以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。図1において、900は画像形成装置、900Aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)、900Bはシートに画像を形成する画像形成部である。950は、装置本体900Aの上部に設けられ、原稿搬送装置950Aを備えた画像読取装置であり、100は装置本体900Aの上面と画像読取装置950の間に配置されたシート処理装置であるフィニッシャである。
ここで、画像形成部900Bは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成する感光体ドラムa〜dと、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置906を備えている。なお、この感光体ドラムa〜dは不図示のモータにより駆動されると共に、周囲には、それぞれ不図示の一次帯電器、現像器、転写帯電器が配置されており、これらはプロセスカートリッジ901a〜901dとしてユニット化されている。
また、画像形成部900Bは、矢印方向に回転駆動される中間転写ベルト902、順次中間転写ベルト902に形成されたフルカラー画像をシートPに転写する2次転写部903等を備えている。そして、この中間転写ベルト902に転写帯電器902a〜902dによって転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト902に多重転写される。これにより、中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
2次転写部903は、中間転写ベルト902を支持する2次転写対向ローラ903b及び中間転写ベルト902を介して2次転写対向ローラ903bと当接する2次転写ローラ903aとから構成される。なお、図1において、909はレジストレーションローラ、904は給紙カセット、908は給紙カセット904に収容されたシートPを給送するピックアップローラである。
次に、このように構成された画像形成装置900の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づき露光装置906はレーザ光を照射し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラムa〜dの表面を順次露光して感光体ドラムa〜dに静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
例えば、まず感光体ドラムaに、原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を露光装置906のポリゴンミラー等を介して照射し、感光体ドラムa上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像器からのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。この後、このトナー像が感光体ドラムaの回転に伴って感光体ドラムaと中間転写ベルト902とが当接する1次転写部に到来する。ここで、このようにトナー像が1次転写部に到来すると、転写帯電器902aに印加した1次転写バイアスにより、感光体ドラムa上のイエロートナー像が中間転写ベルト902に転写される(1次転写)。
次に、中間転写ベルト902のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラムb上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト902に転写される。同様に、中間転写ベルト902が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト902上にフルカラートナー画像が形成される。
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット904に収容されたシートPは、ピックアップローラ908により1枚ずつ送り出される。そして、シートPは、レジストレーションローラ909に達し、レジストレーションローラ909によりタイミングを合わされた後、2次転写部903に搬送される。この後、この2次転写部903において、転写手段である2次転写ローラ903aに印加される2次転写バイアスによって中間転写ベルト902上の4色のトナー像がシートP上に一括して転写される(2次転写)。
