JP6806026B2 - インクジェット記録用白色インク及びその製造方法 - Google Patents
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Description
70≦L*≦100・・・式(1)
−3.5≦a*≦1.0・・・式(2)
−5.0≦b*≦1.5・・・式(3)
<測定方法>
記録媒体(セイコーエプソン株式会社製「エプソン純正写真用紙<光沢>」)の表面に対し、duty100%のソリッド画像を記録する。分光光度計(X−Rite社製「Spectrolino」)を用い、下記測定条件で、記録媒体に記録されたインクの明度(L*)及び色度(a*,b*)を測定する。
(測定条件)
光源:D50
観測視野:2°
濃度測定条件:DIN NBフィルター
White Base:absolute
フィルター:No
測定モード:Reflectance
(duty)
duty(インクの付与量)は、下記式で表される。下記式において、「実記録ドット数」は、単位面積当たりの実記録ドット数を意味する。dutyが100%であるとは、画素に対する単色インクの付与量が最大であることを意味する。
duty(単位:%)=100×(実記録ドット数)/(画像解像度)
本実施形態に係る白色インクは、次に示す構成(以下、「基本構成」と記載することがある)を備える。詳しくは、本実施形態に係る白色インクは、水性媒体と、水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含む。樹脂粒子の個数平均一次粒子径が、250nm以上350nm以下である。樹脂粒子の体積基準の粒度分布曲線が、第1ピークと第2ピークとを有する。樹脂粒子の体積基準の粒度分布曲線において、第1ピークのピーク粒子径が80nm以上150nm以下の範囲内に存在し、第2ピークのピーク粒子径が350nm以上450nm以下の範囲内に存在する。樹脂粒子は、各々、スチレン−アクリル酸系樹脂を含有する。乾燥状態のインクジェット記録用白色インクのBET比表面積が、10m2/g以上50m2/g以下である。
まず、樹脂粒子を作製する。より具体的には、所定の溶剤に、スチレン−アクリル酸系樹脂を重合によって合成可能なモノマー又はプレポリマーを加える。得られた混合液を攪拌しながら、混合液の温度を所定の時間にわたって所定の温度に保つ。好ましくは、窒素雰囲気下において混合液の温度を所定の温度に保つ。混合液の温度を所定の温度に保っている間に、モノマー又はプレポリマーが反応(例えば乳化重合反応)する。このようにして、樹脂粒子が得られる。
以下、白色インクに含有される材料について、具体的に説明する。
前述したように、白色インクは、水性媒体と、水性媒体に分散する複数の樹脂粒子とを含む。白色インクは、他のインク成分をさらに含有してもよい。
水性媒体は、水を含有することが好ましい。水は、純水又は超純水であることが好ましく、より好ましくは滅菌処理された純水又は超純水である。滅菌処理された純水又は超純水を使用すれば、白色インクにおいてカビ及びバクテリアが発生することを長期にわたって防止できる。純水には、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、又は蒸留水が含まれる。滅菌処理には、例えば、紫外線照射、又は過酸化水素添加が含まれる。
樹脂粒子は、スチレン−アクリル酸系樹脂を含有し、好ましくはスチレン−アクリル酸系樹脂のみを含有する。スチレン−アクリル酸系樹脂は、一種類以上のスチレン系モノマーと一種類以上のアクリル酸系モノマーとを含む混合モノマーの重合物である。より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂は、一種類以上のスチレン系モノマーと一種類以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体(縮合重合体)であってもよいし、一種類以上のスチレン系モノマーと一種類以上のアクリル酸系モノマーと一種類以上の他のモノマーとの共重合体であってもよい。
白色インクは、浸透剤、界面活性剤、多価アルコール、及びpH調整剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有することが好ましい。
白色インクが浸透剤を含有していれば、記録媒体の印字面に対する白色インクの濡れ性を高めることができるため、記録媒体に対する白色インクの浸透性を高めることができる。浸透剤は、アルカンジオールとグリコールエーテル類とからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。白色インクにおける浸透剤の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
白色インクが界面活性剤を含有していれば、記録媒体の印字面に対する白色インクの濡れ性を高めることができるため、記録媒体に対する白色インクの浸透性を高めることができる。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は両性界面活性剤であってもよいが、ノニオン界面活性剤であることが好ましい。ノニオン界面活性剤は、アセチレングリコール型界面活性剤とポリシロキサン型界面活性剤とからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。白色インクにおける界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上5.00質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上0.50質量%以下である。
白色インクが多価アルコールを含有していれば、白色インクの乾燥を防止できるため、記録ヘッドが目詰まりを起こすことを防止できる。白色インクにおける多価アルコールの含有量は、好ましくは0.1質量%以上30.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上20.0質量%以下である。
