JP5664845B2 - 白色インク組成物およびこれを用いた記録物 - Google Patents
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Description
本発明に係る白色インク組成物の一態様は、
白色顔料と、定着樹脂と、を含有する白色インク組成物であって、
前記定着樹脂は、塩化ビニル系樹脂と、フルオレン系樹脂と、ポリオレフィンワックスと、を含む。
適用例1において、
前記塩化ビニル系樹脂と前記フルオレン系樹脂とを質量基準で5:1〜1:6となる量比で含むことができる。
適用例1または適用例2において、
前記ポリオレフィンワックスと前記フルオレン系樹脂とを質量基準で3:2〜1:5となる量比で含むことができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例において、
前記塩化ビニル系樹脂の含有量が0.5質量%以上10質量%以下であることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例において、
前記白色顔料が、二酸化チタンであることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例において、
前記塩化ビニル系樹脂の最低造膜温度(MFT)が、0℃以上であることができる。
適用例1ないし適用例6のいずれか一例において、
前記ポリオレフィンワックスの平均粒子径が、30nm以上700nm以下であることができる。
適用例1ないし適用例7のいずれか一例において、
アルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種をさらに含有することができる。
適用例1ないし適用例8のいずれか一例において、
アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤をさらに含有することができる。
適用例1ないし適用例9のいずれか一例に記載の白色インク組成物は、インクジェット記録方式に適用することができる。
本発明に係る記録物の一態様は、適用例1ないし適用例10のいずれか一例に記載の白色インク組成物によって画像が記録されたものである。
本発明の一実施形態に係る白色インク組成物は、白色顔料と、前記白色顔料を定着するための定着樹脂と、を含有する。以下、本実施の形態に係る白色インク組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
本実施の形態に係る白色インク組成物は、白色顔料を含有する。白色顔料としては、例えば金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、白色度および耐擦性の観点から、二酸化チタンが好ましい。
本実施の形態に係る白色インク組成物は、前記白色顔料を記録媒体に定着させるための定着樹脂を含有する。本実施の形態に係る白色インク組成物は、前記定着樹脂として、塩化ビニル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィンワックスを少なくとも含有する。
本実施の形態に係る白色インク組成物は、定着樹脂として塩化ビニル系樹脂を含有することにより、記録した画像の遮蔽性を保持したままで、記録媒体に対する密着性や画像の耐水擦性を向上させることができる。
本実施の形態に係る白色インク組成物は、定着樹脂としてフルオレン系樹脂を含有することにより、記録した画像の耐擦性および耐水擦性を向上させることができる。
(a)イソホロンジイソシアネート(CAS No.4098−71−9)
(b)4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール](CAS No.117344−32−8)
(c)3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸(CAS No.4767−03−7)
(d)トリエチルアミン(CAS No.121−44−8)
本実施の形態に係る白色インク組成物は、定着樹脂としてポリオレフィンワックスを含有することにより、画像の遮蔽性を高めると共に、画像のヒビ割れを防止することができる。すなわち、本実施の形態に係る白色インク組成物は、前述したようにフルオレン系樹脂を含有しているので、画像にヒビ割れが発生することがある。そこで、ポリオレフィンワックスをさらに添加することで、画像のヒビ割れを効果的に防止することが可能となる。
本実施の形態に係る白色インク組成物は、前記成分に加えて、アルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種を添加してもよい。アルカンジオールやグリコールエーテルは、記録媒体等の被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