次に、トナー像が転写されたシートPは、2次転写部903から搬送ガイド920に案内されて定着部905に搬送され、定着部905を通過する際、熱及び圧力を受けて定着される。この後、このように画像が定着されたシートPは、定着部905の下流に設けられた排出通路921を通過した後、排出ローラ対918によって排出され、フィニッシャ100に搬送される。
ここで、フィニッシャ100は、装置本体900Aから排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、束ねたシート束のシート排出方向上流端(以下、後端という)を綴じる綴じ処理を行う。そして、フィニッシャ100は、図2に示すように、必要に応じて綴じ処理を施し、積載トレイ114にシートを排出、積載する処理部139を備えている。なお、この処理部139は、綴じ処理を施すシートを積載するシート積載手段である中間処理トレイ107、中間処理トレイ107に積載されたシートPを綴じるステイプラ110を備えた綴じ部100Aを備えている。
また、中間処理トレイ107には、中間処理トレイ107に、装置本体900Aの奥行き方向と直交する方向から搬送されたシートの幅方向(奥行き方向)の両側端位置を規制(整合)する前及び奥整合板109a,109bが設けられている。なお、この中間処理トレイ107に積載されたシートの幅方向の側端位置を整合する側端整合手段である前及び奥整合板109a,109bは、後述する図4に示す整合モータM253により駆動されて幅方向に移動する。
また、この前及び奥整合板109a,109bは、通常、不図示の整合HPセンサの検知信号に基づいて駆動される整合モータM253によりシートを受け入れる受け入れ位置に移動する。そして、中間処理トレイ107に積載されたシートの両側端位置を規制する際には、整合モータM253を駆動し、前及び奥整合板109a,109bを幅方向に沿って移動させて中間処理トレイ上に積載されたシートの両側端に当接させる。
また、中間処理トレイ107の搬送方向下流側の上方にはシート搬送手段である引き込みパドル106が昇降可能に配置されている。この引き込みパドル106は、シートが処理部139に搬入される前に、後述する図4に示すパドルHPセンサS243の検知情報に基づいてパドル昇降・束押さえモータM252を駆動することにより、排出シートの邪魔にならない上方で待機した状態になる。
また、引き込みパドル106は、中間処理トレイ107にシートが排出されると、下方に移動してシートの上面に接すると共に、後述する図4に示す搬送モータM250により、適切なタイミングで反時計方向に弾性変形しながら回転する。この回転により、シートを引き込んでシートの排出方向の一端であるシート後端を後端ストッパ108に突き当てる。
なお、図2において、112はシート排出方向に沿って移動可能な移動手段である後端アシストである。この後端アシスト112は、後述する図4に示すアシストHPセンサS244の検知信号に基づいて駆動されるアシストモータM254により、ステイプラ110の移動を妨げない位置からシートを受け入れる受け入れ位置に移動する。そして、この後端アシスト112は、後述するようにシート束に対して綴じ処理が施された後、アシストモータM254により駆動されてシート束を積載トレイ114に排出する。
また、フィニッシャ100は、シートを装置内部に取り込むための入口ローラ101及び排出ローラ103を備えており、装置本体900Aから排出されたシートPは、入口ローラ101に受け渡される。なお、この時、入口センサS240によりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。そして、入口ローラ101に受け渡されたシートPは、シート排出手段である排出ローラ103により順次中間処理トレイ107に排出され、この後、引き込みパドル106やローレットベルト117等の戻し手段により後端ストッパ108に突き当てられる。これにより、シートのシート搬送方向の整合が行われ、整合処理されたシート束を形成する。
なお、図2において、105は後端落しであり、この後端落し105は、図2の(a)に示すように排出ローラ103を通過するシートPにより押し上げられる。そして、この後端落し105は、シートPが排出ローラ103を通過すると、図2の(b)に示すように自重により落下してシートPの後端を上側から押し下げる。
また、104は除電針、115は束押さえであり、この束押さえ115は後述する図4に示すパドル昇降・束押さえモータM252によって回転することにより、積載トレイ114に積載されたシート束を押さえる。S242はトレイ下限センサ、S245は束押さえHPセンサである。S241はトレイHPセンサであり、シート束がトレイHPセンサS241を遮光している場合には、後述する図4に示すトレイ昇降モータM251により積載トレイ114をトレイHPセンサS241が透過状態になるまで下降させて紙面位置を確定させる。
