以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面と示す。
(実施形態)
図1〜図5に基づいて、本実施形態に係る電子制御装置10に関して説明する。まず、図1、図2、図3に基づき、本実施形態に係る電子制御装置10の概略構成について説明する。
図1に示すように、電子制御装置10は、車両に搭載可能に構成されており、制御部70、第1内部温度検出部74、送風ファン100などを備えている。電子制御装置10は、例えば、エンジン420を制御する電子制御装置(ECU)として適用できる。また、電子制御装置10は、入力系の車載機器、及び制御対象と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、一例として、走行駆動源としてエンジン420を搭載した車両に搭載された電子制御装置10を採用している。
本実施形態では、入力系の車載機器の一例として、ドライバ要求検出部310、アクチュエータ状態検出部320、エンジン状態検出部330、車両状態検出部340を採用している。ドライバ要求検出部310は、ドライバ要求として、例えば、ブレーキペダルの操作状態、アクセルペダルの操作状態、シフト操作部の操作位置などを検出する。そして、ドライバ要求検出部310は、これらの検出結果をドライバ要求信号として電子制御装置10の演算部71に出力する。
アクチュエータ状態検出部320は、アクチュエータ状態として、例えば、インジェクタ装置、吸気バルブ装置、電子スロットル装置などにおける各アクチュエータの状態を検出する。そして、アクチュエータ状態検出部320は、これらの検出結果をアクチェータ状態信号として電子制御装置10の演算部71に出力する。
エンジン状態検出部330は、エンジン状態として、例えば、エンジン420の冷却水温度、エンジン420の回転状態などを検出する。そして、エンジン状態検出部330は、これらの検出結果をエンジン状態信号として電子制御装置10の演算部71に出力する。
車両状態検出部340は、車両状態として、例えば、走行速度、バッテリ電圧などを検出する。そして、車両状態検出部340は、これらの検出結果を車両状態信号として電子制御装置10の演算部71に出力する。
また、本実施形態では、制御対象の一例として、送風ファン100とエンジン420とを採用している。送風ファン100とエンジン420は、制御部70と電気的に接続されており、制御部70の制御対象と言える。送風ファン100は、送風ユニットに相当する。
さらに、本実施形態では、制御対象として、報知部430が電気的に接続された電子制御装置10を採用している。報知部430は、車室内に設けられた表示装置や音出力装置である。報知部430は、演算部71からの指示に応じて画像や音声などを出力する。また、報知部430は、画像や音声に限定されず、運転者が確認可能な光や音による通知を出力できるものであれば採用できる。なお、報知部430と演算部71との間には、報知部430の駆動装置が設けられていてもよい。また、本開示は、報知部430が接続されていない電子制御装置10であっても採用できる。
図2及び図3に示すように、電子制御装置10は、ケース20とカバー30とを含む防水筐体、回路基板60、送風ファン100などを備えている。また、電子制御装置10は、エンジン420とともにエンジンルームに設けられている。なお、図3は、電子制御装置10のXZ平面での部分的な断面図である。
防水筐体は、回路基板60を収容する内部空間S1としての防水空間を提供する。防水筐体は、回路基板60の板厚方向であるZ方向において二つの部材に分割されている。二つの部材は、一方がケース20で、他方がカバー30とされている。防水筐体は、図示しないシール部材を介して、ケース20及びカバー30を相互に組み付けて構成される。つまり、防水筐体は、ケース20とカバー30とがシール部材を介して組み付けられて、防水空間を提供している。防水筐体は、壁部21を有する筐体に相当する。なお、本実施形態では、回路基板60が防水筐体に収容される例を採用している。しかしながら、回路基板60は、防水性を有していない筐体に収容されていてもよい。
ケース20は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、放熱性向上のために、ケース20がアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されている。つまり、ケース20は、樹脂材料を用いて形成されていても回路基板60を保護することができる。しかしながら、ケース20は、金属材料を用いて形成することで、樹脂材料を用いて形成されたものより放熱性を向上できる。ケース20は、例えばアルミダイカストによって成形されたものを採用できる。
ケース20の壁部21は、例えば平面略矩形状をなしている。ケース20の壁部21は、防水筐体の壁部に相当する。壁部21に連なる4つの側壁のひとつには、図示しない切り欠きが設けられている。この切り欠きは、ケース20の一面の開口につながっている。また、切り欠きは、コネクタ40の一部を防水筐体の外部に露出するために設けられている。
壁部21は、壁部21を板厚方向に貫通するファン取付開口部25が形成されている。ファン取付開口部25は、防水筐体のケース20に送風ファン100を取り付けるための開口部である。ファン取付開口部25は、ケース20の外面及び内面にわたって形成されている。つまり、ファン取付開口部25は、内部空間S1と、防水筐体の外部空間とを連通する貫通孔である。また、ファン取付開口部25は、壁部21に形成された貫通孔に相当する。
なお、本実施形態では、一例として、ファン取付開口部25が形成された部位が壁部21の他の部分(コネクタ取付部22など)に対して凹んで設けられたケース20を採用している。つまり、ケース20は、壁部21において、ファン取付開口部25が形成された部位に対して突出した部位を含んでいる。コネクタ取付部22は、コネクタ40を収容すべくX方向における一端側に設けられている。しかしながら、回路基板60と外部機器との電気的な接続構造によっては、ケース20にコネクタ取付部22が形成されていなくてもよい。
また、本実施形態では、壁部21において、ファン取付開口部25が形成された部位に対して突出した部位として、回路基板60を構成するアルミ電解コンデンサなどの高背部品を収容する高背収容部が形成されたケース20を一例として採用している。本実施形態の高背収容部は、コネクタ取付部22からX方向に延設されている。しかしながら、回路基板60が高背部品を含んでいない場合、ケース20に高背収容部が形成されていなくてもよい。なお、高背部品は、例えば、MOSFETなどの半導体素子よりも背が高い部品である。また、高背部品は、背高部品と言い換えることもできる。
このように、ファン取付開口部25は、壁部21のうち、コネクタ取付部22及び高背収容部を除く部分に形成されている。また、ファン取付開口部25は、壁部21のうち、略平坦な部分に形成されている。
なお、図2に示す符号23は、ねじなどによって電子制御装置10を車両に取り付けるための車体固定部である。符号24は、ケース20とカバー30とを固定するための筐体固定孔である。筐体固定孔24には、図示しないねじが挿入される。これら車体固定部23及び筐体固定孔24は、ケース20と一体に設けられている。
しかしながら、電子制御装置10は、クリップや接着剤によって車両に取り付けられてもよい。この場合、ケース20は、車体固定部23が設けられていなくもてよい。また、ケース20とカバー30は、クリップや接着剤によって固定されてもよい。この場合、ケース20は、筐体固定孔24が設けられていなくもてよい。
カバー30は、ケース20とともに防水筐体の内部空間S1を形成する。ケース20とカバー30を組み付けることで、カバー30によりケース20における一面の開口が閉塞される。また、カバー30によりケース20の一面の開口が閉塞されることで、側壁に形成された切り欠きが区画され、図示しない開口部となる。この開口部により、コネクタ40の一部が外部に露出される。なお、コネクタ40は、少なくとも一部が内部空間S1に配置され、残りの部分が外部空間に配置される。
