JP2019027296A - エンジンシステム - Google Patents

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吉岡 衛
Mamoru Yoshioka
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Abstract

【課題】エンジン、過給機、吸気量調節弁、新気導入装置及び蒸発燃料処理装置を備えたエンジンシステムにつき、エンジン減速時に過剰濃度の蒸発燃料(ベーパ)によりエンジンの空燃比がオーバーリッチ化することを防止すること。【解決手段】エンジンシステムは、エンジン1、吸気通路2、排気通路3、インジェクタ17、燃料タンク40、電子スロットル装置6、過給機5、新気導入通路31と新気導入弁32を含む新気導入装置30、蒸発燃料処理装置41及び電子制御装置(ECU)60を備える。ECU60は、エンジン1の減速時に、エンジン1に吸入される吸気を絞るために電子スロットル装置6を開弁状態から所定の減速開度へ閉弁し、ベーパの吸気通路2へのパージを遮断するためにパージ弁45を制御すると共に、電子スロットル装置6より下流の吸気通路2へ新気を導入するために新気導入弁32を閉弁状態から開弁する。【選択図】図1

Description

この明細書に開示される技術は、過給機を備えたエンジンと、エンジンへの吸気量を調節する吸気量調節弁と、吸気量調節弁より下流へ新気を導入する新気導入装置と、燃料タンクで発生する蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理装置とを備え、エンジンの減速時に吸気量調節弁、新気導入装置及び蒸発燃料処理装置を制御するように構成したエンジンシステムに関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載の技術「内燃機関」が知られている。この技術は、エンジンの吸気通路に、過給機(コンプレッサ)と、コンプレッサより上流に設けられた吸気絞り弁と、コンプレッサより下流に設けられたスロットル弁と、吸気絞り弁より上流とスロットル弁より下流をつなぐ新気導入通路と、新気導入通路に設けられた新気導入弁と、低圧ループ式のEGR装置とを備える。そして、この技術では、エンジンの減速時に要求EGR率が低下した場合、吸気絞り弁又は新気導入弁を開けて、スロットル弁より下流の吸気通路へ新気を早期に導入し、EGR率を低下させてエンジンの減速失火を防止するようになっている。
ここで、上記技術には含まれていないが、エンジンには、燃料タンクで発生する蒸発燃料(ベーパ)を一旦捕集し、そのベーパをエンジンの運転状態に応じてパージ通路から吸気通路へパージするように構成した蒸発燃料処理装置が設けられることがある。
特開2012−7547号公報
ところが、特許文献1に記載の技術では、蒸発燃料処理装置が設けられないことから、この装置から吸気通路へパージされるベーパの挙動について考慮されていない。仮に、上記技術に蒸発燃料処理装置を設けた場合、エンジンの減速時には、減速前にパージされて吸気通路に残留したベーパがエンジンに与える影響を考慮する必要がある。これを考慮しなければ、次のような問題が発生するおそれがある。
例えば、蒸発燃料処理装置から吸気通路へパージされるベーパを、吸気絞り弁より上流の吸気通路へパージするような構成を想定する。この場合、パージ通路の出口からエンジンまでの吸気通路が比較的長くなり、その通路容積が大きくなる。このため、エンジンの減速と同時にパージ通路からのベーパのパージを遮断(パージカット)しても、ベーパを含んだ吸気が吸気通路に残留してしまい、その残留ベーパを含む残留吸気が減速中や減速後にエンジンに吸入されてしまう。その結果、エンジンの空燃比が、残留ベーパの分だけオーバーリッチ化してしまう。特に、過給機を動作させた過給状態からの減速時には、この問題が顕著になると考えられる。
この開示技術は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸気通路に設けられた過給機と、過給機より下流にて吸気通路に設けられた吸気量調節弁と、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入する新気導入装置と、燃料タンクで発生する蒸発燃料を過給機より上流の吸気通路へパージする蒸発燃料処理装置を備え、エンジンの減速時に、過剰濃度の蒸発燃料によりエンジンの空燃比がオーバーリッチ化することを防止可能にしたエンジンシステムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の技術は、エンジンと、エンジンへ吸気を導入するための吸気通路と、エンジンから排気を導出するための排気通路と、燃料を貯留するための燃料タンクと、燃料タンクに貯留された燃料をエンジンへ噴射するためのインジェクタとを含み、エンジンへ燃料を供給するための燃料供給装置と、吸気通路に配置され、吸気通路を流れる吸気量を調節するための吸気量調節弁と、吸気通路に配置されたコンプレッサと、排気通路に配置されたタービンと、コンプレッサとタービンを一体回転可能に連結する回転軸とを含み、吸気通路における吸気を昇圧させるための過給機と、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入するための新気導入通路と、新気導入通路は、その入口がコンプレッサより上流の吸気通路に接続されることと、新気導入通路から吸気通路への新気導入量を調節するための新気導入弁とを含む新気導入装置と、燃料タンクで発生する蒸発燃料を一旦捕集するためのキャニスタと、キャニスタで捕集された蒸発燃料を吸気通路へパージするためのパージ通路と、パージ通路は、その出口がコンプレッサより上流であって新気導入通路の入口より下流における吸気通路に接続されることと、パージ通路から吸気通路へパージされる蒸発燃料量を調節するためのパージ調節手段とを含み、蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置と、エンジンの運転状態に応じて、少なくともインジェクタ、吸気量調節弁、新気導入弁及びパージ調節手段を制御するための制御手段とを備えたエンジンシステムにおいて、御手段は、エンジンの減速時に、エンジンに吸入される吸気を絞るために吸気量調節弁を開弁状態から所定の減速開度へ閉弁し、蒸発燃料の吸気通路へのパージを遮断するためにパージ調節手段を制御すると共に、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入するために新気導入弁を閉弁状態から開弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、エンジンの減速時には、エンジンに吸入される吸気を絞るために吸気量調節弁が開弁状態から所定の減速開度へ閉弁し、蒸発燃料の吸気通路へのパージを遮断するためにパージ調節手段が制御される。このため、吸気量調節弁より上流の吸気通路には、吸気通路へのパージを遮断する前に流入した蒸発燃料を含む吸気が残留し、その吸気が吸気量調節弁より下流の吸気通路へ流れてエンジンに吸入される。この吸気に含まれる蒸発燃料が、エンジンの空燃比をオーバーリッチ化するおそれがある。この構成によれば、エンジンの減速時には、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入するために新気導入弁が閉弁状態から開弁する。従って、蒸発燃料を含む吸気が吸気量調節弁より下流の吸気通路へ流れても、その部分に新気導入通路から新気が導入され、蒸発燃料が強制的に希釈されてからエンジンに吸入される。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、制御手段は、エンジンの減速時に、パージを遮断してからパージを再開するときは、パージ調節手段を制御すると共に、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入するために新気導入弁を閉弁状態から開弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、エンジンの減速時に、パージを遮断してからパージを再開するときは、パージ調節手段が制御されると共に、新気導入弁が閉弁状態から開弁する。従って、パージを再開するときに、吸気量調節弁より上流の吸気通路に残留していた蒸発燃料と新たにパージされた蒸発燃料とが吸気量調節弁より下流の吸気通路へ流れても、その部分に新気が導入されるので、たとえ蒸発燃料が過剰になってもその蒸発燃料が新気により希釈されてからエンジンに吸入される。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の技術は、請求項1又は2に記載の技術において、新気導入通路の入口より上流の吸気通路を流れる吸気量を検出するための吸気量検出手段を更に備え、制御手段は、エンジンの減速時に、検出された吸気量に基づき吸気量調節弁より上流の吸気通路に残留する蒸発燃料を含む残留吸気量を推定し、推定された残留吸気量の変化に応じたタイミングで新気導入弁を開弁又は閉弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1又は2に記載の技術の作用に加え、エンジンの減速時に、蒸発燃料を含む残留吸気量の変化に応じたタイミングで新気導入弁が開弁又は閉弁する。従って、残留吸気量に応じた好適なタイミングで、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気が導入され、蒸発燃料が新気により有効に希釈される。あるいは、残留吸気量に応じた好適なタイミングで、吸気量調節弁より下流の吸気通路への新気導入が遮断され、蒸発燃料の新気による希釈が中止される。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の技術は、請求項3に記載の技術において、エンジンの空燃比を検出するための空燃比検出手段を更に備え、制御手段は、エンジンの減速時に、推定された残留吸気量の変化と、検出された空燃比の変化とに応じたタイミングで新気導入弁を開弁又は閉弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項3に記載の技術の作用に加え、推定された残留吸気量の変化と、検出された空燃比の変化とに応じた好適なタイミングで、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気が導入され、蒸発燃料が新気により有効に希釈される。あるいは、推定された残留吸気量の変化と、検出された空燃比の変化とに応じた好適なタイミングで、吸気量調節弁より下流の吸気通路への新気導入が遮断され、蒸発燃料の新気による希釈が中止される。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の技術は、請求項1又は2に記載の技術において、エンジンの空燃比を検出するための空燃比検出手段を更に備え、制御手段は、検出された空燃比に基づき蒸発燃料の濃度学習を実行し、新気導入弁の開弁時には、濃度学習を休止することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1又は2に記載の技術の作用に加え、新気導入弁の開弁時には、検出された空燃比に基づく蒸発燃料の濃度学習が休止するので、新気で希釈される蒸発燃料の濃度学習はなされない。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の技術は、請求項1乃至5のいずれかに記載の技術において、新気導入通路の入口より上流の吸気通路を流れる吸気量を検出するための吸気量検出手段を更に備え、制御手段は、新気導入弁を開弁するとき、検出された吸気量に基づき吸気量調節弁を通過した通過吸気量を算出し、蒸発燃料の濃度を調整するために、算出された通過吸気量に応じてパージ調節手段を制御することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の技術の作用に加え、新気導入弁が開弁して吸気量調節弁より下流の吸気通路に新気が導入されるときは、吸気量検出手段により検出される吸気量ではなく、吸気量調節弁を通過した通過吸気量が蒸発燃料の濃度に関わることになる。ここでは、吸気通路への新気導入時に、通過吸気量に応じてパージ調節手段が制御されるので、新気により希釈される前の蒸発燃料の濃度が好適に調整される。