図3は、画像形成装置900の制御ブロック図であり、図3において、200は図1に示すように装置本体900Aの所定の位置に配置され、装置本体900A及びフィニッシャ100の制御を司る制御部であるCPU回路部である。このCPU回路部200は、CPU201、制御プログラム等を格納したROM202、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM203を有している。
また、図3において、209は画像形成装置900と外部PC(コンピュータ)208との外部インターフェイスである。この外部インターフェイス209は外部PC208からのプリントデータを受信すると、このデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部206へ出力する。
そして、この画像信号制御部206は、このデータをプリンタ制御部207へ出力し、プリンタ制御部207は、画像信号制御部206からのデータを不図示の露光制御部へ出力する。なお、イメージリーダ制御部205から画像信号制御部206へは、画像読取装置950に設けられた不図示のイメージセンサで読み取った原稿の画像が出力され、画像信号制御部206は、この画像出力をプリンタ制御部207へ出力する。
また、操作部210は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー及び設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部200に出力すると共に、CPU回路部200からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
CPU回路部200は、ROM202に格納された制御プログラム及び操作部210の設定に従い、画像信号制御部206を制御すると共に、DF(原稿搬送装置)制御部204を介して原稿搬送装置950A(図1参照)を制御する。また、イメージリーダ制御部205を介して画像読取装置950(図1参照)を、プリンタ制御部207を介して画像形成部900B(図1参照)を、フィニッシャ制御部220を介してフィニッシャ100をそれぞれ制御する。
なお、本実施の形態において、制御手段であるフィニッシャ制御部220はフィニッシャ100に搭載され、CPU回路部200と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ100の駆動制御を行う。また、フィニッシャ制御部220をCPU回路部200と一体的に装置本体側に配設し、装置本体側から直接、フィニッシャ100を制御するようにしてもよい。
図4は本実施の形態に係るフィニッシャ100の制御ブロック図である。フィニッシャ制御部220は、CPU(マイコン)221、ROM222、RAM223で構成されている。そして、このフィニッシャ制御部220は、通信IC224を介してCPU回路部200と通信してデータ交換を行い、CPU回路部200からの指示に基づきROM222に格納されている各種プログラムを実行してフィニッシャ100の駆動制御を行う。
また、フィニッシャ制御部220は、ドライバ225を介して搬送モータM250、トレイ昇降モータM251、パドル昇降・束押さえモータM252、整合モータM253、アシストモータM254、STPモータM256等を駆動している。また、フィニッシャ制御部220には、入口センサS240、排紙センサS246、トレイHPセンサS241、トレイ下限センサS242、パドルHPセンサS243、アシストHPセンサS244、束押さえHPセンサS245が接続されている。そして、フィニッシャ制御部220は、これら各センサからの検知信号に基づき搬送モータM250、パドル昇降・束押さえモータM252、整合モータM253、STPモータM256等を駆動する。
次に、本実施の形態に係るフィニッシャ100のシート綴じ処理動作について図5に示すフローチャートを用いて説明する。画像形成装置900から排紙されたシートPは、既述した図2の(a)に示すように、搬送モータM250により駆動されている入口ローラ101に受け渡される。この時、シートPの先端が入口センサS240によりシートの受渡しタイミングが同時に検知されている。
