以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<第1実施形態>
図1および図2を参照して、本発明の一実施態に係る給紙装置を備えた画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る給紙装置を備えた画像形成装置の外観を示す斜視図である。図2は、上記画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ1は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等に直接またはLAN経由で接続されるプリンタ本体200と、プリンタ本体200の下方に設けられ、各種サイズのシートPを当該サイズに合わせてそれぞれ収納可能に構成されたシート供給部100とを備えている。なお、カラープリンタ1は、該カラープリンタXの動作を制御する制御回路など、一般的なカラープリンタに設けられた他の構成要素も有している。
図2に示すように、プリンタ本体200は、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900K、中間転写ユニット92、画像形成ユニット93、露光ユニット94、シート供給部100、定着ユニット97、排紙ユニット96、装置本体の筐体90、トップカバー911及びフロントカバー912を備えている。
画像形成ユニット93は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Kと、その下方に配置され、YMCK各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Kを有している。
画像形成ユニット93には、さらにそれぞれの色のトナー像を担持する感光体ドラム17(電子写真方式で潜像が形成される感光体)が各々備えられている。かかる感光体ドラム17としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各感光体ドラム17には、対応したトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが供給される。
なお、本実施形態の画像形成ユニット93は、上記のようにフルカラー画像を形成することができる構成であるが、これに限定されることはなく、白黒画像やフルカラーではないカラー画像を形成する構成のものであってもよい。
感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10K)、転写器(転写ローラ)19及びクリーニング装置18等が配置されている。帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。現像装置10Y、10M、10C、10Kは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
各現像装置10Y、10M、10C、10Kは、筐体20を備え、この筐体20の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納されている。また、筐体20内には、筐体底部近傍に長手方向を軸方向として並列に2本の攪拌ローラ11、12(現像剤攪拌部材)が回転可能に配置されている。
筐体20の内部底面には、現像剤の循環経路が設定されており、攪拌ローラ11、12は前記循環経路内に配設されている。攪拌ローラ11、12の間の軸方向には、筐体底部から立設された仕切り壁201が設けられている。この仕切り壁201は、前記循環経路を区画するもので、仕切り壁201の周囲を周回するように前記循環経路が形成されている。2成分現像剤は、この循環経路を攪拌ローラ11及び12によって攪拌、搬送されながら帯電される。
2成分現像剤は、攪拌ローラ11及び12によって攪拌されつつ筐体20内を循環し、トナーが帯電されると共に、攪拌ローラ11上の2成分現像剤が上側に位置する磁気ローラ14に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は磁気ローラ14上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、その磁気ブラシがドクターブレード13によって層厚規制され、磁気ローラ14と現像ローラ15との間の電位差で現像ローラ15上にトナー層を形成する。そして、現像ローラ15上のトナー層によって感光体ドラム17上の静電潜像が現像される。
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、前記画像形成ユニット93の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922、及び従動ローラ923を備えている。中間転写ベルト921は、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗り状態で一次転写され、このトナー像を、給紙ユニット130から供給されるシートPに二次転写部98において二次転写する。駆動ローラ922及び従動ローラ923は、中間転写ベルト921を周回駆動させる。駆動ローラ922及び従動ローラ923は、図略の筐体で回転自在に支持される。
給紙ユニット130は、画像形成される複数のシートPからなるシート束Sを収納するものであって、筐体90に対して着脱可能に装着されている。
定着ユニット97は、中間転写ユニット92から二次転写されたシートP上のトナー像に対し、定着処理を施すものであり、定着処理の完了したカラー画像付のシートPは、装置本体200の上部に形成された排出ユニット96へ向けて排出されることになる。
排紙ユニット96は、定着ユニット97から搬送されたシートPを、排紙トレイとしてのトップカバー911上に排出する。
シート供給部100は、プリンタ本体200に着脱自在に装着された複数段(本実施形態では3段)の給紙ユニット(給紙装置)130を備えている。各段の給紙ユニット130には、上記の各サイズのシート束Sがそれぞれ貯留されており、選択された給紙ユニット130では、当該給紙ユニット130に設けられたれピックアップローラ40の駆動により、シート束Sの最上層のシートPが1枚ずつ取り出されて給紙搬送路133へと繰り出され、画像形成ユニット93へ導入されるようになっている。
