JP2019023144A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低出力のステッピングモータを用いた装置において、昇降板が給送ローラに付勢した状態から正常な状態に復帰すること。【解決手段】シート材が載置されて昇降可能な昇降板16と、昇降板16を昇降させる昇降板昇降制御カム19と、昇降板昇降制御カム19により上昇された昇降板16に載置されているシート材と当接し、回転することによって当接したシート材を給送する給紙ローラ6と、回転することによって昇降板昇降制御カム19と給紙ローラ6を駆動するステッピングモータ21と、第一の回転数でステッピングモータ21が回転するように制御する制御部50と、を有し、給紙ローラ6が昇降板16又は昇降板16に載置されているシート材によって押圧され、給紙ローラ6が回転できない状態が生じた場合、制御部50は、第一の回転数(S102)よりも小さい第二の回転数でステッピングモータ21が回転するように制御する(S109)。【選択図】図3

Description

本発明は画像形成装置に関し、特にシート材の給送制御に関する。
従来、画像形成装置におけるシート材の給紙・搬送系の駆動源には、ステッピングモータが用いられる場合が多い。また、ステッピングモータは、小型で安価に構成できる反面、過負荷や急な回転速度の変化により、パルス信号の入力に対して回転子の回転が同期できなくなる、いわゆる脱調現象が発生しやすい。回転子が加速した状態で脱調すると、パルス信号との同期が取れず、給紙・搬送動作を停止させてしまう。そのため、様々なユーザ使用条件に対しても脱調現象が発生しないように、出力トルクの大きいステッピングモータが画像形成装置では選定されることがある。また、脱調現象への他の対策として、例えば、特許文献1では負荷の大きさに合わせてステッピングモータの駆動電流を制御する技術が提案されている。また、例えば、特許文献2ではステッピングモータのロータ位置検出から制御を変更し、ステッピングモータの出力効率を高める技術が提案されている。
特開2008−301625号公報 特開2013−151340号公報
給紙機構を安価にするため、昇降板に載置されたシート材の有無を検知するセンサ機能を備えていない画像形成装置がある。このような画像形成装置では、シート材が載置されていない場合、昇降板が直接、給送ローラに付勢した状態で、給送ローラを駆動する場合があり、その場合は駆動源であるステッピングモータへの負荷が最大となる。このような状態でステッピングモータが脱調すると、昇降板が給送ローラに付勢した状態が維持されるため、正常な状態に復帰することができない。そこで、この種の画像形成装置では、昇降板が給送ローラに付勢した位置でも脱調しない出力トルクの高いステッピングモータが採用されているが、高価なステッピングモータの採用によりコストアップとなっている。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、低出力のステッピングモータを用いた装置において、昇降板が給送ローラに付勢した状態から正常な状態に復帰することを目的とする。
前述の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
(1)シート材が載置されて昇降可能な昇降板と、前記昇降板を昇降させる昇降手段と、前記昇降手段により上昇された前記昇降板に載置されているシート材と当接し、回転することによって前記当接したシート材を給送する給送手段と、回転することによって前記昇降手段と前記給送手段を駆動する駆動源と、第一の回転数で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御する制御手段と、を有し、前記給送手段が前記昇降板又は前記昇降板に載置されているシート材によって押圧され、前記給送手段が回転できない状態が生じた場合、前記制御手段は、前記第一の回転数よりも小さい第二の回転数で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
(2)シート材が載置されて昇降可能な昇降板と、前記昇降板を昇降させる昇降手段と、前記昇降手段により上昇された前記昇降板に載置されているシート材と当接し、回転することによって前記当接したシート材を給送する給送手段と、前記給送手段により給送されたシート材を検知する検知手段と、回転することによって前記昇降手段と前記給送手段を駆動する駆動源と、第一の回転数で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段が前記駆動源を前記第一の回転数で回転させるように制御してから、第一の所定時間が経過しても前記検知手段がシート材を検知しない場合には、前記制御手段は、前記第一の回転数よりも小さい第二の回転数で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
(3)シート材が載置されて昇降可能な昇降板と、前記昇降板を昇降させる昇降手段と、前記昇降手段により上昇された前記昇降板に載置されているシート材と当接し、回転することによって前記当接したシート材を給送する給送手段と、回転することによって前記昇降手段と前記給送手段を駆動する駆動源と、第一の電流値によって前記駆動源が駆動されて、回転するように前記駆動源を制御する制御手段と、を有し、前記給送手段が前記昇降板又は前記昇降板に載置されているシート材によって押圧され、前記給送手段が回転できない状態が生じた場合、前記制御手段は、前記第一の電流値よりも大きい第二の電流値によって前記駆動源が駆動されて、回転するように前記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
(4)シート材が載置されて昇降可能な昇降板と、前記昇降板を昇降させる昇降手段と、前記昇降手段により上昇された前記昇降板に載置されているシート材と当接し、回転することによって前記当接したシート材を給送する給送手段と、前記給送手段により給送されたシート材を検知する検知手段と、回転することによって前記昇降手段と前記給送手段を駆動する駆動源と、第一の電流値で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段が前記駆動源を第一の電流値で駆動して回転させるように制御してから、第一の所定時間が経過しても前記検知手段がシート材を検知しない場合には、前記制御手段は、前記第一の電流値よりも大きい第二の電流値によって前記駆動源が駆動されて、回転するように前記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、低出力のステッピングモータを用いた装置において、昇降板が給送ローラに付勢した状態から正常な状態に復帰することができる。
