JP2001130432A - 車両の電動パワーステアリング装置 - Google Patents

車両の電動パワーステアリング装置

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JP2001130432A
JP2001130432A JP31228599A JP31228599A JP2001130432A JP 2001130432 A JP2001130432 A JP 2001130432A JP 31228599 A JP31228599 A JP 31228599A JP 31228599 A JP31228599 A JP 31228599A JP 2001130432 A JP2001130432 A JP 2001130432A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度センサ(基板温度センサ)の異常を精度
良く判定し得る電動パワーステアリング装置を提供する
こと。 【解決手段】 本発明の電動パワーステアリング装置に
おいては、電動モータ30に流される電流の電流値に基
づいて、発熱する部分の温度を推定し、この推定温度
(過渡温度値TTR)が所定の時点における温度から第1
所定温度(8℃)以上変化したか否かが判定される。そ
して、この温度条件が成立した場合であって、基板温度
センサ23による検出温度TMPBORDが、前記所定の時点
の検出温度(TMPBORD REF)から第2所定温度(2.5
℃)以上変化しない異常を示す条件が成立したとき同基
板温度センサが異常であると判定する。これにより、基
板温度センサが検出可能な温度範囲内の温度を示してい
るが、一定温度を示したままとなる異常状態となったこ
とを確実に検出することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操舵ハンドルの回
動操作に対してアシスト力を付与する電動モータを備え
た車両の電動パワーステアリング装置に係り、特に、電
流により発熱する電動モータや電気制御回路を保護等す
るために同発熱する部分の温度を検出する温度検出手段
を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の電動パワーステアリング装置
は、例えば特開平7−112666号公報に開示されて
いるように、電動モータの温度をサーミスタ等からなる
温度検出手段により検出し、この温度検出手段の検出温
度に基づいて前記電動モータの電流を制限するようにな
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術においては、温度検出手段の異常を検出してい
ないため、同温度検出手段が異常となった場合に適正な
電流制限がなされないという問題がある。この場合、温
度検出手段は所定の温度範囲内の温度を検出するように
構成されていることが一般的であるので、検出温度がそ
の所定温度範囲内にない場合には異常と判定するように
構成することもできる。しかし、温度検出手段が所定温
度範囲内の温度を示しながら変化しないような異常状態
となると、そのような方法では異常を検出できないとい
う問題がある。
【0004】
【本発明の概要】本発明は、上記課題に対処すべくなさ
れたものであり、その特徴は、車両の運転状態に応じた
電流が流されて操舵ハンドルの回動操作に対するアシス
ト力を発生する電動モータを備えた車両の電動パワース
テアリング装置において、前記電流により発熱する部分
の温度を検出する温度検出手段と、前記電動モータに流
される電流の電流値に基づいて求められる前記発熱する
部分の推定温度に応じた値が所定値以上変化したか否か
を判定する温度条件判定手段と、前記発熱する部分の推
定温度に応じた値が前記所定値以上変化したと判定され
た場合に前記温度検出手段による検出温度が所定温度以
上変化していないとき、前記温度検出手段が異常である
と判定する異常判定手段とを備えたことにある。
【0005】これによれば、先ず、電動モータに流され
る電流の電流値に基づいて求められる発熱する部分の推
定温度に応じた値が所定値以上変化したか否かが判定さ
れる。そして、この温度条件が成立した場合であって、
温度検出手段による検出温度が所定温度以上変化してい
ないとき、温度検出手段が異常であると判定される。従
って、温度検出手段の検出する温度が変化しない状態と
なったことを確実に検出し、そのような場合に同温度検
出手段が異常であると判定することが可能となる。な
お、上記発熱する部分とは、電動モータに流される電流
により温度が変化する部分と実質的に同義である。