本実施形態では、放熱性向上のために、ケース20と同様にアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されたカバー30を採用できる。また、カバー30は、ケース20と同様に、例えばアルミダイカストによって成形されたものを採用できる。カバー30は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、一例として、外面側に複数の放熱フィン31が形成されたカバー30を採用している。しかしながら、カバー30は、放熱フィン31が形成されていなくてもよい。
防水筐体のシール部材は、ケース20とカバー30との間、ケース20とコネクタ40との間、及びカバー30とコネクタ40との間を介して、内部空間S1が防水筐体の外部空間と連通するのを遮断するように設けられている。このシール部材は、内部空間S1を取り囲むようにケース20及びカバー30の周縁部に配置されている。シール部材により、ケース20及びカバー30の周縁部が水密に封止されている。シール部材として、例えば硬化前において液状の接着材を採用することができる。また、シール部材は、これに限定されず、Oリングや環状のゴムシートなどのように弾性変形によって水密に封止する部材であっても採用できる。
回路基板60は、防水筐体の内部空間S1に収容されており、ケース20又はカバー30に固定されている。つまり、回路基板60は、防水筐体に取り付けられている。また、回路基板60は、ケース20とカバー30とで挟み込まれて、ケース20とカバー30に固定されていてもよい。ケース20やカバー30に対する回路基板60の固定構造は、特に限定されない。
回路基板60は、プリント基板、及び、プリント基板に実装された回路素子61を有している。プリント基板は、例えば樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成された基材に、配線が配置されてなる。そして、回路基板60は、配線と回路素子61とにより、回路が形成されている。なお、プリント基板は、例えば平面略矩形状をなしている。回路素子61は、プリント基板におけるケース20側の面及びカバー30側の面の少なくとも一方に実装されている。
本実施形態では、回路素子61のうち、パワーMOSFETやASICなどの発熱素子が、プリント基板におけるケース20側の面であって、Z方向の平面視において送風ファン100の周囲に配置されている。電子制御装置10は、発熱素子の周辺、すなわち壁部21における発熱素子に対向する領域を積極的に冷却することが好ましい。このため、発熱素子は、送風ファン100の周囲であり、且つ、後程説明する第2通気口212の開口方向に沿う位置に設けられていると好ましい。つまり、送風ファン100は、壁部21における発熱素子に対向する領域に風を供給できるように構成されていると好ましい。電子制御装置10は、壁部21における送風ファン100の位置や、送風ファン100における第2通気口212の位置などによって、壁部21における発熱素子に対向する領域に風を供給できるように構成可能である。
なお、本実施形態では、表面実装型の素子である回路素子61を採用している。しかしながら、本実施形態では、スルーホール62が形成されたプリント基板を採用している。このため、回路素子61は、端子がスルーホール62に挿入された状態で、プリント基板(配線)と電気的に接続されるものであっても採用できる。
この配線と回路素子61によって形成された回路は、制御部70の一部である演算部71、冷却指示部72、アクチュエータ駆動部73に相当する。よって、回路基板60には、演算部71、冷却指示部72、アクチュエータ駆動部73が形成されていると言える。
また、電子制御装置10は、演算部71などの少なくともひとつの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置(MMR)とを有する。電子制御装置10は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって提供されうる。電子制御装置10は、ひとつのコンピュータ、又はデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、演算部71によって実行されることによって、電子制御装置10をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。電子制御装置10は、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するための手段と呼ぶことができ、別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成的なブロック、又はモジュールと呼ぶことができる。
なお、電子制御装置10が提供する手段及び/又は機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組み合わせによって提供することができる。例えば、電子制御装置10がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。
演算部71は、図1に示すように、第2温度検出部71a、冷却要求判定部71b、診断部71c、エンジン制御部71dを含んでいる。なお、第2温度検出部71a、冷却要求判定部71b、診断部71c、エンジン制御部71dは、演算部71の機能を示す機能ブロックとも言える。
第2温度検出部71aは、筐体内の温度を検出する温度検出部に相当する。第2温度検出部71aは、演算部71に設けられており、マイコン内蔵型の温度検出部である。例えば、第2温度検出部71aは、温度により変化する電圧を出力する。第2温度検出部71aは、防水筐体内の温度として演算部71の温度を検出するとも言える。また、後程説明するが、第2温度検出部71aは、第1温度検出部74の異常診断に用いられる。
また、電子制御装置10は、第2温度検出部71aに加えて、第1温度検出部74を備えている。第1温度検出部74は、防水筐体内の温度を検出する温度検出部に相当する。第1温度検出部74は、制御部70に電気的に接続されている。第1温度検出部74は、例えばサーミスタなどを含んでおり、防水筐体の内部であり、且つ演算部71の外部に設けられている。このように、電子制御装置10は、二つの温度検出部71a、74をそれぞれ異なる場所に備えている。
なお、第1温度検出部74及び第2温度検出部71aで検出される温度は、防水筐体の内部の温度であるため内部温度とも言える。また、第1温度検出部74の検出結果である内部温度は、第1温度信号T1とも称する。一方、第2温度検出部71aの検出結果である内部温度は、第2温度信号T2とも称する。
冷却要求判定部71bは、第1温度信号T1、すなわち、第1温度検出部74を用いた温度検出の検出結果に基づいて送風ファン100を駆動するか否かを判定する。冷却要求判定部71bは、第1温度信号T1が閾値以上の場合、回路基板60を冷却する必要があるとみなして、冷却指示部72に対して、送風ファン100の駆動を要求する駆動要求信号を出力する。なお、冷却要求判定部71bは、第1温度信号T1が閾値以上の場合、防水筐体に収容された制御部70を冷却する必要があるとみなして指示信号を出力するとも言える。
また、冷却要求判定部71bは、第1温度信号T1が閾値より低い場合、回路基板60を冷却する必要がないとみなして駆動要求信号を出力しない。よって、冷却要求判定部71bは、内部温度に基づいて、回路基板60を冷却するか否か、すなわち送風ファン100に駆動を要求するか否かを判定するとも言える。ここでの閾値は、制御部70の動作保証温度や、制御部70の動作保証温度にマージンを持たせた温度などを採用できる。