本発明はまた、上述した白色インク組成物によって画像が形成された記録物を提供することができる。本発明に係る記録物によれば、記録した画像表面のべたつきを生じることなく、画像の遮蔽性を保持したままで従来よりも耐擦性および耐水擦性が格段に向上した高品質な白色記録物を得ることができる。なお、本発明に係る記録物は、白色度、密着性にも優れており、カラーインクとのにじみやヒビ割れが防止された、品質のバランスに優れたものである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
表1〜2に示す配合量で、二酸化チタン粒子、定着樹脂、有機溶媒、多価アルコール、界面活性剤およびイオン交換水を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過、真空ポンプを用いて脱気処理をして、例1〜19の各白色インク組成物を得た。なお、表1〜2の例1〜19に記載されている濃度の単位は、質量%であり、二酸化チタン粒子、塩化ビニル系樹脂、フルオレン系樹脂、およびポリエチレンワックスについてはいずれも固形分換算濃度である。
・塩化ビニル系樹脂A(日信化学工業株式会社製、商品名「ビニブラン278」、固形分濃度:45%、MFT:50℃)
・塩化ビニル系樹脂B(日信化学工業株式会社製、商品名「ビニブラン271」、固形分濃度:45%、MFT:0℃)
・ポリエチレンワックスA(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「AQ513」、平均粒子径100〜200nm)
・ポリエチレンワックスB(三井化学株式会社製、商品名「W4005」、平均粒子径200〜700nm)
・ポリエチレンワックスC(サンノプコ社製、商品名「ノプコート PEM−17」、平均粒子径30nm)
表1〜2に記載の白色インク組成物を、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「PX−G930」)の専用カートリッジのブラックインク室にそれぞれ充填した。このようにして作製されたインクカートリッジをプリンターに装着し、印刷試験を行った。ブラック以外のインクカートリッジはそれぞれ市販のものを装着した。これは、ダミーとして用いるもので、本実施例の評価では用いないので、効果には関与しない。
duty(%)=実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実印字ドット数」は単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。100%dutyとは、画素に対する単色の最大インク質量を意味する。)
以上の工程により得られた記録物について、下記の各評価試験を行った。
市販の黒が基板となっている測色機、例えばGretag Macbeth SpetroscanおよびSpectrolino(X-Rite社製)を用い、CIE/L*a*b*表色系におけるL*値を測定することにより記録物の白さを判定した。評価基準は下記の通りである。
20点:L値が75以上
15点:L値が73以上、75未満
10点:L値が70以上、73未満
5点:L値が70未満
得られた記録物を偏角測色計(日本分光株式会社製、形式「ARM−500V」)にセットして、可視光線領域(380nm〜700nm)における1nm毎の各波長の透過率Tn(%)を測定した。その測定結果から、可視光領域(380nm〜700nm)における各波長毎の透過率Tnの積分値を算出することにより、遮蔽性を評価した。この評価方法によれば、得られる積分値は、0〜32000の間の数値となり、完全に遮蔽されていれば0、完全に透過すれば32000となる。評価基準は下記の通りである。
20点:透過率Tnの積分値が120以下
15点:透過率Tnの積分値が120以上、150未満
10点:透過率Tnの積分値が150以上、200未満
5点:透過率Tnの積分値が200以上
次いで、記録物の表面状態を調べた。表面状態の評価は、試験担当者が指で記録物の表面を触れることにより行い、下記評価基準により判定した。
10点:印刷物表面にべたつきがない。
5点:印刷物表面がわずかにべたつく。
−20点:印刷物表面がべたつく。
耐擦性は、白色インク組成物が記録されたPETシートを50℃の恒温槽で10分乾燥後、試験担当者の「布による擦り試験」を行うことにより判定した。この布による擦り試験は、布で印刷面を2〜3往復擦る試験方法である。評価基準は下記の通りである。
10点:布で擦っても印刷面に傷がつかない。
5点:布で擦ると印刷面にわずかに傷がつく。
−20点:布で擦ると印刷面にはっきりと傷がつく。
耐水擦性は、白色インク組成物が記録されたPETシートを50℃の恒温槽で10分乾燥後、試験担当者の「布による擦り試験」を行うことにより判定した。なお、この布には、水が十分に染み込ませてある。この布による擦り試験は、布で印刷面を2〜3往復擦る試験方法である。評価基準は下記の通りである。