【0006】この場合において、前記温度条件判定手段
は、前記電動モータの電流値に応じた値を時間の経過に
従って積算し、この積算値に基づいて前記発熱する部分
の推定温度に応じた値を求めるように構成されることが
好適であり、前記電動モータの電流値に応じた値とは、
同電流値そのものの値のほか、同電流値を2乗した値、
或いは同電流値を3乗した値等が選択され得る。
【0007】これによれば、電動モータの電流値に応じ
た値を時間の経過に従って積算した積算値が発熱部分の
温度に強い相関を有するので、前記温度検出手段の異常
を判定するための温度条件が成立したか否かを精度よく
判定することが可能となる。
【0008】また、この場合において、前記異常判定手
段は、前記温度検出手段が同温度検出手段の検出するこ
とができる最高温度以下の所定の高温度以下の温度を検
出している場合、又は同温度検出手段の検出することが
できる最低温度以上の所定の低温度以上の温度を検出し
ている場合に、前記温度検出手段の異常判定を行うよう
に構成されることが好適である。
【0009】一般には、温度検出手段は温度変化に対し
非線形な出力特性を有するので、精度よく検出する必要
がある温度領域内における出力特性ができるだけ線形性
を有するように設計・調整される。このため、所定の高
温度以上又は所定の低温度以下においては、温度検出手
段は、温度の検出は可能ではあるものの実際の温度変化
に対する出力変化が小さく、こうした領域で温度検出手
段の異常判定を行うと、誤判定を引き起こすおそれがあ
る。従って、上記のように、所定の高温度以下の温度を
検出している場合又は所定の低温度以上の温度を検出し
ている場合に前記温度検出手段の異常を判定することと
すれば、誤判定の可能性を低減することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参照しつつ説明すると、図1は本発明による電
動パワーステアリング装置の概略をブロック図により示
していて、この電動パワーステアリング装置は、電気制
御回路10と同電気制御回路10と接続された駆動回路
20とを含んで構成される電気制御ユニット(以下「E
CU」と称する。)25と、駆動回路20により通電制
御される直流電動モータ30とを備えている。
【0011】電動モータ30は、操舵ハンドル(ステア
リングホイール)31の回動操作による前輪の操舵に対
してアシスト力を付与するもので、減速機構32を介し
て操舵軸33にトルク伝達可能に取付けられていて、そ
の回転に応じてラックバー34を軸線方向に駆動し、同
ラックバー34にタイロッドを介して連結されている前
輪を操舵する。前記操舵軸33には操舵トルクセンサ3
5が組みつけられていて、同操舵トルクセンサ35は操
舵軸33に作用する操舵トルクTMを検出して同トルクを
表す操舵トルク信号を出力する。
【0012】次に、図1に示した電動パワーステアリン
グ装置の電気回路の詳細について図2を参照しつつ説明
すると、電気制御回路10は、マイクロコンピュータ
(CPU)11と、入力インターフェース12と、出力
インターフェース13と、EEPROM14(Electric
al Erasable PROM)とから構成されていて、CPU11
は、後述するプログラム及びマップ等を記憶したメモリ
11aを内蔵している。
【0013】入力インターフェース12は、バスを介し
てCPU11に接続されるとともに、前述した操舵トル
クセンサ35、車速Vを検出する車速センサ41、エン
ジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサ42、
及び駆動回路20のプリント基板上に配設され同プリン
ト基板の温度TMPBORDを検出するための基板温度センサ
23と接続され、CPU11に対し各センサの検出信号
を供給するようになっている。
【0014】上記基板温度センサ23は、遷移金属の酸
化物等から構成された電気抵抗値が温度によって変化す
るサーミスタであって、縦軸を対数とした図17に示し
たように、その出力特性が非線形となっている。この基
板温度センサ23は、略−50〜250℃で温度検出が
可能であるが、駆動回路20が通常の状態において取り
得る−20〜160℃の温度領域内で、単位温度あたり
の抵抗値変化が大きくなるように調整されている。な
お、CPU11は、この基板温度センサ23の電気抵抗
値を検出することにより、プリント基板の温度TMPBORD
を取得するようになっている。
【0015】出力インターフェース13は、バスを介し
てCPU11に接続されるとともに、駆動回路20、及
び常開(ノーマリー・オープン)型のリレー21に接続