白色インクがpH調整剤を含有していれば、白色インクのpHを容易に調整できる。白色インクにおけるpH調整剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上10.00質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下である。pH調整剤は、第三級アミンであることが好ましい。より具体的には、pH調整剤は、トリエタノールアミンであることが好ましい。
白色インクは、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、及び酸素吸収剤からなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有することが好ましい。定着剤は、例えば、水溶性ロジンであることが好ましい。防黴剤は、例えば、安息香酸ナトリウムであることが好ましい。安息香酸ナトリウムは、防腐剤としても機能し得る。酸化防止剤は、例えば、アロハネート類であることが好ましい。
<樹脂粒子Aの作製>
まず、温度計と攪拌羽根と窒素導入管とを備えた3つ口フラスコ(容量:2L)に、80.0質量部のスチレンと、5.0質量部のメタクリル酸と、15.0質量部のメタクリル酸メチルと、4.0質量部のα−メチルスチレンのダイマーと、14.0質量部のt−ドデシルメルカプタンと、0.8質量部のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと、1.0質量部の過硫酸カリウムと、200.0質量部のイオン交換水とを入れた。フラスコに窒素を導入しながら、且つフラスコの内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を80℃まで上昇させた。窒素の導入と攪拌とを継続しながら、6時間にわたってフラスコ内の温度を80℃に保った。フラスコ内の温度を80℃に保っている間に、フラスコの内容物が反応した(乳化重合)。この反応の収率は98%であった。このようにして、樹脂粒子Aを得た。
材料の配合量を表1に示す値に変更したことを除いては樹脂粒子Aの作製方法に従い、樹脂粒子B〜Hの各々を作製した。
<体積中位径D50の測定>
粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950」)を用いて、樹脂粒子(より具体的には、樹脂粒子A〜Hの各々)の体積中位径D50を求めた。測定結果を表2に示す。
ゲルろ過クロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC−8020GPC」)を用いて、下記条件で、樹脂粒子(より具体的には、樹脂粒子A〜Hの各々)の質量平均分子量Mwを求めた。測定結果を表2に示す。
(測定条件)
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(4.6mmI.D.×15cmのセミミクロカラム)
カラム本数:3本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
サンプル注入量:10μL
測定温度:40℃
検出器:IR検出器
なお、検量線は、東ソー株式会社製のTSKgel標準ポリスチレンから、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、及びA−1000の7種とn−プロピルベンゼンとを選択して作成された。
全自動BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「Macsorb(登録商標)HM MODEL−1208」)を用いて、樹脂粒子(より具体的には、樹脂粒子A〜Hの各々)のBET比表面積を求めた。測定結果を表2に示す。
<樹脂分散体P−01の調製>
高圧乳化装置(双日マシナリー株式会社製「nano3000(登録商標)」)に、20.0質量部の樹脂粒子Aと、20.0質量部の樹脂粒子Bと、0.3質量部のラウリル硫酸ナトリウムと、360.0質量部のイオン交換水とを入れた。得られた分散液に対し、前述の高圧乳化装置を用いて、処理温度100℃、処理圧80MPa、且つパス回数1回という条件で、高圧乳化処理を行った。このようにして、樹脂分散体P−01(固形分濃度:10質量%)を得た。
樹脂粒子の種類及び配合量と高圧乳化処理における処理温度及び処理圧とを各々表3に示す値に変更したことを除いては樹脂分散体P−01の調製方法に従い、樹脂分散体P−02〜P−16の各々を調製した。
<個数平均一次粒子径の測定>
次に示す方法で、樹脂粒子(より具体的には、樹脂分散体P−01〜P−32の各々に含まれる樹脂粒子)の個数平均一次粒子径を測定した。詳しくは、透過電子顕微鏡(TEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H−7100FA」)を用いて、樹脂粒子を倍率1000000倍で観察して、100個以上の樹脂粒子のTEM写真を撮影した。得られたTEM写真の中から、100個の樹脂粒子のTEM写真を任意に選択した。任意に選択されたTEM写真について、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、樹脂粒子の円相当径を測定した。測定された円相当径の個数平均値を算出した。算出された個数平均値を樹脂粒子の個数平均一次粒子径とした。算出結果を表5及び表6の「平均粒子径」に示す。
粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950」)を用いて、樹脂粒子(より具体的には、樹脂分散体P−01〜P−32の各々に含まれる樹脂粒子)の体積基準の粒度分布曲線を測定した。得られた粒度分布曲線に基づいて、ピーク粒子径を求めた。測定結果を表5及び表6に示す。
200gの樹脂分散体(より具体的には、樹脂分散体P−01〜P−32の各々)を容器に入れ、その容器を恒温槽(設定温度:50℃)内に静置した。恒温槽の内圧を10mmHgにまで下げた。これにより、樹脂分散体が乾燥し、乾燥状態の樹脂分散体(粉末)を得た。得られた粉末の1gを測定用サンプルとした。全自動BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「Macsorb HM MODEL−1208」)を用いて、測定用サンプルのBET比表面積を求めた。求められたBET比表面積を乾燥状態のインクのBET比表面積とした。測定結果を表5及び表6の「BET比表面積」に示す。