実施例1〜3の画像形成装置の概略断面図、シート材給送装置の概略斜視図 実施例1〜3の給紙カセットの概略斜視図、昇降板の状態を示す概略斜視図、駆動伝達経路の概略斜視図 実施例1の制御シーケンスのフローチャート 実施例1のシート材の正常搬送時、脱調発生時のタイムチャート 実施例2の制御シーケンスのフローチャート 実施例2のシート材の正常搬送時、脱調発生時のタイムチャート 実施例3の制御シーケンスのフローチャート
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
[画像形成装置の全体構成]
図1(a)を参照して、実施例1のカラー画像形成装置(以下、画像形成装置という)
100の全体構成について説明する。図1(a)は、シート材給送制御機構を備えた画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザプリンタである。画像形成装置100は、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)等の外部ホスト装置から画像形成装置のコントローラである制御部50に入力される画像信号に基づいて、記録材であるシート材Sに画像を形成する。制御部50は、PC等の外部ホスト装置から画像信号等の印刷要求を受信すると、画像形成部、定着装置、給送制御部等に画像形成動作の開始を指示する。また、制御部50はROM、RAMを有しており、ROMには、制御部50が実行する制御プログラムやデータが格納されており、RAMは、制御部50が実行する制御プログラムが一時的に情報を保存するために使用されるメモリである。また、制御部50は時間測定を行うタイマ機能を有している。
画像形成装置100では、フルカラー画像をシート材Sに形成するため、次のような制御動作が実行される。まず、画像形成部である4つの各プロセスカートリッジ(以下、カートリッジという)PY、PM、PC、PKの感光ドラム1が、反時計回り方向(図中、矢印方向)に所定の制御速度で回転駆動される。カートリッジPYはイエロー、カートリッジPMはマゼンタ、カートリッジPCはシアン、カートリッジPKはブラックのトナーを備えている。中間転写体であるベルト4も、図中矢印で示す時計回り方向に、感光ドラム1の速度に対応した速度で回転駆動される。更に、感光ドラム1に静電潜像を形成するスキャナユニット5も駆動される。
各カートリッジPY、PM、PC、PKにおいて、所定の制御タイミングで、帯電ローラ2が感光ドラム1の表面を所定の極性・電位となるように一様に帯電する。続いて、スキャナユニット5は、各カートリッジPY、PM、PC、PKの感光ドラム1の表面を各色の画像信号に応じて変調されたレーザ光で走査露光する。これにより、各感光ドラム1の表面の、レーザ光で走査露光された領域には、画像信号に応じた静電潜像が形成される。そして、各感光ドラム1の表面に形成された静電潜像は、現像器3のトナーにより現像され、トナー像が形成される。上述した画像形成プロセス動作により、感光ドラム1にはトナー像が形成され、各カートリッジPY、PM、PC、PKのトナー像は感光ドラム1の速度に対応した速度で回転駆動されるベルト4上に重畳転写される。
一方、シート材Sの搬送を行うシート材給送装置10においては、所定の制御タイミングで、給紙カセット9の後述する昇降板16に載置されたシート材Sに当接してシート材Sを給送する給送手段である給紙ローラ6と搬送ローラ7が駆動される。給紙カセット9上に積載されている記録媒体であるシート材Sは、給紙ローラ6により給送され、搬送ローラ7と分離ローラ8により1枚ずつ分離されて搬送路へ給送される。シート材Sの到達を検知する検知手段であるレジストセンサ101が、レジストローラ対11を通過して、搬送路上を搬送されるシート材Sの先端を検知すると、その旨を制御部50に通知する。そして、このとき、ベルト4上に転写されたトナー像と搬送ローラ7により搬送されたシート材Sが二次転写ニップ部に到達するタイミングが合うように、レジストローラ対11によるシート材Sの搬送速度の調整が行われる。
その後、シート材Sが二次転写ローラ12とベルト4とのニップ部である二次転写ニップ部を挟持搬送されると、ベルト4上に形成された4色重畳のトナー像はシート材Sに転写される。続いて、シート材Sはベルト4の面から分離されて定着装置13へと搬送され、定着装置13の定着ニップ部にて加熱・加圧され、シート材S上の各色トナー像の混色及びシート材Sへの定着が行われる。そして、シート材Sは排紙ローラ対14により排紙トレイ15上に排出される。また、給紙カセット9上に積載されたシート材Sの枚数が少量になったときに、複数枚のシート材Sが重なって給送されないように、後述する昇降板16には分離パット20が設けられている。
[シート材給送装置の概要]
次に、シート材給送装置10の構成について説明する。図1(b)は、シート材給送装置の概略斜視図である。シート材給送装置10は、シート材Sを積載するための給紙カセット9、昇降板16を昇降させるための昇降機構、駆動源であるステッピングモータ21から給紙ローラ6、搬送ローラ7までの回転駆動の伝達経路から構成されている。本実施例のシート材給送装置10は、昇降板16に載置されたシート材Sの有無を検知するセンサ機能や、給紙カセット9に載置されたシート材の種類を判別するセンサ機能等のシート材検知手段は備えていない。なお、図1(b)に付した符号についての説明は後述する。
[給紙カセット]
まず、図2を用いて、給紙カセット9について説明する。図2(a)は、給紙カセット9の概略斜視図である。給紙カセット9は、図1(a)に示す画像形成装置100の図中右側面である画像形成装置100の前面側から着脱自在となっており、ユーザによるシート材Sの載置及びジャム処理が容易に行えるように構成されている。図2(a)に示すように、給紙カセット9には、シート材Sが載置され、後述する上昇動作を行うことで、シート材Sを給紙ローラ6に付勢する昇降板16が設けられている。昇降板16は、昇降板の回転中心36を回転の中心として回転自在に位置決めされる。また、昇降板16の両端には、昇降板16の昇降動作を制御する昇降レバー18との係合部17が設けられている。
[昇降板の昇降機構]
