JP2019029184A - リチウム二次電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池は、正極と、負極と、正極側集電部材と、負極側集電部材と、電解液と、を備える。図1に本発明の一実施形態に係るリチウムン次電池の内部構造を示す。図1に示す本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池1は、正極10、セパレータ11、負極12、電池容器13、正極集電タブ(正極側集電部材)14、負極集電タブ(負極側集電部材)15、内蓋16、内圧解放弁17、ガスケット18、正温度係数(Positive Temperature Coefficient;PTC)抵抗素子19、電池蓋20及び軸心21から概略構成される。電池蓋20は、内蓋16、内圧開放弁17、ガスケット18及び正温度係数抵抗素子19からなる一体化部品である。また、軸心21には、正極10、セパレータ11及び負極12が捲回されている。
電解液は、電解質と、非水溶媒と、添加剤と、を含有している。
電解液には、添加剤として、一般式(BO)3(OR)3又は(BO)3R3(Rは炭素数1〜6の有機基である)で示される環状ホウ酸エステルを含む。
サイクル特性が向上する。
負極側の集電部材としては銅部材を用いる。銅部材表面の電解液と接触する部分に、保護被膜を備える。銅部材の電解液と接触する部分とは、例えば、負極集電体の負極合剤の未塗工部)や、集電リング等である。
負極12は、負極活物質、バインダ及び集電体から概略構成され、負極活物質を、スチレンブタジエン共重合体等のバインダ及び必要に応じてカルボキシメチルセルロース等と混合して負極合剤スラリーを調製し、これを、例えば、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等によって集電体に塗布、プレスすることにより作製することができる。また、負極合剤スラリーの塗布及び乾燥を複数回行うことにより、複数の合剤層を集電体に積層化させることも可能である。
また、負極合剤層の密度は,電池内の活物質量を増加させ電池容量をさせる目的で高充填化した方が望ましいが,負極に用いる活物質の真密度以上に高密度化することは実質的に困難であるので、真密度以下の範囲で適宜調整することが望ましい。
正極10は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出可能な正極活物質として、リチウム遷移金属複合酸化物を含んでなる。正極10は、例えば、正極活物質と、導電剤と、バインダとを含んで組成される正極合剤層と、正極合剤層が片面又は両面に塗工された正極集電体とを備えて構成される。正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子の状態で含まれていてもよいし、二次粒子を形成した状態で含まれていてもよい。リチウム遷移金属複合酸化物としては、一般的なリチウムイオン二次電池において正極活物質として用いられる適宜の種類を用いることができる。但し、リチウム遷移金属複合酸化物としては、マンガン(Mn)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選択される少なくとも一種の遷移金属を含有することが好ましい。
セパレータ11は、正極10と負極12とが直接接触して短絡が生じるのを防止するために備えられる。セパレータ11としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂等の微多孔質フィルムや、このような微多孔質フィルムの表面にアルミナ粒子等の耐熱性物質を被覆したフィルム等を用いることができる。なお、セパレータ11の機能は、電池性能を損なわない程度で、正極10及び負極12自体に具備させてもよい。
(銅箔の表面処理)
80℃の熱水100gに10gのベンゾトリアゾールを溶解させた表面処理液に、タフピッチ銅(以下、単に純銅という。)50gを、5分間浸漬させ、銅表面を表面処理した。その後、浸漬させた純銅の表面を水洗し、大気中で乾燥させた。
表面処理された銅箔を試験片に加工し、X線光電子分光法で表面状態を確認した。銅箔の表面からはCu、C、O、Nの各元素が検出された。この結果から、ベンゾトリアゾールはCu表面でCu1+と強い配位結合を形成しており、2つのベンゾトリアゾールのN元素がCuと結合した構造をとることで、N−Cu−N結合を有する物質が形成されたと考えられる。なお、表面構造は深さ分解及び赤外分光、二次イオン検出方法などによっても同定できる。
