JP2019026689A - インクジェット記録用白色インク - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性と物理的安定性と化学的安定性とに優れ、且つ所望の白色度を有する画像を形成可能なインクジェット記録用白色インクを提供する。【解決手段】インクジェット記録用白色インクは、水性媒体と、水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含む。樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以上1000nm以下である。樹脂粒子は、各々、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とを含む。樹脂粒子の各々において、熱可塑性樹脂に由来する単位は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋される。熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が、熱硬化性樹脂のモノマーの含有量と熱可塑性樹脂のモノマーの含有量との合計に対し、10質量%以上である。熱硬化性樹脂のモノマーは、アルキレングリコールジメタクリレートである。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用白色インクに関する。
インクジェット記録用白色インクに含まれる顔料粒子としては、従来、二酸化チタン粒子、又は中空構造を有する樹脂粒子(中空の樹脂粒子)が使用されている。しかし、二酸化チタン粒子を使用した場合には、二酸化チタンの比重が大きいために、白色インクの保存安定性が低下することがある。また、中空の樹脂粒子を使用した場合には、何らかの理由で中空構造が消失すると、樹脂粒子の屈折率を確保することが難しい。そのため、所望の白色度を有する画像が得られないことがある。これらを踏まえ、近年では、高屈折率な樹脂粒子の使用が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2014−189558号公報
高屈折率な熱硬化性樹脂材料を用いて樹脂粒子を構成する場合、樹脂粒子の粒子径が不均一となることがある。そのため、白色インクの保存安定性が低下することがある。また、高屈折率な熱可塑性樹脂材料を用いて樹脂粒子を構成する場合、白色インクの物理的安定性又は化学的安定性が低下することがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、保存安定性と物理的安定性と化学的安定性とに優れ、且つ所望の白色度を有する画像を形成可能なインクジェット記録用白色インクを提供することを目的とする。
本発明に係るインクジェット記録用白色インクは、水性媒体と、前記水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含む。前記樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以上1000nm以下である。前記樹脂粒子は、各々、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とを含む。前記樹脂粒子の各々において、前記熱可塑性樹脂に由来する単位は、前記熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋される。前記熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が、前記熱硬化性樹脂のモノマーの含有量と前記熱可塑性樹脂のモノマーの含有量との合計に対し、10質量%以上である。前記熱硬化性樹脂のモノマーは、アルキレングリコールジメタクリレートである。
本発明に係るインクジェット記録用白色インクは、保存安定性と物理的安定性と化学的安定性とに優れる。また、本発明に係るインクジェット記録用白色インクを用いて記録媒体に記録を行えば、所望の白色度を有する画像を形成できる。
本発明の実施形態について説明する。なお、以下において、粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。
また、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
本実施形態に係るインクジェット記録用白色インク(以下、単に「白色インク」と記載することがある)は、記録媒体に記録される。本実施形態に係る白色インクは、記録媒体に白色画像を記録する目的で使用されてもよいし、白色でない記録媒体の色を消す目的で使用されてもよいし、有色画像の透過性を下げる目的で使用されてもよい。何れの場合であっても、本実施形態に係る白色インクは、インクジェット記録装置の記録ヘッドから記録媒体へ向かって吐出されることが好ましい。記録媒体としては、例えば、普通紙、コピー紙、再生紙、薄紙、厚紙、光沢紙、又はOHPシートを使用できる。記録媒体は、プラスチック製、金属製、又はガラス製であってもよい。記録媒体は、繊維を用いて加工されたもの(例えば布地)であってもよい。
白色インクは、社会通念上「白」と呼称される色を記録媒体に記録できればよい。より具体的には、本実施形態では、下記測定方法で測定されたインクの明度(L*)が下記式(1)を満たし、且つ下記測定方法で測定されたインクの色度(a*,b*)が下記式(2)及び(3)を満たす場合、そのインクを白色インクとみなす。
70≦L*≦100・・・式(1)
−3.5≦a*≦1.0・・・式(2)
−5.0≦b*≦1.5・・・式(3)
<明度(L*)及び色度(a*,b*)の測定方法>
記録媒体(セイコーエプソン株式会社製「エプソン純正写真用紙<光沢>」)の表面に対し、duty100%のソリッド画像を記録する。分光光度計(X−Rite社製「Spectrolino」)を用い、以下に示す測定条件で、記録媒体に記録されたインクの明度(L*)及び色度(a*,b*)を測定する。