各給紙ユニット130は、プリンタ本体200の下部に複数積み重ねて後付装着可能な搬送機構を具備しており、所望の段数の給紙ユニット130を、いつでも後付でプリンタ本体200に装着できる。すなわち、プリンタ本体200の下部に各給紙ユニット130を複数積み重ねることにより、各給紙ユニット130が有する搬送機構が互いに結合されて、プリンタ本体200へと延びる一本の給紙搬送路133が形成される。これにより、給紙ユニット130の複数積み重ね後付装着を可能としている。
なお、本実施形態ではシート供給部100が3段の給紙ユニット130で構成された例を挙げているが、本発明はこれに限らず、給紙ユニット130が1段または2段、または4段以上の給紙ユニットで構成されたプリンタ等の画像形成装置に対しても同様に適用することができる。
次に、図1、図3ないし図5を参照し、本実施形態に係るカラープリンタ1のシート供給部100に装着される各給紙ユニット(給紙装置)130の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る給紙装置の構成を示す断面図である。図4は、図3に示す給紙装置における給紙カセットを給紙装置本体から引き出した状態を示す斜視図である。
図5は、図3に示す給紙装置に搭載される位置検知センサを示す説明図である。
図3及び図4に示すように、給紙ユニット130は、シート収納部35の内底面に、複数枚のシート(シート状記録媒体)Pからなるシート束Sを積載するリフト板(シート積載板)31を備えている。このリフト板31は、その給紙方向上流端(図3中の左側端部)が、支持部38により回動可能に支持されている。すなわち、リフト板31は、シート収納部35の内部において、下流端を自由端として支持部38により垂直面内で回動可能となっている。支持部38は、シートPの幅方向(給紙方向と直交する方向)に対向配置されてなるシート収納部35の両側壁部に設けられている。
給紙ユニット130の給紙カセット130Aは、シート収納部35に収納されるシートPの幅方向の位置決めを行う幅合わせカーソル対34a・34bと、シートPの後端を揃える後端カーソル33と、を備えている。幅合わせカーソル対34a・34bは、図示しない案内レールに沿ってそれぞれシート幅方向(図4の矢印AA′方向)に往復移動可能に設けられている。ここではシートPが矢印B方向に送り出されるため、後端カーソル33は案内レール33a、33bに沿ってシート搬送方向と平行(図4の矢印BB′方向)に往復移動可能に設けられている。幅合わせカーソル対34a・34bおよび後端カーソル33を、積載されるシートサイズに合わせて移動させることにより、シート束Sを給紙ユニット130内の所定位置に収納する。給紙ユニット130は、カセットカバー43を備え、その表面側(図4の矢印C方向から見た側)が外部に露出してカラープリンタ1の外装面の一部を構成する。
リフト板31の給紙方向下流部下方には、リフト板31を昇降させる昇降機構30(図13)として、駆動シャフト36、押し上げ部材32、駆動連結部材(不図示)が設けられている。また、給紙ユニット本体130B側には、上記駆動連結部材に対応する受け部材(不図示)と、当該受け部材に連結する正逆転可能なモータ(不図示)が設けられている。給紙カセット130Aを給紙ユニット本体130Bに収納した状態では、給紙カセット130A側のシート収納部35の駆動連結部材が、給紙ユニット本体130B側の受け部材と係合して連結する。これにより、モータの動力を、駆動シャフト36に伝達することができる。駆動シャフト36、押し上げ部材32、駆動連結部材、受け部材およびモータにより、リフト板31を給紙位置と退避位置との間で変位させる昇降機構が構成されている。上記給紙位置とは、リフト板31が上昇し、リフト板31に載置されたシート束Sの上面がピックアップローラ40に当接して給紙可能な状態となる位置である。上記退避位置とは、リフト板31が一番下まで下降した位置である。
なお、リフト板31を昇降させる昇降機構30を構成するモータとしては、例えば、図13に示すステッピングモータM2や、DCモータ等を用いることができる。
また、給紙ユニット130は、図3に示すように、ピックアップローラ40の搬送方向下流側に設けられた給紙ローラ41と、給紙ローラ41の下方に設けられた捌きローラ42とを備えている。さらに、ピックアップローラ40および給紙ローラ41の搬送方向下流側には、搬送ローラ37が設けられている。給紙ローラ41はピックアップローラ40と共に給紙ユニット本体130B側に設けられている一方、捌きローラ42および搬送ローラ37は給紙カセット130A側に設けられている。そして、給紙カセット130Aが給紙ユニット本体130Bに装着された状態では、給紙ローラ41と捌きローラ42とが当接するようになっている。
給紙ローラ41はピックアップローラ40により取り出されたシートPを搬送ローラ37へと給紙するものである。給紙ローラ41はシートPを下流へ搬送できる方向に回転するのに対して、捌きローラ42は、それとは逆に、シートPを上流へと送り返す方向に回転する。この捌きローラ42により、たとえ搬送ピックアップローラ40により取り出されたシートPが重なっていた場合でも、最上層のシートP以外が搬送ローラ37方向に給紙されるのを防止でき、最上層のシートPのみが給紙ローラ41により搬送ローラ37へと搬送される。そして、搬送ローラ37は、シートPを給紙搬送路133(図2参照)へと搬送するようになっている。
また、給紙ユニット130は、図5(a)および図5(b)に示すように、リフト板31に載置されたシート束Sの最上層のシートPが給紙位置にあることを検出する位置検知センサ39を備えている。この位置検知センサ39は、遮光部材39Aと光センサ39Bとから構成されている。光センサ39Bは、ピックアップローラ40付近に固定して設けられた発光素子と、当該発光素子から発光された光を受光する受光素子とからなる。一方、遮光部材39Aは、ピックアップローラ40の支持部材50に設けられている。また、支持部材50は、給紙ローラ41の回動軸を中心に回動可能に設けられている。これにより、リフト板31に載置されたシート束Sの上面が、リフト板31の上昇により図5(b)に示す給紙位置に移動すると、ピックアップローラ40は、最上層のシートPに押し上げられ給紙ローラ41の回動軸を中心に回転し若干上方へ変位する。このとき、ピックアップローラ40と連動して遮光部材39Aが上方へ持ち上げられ、光センサ39Bの光路を遮光し、シート束Sの上面が給紙位置にあることを検出できる構成となっている。
上記構成の給紙ユニット130において、前記モータの作動により、押し上げ部材32がリフト板31の底面と係合しながらリフト板31の下流端側を押し上げる。これにより、リフト板31上に積載されたシート束Sの上面が、給紙カセット130Aの上方に設けられたピックアップローラ40に当接する給紙位置へと変位する。
