JP2019019202A - ゴム部材及びその製造方法、並びにタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
該ゴム部材の表面に、複数の微小凹部が存在し、
前記微粒子が、前記微小凹部の内表面に配置されており、
ここで、前記微粒子は、非繊維状である場合に長径が50μm未満であるか、又は、繊維状である場合に短軸長が50μm未満であり且つ長軸長が500μm未満であるとともに、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が140ml/100g以上である、ことを特徴とする。本発明のゴム部材によれば、タイヤ等のゴム物品に用いられた場合に、ゴム物品の氷上性能を向上させることが可能である。
以下に、本発明のゴム部材を、その一実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
図1に示す、本発明のゴム部材の一実施形態としての、一例のタイヤのトレッド部1は、ゴム成分及び他の任意の成分を含むゴム組成物を用いて製造され得るものであって、その表面に複数の微小凹部2が存在し、この微小凹部2のそれぞれの内表面には、微粒子3が配置されている。
また、本発明において、微粒子の「短軸長」及び「長軸長」は、微粒子が繊維状である場合に用いられる語であり、例えば、微粒子を電子顕微鏡により撮影することで、求めることができる。
また、本明細書において、「繊維状である」とは、電子顕微鏡により撮影することで求められるアスペクト比が1超であることを指すものとし、「非繊維状である」とは、繊維状以外の形状であることを指すものとする。
なお、上記微小凹部の数は、電子顕微鏡により撮影したゴム部材の接地対象表面の写真から、一辺1mmの正方形領域を任意に10個選択し、その各領域内で観察される微小凹部の数をカウントし、その平均値として求めることができる。
なお、本発明の一例のゴム部材においては、微小凹部と微小空洞部とが繋がっている態様を有していてもよい。
なお、この点に関しては、「ゴム部材が有する微粒子の全量のうち、非空洞部に存在する微粒子の割合」を特定することで、好適なゴム部材の態様を論じる必要があるとも考えられる。しかしながら、ゴム部材が有する微粒子の全量を求めるには、著しく過大な時間を要し、実際的でない。以上を踏まえれば、「ゴム部材が有する微粒子の全量のうち、非空洞部に存在する微粒子の割合」を直接特定することは、技術的に不可能であることが明らかである。
なお、この点に関しては、「ゴム部材が有する微粒子の全量のうち、微小凹部の内表面に配置されている微粒子の割合」を特定することで、好適なゴム部材の態様を論じる必要があるとも考えられる。しかしながら、ゴム部材が有する微粒子の全量を求めるには、著しく過大な時間を要し、実際的でない。以上を踏まえれば、「ゴム部材が有する微粒子の全量のうち、微小凹部の内表面に配置されている微粒子の割合」を直接特定することは、技術的に不可能であることが明らかである。
同様の観点から、ゴム部材の接地対象表面に存在する微小凹部の内表面の平均被覆率が、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。
なお、本明細書において「微小凹部の内表面における微粒子の平均被覆率」とは、ゴム部材の表面の展開視における微小凹部の面積のうち、微粒子により覆われている面積の合計の割合の平均値を指すものとする。また、この「微小凹部の内表面における微粒子の平均被覆率」は、例えば、電子顕微鏡により撮影したゴム部材の表面の写真(好ましくは、2値化処理を施したもの)から、微小凹部を任意に10個選択し、その各微小凹部の面積の合計のうち、微粒子により覆われている面積の合計の割合を算出して求めることができる。
本発明において用いる微粒子は、繊維状以外の形状(非繊維状)である場合に、長径が50μm未満であるか、又は、繊維状である場合に、短軸長が50μm未満であり且つ長軸長が500μm未満であることを要する。微粒子が繊維状以外の形状である場合に、長径が50μm以上であると、ゴム部材の微小凹部に配置されていたとしてもゴムの表面粗さが十分に高くならず、タイヤ等の氷上性能を効果的に向上させることができない。また、微粒子が繊維状である場合に、短軸長が50μm以上又は長軸長が500μm以上であると、ゴム部材の微小凹部に配置されていたとしてもゴムの表面粗さが十分に高くならず、タイヤ等の氷上性能を効果的に向上させることができない。ここで、氷上性能の効果的な向上の観点及び調達容易性の観点から、微粒子が繊維状以外の形状である場合に、当該微粒子の長径としては、30μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましく、10μm以下が特に好ましく、また、100nm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。また、氷上性能の効果的な向上の観点及び調達容易性の観点から、微粒子が繊維状である場合に、当該微粒子の短軸長としては、30μm以下が好ましく、また、10μm以上が好ましく、そして、当該微粒子の長軸長としては、80μm以下が好ましく、また、10μm以上が好ましい。