(測定条件)
光源:D50
観測視野:2°
濃度測定条件:DIN NBフィルター
White Base:absolute
フィルター:No
測定モード:Reflectance
(duty)
duty(インクの付与量)は、下記式で表される。下記式において、「実記録ドット数」は、単位面積当たりの実記録ドット数を意味する。dutyが100%であるとは、画素に対する単色インクの付与量が最大であることを意味する。
duty(単位:%)=100×(実記録ドット数)/(画像解像度)
白色インクでは、複数の樹脂粒子が水性媒体において互いに分散する。白色インクでは、樹脂粒子が顔料粒子として機能する。樹脂粒子に関して使用される用語「平均粒子径」は、散乱光強度基準による調和平均粒子径(直径)を意味する。また、樹脂粒子に関して使用される用語「多分散指数」は、粒子径分布の広がりを示す無次元指標を意味する。多分散指数が小さいほど、粒子径分布の広がりが小さい。また、多分散指数が大きいほど、粒子径分布の広がりが大きい。つまり、樹脂粒子の多分散指数が小さいほど、樹脂粒子の粒子径分布がシャープとなる。樹脂粒子の多分散指数が大きいほど、樹脂粒子の粒子径分布がブロードとなる。
樹脂粒子の平均粒子径と、樹脂粒子の多分散指数とは、各々、ISO 13321:1996(Particle size analysis―Photon correlation spectroscopy)に記載の方法、又はそれに準ずる方法で、求められる。詳しくは、樹脂粒子の平均粒子径と、樹脂粒子の多分散指数とは、各々、動的光散乱法で求められた散乱光強度の自己相関関数をキュムラント法で解析することによって得られる。より具体的には、まず、動的光散乱法によって、樹脂粒子からの散乱光強度の時間的な変化を検出する。次に、散乱光強度の時間的な変化を用いて、散乱光強度の自己相関関数を求める。続いて、散乱光強度の自己相関関数をキュムラント法で解析する。このようにして、樹脂粒子の平均粒子径と樹脂粒子の多分散指数とが各々求まる。
[白色インクの構成]
本実施形態に係る白色インクは、水性媒体と、水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含む。樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以上1000nm以下である。樹脂粒子は、各々、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とを含む。樹脂粒子の各々において、熱可塑性樹脂に由来する単位は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋される。熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が、熱硬化性樹脂のモノマーの含有量と熱可塑性樹脂のモノマーの含有量との合計に対し、10質量%以上である。熱硬化性樹脂のモノマーは、アルキレングリコールジメタクリレートである。
樹脂粒子の平均粒子径が500nm以上であるため、樹脂粒子の表面において光の散乱が起こり易い。これにより、隠蔽効果が発揮され易い。よって、樹脂粒子の平均粒子径が500nm以上であれば、所望の白色度を有する画像を形成できる。樹脂粒子の平均粒子径が大きいほど、隠蔽効果が発揮され易い。しかし、樹脂粒子の平均粒子径が大きすぎると、白色インクにおける樹脂粒子の沈降が顕著となる。樹脂粒子の平均粒子径が1000nm以下であれば、白色インクにおける樹脂粒子の沈降を効果的に防止できるため、白色インクの保存安定性が低下することを防止できる。以上より、樹脂粒子の平均粒子径が500nm以上1000nm以下であれば、白色インクの保存安定性を長期にわたって維持しつつ、所望の白色度を有する画像を形成できる。
樹脂粒子は、各々、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とを含む。樹脂粒子の各々において、熱可塑性樹脂に由来する単位は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋されている。このように、樹脂粒子は、各々、架橋樹脂から構成される。これにより、架橋樹脂の合成条件、又は樹脂粒子の製造条件を制御することで、製造される樹脂粒子において粒子径が不均一となることを防止できる。つまり、架橋樹脂の合成条件、又は樹脂粒子の製造条件を制御することで、樹脂粒子の多分散指数を小さくすることができる。このことによっても、白色インクの保存安定性が低下することを防止できる。本発明者らは、樹脂粒子の多分散指数が0.25以下であれば、白色インクの保存安定性を長期にわたって維持できることを確認している。また、本発明者らは、樹脂粒子の多分散指数が0.20以下であれば、白色インクの保存安定性を長期にわたって維持し易いことを確認している。そのため、樹脂粒子の多分散指数は、好ましくは0.25以下であり、より好ましくは0.20以下である。なお、架橋樹脂の合成条件、又は樹脂粒子の製造条件を制御しても、樹脂粒子の多分散指数を0.01未満とすることは難しい。
樹脂粒子が架橋樹脂から構成されれば、樹脂粒子の機械的強度が確保され易いため、白色インクの物理的安定性が低下することを防止できる。また、樹脂粒子が架橋樹脂から構成されれば、樹脂粒子の化学的安定性が確保され易いため、白色インクの化学的安定性が低下することを防止できる。例えば、本実施形態に係る白色インクを用いて記録媒体に記録を行えば、記録媒体に記録された画像の物理的耐性及び化学的耐性を長期にわたって維持できる。