この時、図5(b)に示すように、ピックアップローラ40の給紙位置への変位を位置検知センサ39が検知すると、前記モータの駆動が停止する。また、給紙中にシートPの減少により位置検知センサ39が非検知となったときには、前記モータを作動させシート束Sを給紙位置まで持ち上げる。
なお、本実施形態では、ピックアップローラ40の支持部材50に被検知部(遮光部材39A)を設けているが、これに限定されるものではない。例えば、ピックアップローラ40付近のシート束Sの上面を直接検知するようにしても良いし、光センサ以外の検知機構を用いても良い。
本実施形態に係る給紙ユニット130は、図2、図3および図6ないし図9に示すように、温風吹付けによるシート捌き機構として横温風機構(第1温風機構)150を備えている。
図6は、本実施形態に係る給紙装置の構成を説明する説明図である。図7は、本実施形態に係る給紙装置に搭載される横温風機構の要部を示す水平方向の断面図である。図8は、本実施形態に係る横温風機構の温風吹き付け方向を示す説明図である。図9は、本実施形態に係る横温風機構の温風吹き付け状態を説明するための説明図である。
この横温風機構150は、給紙ユニット本体130B側に設けられている。図6に示すように、給紙ユニット本体130Bの上面における横温風機構150及び後述する上温風機構(第2温風機構)140が形成されていない部分には、天板56が形成されており、シート収納空間が当該天板56で塞がれている。
横温風機構150は、図6に示すように、給紙カセット130Aにおける給紙方向の一方の側面に沿って設けられている。また、横温風機構150は、図7に示すように、横温風室153内に設けられた、第1ファン(送風部)151及び第1ヒータ(加熱部)152を備えている。
図7に示すように、横温風機構150は、給紙ユニット130内に設けられた第1吸込口(送風部)154から、給紙ユニット130内の空気を吸い込むように構成されている。第1ファン151の回転により、横温風室(送風部)153内の空気が第1ヒータ152側へ移動すると、第1吸込口154から横温風室153内に給紙ユニット130内の空気が取り込まれる。第1ヒータ152側に移動した空気は、第1ヒータ152によって加熱され、第1温風吹出口(送風部)155からシート束Sの側面に向けて吹き出される。
ここで、給紙位置にあるシート束Sの側面に温風を吹き付ける横温風機構150の第1温風吹出口155は、図3に示すように、シート搬送方向の垂直断面でピックアップローラ40とシート束Sの上面とが当接する点Nに配向している。これにより、ピックアップローラ40により取り出される正にその位置に存するシート束Sの側面に温風を集中的に当てることができ、当該部分のシート間に効率的に温風を吹き込むことができる。よって、横温風機構150として大型のものでなくても、給紙に先立って効率的にシート束Sを捌くことができる。
さらに、図8に示すように、第1温風吹出口155は、シート束Sの幅方向(シート給紙方向と直交する方向である図8の矢印C方向)に真っ直ぐ(平行に)温風を吹き出すのではなく、図8中矢印Bで示すように、シート束Sの幅方向に対してシート中央方向側に角度をつけて温風を吹き出すように形成している。その理由は以下の通りである。
図8の矢印C方向に温風を吹き出した場合は、図9(b)に示すように、シート束Sの側面から給紙方向下流側へ温風が逃げてしまうため、温風がシート束Sの奥まで届き難く、横温風による捌き効率が低くなる。そこで、本実施形態に係る横温風機構150は、図8の矢印Bに示すように、給紙されるシート束Sの中央側に向けて温風を吹き付ける第1温風吹出口155を形成している。これにより、図9(a)に示すように、第1温風吹出口155から吹き出された温風をシート束Sのシート間に閉じ込めることができる。すなわち、シート束Sの中央側に向けて温風を吹き付けた場合は、シートPの重みで給紙方向上流側および下流側が垂れ下がって蓋がされた状態になり、温風が外へ逃げてしまうことなくシート間の奥まで広範に温風を吹き込める。これにより、同じ温風量であっても給紙に先がけ効率よくシート束Sを捌くことができる。
本実施形態に係る給紙ユニット130は、図2、図3、図6及び図10に示すように、温風吹付けによるシート捌き機構として、横温風機構150に加え、上温風機構140を備えている。
図10は、本実施形態に係る給紙装置に搭載される上温風機構の要部構成を示す垂直方向の断面図である。
この上温風機構140は、前述の横温風機構150と同様に、給紙ユニット本体130B側に設けられている。この上温風機構140は、図10に示すように、第2吸込口(送風部)144から空気を取り込み、シート収納部35に収納されたシート束Sの上面の上方に設けられた第2温風吹出口(送風部)145からシート束Sの上面に向けて温風を吹き出す構成としている。
また、上温風機構140は、上温風室(送風部)143内に、第2ファン(送風部)141及び第2ヒータ(加熱部)142を備えている。第2吸込口144は、上温風室143の上面における、第2ファン141の上方に設けられている。すなわち、第2ファン141の回転により上温風室143の空気は第2ヒータ142側に移動し、第2吸込口144から上温風室143内に外気が取り込まれる。第2ヒータ142側に移動した空気は、第2ヒータ142によって加熱され、上温風室143の下面に設けられた第2温風吹出口145からシート束Sの上面に向けて吹き出されるようになっている。第2温風吹出口145は、上温風機構140を給紙ユニット130に装着した状態で、当該上温風機構140内における給紙方向下流側に形成されている。
上記の構成において、画像形成のために所定の給紙ユニット130が選択されると、リフト板31が上昇駆動されてシート束Sがピックアップローラ40方向へ上昇すると共に、上温風機構140が駆動されて第2温風吹出口145からシート束Sの上面に向けて温風が吹き付けられる。
ここで、シート束Sの中でも、その上面や外周部分は外気に触れているため湿気を多く含み易い。すなわち、シート束Sの上面および側面は吸湿により膨潤する一方、シート束Sの内側は上面や側面と比べて湿気が少ないため膨潤度は相対的に低い。その結果、シート束Sの内側(シート同士のスペース)が負圧となり、シート同士が密着してしまうという現象が生じる。
しかしながら、本実施形態に係る給紙ユニット130は、上温風機構140を備えることにより、給紙ユニット130内のシート束Sの相対湿度(シート束Sの上面や外周部分とそれ以外の部分の相対湿度)を瞬間的に下げる機能を有している。