なお、本発明の一例のゴム部材は、長径が50μm以上である物質又は「短軸長が50μm未満であり且つ長軸長が500μm未満」を満たさない物質が微小凹部の内表面に配置されていてもかまわない。但し、氷上性能の効果的な向上の観点から、本発明の一例のゴム部材は、長径が50μm以上である物質及び「短軸長が50μm未満であり且つ長軸長が500μm未満」を満たさない微細な物質のいずれも、微小凹部の内表面に配置されていないことが好ましい。
微粒子として用いることができる無機物質としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ダイヤモンド、シリカ、ガラス、石膏、方解石、蛍石、正長石、水酸化アルミニウム、アルミナ、銀、鉄、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、クレイ等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、タイヤ等の氷上性能を効果的に向上させる観点から、一般的な氷のモース硬度である3またはそれよりも高いもの、即ちダイヤモンド、シリカ、ガラス、水酸化アルミニウム、アルミナ、二酸化チタンが好ましい。モース硬度が一般的な氷のモース硬度以上である微粒子を用いることにより、引っ掻き効果等をより発揮させることができ、従って、タイヤ等の氷上性能を大幅に向上させることができる。
ここで、上述したダイヤモンドをはじめとする無機物質は、その表面が任意の官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基など)で修飾されたものであってもよい。
ここで、極性基としては、に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基(−NH2)、アミド結合(−CONH−)を含有する基、カルボキシル基(−COOH)、カルボニル基(−C(=O)−)、水酸基(−OH)、ニトロ基(−NO2)、水素基(−H)、シアノ基(−CN)、メルカプト基(−SH)等が挙げられる。これらは、1種単独であってもよいし、2種以上が組み合わされていてもよい。
そして、上述した有機化合物が有する極性基は、アミド結合を含有する基及びカルボニル基のうち、少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。アミド結合を含有する基及びカルボニル基は、当該極性基同士のネットワークの影響と、水との強いインターラクションとに起因して、水膜の粘度をより高めて氷上性能を一層向上させることができるからである。
ゴム成分としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)のみであってもよく、ジエン系合成ゴムのみであってもよく、天然ゴム及びジエン系合成ゴムを併用してもよい。前記ジエン系合成ゴムとしては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらを変性剤で官能化した変性ゴムをゴム成分として使用してもよい。
本発明の一例のゴム部材は、上述の通り、ゴム成分及び他の任意の成分を含むゴム組成物を用いて製造することができる。また、本発明の一例のゴム部材を製造するにあたっては、少なくとも、ゴム部材の表面に複数の微小凹部を形成させること、及び、前記微小凹部の内表面に所定のサイズ及びDBP吸油量を有する微粒子を配置させること、が必要である。これらを達成する方法としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができる。ここで、本発明に係るゴム部材の第一実施形態の製造方法は、少なくとも、ゴム成分に対し、発泡剤と、上述した微粒子及び樹脂を含有する微粒子含有有機繊維とを配合してなるゴム組成物を用いる(微粒子含有繊維法)。以下、はじめに本発明に係るゴム部材の第一実施形態の製造方法について、詳細に説明する。