ここで、フィニッシャ制御部220は、ジョブが開始されると、束押さえ115を積載トレイ114上のシート束を押さえる束押さえ位置へ移動させる(S801)。なお、ジョブ開始時には、積載トレイ114上にはシート束は存在していない。そして、入口ローラ101に受け渡されたシートPを排出ローラ103に受け渡した後、既述した図2の(a)に示すように、先端部により後端落し105を持ち上げながら、かつ除電針104により除電しながら中間処理トレイ107へ排出する(S802)。なお、排出ローラ103により中間処理トレイ107に排出されたシートPは、後端落し105の自重により上側から押さえられることで、シートPの後端部が中間処理トレイ107に落下する時間が短縮される。
次に、排紙センサS246により検知されたシート後端信号に基づき、フィニッシャ制御部220は中間処理トレイ内の制御を行う。即ち、既述した図2の(b)に示すように、パドル昇降・束押さえモータM252により引き込みパドル106を中間処理トレイ107側に下降させ、シートPに接触させる。このとき、引き込みパドル106は、搬送モータM250により反時計周り方向に回転しているため、引き込みパドル106によりシートPは図中右方向の後端ストッパ108側に搬送され、この後、シートPの後端がローレットベルト117に受け渡される。なお、シートPの後端がローレットベルト117に受け渡されると、パドル昇降・束押さえモータM252が回転して引き込みパドル106が上昇する。そして、上昇した引き込みパドル106がHPに到達したことをパドルHPセンサS243が検知すると、フィニッシャ制御部220はパドル昇降・束押さえモータM252の駆動を停止する。
引き込みパドル106により搬送されてきたシートPは、ローレットベルト117により整合手段である後端ストッパ108まで搬送される。なお、ローレットベルト117は、シートPを後端ストッパ108まで搬送した後、シートPに対しスリップしながら搬送することで、シートPを常時後端ストッパ108に付勢させる。このスリップ搬送により、シートPを後端ストッパ108に突き当てることでシートPの斜行を補正することができる。次に、このようにシートPを後端ストッパ108に搬送した後(S803)、フィニッシャ制御部220は整合モータM253を駆動して整合板109をシート排出方向と直交する幅方向に移動させ、シートPの幅方向の位置を整合する。
そして、整合板109による整合処理の後(S804)、整合されたシートが束内のラストシートかを判断し(S805)、ラストシートでない場合は(S805のN)、S802からS804の処理を繰り返す。これにより、図6の(a)に示すように、中間処理トレイ107上で整合されたシート束PAが形成される。整合されたシートがラストシートの場合は(S805のY)、フィニッシャ制御部220は綴じ処理の設定の有/無を判断する(S806)。そして、綴じ処理の設定が有る場合には(S806のY)、STPモータM256を駆動し、ステイプラ110による綴じ処理を行う(807)。
この後、後端アシスト112と排出爪113を移動させるアシストモータM254を駆動する。これにより、図6の(b)に示すように、後端アシスト112と排出爪113がシート束PAの後端と当接しながら移動し、中間処理トレイ107上のシート束PAを積載トレイ114上に排出する(S808)。また、綴じ処理の設定が無い場合には(S806のN)、綴じ処理を行うことなく、中間処理トレイ107上のシート束PAを積載トレイ114上に排出する(S808)。
なお、積載トレイ114上に排出されたシート束後端の積載トレイへの着地前に、束押さえ位置に移動していた束押さえ115を、図6の(a)に示す積載トレイから退避した位置へと移動させる(S809)。そして、シート束後端が積載トレイに着地後、束押さえ115を反時計周りに回転させ、図6の(c)に示すように、シート束PAの後端部を押さえる束押さえ位置に移動させる(S810)。これにより、積載トレイ114上に積載されたシート束PAが後続して排出されるシート束により搬送方向に押し出されるのを防止することができる。
そして、束押さえ115による束押さえ動作完了後、シート束PAがトレイHPセンサS241を遮光している場合には、積載トレイ114をトレイ昇降モータM251により、トレイHPセンサS241が透過状態になるまで下降して紙面位置を確定させる。これまでの一連の動作を繰り返し行うことで、必要な部数のシート束PAを積載トレイ114上に排出することができる。
なお、動作中、積載トレイ114が下降してトレイ下限センサS242を遮光した場合には、積載トレイ114の満載がフィニッシャ制御部220から画像形成装置900のCPU回路部200に通知され、画像形成が中止される。この後、積載トレイ114上のシート束が取り除かれると、積載トレイ114がトレイHPセンサS241を遮光するまで上昇した後、下降してトレイHPセンサS241が透過することで再び積載トレイ114の紙面が確定される。