続いて、昇降板16の昇降機構について説明する。図2(b)は、昇降板16が不図示の給紙ローラ6から最も離間した状態(最も降下した状態)を示す概略斜視図、図2(c)は、昇降板16が上昇し、不図示の給紙ローラ6に当接した状態(最も上昇した状態)を示す概略斜視図である。画像形成装置100の本体側には、図2(b)、(c)に示すように、昇降レバー18が、昇降レバーの回転中心37を回転の中心として回転自在に位置決めされている。昇降レバー18は、不図示の付勢部材により給紙ローラ6の方向に付勢されている。画像形成装置100に給紙カセット9が装着された状態においては、前述した昇降板16の係合部17と昇降レバー18が係合し、昇降レバー18の昇降動作と連動して、昇降板16も昇降可能なように構成されている。
また、給紙ローラ6の方向に付勢された昇降レバー18の上昇動作は、昇降レバー18の上部に設けられた、昇降手段である昇降板昇降制御カム19(以下、制御カム19という)により規制される。図2(b)、(c)に示すように、制御カム19が回転することで、昇降レバー18が昇降し、昇降レバーとの係合部17を介して昇降板16が昇降する構成となっている。すなわち、図2(b)に示す昇降板16が下がりきった状態から制御カム19が図中、矢印方向に回転することにより、昇降板16は不図示の付勢部材により給紙ローラ6の方向に付勢され、制御カム19の形状に沿って上昇し、図2(c)に示す位置に移動する。更に、制御カム19を回転させることにより、昇降レバー18が制御カム19により図中、下方向に抑え込まれることにより、昇降板16は給紙ローラ6から離間する方向に移動し、図2(b)に示す状態に戻る。
昇降板16の昇降動作は、シート材Sの1枚毎に繰り返され、昇降板16上に載置されたシート材Sは、給紙ローラ6に対して当接し付勢された位置と離間した位置との間を、制御カム19の回転動作により制御される。また、昇降板16上に設けられた分離パット20は、昇降板16に載置されたシート材Sが少なくなった際に、最上面に積載されたシート材Sの給紙ローラ6のピックアップ動作に引きずられて最下面のシート材Sが重送されないように設けられている。なお、分離パット20は、図2に示すように給紙ローラ6に対向する位置に設けられている。
[駆動伝達経路]
次に、図2(d)を用いて、駆動源の回転が給紙ローラ6、搬送ローラ7へと伝達される駆動伝達経路について説明する。図2(d)は、本実施例における駆動伝達経路を示す概略斜視図である。画像形成装置100には、駆動源であるステッピングモータ21が備えられている。制御部50からの制御により、ステッピングモータ21は駆動され、ステッピングモータ21の回転駆動は、第1駆動ギア22から第2駆動ギア23へと伝達される。ここで、欠歯ギア24は不図示のソレノイドにより制御される欠歯ギアとなっており、第2駆動ギア23と選択的に噛み合う構成となっている。本実施例においては、欠歯ギア24と第2駆動ギア23の噛み合いをソレノイドにより制御する構成としているが、例えば電磁クラッチ等を用いて制御する構成でもよい。また、欠歯ギア24と制御カム19は同じ回転軸25に固定されており、一体となって回転するよう構成されている。すなわち、制御部50からの制御信号に基づいてソレノイドが動作すると、欠歯ギア24が第2駆動ギア23と噛み合い、ステッピングモータ21の駆動は欠歯ギア24を介して、同じ回転軸25に固定された制御カム19を回転させる構成となっている。
また、欠歯ギア24と制御カム19が固定された回転軸25にはギア27も固定されており、ギア27が回転すると、ギア27と噛み合わされたギア31も回転する。給紙ローラ6及び搬送ローラ7の端部には、ギア31と噛み合う歯面が形成されており、ギア31の回転を受けて、給紙ローラ6及び搬送ローラ7が回転駆動される。ここで、給紙ローラ6及び搬送ローラ7によるシート材Sの搬送距離は、欠歯ギア24と制御カム19の回転動作により、シート材Sを搬送路下流のレジストローラ対11へと搬送可能なように設定されている。
このようにステッピングモータ21と制御カム19は連動しており、制御カム19が1回転することで、昇降板16の給紙ローラ6への当接、離間を行うことができる。従って、給紙ローラ6に昇降板16が付勢した位置でステッピングモータ21が脱調した場合には、ユーザがシート材Sを入れなおしても、昇降板16と給紙ローラ6は当接しているためにシート材Sの先端は昇降板16と給紙ローラ6の間に入らない。そのため、給紙ローラ6の正規の位置にシート材を載置することができない。
より詳細に説明すると、昇降レバー18は装置100の本体側に設けられているため、給紙カセット9を本体から取り出した場合、係合部17と昇降レバー18の係合が解除され、昇降板16は最も降下した状態となる。ゆえに、ユーザはシート材Sを昇降板16の上に置くことができる。しかし、この状態で給紙カセット9を再度本体に取り付ける場合、本体側の昇降レバー18は上がった状態のままなので、シート材Sの先端が昇降板16と給紙ローラ6の間に入る前に、昇降板16は上昇する。したがって、シート材Sの先端が給紙ローラ6に衝突してしまい、ユーザは給紙ローラ6の正規の位置にシート材Sを載置することができない。
[給送動作の制御シーケンス]
次に、図3のフローチャートを用いて、本実施例の給送動作について説明する。図3は、本実施例の給送動作の制御シーケンスを示すフローチャートであり、PC等の外部ホスト装置からの印刷要求を受信すると、制御部50により図3に示す処理が実行される。まず、ステップ101(以下、S101のように記す)では、制御部50は、画像形成部、定着装置、給送制御部等に、画像形成動作の開始を指示し、タイマをリセットし、スタートさせる。
S102では、制御部50から画像形成動作の開示を指示されたステッピングモータ21は、給送動作の開始タイミングになると、加速回転を始め、欠歯ギア24を介して、欠歯ギア24と同じ回転軸に固定された制御カム19を回転させる。前述したように、制御カム19が回転することで、昇降レバー18が上昇し、昇降レバー18との係合部17を介して昇降板16も上昇を始める。シート材Sを積載した昇降板16が、上昇動作を行うことにより、昇降板16の最上面のシート材Sと給紙ローラ6が当接する。また、制御カム19と同じ回転軸上のギア27により回転駆動されるギア31の回転を受け、給紙ローラ6と搬送ローラ7が回転駆動される。このようなシート材給送装置10の通常の給送動作を、以下では「第一の駆動動作」という。そして、給紙カセット9の昇降板16上に積載されている記録媒体であるシート材Sは、給紙ローラ6により給送され、搬送ローラ7と分離ローラ8により、1枚ずつ分離されて搬送路を給送される。
S103では、制御部50は、レジストセンサ101からシート材Sを検知した通知を受信したかどうかにより、シート材Sが正常に搬送路を搬送されているかどうかを判断する。制御部50は、レジストセンサ101からシート材Sの先端を検知した通知を受信した場合には、シート材Sが正常に搬送路を搬送されていると判断し、S105に進み、受信していない場合には、S104に進む。S104では、制御部50は、タイマよりタイマ値を読み出し、シート材Sが給送開始されてからレジストセンサ101に到達するまでの時間である第一の所定時間が経過したかどうかを判断する。制御部50は、第一の所定時間が経過していないと判断した場合にはS103に戻り、第一の所定時間が経過したと判断した場合にはS109に進む。
