JP2019026689A - インクジェット記録用白色インク - Google Patents
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Abstract
Description
70≦L*≦100・・・式(1)
−3.5≦a*≦1.0・・・式(2)
−5.0≦b*≦1.5・・・式(3)
<明度(L*)及び色度(a*,b*)の測定方法>
記録媒体(セイコーエプソン株式会社製「エプソン純正写真用紙<光沢>」)の表面に対し、duty100%のソリッド画像を記録する。分光光度計(X−Rite社製「Spectrolino」)を用い、以下に示す測定条件で、記録媒体に記録されたインクの明度(L*)及び色度(a*,b*)を測定する。
(測定条件)
光源:D50
観測視野:2°
濃度測定条件:DIN NBフィルター
White Base:absolute
フィルター:No
測定モード:Reflectance
(duty)
duty(インクの付与量)は、下記式で表される。下記式において、「実記録ドット数」は、単位面積当たりの実記録ドット数を意味する。dutyが100%であるとは、画素に対する単色インクの付与量が最大であることを意味する。
duty(単位:%)=100×(実記録ドット数)/(画像解像度)
本実施形態に係る白色インクは、水性媒体と、水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含む。樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以上1000nm以下である。樹脂粒子は、各々、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とを含む。樹脂粒子の各々において、熱可塑性樹脂に由来する単位は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋される。熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が、熱硬化性樹脂のモノマーの含有量と熱可塑性樹脂のモノマーの含有量との合計に対し、10質量%以上である。熱硬化性樹脂のモノマーは、アルキレングリコールジメタクリレートである。
以下、白色インクに含有される材料について、具体的に説明する。
前述したように、白色インクでは、複数の樹脂粒子が水性媒体において互いに分散する。樹脂粒子については、前述したとおりである。白色インクは、浸透剤、界面活性剤、多価アルコール、及びpH調整剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有してもよい。
水性媒体は、水を含有することが好ましい。水は、純水又は超純水であることが好ましく、より好ましくは滅菌処理された純水又は超純水である。滅菌処理された純水又は超純水を使用すれば、白色インクにおいてカビ及びバクテリアが発生することを長期にわたって防止できる。純水は、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、及び蒸留水からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。滅菌処理は、例えば、紫外線照射、及び過酸化水素添加からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
白色インクが浸透剤を含有していれば、記録媒体の印字面に対する白色インクの濡れ性を高めることができるため、記録媒体に対する白色インクの浸透性を高めることができる。浸透剤は、アルカンジオールとグリコールエーテル類とからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。白色インクにおける浸透剤の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
白色インクが界面活性剤を含有していれば、記録媒体の印字面に対する白色インクの濡れ性を高めることができるため、記録媒体に対する白色インクの浸透性を高めることができる。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は両性界面活性剤であってもよいが、ノニオン界面活性剤であることが好ましい。ノニオン界面活性剤は、アセチレングリコール型界面活性剤とポリシロキサン型界面活性剤とからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。白色インクにおける界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上5.00質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
白色インクが多価アルコールを含有していれば、白色インクの乾燥を防止できるため、記録ヘッドが目詰まりを起こすことを防止できる。白色インクにおける多価アルコールの含有量は、好ましくは0.1質量%以上30.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上20.0質量%以下である。
白色インクがpH調整剤を含有していれば、白色インクのpHを容易に調整できる。白色インクにおけるpH調整剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上10.00質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下である。pH調整剤は、第三級アミンであることが好ましい。より具体的には、pH調整剤は、トリエタノールアミンであることが好ましい。
白色インクは、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、及び酸素吸収剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有することが好ましい。定着剤は、例えば、水溶性ロジンであることが好ましい。防黴剤は、例えば、安息香酸ナトリウムであることが好ましい。安息香酸ナトリウムは、防腐剤としても機能し得る。酸化防止剤は、例えば、アロハネート類であることが好ましい。白色インクは、ソルビトールをさらに含有していてもよい。
まず、樹脂粒子の分散液を作製する。詳しくは、所定の溶剤に、重合により架橋樹脂を合成可能なモノマー又はプレポリマーと、重合開始剤とを加える。得られた混合液を所定の時間にわたって所定の温度に保つ。このようにして、樹脂粒子の分散液が得られる。
<樹脂粒子R−1の分散液の製造>
