製した。
<非水電解液>
非水電解液は、上記実施例1〜8、比較例1〜4で銅の溶出量を測定するために使用した電解液と同様の構成のものを用いた。
<リチウム二次電池>
作製した正極と負極を用いて図1に示すような円筒型のリチウム二次電池を作製した。具体的には正極と負極には、それぞれ電流引き出し用の正極集電タブ、負極集電タブを超音波溶接した。正極集電タブ、負極集電タブは、長方形の集電体とそれぞれ同じ材質の金属箔から構成され、また、正極及び負極の間にポリエチレンの単層膜であるセパレータを挟んで重ね、これを、図2に示したように、円筒状(螺旋状)に捲いて電極群とし、円筒状の電池容器に収納した。電極群を電池容器に収納した後、電池容器内に電解液を注入し、正極集電タブが取り付けられた密閉用の電池蓋をガスケットを介して電池容器に密着させ、かしめにより密閉して、径18mm、長さ650mmの円筒型のリチウム二次電池を作製した。
<サイクル試験>
作製した円筒型のリチウム二次電池について、50℃の恒温槽内で、充電電流1500mA、電圧4.2V、3時間の定電流定電圧充電をし、5時間の休止後、放電電流1500mAで電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した。この充電及び放電プロセスを1サイクルとし、合計3サイクルの充放電を行った。そして、3サイクル目の放電容量を100%として、サイクル負荷特性試験を行った。サイクル負荷特性試験では、充電電流1500mA、電圧4.2V、5時間の定電流定電圧充電をし、5時間の休止後、放電電流1500mAで電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電することを1サイクルとして、500サイクルの負荷特性試験を行った。3サイクル目と500サイクル後の放電開始10秒後の電圧低下ΔVを放電電流値1500mAで除した値をそれぞれ算出した。そして、3サイクル目の値に対する500サイクル目の値の比を求め、これを直流抵抗上昇比率とした。この比の値が小さい程、サイクル負荷による電池の直流抵抗増加が抑制されていることを示し、電池の寿命特性が向上していることを示す。サイクル試験の結果を表2に示す。
Figure 2019029184
表2より、銅部材の表面にN−Cu−N結合を有する被膜を設けることにより、500サイクル後の抵抗上昇率が低下することが分かった。これば、銅部材の表面に形成された皮膜により電解液への銅の溶出が抑制された結果、電子抵抗成分の増加を抑制することができ、電池性能の低下を抑制することができたと考えられる。
1 リチウム二次電池
10 正極
11 セパレータ
12 負極
13 電池容器
14 正極集電タブ
15 負極集電タブ
16 内蓋
17 内圧解放弁
18 ガスケット
19 正温度係数抵抗素子
20 電池蓋
21 軸心

Claims (6)

  1. 正極と、負極と、正極側集電部材と、負極側集電部材と、非水電解液と、を備えるリチウム二次電池であって、
    前記非水電解液は、(BO)(OR)又は(BO)(Rは炭素数1〜6の有機基である。)で表される環状ホウ酸エステル又はその誘導体を含み、
    前記負極側集電部材は、銅部材と、前記銅部材の表面に形成された被膜と、を備え、
    前記被膜は、N−Cu−N結合を有することを特徴とするリチウム二次電池。
    る。
  2. 請求項1に記載のリチウム二次電池であって、
    前記被膜は、アゾール基由来の皮膜であることを特徴とするリチウム二次電池。
  3. 請求項1又は2に記載のリチウム二次電池であって、
    前記環状ホウ酸エステルは、(BO)(OCH、(BO)(CH、(BO)(OC、(BO)(C、BO)(OCHCHCH、(BO)(OCHCHCH、(O−CH(CH(BO)のいずれかであることを特徴とするリチウム二次電池。
  4. 請求項1乃至3に記載のリチウム二次電池の製造方法であって、
    前記負極側集電部材は、NH基を有する5員環又は複素環を有する化合物を溶解させ、酸性又は中性に調整された表面処理液に、前記銅部材を浸漬することにより表面処理されることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  5. 請求項4に記載のリチウム二次電池の製造方法であって、
    前記NH基を有する5員環又は複素環を有する化合物は、アゾール基を有することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  6. 請求項5に記載のリチウム二次電池の製造方法であって、
    前記NH基を有する5員環又は複素環を有する化合物はベンゾトリアゾールであることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
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