S105では、制御部50は、ベルト4上に転写されたトナー像と給送されたシート材Sへの転写位置を合わせるために、シート材Sを搬送するレジストローラ対11によるシート材Sの搬送速度調整を行う。そして、制御部50は、調整が完了すると、シート材Sにベルト4上のトナー像を転写するため、二次転写ニップ部へのシート材Sの搬送を行う。S106では、制御部50は、トナー像が転写されたシート材Sをベルト4から分離して定着装置13へ搬送させる。制御部50は、定着装置13の定着ニップ部でシート材Sを加熱・加圧し、トナー像をシート材に定着させる処理を行わせ、定着処理が終了したシート材Sを機外に排出する。
S107では、制御部50は、全てのプリントが終了したかどうかを判断し、終了していなければS101に戻り、終了していれば、S108に進む。S108では、制御部50は、画像形成部、定着装置、給送制御部等に、画像形成動作の停止を指示し、処理を終了する。
S109以降の処理についての説明をする前に、給紙カセット9にシート材Sが載置されていない場合のステッピングモータ21の動作について述べる。給紙カセット9上にシート材Sが1枚もない場合は、昇降板16が上昇することにより、昇降板16に設けられた分離パット20が給紙ローラ6に当接し、付勢した状態(押圧した状態)になる。様々な紙種のシート材が昇降板16に載置されても、上側に載置されたシート材Sに最下面のシート材Sが引きずられないようにするため、分離パット20の摩擦係数は高く設定されている。そのため、分離パット20が給紙ローラ6に当接している状態でステッピングモータ21を回転させることは、給紙ローラ6の駆動源であるステッピングモータ21に過大な負荷をかけることになり、ステッピングモータ21が脱調する場合がある。本実施例において脱調とは、給紙ローラ6が停止したことによってステッピングモータ21が停止した場合のことを指す。すなわち、外部から過大な負荷をかけられたことによりステッピングモータ21が停止した場合のことを指す。また、ステッピングモータ21が脱調した場合、昇降板16は給紙ローラ6に対して付勢した状態で停止しているため、再び給紙を開始しても、再度、ステッピングモータ21は脱調してしまうことになる。
そこで、S104において第一の所定時間が経過した場合、制御部50はステッピングモータ21が脱調したと判断する。S109では、制御部50は、過負荷による脱調状態から復帰させるため、ステッピングモータ21を自起動領域の低速回転(第二の回転数)で所定時間だけ回転させる「第二の駆動動作」を行う。これにより、制御カム19を回転させ、昇降板16を給紙ローラ6から離間した位置まで移動させる。更に、制御部50は、第二の駆動動作を行う所定時間である第二の所定時間を測定するためにタイマをリセットし、スタートさせる。本実施例では、第二の所定時間は、制御カム19を回転させて、昇降板16を給紙ローラ6から最も離間した位置(図2(b))である正常位置まで戻すのに要する時間とする。S110では、制御部50は、タイマよりタイマ値を読み出し、第二の所定時間が経過したかどうか判断し、経過していればS111に進み、経過していなければS110の処理を繰り返す。S111では、制御部50は、シート材給送装置10による第二の駆動動作を停止させ、処理を終了する。
[給送動作のタイムチャート]
上述したステッピングモータ21の駆動動作について、タイムチャートを用いて詳細に説明する。図4は、図3のフローチャートをタイムチャートで表した図であり、図4(a)は、シート材Sが給紙カセット9に載置されている場合、図4(b)は、シート材Sが給紙カセット9に載置されていない場合のタイムチャートである。図4(a)、(b)において、縦軸はステッピングモータ21のモータ回転数(単位:rad/s(ラジアン/秒))、横軸は時間(単位:s(秒))を示す。また、図中のTから始まる符号(例えばT101等)は時間タイミングを示し、符号中の番号は、図3で説明したフローチャート中の各処理に付したSで始まるステップ番号に対応する。
図4(a)において、時間タイミングT101(以下、単にT101と記載する)で給紙が開始(図3のS101)されると、ステッピングモータ21の回転数を上昇させる。そして、T102で給送動作の開始タイミング(シート材Sのピックアップのタイミング)になると、第一の駆動動作を実施する(図3のS102)。これにより、ステッピングモータ21の回転速度を高速の領域(第一の回転数)で駆動し、シート材Sを給送させる。T103でレジストセンサ101がシート材Sの先端を検知すると(図3のS103 YES)、シート材Sを搬送するレジストローラ対11によるシート材Sの搬送速度調整が行われる(図3のS105)。そして、調整が完了すると、T105で二次転写ニップ部へのシート材Sの搬送を行う(図3のS105)。T106では、トナー像が転写されたシート材Sを定着装置13へ搬送し、トナー像をシート材に定着させる処理を行い、定着処理が終了したシート材Sは機外に排出される。そして、2枚目のシート材Sの給紙を開始する(図3のS101)。
続いて、図4(b)のタイムチャートについて説明する。本実施例の画像形成装置100には、給紙カセット9にシート材有無センサが設けられていないので、給紙カセット9にシート材Sがない状態でも、図4(a)と同様に、T101で第一の駆動動作が行われる(図3のS101)。その結果、分離パット20と給紙ローラ6が当接し、ステッピングモータ21が過負荷状態となっても、ステッピングモータ21は高速度でそのまま動作することとなる。印刷(プリント)を開始してから1枚目の印刷であれば、図4(b)の給送動作の開始タイミング(T102)に示すようにステッピングモータ21の回転速度を加速している最中(シート材S無しのピックアップのタイミング)に過負荷状態となる。また、印刷開始してから2枚目以降のシート材Sへの印刷時にシート材がなくなった場合には、定着装置へ搬送(図4(a)のT106)した後の一定速度(第一の回転数)の状態で、次のシート材の給紙ローラ6によるピックアップ時に過負荷状態となる。モータの回転を加速している状態で、ステッピングモータ21が過負荷状態により脱調した場合は制御不能となり、給送動作が終了しても脱調状態から復帰しない。ユーザが再度印刷を試み、給送開始(図3のS101)を繰り返したとしても、分離パット20と給紙ローラ6が当接した状態では、再びステッピングモータ21が脱調する。更に、昇降板16が給紙ローラ6に付勢(押圧)した位置で停止している状態では、ユーザが給紙カセット9にシート材Sを入れ直しても、シート材Sの搬送方向の先端が昇降板16と給紙ローラ6の間に入らずジャムとなってしまう。