冷却指示部72は、駆動要求信号が入力されると、送風ファン100のファン用回路基板130に対して、羽根部120の回転を指示する指示信号を出力する。このように、制御部70は、冷却要求判定部71bが冷却指示部72を介して送風ファン100の駆動制御を行う。つまり、制御部70は、送風ファン100のモータ160を制御することで、送風ファン100の駆動制御を行う。
診断部71cは、第1温度検出部74と第2温度検出部71aのいれかが異常であるか否かを診断(判定)する。つまり、診断部71cは、第2温度検出部71aか、送風ファン100を駆動させるか否かの判定に用いる第1温度信号T1を検出している第1温度検出部74が異常であるか否かを診断する。
そして、診断部71cは、異常と診断した場合、例えばエンジン制御部71dに対して、異常と診断していない場合よりも制御部70の出力の抑制を指示する。また、制御部70の出力が抑制した状態は、出力抑制状態と言うことができる。よって、診断部71cは、異常と診断した場合、エンジン制御部71dに対して、出力抑制状態への遷移信号を出力すると言える。
なお、遷移信号は、制御部70における出力の抑制を指示する出力抑制指示信号と言い換えることができる。また、本実施形態では、エンジン420の駆動出力を制限することで、制御部70の出力を抑制する。このため、出力抑制指示信号は、制限指示信号と言い換えることができる。
エンジン制御部71dは、入力系の車載機器310〜340のそれぞれから出力された信号に基づいて、アクチュエータ駆動部73にアクチュエータ駆動要求信号を出力する。アクチュエータ駆動部73は、アクチュエータ駆動要求信号が入力されると、アクチュエータ410に対して、アクチュエータ制御信号を出力する。このように、制御部70は、エンジン制御部71dがアクチュエータ駆動部73を介してアクチュエータ410を駆動制御することでエンジン420を制御する。また、制御部70は、エンジン420を制御することで、車両の走行制御を行う。
さらに、エンジン制御部71dは、診断部71cから遷移信号が入力されると、制御部70の発熱を抑制するために、制御部70の出力を抑制させる。そして、エンジン制御部71dは、制御部70の出力を抑制させるためにエンジン420の駆動出力を制限する出力制限制御を行う。
エンジン420の出力制限制御は、一例として、エンジン制御処理を間引いたり、燃料の噴射回数を減らしたりすることがあげられる。エンジン制御部71dは、遷移信号が入力されると、診断部71cにて異常と診断されていない場合よりもエンジン制御処理を間引くことで、エンジン420の駆動出力を制限し、且つ、演算部71の出力を抑制することができる。よって、電子制御装置10は、エンジン制御処理を間引かない場合よりも、演算部71の発熱を抑制することができる。つまり、電子制御装置10は、演算部71の発熱を抑制することで、制御部70の発熱を抑制することができる。
また、エンジン制御部71dは、遷移信号が入力されると、診断部71cにて異常と診断されていない場合よりも燃料の噴射回数を減らすことでエンジン420の駆動出力を制限し、且つ、アクチュエータ駆動部73の出力を抑制することができる。よって、電子制御装置10は、燃料の噴射回数を低減しない場合よりも、アクチュエータ駆動部73の発熱を抑制することができる。つまり、電子制御装置10は、アクチュエータ駆動部73の発熱を抑制することで、制御部70の発熱を抑制することができる。
回路基板60には、コネクタ40が実装されている。コネクタ40は、回路基板60と、電子制御装置10の外部に設けられた電子機器とを電気的に接続するための電子部品である。コネクタ40は、回路基板60におけるX方向の一端側に実装され、プリント基板の配線に電気的に接続されている。コネクタ40は、一部が防水筐体の上記した開口部を介して外部に露出され、残りの部分が内部空間S1に収容されている。
コネクタ40は、樹脂材料を用いて形成されたハウジング、及び、導電性材料を用いて形成され、ハウジングに保持された複数の端子を有している。つまり、コネクタ40は、複数の端子がプリント基板の配線に電気的に接続されている。コネクタ40は、複数の端子が、スルーホール62に挿入された状態で、プリント基板の配線に電気的に接続されていてもよい。
送風ファン100は、送風ユニットに相当する。送風ファン100は、ケース20の壁部21に取り付けられている。送風ファン100は、ケース20のファン取付開口部25に取り付けられている。送風ファン100は、回路基板60を冷却するために設けられている。
送風ファン100は、羽根部120の回転により、図3の一点鎖線で示すように空気の流れを形成して、ケース20に風を供給する。つまり、送風ファン100は、羽根部120の回転にともないハウジング200に設けられた通気口201、212を介して壁部21の外面に沿った空気の流れを形成する。また、送風ファン100は、第1通気口201と第2通気口212の位置及び開口方向を後程説明する構成とすることで、図3の一点鎖線で示すように空気の流れを形成することができる。さらに、送風ファン100は、制御部70によって駆動制御され、壁部21の外面に沿った空気の流れを形成することで防水筐体を冷却すると言える。
送風ファン100は、ケース20に風を供給することで回路基板60を冷却する。つまり、送風ファン100は、ケース20を冷却することで、ケース20内の回路基板60を冷却するものと言える。送風ファン100としては、例えば、周知の軸流ファンの構成を採用することができる。
送風ファン100は、ケース20に風を供給する部位であるファン機構と、ファン機構を保持するハウジング200とを含んでいる。送風ファン100は、シール部材50を介してケース20に固定されるとともに、回路基板60に電気的に接続されている。
ファン機構は、例えば、軸部110、羽根部120、ファン用回路基板130、端子140、ポッティング部150、モータ160などを備えている。さらに、ファン機構は、一部がハウジング200に固定されつつ、羽根部120を回転可能に支持する軸受などを備えている。軸受は、周知技術であり、グリースによって潤滑されている。なお、ファン機構は、軸流ファンにおける周知の構造を採用できるため、図3などにおいては、軸部110、羽根部120などを簡略化して図示している。
例えば、軸部110は、羽根部120の回転軸となる回転シャフト111、回転シャフト111をハウジング200やコイルに対して回転可能にする軸受、回転シャフト111の周囲に配置されハウジング200に対して固定されたコイルなどを含んでいる。コイルは、ファン用回路基板130と電気的に接続されており、ファン用回路基板130から通電される。なお、コイルは、回転軸の周囲における複数箇所に設けられている。ファン用回路基板130は、指示信号に基づいて羽根部120を駆動(回転)させる駆動部に相当する。
回転シャフト111は、送風ファン100がケース20や回路基板60に取り付けられた状態で、回路基板60に対して垂直に設けられている。回転シャフト111の軸方向、すなわち羽根部120の回転軸の方向が、Z方向と一致するように、送風ファン100がケース20に取り付けられている。つまり、送風ファン100は、羽根部120の回転軸が回路基板60の板厚方向と一致した状態で、すなわちZ方向に沿った状態で壁部21に配置されている。このため、送風ファン100は、XY平面に沿って羽根部120が回転する。
また、羽根部120は、例えば、コイルの周囲に等間隔で複数個設けられており、コイルと対向する位置に磁石が取り付けられている。羽根部120は、回転シャフト111に固定されており、回転シャフト111の回転に伴って、ハウジング200に対して回転可能に構成されている。なお、回転シャフト111やコイルや磁石は、モータ160の一部である。
このように、ファン機構は、ハウジング200に対して回転可能に構成された回転子と、ハウジング200に固定された固定子とを含んでいるとも言える。回転子は、例えば回転シャフト111や羽根部120などを含んでいる。一方、固定子は、例えばコイルや軸受などを含んでいる。さらに、ファン機構は、モータ160と、モータ160の回転に伴って回転する羽根部120を備えているとも言える。