されていて、CPU11からの指令に基づきこれらの導
通状態を変更する信号を送出するようになっている。ま
た、EEPROM14は、車両バッテリ50からの電源
の供給を受けない状態においてもデータを記憶・保持す
る記憶手段であり、バスを介してCPU11と接続され
ていて、同CPU11から供給されるデータを保持する
とともに、CPU11の要求に応じて保持しているデー
タを同CPU11に供給するようになっている。
【0016】駆動回路20は、ゲートが出力インターフ
ェース13にそれぞれ接続されたMOSFETからなる
4個のスイッチング素子Tr1〜Tr4と、2つの抵抗
20a,20bと、前述した基板温度センサ23とを備
えている。抵抗20aの一端は、車両に搭載されたバッ
テリ50の電源ラインLに上流側端子が接続された前記
リレー21の下流側端子に接続されていて、同抵抗20
aの他端はスイッチング素子Tr1,Tr2の各ソース
に接続されている。スイッチング素子Tr1,Tr2の
ドレインは、スイッチング素子Tr3,Tr4のソース
にそれぞれ接続され、同スイッチング素子Tr3,Tr
4のドレインは抵抗20bを介して接地されている。ま
た、スイッチング素子Tr1とTr3との間は電動モー
タ30の一側に接続され、スイッチング素子Tr2とT
r4との間は電動モータ30の他側に接続されている。
なお、電動モータ30の両端、及び抵抗20bとスイッ
チング素子Tr3,Tr4との間は入力インターフェー
ス12に接続されていて、これによりCPU11が電動
モータ30のモータ端子間電圧Vtとモータ電流値IMOT
Rとを入力し得るようになっている。
【0017】以上の構成により、駆動回路20(即ち、
電動モータ30)はリレー21がオン(閉成)したときに
バッテリ50から電源の供給を受け得る状態となり、ス
イッチング素子Tr1,Tr4が選択的に導通状態(オ
ン状態)とされたとき、電動モータ30に所定の方向の
電流が流れて同モータ30は右回転し、スイッチング素
子Tr2,Tr3が選択的に導通状態とされたとき、電
動モータ30に前記所定の方向と反対方向の電流が流れ
て同モータ30は左回転する。また、リレー21がオフ
(開成)したときには電動モータ30の電源供給経路が
遮断され、同モータ30への通電は停止する。
【0018】前記バッテリ50の電源ラインLには、運
転者によりオン(閉成)状態又はオフ(開成)状態に切
換えられるイグニッションスイッチ(I/Gスイッチ)
22の一端が接続されている。イグニッションスイッチ
22の他端はダイオードD1を介してCPU11、入力
インターフェース12、出力インターフェース13、E
EPROM14、及び操舵トルクセンサ35に接続され
ていて、イグニッションスイッチ22がオン状態とされ
たとき、それぞれに電源が供給されるようになってい
る。また、ダイオードD1の下流は、リレー21の下流
側から前記ダイオードD1の下流側へ向う電流のみを許
容するダイオードD2を介して前記リレー21の下流側
端子と接続されていて、リレー21がオン状態とされた
ときは、イグニッションスイッチ22の状態にかかわら
ず、CPU11、入力インターフェース12、出力イン
ターフェース13、EEPROM14、及び操舵トルク
センサ35にリレー21を介して電源が供給されるよう
になっている。なお、EEPROM14は、電源供給を
受ける状態においてデータ書き込み及び読出しが可能と
なり、電源供給を受けない状態においてデータを保持す
るように構成されている。
【0019】次に、上記のように構成した電動パワース
テアリング装置の作動について、図3〜図16を参照し
て説明する。図3,図4及び図7〜図16は、CPU1
1が実行するプログラム(ルーチン)をフローチャート
にて示したものであり、図3のルーチンはイグニッショ
ンスイッチ22がオフ状態からオン状態へと変更された
ときに、図4及び図7〜図15は所定時間の経過毎に、
図16はイグニッションスイッチ22がオン状態からオ
フ状態に変更されたときに、それぞれ実行されるもので
ある。
【0020】先ず、運転者が、車両の運転を開始するた
めにイグニッションスイッチ22をオフ状態からオン状
態へと変更すると、CPU11は図3に示したイグニッ
ションスイッチオン時制御のルーチンをステップ300
から開始してステップ305に進み、同ステップ305
にてEEPROM14が記憶・保持しているモータ電流
2乗積算記憶値SQIMSUMAにモータ電流制限判定値の最大
値ITH0 の1/4を乗じた値をモータ電流2乗積算値SQI
MSUMの初期値として設定する。なお、モータ電流制限判
定値の最大値ITH0とモータ電流2乗積算記憶値SQIMSUMA
については後述する。