上記目的を達成するために、請求項7に記載の技術は、請求項1乃至6のいずれかに記載の技術において、エンジンから排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路へ還流するための排気還流装置を更に備え、制御手段は、エンジンの減速時であってエンジンに燃料が供給されるときに、排気還流ガスを希釈する要求がある場合は、その要求に応じた排気還流対応開度を求め、蒸発燃料を希釈する要求がある場合は、その要求に応じた蒸発燃料対応開度を求め、排気還流対応開度と蒸発燃料対応開度のうち大きい方を優先的に使用して新気導入弁を制御することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の技術の作用に加え、エンジンの減速時であってエンジンに燃料が供給されるときに、排気還流ガスを希釈する要求がある場合は、その要求に応じた排気還流対応開度が求められ、蒸発燃料を希釈する要求がある場合は、その要求に応じた蒸発燃料対応開度を求められる。そして、排気還流対応開度と蒸発燃料対応開度のうち大きい方を優先的に使用して新気導入弁が制御される。従って、排気還流ガスを希釈する要求と蒸発燃料を希釈する要求の少なくとも一方がある場合は、排気還流対応開度又は蒸発燃料対応開度に基づいて新気導入弁が制御され、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気が導入される。これにより、エンジンの減速時に、吸気量調節弁より下流へ流れた排気還流ガスと蒸発燃料の少なくとも一方が新気により希釈される。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の技術は、請求項1乃至5のいずれかに記載の技術において、制御手段は、エンジンの減速時に、新気導入弁を開弁したときは、新気導入弁の開弁分だけ吸気量調節弁を減速開度より閉じることを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の技術の作用に加え、吸気通路へ新気を導入したときは、その新気の分だけ余分に吸気がエンジンに供給されることになる。ここでは、新気導入弁を開弁した分だけ吸気量調節弁が減速開度より閉じるので、減速時に必要以上の吸気がエンジンに供給されることがない。
上記目的を達成するために、請求項9に記載の技術は、請求項1乃至8のいずれかに記載の技術において、インジェクタは、その流量特性において燃料の微調節が困難な低流量範囲を含み、制御手段は、インジェクタの流量特性からインジェクタによる燃料の微調節が困難になる場合に、吸気通路への新気導入により空燃比制御を補助するために新気導入弁を開弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1乃至8のいずれかに記載の技術の作用に加え、インジェクタの流量特性からインジェクタによる燃料の微調節が困難になる場合は、新気導入弁が開弁されて吸気通路へ新気が導入されるので、エンジンの空燃比制御が新気により補助される。
請求項1に記載の技術によれば、吸気通路に設けられたコンプレッサと、コンプレッサより下流にて吸気通路に設けられた吸気量調節弁と、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入する新気導入装置と、燃料タンクで発生する蒸発燃料をコンプレッサより上流の吸気通路へパージする蒸発燃料処理装置とを備えたエンジンシステムにおいて、エンジン減速時に、過剰濃度の蒸発燃料によりエンジンの空燃比がオーバーリッチ化することを防止することができる。
請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、パージカットからのパージ再開時にも過剰濃度の蒸発燃料によりエンジンの空燃比がオーバーリッチ化することを防止することができる。
請求項3に記載の技術によれば、請求項1又は2に記載の技術の効果に加え、エンジンの空燃比が蒸発燃料の吸入によりオーバーリッチ化することを新気の導入タイミング又は導入遮断タイミングを調整することで確実に防止することができる。
請求項4に記載の技術によれば、請求項3に記載の技術の効果に対し、パージカットからのパージ再開時にも過剰濃度の蒸発燃料によりエンジンの空燃比がオーバーリッチ化することを高い精度で防止することができる。
請求項5に記載の技術によれば、請求項1又は2に記載の技術の効果に加え、蒸発燃料の濃度学習に関する誤学習を防止することができる。
請求項6に記載の技術によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の技術の効果に加え、エンジンの減速時に、パージされる蒸発燃料の高濃度化を防止することができる。
請求項7に記載の技術によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の技術の効果に加え、排気還流ガスによるエンジンの失火と蒸発燃料による空燃比のオーバーリッチ化の少なくとも一方を有効に防止することができる。
請求項8に記載の技術によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の技術の効果に加え、エンジンの減速時に、新気導入により減速感が損なわれることを防止することができる。
請求項9に記載の技術によれば、請求項1乃至8のいずれかに記載の技術の効果に加え、インジェクタの流量特性にかかわらずエンジンの空燃比を目標空燃比に近付けることができる。
第1実施形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、エンジンの概略を示す断面図。 第1実施形態に係り、インジェクタの流量特性を示すグラフ。 第1実施形態に係り、(a)燃料カット、(b)スロットル開度、(c)パージ量の挙動を示すタイムチャート。 第1実施形態に係り、減速時の新気導入制御の内容を示すフローチャート。 第1実施形態に係り、減速時の新気導入制御と共に実行されるパージ制御の内容示すフローチャート。 第1実施形態に係り、新気導入開度に応じた新気導入量を求めるために参照される新気導入量マップ。 第1実施形態に係り、空燃比制御を補助するための別の新気導入制御の内容を示すフローチャート。 第1実施形態に係り、新気導入制御に係る各種パラメータの挙動の一例を示すタイムチャート。 第2実施形態に係り、減速時の新気導入制御の内容を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、図10の続きを示すフローチャート。 第2実施形態に係り、減速直前のエンジン回転速度とエンジン負荷に応じた減速直前のコンプレッサ出口圧力を求めるために参照される出口圧力マップ。 第2実施形態に係り、減速直前のコンプレッサ出口圧力に対する減速直後の残留吸気量の関係を示すグラフ。 第2実施形態に係り、積算通過吸気量の演算処理内容を示すフローチャート。 第3実施形態に係り、減速時の新気導入制御の内容の一部を示すフローチャート。 第3実施形態に係り、減速時の新気導入制御に係る各種パラメータの挙動の一例を示すタイムチャート。 第4実施形態に係り、減速時の新気導入制御の内容を示すフローチャート。
<第1実施形態>
以下、エンジンシステムを具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
[エンジンシステムの構成の概要について]
図1に、この実施形態のエンジンシステムを概略構成図により示す。自動車に搭載されたガソリンエンジンシステム(以下、単に「エンジンシステム」と言う。)は、複数の気筒を有するエンジン1を備える。このエンジン1は、4気筒、4サイクルのレシプロエンジンであり、ピストン及びクランクシャフト等の周知の構成を含む。エンジン1には、各気筒へ吸気を導入するための吸気通路2と、エンジン1の各気筒から排気を導出するための排気通路3が設けられる。吸気通路2と排気通路3には、過給機5が設けられる。吸気通路2には、その上流側から順に吸気入口2a、エアクリーナ4、吸入弁15、過給機5のコンプレッサ5a、電子スロットル装置6、インタークーラ7及び吸気マニホールド8が設けられる。
電子スロットル装置6は、吸気マニホールド8及びインタークーラ7より上流の吸気通路2に配置され、運転者によるアクセル操作に応じて開閉駆動されることで、吸気通路2を流れる吸気量を調節するようになっている。この実施形態で、電子スロットル装置6は、モータ方式の電動弁により構成され、モータ(図示略)により開閉駆動されるスロットル弁6aと、スロットル弁6aの開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ51とを含む。電子スロットル装置6は、この開示技術における吸気量調節弁の一例に相当する。吸気マニホールド8は、エンジン1の直上流に配置され、吸気が導入されるサージタンク8aと、サージタンク8aに導入された吸気をエンジン1の各気筒へ分配するための複数(4つ)の分岐管8bとを含む。排気通路3には、その上流側から順に排気マニホールド9、過給機5のタービン5b及び直列に配置された二つの触媒10,11が設けられる。二つの触媒10,11は、排気を浄化するためのものであり、例えば、三元触媒により構成することができる。
過給機5は、吸気通路2における吸気を昇圧するために設けられ、吸気通路2に配置されたコンプレッサ5aと、排気通路3に配置されたタービン5bと、コンプレッサ5aとタービン5bを一体回転可能に連結する回転軸5cとを含む。タービン5bが、排気通路3を流れる排気により回転動作し、それに連動してコンプレッサ5aが回転動作することにより、吸気通路2を流れる吸気が昇圧されるようになっている。インタークーラ7は、コンプレッサ5aで昇圧された吸気を冷却するようになっている。
図2に、エンジン1の概略を断面図により示す。図2に示すように、エンジン1には、各気筒に対応して燃料を噴射するためのインジェクタ17が設けられる。インジェクタ17は、燃料を貯留するための燃料タンク40(図1参照)から供給される燃料をエンジン1の各気筒へ噴射するように構成される。各気筒では、インジェクタ17から噴射される燃料と吸気マニホールド8から導入される吸気とにより可燃混合気が形成される。インジェクタ17と燃料タンク40は、この開示技術における燃料供給装置を構成する要素である。
また、図2に示すように、エンジン1には、各気筒に対応して点火装置18が設けられる。点火装置18は、各気筒で形成される可燃混合気に点火するように構成される。各気筒内の可燃混合気は、点火装置18の点火動作により爆発・燃焼し、燃焼後の排気は、各気筒から排気マニホールド9、タービン5b及び各触媒10,11を経て外部へ排出される。このとき、各気筒では、ピストン19が上下運動し、クランクシャフト20が回転することにより、エンジン1に動力が得られる。
[EGR装置の構成について]
この実施形態のエンジンシステムは、低圧ループタイプの排気還流装置(EGR装置)21を備える。このEGR装置21は、各気筒から排気通路3へ排出される排気の一部を排気還流ガス(EGRガス)として吸気通路2へ流してエンジン1の各気筒へ還流させるための排気還流通路(EGR通路)22と、EGR通路22におけるEGRガス流量を調節するための排気還流弁(EGR弁)23とを備える。EGR通路22は、入口22aと出口22bを含む。EGR通路22の入口22aは、触媒10と触媒11との間の排気通路3に接続され、同通路22の出口22bは、コンプレッサ5aと吸入弁15との間の吸気通路2に接続される。また、EGR弁23より上流のEGR通路22には、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ24が設けられる。