送風ファン100は、コイルが通電されることによって羽根部120が回転する。そして、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、第1通気口201から空気を吸入して、第2通気口212から排出する。この場合、第1通気口201を吸込口、第2通気口212を排出口と称することもできる。
なお、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、第2通気口212から空気を吸入して、第1通気口201から排出するように構成されていてもよい。この場合、第2通気口212を吸込口、第1通気口201を排出口と称することができる。
本実施形態では、ファン用回路基板130を保護するために、ポッティング部150を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、後程説明するハウジング200とともにファン用回路基板130と端子140がインサート成形されていてもよい。さらに、送風ファン100は、ポッティング部150が設けられていなくてもよい。なお、本実施形態で採用したファン機構は一例である。ファン機構は、例えば、遠心ファンと同様の構成であっても採用できる。
ハウジング200は、回転シャフト111や羽根部120などの回転子を回転可能な状態で、ファン機構を収納している。ハウジング200は、第1通気口201、側壁210、側壁端部211、第2通気口212、底部220、フランジ部221などを含んでいる。送風ファン100は、ファン機構がハウジング200の側壁210で囲まれているため、飛び石などの異物がファン機構に当たるのを抑制することができ、ファン機構の羽根部120などを保護することができる。
ハウジング200は、ファン取付開口部25を塞ぐように、壁部21の内面におけるファン取付開口部25の周囲部分と対向しつつファン取付開口部25を覆うように配置されている。つまり、ハウジング200は、壁部21の内面と対向する部分を有しつつファン取付開口部25を塞ぐように壁部21に配置されている。ハウジング200には、複数の通気口201、212が形成されている。複数の通気口は、羽根部120の回転にともなって、壁部21の外面に沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において異なる位置に形成されている。
本実施形態では、第1通気口201と第2通気口212が形成されたハウジング200を採用している。第1通気口201及び第2通気口212の一方が空気の吸込口として機能し、他方が排出口として機能する。
第1通気口201及び第2通気口212は、いずれも、Z方向において、壁部21におけるファン取付開口部25の開口周囲の外面よりも上方、すなわち回路基板60から離れた位置に形成されている。第1通気口201は、少なくとも一部分がZ方向において羽根部120よりも上方に位置し、第2通気口212は、少なくとも一部分がZ方向において羽根部120よりも下方に位置するように形成されている。さらに、第2通気口212は、送風ファン100がケース20に取り付けられた状態で、防水筐体の外部に配置される位置に設けられている。つまり、第2通気口212は、壁部21の外面を基準として、内部空間S1とは反対側の位置に設けられている。
また、第1通気口201は、Z方向に開口している。一方、第2通気口212は、XY平面に沿う方向(以下、XY平面方向)に開口している。このように、第1通気口201と第2通気口212は、開口方向が異なる。このため、羽根部120が回転した際の第1通気口201を通過する風の流れは、Z方向になると言える。一方、羽根部120が回転した際の第2通気口212を通過する風の流れは、XY平面方向になると言える。送風ファン100は、吸込口を通る風の向きと、排出口を通る風の向きを変えることができるように構成されていると言える。また、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、XY平面方向に吸い込んだ空気をZ軸方向へ排出、又はZ軸方向に吸い込んだ空気をXY平面方向へ排出できるように構成されているとも言える。
本実施形態では、ハウジング200が、側壁210、底部220、及びフランジ部221を有している。ハウジング200は例えば樹脂材料を用いて形成されている。側壁210及び底部220は、Z方向において一端側が開口する有底の筒形状をなしている。この筒の開口が、第1通気口201とされている。第1通気口201の全体が、Z方向において羽根部120よりも上方に設けられている。
ハウジング200は、例えば平面略矩形状の底部220と、底部220と連なる四つの側壁210を有している。側壁210の少なくともひとつに、第2通気口212が形成されている。本実施形態では、4つの側壁210のそれぞれに、第2通気口212が形成されている。第2通気口212は、側壁210を貫通する貫通孔である。第2通気口212は、Z方向が短手方向、Z方向に直交する方向が長手方向となるように、形成されている。しかしながら、第2通気口212の開口形状は、これに限定されない。第2通気口212は、開口形状が円形や正方形であってもよく、特に限定されない。
側壁210は、底部220からZ方向に離れた位置に第2通気口212が形成されている。側壁210は、底部220側の端部に側壁端部211が設けられている。側壁端部211は、側壁210のうち、第2通気口212と底部220との間の部位である。なお、側壁端部211は、Z方向における底部220及びフランジ部221から第2通気口212までの間隔が、壁部21の厚みよりも長くなっている。これによって、ハウジング200は、第2通気口212が防水筐体の外部に配置されることになる。しかしながら、ハウジング200は、第2通気口212が内部空間S1に連通しておらず、第2通気口212の少なくとも一部が防水筐体の外部に配置されていればよい。
また、ハウジング200は、ケース20に取り付けられた防水筐体の防水性を維持するために、羽根部120などを収容している収容空間と内部空間S1とを連通する穴が形成されていない。つまり、例えば底部220には、内部空間S1に達する貫通孔などは設けられていない。側壁210及び底部220で構成される有底の筒状部材は、底に開口が設けられていない、と言うことができる。
しかしながら、ハウジング200は、後程説明するように、送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続するための端子140が内部空間S1に突出している。このため、端子140は、ハウジング200との間が水密な状態でハウジング200から突出するように構成されている。これは、ハウジング200を形成する際に、端子140をインサート成形することなどによって達成できる。
なお、本実施形態では、隣り合う側壁210の角部、すなわち連結部分がR形状をなしたハウジング200を採用している。第2通気口212は、R形状の部分を除く平坦部分に形成されている。しかしながら、ハウジング200は、これに限定されず、R形状をなしていなくてもよく、R形状をなしている部分に第2通気口212が形成されていてもよい。
また、本実施形態では、四箇所に第2通気口212が形成されたハウジング200を採用している。しかしながら、ハウジング200は、これに限定されず、三箇所以下に第2通気口212が形成されていてもよいし、五箇所以上に第2通気口212が形成されていてもよい。さらに、ハウジング200は、Z方向の平面視において丸形状であってもよい。
図3に示すように、ハウジング200は、ファン取付開口部25に挿入されている。ハウジング200は、ファン取付開口部25を通じて、ケース20の内外にわたって配置されている。底部220の少なくとも一部は、内部空間S1に配置されている。側壁210は、一部がファン取付開口部25内に配置されるとともに、他の一部が壁部21の外面よりも上方に突出している。本実施形態では、ハウジング200がファン取付開口部25に挿入された状態で、側壁端部211の一部がファン取付開口部25に配置される。つまり、側壁端部211は、Z方向に直交する方向において、ファン取付開口部25を構成する壁部21の側壁と対向している。