第一実施形態の製造方法は、例えば、微粒子含有有機繊維を調製する工程(繊維調製工程)と、ゴム成分に少なくとも発泡剤及び前記微粒子含有有機繊維を配合してゴム組成物を調製する工程(ゴム組成物調製A工程)と、調製したゴム組成物を加硫するとともに得られた加硫ゴムの外表面を削ぎ落とす工程(加硫A工程)とを含む。
繊維調製工程は、微粒子含有有機繊維を調製する工程であり、この微粒子含有有機繊維は、ゴム部材の微小凹部及び微小空洞部の内表面に微粒子を配置するために用いられるものである。ここで、微粒子含有有機繊維は、樹脂及び微粒子を含有する。なお、微粒子の具体例としては、既述したものと同様である。
また、微粒子として有機物質を用いる場合、樹脂の融点又は軟化点は、より確実に微粒子を微小凹部の内表面に配置する観点から、微粒子の融点よりも低いことが好ましい。
ゴム組成物調製A工程は、ゴム成分に対し、発泡剤と、繊維調製工程で調製した微粒子含有有機繊維と、任意の他の成分とを配合し、混練してゴム組成物を得る工程である。なお、ゴム成分の具体例としては、既述したものと同様である。そして、発泡剤を配合することにより、容易に、ゴム部材の表面に複数の微小凹部を形成させることができ、また、ゴム部材の内部に複数の微小空洞部を形成させることができる。
そして、上述した成分を、常法に従って混練することにより、ゴム組成物を調製することができる。
加硫A工程は、ゴム組成物調製A工程で調製したゴム組成物を加硫して加硫ゴムを得るとともに、この加硫ゴムの外表面を削ぎ落とし、本発明のゴム部材を得る工程である。この加硫A工程では、加硫により、微粒子含有有機繊維を構成する樹脂が溶融するとともに、配合した発泡剤が発泡してガスが発生する。そして、溶融した樹脂及び微粒子が前記ガスを取り囲むように被膜を作り、加硫ゴムの内部に複数の微小空洞部及び表面に複数の微小凹部が形成される。これに加えて、ゴム成分に直接配合した発泡剤からのガス流入の作用により、前記微粒子含有有機繊維を構成していた微粒子の全量が、被膜の内表面上、具体的には溶融した樹脂により構成される面上に移行し、こうして、微小空洞部の内表面に配置される(付着する)ことが分かっている。そして、この加硫ゴムの外表面を削ぎ落とすことで、上述の微小空洞部由来の複数の微小凹部が形成された表面をより効果的に得ることができる。なお、加硫ゴムの外表面を削ぎ落とす方法としては、特に制限はされない。また、加硫直後の加硫ゴムの表面に既に複数の微小凹部が形成されている場合には、上述した加硫ゴムの外表面の削ぎ落としは、実施しなくてもよい。
なお、前記発泡率(Vs)(%)は、下記式(I):
Vs = (ρo/ρ1−1) × 100 ・・・(I)
[式中、ρ1は加硫ゴムの密度(g/cm3)、ρ0は加硫ゴムにおける固相部の密度(g/cm3)である]により算出することができる。
また、本発明に係るゴム部材の第二実施形態の製造方法は、少なくとも、加硫したゴムの表面に形成された微小凹部に、微粒子を付与する工程を含む。以下、本発明に係るゴム部材の第二実施形態の製造方法について、詳細に説明する。
ゴム組成物調製B工程は、ゴム成分に対し、発泡剤と、任意の他の成分とを配合し、混練してゴム組成物を得る工程である。なお、ゴム組成物調製B工程の具体的な内容は、微粒子含有有機繊維を配合しない点を除けば、上述したゴム組成物調製A工程と同様である。
加硫B工程は、ゴム組成物調製B工程で調製したゴム組成物を加硫して加硫ゴムを得るとともに、この加硫ゴムの外表面を削ぎ落とす工程である。この加硫B工程では、配合した発泡剤が発泡してガスが発生し、このガスに起因して加硫ゴムの内部に複数の微小空洞部及び表面に複数の微小凹部が形成される。また、この加硫ゴムの外表面を削ぎ落とすことで、上述の微小空洞部由来の複数の微小凹部が形成された表面をより効果的に得ることができる。なお、加硫ゴムの外表面を削ぎ落とす方法としては、特に制限はされない。また、加硫直後の加硫ゴムの表面に既に複数の微小凹部が形成されている場合には、上述した加硫ゴムの外表面の削ぎ落としは、実施しなくてもよい。
ここで、加硫B工程の具体的な内容は、上述した加硫A工程と同様である。
微粒子付与工程は、加硫B工程で得られた加硫ゴムの表面に形成された微小凹部に対し、微粒子を(後発的に)付与し、本発明のゴム部材を得る工程である。なお、微粒子の具体例としては、既述したものと同様である。