この実施形態で、EGR弁23は、モータ方式の電動弁により構成され、モータ(図示略)により開度可変に駆動される弁体(図示略)を備える。このEGR弁23として、大流量、高応答及び高分解能の特性を有することが望ましい。この実施形態では、EGR弁23の構造として、例えば、特許第5759646号公報に記載される「二重偏心弁」を採用することができる。この二重偏心弁は、大流量制御に対応して構成される。
このエンジンシステムにおいて、過給機5が作動する過給域(吸気量が相対的に多くなる領域)において、EGR弁23が開弁する。これにより、排気通路3を流れる排気の一部が、EGRガスとして、入口22aからEGR通路22に流入し、EGRクーラ24及びEGR弁23を経由して吸気通路2へ流れ、コンプレッサ5a、電子スロットル装置6、インタークーラ7及び吸気マニホールド8を経由してエンジン1の各気筒へ還流される。
この実施形態において、エアクリーナ4より下流であってEGR通路22の出口22bより上流の吸気通路2には、同通路2の流路面積を調節するための吸入弁15が設けられる。この実施形態で、吸入弁15は、モータ方式の電動弁より構成され、開閉駆動されるバタフライ弁15aを備える。この吸入弁15は、EGR通路22の出口22bから吸気通路2へEGRガスを導入するときに、その出口22b近傍の吸気を負圧にするためにバタフライ弁15aの開度を絞るようになっている。
[新気導入装置の構成について]
この実施形態のエンジンシステムは、電子スロットル装置6より下流の吸気通路2(吸気マニホールド8)へ新気を導入するための新気導入装置30を備える。新気導入装置30は、新気導入通路31と、電動式の新気導入弁32とを含む。新気導入通路31は、その入口31aが吸入弁15よりも上流の吸気通路2に接続される。新気導入弁32は、新気導入通路31に設けられ、同通路31から吸気通路2へ流れる新気導入量を調節するようになっている。新気導入通路31の出口側には、吸気マニホールド8の各分岐管8bのそれぞれに新気を分配するための新気分配管33が設けられる。すなわち、新気導入通路31の出口側は、電子スロットル装置6より下流の吸気通路2(吸気マニホールド8)に、新気分配管33を介して接続される。新気分配管33は、長尺な管状をなし、複数の分岐管8bを横切るように吸気マニホールド8に設けられる。新気分配管33は、新気が導入される一つの入口33aと、複数の分岐管8bのそれぞれに連通する複数の出口33bとを含む。その入口33aには、新気導入通路31の出口側が接続される。
[蒸発燃料処理装置の構成について]
この実施形態において、燃料供給装置は燃料を貯留する燃料タンク40を備える。また、このエンジンシステムは、燃料タンク40で発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気へ放出させることなく捕集して処理するための蒸発燃料処理装置41を備える。この装置41は、キャニスタ42、パージ通路43、パージポンプ44及びパージ弁45を含む。キャニスタ42は、燃料タンク40で発生するベーパを、ベーパ通路46を通じて一旦捕集するようになっている。キャニスタ42は、ベーパを吸着する吸着剤(図示略)を内蔵する。パージ通路43は、キャニスタ42から延び、その出口43aは、新気導入通路31の入口31aと吸入弁15との間の吸気通路2に接続される。パージポンプ44とパージ弁45は、それぞれ電動式で構成され、パージ通路43に設けられる。パージポンプ44は、キャニスタ42からベーパを吸引してパージ通路43へ吐出するようになっている。パージ弁45は、パージ通路43におけるベーパ流量を調節するようになっている。キャニスタ42に設けられる大気口42aは、ベーパがパージ通路43へパージされるときに、キャニスタ42へ大気を導入するようになっている。パージポンプ44及びパージ弁45は、この開示技術におけるパージ調節手段の一例に相当する。
この蒸発燃料処理装置41によれば、エンジン1の運転時に、吸気通路2で発生する負圧がパージ通路43等を通じてキャニスタ42に作用するときに、パージポンプ44及びパージ弁45を作動させることで、キャニスタ42に捕集されたベーパをパージ通路43を通じて吸気通路2へパージする。パージされたベーパは、エンジン1に吸入されて燃焼に供され、処理される。
[エンジンシステムの電気的構成について]
図1に示すように、このエンジンシステムに設けられる各種センサ等51〜58は、エンジン1の運転状態を検出するためのこの開示技術の運転状態検出手段の一例に相当する。エアクリーナ4の近傍に設けられるエアフローメータ52は、エアクリーナ4から吸気通路2へ流れる吸気量Gaを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エアフローメータ52は、この開示技術における吸気量検出手段の一例に相当する。サージタンク8aに設けられる吸気圧センサ53は、電子スロットル装置6より下流の吸気圧力PMを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エンジン1に設けられる水温センサ54は、エンジン1の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エンジン1に設けられる回転速度センサ55は、クランクシャフトの回転速度をエンジン1の回転速度(エンジン回転速度)NEとして検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。排気通路3に設けられる酸素センサ56は、排気通路3へ排出される排気中の酸素濃度(出力電圧)Oxを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。酸素センサ56は、この開示技術における空燃比検出手段の一例に相当する。運転席に設けられるアクセルペダル16には、アクセルセンサ57が設けられる。アクセルセンサ57は、アクセルペダル16の踏み込み角度をアクセル開度ACCとして検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。車両に設けられる車速センサ58は、車両の走行速度(車速)SPDを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。
このエンジンシステムは、各種制御を司る電子制御装置(ECU)60を備える。ECU60には、各種センサ等51〜58がそれぞれ接続される。また、ECU60には、電子スロットル装置6、吸入弁15、各インジェクタ17、各点火装置18、EGR弁23、新気導入弁32、パージポンプ44及びパージ弁45等がそれぞれ接続される。ECU60は、この開示技術における制御手段の一例に相当する。
この実施形態で、ECU60は、各種センサ等51〜58から出力される各種信号を入力し、それら信号に基づいて燃料噴射制御及び点火時期制御を実行するために、各インジェクタ17及び各点火装置18をそれぞれ制御するようになっている。また、ECU60は、各種信号に基づいて吸気制御、EGR制御、新気導入制御及びパージ制御を実行するために、電子スロットル装置6、吸入弁15、EGR弁23、新気導入弁32、パージポンプ44及びパージ弁45をそれぞれ制御するようになっている。
ここで、吸気制御とは、運転者によるアクセルペダル16の操作に応じたアクセルセンサ57の検出値に基づき、電子スロットル装置6を制御することにより、エンジン1に導入される吸気量を制御することである。ECU60は、エンジン1の減速時には、吸気を減量するために電子スロットル装置6(スロットル弁6a)を閉弁方向へ制御するようになっている。EGR制御とは、エンジン1の運転状態に応じてEGR弁23を制御することにより、エンジン1に還流されるEGRガス流量を制御することである。ECU60は、エンジン1の減速時には、EGRガスの還流を遮断(EGRカット)するために、EGR弁23を全閉に制御するようになっている。新気導入制御とは、エンジン1の運転状態に応じて新気導入弁32を制御することにより、電子スロットル装置6より下流の吸気マニホールド8に導入される新気導入量を制御することである。パージ制御とは、エンジン1の運転状態に応じてパージポンプ44及びパージ弁45を制御することにより、キャニスタ42から吸気通路2へのベーパのパージ量を制御することである。
周知のようにECU60は、中央処理装置(CPU)、各種メモリ、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。メモリには、エンジン1の各種制御に関する所定の制御プログラムが格納される。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ等51〜58の検出値に基づき、所定の制御プログラムに基づいて前述した各種制御を実行するようになっている。この実施形態で、ECU60は、この開示技術における制御手段の一例に相当する。
上記エンジンシステムでは、パージ通路43の出口43aからエンジン1の燃焼室までの吸気通路2の経路が比較的長く、その部分の容積が比較的大きくなっている。そのため、エンジン1の定常運転からの減速時には、パージ弁45を閉弁しベーパの吸気通路2へのパージを遮断(パージカット)しても、出口43aからエンジン1までの吸気通路2にベーパが残留することになる。そのため、エンジン1の減速時には、残留ベーパを含む吸気がエンジン1に吸入されるまでの間、ベーパがエンジン1に吸入されることになる。この結果、エンジン1の空燃比がオーバーリッチとなり、排気エミッションが悪化するおそれがある。一方、エンジン1の過給運転からの減速時には、同様にパージカットをしても、吸気通路2に残留するベーパが高密度になる。そのため、スロットル弁6aが閉弁されることで、残留ベーパを含む吸気がコンプレッサ5aより上流の吸気通路2へ逆流(吹き戻し)してしましい、吸気通路2において、ベーパが残留する範囲が拡大してしまう。更に、パージカット後にパージを再開するときは、過剰濃度のベーパ発生を確実に回避するために、パージ再開を遅らせる必要がある。しかしながら、単にパージ量を減少させても、パージエミッションが悪化するおそれがある。そこで、この実施形態では、上記課題に対処するために、新気導入装置30を使用して次のような新気導入制御を実行するようになっている。
[新気導入制御に関連したインジェクタの課題について]
ここで、新気導入制御に関連したインジェクタ17の課題について説明する。図3に、インジェクタ17の流量特性(噴射時間に対する噴射量の関係)をグラフにより示す。図3に実線で示すように、インジェクタ17の噴射量は、噴射時間に対して直線的に変化せず、低噴射時間側で曲線的に変化し、しかも噴射量が得られない範囲を有する。そのため、低噴射時間側では、流量特性が安定しないので、下限噴射時間TAUmin(0.7〜1.0ms)以上の範囲(有効使用範囲UR)でインジェクタ17を使用する必要がある。従って、エンジン1の減速域(軽負荷域)では、エンジン1の運転行程当たりの吸気量が少ないので、過剰濃度のベーパがエンジン1に吸入されると、インジェクタ17からの噴射量を減量しても、下限噴射時間TAUmin以上でしか噴射することができない。そのため、エンジン1に吸入される可燃混合気による空燃比を目標空燃比に制御できなくなるおそれがある。
また、過剰濃度のベーパがエンジン1に吸入される場合は、インジェクタ17の噴射量を減量することで空燃比を目標空燃比に制御することができる。しかし、この場合でも、インジェクタ17の噴射量を減量し過ぎると、空燃比が急減少することがある。この場合、インジェクタ17による噴射量制御が追従できず、空燃比がオーバーリーンとなってエンストに至るおそれがある。そのため、インジェクタ17の噴射量に減量ガードを設ける必要がある。従って、エンジン1が減速以外の運転状態でも、エンジン1が過剰濃度のベーパを吸入すると、インジェクタ17の減量ガードに掛かってしまい、空燃比を目標空燃比に制御できなくなるおそれがある。ここで、過剰濃度のベーパになる範囲は狭く、吸気量が少なくなるエンジン1の運転領域(例えば、軽負荷域)である。よって、エンジン1の減速時には、上記と同様の問題が発生するおそれがある。ここで、吸気量が多くなる運転領域(例えば、高負荷域)では、過剰濃度のベーパと通常濃度のベーパを併せて吸入するので、ベーパ濃度全体としては、過剰濃度に至らず、問題発生には至らないと考えられる。