フランジ部221は、側壁210及び底部220がなす筒の下端から、周囲に広がるようにして、側壁210及び底部220と一体に成形されている。フランジ部221は、ファン取付開口部25周りの全周で、壁部21と対向するように設けられている。本実施形態では、フランジ部221が、側壁210の下端及び底部220の外周端に連なっている。つまり、フランジ部221は、側壁210の下端及び底部220の外周端とから、XY平面に沿って突出した部位と言える。また、フランジ部221が、壁部21の内面におけるファン取付開口部25の周囲部分と対向している。フランジ部221は、壁部21の内面と対向する部分に相当する。
送風ファン100は、少なくともフランジ部221においてケース20に固定されている。電子制御装置10は、ハウジング200とケース20との対向部分の一部により、防水シール部51が構成されている。防水シール部51は、少なくともフランジ部221とケース20との対向部分に、シール部材50が介在してなる。本実施形態では、フランジ部221とケース20との対向部分に加えて、側壁端部211とケース20との対向部分にもシール部材50が介在してなる例を採用している。なお、フランジ部221とケース20との対向部分は、フランジ部221とケース20との間の領域又は対向領域と言い換えることができる。同様に、側壁端部211とケース20との対向部分は、側壁端部211とケース20との間の領域又は対向領域と言い換えることができる。
なお、本実施形態では、送風ユニットとして送風ファン100を採用している。しかしながら、送風ユニットは、これに限定されず、防水性を有していないファンであっても採用できる。
防水シール部51は、ファン取付開口部25を取り囲むように環状に設けられている。ハウジング200及びケース20のうち、Z方向の平面視においてシール部材50と重なる部分が、防水シール部51を構成する部分である。本実施形態では、フランジ部221とケース20との対向部分に加えて、側壁端部211とケース20との対向部分が防水シール部51とされている。このように、電子制御装置10は、壁部21とハウジング200との対向部分にシール部材50が介在してなり、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する防水シール部51を有していると言える。
しかしながら、電子制御装置10は、これに限定されず、例えば、側壁端部211とケース20との対向部分にシール部材50が設けられていなくてもよい。この場合、電子制御装置10は、フランジ部221の先端から所定範囲の部分にシール部材50が設けられ、この部分が防水シール部51となる。
なお、電子制御装置10は、これらに限定されず、ファン取付開口部25の全周であり、且つ、フランジ部221とケース20との対向部分及び側壁210とケース20との対向部分の一部にシール部材50が設けられていればよい。
また、シール部材50としては、硬化前において液状の接着材を採用できる。送風ファン100は、防水シール部51にてケース20に固定されている。
本実施形態では、防水シール部51を備えた電子制御装置10を採用している。しかしながら、電子制御装置10は、これに限定されず、防水性を有していない筐体に回路基板60が収容される場合、防水シール部51を備えていなくてもよい。
端子140は、電気接続端子に相当し、ハウジング200から内部空間S1側に突出しており、回路基板60と電気的に接続されている。送風ファン100は、例えば、三つの端子140を備えている。端子140は、ハウジング200の底部220を貫通している。端子140は、ハウジング200のうち、防水シール部51により囲まれた部分から、内部空間S1に突出している。つまり、端子140は、底部220からZ方向であり、且つ、回路基板60側に突出していると言える。端子140は、一部がハウジング200内に配置されたファン用回路基板130と電気的に接続され、他の一部が回路基板60と電気的に接続されている。
このように、電子制御装置10は、端子140を介して、ファン用回路基板130(すなわち送風ファン100)と、回路基板60とが電気的に接続されている。また、送風ファン100は、端子140が防水シール部51で囲まれた位置に設けられており、端子140を介して回路基板60に電気的に接続されている。
なお、金属製の端子140は、樹脂製のハウジング200にインサート成形されて、一体化されている。また、端子140は、例えば、回路基板60に設けられたスルーホール62に一部が配置されて、すなわちスルーホール62に挿入されて、はんだなどの導電性の接続部材63によって回路基板60の配線と電気的に接続されている。
ファン用回路基板130には、羽根部120を回転させるための駆動回路が形成されている。ファン用回路基板130には、軸部110におけるコイルが電気的に接続されている。送風ファン100は、回路基板60、端子140、及びファン用回路基板130を通じてコイルが通電されることにより、上記した回転子が正方向に回転する。そして、送風ファン100は、羽根部120の所定の形状によりハウジング200内に空気の圧力差が発生し、図3に示すように、第1通気口201から吸入した空気が第2通気口212から排出される。なお、送風ファン100は、ロータを正方向とは反対の方向に回転させると、第2通気口212から吸入した空気が第1通気口201から排出される。
ファン用回路基板130は、ハウジング200内において、羽根部120よりも下方、すなわち回路基板60側に配置されている。ファン用回路基板130は、ハウジング200に固定されている。本実施形態では、ファン用回路基板130及び端子140の一部がポッティング部150内に埋設されて、ポッティング部150で封止されている。このため、ファン用回路基板130や端子140の一部は、ポッティング部150によって保護されている。つまり、送風ファン100は、ポッティング部150で覆われたファン用回路基板130や端子140に、水などの液体が付着することを抑制できる。言い換えると、送風ファン100は、ポッティング部150によって防水性が確保されている。
ポッティング部150は、ハウジング200内に、第2通気口212を閉塞せず、且つ、羽根部120などの回転子の動きを阻害しないように設けられている。本実施形態では、一例として、底部220から第2通気口212に達するまでの空間、すなわち、底部220上において側壁端部211で囲まれた空間にポッティング部150が形成された例を採用している。
なお、ファン用回路基板130は、端子140とは別の支持部によって支持されていてもよい。ファン用回路基板130は、底部220の内面に固定されてもよい。また、ファン用回路基板130の封止は、ポッティング部150に限定されない。例えば、端子140が実装されたファン用回路基板130は、ハウジング200にインサート成形され、底部220によって封止された構成であっても採用することができる。
次に、上記した電子制御装置10の組み付け手順の一例について説明する。
先ず、ケース20、カバー30、回路基板60、及び送風ファン100をそれぞれ準備する。そして、送風ファン100を回路基板60に実装する。本実施形態では、挿入実装型の端子140を採用しており、回路基板60のスルーホール62に端子140を挿入し、回路基板60と端子140とを接続部材63で電気的に接続する。このようにして、回路基板60と送風ファン100を一体化させる。
なお、コネクタ40については、送風ファン100と同じタイミングで回路基板60に実装してもよいし、送風ファン100とは別のタイミングで実装してもよい。本実施形態では、挿入実装される回路素子61、コネクタ40、及び送風ファン100を、同じタイミングではんだ付けする。
次いで、回路基板60をケース20に取り付ける。例えば、ケース20は、壁部21の内面側に図示しない台座を有しており、回路基板60を台座に配置してねじ固定する。