すなわち、上温風機構140は、密着性が特に高いシート束Sの上面から外周付近に集中して均一に温風を送り込むことができる。これにより、シート束Sの上面や外周部分の吸湿度をすばやく低下させ、当該部分の膨潤状態を解消することによって、シート束Sの相対湿度(シート束Sの上面や外周部分とそれ以外の部分の相対湿度)を瞬間的に下げ、シート束Sの内側(シート同士のスペース)の負圧も解消できる。これにより、シート同士の密着力の低下を図り、シート束Sを給紙に先駆けて効率よく捌くことができる。
また、本実施形態にかかる上温風機構140は、図3に示すように、ピックアップローラ40の給紙方向上流側であって、給紙ユニット130内における給紙方向後方よりに設けられている。ここで、第2温風吹出口145は、前述の通り、上温風機構140内における給紙方向下流側に設けられているため、シート収容部35に収容されたシート束Sの上面に向けて、第2温風吹出口145から良好に吹き付けることができる。このように、シート捌き効率の高い上温風機構140を給紙ユニット130内の空きスペースを有効利用して設置することにより、小型の給紙装置にも適応可能な温風アシストによるシート捌き機構を実現することができる。
すなわち、本実施形態に係る給紙ユニット(給紙装置)130のように、リフト板31に載置したシート束Sを片持ち昇降機構により昇降させる構成は、比較的小型の給紙装置に用いられることが多いが、当該片持ち昇降機構を用いた場合、ピックアップローラ40が設けられる給紙方向下流側はシート束Sが持ち上げられると共に、ピックアップローラ40や給紙ローラ41などのシート搬送機構が設けられているためにスペース的余裕はそれほどない一方で、給紙方向上流側はシート束Sが持ち上げられないので比較的スペースに余裕がある。この余裕のあるスペースに、本実施形態のように、上温風機構140を組み込めば、上温風機構140を設置するために給紙ユニット130の外形を大きくする必要はないため、小型の給紙装置にも好適である。
次に、図11および図12を参照し、温風アシストによるシート捌き機構として、横温風機構150に加え、上温風機構140も備えた構成におけるシート捌き効果について説明する。
図11は、本実施形態に係る給紙装置における横温風及び上温風の吹き付け方向を説明するための給紙カセットの斜視図である。図12は、本実施形態に係る給紙装置における横温風及び上温風の吹き付け方向を示す説明図である。
上記のように、本実施形態に係る給紙ユニット130は、図11に示すように、上温風機構140によって、シート束Sの上面に向けて、温風を吹き付けると共に、横温風機構150によって、ピックアップローラ40により取り出される正にその位置に存するシート束Sの側面に向けて温風を吹き付けている。これにより、横温風機構150のみを備えた構成に比べ、給紙に先がけてシート束Sをより効率よく捌くことができる。
上記の構成において、画像形成のために所定の給紙ユニット130が選択されると、リフト板31が上昇駆動されてシート束Sがピックアップローラ40方向へ上昇すると共に、上温風機構140が駆動されて第2温風吹出口145からシート束Sの上面に向けて温風が吹き付けられる。さらに、シート束Sの上面がピックアップローラ40に当接してシート束Sが給紙位置まで上昇したことをシート残量検知部211が検知すると、横温風機構150が駆動されて第1温風吹出口155からも、ピックアップローラ40により取り出される正にその位置に存するシート束Sの側面に向けて温風が吹き付けられる。
図12(a)ないし図12(c)は、上温風機構140と横温風機構150とによって、シート束Sをいかに効率的捌くことができるかを模式的に示している。
最初は、シート束Sの上面および側面が吸湿により膨潤して、シート束Sの内側(シート同士のスペース)が負圧となり、シート同士が密着しているが、図12(a)に示すように、上温風機構140及び横温風機構150によるダブルの温風吹き付けにより、すぐさま図12(b)に示す状態へと移行する。
すなわち、上温風機構140は、密着性が特に高いシート束Sの上面から外周付近に集中して均一に温風を送り込むことができる。これにより、シート束Sの上面や外周部分の吸湿度をすばやく低下させ、当該部分の膨潤状態を解消する。特に、上温風機構140から直接温風を受けるシート束Sの上面と、上温風機構140および横温風機構150から同時に温風を受けるシート束Sの横温風機構150側の側面とは、真っ先に膨潤状態が解消されて、図12(b)に示す状態となる。さらにここからは、すぐさま図12(c)に示す状態(シート束Sが捌かれた状態)へと移行する。
すなわち、上温風機構140及び横温風機構150の温風吹き付けにより、シート束Sの横温風機構150とは反対側の側面の膨潤状態も瞬時に解消され、横温風機構150からの温風はシート間を貫通してシート束Sの外部へ出て行き、シート束Sが捌かれる。
なお、本実施形態において、横温風機構150および上温風機構140には、それぞれ送風部および加熱部が一体的に設けられている構成について説明したが、これらの部材は必ずしも一体的に設けられている必要はなく、例えば、送風部および加熱部のうちの一方が給紙カセット130A側に設けられ、他方が給紙ユニット本体130B側に設けられていてもよい。
次に、図13ないし図15、及び図18ないし図20を参照し、本実施形態に係る温風吹付けによるシート捌き動作の制御処理について説明する。
図13は、本発明の一実施形態に係る離間動作を伴った温風吹付け動作を制御する制御部の機能ブロック図である。図14は、図13に示す制御部による制御処理を示すフローチャートである。図15は、本実施形態に係る離間動作を伴った温風吹き付け動作の制御工程を説明するタイムチャートである。図18ないし図20は、本実施形態に係る給紙ユニットの要部縦断面図である。
本実施形態では、図15のタイムチャートに示すように、給紙準備期間中の離間動作を伴った温風吹き付け制御を行った後、連続給紙を行う構成としている。
図13の機能ブロック図に示すように、本実施形態に係る給紙ユニット130は、給紙準備期間中における温風吹き付け動作を、リフト板31を給紙位置と離間位置との間で変位させる離間動作を繰り返しながら行うように制御する制御部300を備えている。
ここで、給紙位置とは、リフト板31に載置されたシート束Sの上面がピックアップローラ40と当接する位置であり、離間位置とは、当該シート束Sの上面がピックアップローラ40と離間した位置であり、シート束Sにおけるシート間の密着性が高い上位層のシートQが、第1温風吹出口155の範囲内に位置するように下降させた位置である。
制御部300は、情報入出力部85、温風制御部90、昇降機構制御部80および記憶部84を備えている。
情報入出力部85には、位置検知センサ39から位置検知信号、第1タイマ86から第1タイムアップ信号、第2タイマ87から第2タイムアップ信号、プリンタ本体200側のCPU210からカセット選択信号、温風要求信号およびプリント要求信号等が入力される。