そのため、図4(b)では、シート材SがないことによりT102にてステッピングモータ21が脱調する。その結果、シート材Sが搬送されないため、T101から第一の所定時間が経過したT103においてレジストセンサ101がシート材Sを未検知なので(タイムアウト)(図3のS104 YES)は、T109で第二の駆動動作を開始する(図3のS109)。前述したように、第二の駆動動作とは、ステッピングモータ21を自起動領域の低速回転(第二の回転数)で回転させることを指し、第二の回転数は、上述した第一の回転数よりも小さい回転数である。ここでステッピングモータの自起動領域とは、ステッピングモータの一般的な基本特性であり、ステッピングモータに外部から入力されるパルス信号に同期して起動可能なステッピングモータの初速度を意味する。そして、第二の駆動動作が行われる第二の所定時間が経過すると、T111で第二の駆動動作は停止され、昇降板16は、給紙ローラ6から最も離間した位置(図2(b))で停止した状態となる。
ステッピングモータを自起動領域で駆動させることにより、脱調を起こしても、再度、外部から入力されるパルス信号に同期して回転起動されるため、分離パット20と給紙ローラ6が当接した過大な負荷が加わった状態から脱することができる。また、一般的に、モータの出力トルクは高速回転より低速回転の方が高いことから、自起動領域で低速回転させることにより、ステッピングモータ21の過負荷状態の原因である分離パット20と給紙ローラ6の当接状態から離間状態へ復帰させることができる。
以上説明したように、本実施例によれば、低出力のステッピングモータを用いた装置において、昇降板が給送ローラに付勢した状態から正常な状態に復帰することができる。ユーザが給紙カセットにシート材を入れ忘れた場合においても、昇降板が給送ローラに付勢した状態で停止し、シート材を載置できなくなる状態を回避する。そして、給送動作に必要な低出力に抑えた安価なステッピングモータを搭載できるため、コストダウンを実現することができる。
また、本実施例においては、昇降板16に分離パット20が設けられている構成を前提としていた。しかし、分離パット20は必ずしも設けられている必要はない。本発明は給紙ローラ6が分離パット20と比較して摩擦係数の低い箇所に当接した場合にも、ステッピングモータ21が脱調してしまうような構成にも適用できる。
また、本実施例においては、給紙カセット9にシート材Sが積載されていない場合の制御について説明したが、給紙カセット9からレジストセンサ101までの搬送路においてシート材Sが滞留した場合(ジャムという)にも適用できる。ジャムが起きた場合に昇降板16を降下させることによって、ユーザがジャム処理を行いやすくするという効果がある。
また、本実施例においては、給紙ローラ6から最も離間させた状態まで昇降板16を降下させたが、脱調状態から抜け出し、シート材Sを1枚でも収容できる程度まで昇降板16を降下させる構成であってもよい。
実施例1では、シート材が給紙カセットに載置されていない場合に、給紙ローラと分離パットの当接によりステッピングモータが脱調し、第二の駆動動作を所定時間駆動することにより、給紙ローラと分離パットを離間させる構成について説明した。実施例2では、給紙カセット上に載置されたシート材の紙種と異なったシート材をユーザが印刷設定したことにより、ステッピングモータが脱調した場合の第二の駆動動作について説明する。なお、本実施例においても、実施例1の図1、図2で説明した画像形成装置100、シート材給送装置10を使用するものとし、実施例1と同じ構成については同一符号を付し、説明を省略する。
[給送動作の制御シーケンス]
まず、本実施例の給送動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。図5は、本実施例の給送動作の制御シーケンスを示すフローチャートであり、PC等の外部ホスト装置からの印刷要求を受信すると、制御部50により図5に示す処理が実行される。なお、図5において、実施例1の図3に示す処理と同一の処理については、同じステップ番号を付している。
図5において、シート材Sが正常に搬送され、プリントが行われる場合の処理であるS101〜S108については、実施例1の図3において説明した処理が行われるので、ここでの説明を省略する。本実施例では、給紙カセット上に載置されたシート材Sの紙種と異なった紙種のシート材をユーザが印刷設定した場合の第二の駆動動作について説明する。例えば、厚紙など特定の紙種のシート材は、後述する図6(a)に示すように、定着装置13における各色のトナー像の定着性能を高めるため、定着動作と給送動作を低速で行う必要がある。この場合、シート材Sは搬送ローラ7の周囲で湾曲されながら、レジストローラ対11までの搬送路上を、通常時に比べて搬送速度を落とし、低速で給送される。しかしながら、ユーザが通常のシート材として給紙カセット9に載置されたシート材の設定を行った場合は、給紙カセット9に載置された厚紙などのシート材が、速い搬送速度で給送されてしまう。そのため、厚紙など材質が固いシート材が給紙ローラ6などに過大な負荷を加えることにより、給紙ローラ6の駆動源であるステッピングモータ21に過大な負荷がかかる状態となり、ステッピングモータ21は脱調を引き起こしてしまう。ステッピングモータ21が過大な負荷により脱調しているので、シート材Sは搬送路上に留まった状態で搬送されず、給送開始から第一の所定時間が経過しても、レジストセンサ101がシート材Sの先端を検知することはない(S104 YES)。
そこで、S120では、制御部50は、実施例1と同様に、ステッピングモータ21を自起動領域の低速回転で所定時間だけ回転させる第二の駆動動作を行う。更に、制御部50は、第二の駆動動作を行う所定時間である第二の所定時間を測定するためにタイマをリセットし、スタートさせる。S121では、制御部50は、タイマよりタイマ値を読み出し、第二の所定時間が経過したかどうか判断し、経過していればS122に進み、経過していなければS123に進む。S122では、制御部50は、シート材給送装置10による第二の駆動動作を停止させ、処理を終了する。このとき、昇降板16は、実施例1と同様に、給紙ローラ6から最も離間した位置(図2(b))で停止した状態となる。