樹脂粒子では、熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が、熱硬化性樹脂のモノマーの含有量と熱可塑性樹脂のモノマーの含有量との合計(以下、「モノマーの含有量の合計」と記載する)に対し、10質量%以上である。これにより、樹脂粒子を構成する樹脂の架橋密度が高くなり易いため、白色インクの物理的安定性及び化学的安定性が低下することを効果的に防止できる。熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が多いほど、樹脂の架橋密度が高くなり易いが、架橋樹脂の合成が困難となる。本発明者らは、熱硬化性樹脂のモノマーの含有量がモノマーの含有量の合計に対して40質量%以下であれば、架橋樹脂の合成が可能であることを確認している。より好ましくは、熱硬化性樹脂のモノマーの含有量がモノマーの含有量の合計に対して20質量%以下である。
樹脂粒子では、熱硬化性樹脂のモノマーは、アルキレングリコールジメタクリレート(以下、「AGDM」と記載することがある)である。熱硬化性樹脂のモノマーが脂肪族化合物であれば、熱硬化性樹脂のモノマーが芳香族化合物である場合に比べ、架橋反応が起こり易い。また、熱硬化性樹脂のモノマーが脂肪族化合物であれば、熱硬化性樹脂のモノマーが芳香族化合物である場合とは異なり、水系での架橋反応が可能である。これらのことから、熱硬化性樹脂のモノマーがAGDMであれば、樹脂粒子を構成する樹脂の架橋密度が高くなり易い。このことによっても、白色インクの物理的安定性及び化学的安定性が低下することを効果的に防止できる。ここで、「架橋反応」には、熱硬化性樹脂のモノマーと熱可塑性樹脂のモノマーとの反応が含まれる。
AGDMに含まれるアルキレン基の炭素数は、1以上15以下であることが好ましい。AGDMに含まれるアルキレン基の炭素数が多すぎると、架橋反応が起こり難いことがある。AGDMの一例としては、エチレングリコールジメタクリレート(アルキレン基の炭素数:2)、ヘキサメチレングリコールジメタクリレート(アルキレン基の炭素数:6)、又はドデカメチレングリコールジメタクリレート(アルキレン基の炭素数:12)が挙げられる。AGDMとしては市販品を使用してもよい。
樹脂粒子において、熱可塑性樹脂の化学構造は特に限定されない。メタクリル酸メチルは、高屈折率なモノマーとして知られている。そのため、熱可塑性樹脂がメタクリル酸メチルの単重合体又は共重合体であれば、樹脂粒子の屈折率が高くなり易いため、形成される画像の白色度をさらに高めることができる。よって、熱可塑性樹脂は、メタクリル酸メチルの単重合体又は共重合体であることが好ましい。熱可塑性樹脂がメタクリル酸メチルの共重合体である場合、メタクリル酸メチルを除くモノマー(他のモノマー)の化学構造は特に限定されない。他のモノマーは、メタクリル酸メチルを除く(メタ)アクリル酸系モノマーであってもよいし、分子内に芳香環を有するモノマー(例えばスチレン系モノマー)であってもよい。メタクリル酸メチルを除く(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、又は(メタ)アクリル酸ブチルを挙げることができる。
白色インクにおける樹脂粒子の含有量は特に限定されない。しかし、樹脂粒子の含有量が少なすぎると、所望の画像濃度を有する画像が得られないことがある。そのため、所望の画像濃度を有する白色画像を記録媒体に記録できないことがある。また、白色でない記録媒体の色を効果的に消すことができないことがある。また、有色画像の透過性を効果的に下げることができないことがある。樹脂粒子の含有量が多すぎると、記録媒体に対する白色インクの浸透性を確保できないことがある。また、樹脂粒子の含有量が多すぎると、白色インクにおいて樹脂粒子の流動性を確保できないことがある。このことによっても、所望の画像濃度を有する画像が得られないことがある。例えば、白色インクにおける樹脂粒子の含有量は、4質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
[白色インクに含有される材料]
以下、白色インクに含有される材料について、具体的に説明する。
前述したように、白色インクでは、複数の樹脂粒子が水性媒体において互いに分散する。樹脂粒子については、前述したとおりである。白色インクは、浸透剤、界面活性剤、多価アルコール、及びpH調整剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有してもよい。
<水性媒体>
水性媒体は、水を含有することが好ましい。水は、純水又は超純水であることが好ましく、より好ましくは滅菌処理された純水又は超純水である。滅菌処理された純水又は超純水を使用すれば、白色インクにおいてカビ及びバクテリアが発生することを長期にわたって防止できる。純水は、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、及び蒸留水からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。滅菌処理は、例えば、紫外線照射、及び過酸化水素添加からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
<浸透剤>
白色インクが浸透剤を含有していれば、記録媒体の印字面に対する白色インクの濡れ性を高めることができるため、記録媒体に対する白色インクの浸透性を高めることができる。浸透剤は、アルカンジオールとグリコールエーテル類とからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。白色インクにおける浸透剤の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