回路基板60を取り付ける際、送風ファン100もケース20に取り付ける。回路基板60をケース20の台座に配置する前に、フランジ部221や側壁端部211にシール部材50を塗布する。また、ケース20の周縁部のうち、コネクタ40のハウジングが対向する部分にも、図示しないシール部材を塗布する。なお、シール部材50は、ケース20におけるフランジ部221や側壁端部211と対向する部位に塗布してもよい。
そして、ファン取付開口部25に対して送風ファン100を位置決めした状態で、回路基板60を台座に配置する。これにより、ケース20とフランジ部221や側壁端部211との間にシール部材50が形成される。シール部材50は、ケース20、フランジ部221、側壁端部211に接触する。そして、ケース20への回路基板60の固定により、防水シール部51が形成される。
次いで、ケース20の周縁部及びコネクタ40におけるカバー30との対向部分にシール部材を塗布した後、ケース20にカバー30を組み付ける。以上により、上記した電子制御装置10を得ることができる。
ここで、図4、図5を用いて、電子制御装置10の処理動作に関して説明する。図4は、電子制御装置10における制御部70の処理動作を示している。制御部70は、イグニッションスイッチのオンなどによって電源が供給されると、演算部71が図4のフローチャートをスタートする。そして、演算部71は、電源が供給されている間、所定時間毎に図4のフローチャートを実行する。よって、演算部71は、エンジン420を制御している間は、図4のフローチャートを常時実行する。
ステップS10では、温度検出部の異常判定を行う(判定部)。ここで、図5を用いて、温度検出部の異常判定処理の詳細を説明する。診断部71cは、第1温度検出部74の検出結果と、第2温度検出部71aの検出結果とに基づいて、第1温度検出部74と第2温度検出部71aのいずれかが異常であるか否かを判定する。
診断部71cは、第1温度信号T1と第2温度信号T2とを取得する(判定部、S20)。次に、診断部71cは、第1温度信号T1と第2温度信号T2の比較値を算出する(判定部、S21)。つまり、診断部71cは、比較値として、第1温度信号T1と第2温度信号T2の差を算出する。
そして、診断部71cは、比較値が所定温度以上であるか否かを判定する(判定部、S22)。診断部71cは、比較値が所定温度以上と判定した場合、第1温度検出部74と第2温度検出部71aのいずれかが異常であると判定する(判定部、S23)。この場合、診断部71cは、送風ファン100を駆動させるか否かを判定するための第1温度信号T1を出力している第1温度検出部74が異常の可能性があるとみなす。また、診断部71cは、比較値が所定温度以上と判定しなかった場合、第1温度検出部74と第2温度検出部71aが異常であると判定しない(判定部、S24)。
つまり、診断部71cは、第1温度検出部74の検出結果と第2温度検出部71aの検出結果とが所定の対応関係にない場合に、第1温度検出部74と第2温度検出部71aのいずれかが異常であると判定する。ここでの所定温度は、第1温度検出部74が正常である場合に取りうる、第1温度信号T1と第2温度信号T2との差と同等の温度、または、この温度にマージンを持たせた温度である。この所定温度は、実機を用いた実験や、シミュレーションなどによって設定することができる。
ステップS11では、温度検出部が異常であるか否かを判定する(判定部)。診断部71cは、ステップS10での判定結果に基づいて、第1温度検出部74と第2温度検出部71aのいずれかが異常であるか否かを判定する。つまり、診断部71cは、ステップS10にて温度検出部が異常であるか否かを判定し、温度検出部が異常であると判定した場合はステップS12へ進み、温度検出部が異常であると判定しなかった場合はステップS10へ戻る。
ステップS12では、出力抑制状態への遷移信号を送信する(出力抑制部)。診断部71cは、エンジン制御部71dに遷移信号を送信する。つまり、診断部71cは、ステップS10で異常と判定すると、異常と判定していない場合よりも、制御時における制御部70の出力を抑制させる。そして、エンジン制御部71dは、遷移信号を取得すると、上記のように、エンジン420の駆動出力を制限する出力制限制御を行うことで制御部70の出力を抑制させる。
また、制御部70は、送風ファン100及びエンジン420の制御に加えて、車両の運転者に対する通知を行う報知部430の制御を行うものであってもよい。そして、制御部70は、診断部71cにて異常と判定すると、エンジン420の出力制限を促す通知を報知部430から出力する報知制御を行ってもよい(出力抑制部)。本実施形態では、診断部71cが、車両の運転者に対する通知を行うように報知部430を制御する例を採用している。この場合、診断部71cは、車両の運転者に対する通知を示す遷移信号を報知部430に送信する。報知部430は、遷移信号が入力されると、エンジン420の出力制限を促す通知を出力する。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
制御部70は、報知制御を行うことで、制御部70の出力を抑制する(出力抑制部)。エンジン420の出力制限を促す通知としては、例えば、アクセルの踏み込み量の低減の通知や、車両の停車の通知などである。これによって、エンジン制御部71dは、ドライバによってアクセルの踏み込み量が低減されたり、車両が停車されたりすると、エンジン420の出力制限を行うことになる。よって、エンジン制御部71dは、制御部70の出力を抑制させることができる。
さらに、電子制御装置10は、診断部71cにて異常と判定すると、例えばエンジン420のトルクを制限するトルク制限制御を行うことで、制御部70の出力を抑制してもよい(出力抑制部)。この場合、診断部71cは、エンジン制御部71dに遷移信号を送信する。そして、エンジン制御部71dは、遷移信号が入力されると、電子スロットル装置のアクチュエータであるスロットルモータへの通電を停止することでエンジン420のトルク制限を行ってもよい。この場合、エンジン制御部71dは、アクチュエータ駆動部73を介して、スロットルモータへの通電を停止する。電子スロットル装置は、スロットルモータへの電源供給が停止されると、スロットルバルブが極小開きの開度となる。これによって、エンジン420は、トルクが制限される。そして、電子制御装置10は、アクチュエータ駆動部73がスロットルバルブを開閉駆動している場合よりも、アクチュエータ駆動部73の発熱を抑制することができる。
このように、電子制御装置10は、第1温度検出部74が異常と判定した場合、制御部70の出力を抑制させるため、制御部70の発熱及び発熱に伴う熱暴走を抑えることができる。よって、電子制御装置10は、第1温度検出部74が異常と判定した場合、実際に第1温度検出部74に異常が生じており回路基板60を冷却することができない場合であっても、制御部70の発熱及び発熱に伴う熱暴走を抑えることができる。つまり、電子制御装置10は、第1温度検出部74が異常と判定した場合、制御部70の出力を抑制させることで、第1温度信号T1が閾値に達しないようにすることができる。このため、電子制御装置10は、エンジン420の制御に不具合が生じることを抑制できる。
また、電子制御装置10は、第1温度検出部74が異常と判定した場合に、エンジン420の駆動出力やトルクを制限するので、車両の速度や加速を制限することができるとともに、制御部70の発熱及び発熱に伴う熱暴走を抑えることができる。このため、電子制御装置10は、第1温度検出部74が異常と判定した場合に、車両を退避走行させたりすることもできる。