<水性インクWA−01の製造>
容器に、50.0質量%の樹脂分散体P−01と、10.0質量%のグリセリンと、5.0質量%の1,2−ヘキサンジオールと、0.1質量%の界面活性剤(ビックケミー・ジャパン社製「BYK−348」)と、0.3質量%のトリエタノールアミンと、イオン交換水(残量)とを入れた。攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いて容器の内容物を回転速度400rpmで攪拌し、容器の内容物を均一に混合した。得られた液を、メンブランフィルター(孔径:10μm)を用いて、濾過した。このようにして、水性インクWA−01を得た。
樹脂分散体P−02〜P−08を用いたことを除いては水性インクWA−01の製造方法に従い、各々、水性インクWA−02〜WA−08を得た。樹脂分散体P−09〜P−32を用いたことを除いては水性インクWA−01の製造方法に従い、各々、水性インクWB−01〜WB−24を得た。
<白色度の評価>
まず、水性インク(より具体的には、水性インクWA−01〜WA−08及びWB−01〜WB−24の各々)を、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製「PX−045a」)専用のカートリッジの黒色インク室に充填した。次に、カートリッジを前述のインクジェットプリンターに装着した。続いて、インクジェットプリンターを用いて、duty100%のソリッド画像を記録媒体(セイコーエプソン株式会社製「クリアプルーフフィルム」)に記録した。反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて、下記測定条件で、記録媒体に記録された水性インクの明度(L*)及び色度(a*,b*)を測定した。
(測定条件)
光源:D50
観測視野:2°
濃度測定条件:DIN NBフィルター
White Base:absolute
フィルター:No
測定モード:Reflectance
良好:下記式(1)〜式(3)の全てを満たした。
不良:下記式(1)〜式(3)のうちの少なくとも1つを満たさなかった。
70≦L*≦100・・・式(1)
−3.5≦a*≦1.0・・・式(2)
−5.0≦b*≦1.5・・・式(3)
学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製)を用いて、不織布による擦り試験を行った。詳しくは、荷重200gfをかけながら、前述の<白色度の評価>で得られた印字物の印刷面において不織布(旭化成株式会社「ベンコット(登録商標)M−3II」)を500回にわたって往復移動させた。その後、印刷面の状態を目視で観察した。
優良:擦り試験の前後において印刷面の状態に変化は確認されなかった。
良好:印刷面には擦った跡が確認された。印刷面を手で触れても、画像は剥がれなかった。
やや不良:印刷面を手で触れると、画像が剥がれた。
不良:印刷面を手で軽く触れただけでも、画像が剥がれた。
まず、「JIS Z 8803:2011(液体の粘度測定方法)」に記載の方法に準拠して、25℃における水性インク(より具体的には、水性インクWA−01〜WA−08及びWB−01〜WB−24の各々)の粘度を測定した。このようにして、保存前の粘度を求めた。
粘度の変化率[単位:%]=100×[(保管後の粘度)−(保管前の粘度)]/(保管前の粘度)
良好:粘度の変化率が10%未満であった。
不良:粘度の変化率が10%以上であった。
表7に、水性インク(より具体的には、水性インクWA−01〜WA−08及びWB−01〜WB−08の各々)の評価結果を示す。表8に、水性インク(より具体的には、水性インクWB−09〜WB−24の各々)の評価結果を示す。
Claims (5)
- 水性媒体と、前記水性媒体に分散された複数の樹脂粒子とを含むインクジェット記録用白色インクであって、
前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径が、250nm以上350nm以下であり、
前記樹脂粒子の体積基準の粒度分布曲線が、第1ピークと第2ピークとを有し、
前記粒度分布曲線において、前記第1ピークのピーク粒子径が80nm以上150nm以下の範囲内に存在し、前記第2ピークのピーク粒子径が350nm以上450nm以下の範囲内に存在し、
前記樹脂粒子は、各々、スチレン−アクリル酸系樹脂を含有し、
乾燥状態の前記インクジェット記録用白色インクのBET比表面積が、10m2/g以上50m2/g以下である、インクジェット記録用白色インク。 - 前記樹脂粒子は、個数平均一次粒子径が80nm以上150nm以下である複数の小径粒子と、個数平均一次粒子径が350nm以上450nm以下である複数の大径粒子とを含む、請求項1に記載のインクジェット記録用白色インク。
- 前記スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル酸系モノマーとを含む混合モノマーの重合物であり、
前記混合モノマーにおいて、前記スチレン系モノマーの含有量が、前記アクリル酸系モノマーの含有量よりも多い、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用白色インク。 - 前記スチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量が、2500以上4000以下である、請求項3に記載のインクジェット記録用白色インク。
- 小径粒子を準備することと、
大径粒子を準備することと、
前記小径粒子と前記大径粒子とを含む分散液を高圧乳化法で処理することと、
を含み、
前記小径粒子と前記大径粒子とは、各々、スチレン−アクリル酸系樹脂を含有し、
前記小径粒子の体積中位径が80nm以上150nm以下であり、
前記大径粒子の体積中位径が350nm以上450nm以下である、インクジェット記録用白色インクの製造方法。
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