[蒸発燃料処理装置を使用したパージ制御精度とパージ量の課題について]
加えて、蒸発燃料処理装置41を使用したパージ制御精度とパージ量の課題について説明する。図4に、(a)燃料カット(F/C)、(b)スロットル開度TA、(c)パージ量の挙動をタイムチャートにより示す。パージ制御精度を向上させるためには、次のような対策を考えることができる。一つは、パージ再開時に過剰濃度のベーパがエンジン1に吸入されるのを確実に回避するために、パージ再開時期を遅らせることが考えられる。図4において、スロットル開度TAが急減し始める時刻t1にパージカットが行われると、スロットル開度TAが「0」になる時刻t2から時刻t3の間で燃料カット(F/C)が実行される。その後、スロットル開度TAが増加し始める時刻t6よりも前の時刻t5からパージを再開させ、通常の再開時刻t4よりも再開時刻を所定時間T1だけ遅らせる。二つ目に、パージ再開時には、パージ通路43の出口43aからエンジン1までの吸気通路2の経路が長いことによるベーパ供給遅れが生じるので、オーバーシュートによる過剰パージを回避するために、実線で示すように、パージ量を比較的緩やかに増加させることが考えられる。通常は、破線で示すように、段階的に急増させていたが、実線で示すように増加速度を一定にするのである。
[減速時の新気導入制御について]
次に、この実施形態における減速時の新気導入制御について説明する。図5に、その内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU60は、アクセルセンサ57及び回転速度センサ55の検出値に基づき、アクセル開度ACCとエンジン回転速度NEを取り込む。
次に、ステップ110で、ECU60は、エンジン1の運転が減速又はアイドルかを判断する。ECU60は、アクセル開度ACC及びエンジン回転速度NEに基づきこの判断を行うことができる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ120へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ180へ移行する。ここで、ECU60は、エンジン1の減速時には、スロットル弁6aを、開弁状態から所定の減速開度(全閉に近い開度)へ閉弁するようになっている。
ステップ180では、エンジン1の運転が定常又は加速であることから、ECU60は、吸気マニホールド8への新気導入を遮断するために、新気導入弁32を閉弁する。
次に、ステップ190では、ECU60は、定常時又は加速時のスロットル制御を実行する。すなわち、ECU60は、アクセル開度ACCに応じた目標スロットル開度を求め、電子スロットル装置6を目標スロットル開度に制御する。その後、ECU60は、処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ120では、エンジン1の減速時又はアイドル時であることから、ECU60は、ベーパのパージ実行中からの減速か否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ130へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ160へ移行する。
ステップ130では、減速時であることから、ECU60は、パージカットを実行する。すなわち、ECU50は、ベーパのパージを遮断するために、少なくともパージ弁45を閉弁する。
次に、ステップ140で、ECU60は、吸気マニホールド8に新気を導入するために、新気導入弁32を開弁する。
次に、ステップ150で、ECU60は、新気導入弁32の開弁分だけ減速時のスロットル弁6aを通常の減速開度より閉じる。そのために、ECU60は、電子スロットル装置6を制御する。その後、ECU60は、処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ160では、パージカットからの減速時であることから、ECU60は、吸気マニホールド8への新気導入を遮断するために、新気導入弁32を閉弁する。
次に、ステップ170で、ECU60は、減速時のスロットル制御を実行する。すなわち、ECU60は、エンジン1を減速させるためにスロットル弁6aを通常の減速開度(全閉に近い微小開度)にするために、電子スロットル装置6を制御する。その後、ECU60は、処理をステップ100へ戻す。
上記の新気導入制御によれば、ECU60は、パージ実行中からのエンジン1の減速時に、エンジン1に吸入される吸気を絞るためにスロットル弁6aを開弁状態から所定の減速開度へ閉弁し、ベーパの吸気通路2へのパージを遮断(パージカット)するためにパージ弁45を閉弁すると共に、スロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ新気を導入するために新気導入弁32を閉弁状態から開弁するようになっている。
また、上記の新気導入制御によれば、ECU60は、エンジン1の減速時に、新気導入弁32を開弁したときは、その開弁分だけスロットル弁6aを通常の減速開度より閉じるように電子スロットル装置6を制御するようになっている。
[パージ制御について]
次に、上記した減速時の新気導入制御と共に実行されるパージ制御について説明する。図6に、その制御内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ700で、ECU60は、エアフローメータ52の検出値に基づき吸気量Gaを取り込む。
次に、ステップ710で、ECU60は、目標パージ率FGP%を取り込む。ECU60は、この目標パージ率FGP%を、エンジン1の運転状態に応じて算出するようになっている。
次に、ステップ720で、ECU60は、新気導入弁32が開弁しているか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ730へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ790へ移行する。
ステップ730で、ECU60は、新気導入弁32の開弁(新気導入開度TAA)の分だけ減速時のスロットル弁6aを通常より閉じる。そのためにECU60は電子スロットル装置6を制御する。
次に、ステップ740で、ECU60は、新気導入開度TAAに応じた新気導入量GaAを求める。ECU60は、例えば、図7に示す新気導入量マップを参照することにより、新気導入開度TAAに応じた新気導入量GaAを求めることができる。
次に、ステップ750で、ECU60は、吸気量Gaから新気導入量GaAを減算することにより、スロットル弁6aを通過した吸気量(スロットル通過吸気量)GaTを求める。
次に、ステップ760で、ECU60は、スロットル通過吸気量GaTに目標パージ率FGP%を乗算し「100」で除算することにより、目標パージ量FGPを求める。
次に、ステップ770で、ECU60は、後述するベーパ濃度学習を強制休止する。
そして、ステップ780で、ECU60は、パージ量が目標パージ量FGPになるようにパージ弁45を制御する。その後、ECU60は、処理をステップ700へ戻す。
一方、ステップ720から移行してステップ790では、ECU60は、吸気量Gaに目標パージ率FGP%を乗算し「100」で除算することにより、目標パージ量FGPを求める。
次に、ステップ800で、ECU60は、ベーパ濃度学習を実行する。すなわち、ECU60は、酸素センサ56で検出された酸素濃度Ox等に基づきベーパ濃度学習を実行する。ECU60は、このベーパ濃度学習で得られた学習値をメモリに記憶すると共に燃料噴射制御等に反映させるようになっている。その後、ECU60は、処理をステップ780へ移行する。
上記のパージ制御によれば、ECU60は、酸素センサ56の検出による酸素濃度Oxからエンジン1の空燃比を算出し、その空燃比に基づいてベーパ濃度学習を実行する。また、ECU60は、新気導入弁32の開弁時、すなわち吸気マニホールド8への新気導入時には、そのベーパ濃度学習を休止するようになっている。ここで、新気導入時には、エンジン1に吸入されるベーパが強制的に希釈される。従って、上記パージ制御によれば、ベーパを強制的に希釈するときに、ベーパ濃度学習を強制的に休止することになる。
また、このエンジンシステムにおいて、新気導入時には、スロットル通過吸気量GaTは、エアフローメータ52により検出された吸気量Gaから新気導入量GaAを差し引いた量となる。そこで、上記のパージ制御によれば、ECU60は、新気導入弁32を開弁するとき、検出された吸気量Gaに基づきスロットル通過吸気量GaTを算出し、ベーパ濃度を調整するために、算出されたスロットル通過吸気量GaTに応じてパージポンプ44及びパージ弁45のうち少なくともパージ弁45を制御するようになっている。
[インジェクタによる空燃比制御を補助するための別の新気導入制御について]
次に、インジェクタ17による空燃比制御を補助するための別の新気導入制御について説明する。図8に、その別の新気導入制御の内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ1100で、ECU60は、ベーパパージ中の実噴射率FAFVを取り込む。ここで、実噴射率FAFVは、実際にインジェクタ17から噴射される実噴射量(ストイキ)を吸気量Gaに対する基本噴射量(ストイキ)により除算することで得られる値である。
次に、ステップ1110で、ECU60は、燃料噴射量制御で求められ、インジェクタ17から噴射した噴射時間TAUを取り込む。
次に、ステップ1120で、ECU60は、新気導入フラグXAIRが「0」であるか否かを判断する。このフラグXAIRは、後述するように新気導入時に「1」に設定されるようになっている。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1130へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1180へ移行する。
ステップ1130では、新気導入が行われていないことから、ECU60は、実噴射率FAFVが、実噴射率の下限値FAFminに所定値α1を加算した値よりも小さいか否かを判断する。ここでは、インジェクタ17による噴射量の減量限界直前であるか否かを判断することになる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1140へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1170へ移行する。
ステップ1140では、ECU60は、インジェクタ17による噴射量の減量限界直前であることから、新気導入弁32を全開に開弁する。
次に、ステップ1150で、ECU60は、新気導入フラグXAIRを「1」に設定する。
次に、ステップ1160で、ECU60は、新気導入弁32を全開に開弁した分だけスロットル弁6aを閉弁させ、処理をステップ1100へ戻す。
一方、ステップ1170では、ECU60は、噴射時間TAUが、下限噴射時間TAUminに所定値α2を加算した値より小さいか否かを判断する。ここでは、インジェクタ17による下限噴射量直前であるか否かを判断することになる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1140へ戻し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1100へ移行する。