電子制御装置10では、防水シール部51で囲まれた位置から内部空間S1に突出した端子140を介して送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続している。このため、電子制御装置10は、回路基板60とは異なる車両に設けられた電子機器などと送風ファン100とを電気的に接続する必要がなく、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。また、電子制御装置10は、防水筐体の外部に設けられたワイヤハーネスなどを介して回路基板60と送風ファン100とを接続したり、回路基板60とは異なる車両に設けられた電子機器などと送風ファン100とを直接電気的に接続したりする必要がない。よって、電子制御装置10は、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。これによって、電子制御装置10は、構成を簡素化でき、体格を小型化できる。さらに、電子制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に電気的に接続する際の工数を低減できる。
送風ファン100は、強制的に空気の流れを作ってケース20を冷却している。このため、送風ファン100を取り付けた電子制御装置10は、放熱フィンのみを取り付けた電子制御装置よりも放熱性能が優れていると言える。つまり、防水筐体の占める面積が同じ場合、送風ファン100を取り付けた電子制御装置10は、放熱フィンのみを取り付けた電子制御装置よりも放熱性能が優れている。逆に、放熱性能が同じ電子制御装置を比較した場合、送風ファン100を取り付けた電子制御装置10の防水筐体が必要とする面積は,放熱フィンのみを取り付けた電子制御装置の防水筐体が占める面積よりも小さい。よって、電子制御装置10は、送風ファン100と同様の冷却性能を確保するために放熱フィンを設ける場合よりも、体格を小型化できる。
また、防水筐体や回路基板を冷却するには、エンジン冷却水などを防水筐体の周囲に配置して、エンジン冷却水で冷却することも考えられる。さらに、防水筐体や回路基板を冷却するには、ラジエータファンからの風があたる位置に電子制御装置を配置して、ラジエータファンからの風によって冷却することも考えられる。
しかしながら、電子制御装置10は、上記のようにケース20に送風ファン100を取り付けて、送風ファン100で冷却を行う。このため、電子制御装置10は、エンジン冷却水を防水筐体の周囲に配置したり、ラジエータファンからの風があたる位置に電子制御装置10を配置したりする必要がなく、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。
また、送風ファン100は、羽根部120の回転軸がZ方向に直交する状態で壁部21に配置することも考えられる。しかしながら、電子制御装置10では、回転軸が回路基板60の板厚方向と一致した状態で壁部21に配置している。このため、電子制御装置10は、回転軸がZ方向に直交する状態で壁部21に配置する場合よりも、Z方向の体格を小さくすることができる。
特に本実施形態では、送風ファン100の一部をファン取付開口部25内に配置している。このため、電子制御装置10は、Z方向において、体格をより一層小型化することができる。さらには、電子制御装置10は、送風ファン100の一部を内部空間S1内に配置しているため、Z方向において、体格をより一層小型化することができる。
また、電子制御装置10は、壁部21の内面にハウジング200のフランジ部221が対向するように、送風ファン100とケース20とが組み付けられている。このため、電子制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に実装してから、ケース20を送風ファン100に組み付けることができる。これによって、電子制御装置10は、送風ファン100から露出している端子140を回路基板60のスルーホール62に容易に挿入することができる。また、電子制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に実装される電子部品のひとつとして取り扱うことができ、組み付けを簡素化できる。
電子制御装置10は、ケース20に設けられた放熱フィンによって冷却を行う構成に対して、カバー30の外形、回路基板60の外形、製造工程を変更することなく送風ファン100をケース20に取り付けることができる。
電子制御装置10は、回路基板60が防水筐体に収容されているため、回路基板60から発せられた熱が防水筐体に放熱される。そして、電子制御装置10は、送風ファン100によって外面に沿った空気の流れが形成されるため、防水筐体の放熱を促進することができる。電子制御装置10は、送風ファン100によって作り出された風によって回路基板60を冷却するため、放熱フィンによって防水筐体や回路基板60を冷却する構成よりも、防水筐体や回路基板60を急冷することができる。
つまり、本実施形態では、羽根部120の回転軸が、回路基板60の板厚方向であるZ方向と略一致するように、送風ファン100がケース20に取り付けられている。そして、ハウジング200には、羽根部120の回転にともなって、ケース20の外面に沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において互いに異なる位置に第1通気口201及び第2通気口212が形成されている。このため、送風ファン100により、ケース20、ひいては回路基板60を効率よく冷却することができる。
特に本実施形態では、第1通気口201が吸込口、第2通気口212が排出口とされる。これによれば、第2通気口212が吸込口、第1通気口201が排出口とされる構成に較べて、同じ回転数でも、ケース20の外面上の流速を高めることができる。すなわち、ケース20、ひいては回路基板60の温度を低くすることができる。この点については、シミュレーションにより確認されている。
上記したように、ケースの底壁に貫通孔を設けない構成では、冷却装置にコネクタを設け、防水筐体の外で電気的な接続を行うこととなる。このため、ケースの外面上に、コネクタに接続されたハーネスが配置されることとなり、冷却の妨げとなる。すなわち、電子部品である発熱素子の配置も制限される。これに対し、本実施形態では、送風ファン100の端子140が回路基板60に接続されている。したがって、上記したコネクタやハーネスの妨げが無いため、回路素子61の配置自由度を向上することができる。
このように、コネクタやハーネスの妨げが無いため、本実施形態では、ハウジング200の4つの側壁210のすべてに、第2通気口212が形成されている。これにより、第1通気口201から吸入した空気が、ケース20の外面上を四方に広がる。したがって、ケース20を効果的に冷却することができる。また、電子制御装置10は、防水シール部51を有しているため、送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続しつつ、防水筐体の防水性を確保することができる。
なお、本実施形態では、シール部材50として、硬化前において液状の接着材を採用している。しかしながら、シール部材50は、これに限定されず、弾性変形によってファン取付開口部25の周りを水密に封止する部材であっても採用できる。このシール部材50は、Oリングや環状のゴムシートなどであり、ファン取付開口部25を囲う位置に設けられ、ハウジング200とケース20とで挟み込まれて弾性変形することで、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する。この場合、電子制御装置10は、ケース20に対して送風ファン100を固定する固定機構を備えることが好ましい。また、この点は、他の実施形態でも同様である。
なお、本実施形態では、走行駆動源としてエンジンを搭載した車両に搭載された電子制御装置10を採用した。しかしながら、本開示は、これに限定されない。電子制御装置10は、走行駆動源としてエンジンと走行用モータを搭載した車両(ハイブリッド車)に搭載されていてもよい。さらに、電子制御装置10は、走行駆動源としてエンジンを搭載しておらず、走行用モータを搭載した車両(電気自動車)に搭載されていてもよい。
また、本実施形態では、ケース20に送風ファン100が取り付けられた電子制御装置10を採用した。しかしながら、本開示は、これに限定されず、送風ファン100がケース20やカバー30と別体に設けられていてもよい。