これにより、画像形成装置900の画像形成が再開される。このような動作を最終シート束が排出されるまで繰り返し、最終シート束が排出されると(S811のY)、ユーザが積載トレイ114のシート束を取りやすくするため、束押さえ115を退避位置へと移動し(S812)、ジョブが終了する。
次に、引き込みパドル106及び束押さえ115の駆動機構と、引き込みパドル106を昇降させるパドル昇降機構について説明する。図7は、引き込みパドル106を駆動する駆動機構を説明する図であり、図8は引き込みパドル106を昇降させると共に束押さえ115を駆動する駆動機構を説明する図である。
図7において、501は中間処理トレイ107の上方に昇降可能に設けられた支持手段である揺動ガイドであり、この揺動ガイド501の底面は、シートが搬送される際のガイドを構成する。この揺動ガイド501は、不図示のフィニッシャ本体に回転自在に支持されたパドル駆動軸502を中心に揺動すると共に、一方の揺動端部には摩擦係数の大きいゴムからなる引き込みパドル106がパドル回転軸504を中心に回転可能に支持されている。パドル回転軸504は、パドル駆動ベルト505を介してパドル駆動軸502と連結されており、これによりパドル駆動軸502が回転すると引き込みパドル106が回転する。
パドル駆動軸502は、排出ローラ103のローラ軸103aと駆動伝達ベルト506を介して接続されており、排出ローラ103のローラ軸103aと入口ローラ101のローラ軸101aは搬送伝達ベルト509を介して接続されている。また、入口ローラ101のローラ軸101aは、搬送駆動ベルト510を介して搬送モータM250の駆動軸250aと接続されている。そして、この駆動構成より、搬送モータM250の回転に伴い、入口ローラ101と、排出ローラ103と、引き込みパドル106が同期して同じ方向に回転する。なお、図7において、511は揺動ガイド501の側面に突設されたカム摺動軸である。
また、図8において、514はカム回転軸513を中心に回転するガイド昇降カムであり、このガイド昇降カム514には揺動ガイド501の側面に突設されたカム摺動軸511が係合している。そして、ガイド昇降カム514が回転すると、揺動ガイド501が中間処理トレイ107へシートを受入れる中間処理トレイ上方のシート受入れ位置(待機位置)と、シート戻し位置(搬送位置)との間を昇降する。このシート受入れ位置は、引き込みパドル106がシートの受入れを妨げない中間処理トレイ107から離間した位置であり、シート戻し位置は、引き込みパドル106がシートに当接してシートを後端ストッパ108に向けて搬送する位置である。
なお、本実施の形態において、カム摺動軸511は、後述する図10に示すガイド昇降カム514に形成されたカム溝514bに入り込むようになっている。そして、ガイド昇降カム514が回転すると、カム摺動軸511がカム溝内を摺動することにより、揺動ガイド501が昇降動作する。
ここで、カム回転軸513には、一方向の回転駆動のみを伝達する不図示のワンウェイクラッチを具備したワンウェイクラッチ手段であるワンウェイギア512が配置されている。そして、このワンウェイギア512にはパドル昇降・束押さえモータM252のモータギア523が接続される。なお、ガイド昇降カム514の側面には、図9に示すように、カムHPセンサフラグ514aが設けられており、このカムHPセンサフラグ514aをパドルHPセンサS243が検知することによりガイド昇降カム514のHP(ホームポジション)検出を行う。
束押さえ115はゴムから成る弾性部材で構成されており、図8に示すように束押さえ軸518上に複数個配置されている。そして、束押さえ軸518には、束押さえHPセンサフラグ520が設けられており、この束押さえHPセンサフラグ520を束押さえHPセンサS245が検知することにより、束押さえ115のHPを検出する。
束押さえ軸518上には、一方向の駆動入力のみを伝達する不図示のワンウェイクラッチを具備したワンウェイプーリ517が配置されている。このワンウェイプーリ517には、束押さえ駆動ベルト516、束押さえアイドラプーリ・ギア515、モータギア523を介してパドル昇降・束押さえモータM252が連結されている。そして、パドル昇降・束押さえモータM252が回転すると、束押さえ軸518が回転し、これに伴い束押さえ115は既述した図6の(c)に示すシート束後端を押え付ける束押さえ位置と、図6の(a)に示す中間処理トレイ107から退避する退避位置へと移動する。