微粒子を付与する方法としては、特に制限されず、使用する微粒子の種類等に応じて適宜選択することができる。上記方法としては、例えば、人手等により微粒子を塗布する方法(塗布法)、エアブラシ等の器具を用いて気体とともに微粒子を噴霧する方法(噴霧法)、分散媒中に微粒子を分散させてなる液を加硫ゴムに含浸させ、次いで、乾燥する方法(含浸法)、等が挙げられる。これらの方法は、いずれも、配合により微粒子を配置させる場合に比べ、容易に微粒子を微小凹部の内表面に配置させることができる点、容易に微小凹部の内表面への微粒子の配置量(微小凹部の内表面における微粒子の平均被覆率)をコントロールすることができる点で、好ましい。
前記含浸法において使用可能な分散媒としては、乾燥により除去可能なものであれば特に制限されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられ、これらの中でも、高い乾燥速度及び安全性を確保する観点から、エタノール、イソプロパノールが好ましい。また、前記含浸法において、液中の微粒子の濃度としては、特に制限されず、所望の平均被覆率等に応じて適宜選択することができるが、例えば0.01〜1.0質量%であることが好ましい。更に、前記含浸法における乾燥温度としては、特に制限されず、使用する分散媒の沸点等に応じて適宜選択することができるが、例えば10〜200℃であることが好ましい。また更に、前記含浸法における乾燥時間としては、特に制限はされず、液中の微粒子の濃度等に応じて適宜選択することができるが、例えば10〜360分間であることが好ましい。
更に、本発明に係るゴム部材の製造方法としては、上述した第一実施形態の製造方法及び第二実施形態の製造方法以外にも、例えば、ゴム成分に少なくとも発泡剤及び微粒子を配合してゴム組成物を調製する工程(ゴム組成物調製C工程)と、調製したゴム組成物を加硫するとともに得られた加硫ゴムの外表面を削ぎ落とす工程(加硫C工程)とを含む方法(微粒子配合法)が挙げられる。この場合において、ゴム組成物調製C工程の具体的な内容は、微粒子を更に配合する点を除けば、上述したゴム組成物調製B工程と同様であり、加硫C工程の具体的な内容は、上述した加硫A工程と同様である。そして、当然のことながら、本発明のゴム部材を製造する際には、上述した第一実施形態の製造方法及び第二実施形態の製造方法の少なくともいずれかと、他の実施形態の製造方法とを組み合わせることもできる。
本発明のタイヤは、上述したゴム部材を、トレッド部に備えることを特徴とする。かかるタイヤによれば、上述したゴム部材を少なくともトレッド部に用いているため、氷上性能が向上する。従って、本発明のタイヤは、スタッドレスタイヤ、特に乗用車用スタッドレスタイヤとして用いることが好ましい。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム部材をトレッド部に用いる以外特に制限はされず、常法に従って製造することができる。
表1に示す配合処方で、常法に従ってゴム組成物を調製した。このゴム組成物を用いてタイヤのトレッド部(未加硫)を作製し、適所に配設して、生タイヤを作製した。この生タイヤを、165℃で20分間の条件でモールド加硫し、加硫したタイヤを得た。
*2 カーボンブラック:旭カーボン株式会社製、「カーボンN220」
*3 シリカ:日本シリカ工業株式会社製、「ニプシル−VN3」
*4 老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製、「ノクラック6C」
*5 加硫促進剤A:ジベンゾチアジルジスルフィド
*6 加硫促進剤B:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*7 発泡剤:ジニトロソペンタメチレンテトラミン
*8 発泡助剤A:尿素
樹脂としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製「クラロン K−11」)と、当該樹脂100質量部に対して100質量部の微粒子C(表4,5の注釈参照)とを配合し、通常の溶融紡糸法に従って、繊維(微粒子含有有機繊維)を調製した。また、調製した繊維について無作為に20箇所選択し、光学顕微鏡を用いて径及び長さを測定し、その平均値を求めたところ、平均径が30μmであり、平均長さが2mmであった。
そして、上述の通り調製した繊維を用い、表2に示す配合処方で、常法に従って混練を行い、配合した繊維が一定方向に配列したゴム組成物を調製した。このゴム組成物を用いてタイヤのトレッド部(未加硫)を作製し、適所に配設して、生タイヤを作製した。この生タイヤを、165℃で10分間の条件でモールド加硫し、加硫したタイヤを得た。
*10 発泡助剤C:尿素:ステアリン酸=85:15(質量比)の混合物