本実施形態では、送風ファン100にファン用回路基板130が設けられている例を採用した。しかしながら、本開示は、これに限定されず、ファン用回路基板130が回路基板60に設けられていてもよい。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、変形例1、2に関して説明する。上記実施形態及び変形例1、2は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(変形例1)
図6を用いて、電子制御装置10の変形例1に関して説明する。本変形例の電子制御装置10は、上記実施形態の電子制御装置10と同様の個所が多いため、便宜的に上記実施形態と同じ符号を用いる。
図6は、電子制御装置10における演算部71の処理動作を示している。演算部71は、電源が供給されて起動すると、診断部71cが図6のフローチャートをスタートする。
診断部71cは、起動直後の第2温度信号T21を取得する(信頼性判定部、S30)。その後、診断部71cは、起動してから所定時間が経過したか否かを判定し、起動してから所定時間後の第2温度信号T22を取得する(信頼性判定部、S31、S32)。第2温度信号T21は、起動直後の第2温度検出部71aの検出結果である。一方、第2温度信号T22は、起動してから所定時間が経過したときの第2温度検出部71aの検出結果である。このように、第2温度信号T21と第2温度信号T22は、異なるタイミングにおける第2温度検出部71aの検出結果である。
なお、演算部71は、起動すると初期化処理を行ない、初期化処理が終了すると、制御対象の制御が可能な状態となる。制御対象の制御が可能な状態は、通常状態と言うこともできる。よって、演算部17の起動直後とは、起動してから初期化処理が終了するまでの期間であればよく、好ましくは初期化処理中の早いタイミングである。また、所定時間は、初期化処理に要する時間と同等か、この時間にマージンを持たせた時間である。つまり、診断部71cは、初期化処理中に第2温度信号T21を取得して、通常状態時に第2温度信号T22を取得する。
次に、診断部71cは、第2温度信号T21、T22の比較値を算出する(信頼性判定部、S33)。つまり、診断部71cは、比較値として、起動直後の第2温度信号T21と、所定時間後の第2温度信号T22との差を算出する。そして、診断部71cは、比較値が所定温度以上であるか否かを判定する(信頼性判定部、S34)。
診断部71cは、比較値が所定温度以上と判定しなかった場合、第2温度検出部71aが異常であると判定する(信頼性判定部、S35)。そして、診断部71cは、第2温度検出部71aが異常であるため、ステップS23、S24の判定結果が正しくない可能性があると判定する。つまり、診断部71cは、ステップS23、S24の判定結果は信頼性が低いとみなす。
一方、診断部71cは、比較値が所定温度以上と判定した場合、第2温度検出部71aが異常であると判定しない(信頼性判定部、S36)。そして、診断部71cは、第2温度検出部71aが異常でないため、ステップS23、S24の判定結果が正しいと判定する。つまり、診断部71cは、ステップS23、S24の判定結果は信頼性が高いとみなす。
このように、診断部71cは、ステップS23、S24の判定結果の信頼性を判定する。そして、診断部71cは、演算部71の起動直後の第2温度信号T21と、起動から所定時間が経過した後の第2温度検信号T22を取得し、両温度検出信号T21、T22が所定の対応関係にない場合に、第2温度検出部71aが異常であると判定する。通常、演算部71は、制御のために演算処理を行うことで、起動直後よりも温度が上昇する。よって、ここでの所定温度は、第2温度検出部71aが正常である場合に取りうる、第2温度信号T21、T22の温度差、または、この温度差にマージンを持たせた温度である。この所定温度は、実機を用いた実験や、シミュレーションなどによって設定することができる。
ステップS37では、ドライバへの通知を行う。診断部71cは、報知部430を介して、温度検出部が異常であるか否かの判定結果が正しくない旨をドライバへ通知する。
なお、ステップS37では、エンジン420の駆動出力を制限するために制限指示信号を送信してもよい。診断部71cは、上記実施形態と同様に、エンジン制御部71dに制限指示信号を送信する。そして、エンジン制御部71dは、制限指示信号を取得すると、上記のように、エンジン420の駆動出力を制限する出力制限制御を行うことで制御部70の出力を抑制させる。
また、本変形例では、一例として、エンジン420の駆動出力を制限することで、制御部70の出力を抑制させる例を採用した。しかしながら、本実施形態は、これに限定されず、エンジン420のトルク制限制御を行うことや、報知制御を行うことで、制御部70の出力を抑制してもよい。
本変形例の電子制御装置10は、上記実施形態の電子制御装置10と同様の効果を奏することができる。さらに、本変形例の電子制御装置10は、ステップS23、S24の判定結果が正しか否かを判定することができる。
また、演算部71は、電源が供給された状態で、車両が停止状態から走行を開始すると、診断部71cが図6のフローチャートをスタートしてもよい。この場合、診断部71cは、走行を開始した直後の第2温度検出部71aの検出結果と、走行を開始して所定時間経過したときの第2温度検出部71aの検出結果との比較値を用いて、第2温度検出部71aの異常診断を行う。
(変形例2)
図7を用いて、電子制御装置10の変形例2に関して説明する。本変形例の電子制御装置10は、変形例1と同様の個所が多いため、便宜的に上記実施形態と同じ符号を用いる。また、図7における図6と同じステップ番号は、図6を参照して適用することができる。
図7は、電子制御装置10における演算部71の処理動作を示している。演算部71は、電源が供給されて起動すると、診断部71cが図7のフローチャートをスタートする。
診断部71cは、起動直後の第1温度信号T11を取得する(実施判定部、S40)。つまり、診断部71cは、起動直後の第1温度検出部74の検出結果を取得する。その後、診断部71cは、第1温度信号T11が所定温度以下であるか否かを判定する(実施判定部、S41)。
そして、診断部71cは、第1温度信号T11が所定温度以下であると判定した場合はステップS30へ進む。つまり、診断部71cは、第1温度信号T11が所定温度よりも低い場合、ステップS30以降の処理、すなわち第2温度検出部71aの異常診断を実施すると判定する。言い換えると、診断部71cは、第1温度信号T11が所定温度よりも低い場合、信頼性の判定を行う。
一方、診断部71cは、第1温度信号T11が所定温度以下であると判定しなかった場合は図7のフローチャートを終了する。つまり、診断部71cは、第1温度信号T11が所定温度よりも高い場合、ステップS30以降の処理を実施しないと判定する。言い換えると、診断部71cは、第1温度信号T11が所定温度よりも高い場合、信頼性の判定を行わない。
なお、ここでの所定温度は、演算部71が制御を開始した直後の場合と、制御対象の制御を所定の時間以上継続して行っている場合とで、第2温度検出部71aの検出結果に差が生じない程度の温度であり、比較的高温である。この所定温度は、実機を用いた実験や、シミュレーションなどによって設定することができる。
本変形例の電子制御装置10は、変形例1の電子制御装置10と同様の効果を奏することができる。さらに、本変形例の電子制御装置10は、起動直後の第1温度信号T11が所定温度以下でない場合、すなわち、起動直後の第1温度信号T11が比較的高温の場合、第2温度検出部71aの温度変化は微小となる。このような状況で、第2温度信号T21、T22の差に基づいて、第2温度検出部71aの異常診断を行うと誤判定する可能性がある。しかしながら、本変形例の電子制御装置10は、起動直後の第1温度信号T11が所定温度以下でない場合、第2温度検出部71aの異常診断を行わないため、第2温度検出部71aの異常診断における誤判定を抑制できる。