アルカンジオールは、炭素数が4以上8以下の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。より具体的には、アルカンジオールは、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、及び1,2−オクタンジオールからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、アルカンジオールは、炭素数が6以上8以下の1,2−アルカンジオールである。より具体的には、アルカンジオールは、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、及び1,2−オクタンジオールからなる群より選択される少なくとも1つであることがより好ましい。アルカンジオールが、炭素数が6以上8以下の1,2−アルカンジオールであれば、記録媒体に対する白色インクの浸透性をより一層高めることができる。
グリコールエーテル類は、グリコール類の片末端又は両末端の水酸基(−OH基)が低級アルキル基で置換された化合物であることが好ましい。より具体的には、グリコールエーテル類は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、グリコールエーテル類は、トリエチレングリコールモノブチルエーテルである。トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いれば、画質の向上を図ることもできる。
<界面活性剤>
白色インクが界面活性剤を含有していれば、記録媒体の印字面に対する白色インクの濡れ性を高めることができるため、記録媒体に対する白色インクの浸透性を高めることができる。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は両性界面活性剤であってもよいが、ノニオン界面活性剤であることが好ましい。ノニオン界面活性剤は、アセチレングリコール型界面活性剤とポリシロキサン型界面活性剤とからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。白色インクにおける界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上5.00質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
アセチレングリコール型界面活性剤は、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、及び2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。市販のアセチレングリコール型界面活性剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製「オルフィン(登録商標)E1010」、「サーフィノール(登録商標)82」、「サーフィノール104」、「サーフィノール465」及び「サーフィノール485」を挙げることができる。「オルフィンE1010」は、アセチレンジオールのエチレンオキシド付加物を含有する。「サーフィノール82」は、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールを含有する。「サーフィノール104」は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールを含有する。「サーフィノール465」及び「サーフィノール485」は、各々、テトラメチルデシンジオールのエチレンオキシド付加物を含有する。
ポリシロキサン型界面活性剤は、例えば、ポリエーテル変性シロキサンであることが好ましい。市販のポリシロキサン型界面活性剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製「BYK−347」及び「BYK−348」を挙げることができる。「BYK−347」及び「BYK−348」は、各々、ポリエーテル変性シロキサンを含有する。
<多価アルコール>
白色インクが多価アルコールを含有していれば、白色インクの乾燥を防止できるため、記録ヘッドが目詰まりを起こすことを防止できる。白色インクにおける多価アルコールの含有量は、好ましくは0.1質量%以上30.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上20.0質量%以下である。
多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、及びトリメチロールプロパンからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
<pH調整剤>
白色インクがpH調整剤を含有していれば、白色インクのpHを容易に調整できる。白色インクにおけるpH調整剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上10.00質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下である。pH調整剤は、第三級アミンであることが好ましい。より具体的には、pH調整剤は、トリエタノールアミンであることが好ましい。
<その他の添加剤>
白色インクは、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、及び酸素吸収剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有することが好ましい。定着剤は、例えば、水溶性ロジンであることが好ましい。防黴剤は、例えば、安息香酸ナトリウムであることが好ましい。安息香酸ナトリウムは、防腐剤としても機能し得る。酸化防止剤は、例えば、アロハネート類であることが好ましい。白色インクは、ソルビトールをさらに含有していてもよい。
[白色インクの好ましい製造方法]
まず、樹脂粒子の分散液を作製する。詳しくは、所定の溶剤に、重合により架橋樹脂を合成可能なモノマー又はプレポリマーと、重合開始剤とを加える。得られた混合液を所定の時間にわたって所定の温度に保つ。このようにして、樹脂粒子の分散液が得られる。