一方、ステップ1120から移行してステップ1180では、新気導入中であることから、ECU60は、実噴射率FAFVが、実噴射率の下限値FAFminに所定値β1を加算した値よりも大きいか否かを判断する。ここでは、インジェクタ17による噴射量の減量限界回避であるか否かを判断することになる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1190へ移行し、この判断結果が否定となる場合は、新気導入を継続するために処理をステップ1100へ戻す。
そして、ステップ1190では、ECU60は、噴射時間TAUが、下限噴射時間TAUminに所定値β2を加算した値よりも大きいか否かを判断する。ここでは、インジェクタ17による下限噴射量回避であるか否かを判断することになる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1200へ移行し、この判断結果が否定となる場合は、新気導入を継続するために処理をステップ1100へ戻す。
ステップ1200では、ECU60は、インジェクタ17による噴射量が下限噴射量となることを回避するために、新気導入弁32を全閉に閉弁する。
次に、ステップ1210で、ECU60は、新気導入フラグXAIRを「0」に設定する。
次に、ステップ1220で、ECU60は、新気導入弁32を全閉に閉弁した分だけスロットル弁6aを開弁させ、処理をステップ1100へ戻す。
上記の新気導入制御によれば、ECU60は、インジェクタ17の流量特性からインジェクタ17による空燃比制御が困難になる場合に、吸気マニホールド8への新気導入により空燃比制御を補助するために新気導入弁32を開弁するようになっている。
図9に、上記した新気導入制御に係る各種パラメータの挙動の一例をタイムチャートにより示す。図9の各種パラメータは、(a)スロットル開度TA、(b)燃料カットF/C、(c)パージ、(d)新気導入開度TAA、(e)噴射時間TAU、(f)パージ中の実噴射率FAFVを含む。図9において、時刻t1で、エンジン1が減速を開始すると、時刻t2〜時刻t3の間で、燃料カットF/Cとパージカットがなされ、噴射時間TAUが一旦「0」となり、実噴射率FAFVは一旦「1.0」となる。
その後、図9(d)において、実線(太線)は噴射時間TAUに応じて新気導入弁32を制御する場合を示し、破線は実噴射率FAFVに応じて新気導入弁32を制御する場合を示す。すなわち、時刻t4で、噴射時間TAUが、その下限噴射時間TAUminと所定値α2との加算値を下回ると、新気導入開度TAAが全閉から全開となる。この全開は、その後、時刻t7で、噴射時間TAUが、その下限噴射時間TAUminと所定値β2(>α2)との加算値に達するまで続き、この間の所定時間T2だけ新気導入が続けられる。一方、時刻t5で、実噴射率FAFVが、定数aと所定値α1との加算値を下回ると、新気導入開度TAAが全閉から全開となる。この全開は、その後、時刻t6で、実噴射率FAFVが、定数aと所定値β1(>α1)との加算値に達するまで続き、この間の所定時間T3だけ新気導入が続けられる。このようにインジェクタ17によるエンジン1の空燃比制御が困難になったときに、新気導入弁32を全開にして吸気マニホールド8へ新気を導入することにより空燃比を制御することができる。
以上説明したこの実施形態のエンジンシステムの構成によれば、パージ実行中からのエンジン1の減速時には、エンジン1に吸入される吸気を絞るためにスロットル弁6aが開弁状態から所定の減速開度へ閉弁し、ベーパの吸気通路2へのパージを遮断(パージカット)するためにパージ弁45が閉弁する。このため、スロットル弁6aより上流の吸気通路2には、吸気通路2へのパージを遮断する前に流入したベーパを含む吸気が残留し、その吸気がスロットル弁6aより下流の吸気通路2(吸気マニホールド8)へ流れてエンジン1に吸入される。この吸気に含まれるベーパが、エンジン1の空燃比をオーバーリッチ化するおそれがある。この実施形態の構成によれば、エンジン1の減速時には、吸気マニホールド8へ新気を導入するために新気導入弁32が閉弁状態から開弁する。従って、ベーパを含む吸気がスロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ流れても、その部分に新気導入通路31から新気が導入され、ベーパが強制的に希釈されてからエンジン1に吸入される。このため、吸気通路2に設けられた過給機5のコンプレッサ5aと、コンプレッサ5aより下流にて吸気通路2に設けられた電子スロットル装置6(スロットル弁6a)と、スロットル弁6aより下流の吸気通路(吸気マニホールド8)へ新気を導入する新気導入装置30と、燃料タンク40で発生するベーパをコンプレッサ5aより上流の吸気通路2へパージする蒸発燃料処理装置41とを備えたエンジンシステムにおいて、エンジン1の減速時に、過剰濃度のベーパによりエンジン1の空燃比がオーバーリッチ化することを防止することができる。
この実施形態の構成によれば、吸気マニホールド8へ新気を導入したときは、その新気の分だけ余分に吸気がエンジン1に供給されることになる。ここでは、新気導入弁32を開弁した分だけスロットル弁6aが通常の減速開度より閉じるので、減速時に必要以上の吸気がエンジン1に供給されることがない。このため、エンジン1の減速時に、新気導入により減速感が損なわれることを防止することができる。
この実施形態の構成によれば、新気導入弁32の開弁時には、検出された空燃比に基づくベーパ濃度学習を休止するので、新気で希釈されるベーパの濃度学習はなされない。このため、ベーパの濃度学習に関する誤学習を防止することができる。
この実施形態の構成によれば、新気導入弁32が開弁してスロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ新気が導入されるときは、エアフローメータ52により検出される吸気量Gaではなく、スロットル通過吸気量GaTがベーパの濃度に関わることになる。ここでは、吸気マニホールド8への新気導入時に、スロットル通過吸気量GaTに応じてパージ弁45の開度が制御されるので、新気により希釈される前のベーパの濃度が好適に調整される。このため、エンジン1の減速時に、パージされるベーパの高濃度化を防止することができる。
この実施形態の構成によれば、インジェクタ17の流量特性からインジェクタ17による燃料の微調節が困難になる場合は、新気導入弁32が開弁されて吸気マニホールド8へ新気が導入されるので、エンジン1の空燃比制御が新気により補助される。このため、インジェクタ17の流量特性にかかわらずエンジン1の空燃比を目標空燃比に近付けることができる。
<第2実施形態>
次に、エンジンシステムを具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
[減速時の新気導入制御について]
この実施形態では、減速時の新気導入制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図10、図11に、その制御内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ200で、ECU60は、スロットルセンサ51、回転速度センサ55、アクセルセンサ57及び車速センサ58の検出値に基づき、アクセル開度ACC、アクセル開閉速度ΔACC、車速SPD、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLをそれぞれ取り込むと共に、取り込まれた値に基づきエンジン1の運転パターン(定常、加速、減速、アイドル等)を判定する。
次に、ステップ210で、ECU60は、ベーパのパージ実行状態を取り込む。ECU60は、パージ弁45の制御状態からこの実行状態を判断することができる。
次に、ステップ220で、ECU60は、燃料カット状態を取り込む。ECU60は、インジェクタ17の制御状態から燃料カット状態を判断することができる。
次に、ステップ230で、ECU60は、エンジン1の運転が減速又はアイドルかを判断する。ECU60は、ステップ200の判定結果に基づきこの判断を行うことができる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ240へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ510へ移行する。
ステップ510では、エンジン1の運転が定常時又は加速時であることから、ECU60は、吸気マニホールド8への新気導入を遮断するために、新気導入弁32を閉弁する。
次に、ステップ520では、ECU60は、定常時又は加速時のスロットル制御を実行する。すなわち、ECU60は、アクセル開度ACCに応じた目標スロットル開度を求め、電子スロットル装置6を目標スロットル開度に制御する。その後、ECU60は、処理をステップ200へ戻す。
一方、ステップ240では、エンジン1の運転が減速時又はアイドル時であることから、ECU60は、減速時には、減速直前のエンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに基づき、マップ参照により減速直前のコンプレッサ5aの出口圧力(コンプレッサ出口圧力)PCを求める。ECU60は、例えば、図12に示すような出口圧力マップを参照することにより、減速直前のエンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた減速直前のコンプレッサ出口圧力PCを求めることができる。
次に、ステップ250で、ECU60は、エンジン1の運転がパージ実行中からの減速であるか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ260へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ420へ移行する。
ステップ260では、ECU60は、減速直前のコンプレッサ出口圧力PCに応じた減速直後の残留吸気量VGaを取り込む。ここで、残留吸気量VGaは、スロットル弁6aより上流の吸気通路2に残留するベーパを含有した吸気量を意味する。ここで、図13に、減速直前のコンプレッサ出口圧力PCに対する減速直後の残留吸気量VGaの関係をグラフにより示す。図13に示すように、低圧から大気圧までの非過給域では、残留吸気量VGaは、コンプレッサ出口圧力PCにかかわらず所定の定数aとなり、過給域ではコンプレッサ出口圧力PCの増加にともなって直線的に増加する。ECU60は、図13に示すグラフの特性に準ずる特性マップを参照することにより、減速直前のコンプレッサ出口圧力PCに応じた減速直後の残留吸気量VGaを得ることができる。
次に、ステップ270で、ECU60は、減速開始時からスロットル弁6aを通過した積算通過吸気量TGaTを取り込む。この積算通過吸気量TGaTの算出については後述する。
次に、ステップ280で、ECU60は、エンジン1の運転が過給域からの減速であるか否かを判断する。ECU60は、吸気圧センサ53の検出値に基づきこの判断を行うことができる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ290へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ440へ移行する。
ステップ290では、エンジン1の運転が過給域からの減速時であることから、ECU60は、パージ再開フラグXPRが「0」であるか否かを判断する。後述するように、ECU60は、パージを遮断するパージカットからパージを再開した場合にパージ再開フラグXPRを「1」に設定するようになっている。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ300へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ360へ移行する。
ステップ300では、ECU60は、エンジン1の運転が過給域からの減速時であってパージが未再開であることから、パージカットを実行する。すなわち、ECU50は、ベーパのパージを遮断するために、パージ弁45を閉弁する。