S123では、制御部50は、レジストセンサ101からシート材Sを検知した通知を受信したかどうかにより、ステッピングモータ21が脱調状態から脱し、シート材Sが正常に搬送路を搬送されているかどうかを判断する。すなわち、本実施例では、シート材Sの紙種に応じた搬送速度でシート材給送装置10による給送処理が行われていないため、ステッピングモータ21の脱調により、シート材Sは搬送路上で停止した状態となっている。ところが、本実施例では、第二の駆動動作により、ステッピングモータ21が低速回転で駆動されることにより脱調状態を脱し、給紙ローラ6、搬送ローラ7が駆動されることにより、シート材Sの搬送が再開される。その結果、シート材Sが搬送路上を搬送され、シート材Sがレジストローラ対11を通過して、レジストセンサ101によりシート材Sの先端が検知される状態となる。制御部50は、レジストセンサ101からシート材Sの先端を検知した通知を受信していなければS121の処理に戻り、通知を受信していた場合には、ステッピングモータ21が脱調状態から復帰し、シート材Sが正常に搬送されたと判断し、S124に進む。
S124では、制御部50は、シート材給送装置10による第二の駆動動作を停止させ、処理を終了する。この時点では、第二の所定時間が経過していないため、昇降板16は、給紙ローラ6がシート材Sに当接した位置から離間している途中(下降している途中)で第二の駆動動作を停止させることとなる。従って、実施例1で記載した制御カム19を第二の所定時間だけ回転させ続けて1回転させ、昇降板16を給紙ローラ6から最も離間した位置(図2(b))となる位置に戻す制御とは異なる。給紙ローラ6に対して、十分に離間した位置まで昇降板16を昇降させていないため、ユーザが給紙カセット9にシート材を満載させることができない場合がある。しかしながら、第二の駆動動作の途中ではあるが、レジストセンサ101によりシート材Sが検知されたタイミングでステッピングモータ21の動作を停止させることで、シート材Sがレジストセンサ101よりも搬送路下流に搬送される事態を回避できる。S120において、第二の駆動動作が開始されると、画像形成に関する定着装置13などの駆動は停止している。この場合、シート材Sがレジストセンサ101よりも搬送路の下流側に搬送されると、定着装置13の付近で滞留し、ジャム処理が困難になる。ゆえに、シート材Sがレジストセンサ101よりも搬送路の下流側に搬送される事態は回避することが望ましい。以上より、シート材Sはレジストセンサ101付近で停止しているため、ユーザによるジャム処理の作業を、搬送路下流で行う場合に比較して容易に行うことができる。
[給送動作のタイムチャート]
上述したステッピングモータ21の駆動動作について、タイムチャートを用いて説明する。図6は、図5のフローチャートをタイムチャートで表した図である。図6(a)は、正しい紙種のシート材Sが給紙カセット9に載置されている場合、図6(b)は、指定されたシート材の紙種と異なる紙種のシート材Sが給紙カセット9に載置されている場合のタイムチャートである。図6(a)、(b)において、縦軸はステッピングモータ21のモータ回転数(単位:rad/s(ラジアン/秒))、横軸は時間(単位:s(秒))を示す。図6(a)では、通常のシート材の場合のステッピングモータ21の回転数を破線で示し、厚紙等の特定のシート材の場合の回転数を実線で示している。図6(a)に示すように、シート材Sが厚紙の場合には、通常のシート材に比べて、ステッピングモータ21の回転数を抑えて、遅い搬送速度で搬送動作が行われることがわかる。なお、図中のTから始まる符号(例えばT101等)は時間タイミングを示し、符号中の番号は、図5で説明したフローチャート中の各処理に付したSで始まるステップ番号に対応する。図6(a)のタイムチャートは、シート材Sが厚紙であるため、ステッピングモータの回転数が実施例1よりも遅いことを除けば、実施例1で説明した図4(a)に示すタイムチャートと同様であり、説明を省略する。
続いて、図6(b)のタイムチャートについて説明する。図6(a)と同様に、T101で第一の駆動動作が行われ(図5のS101)、ステッピングモータ21は高速度で動作することとなる。印刷(プリント)を開始してから1枚目の印刷であれば、図6(b)の給送動作の開始タイミング(T102)に示すように、給送動作を開始してしばらくはシート材Sの搬送が行われる。ところが、給紙カセット9に載置されたシート材Sは、指定された普通紙とは異なる紙種の厚紙であるため、給紙ローラ6、搬送ローラ7に過大な負荷がかかる。その結果、ステッピングモータ21は所定の回転速度である高速で駆動されている最中に過負荷状態となり、脱調状態となる。そのため、シート材Sは搬送路上に停止した状態となる。その結果、T101から第一の所定時間が経過したT103においてレジストセンサ101がシート材Sを検知しないので(図5のS104 YES)、T120において第二の駆動動作が開始される(図5のS120)。
第二の駆動動作により、ステッピングモータ21が低速回転で駆動されることにより脱調状態を脱し、給紙ローラ6、搬送ローラ7が駆動されることにより、シート材Sの搬送が再開される。その結果、シート材Sが搬送路上を搬送され、シート材Sがレジストローラ対11を通過して、レジストセンサ101によりシート材Sの先端が検知される状態となる(図5のS123 YES)。シート材Sが検知されたT124では、シート材給送装置10による第二の駆動動作が停止される(図5のS124)。
一方、実施例1と同様に給紙カセットにシート材Sが載置されていない場合には、第二の駆動動作に要する所定時間が経過したときに(図5のS121 YES)、T122にてシート材給送装置10による第二の駆動動作を停止させる(図5のS122)。このとき、昇降板16は、実施例1と同様に、給紙ローラ6から最も離間した位置(図2(b))となる。
本実施例では、レジストセンサ101がシート材Sを検知したタイミングで、ステッピングモータ21の動作を停止している。しかしながら、給紙ローラ6に対する昇降板16の離間タイミングと、レジストセンサ101がシート材Sを検知するタイミングの前後関係は、制御カム19の形状やレジストセンサ101の設置位置や給送経路により異なる。従って、レジストセンサ101がシート材Sを検知したタイミングに応じて第二の駆動動作を停止させる時間は適宜変更してもよい。以上説明したように、本実施例によれば、低出力のステッピングモータを用いた装置において、昇降板が給送ローラに付勢した状態から正常な状態に復帰することができる。
実施例1、2のステッピングモータの第二の駆動動作では、ステッピングモータの回転制御は、自起動領域の低速回転としていた。実施例3では、ステッピングモータを駆動する電流値を増加させることにより、第二の駆動動作におけるステッピングモータを、一時的に高い出力で制御する実施の形態について説明する。なお、本実施例においても、実施例1の図1、図2で説明した画像形成装置100、シート材給送装置10を使用するものとし、実施例1と同じ構成については同一符号を付し、説明を省略する。