まず、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(体積比1/2)にヘキサフルオロ酸リチウムを1mol/Lの濃度で溶解させた電解液を調製した。調製した電解液100gに濃度が1wt%になるようにトリメトキシボロキシンを溶解させた後に、表面処理された純銅を5日間浸漬させた。5日間室温で放置した後の電解液の銅溶出量を高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)測定で定量した。ICP−AES測定は以下の通りに行った。5日間放置後の電解液20mLをメスフラスコに秤量し、0.1mol/Lになるように硝酸を加えた。次いで、この溶液を純水で希釈し、ICP−AES測定した。ICP−AES測定には、パーキンエルマー社製のOPTIMA−8300を用いた。ICP−AES測定前に濃度既知のCu含有溶液を用いて検量線を作製し、電解液試料中のCu濃度を定量分析した。
電解液100gに濃度が1wt%となるようにトリメチルボロキシンを溶解させたこと以外実施例1と同様に純銅を浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
電解液100gに濃度が2wt%となるようにトリメトキシボロキシンを溶解させたこと以外実施例1と同様に純銅を浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
電解液100gに濃度が2wt%となるようにトリメチルボロキシンを溶解させたこと以外実施例1と同様に純銅を浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
塩酸を用いてpHが1になるように調整した酸性水溶液100gを80℃になるように熱し、10gのベンゾトリアゾールを溶解させた。その後、純銅をこの酸性水溶液に5分間浸漬させ、銅表面を表面処理した。表面処理された純銅の表面状態を実施例1と同様にX線光電子分光法により確認した。その結果、実施例1と同様の結果が得られたことから、表面にN−Cu−N結合を有する物質が形成されていると考えられる。また、表面処理された純銅を実施例3と同様に電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
電解液100gに濃度が2wt%となるようにトリメチルボロキシンを溶解させたこと以外実施例5と同様に純銅の表面処理を行い、X線光電子分光法により表面状態を確認した。その結果、実施例1と同様の結果が得られたことから、表面にN−Cu−N結合を有する物質が形成されていると考えられる。表面処理された純銅を実施例5と同様に電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
塩酸を用いてpHが1になるように調整した酸性水溶液100gを25℃に、1gのベンゾトリアゾールを溶解させた。その後、純銅をこの酸性水溶液に5分間浸漬させ、銅表面の表面処理を行い、X線光電子分光法により表面状態を確認した。その結果、実施例1と同様の結果が得られたことから、表面にN−Cu−N結合を有する物質が形成されていると考えられる。表面処理された純銅を実施例3と同様に電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
電解液100gに濃度が2wt%となるようにトリメチルボロキシンを溶解させたこと以外実施例7と同様に純銅の表面処理を行い電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
純銅を表面処理しなかったこと、電解液に濃度が1wt%となるようにトリメトキシボロキシンを添加しなかったこと以外実施例1と同様に、純銅を電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
純銅を表面処理しなかったこと以外実施例3と同様に純銅を電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
純銅を表面処理しなかったこと以外実施例4と同様に純銅を電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
水酸化ナトリウムを用いてpHが12になるように調整したアルカリ性水溶液100gを80℃になるように熱し、10gのベンゾトリアゾールを溶解させた。純銅をこのアルカリ性水溶液に5分間浸漬させ、銅表面を表面処理した。その後、浸漬溶液から純銅を取出し、表面を水洗し、大気化で乾燥させた。表面処理された銅表面の表面状態をx線光電子分光法により確認した。N−Cu−N結合が確認できなかった。表面処理された純銅を実施例3と同様に電解液に浸漬させ、浸漬後の電解液の銅溶出量をICP−AES測定で定量した。
負極活物質にはX線回折測定で得られた面間隔が0.368nm、平均粒径が20μm、比表面積が5m2/gの天然黒鉛を用いた。天然黒鉛、カルボキシメチルセルロースの水膨潤体及びスチレンブタジエン共重合体を含む水分散液を回転翼のような攪拌手段を備えた混合機を用いて充分に混錬し、負極合剤スラリーを調製した。負極活物質、カルボキシメチルセルロース及びスチレンブタジエン共重合体の混合比は、重量比で97:1.5:1.5になるようにした。