温風制御部90は、カセット選択信号および温風要求信号に基づいて、横温風機構150および上温風機構140の駆動を制御している。すなわち、温風制御部90は、これらの入力信号に基づいて、横温風機構150および上温風機構140を駆動する制御信号を、情報入出力部85を介して、各ユニットの駆動モータ(不図示)に出力する。
昇降機構制御部80は、下降駆動判定部82と上昇駆動判定部83とを含み、第1タイマ86からの第1タイムアップ信号および第2タイマ87からの第2タイムアップ信号に基づいて昇降機構30の昇降駆動を制御し、リフト板31が給紙位置と離間位置との間で変位させる離間動作を繰り返すように制御している。
下降駆動判定部82は、前記プリント要求信号に基づいて、押し上げ部材32を下降駆動する制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。上昇駆動判定部83は、第1タイマ86からの第1タイムアップ信号に基づいて、押し上げ部材32を上昇駆動する制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。その後、下降駆動判定部82は、また、第2タイマ86からの第2タイムアップ信号に基づいて、押し上げ部材32を下降駆動する制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。
記憶部84には、例えば、給紙速度、選択されるシートのサイズ、材質、モード等に応じた複数の第1タイマ86の第1タイプアップ値、第2タイマ87の第2タイムアップ値、押し上げ部材32を昇降駆動させるステッピングモータM2の駆動ステップ数、各制御部の動作プログラム等が格納されている。また、記憶部84には、判定結果やその他の情報を一時的に格納する記憶領域が設けられている。
制御部300は、例えば、CPU、メモリ(ROMおよびRAM等)、入力インタフェースおよび出力インタフェースにより構成することができる。
次に、図14のフローチャートに基づいて、本実施形態に係る制御部300による給紙準備中の制御処理について説明する。
まず、プリンタ1に給紙カセット130が装着され、プリンタ本体200側のCPU210からカセット選択信号および温風要求信号が情報入出力部85を介して入力されると(S1)、昇降機構制御部80の上昇駆動判定部83は、これらの入力信号に基づき、押し上げ部材32を上昇駆動させる制御信号を、制御信号出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、押し上げ部材32の上昇駆動が開始される(S2)。次に、位置検知センサ39(図5、図18及び図19)からの位置検出信号に基づき、上昇駆動判定部83は、リフト板31が給紙位置(図3、図18)まで上昇駆動されたか否かを判断する(S3)。ステッピングモータM2は、リフト板31が給紙位置に上昇するまで、押し上げ部材32の上昇駆動を継続する。一方、前記位置検出信号に基づいて、リフト板31が給紙位置まで上昇したと判断すると(S3でYES)、上昇駆動判定部83は、ステッピングモータM2の作動を停止し、これにより、押し上げ部材32の上昇駆動が停止する(S4)。
次に、プリンタ本体200側のCPU210からプリント要求信号が情報入出力部85を介して入力されると、給紙準備期間がスタートする(S5)。下降駆動判定部82は、前記プリント要求信号に基づいて、押し上げ部材32を下降駆動させるための制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動し、押し上げ部材32の下降駆動が開始する(S6)。同時に、温風制御信号部90は、カセット選択信号および温風要求信号に基づいて、横温風機構150の第1ファン151および第1ヒータ152、ならびに上温風機構140の第2ファン141および第2ヒータ142に対し、これらのヒータおよびファンを駆動する各制御信号を、それぞれ情報入出力部85を介して出力する(S6)。
本実施形態では、S6で横温風機構150および上温風機構140の温風吹き付け動作ONとした後、停止させない構成とするが、本発明はこれに限定されない。例えば、後述する第2実施形態のように、第1ファン151のON/OFFの制御を伴う構成としてもよい。
ここで、押し上げ部材32を下降駆動し、リフト板31を給紙位置から離間位置に変位させるために必要なステッピングモータM2の駆動ステップ数を予め算出しておき、当該駆動ステップ数を、記憶部84に記憶させておくことが望ましい。また、当該駆動ステップ数として、選択されるシートの種類、サイズ、プリント速度等に応じた複数の値を記憶部84に記憶させておき、下降駆動判定部82が、選択された条件に応じて、適宜記憶部84から読み出すように構成することができる。
次に、押し上げ部材32によるリフト板31の離間位置(図20)への下降駆動が完了(予め設定されたステップ数の下降駆動完了)すると、下降駆動判定部82は、ステッピングモータM2を停止するように制御する(下降駆動停止)。同時に、第1タイマ86がスタートする(S7)。
次に、上昇駆動判定部83は、第1タイマ86からの第1タイムアップ信号に基づいて、予め設定された下降保持時間T(第1所定時間)の経過の有無を判断する(S8)。第1タイマ86は、下降保持時間Tが経過するまで計時を続け、リフト板31は離間位置で保持される。一方、第1タイムアップ信号に基づいて、下降保持時間が経過したと判断すると(S8でYES)、上昇駆動判定部83は、押し上げ部材32を上昇駆動させるための制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動し、押し上げ部材32の上昇駆動が開始する(S9)。
ここで、押し上げ部材32を上昇駆動し、リフト板31を離間位置から給紙位置に変位させるために必要なステッピングモータM2の駆動ステップ数を予め算出しておき、当該駆動ステップ数を、記憶部84に記憶させておくことが望ましい。また、当該駆動ステップ数として、選択されるシートの種類、サイズ、プリント速度等に応じた複数の値を記憶部84に記憶させておき、上昇駆動判定部83が、選択された条件に応じて、適宜記憶部84から読み出すように構成することができる。
次に、押し上げ部材32によるリフト板31の給紙位置への上昇駆動が完了(予め設定されたステップ数の上昇駆動完了)すると、上昇駆動判定部83は、ステッピングモータM2を停止するように制御する(上昇駆動停止)(S10)。ここで、所定回数の離間動作が完了していなければ(S11でNO)、第2タイマ87がスタートする(S12)。