[給送動作の制御シーケンス]
本実施例の給送動作について、図7のフローチャートを用いて説明する。図7は、本実施例の給送動作の制御シーケンスを示すフローチャートであり、PC等の外部ホスト装置からの印刷要求を受信すると、制御部50により図7に示す処理が実行される。なお、図7において、実施例1の図3に示す処理と同一の処理については、同じステップ番号を付している。
図7において、シート材Sが正常に搬送され、プリントが行われる場合の処理であるS101〜S108については、実施例1の図3において説明した処理が行われるので、ここでの説明を省略する。S104では、制御部50は、タイマよりタイマ値を読み出し、シート材Sが給送開始されてからレジストセンサ101に到達するまでの時間である第一の所定時間が経過したかどうかを判断する。制御部50は、第一の所定時間が経過していないと判断した場合にはS103に戻り、第一の所定時間が経過したと判断した場合にはS301に進む。
そこで、S301では、制御部50は、ステッピングモータ21を実施例1、2よりも所定時間だけ高い電流値、すなわち第一の駆動動作のときの電流値(第一の電流値)よりも大きい電流値(第二の電流値)により高出力で回転させる第三の駆動動作を行う。更に、制御部50は、第三の駆動動作を行う所定時間である第三の所定時間を測定するためにタイマをリセットし、スタートさせる。本実施例では、一時的に駆動電流の電流値を増加させることによりステッピングモータの出力を実施例1、2に比べて上昇させて、脱調状態からの復帰を行うものである。なお、ステッピングモータ21の速度は、第一の駆動動作と同じ加速状態まで上昇させてもよい。上述した実施例1や2における第一の駆動動作において定常的に電流値を増加させない理由は、ステッピングモータ21の電流値を増加させることにより、ステッピングモータ21の温度が上昇したり、騒音が発生したりするためである。そこで、本実施例では、通常の給送動作である第一の駆動動作には適用できないが、第三の駆動動作を実施する場合のみ、一時的にステッピングモータ21の電流値を増加させることで、給紙ローラ6から離間した位置に昇降板16を移動させる制御を行う。
S302では、制御部50は、タイマよりタイマ値を読み出し、第三の所定時間が経過したかどうか判断し、経過していればS303に進み、経過していなければS302の処理を繰り返す。なお、ステッピングモータ21の回転数が実施例1、2と比べて高いので、第三の所定時間は回転数に応じて設定され、前述した第二の所定時間よりは短い時間が設定される。S303では、制御部50は、シート材給送装置10による第三の駆動動作を停止させ、処理を終了する。このとき、昇降板16は、実施例1と同様に、給紙ローラ6から最も離間した位置(図2(b))で停止した状態となる。本実施例では、ステッピングモータ21が脱調状態から復帰するための回転速度を実施例1、2に比べて速くすることにより、実施例1、2に比べて、より早く脱調状態から復帰させることができる。回転数が高ければ、昇降板16が最も離間した位置(図2((b))に戻るまでの時間が短くて済むからである。以上説明したように、本実施例によれば、低出力のステッピングモータを用いた装置において、昇降板が給送ローラに付勢した状態から正常な状態に復帰することができる。
上記の実施例において、周辺の湿度などの影響によって給紙ローラ6の表面の摩擦係数が低下し、ステッピングモータ21が脱調することなく、給紙ローラ6が継続して回転する場合がある。例えば実施例1において、給紙カセット9にシート材Sが積載されていない場合、本来であれば給紙ローラ6と分離パット20が当接することによって、ステッピングモータ21は脱調する。しかしながら、給紙ローラ6の表面の摩擦係数が低下したことによって、給紙ローラ6と分離パット20が当接してもステッピングモータ21が脱調しない場合がある。この場合、給紙ローラ6は継続して回転し昇降板16も下降する。一方で、給紙カセット9からシート材Sは給送されていないので、図3のフローチャートに従うと、制御部50は第二の駆動動作を実行する(S109)。すなわち、昇降板16が既に下降しているにも関わらず、制御部50は第二の駆動動作を実行することになる。
このとき、以下の課題が発生する。すなわち、昇降板16が既に下降している状態で、更に第二の駆動動作を実行すると、昇降板16は逆に上昇してしまう。この対策として、上記の実施例においては、欠歯ギア24と第2駆動ギア23のかみ合いをソレノイド(不図示)により制御している。ソレノイドをオンにすると、欠歯ギア24は回転を開始する。そして、欠歯ギア24は一周すると第2駆動ギア23と噛み合わなくなり回転を停止する。そして、再びソレノイドがオンとならない限り、ステッピングモータ21の動力が伝わることがない。ゆえに、第二の駆動動作を実行する時には、ソレノイドはオンにすることなく、ステッピングモータ21を回転させる。これにより既に昇降板16が下降している場合には、ステッピングモータ21を回転しても欠歯ギア24が回転しないので、昇降板16が上昇することはない。一方で、給紙ローラ6と昇降板16が当接している状態からは復帰することができるようになる。
また、上述した実施例において、給紙カセット9からシート材Sを給送する構成について説明した。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、手差しトレイやマルチトレイからシート材Sを給送する構成にも、上述した実施例を適用することができる。すなわち、昇降板を上昇させて、昇降板に載置されているシート材Sを給送する構成のユニットであれば、上述した実施例を適用することができる。
6 給紙ローラ
16 昇降板
19 昇降板昇降制御カム
21 ステッピングモータ
50 制御部

Claims (17)

  1. シート材が載置されて昇降可能な昇降板と、
    前記昇降板を昇降させる昇降手段と、
    前記昇降手段により上昇された前記昇降板に載置されているシート材と当接し、回転することによって前記当接したシート材を給送する給送手段と、
    回転することによって前記昇降手段と前記給送手段を駆動する駆動源と、