正極活物質には、平均粒径10μm、比表面積1.5m2/gのLiNiCoMnO2を用いた。正極活物質と、塊状黒鉛及びアセチレンブラックを9:2に混合した導電剤とを、バインダとして予め5重量%PVDFに調整されたNMP溶液に分散させて正極合剤スラリーを調製した。スラリーの作製は、負極の場合と同様に、回転翼のような撹拌手段を備えた混合機を用いて充分に混練した。正極活物質、導電剤及びPVDFの混合比は、重量比で85:10:5になるようにした。
非水電解液は、上記実施例1〜8、比較例1〜4で銅の溶出量を測定するために使用した電解液と同様の構成のものを用いた。
作製した正極と負極を用いて図1に示すような円筒型のリチウム二次電池を作製した。具体的には正極と負極には、それぞれ電流引き出し用の正極集電タブ、負極集電タブを超音波溶接した。正極集電タブ、負極集電タブは、長方形の集電体とそれぞれ同じ材質の金属箔から構成され、また、正極及び負極の間にポリエチレンの単層膜であるセパレータを挟んで重ね、これを、図2に示したように、円筒状(螺旋状)に捲いて電極群とし、円筒状の電池容器に収納した。電極群を電池容器に収納した後、電池容器内に電解液を注入し、正極集電タブが取り付けられた密閉用の電池蓋をガスケットを介して電池容器に密着させ、かしめにより密閉して、径18mm、長さ650mmの円筒型のリチウム二次電池を作製した。
作製した円筒型のリチウム二次電池について、50℃の恒温槽内で、充電電流1500mA、電圧4.2V、3時間の定電流定電圧充電をし、5時間の休止後、放電電流1500mAで電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した。この充電及び放電プロセスを1サイクルとし、合計3サイクルの充放電を行った。そして、3サイクル目の放電容量を100%として、サイクル負荷特性試験を行った。サイクル負荷特性試験では、充電電流1500mA、電圧4.2V、5時間の定電流定電圧充電をし、5時間の休止後、放電電流1500mAで電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電することを1サイクルとして、500サイクルの負荷特性試験を行った。3サイクル目と500サイクル後の放電開始10秒後の電圧低下ΔVを放電電流値1500mAで除した値をそれぞれ算出した。そして、3サイクル目の値に対する500サイクル目の値の比を求め、これを直流抵抗上昇比率とした。この比の値が小さい程、サイクル負荷による電池の直流抵抗増加が抑制されていることを示し、電池の寿命特性が向上していることを示す。サイクル試験の結果を表2に示す。
10 正極
11 セパレータ
12 負極
13 電池容器
14 正極集電タブ
15 負極集電タブ
16 内蓋
17 内圧解放弁
18 ガスケット
19 正温度係数抵抗素子
20 電池蓋
21 軸心
Claims (6)
- 正極と、負極と、正極側集電部材と、負極側集電部材と、非水電解液と、を備えるリチウム二次電池であって、
前記非水電解液は、(BO)3(OR)3又は(BO)3R3(Rは炭素数1〜6の有機基である。)で表される環状ホウ酸エステル又はその誘導体を含み、
前記負極側集電部材は、銅部材と、前記銅部材の表面に形成された被膜と、を備え、
前記被膜は、N−Cu−N結合を有することを特徴とするリチウム二次電池。
る。 - 請求項1に記載のリチウム二次電池であって、
前記被膜は、アゾール基由来の皮膜であることを特徴とするリチウム二次電池。 - 請求項1又は2に記載のリチウム二次電池であって、
前記環状ホウ酸エステルは、(BO)3(OCH3)3、(BO)3(CH3)3、(BO)3(OC2H5)3、(BO)3(C2H5)3、BO)3(OCH2CH2CH3)3、(BO)3(OCH2CH2CH3)3、(O−CH(CH3)2)3(BO)3のいずれかであることを特徴とするリチウム二次電池。 - 請求項1乃至3に記載のリチウム二次電池の製造方法であって、
前記負極側集電部材は、NH基を有する5員環又は複素環を有する化合物を溶解させ、酸性又は中性に調整された表面処理液に、前記銅部材を浸漬することにより表面処理されることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。 - 請求項4に記載のリチウム二次電池の製造方法であって、
前記NH基を有する5員環又は複素環を有する化合物は、アゾール基を有することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。 - 請求項5に記載のリチウム二次電池の製造方法であって、
前記NH基を有する5員環又は複素環を有する化合物はベンゾトリアゾールであることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
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