ここで、本実施の形態において、パドル昇降・束押さえモータM252は、正逆転可能なパルスモータであり、パドル昇降・束押さえモータM252が第1回転方向に回転すると、すなわち正転すると、揺動ガイド501を昇降動作させることができる。また、パドル昇降・束押さえモータM252が第2回転方向に回転すると、すなわち逆転すると、束押さえ115を回転させることができる。
図10は、このようなパドル昇降・束押さえモータM252の回転方向に応じた揺動ガイド501及び束押さえ115の動作を示した図である。図10の(a)は、引き込みパドル106が上昇位置、束押さえ115が束押さえ位置にある状態である。図10の(b)は、パドル昇降・束押さえモータM252を正転駆動させたときの動作を示したものである。
パドル昇降・束押さえモータM252を正転駆動させると、モータギア523が矢印X方向に回転駆動される。このモータギア523の回転は、ワンウェイギア512がカム回転軸513へ駆動を伝達する向きの回転となるため、ガイド昇降カム514が時計回りに回転する。そして、このようにガイド昇降カム514が回転すると、カム摺動軸511がカム溝514bに沿って移動し、これに伴い揺動ガイド501が昇降する。なお、このときモータギア523の回転がワンウェイプーリ517に伝達され、ワンウェイプーリ517が時計回りに回転する。しかし、このようにワンウェイプーリ517が回転しても、ワンウェイプーリ517に組み込まれているワンウェイクラッチにより、束押さえ軸518に駆動が伝わらず束押さえ115は回転しない。
図10の(c)は、パドル昇降・束押さえモータM252を逆回転させたときの動作を示したものである。このとき、モータギア523が矢印Y方向に駆動回転される。この場合、ワンウェイプーリ517が束押さえ軸518に駆動を伝達する向きの回転となるため、束押さえ軸518が反時計回りに駆動回転する。そして、この束押さえ軸518の回転により、束押さえ115が退避位置及び束押さえ位置に移動する。なお、このときのモータギア523の回転方向は、ワンウェイギア512のワンウェイクラッチが空転する方向であるため、カム回転軸513には駆動が伝達されず、揺動ガイド501は停止したままである。
また、図11は、引き込みパドル106が昇降する際のガイド昇降カム514の位置と揺動ガイド501の位置との関係を示した図である。図11の(a)は、揺動ガイド501が上昇位置にあり、ガイド昇降カム514のカムHPセンサフラグ514aをパドルHPセンサS243が検知している状態である。この状態の時、ガイド昇降カム514が回転しない限り、揺動ガイド501は上昇位置(待機位置)に保持される。なお、シートが中間処理トレイ107へ排出される際には、揺動ガイド501は、引き込みパドル106がシートの搬送の妨げにならないようにこの位置に保持される。
ここで、電源投入時やジャム処理後、揺動ガイド501の位置が不明であってもフィニッシャ制御部220は、パドルHPセンサS243のON/OFF状態を確認することにより、揺動ガイド501がHPに位置しているかを判断することができる。これにより、フィニッシャ制御部220は、フィニッシャ100がすぐに通紙できる状態なのかを判断することができ、通紙前にガイド昇降カム514を毎回回転させる必要がなくなる。この結果、揺動ガイド501がHPに位置していないときだけガイド昇降カム514を駆動させるようにすることができ、静音化につながる。
図11の(b)は、ワンウェイギア512からの駆動伝達によりガイド昇降カム514が実線矢印方向へ回転し、これに伴い揺動ガイド501が自重により破線の矢印方向へ下降する様子を示している。このとき、ガイド昇降カム514は、ワンウェイクラッチを介して駆動回転しているが、揺動ガイド501が自重により下降する際、カム摺動軸511を介してガイド昇降カム514には揺動ガイド501及び引き込みパドル106の荷重が加わる。
ここで、揺動ガイド501及び引き込みパドル106の荷重(以下、揺動ガイド501等の荷重という)によりガイド昇降カム514に加わる力は、ガイド昇降カム514を実線矢印方向へ回転させる向きの力となる。つまり、ガイド昇降カム514が実線矢印方向へ回転すると、ガイド昇降カム514には揺動ガイド501等の荷重が加わり、これによりガイド昇降カム514は実線矢印方向に回転しようとする。
このとき、パドル昇降・束押さえモータM252の駆動によるガイド昇降カム514の回転速度が、揺動ガイド501等の荷重によって加えられる力によりガイド昇降カム514が回転する速度よりも遅い場合には、ワンウェイギア512が空転する。そして、このようにワンウェイギア512が空転すると、揺動ガイド501がガイド昇降カム514に対して滑るようになり、パドル昇降・束押さえモータM252による駆動入力パルス数に対応した位置よりも下降してしまう。