次に、ステップ310で、ECU60は、パージ再開フラグXPRを「0」に設定する。
次に、ステップ320で、ECU60は、パージ通路43の出口43aより上流の吸気通路2における第1の残留吸気量IV1を、以下の式(F1)によって算出する。
IV1=VGa−(TGaT+a)+α ・・・(F1)
ここで、「a」は、所定の定数であり、例えば、「6(g)」を当てはめることができる。この「a」は、パージ通路43の出口43aからスロットル弁6aまでの吸気通路2に含まれる吸気の質量を意味する。「α」は、積算通過吸気量TGaTがそのバラツキの下限値であっても、出口43aより上流の吸気通路2にベーパを確実に滞留させなくするための所定の定数である。
次に、ステップ330で、ECU60は、第1の残留吸気量IV1が「0」以下であるか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ340へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ360へ移行する。
ステップ340では、出口43aより上流の吸気通路2における残留ベーパの掃気が完了したものとして、ECU60は、パージ再開を実行する。すなわち、ECU60は、パージ弁45を開弁する。
次に、ステップ350で、ECU60は、パージ再開フラグXPRを「1」に設定し、処理をステップ200へ戻す。
一方、ステップ290からステップ360へ移行する場合は、エンジン1の運転が過給域からの減速時であってパージが再開されており、ステップ330からステップ360へ移行する場合は、出口43aより上流の吸気通路2における残留ベーパの掃気が未完了となっている。これらの場合は、ステップ360で、ECU60は、出口43aより下流の吸気通路2における第2の残留吸気量IV2を、以下の式(F2)によって算出する。
IV2=VGa−TGaT−β ・・・(F2)
ここで、「β」は、積算通過吸気量TGaTがそのバラツキの下限値であっても、パージ再開後のベーパがエンジン1に吸入される前に新気導入弁32の開弁を確実に判定するための所定の定数である。
次に、ステップ370で、ECU60は、第2の残留吸気量IV2が「0」以下であるか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ380へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ420へ移行する。
ステップ380では、ECU60は、パージ再開によるベーパがエンジン1に吸入される前であることから、新気導入弁32を所定値A%だけ開弁する。
次に、ステップ390では、ECU60は、新気導入弁32を開弁した分(所定値A%)だけ減速時のスロットル弁6aを通常より閉じるために、電子スロットル装置6を制御する。
次に、ステップ400では、ECU60は、出口43aより下流の吸気通路2における第3の残留吸気量IV3を、以下の式(F3)によって算出する。
IV3=VGa−TGaT+γ ・・・(F3)
ここで、「γ」は、積算通過吸気量TGaTがそのバラツキの下限値であっても、パージ再開後のベーパがエンジン1に吸入された後に新気導入弁32の閉弁を確実に判定するための所定の定数である。
次に、ステップ410では、ECU60は、第3の残留吸気量IV3が「0」以上であるか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ戻し、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ420へ移行する。
そして、ステップ250、ステップ370又はステップ410から移行してステップ420では、ECU60は、吸気マニホールド8への新気導入を遮断するために、新気導入弁32を閉弁する。
次に、ステップ430では、ECU60は、減速時のスロットル制御を実行し、処理をステップ200へ戻す。
一方、ステップ280から移行してステップ440では、エンジン1の運転が非過給域からの減速時であることから、ECU60は、燃料カット復帰フラグXFCRが「0」であるか否かを判断する。後述するように、ECU60はこのフラグXFCRを、燃料カットからの復帰時に「1」に設定するようになっている。ECU60は、このステップ440の判断結果が肯定となる場合は処理をステップ450へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ500へ移行する。
ステップ450では、燃料カットからの復帰でないことから、ECU60は、減速燃料カット(エンジン1の減速時かつ燃料供給遮断)中か否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ460へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ戻す。
ステップ460では、減速燃料カット中であることから、ECU60は、パージカットを実行する。すなわち、ECU60は、パージ弁45を閉弁する。
次に、ステップ470で、ECU60は、パージ再開フラグXPRを「0」に設定する。
次に、ステップ480で、ECU60は、減速燃料カットからの復帰であるか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ490へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ戻す。
ステップ490では、ECU60は、燃料カット復帰フラグXFCRを「1」に設定し、処理をステップ340へ移行する。
一方、ステップ440から移行してステップ500では、パージ再開済みであることから、ECU60は、パージを継続させる。すなわち、ECU60は、パージ弁45の開弁とパージポンプ44のオンを継続し、処理をステップ200へ戻す。
上記の新気導入制御によれば、ECU60は、パージ実行中からのエンジン1の減速時に、エンジン1に吸入される吸気を絞るためにスロットル弁6aを開弁状態から所定の減速開度へ閉弁し、パージカットするためにパージ弁45を閉弁すると共に、吸気マニホールド8へ新気を導入するために新気導入弁32を閉弁状態から開弁するようになっている。
また、上記の新気導入制御によれば、ECU60は、エンジン1の減速時に、新気導入弁32を開弁したときは、その開弁分だけスロットル弁6aを通常の減速開度より閉じるように電子スロットル装置6を制御するようになっている。
上記の新気導入制御によれば、ECU60は、エンジン1の減速時に、パージカットしてからパージ再開するときは、パージ弁45を開弁すると共に、吸気マニホールド8へ新気を導入するために新気導入弁32を開弁するようになっている。
上記の新気導入制御によれば、ECU60は、エンジン1の減速時に、検出された吸気量Gaに基づきスロットル弁6aより上流の吸気通路2に残留するベーパを含む残留吸気量VGaを推定し、推定された残留吸気量VGaの変化に応じたタイミングで新気導入弁32を開弁又は閉弁するようになっている。
より詳しくは、上記の新気導入制御において、ECU60は、減速燃料カット及びパージカット直前にスロットル弁6aより上流の吸気通路2に残留する残留吸気量VGaを推定すると共に、エンジン1の減速開始からスロットル弁6aを通過した積算通過吸気量TGaTを求め、残留吸気量VGaと積算通過吸気量TGaTとの差がほぼなくなったときにパージ再開を実行するようになっている。ここで、パージ通路43の出口43aより上流の吸気通路2にベーパが逆流しているときにパージを再開すると、その逆流したベーパの分だけエンジン1に吸入されるベーパが過剰濃度になってしまう。一方、これを避けるためにパージ再開タイミングを単に遅らせるだけでは、エンジン1の運転時にパージ量が不足するおそれがある。そこで、ECU60は、出口43aより上流の吸気通路2に逆流したベーパがエンジン1に吸入されて無くなるタイミング、すなわち、第1の残留吸気量IV1が「0」以下となるタイミングを、最適なパージ再開タイミングとしてパージ弁45を開弁するようになっている。
また、上記の新気導入制御において、ECU60は、過給域からの減速時には、減速燃料カットが作用しなくても、パージカットを実行し、出口43aより上流の吸気通路2に逆流したベーパを含む残留吸気量VGaが無くなってからパージを再開するためにパージ弁45を開弁するようになっている。ここでは、過給域からの減速時にパージカットしてからパージを再開するタイミングは上記と同じである。また、非過給域からの減速時には、パージを継続していてもベーパが過剰になることはないので、減速時にパージカットすることは必須ではなく、パージカットしなければその分だけパージ量を増加させることができる。
更に、上記の新気導入制御において、ECU60は、減速燃料カット及びパージカット直前にスロットル弁6aより上流の吸気通路2に残留する残留吸気量VGaを推定すると共に、エンジン1の減速直後からエンジン1に吸入される積算通過吸気量TGaTを求め、残留吸気量VGaと積算通過吸気量TGaTとの差がほぼなくなったときに吸気マニホールド8へ新気を導入するために新気導入弁32を開弁するようになっている。ここで、パージカットからのパージ再開時には、過剰濃度なベーパがエンジン1に吸入される直前に新気を導入できるように新気導入弁32を開弁することができる。これにより、減速又はアイドルからのパージ再開後にパージ量が不用意に減少することはなく、インジェクタ17の減量限界から空燃比制御が不能になることを、新気導入により回避することができる。
[積算通過吸気量の算出について]
ここで、積算通過吸気量TGaTの算出について説明する。図14に、その演算処理内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ600で、ECU60は、エンジン1の減速時に積算通過吸気量TGaTの算出中か否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ610へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ650へ移行する。
ステップ610では、ECU60は、エアフローメータ52の検出値に基づき吸気量Gaを取り込む。
次に、ステップ620で、ECU60は、新気導入弁32の新気導入開度TAAに応じた新気導入量GaAを求める。ECU60は、例えば、図7に示す新気導入量マップを参照することにより、新気導入開度TAAに応じた新気導入量GaAを求めることができる。
次に、ステップ630で、ECU60は、吸気量Gaから新気導入量GaAを減算することにより、スロットル弁6aを通過した単位時間当たりのスロットル通過吸気量GaTを算出する。
次に、ステップ640で、ECU60は、前回求められた積算通過吸気量TGaT(i-1)に今回求められたスロットル通過吸気量GaTを加算することにより、減速開始時からの積算通過吸気量TGaT(i)を算出する。その後、ECU60は、処理をステップ600へ戻す。
一方、ステップ600から移行してステップ650では、ECU60は、積算通過吸気量TGaT(i)を「0」に設定し、処理をステップ600へ戻す。
上記の演算処理によれば、ECU60は、エンジン1の減速時に、新気導入弁32の新気導入開度TAAに応じた新気導入量GaAを求めると共に、エアフローメータ52で検出された吸気量Gaを取り込み、その吸気量Gaから新気導入量GaAを減算することで、単位時間当たりのスロットル通過吸気量GaTを求める。そして、ECU60は、そのスロットル通過吸気量GaTを積算することにより、減速開始時からスロットル弁6aを通過した積算通過吸気量TGaTを求めるようになっている。
以上説明したこの実施形態のエンジンシステムの構成によれば、基本的に第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。すなわち、エンジン1の減速時にベーパを含む吸気がスロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ流れても、その部分に新気が導入され、ベーパが強制的に希釈されてからエンジン1に吸入される。このため、この実施形態のエンジンシステムにおいても、エンジン1の減速時に、過剰濃度のベーパによりエンジン1の空燃比がオーバーリッチ化することを防止することができる。