所定の溶剤は、水性媒体と界面活性剤とを含有することが好ましい。水性媒体については、前述の<水性媒体>で説明したとおりである。界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤を使用できる。界面活性剤の含有量が少ないほど、得られる樹脂粒子の平均粒子径が大きくなる傾向にある。界面活性剤の含有量が多いほど、得られる樹脂粒子の平均粒子径が小さくなる傾向にある。
架橋樹脂を合成可能なモノマー又はプレポリマーについては、前述の[白色インクの構成]で説明したとおりである。重合開始剤は、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、及びアゾビスイソブチロニトリルからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
短時間で所定の溶剤にモノマー又はプレポリマーと重合開始剤とを加えると、樹脂粒子が急激に成長する傾向にあるため、得られる樹脂粒子の多分散指数が大きくなる傾向にある。時間をかけて所定の溶剤にモノマー又はプレポリマーと重合開始剤とを加えると、樹脂粒子が緩やかに成長する傾向にあるため、得られる樹脂粒子の多分散指数が小さくなる傾向にある。
混合液を所定の温度に保つ時間(保持時間)が長いほど、樹脂粒子が凝集する傾向にあるため、得られる樹脂粒子の多分散指数が大きくなる傾向にある。また、保持時間が長いほど、分散液中に残存する未反応モノマーの量が少なくなる傾向にあるため、樹脂粒子を構成する樹脂の架橋密度が高くなる傾向にある。保持時間が短いほど、樹脂粒子が凝集し難い傾向にあるため、得られる樹脂粒子の多分散指数が小さくなる傾向にある。
次に、得られた分散液と、他のインク成分とを混合する。攪拌機(例えば、新東科学株式会社製「スリーワンモーター(登録商標) BL−600」)を用いて、分散液と他のインク成分とを混合できる。他のインク成分は、浸透剤、界面活性剤、pH調整剤、及び多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1つを含有してもよい。他のインク成分は、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、及びソルビトールからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有してもよい。分散液と他のインク成分とを混合した後、必要に応じてろ過を行う。このようにして、白色インクが得られる。
本発明の実施例を説明する。表1に、実施例又は比較例に係るインクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5を示す。表1において、「粒子径」には、樹脂粒子の平均粒子径を記す。「モノマーA」は、熱可塑性樹脂のモノマーを意味する。「MMA」は、メタクリル酸メチルを意味する。「EA」は、アクリル酸エチルを意味する。「BA」は、アクリル酸ブチルを意味する。「モノマーB」は、熱硬化性樹脂のモノマーを意味する。「EGDM」は、エチレングリコールジメタクリレートを意味する。「HGDM」は、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートを意味する。「DDGDM」は、ドデカメチレングリコールジメタクリレートを意味する。「DVB」は、ジビニルベンゼンを意味する。
Figure 2019026689
以下、まず、樹脂粒子R−1〜R−12の分散液の各々の製造方法、及び物性値の測定方法を順に説明する。次に、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の製造方法、評価方法、及び評価結果を順に説明する。なお、複数の粒子を含む粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[樹脂粒子の分散液の製造方法]
<樹脂粒子R−1の分散液の製造>
まず、温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコ(容量:1L)をウォーターバスにセットした。フラスコに、720gのイオン交換水と50gのアニオン界面活性剤(花王株式会社製「ネオペレックス(登録商標)G−25」、組成:25質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液)とを入れた。ウォーターバスを用いて、フラスコ内の温度を80℃に保った。フラスコ内の温度を80℃に保った状態で、第1の液と第2の液とを、各々、2時間かけてフラスコに滴下した。第1の液は、180gのメタクリル酸メチル(MMA)と20gのエチレングリコールジメタクリレート(EGDM)とを含んでいた。第2の液は、0.5gの過硫酸カリウムを30mLのイオン交換水に溶かすことにより得られた。その後、2時間にわたってフラスコ内の温度を80℃に保った。フラスコ内の温度を80℃に保っている間に、フラスコの内容物が反応(重合反応)した。このようにして、樹脂粒子R−1の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−2の分散液の製造>
750gのイオン交換水と20gのアニオン界面活性剤とを用いた。また、第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を1時間とした。これらのことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−2の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−3の分散液の製造>