この結果、揺動ガイド501を図11の(c)で示す最下点位置で停止させる所定の駆動入力パルス数でパドル昇降・束押さえモータM252を停止させると、揺動ガイド501は図11の(c)で示すように最下点位置を過ぎた位置で停止してしまう。つまり、揺動ガイド501が先行している場合、パドル昇降・束押さえモータM252を引き込みパドル106が最下点位置となる位置で停止させると、揺動ガイド501が最下点位置よりも上昇した位置で停止する。このように、ワンウェイギア512が空転した場合、引き込みパドル106の高さを制御することができなくなる。
そこで、本実施の形態では、ガイド昇降カム514を回転させる際、ガイド昇降カム514を、ガイド昇降カム514に加わる揺動ガイド501等の荷重(重力加速度)によってガイド昇降カム514が回転する速度よりも速い速度で回転させるようにしている。言い換えれば、パドル昇降・束押さえモータM252の回転速度を、ガイド昇降カム514にガイド昇降カム514の回転方向と同じ方向の力が加わったときのガイド昇降カム514の回転速度よりも速い回転速度に設定している。なお、本実施の形態においては、予め揺動ガイド501等の荷重によってガイド昇降カム514が回転する速度を計測し、この速度よりもガイド昇降カム514の回転速度が速くなるようにパドル昇降・束押さえモータM252のパルス数を設定している。
そして、このようにガイド昇降カム514の回転速度を速くすることにより、ワンウェイギア512(のワンウェイクラッチ)の空転を防ぐことができ、ワンウェイギア512によるガイド昇降カム514への駆動伝達を維持することができる。これにより、パドル昇降・束押さえモータM252の入力パルス数と実際の揺動ガイド501の位置との差をなくすことができる。この結果、揺動ガイド501を、最下点位置よりも上昇させることなく図11の(c)で示す最下点位置で停止させることができる。
ところで、引き込みパドル106の位置、すなわち揺動ガイド501の位置は、シートの厚みや種類に応じて、最も低い図11の(c)で示す最下点位置と、図11の(a)に示す待機位置との間で変更する必要がある。この場合、フィニッシャ制御部220は、操作部210からの情報に基づきパドル昇降・束押さえモータM252のパルス数を設定し、揺動ガイド501をシートの厚みや種類に応じた位置で停止させる。
ここで、本実施の形態においては、パドル昇降・束押さえモータM252を停止させるのは、揺動ガイド501が下降するタイミングではなく、図11の(d)に示す揺動ガイド501が上昇するタイミングとしている。つまり、フィニッシャ制御部220は、ガイド昇降カム514の揺動ガイド501を上昇させる領域において、揺動ガイド501が所定の停止位置に達したときにパドル昇降・束押さえモータM252を停止するよう制御している。この結果、パドル昇降・束押さえモータM252の入力パルス数と実際の位置との差を発生させることなく揺動ガイド501を停止させることができ、引き込みパドル106の高さを制御することができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、ワンウェイギア512によりパドル昇降・束押さえモータM252の一方向の駆動をガイド昇降カム514に伝達して揺動ガイド501を待機位置及び搬送位置に移動させるようにしている。そして、パドル昇降・束押さえモータM252の回転速度を、揺動ガイド501等の荷重によりガイド昇降カム514に力が加わった場合でもワンウェイギア512によるガイド昇降カム514への駆動伝達が維持できる回転速度に設定している。
つまり、本実施の形態においては、パドル昇降・束押さえモータM252の回転速度を、ガイド昇降カム514にガイド昇降カム514の回転方向と同じ方向の力が加わったときのガイド昇降カム514の回転速度よりも速い回転速度に設定している。これにより、揺動ガイド501が移動する際、揺動ガイド501等の荷重によりガイド昇降カム514に力が加わった場合でも、ワンウェイギア512(のワンウェイクラッチ)が空転するのを防ぐことができる。
この結果、揺動ガイド501(引き込みパドル106)を任意の高さで停止させることができ、パドル搬送力の調整を確実に行うことができる。また、本実施の形態のように、パドル昇降・束押さえモータM252の一方向回転のみで引き込みパドル106の昇降を可能とすることにより、パドル昇降・束押さえモータM252を束押さえ115を駆動する共用のモータとして使用することができる。これにより、コストダウン及び省スペース化を図ることができる。