次に、下降駆動判定部82は、第2タイマ87からの第2タイムアップ信号に基づいて、予め設定された上昇保持時間t(第2所定時間)の経過の有無を判断する(S13)。第2タイマ87は、上昇保持時間tが経過するまで計時を続け、リフト板31は給紙位置で保持される。一方、第2タイムアップ信号に基づいて、上昇保持時間tが経過したと判断すると(S13でYES)、下降駆動判定部82は、押し上げ部材32を下降駆動させるための制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動し、押し上げ部材32の下降駆動が開始する(S6)。
続いて、前述のS7以降の工程が繰り返される。なお、前述のS10の後、所定回数の離間動作が完了しておれば(S11でYES)、給紙開始となる(S14)。
以上のように、本実施形態に係る給紙ユニット130は、温風アシストによるシート捌き機構を備え、シートPを連続して所定の搬送路133へ給紙可能な給紙ユニット130であって、複数枚のシートからなるシート束Sを収納する給紙カセット130Aと、給紙カセット130A内で給紙方向上流側端が回動自在に支持され、シート束Sを積載するリフト板31と、シート束Sの上面に当接し、該シート束Sの最上層のシートPを送り出すピックアップローラ40と、前記シート束Sの上面がピックアップローラ40と当接する給紙位置(図3、図18)と、当該シート束Sの上面がピックアップローラ40と離間した離間位置との間で、リフト板31を変位させる昇降機構30と、第1温風吹出口155から、給紙カセット130Aに収納されたシート束Sの給紙方向と平行な側面に温風を吹き付ける横温風機構150と、一枚目のシートの給紙動作を開始する前の給紙準備期間中における昇降機構30の駆動および横温風機構150の駆動を制御する制御部300と、を備え、制御部300は、給紙準備期間中に、第1温風吹出口155からシート束Sに温風を吹き付けるように、横温風機構150の駆動を制御すると共に、給紙準備期間中に、リフト板31が給紙位置と離間位置との間で変位する離間動作を繰り返すように、リフト板31を昇降させる昇降機構の駆動を制御するように構成されている。
ここで、リフト板31上に載置されたシート束Sのうちでも、その上面や外周部分は外気に触れているため湿気を多く含み易く吸湿により膨潤する。一方、シート束Sの内側は上面や側面と比べて湿気が少ないため膨潤度は相対的に低い。このため、シート束Sの内側(シート同士のスペース)が負圧となり、特に、シート束Sの上位層Q(図20)は、シート同士の密着性が高く捌きにくい。
このように、シート束Sの中でも、その上位層Qは、中・下位層と比べてのシート間の密着性が高い。このため、横温風機構150の第1温風吹出口155からシート束Sの給紙方向に平行な側面に温風を吹き付けても、温風はシート間の密着性が比較的低い中・下位層のシート間にのみに温風が入り込み、密着性が高い上位層Qについては密着したまま、温風により浮き上がってしまうことがある。このため、給紙開始直後のシート束Sの上位層Qについてはシートの重送を防ぐことが特に難しく、特別な対策が求められる。
そこで、本実施形態では、一枚目のシートの給紙動作を開始する前の給紙準備期間中における昇降機構30の駆動および横温風機構150の駆動を制御する制御部300を備え、制御部300の前記給紙準備期間中の制御により、第1温風吹出口155からシート束Sに温風を吹き付けるように、横温風機構150を駆動すると共に、リフト板31が給紙位置と離間位置との間で変位する離間動作を繰り返すように、昇降機構30を駆動している。
すなわち、一旦、シート束Sの上面がピックアップローラと当接する給紙位置に上昇させたリフト板31を、ピックアップローラ40と離間した離間位置に降下させた後、再び前記給紙位置に上昇させるといった離間動作を、給紙準備期間中に繰り返すように、昇降機構30の駆動を制御している。このように、制御部300は、給紙準備期間中に、給紙位置と離間位置との間でリフト板31を変位させる離間動作を行いながら、横温風機構150からシート束Sの給紙方向と平行な側面に温風を吹き付けるように制御している。
上記の構成によれば、リフト板31を給紙位置と離間位置との間で変位させる離間動作を繰り返しながら、シート束Sの給紙方向に平行な側面に温風を吹き付けることで、シート束Sの側面における温風が吹き込まれる箇所を変化させながら、シート間に温風を出し入れできるようになる。このような温風吹き付けにより、シート束Sのシートをはためかせながらシート間に温風を出し入れし、徐々にシート間の密着性が高い箇所にも温風を送り込むことができる。このため、リフト板31を固定させた状態で、温風を当て続ける場合に比べ、温風吹き付けによるシートの捌き効率を向上させることができるため短時間で給紙に先がけシートを捌くことができる。
上記の離間動作を伴った温風の吹き付け制御を給紙準備期間に行うことで、一枚目であるシート束Sの最上層のシートから重送の問題なく所定の搬送路133へと送り出すことができる。
上記の構成において、制御部300は、前記離間位置で、リフト板31を下降保持時間t(第1所定時間)保持するように昇降機構30を制御することが望ましい。
横温風機構150による温風の吹き込み動作は、シート束Sの上面がピックアップローラ40から離間した給紙位置で行うことが、シート間に温風を吹き込み易いため望ましい。すなわち、リフト板31をピックアップローラ40から離間した離間位置で保持する期間が短すぎると、シート間に温風を十分に吹き込むことができない。そこで、制御部300は、リフト板31を前記離間位置で温風を効果的に吹き込むことができる下降保持時間T保持するように昇降機構30を制御することが望ましい。この下降保持時間Tは、温風量、シート状記録媒体の材質、動作環境など種々の条件に応じて適宜調整すればよい。
なお、上温風機構140による温風吹き付けについては、第1離間モードおよび第2離間モード共に、常にONとすることが、シートを効率よく短期間で捌くことができるため好ましいが、本発明はこれに限定されない。
<第2実施形態>
本発明の他の実施形態に係る給紙ユニットについて、図13および図16ないし図20を参照して以下に説明する。
図16は、本実施形態に係る離間動作を伴った温風吹き付け動作の制御処理を示すフローチャートである。図17は、本実施形態に係る離間動作を伴った温風吹き付け動作の制御処理を説明するタイムチャートである。
本実施形態に係る給紙準備期間における制御処理について、図13および図16ないし図20を参照し以下に説明する。