この実施形態の構成によれば、新気導入弁32を開弁した分だけスロットル弁6aが通常の減速開度より閉じるので、減速時に必要以上の吸気がエンジン1に吸入されることがない。このため、エンジン1の減速時に、新気導入により減速感が損なわれることを防止することができる。
また、この実施形態の構成によれば、エンジン1の減速時に、パージカットしてからパージが再開するときは、パージ弁45が開弁すると共に、新気導入弁32が開弁する。従って、パージを再開するときに、スロットル弁6aより上流の吸気通路2に残留していたベーパと新たにパージされたベーパとがスロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ流れても、その部分に新気が導入されるので、ベーパが過剰になってもそのベーパが新気により希釈されてからエンジン1に吸入される。このため、パージカットからのパージ再開時にも過剰濃度のベーパによりエンジン1の空燃比がオーバーリッチ化することを防止することができる。すなわち、パージ再開時にパージ量変化がオーバーシュートすることで空燃比がオーバーリッチ化することを防止することができる。このため、パージ再開時の徐変要求を緩和することができ、パージ量を早期に増加させることができ、キャニスタ42からのベーパ離脱性を向上させることができる。
更に、この実施形態の構成によれば、エンジン1の減速時に、ベーパを含む残留吸気量VGaの変化に応じたタイミングで新気導入弁32が開弁又は閉弁する。従って、残留吸気量VGaに応じた好適なタイミングでスロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ新気が導入され、ベーパが新気により有効に希釈される。あるいは、残留吸気量VGaに応じた好適なタイミングで、吸気マニホールド8への新気導入が遮断され、ベーパの新気による希釈が中止される。このため、エンジン1の空燃比がベーパ吸入によりオーバーリッチ化することを、新気の導入タイミング又は導入遮断タイミングを調整することで確実に防止することができる。
この実施形態における減速時の新気導入制御以外の制御及びその作用及び効果については、第1実施形態のそれと同じである。
<第3実施形態>
次に、エンジンシステムを具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、減速時の新気導入制御の内容の点で第2実施形態と構成が異なる。図10、図15に、この実施形態における減速時の新気導入制御の内容をフローチャートにより示す。この実施形態では、図15において、ステップ200とステップ410とステップ420との間にステップ550が設けられ、ステップ370とステップ380とステップ420との間にステップ560が設けられる点で第2実施形態と構成が異なる。
図15において、ECU60は、ステップ410の判断結果が肯定となる場合、すなわち、パージ再開時のベーパがエンジン1に吸入される前の予想であって新気導入弁32が開弁状態である場合は、処理をステップ550へ移行する。
ステップ550では、ECU60は、空燃比の補正が所定値Δ%だけ増量側に変化したか否かを判断する。ECU60は、この判断を酸素センサ56の検出値に基づき行うことができる。ECU60は、この判断結果が肯定となる(所定値Δ%以上増量)場合は処理をステップ420へ移行し、この判断結果が否定となる(所定値Δ%増量変化なし)場合は処理をステップ200へ戻す。
一方、図15において、ECU60は、ステップ370の判断結果が否定となる場合、すなわち、パージ再開時のベーパがエンジン1へ吸入される前の予想であって新気導入弁32の開弁前である場合は、処理をステップ560へ移行する。ステップ560では、ECU60は、空燃比の補正が所定値Δ%だけ減量側に変化したか否かを判断する。ECU60は、この判断を酸素センサ56の検出値に基づいて行うことができる。ECU60は、この判断結果が肯定となる(所定値Δ%以上減量)場合は処理をステップ380へ移行し、この判断結果が否定となる(所定値Δ%減量変化なし)場合は処理をステップ420へ移行する。
前記第2実施形態における減速時の新気導入制御では、ECU60は、新気導入弁32の開弁又は閉弁のタイミングを、第1〜第3の残留吸気量IV1,IV2,IV3のみに基づいて予測的に判断していた。これに対し、この実施形態では、ECU60は、酸素センサ56の検出値から求められる空燃比の補正に基づく判断と組み合わせることで、新気導入弁32の開弁又は閉弁のタイミングを決定するようになっている。すなわち、ECU60は、エンジン1の減速時に、推定された各残留吸気量IV1,IV2,IV3の変化と、検出された空燃比の補正の変化とに応じたタイミングで新気導入弁32を開弁又は閉弁するようになっている。
図16に、上記した減速時の新気導入制御に係る各種パラメータの挙動の一例をタイムチャートにより示す。図16の各種パラメータは、(a)吸気量Ga、(b)燃料カットF/C、(c)パージ、(d)新気導入開度TAA、(e)パージ率、(f)積算通過吸気量TGaT、(g)ベーパパージ中の実噴射率FAFVを含む。図16において、時刻t1で、エンジン1が過給状態から減速を開始すると、時刻t2で、吸気量Gaがゼロに近い微小量に近付くと、燃料カットF/Cとパージカットがなされ、パージ率が「0」となり、積算通過吸気量TGaTが増加を始める。ここで、図16(f)において、破線は積算通過吸気量TGaTの挙動を示し、実線(太線)は、積算通過吸気量TGaTに所定の定数aを加算した値の挙動を示す。定数aは、パージ通路43の出口43aから電子スロットル装置6までの吸気通路2の容積を示す。
その後、時刻t3で、積算通過吸気量TGaTに定数aを加算した値が、残留吸気量VGaに定数αを加算した値に達すると、パージが再開し、これによってパージ率が増加し始める。その後、時刻t5で、積算通過吸気量TGaTが、残留吸気量VGaから定数βを減算した値に達すると、新気導入開度TAAが「0」から所定値A%だけ開弁する。ここで、新気導入弁32が開弁される前に、図16(g)に実線(太線)で示すように実噴射率FAFVが減少側へ変化すると、新気導入弁32の開弁が時刻t5から時刻t4へ早められる。これにより、実噴射率FAFVの減少が抑えられる。その後、時刻t8で、積算通過吸気量TGaTが、残留吸気量VGaに定数γを加算した値に達すると、新気導入開度TAAが所定値A%から「0」へ閉弁される。ここで、新気導入弁32が閉弁される前に、図16(g)に2点鎖線で示すように実噴射率FAFVが増加側へ変化すると、新気導入弁32の閉弁が時刻t8から時刻t7へ早められる。これにより、実噴射率FAFVの増加が抑えられる。
以上説明したこの実施形態のエンジンシステムによれば、推定された各残留吸気量IV1,IV2,IV3の変化と、検出された空燃比の補正の変化とに応じた好適なタイミングで新気導入弁32が開弁される。これにより、スロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ新気が導入され、ベーパが新気により有効に希釈される。あるいは、推定された各残留吸気量IV1,IV2,IV3の変化と、検出された空燃比の補正の変化とに応じた好適なタイミングで新気導入弁32が閉弁される。これにより、吸気マニホールド8への新気導入が遮断され、ベーパの新気による希釈が中止される。このため、パージカットからのパージ再開時にも過剰濃度のベーパによりエンジンの空燃比がオーバーリッチ化することを高い精度で防止することができる。
この実施形態における上記以外の作用及び効果については、第2実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
<第4実施形態>
次に、エンジンシステムを具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、減速時の新気導入制御の内容の点で前記各実施形態と構成が異なる。図17に、その制御内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ900で、ECU60は、エンジン1が減速か否かを判断する。ECU60は、アクセル開度ACC、エンジン回転速度NEに基づいてこの判断を行うことができる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ910へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ960へ移行する。
ステップ960では、エンジン1が定常時又は加速時であることから、ECU60は、新気導入開度TAAを「0%」に設定し、処理をステップ950へ移行する。
ステップ910では、ECU60は、減速燃料カットであるか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ920へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ980へ移行する。
ステップ920では、ECU60は、触媒10,11が過熱状態でありその過熱抑制が要求される状態であるか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ930へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ970へ移行する。
ステップ970では、過熱抑制要求がないことから、ECU60は、新気導入開度TAAを所定値A%に設定した後、処理をステップ950へ移行する。このステップ970では、パージカット後のパージ再開時に、ベーパがエンジン1へ吸入される前に新気導入弁32を開弁するために、新気導入開度TAAを所定値A%に設定するのである。
一方、ステップ930では、過熱抑制要求があることから、ECU60は、触媒10,11の過熱予想に応じた新気導入弁32の開度(触媒対応開度)TAACを求める。
次に、ステップ940で、ECU60は、触媒対応開度TAACを、新気導入開度TAAの値として設定する。
そして、ステップ960、ステップ940又はステップ970から移行してステップ950では、ECU60は、新気導入弁32を新気導入開度TAAに制御し、処理をステップ900へ戻す。
一方、ステップ910から移行してステップ980では、ECU60は、エンジン1の減速時にEGR率の希釈要求があるか否かを判断する。ECU60は、減速前のEGR制御の状況に応じてこの希釈要求を判断することができる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ990へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1040へ移行する。
ステップ990では、減速時のEGR率希釈要求があることから、ECU60は、その希釈要求に応じた新気導入弁32の開度(EGR対応開度)TAAEを求める。
一方、ステップ1040では、減速時のEGR率希釈要求がないことから、ECU60は、このEGR対応開度TAAEを「0%」に設定する。
ステップ990又はステップ1040から移行してステップ1000では、ベーパ濃度の希釈要求があるか否かを判断する。ECU60は、減速前のパージ制御の状況に応じてこの希釈要求を判断することができる。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1010へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1050へ移行する。
ステップ1010では、ベーパ濃度の希釈要求があることから、ECU60は、その希釈要求に応じた新気導入弁32の開度(ベーパ対応開度)TAAVを求める。
一方、ステップ1050では、ベーパ濃度の希釈要求がないことから、ECU60は、このベーパ対応開度TAAVを「0%」に設定する。