第1の液として、160gのメタクリル酸メチルと40gのエチレングリコールジメタクリレートとを含む液を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−3の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−4の分散液の製造>
第1の液として、120gのメタクリル酸メチルと40gのアクリル酸エチル(EA)と20gのアクリル酸ブチル(BA)と20gのエチレングリコールジメタクリレートとを含む液を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−4の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−5の分散液の製造>
エチレングリコールジメタクリレートの代わりにヘキサメチレングリコールジメタクリレート(HGDM)を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−5の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−6の分散液の製造>
エチレングリコールジメタクリレートの代わりにドデカメチレングリコールジメタクリレート(DDGDM)を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−6の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−7の分散液の製造>
第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を4時間とした。また、滴下後にフラスコ内の温度を80℃に保つ時間を2時間から3時間に変更した。これらのことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−7の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−8の分散液の製造>
680gのイオン交換水と100gのアニオン界面活性剤とを用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−8の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−9の分散液の製造>
760gのイオン交換水と10gのアニオン界面活性剤とを用いた。また、第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を1時間とした。これらのことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−9の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−10の分散液の製造>
エチレングリコールジメタクリレートの代わりにジビニルベンゼン(DVB)を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−10の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−11の分散液の製造>
第1の液として、190gのメタクリル酸メチルと10gのエチレングリコールジメタクリレートとを含む液を用いた。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−11の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
<樹脂粒子R−12の分散液の製造>
第1の液及び第2の液の各々の滴下時間を1時間とした。このことを除いては樹脂粒子R−1の分散液の製造方法に従い、樹脂粒子R−12の分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。
[樹脂粒子の物性値の測定方法]
動的光散乱式粒径分布測定装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザー(登録商標)ナノZS」)を用いて、分散液に含まれる樹脂粒子の平均粒子径及び多分散指数を測定した。詳しくは、イオン交換水を用いて、樹脂粒子の分散液(より具体的には、樹脂粒子R−1〜R−12の分散液の各々)を1000倍以上5000倍以下の希釈率の範囲から選ばれる希釈率(より具体的には1000倍)に希釈した。得られた希釈液を測定対象とした。ISO 13321:1996(Particle size analysis―Photon correlation spectroscopy)に記載の方法に基づいて、動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて、測定対象の平均粒子径及び多分散指数を求めた。測定結果を表1に示す。
[インクの製造方法]
35質量部の樹脂粒子の分散液(より具体的には、樹脂粒子R−1〜R−12の分散液の各々)に、15質量部のプロピレングリコール(ナカライテスク株式会社製の試薬特級品)と、10質量部のソルビトール(ナカライテスク株式会社製の試薬特級品)と、適量の界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール104」)と、イオン交換水(残量)とを加えた。このようにして、インク(より具体的には、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の各々)を得た。得られたインクでは、顔料濃度が5質量%であり、25℃でのインクの粘度が4mPa・sであり、25℃でのインクの表面張力が35mN/mであった。25℃でのインクの表面張力が35mN/mとなるように、界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール104」)の配合量を調整した。より具体的には、界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール104」)の配合量を約0.05質量部とした。