まず、温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコ(容量:1L)をウォーターバスにセットした。フラスコに、720gのイオン交換水と50gのアニオン界面活性剤(花王株式会社製「ネオペレックス(登録商標)G−25」、組成:25質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液)とを入れた。ウォーターバスを用いて、フラスコ内の温度を80℃に保った。フラスコ内の温度を80℃に保った状態で、第1の液と第2の液とを、各々、2時間かけてフラスコに滴下した。第1の液は、180gのメタクリル酸メチル(MMA)と20gのエチレングリコールジメタクリレート(EGDM)とを含んでいた。第2の液は、0.5gの過硫酸カリウムを30mLのイオン交換水に溶かすことにより得られた。その後、2時間にわたってフラスコ内の温度を80℃に保った。フラスコ内の温度を80℃に保っている間に、フラスコの内容物が反応(重合反応)した。このようにして、樹脂粒子R−1の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
750gのイオン交換水と20gのアニオン界面活性剤とを用いた。また、第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を1時間とした。これらのことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−2の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
第1の液として、160gのメタクリル酸メチルと40gのエチレングリコールジメタクリレートとを含む液を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−3の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
第1の液として、120gのメタクリル酸メチルと40gのアクリル酸エチル(EA)と20gのアクリル酸ブチル(BA)と20gのエチレングリコールジメタクリレートとを含む液を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−4の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
エチレングリコールジメタクリレートの代わりにヘキサメチレングリコールジメタクリレート(HGDM)を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−5の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
エチレングリコールジメタクリレートの代わりにドデカメチレングリコールジメタクリレート(DDGDM)を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−6の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を4時間とした。また、滴下後にフラスコ内の温度を80℃に保つ時間を2時間から3時間に変更した。これらのことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−7の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
680gのイオン交換水と100gのアニオン界面活性剤とを用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−8の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
760gのイオン交換水と10gのアニオン界面活性剤とを用いた。また、第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を1時間とした。これらのことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−9の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
エチレングリコールジメタクリレートの代わりにジビニルベンゼン(DVB)を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−10の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
第1の液として、190gのメタクリル酸メチルと10gのエチレングリコールジメタクリレートとを含む液を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−11の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を1時間とした。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−12の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
動的光散乱式粒径分布測定装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザー(登録商標)ナノZS」)を用いて、分散液に含まれる樹脂粒子の平均粒子径及び多分散指数を測定した。詳しくは、イオン交換水を用いて、樹脂粒子の分散液(より具体的には、樹脂粒子R−1〜R−12の分散液の各々)を1000倍以上5000倍以下の希釈率の範囲から選ばれる希釈率(より具体的には1000倍)に希釈した。得られた希釈液を測定対象とした。ISO 13321:1996(Particle size analysis―Photon correlation spectroscopy)に記載の方法に基づいて、動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて、測定対象の平均粒子径及び多分散指数を求めた。測定結果を表1に示す。
35質量部の樹脂粒子の分散液(より具体的には、樹脂粒子R−1〜R−12の分散液の各々)に、15質量部のプロピレングリコール(ナカライテスク株式会社製の試薬特級品)と、10質量部のソルビトール(ナカライテスク株式会社製の試薬特級品)と、適量の界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール104」)と、イオン交換水(残量)とを加えた。このようにして、インク(より具体的には、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の各々)を得た。得られたインクでは、顔料濃度が5質量%であり、25℃でのインクの粘度が4mPa・sであり、25℃でのインクの表面張力が35mN/mであった。25℃でのインクの表面張力が35mN/mとなるように、界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール104」)の配合量を調整した。より具体的には、界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール104」)の配合量を約0.05質量部とした。