表3に示す配合処方で、常法に従ってゴム組成物を調製した。このゴム組成物を用いてタイヤのトレッド部(未加硫)を作製し、適所に配設して、生タイヤを作製した。この生タイヤを、165℃で20分間の条件でモールド加硫し、加硫したタイヤを得た。
得られたタイヤについて、トレッド部を形成する加硫ゴムの発泡率(Vs)(%)を、下記式(I)により算出した。結果を表4,5に示す。
Vs=(ρ0/ρ1−1)×100 ・・・(I)
[式中、ρ1は加硫ゴムの密度(g/cm3)であり、ρ0は加硫ゴムにおける固相部の密度(g/cm3)である。]
得られたタイヤのトレッドセンター部から、その接地対象表面を含むゴム片を切り取り、このサンプルの表面及び切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。そして、トレッド部の接地対象表面における微小凹部の有無、及び、トレッド部の内部における微小空洞部の有無を確認した。結果を表4,5に示す。
更に、SEMで撮影したトレッド部の接地対象表面の写真に2値化処理を施したものから、微小凹部を任意に10個選択し、その各微小凹部の面積の合計のうち、微粒子により覆われている面積の合計の割合を算出し、微小凹部の内表面における微粒子の平均被覆率(%)を求めた。結果を表4,5に示す。
得られたタイヤを装着した乗用車を、アスファルト路上において200km走行させた後、氷上平坦路を走行させ、時速20km/hの時点でブレーキをかけてタイヤをロックさせ、停止状態になるまでの制動距離を測定した。比較例1のタイヤの制動距離の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、氷上性能に優れることを示す。結果を表4,5に示す。
*12 微粒子B:積水化成品工業株式会社製、「テクポリマーMB8HP」、メタクリル酸メチルエチレングリコールジメタクリレート共重合体
*13 微粒子C:積水化成品工業株式会社製、「テクポリマーMB8XP」、メタクリル酸メチルエチレングリコールジメタクリレート共重合体
*14 微粒子D:東レ株式会社製、「トレパールPLA」、ポリ乳酸
*15 微粒子E:東レ株式会社製、「トレパールPLA」、ポリ乳酸
*16 微粒子F:株式会社トーア紡コーポレーション製、「TOABO POMP 605」、ポリアミド6
*17 微粒子G:株式会社トーア紡コーポレーション製、「TOABO POMP 610」、ポリアミド6
*18 微粒子H:株式会社メタルカラー製、「SNP−619NS」、ナイロン系樹脂
2 微小凹部
3 微粒子
3a 微小凹部の内表面に配置されている微粒子
3b 微小空洞部の内表面に配置されている微粒子
4 微小空洞部
5 非空洞部
Claims (10)
- 微粒子を有するゴム部材であって、
該ゴム部材の表面に、複数の微小凹部が存在し、
前記微粒子が、前記微小凹部の内表面に配置されており、
ここで、前記微粒子は、非繊維状である場合に長径が50μm未満であるか、又は、繊維状である場合に短軸長が50μm未満であり且つ長軸長が500μm未満であるとともに、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が140ml/100g以上である、ことを特徴とする、ゴム部材。 - 前記微小凹部の内表面における前記微粒子の平均被覆率が、10%以上である、請求項1に記載のゴム部材。
- 前記微粒子が、有機物質を含む、請求項1又は2に記載のゴム部材。
- 前記有機物質が、極性基を有する有機化合物である、請求項3に記載のゴム部材。
- 前記極性基が、アミド結合を含有する基及びカルボニル基のうち、少なくともいずれか一方を含む、請求項4に記載のゴム部材。
- 前記微粒子が、球状又は繊維状である、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム部材。
- 更に内部に複数の微小空洞部が存在し、前記微粒子が、前記微小空洞部の内表面にも配置されている、請求項1〜6のいずれかに記載のゴム部材。
- 請求項1に記載のゴム部材の製造方法であって、
ゴム成分に対し、発泡剤と、前記微粒子及び樹脂を含有する微粒子含有有機繊維とを配合してなるゴム組成物を用いることを特徴とする、ゴム部材の製造方法。 - 請求項1に記載のゴム部材の製造方法であって、
加硫したゴムの表面に形成された微小凹部に、前記微粒子を付与する工程を含むことを特徴とする、ゴム部材の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム部材をトレッド部に備えることを特徴とする、タイヤ。
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