なお、説明の便宜上、前記の実施形態の図面に示した部材と同一の部材には同一の符号を付記し、その説明を省略する。また、以下に説明する給紙準備期間中における制御に関する構成以外の構成については、前記の実施形態と同じであるためここでの説明は省略する。
本実施形態では、図17のタイムチャートに示すように、給紙準備期間中の離間動作を伴った温風吹き付け制御を、第1離間モードによる制御と、第2離間モードによる制御との2段階に分けて行っている。
第1離間モードでは、横温風機構150による温風の吹き付け動作のON/OFFの切り替えを制御すると共に、当該第1離間モード中は、少なくとも前記給紙位置ではOFFとする一方、前記離間位置ではONとするように、昇降機構30および横温風機構150を制御する。第1離間モードでの制御を行った後は、第2離間モードでの制御に移行する。
第2離間モードでは、リフト板31が給紙位置と離間位置との間で変位する離間動作を繰り返すように昇降機構30の駆動を制御すると共に、横温風機構150による温風の吹き付け動作を、常にONとするように横温風機構150を制御する。
まず、図17に示す前記給紙準備期間中における第1離間モードでの制御処理を、図16のフローチャートを参照し以下に説明する。
プリンタ1に給紙カセット130が装着され、プリンタ本体200側のCPU210からカセット選択信号および温風要求信号が情報入出力部85を介して入力されると(S101)、昇降機構制御部80の上昇駆動判定部83は、これらの入力信号に基づき、押し上げ部材32を上昇駆動させる制御信号を、制御信号出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、押し上げ部材32の上昇駆動が開始される(S102)。次に、位置検知センサ39(図5、図18及び図19)からの位置検出信号に基づき、上昇駆動判定部83は、リフト板31が給紙位置(図3、図18)まで上昇駆動されたか否かを判断する(S103)。ステッピングモータM2は、リフト板31が給紙位置に上昇するまで、押し上げ部材32の上昇駆動を継続する。一方、前記位置検出信号に基づいて、リフト板31が給紙位置まで上昇したと判断すると(S103でYES)、上昇駆動判定部83は、ステッピングモータM2の作動を停止し、これにより、押し上げ部材32の上昇駆動が停止する(S104)。
次に、プリンタ本体200側のCPU210からプリント要求信号が情報入出力部85を介して入力されると、給紙準備期間がスタートする(S105)。次に、下降駆動判定部82は、前記プリント要求信号に基づいて、押し上げ部材32を下降駆動させるための制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動し、押し上げ部材32の下降駆動が開始する(S106)。
同時に、温風制御信号部90は、カセット選択信号および温風要求信号に基づいて、横温風機構150の第1ファン151および第1ヒータ152を駆動するモータ(不図示)、および上温風機構140の第2ファン141および第2ヒータ142を駆動するモータ(不図示)に対し、これらのヒータおよびファンを駆動する各制御信号を、それぞれ情報入出力部85を介して出力する。
ここで、押し上げ部材32を下降駆動し、リフト板31を給紙位置から離間位置に変位させるために必要なステッピングモータM2の駆動ステップ数を予め算出しておき、当該駆動ステップ数を、記憶部84に記憶させておくことが望ましい。また、当該駆動ステップ数として、選択されるシートの種類、サイズ、プリント速度等に応じた複数の値を記憶部84に記憶させておき、下降駆動判定部82が、選択された条件に応じて、適宜記憶部84から読み出すように構成することができる。
次に、押し上げ部材32によるリフト板31の離間位置(図25)への下降駆動が完了(予め設定されたステップ数の下降駆動完了)すると、下降駆動判定部82は、ステッピングモータM2を停止するように制御する(下降駆動停止)。同時に、第1タイマ86がスタートする(S107)。
次に、上昇駆動判定部83は、第1タイマ86からの第1タイムアップ信号に基づいて、予め設定された下降保持時間T1(第1下降保持時間)の経過の有無を判断する(S108)。第1タイマ86は、下降保持時間T1が経過するまで計時を続け、リフト板31は離間位置で保持される。一方、第1タイムアップ信号に基づいて、下降保持時間T1が経過したと判断すると(S108でYES)、上昇駆動判定部83は、押し上げ部材32を上昇駆動させるための制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動し、押し上げ部材32の上昇駆動が開始する(S109)。
本実施形態では、前記の実施形態と異なり、S290で離間上昇駆動が開始されると同時に、温風制御信号部90は、第1タイムアップ信号に基づいて、横温風機構150の第1ファン151に対し、第1ファン151の駆動を停止する制御信号を、情報入出力部85を介して出力する。
ここで、前記給紙準備期間中における横温風機構150の温風吹き付け動作が、少なくとも給紙位置ではOFFとなるように制御することが望ましい。すなわち、前記給紙位置では、シート間の密着性が高い上位層Qが、温風吹き付けにより、密着が解かれないまま浮き上がったとしても(図20)、給紙位置で温風をOFFにすることによって、上位層Qを再び温風が当たる温風吹き出し口155の範囲内に下ろすことができる。そこで、S109で押し上げ部材32の上昇駆動開始と同時に、横温風機構150の駆動を停止すれば(OFFにすれば)、第1ファン151の慣性回転を考慮しても、少なくとも給紙位置で、温風の吹き付け動作をOFFにすることができる。
なお、温風吹き付けをOFFにするタイミングは、第1ファン151の惰性での風量を考慮し、温風吹き付けにより浮き上がった上位層Qが、リフト板31の下降と同期して降りてくるタイミングとなるように、調整する(早める又は遅らす)ことが望ましい。
また、押し上げ部材32を上昇駆動し、リフト板31を離間位置から給紙位置に変位させるために必要なステッピングモータM2の駆動ステップ数を予め算出しておき、当該駆動ステップ数を、記憶部84に記憶させておくことが望ましい。また、当該駆動ステップ数として、選択されるシートの種類、サイズ、プリント速度等に応じた複数の値を記憶部84に記憶させておき、上昇駆動判定部83が、選択された条件に応じて、適宜記憶部84から読み出すように構成することができる。
次に、押し上げ部材32によるリフト板31の給紙位置への上昇駆動が完了(予め設定されたステップ数の上昇駆動完了)すると、上昇駆動判定部83は、ステッピングモータM2を停止するように制御する(上昇駆動停止)(S110)。ここで、所定回数の離間動作が完了していなければ(S111でNO)、第2タイマ187がスタートする(S112)。