<白色度の評価>
まず、インク(より具体的には、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の各々)を、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製「PX−045a」)専用のカートリッジのインク室に充填した。次に、カートリッジをインクジェットプリンターに装着した。続いて、インクジェットプリンターを用いて、duty100%のソリッド画像をOHPフィルム(スリーエムジャパン株式会社のインクジェット用OHPフィルム)に記録した。得られた印字物を、黒色台紙(黒OD値:2.0)の上に配置した。その後、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて、下記測定条件で、OHPフィルムに記録されたインクの明度(L*)を測定した。
(測定条件)
光源:D50
観測視野:2°
良好:インクの明度(L*)が70以上であった。
不良:インクの明度(L*)が70未満であった。
前述の<白色度の評価>で得られた印字物を用いて、隠蔽度を評価した。詳しくは、まず、印字物を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス「U−3010」)のサンプル室にセットした。次に、印字物に可視光(波長:400nm以上800nm、波長間隔:1nm)を入射して、各々の波長を有する入射光が印字物を透過する割合(透過率T(単位:%))を測定した。その後、波長が400nm、500nm、600nm、700nm、及び800nmである入射光が印字物を透過する割合の平均値を算出した。得られた平均値を隠蔽度(単位:%)とした。
良好:隠蔽度が10%以下であった。
不良:隠蔽度が10%超であった。
前述の<白色度の評価>で得られた印字物を用いて、物理的耐性度を評価した。詳しくは、まず、印字面とOHPフィルムのフィルム面とを密着させた。次に、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重50gfをかけながら、OHPフィルムの反対側の面(フィルム面とは反対側に位置するOHPフィルムの面)において摩擦子を500回にわたって往復移動させた。続いて、印字面とOHPフィルムのフィルム面とを剥がした。その後、前述の<白色度の評価>で記載の方法に従い、印字面のインクの明度(L*)を測定した。このようにして測定された明度(L*)を第1の試験後の明度(L*)とした。そして、下記式に基づいて、物理的耐性度を算出した。なお、下記式における「試験前の明度(L*)」は、各々、前述の<白色度の評価>で求められたインクの明度(L*)に相当する。
物理的耐性度(単位:%)=100×[第1の試験後の明度(L*)]/[試験前の明度(L*)]
良好:物理的耐性度が80%以上であった。
不良:物理的耐性度が80%未満であった。
前述の<白色度の評価>で得られた印字物を用いて、化学的耐性度を評価した。詳しくは、まず、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重50gfをかけながら、印字面において摩擦子を100回にわたって往復移動させた。このとき、摩擦子の先端(摩擦子のうち印字面に接触する部分)は、酢酸エチルを染み込ませた布(綿金巾3号)で被覆されていた。その後、前述の<白色度の評価>で記載の方法に従い、印字面のインクの明度(L*)を測定した。このようにして測定された明度(L*)を第2の試験後の明度(L*)とした。そして、下記式に基づいて、化学的耐性度を算出した。なお、下記式における「試験前の明度(L*)」は、各々、前述の<白色度の評価>で求められたインクの明度(L*)に相当する。
化学的耐性度(単位:%)=100×[第2の試験後の明度(L*)]/[試験前の明度(L*)]
良好:化学的耐性度が70%以上であった。
不良:化学的耐性度が70%未満であった。
まず、イオン交換水を用いて、インク(より具体的には、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の各々)を10倍に希釈した。得られた希釈液を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス「U−3010」)のサンプル室にセットした。希釈液に可視光(波長:500nm)を入射して、入射光が希釈液に吸収される割合(吸光度Abs)を測定した。測定された吸光度Absを保存前の吸光度とした。
保存安定度(単位:%)=100×(保存後の吸光度)/(保存前の吸光度)
良好:保存安定度が60%以上であった。
不良:保存安定度が60%未満であった。
表2に、インク(より具体的には、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の各々)の評価結果を示す。
Claims (4)
- 水性媒体と、前記水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含み、
前記樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以上1000nm以下であり、
前記樹脂粒子は、各々、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とを含み、
前記樹脂粒子の各々において、前記熱可塑性樹脂に由来する単位は、前記熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋され、
前記熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が、前記熱硬化性樹脂のモノマーの含有量と前記熱可塑性樹脂のモノマーの含有量との合計に対し、10質量%以上であり、
前記熱硬化性樹脂のモノマーは、アルキレングリコールジメタクリレートである、インクジェット記録用白色インク。 - 前記樹脂粒子の多分散指数が、0.25以下である、請求項1に記載のインクジェット記録用白色インク。
- 前記アルキレングリコールジメタクリレートは、エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、及びドデカメチレングリコールジメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用白色インク。
- 前記熱可塑性樹脂のモノマーは、メタクリル酸メチルを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット記録用白色インク。
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