[インクの評価方法]
<白色度の評価>
まず、インク(より具体的には、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の各々)を、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製「PX−045a」)専用のカートリッジのインク室に充填した。次に、カートリッジをインクジェットプリンターに装着した。続いて、インクジェットプリンターを用いて、duty100%のソリッド画像をOHPフィルム(スリーエムジャパン株式会社のインクジェット用OHPフィルム)に記録した。得られた印字物を、黒色台紙(黒OD値:2.0)の上に配置した。その後、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて、下記測定条件で、OHPフィルムに記録されたインクの明度(L*)を測定した。
(測定条件)
光源:D50
観測視野:2°
評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。
良好:インクの明度(L*)が70以上であった。
不良:インクの明度(L*)が70未満であった。
<隠蔽度の評価>
前述の<白色度の評価>で得られた印字物を用いて、隠蔽度を評価した。詳しくは、まず、印字物を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス「U−3010」)のサンプル室にセットした。次に、印字物に可視光(波長:400nm以上800nm、波長間隔:1nm)を入射して、各々の波長を有する入射光が印字物を透過する割合(透過率T(単位:%))を測定した。その後、波長が400nm、500nm、600nm、700nm、及び800nmである入射光が印字物を透過する割合の平均値を算出した。得られた平均値を隠蔽度(単位:%)とした。
評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。なお、隠蔽度が小さいことは、透過率Tが低いことを意味する。そのため、隠蔽度が小さいことは、隠蔽効果が十分に発揮されていることを意味する。隠蔽度が大きいことは、透過率Tが高いことを意味する。そのため、隠蔽度が大きいことは、隠蔽効果が十分に発揮されていないこと、又は隠蔽効果が発揮され難いことを意味する。
良好:隠蔽度が10%以下であった。
不良:隠蔽度が10%超であった。
<物理的耐性度の評価>
前述の<白色度の評価>で得られた印字物を用いて、物理的耐性度を評価した。詳しくは、まず、印字面とOHPフィルムのフィルム面とを密着させた。次に、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重50gfをかけながら、OHPフィルムの反対側の面(フィルム面とは反対側に位置するOHPフィルムの面)において摩擦子を500回にわたって往復移動させた。続いて、印字面とOHPフィルムのフィルム面とを剥がした。その後、前述の<白色度の評価>で記載の方法に従い、印字面のインクの明度(L*)を測定した。このようにして測定された明度(L*)を第1の試験後の明度(L*)とした。そして、下記式に基づいて、物理的耐性度を算出した。なお、下記式における「試験前の明度(L*)」は、各々、前述の<白色度の評価>で求められたインクの明度(L*)に相当する。
物理的耐性度(単位:%)=100×[第1の試験後の明度(L*)]/[試験前の明度(L*)]
評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。
良好:物理的耐性度が80%以上であった。
不良:物理的耐性度が80%未満であった。
<化学的耐性度の評価>
前述の<白色度の評価>で得られた印字物を用いて、化学的耐性度を評価した。詳しくは、まず、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重50gfをかけながら、印字面において摩擦子を100回にわたって往復移動させた。このとき、摩擦子の先端(摩擦子のうち印字面に接触する部分)は、酢酸エチルを染み込ませた布(綿金巾3号)で被覆されていた。その後、前述の<白色度の評価>で記載の方法に従い、印字面のインクの明度(L*)を測定した。このようにして測定された明度(L*)を第2の試験後の明度(L*)とした。そして、下記式に基づいて、化学的耐性度を算出した。なお、下記式における「試験前の明度(L*)」は、各々、前述の<白色度の評価>で求められたインクの明度(L*)に相当する。
化学的耐性度(単位:%)=100×[第2の試験後の明度(L*)]/[試験前の明度(L*)]
評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。
良好:化学的耐性度が70%以上であった。
不良:化学的耐性度が70%未満であった。
<保存安定度の評価>
まず、イオン交換水を用いて、インク(より具体的には、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の各々)を10倍に希釈した。得られた希釈液を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス「U−3010」)のサンプル室にセットした。希釈液に可視光(波長:500nm)を入射して、入射光が希釈液に吸収される割合(吸光度Abs)を測定した。測定された吸光度Absを保存前の吸光度とした。