下降駆動判定部82は、第2タイマ87からの第2タイムアップ信号に基づいて、予め設定された上昇保持期間t1(第1上昇保持時間)の経過の有無を判断する(S113)。第2タイマ87は、上昇保持期間t1が経過するまで計時を続け、リフト板31は給紙位置で保持される。一方、第2タイムアップ信号に基づいて、上昇保持期間t1が経過したと判断すると(S113でYES)、下降駆動判定部82は、押し上げ部材32を下降駆動させるための制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動し、押し上げ部材32の下降駆動が開始する(S106)。
続いて、前述のS107以降の工程が繰り返される。なお、前述のS110の後、所定回数の離間動作が完了しておれば(S111でYES)、前述の第2離間モードでの制御に移行する(S114)。そして、第2離間モードでの制御が完了すると、給紙開始となる(S115)。
本実施形態では、前記の実施形態と異なりS106で離間上昇駆動が開始されると同時に、温風制御信号部90は、第2タイムアップ信号に基づいて、横温風機構150の第1ファン151に対し、第1ファン151を駆動する制御信号を、情報入出力部85を介して出力する。
ここで、前記給紙準備期間中における横温風機構の温風吹き付け動作を、少なくとも離間位置ではONとするように制御することが望ましい。これは、リフト板31を下降させた離間位置では、シート間に効果的に温風を吹き込むことができるためである。そこで、上記のS160のように、押し上げ部材32の下降駆動開始と同時に、横温風機構150による温風吹き付けの駆動を開始すれば(ONにすれば)、第1ファン151および第1ヒータ152の起動遅れを考慮しても、少なくとも離間位置で、所望の温風量で温風吹き付けを行うことができる。
なお、第1ファン151の起動タイミングは、第1ファン151の起動遅れ(起動から実際に風が実効レベルに達するまでのタイムラグ分)を考慮して、押し上げ部材32の下降駆動開始のタイミングよりも早めてもよい。
続いて、前述のS107以降の工程が繰り返される。
上記の横温風機構150による温風吹き付けのON/OFFの切り換えを伴った第1離間モードでの制御により、シート間の密着性が高い上位層Qが、温風吹き付けにより、密着が解かれないまま持ち上げられたとしても(図20)、給紙位置で温風の吹き付けをOFFにすることによって、当該上位層Qを再び温風が良好に当たる温風吹き出し口155の範囲内に下ろすことができる。
しかしながら、上記の第1離間モードでは、第1ファン151の起動遅れおよび停止時の慣性回転を考慮して、離間動作における昇降タイミングを決定するため、図17のタイミングチャートに示すように、下降駆動開始から次の下降駆動開始までの1サイクル(離間動作時間(a))が長くなってしまう。すなわち、前記第1離間モードで制御を行う期間は、離間動作回数が少なくなってしまう。
そこで、本実施形態では、前記第1離間モードでの制御により、密着性の高い上位層Qがある程度捌けた状態とした後に、横温風機構150による温風吹き付けを常にON状態とする第2離間モードでの制御に移行するように構成している。
第2離間モードでは、温風吹き付け動作のON/OFFの切り換え制御を伴わないため、第1離間モードよりも短い周期(離間動作時間(b))でON/OFFの制御を行うことができる。
図17のタイムチャートに示すように、第2離間モードにおける、下降駆動開始から次の下降駆動開始までの1サイクル(離間動作時間(b))は、第1離間モードにおける下降駆動開始から次の下降駆動開始までの1サイクル(離間動作時間(a))に比べ、短くできる。すなわち、第2離間モードでは、リフト板31を給紙位置で保持する上昇保持時間t2を、第1離間モードの上昇保持時間t1よりも短くすることができる。同様に、リフト板31を離間位置で保持する下降保持時間T2を、第1離間モードの下降保持時間T1よりも短くすることができる。このため、離間動作回数を第1離間モードでの制御時よりも増やすことができる。
上記の構成によれば、リフト板31を給紙位置と離間位置との間で変位させる離間動作を短い周期で繰り返しながら、シート束Sの給紙方向に平行な側面に温風を吹き付けることができる。これにより、シート束Sの側面における温風が吹き込まれる箇所を変化させながら、シート間に温風を短い周期で出し入れできるため、シート束Sのシートをはためかせながらシート間に温風を出し入れし、徐々にシート間の密着性が高い箇所にもより効率的に温風を送り込むことができる。このため、リフト板31を固定させた状態または長い周期で離間移動させた場合に比べ、温風吹き付けによるシートの捌き効率を向上させることができるため、より短い期間で給紙に先がけシートを捌くことができる。
なお、上温風機構140による温風吹き付けについては、第1離間モードおよび第2離間モード共に、常にONとすることが、シートを効率よく短期間で捌くことができるため好ましいが、本発明はこれに限定されない。
また、本実施形態のように、第1離間モードでの制御の後に、第2離間モードでの制御に移行することが望ましいが、本発明はこれに限定されず、第1離間モードでの制御のみを行ってもよいし、第2離間モードでの制御のみを行ってもよい。
1……カラープリンタ(画像形成装置)、30……昇降機構、31……リフト板(シート積載板)、32……押し上げ部材(昇降機構)、33……後端カーソル、34a・34b……幅合わせカーソル対、35……シート収納部、36……駆動シャフト(昇降機構)、37……搬送ローラ対、38……支持部、39……位置検知センサ、40……ピックアップローラ、41……給紙ローラ、42……捌きローラ、49……搬送スイッチ(先端検知部・後端検知部)、80……昇降機構制御部、82……下降駆動判定部、83……上昇駆動判定部、84……記憶部、85……情報入出力部、86……第1タイマ、87……第2タイマ、90……温風制御部、100……シート供給部、130……給紙ユニット(給紙装置)、130A……給紙カセット、130B……給紙ユニット本体、133……給紙搬送路、140……上温風機構(第2温風機構)、141……第2ファン(送風部)、142……第2ヒータ(加熱部)、143……上温風室(送風部)、144……第2吸込口(送風部)、145……第2温風吹出口(送風部)、150……横温風機構(第1温風機構)、151……第1ファン(送風部)、152……第1ヒータ(加熱部)、153……横温風室(送風部)、154……第1吸込口(送風部)、155……第1温風吹出口(送風部)、200……プリンタ本体、300……制御部(制御手段)、P……シート、S……シート束、M1……給紙モータ、M2……ステッピングモータ(昇降機構)