ステップ1010又はステップ1050から移行してステップ1020では、ECU60は、EGR対応開度TAAEがベーパ対応開度TAAV以上であるか否かを判断する。ECU60は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1030へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1060へ移行する。
ステップ1030では、ECU60は、EGR対応開度TAAEの値を新気導入開度TAAとして設定し、処理をステップ950へ移行する。
一方、ステップ1060では、ECU60は、ベーパ対応開度TAAVの値を新気導入開度TAAとして設定し、処理をステップ950へ移行する。
上記の新気導入制御によれば、ECU60は、エンジン1の減速時であってエンジン1に燃料が供給されるときに、EGRガスを希釈する要求がある場合は、その要求に応じたEGR対応開度TAAEを求め、ベーパを希釈する要求がある場合は、その要求に応じたベーパ対応開度TAAVを求め、EGR対応開度TAAEとベーパ対応開度TAAVのうち大きい方を優先的に使用して新気導入弁32を制御するようになっている。
また、上記の新気導入制御によれば、ECU60は、エンジン1の減速時であってエンジン1に燃料が供給されないときに、触媒10,11の過熱抑制要求がある場合は、その過熱予想に応じた触媒対応開度TAACを求め、吸気マニホールド8への新気導入量を調節するために触媒対応開度TAACに基づいて新気導入弁32を制御するようになっている。
以上説明したこの実施形態のエンジンシステムによれば、エンジン1の減速時であってエンジン1に燃料が供給されるときに、EGRガスを希釈する要求がある場合は、その要求に応じたEGR対応開度TAAEが求められ、ベーパを希釈する要求がある場合は、その要求に応じたベーパ対応開度TAAVを求められる。そして、EGR対応開度TAAEとベーパ対応開度TAAVのうち大きい方を優先的に使用して新気導入弁32が制御される。従って、EGRガスを希釈する要求とベーパを希釈する要求の少なくとも一方がある場合は、EGR対応開度TAAE又はベーパ対応開度TAAVに基づいて新気導入弁32が開弁され、スロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ新気が導入される。これにより、エンジン1の減速時に、スロットル弁6aより下流へ流れたEGRガスとベーパの少なくとも一方が新気により希釈される。このため、EGRガスによるエンジンの失火とベーパによる空燃比のオーバーリッチ化の少なくとも一方を有効に防止することができる。
また、この実施形態の構成によれば、エンジン1の減速時であってエンジン1に燃料が供給されないとき(減速燃料カット時)に、触媒10,11の過熱抑制要求がある場合は、その過熱予想に応じた触媒対応開度TAACが求められ、吸気マニホールド8への新気導入量を調節するために触媒対応開度TAACに基づいて新気導入弁32が制御される。従って、触媒10,11の過熱抑制要求がある場合は、触媒対応開度TAACに基づいて新気導入弁32が開弁され、スロットル弁6aより下流の吸気マニホールド8へ新気が導入される。これにより、エンジン1の減速時に、吸気マニホールド8に導入された新気がエンジン1に吸入され、エンジン1から排気通路3へ排出されて触媒10,11が冷却される。このため、触媒10,11の過熱を抑制することができる。一方、触媒10,11の過熱抑制要求がない場合は、パージカットからのパージ再開時にベーパがエンジン1に吸入される前に、新気導入弁32が適度に開弁され、吸気マニホールド8に新気が導入されてベーパが希釈される。このため、過剰濃度のベーパによりエンジン1の空燃比がオーバーリッチ化することを防止することができる。
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
例えば、前記各実施形態では、このエンジンシステムを、EGR装置21を備えたエンジンシステムに具体化したが、EGR装置を持たないエンジンシステムに具体化することもできる。
この開示技術は、エンジン、過給機、吸気量調節弁、新気導入装置及び蒸発燃料処理装置を備えたエンジンシステムに利用することができる。
1 エンジン
2 吸気通路
3 排気通路
5 過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c 回転軸
6 電子スロットル装置(吸気量調節弁)
6a スロットル弁
8 吸気マニホールド
17 インジェクタ(燃料供給装置)
21 EGR装置(排気還流装置)
30 新気導入装置
31 新気導入通路
31a 入口
32 新気導入弁
33a 入口
40 燃料タンク(燃料供給装置)
41 蒸発燃料処理装置
42 キャニスタ
43 パージ通路
44 パージポンプ(パージ調節手段)
45 パージ弁(パージ調節手段)
52 エアフローメータ(吸気量検出手段)
56 酸素センサ(空燃比検出手段)
60 ECU(制御手段)

Claims (9)

  1. エンジンと、
    前記エンジンへ吸気を導入するための吸気通路と、
    前記エンジンから排気を導出するための排気通路と、
    燃料を貯留するための燃料タンクと、前記燃料タンクに貯留された燃料を前記エンジンへ噴射するためのインジェクタとを含み、前記エンジンへ燃料を供給するための燃料供給装置と、
    前記吸気通路に配置され、前記吸気通路を流れる吸気量を調節するための吸気量調節弁と、
    前記吸気通路に配置されたコンプレッサと、前記排気通路に配置されたタービンと、前記コンプレッサと前記タービンを一体回転可能に連結する回転軸とを含み、前記吸気通路における吸気を昇圧させるための過給機と、
    前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路へ新気を導入するための新気導入通路と、前記新気導入通路は、その入口が前記コンプレッサより上流の前記吸気通路に接続されることと、前記新気導入通路から前記吸気通路への新気導入量を調節するための新気導入弁とを含む新気導入装置と、
    前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を一旦捕集するためのキャニスタと、前記キャニスタで捕集された前記蒸発燃料を前記吸気通路へパージするためのパージ通路と、前記パージ通路は、その出口が前記コンプレッサより上流であって前記新気導入通路の前記入口より下流における前記吸気通路に接続されることと、前記パージ通路から前記吸気通路へパージされる前記蒸発燃料量を調節するためのパージ調節手段とを含み、前記蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置と、
    前記エンジンの運転状態に応じて、少なくとも前記インジェクタ、前記吸気量調節弁、前記新気導入弁及び前記パージ調節手段を制御するための制御手段と
    を備えたエンジンシステムにおいて、
    前記制御手段は、前記エンジンの減速時に、前記エンジンに吸入される吸気を絞るために前記吸気量調節弁を開弁状態から所定の減速開度へ閉弁し、前記蒸発燃料の前記吸気通路へのパージを遮断するために前記パージ調節手段を制御すると共に、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路へ新気を導入するために前記新気導入弁を閉弁状態から開弁することを特徴とするエンジンシステム。
  2. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御手段は、前記エンジンの減速時に、前記パージを遮断してから前記パージを再開するときは、前記パージ調節手段を制御すると共に、前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路へ新気を導入するために前記新気導入弁を閉弁状態から開弁することを特徴とするエンジンシステム。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記新気導入通路の前記入口より上流の前記吸気通路を流れる吸気量を検出するための吸気量検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記エンジンの減速時に、検出された前記吸気量に基づき前記吸気量調節弁より上流の前記吸気通路に残留する前記蒸発燃料を含む残留吸気量を推定し、推定された前記残留吸気量の変化に応じたタイミングで前記新気導入弁を開弁又は閉弁することを特徴とするエンジンシステム。
  4. 請求項3に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記エンジンの空燃比を検出するための空燃比検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記エンジンの減速時に、推定された前記残留吸気量の変化と、検出された前記空燃比の変化とに応じたタイミングで前記新気導入弁を開弁又は閉弁することを特徴とするエンジンシステム。
  5. 請求項1又は2に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記エンジンの空燃比を検出するための空燃比検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、検出された前記空燃比に基づき前記蒸発燃料の濃度学習を実行し、前記新気導入弁の開弁時には、前記濃度学習を休止することを特徴とするエンジンシステム。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のエンジンシステムにおいて、
    前記新気導入通路の前記入口より上流の前記吸気通路を流れる吸気量を検出するための吸気量検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記新気導入弁を開弁するとき、検出された前記吸気量に基づき前記吸気量調節弁を通過した通過吸気量を算出し、前記蒸発燃料の濃度を調整するために、算出された前記通過吸気量に応じて前記パージ調節手段を制御することを特徴とするエンジンシステム。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のエンジンシステムにおいて、
    前記エンジンから前記排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして前記吸気通路へ還流するための排気還流装置を更に備え、
    前記制御手段は、前記エンジンの減速時であって前記エンジンに燃料が供給されるときに、前記排気還流ガスを希釈する要求がある場合は、その要求に応じた排気還流対応開度を求め、前記蒸発燃料を希釈する要求がある場合は、その要求に応じた蒸発燃料対応開度を求め、前記排気還流対応開度と前記蒸発燃料対応開度のうち大きい方を優先的に使用して前記新気導入弁を制御することを特徴とするエンジンシステム。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御手段は、前記エンジンの減速時に、前記新気導入弁を開弁したときは、前記新気導入弁の開弁分だけ前記吸気量調節弁を前記減速開度より閉じることを特徴とするエンジンシステム。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のエンジンシステムにおいて、
    前記インジェクタは、その流量特性において燃料の微調節が困難な低流量範囲を含み、
    前記制御手段は、前記インジェクタの流量特性から前記インジェクタによる燃料の微調節が困難になる場合に、前記吸気通路への新気導入により空燃比制御を補助するために前記新気導入弁を開弁することを特徴とするエンジンシステム。
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