次に、希釈液のうちの10mLをメスシリンダー(容量:10mL)に入れ、メスシリンダーを室温25℃且つ湿度50%RHの環境下で1週間にわたって静置した。その後、メスシリンダー内の希釈液から上澄み液(2mL)を採取し、採取した上澄み液を、イオン交換水を用いて、1000倍に希釈した。得られた希釈液を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス「U−3010」)のサンプル室にセットした。希釈液に可視光(波長:500nm)を入射して、入射光が希釈液に吸収される割合(吸光度Abs)を測定した。測定された吸光度Absを保存後の吸光度とした。そして、下記式に基づいて、保存安定度を算出した。
保存安定度(単位:%)=100×(保存後の吸光度)/(保存前の吸光度)
評価基準を以下に示す。評価結果を表2に示す。
良好:保存安定度が60%以上であった。
不良:保存安定度が60%未満であった。
[インクの評価結果]
表2に、インク(より具体的には、インクWA−1〜WA−7及びWB−1〜WB−5の各々)の評価結果を示す。
Figure 2019026689
インクWA−1〜WA−7(実施例1〜7に係るインク)は、各々、以下に示す基本構成を有していた。詳しくは、インクWA−1〜WA−7は、各々、水性媒体と、水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含んでいた。樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以上1000nm以下であった。樹脂粒子は、各々、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とを含んでいた。樹脂粒子の各々において、熱可塑性樹脂に由来する単位は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋されていた。熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が、モノマーの含有量の合計に対し、10質量%以上であった。熱硬化性樹脂のモノマーは、アルキレングリコールジメタクリレートであった。表2に示すように、インクWA−1〜WA−7は、各々、所望の白色度を有し、所望の隠蔽度を有した。インクWA−1〜WA−7は、各々、物理的安定性と化学的安定性と保存安定性とに優れた。
一方、インクWB−1〜WB−5は、何れも、前述の基本構成を有していなかった。詳しくは、インクWB−1(比較例1に係るインク)では、樹脂粒子の平均粒子径が500nm未満であった。そして、インクWB−1は、所望の白色度を有することができず、所望の隠蔽度を有することができなかった。
インクWB−2(比較例2に係るインク)では、樹脂粒子の平均粒子径が1000nm超であった。インクWB−2は、インクWA−1〜WA−7の各々に比べ、保存安定性に劣った。
インクWB−3(比較例3に係るインク)では、熱硬化性樹脂のモノマーが、AGDMではなく、分子内に芳香環を有していた。インクWB−3は、インクWA−1〜WA−7の各々に比べ、物理的安定性と化学的安定性とに劣った。
インクWB−4(比較例4に係るインク)では、熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が10質量%未満であった。インクWB−4は、インクWA−1〜WA−7の各々に比べ、物理的安定性と化学的安定性とに劣った。
インクWB−5(比較例5に係るインク)では、インクWA−1〜WA−7の各々に比べ、樹脂粒子の多分散指数が著しく大きかった。インクWB−5は、インクWA−1〜WA−7の各々に比べ、保存安定性に劣った。
なお、本発明者は、前述の<明度(L*)及び色度(a*,b*)の測定方法>で測定されたインクWA−1〜WA−7の各々の明度(L*)が前述の式(1)を満たすことを確認している。また、本発明者は、前述の<明度(L*)及び色度(a*,b*)の測定方法>で測定されたインクWA−1〜WA−7の各々の色度(a*,b*)が前述の式(2)及び(3)を満たすことを確認している。つまり、本発明者は、インクWA−1〜WA−7の各々が白色インクであることを確認している。
本発明に係る白色インクは、例えばカラープリンターにおいて画像の記録に用いることに適している。


Claims (4)

  1. 水性媒体と、前記水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含み、
    前記樹脂粒子の平均粒子径が、500nm以上1000nm以下であり、
    前記樹脂粒子は、各々、熱可塑性樹脂に由来する単位と、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とを含み、
    前記樹脂粒子の各々において、前記熱可塑性樹脂に由来する単位は、前記熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位で架橋され、
    前記熱硬化性樹脂のモノマーの含有量が、前記熱硬化性樹脂のモノマーの含有量と前記熱可塑性樹脂のモノマーの含有量との合計に対し、10質量%以上であり、
    前記熱硬化性樹脂のモノマーは、アルキレングリコールジメタクリレートである、インクジェット記録用白色インク。
  2. 前記樹脂粒子の多分散指数が、0.25以下である、請求項1に記載のインクジェット記録用白色インク。
  3. 前記アルキレングリコールジメタクリレートは、エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、及びドデカメチレングリコールジメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用白色インク。
  4. 前記熱可塑性樹脂のモノマーは、メタクリル酸メチルを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット記録用白色インク。
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