    第一の回転数で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記給送手段が前記昇降板又は前記昇降板に載置されているシート材によって押圧され、前記給送手段が回転できない状態が生じた場合、前記制御手段は、前記第一の回転数よりも小さい第二の回転数で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段が前記駆動源を前記第一の回転数で回転させるように制御した結果、前記昇降手段が前記昇降板を上昇させ、前記給送手段が回転して、その後、前記給送手段が停止したことによって前記駆動源が停止した場合に、前記制御手段は前記給送手段が回転できない状態が発生したと判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. シート材が載置されて昇降可能な昇降板と、
    前記昇降板を昇降させる昇降手段と、
    前記昇降手段により上昇された前記昇降板に載置されているシート材と当接し、回転することによって前記当接したシート材を給送する給送手段と、
    前記給送手段により給送されたシート材を検知する検知手段と、
    回転することによって前記昇降手段と前記給送手段を駆動する駆動源と、
    第一の回転数で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記制御手段が前記駆動源を前記第一の回転数で回転させるように制御してから、第一の所定時間が経過しても前記検知手段がシート材を検知しない場合には、前記制御手段は、前記第一の回転数よりも小さい第二の回転数で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記第一の所定時間が経過した場合、前記昇降板にシート材が載置されていないと判断することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記第一の所定時間は、前記駆動源が前記第一の回転数で駆動されているときに、前記給送手段により給送されたシート材の搬送方向の先端が前記検知手段に到達するまでに要する時間であることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御手段は、前記駆動源の回転数を前記第二の回転数に変更した後に前記検知手段がシート材を検知した場合には、前記駆動源の駆動を停止することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御手段は、前記駆動源の回転数を前記第二の回転数に変更した後に第二の所定時間が経過した場合には、前記駆動源の駆動を停止することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記第二の所定時間は、前記駆動源が前記第二の回転数で駆動されているときに、前記昇降手段が前記給送手段に当接した前記昇降板を前記給送手段から離間させるために要する時間であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記駆動源はステッピングモータであり、
    前記第二の回転数は、前記ステッピングモータの自起動領域に含まれる回転数であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記昇降板は、前記昇降板に載置された最下面のシート材の重送を防ぐための分離パットを有し、
    前記分離パットは、前記給送手段と対向するように設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記分離パットは、前記昇降板にシート材が載置されていない場合には、前記昇降板の上昇により前記給送手段に当接し、前記給送手段を付勢することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記昇降手段は、前記駆動源からの駆動を受けて回転する回転軸と、前記回転軸が回転することにより前記昇降板を昇降させるカムと、を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  13. 前記昇降手段は、前記昇降板を上昇させて載置されているシート材を前記給送手段に当接し、前記昇降板を下降させて載置されているシート材を前記給送手段から離間させることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  14. 前記制御手段は、シート材の紙種に応じて、前記第一の回転数を変更することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  15. 前記昇降手段は、前記給送手段がシート材を1枚給送する毎に、前記昇降板を上昇させ下降させることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  16. シート材が載置されて昇降可能な昇降板と、
    前記昇降板を昇降させる昇降手段と、
    前記昇降手段により上昇された前記昇降板に載置されているシート材と当接し、回転することによって前記当接したシート材を給送する給送手段と、
    回転することによって前記昇降手段と前記給送手段を駆動する駆動源と、
    第一の電流値によって前記駆動源が駆動されて、回転するように前記駆動源を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記給送手段が前記昇降板又は前記昇降板に載置されているシート材によって押圧され、前記給送手段が回転できない状態が生じた場合、前記制御手段は、前記第一の電流値よりも大きい第二の電流値によって前記駆動源が駆動されて、回転するように前記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
  17. シート材が載置されて昇降可能な昇降板と、
    前記昇降板を昇降させる昇降手段と、
    前記昇降手段により上昇された前記昇降板に載置されているシート材と当接し、回転することによって前記当接したシート材を給送する給送手段と、
    前記給送手段により給送されたシート材を検知する検知手段と、
    回転することによって前記昇降手段と前記給送手段を駆動する駆動源と、
    第一の電流値で前記駆動源が回転するように前記駆動源を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記制御手段が前記駆動源を第一の電流値で駆動して回転させるように制御してから、第一の所定時間が経過しても前記検知手段がシート材を検知しない場合には、前記制御手段は、前記第一の電流値よりも大きい第二の電流値によって前記駆動源が駆動されて、回転するように前記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
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