10点:布で擦っても印刷面が剥がれない。
5点:布で擦ると印刷面がわずかに剥がれる。
−20点:布で擦ると印刷面が完全に剥がれる。
密着性は、白色インク組成物が記録されたPETシートを50℃の恒温槽で10分乾燥後、試験担当者の「爪による擦り試験」を行うことにより判定した。この爪による擦り試験は、爪で印刷面を2〜3回擦る試験方法である。評価基準は下記の通りである。
10点:爪で擦っても剥がれない。
5点:爪で擦るとわずかに剥がれる。
−20点:爪で擦ると完全に剥がれる。
(1)記録方法
被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体(ルミラー(R) S10−100μm(東レ株式会社製))に、C、M、Y、K、白の5色を充填したインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「PX−G930」)を用いて、シートフィーダー部をドライヤーで70℃に加熱して印刷時に記録媒体が45℃となるようにし、調製したインク組成物のそれぞれに対して、1440×720dpiの解像度で、100%Duty白ベタパターンの印刷行った。その直後に、白ベタの上から10%〜100%の各Dutyでそれぞれ2色が接触しているパターンを1440×720dpiの解像度で印刷した。
印刷パターンの2色が接する部分における滲みの発生の有無を各Dutyで調べ、下記基準に従って評価した。
10点:Duty100%でも滲まない。
5点:Duty70%までなら滲まない。
0点:Duty40%までなら滲まない。
−20点:Duty40%未満で滲む。
信頼性は、上述した工程により白色記録物を作製した後、インクジェットプリンターのヘッド部分の目詰まりが起こりやすいか否か、目詰まりがクリーニングで回復するか否かを試験担当者が判定した。評価基準は下記の通りである。
10点:ヘッドの目詰まりが起こりにくく、クリーニングで容易に回復する。
0点:ヘッドの目詰まりは起こりにくいが、クリーニングで回復しにくい。
0点:ヘッドの目詰まりは起こりやすいが、クリーニングで容易に回復する。
−20点:ヘッドの目詰まりが起こりやすく、クリーニングでも回復しにくい。
ヒビ割れは、白色インク組成物が記録されたPETシートを50℃の恒温槽で10分乾燥後、試験担当者が画像表面を目視により判定した。評価基準は下記の通りである。
0点:乾燥後、ヒビ割れが起こらない。
−20点:乾燥後、ヒビ割れが起こる。
上記の評価結果の合計得点から品質を総合的に判定した。合計得点が60点以上であれば品質上問題なく使用することができ、70点以上であれば特に品質に優れた白色インク組成物であると評価することができる。合計得点が60点未満であると、いずれかの評価項目において良好な結果が得られていないため、製品としては不適格であると評価することができる。
以上の評価結果を表1〜2に併せて示す。
Claims (9)
- 白色顔料と、定着樹脂と、を含有する白色インク組成物であって、
前記定着樹脂は、塩化ビニル系樹脂と、フルオレン系樹脂と、ポリオレフィンワックスと、を含み、
前記塩化ビニル系樹脂と前記フルオレン系樹脂とを質量基準で5:1〜1:6となる量比で含み、かつ、前記ポリオレフィンワックスと前記フルオレン系樹脂とを質量基準で3:2〜1:5となる量比で含む、白色インク組成物。 - 請求項1において、
前記塩化ビニル系樹脂の含有量が0.5質量%以上10質量%以下である、白色インク組成物。 - 請求項1または請求項2において、
前記白色顔料が、二酸化チタンである、白色インク組成物。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記塩化ビニル系樹脂の最低造膜温度(MFT)が、0℃以上である、白色インク組成物。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記ポリオレフィンワックスの平均粒子径が、30nm以上700nm以下である、白色インク組成物。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
アルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種をさらに含有する、白色インク組成物。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤をさらに含有す
る、白色インク組成物。 - インクジェット記録方式に適用される、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の白色インク組成物。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の白色インク組成物によって画像が記録された、記録物。
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