【0021】次いで、CPU11はステップ310に
て、EEPROM14が記憶・保持しているフラグFTMB
に相当する値を同EEPROM14内の所定のアドレス
から読出し、その値を同フラグFTMBに設定する。このフ
ラグFTMBは、その値「1」により基板温度センサ23が
異常と判定された状態にあることを示し、その値「0」
により同基板温度センサ23が正常と判定された状態に
あることを示すものであり、後述するルーチンにより値
が変更される。次に、CPU11は、ステップ315に
進んで過渡温度値TTRを0℃に設定する。この過渡温度
値TTRは、後述する基板温度センサ23の異常判定を行
う条件が成立したか否かの判定に使用されるものであ
る。その後、CPU11は、ステップ320にてリレー
21をオン状態に変更し、ステップ395に進んで、本
ルーチンを終了する。
【0022】その後、CPU11は所定のタイミングに
て図4に示したメインルーチンの処理をステップ400
から開始し、ステップ410に進んで基本目標電流値TK
IHONの演算を行う。この演算は、操舵トルクセンサ35
のからの操舵トルクTMと、車速センサ41からの車速V
と、メモリ11aに記憶されている図5に示した基本目
標電流マップ(テーブル)とに基づいて、その時点の基
本目標電流値TKIHONを求めるものである。なお、基本目
標電流マップは車速別(この場合、低車速、中車速、高
車速)に区分されていて、CPU11は、実際の車速V
に最も近い車速及び次に近い車速に対応した2つの基本
目標電流マップ(車速Vと基本目標電流TKIHONとの関係
線)から、それぞれ基本目標電流値TKIHONを求め、それ
らを車速Vに関して補間計算して最終的な基本目標電流
値TKIHONを決定する。
【0023】次いで、CPU11は図4のステップ42
0に進み、モータの慣性感等を低減して操舵フィーリン
グを向上するための慣性補償電流値TKANの演算を行う。
具体的には、操舵トルクセンサ35からの操舵トルクTM
の時間微分値を求め、図6(A)に示したマップと同操
舵トルクTMの時間微分値(dTM/dt)とから、同操舵ト
ルクTMの時間微分値dTM/dtが大きいほど大きくなる慣
性補償電流基本値TKANBを求めるとともに、図5(B)
に示したマップと実際の車速Vとからゲインk1を求め、
これらの積(=k1・TKANB)を最終的な慣性補償電流値T
KANとする。
【0024】次いで、CPU11は図4のステップ43
0に進み、操舵ハンドル31の戻り性能(中立点への復
帰性能)を向上するため、及び操舵に伴う機械系の摩擦
を補償するたのハンドル戻し制御電流値TMODの演算を行
う。具体的には、図7に詳細なフローチャートを示した
ように、CPU11はステップ710にて電動モータ3
0の端子間電圧Vt、同電動モータ30の電流値IMOT
R、及び電圧方程式(K・ω=Vt−R・IMOTR、ここで
Kは定数,Rは電動モータ30の端子間の抵抗値)とか
ら、電動モータ30の回転角速度ωを求め、これに所定
の定数を乗じて操舵角速度推定値STRVを求める。
【0025】次に、CPU11はステップ720にて操
舵角速度推定値STRVと同ステップ720中に示したマッ
プからハンドル戻し制御電流基本値TMODBを求め、ステ
ップ730にて操舵角速度推定値STRVと同ステップ73
0中に示したマップから摩擦補償電流基本値TMASABを求
め、続くステップ740にて車速Vと同ステップ740
中に示したマップからゲインk2を求める。
【0026】次いで、CPU11はステップ750にて
フラグFMODの値が「1」か否かを判定する。このフラグ
FMODは、その値「1」にて操舵ハンドル31が戻し状態
にあることを示すものであり、操舵トルクTMが正の値で
あり且つ操舵角速度推定値STRVが負の値である状態が所
定時間以上継続した場合に「1」に設定され、この場合
には操舵角速度推定値STRVが正の値となったときに
「0」に設定される。同様に、フラグFMODは、操舵トル
クTMが負の値であり且つ操舵角速度推定値STRVが正の値
である状態が所定時間以上継続した場合に「1」に設定
され、この場合には操舵角速度推定値STRVが負の値とな
ったときに「0」に設定される。
【0027】そして、CPU11はフラグFMODの値が
「1」の場合には、ステップ760にてハンドル戻し制
御電流基本値TMODBにゲインk2を乗じた値を今回のハン
ドル戻し制御電流値TMODXに設定し、FMODの値が「0」
の場合には、ステップ770にて摩擦補償電流基本値TM
ASABにゲインk2を乗じた値を今回のハンドル戻し制御電
流値TMODXに設定する。次いでCPU11は、ハンドル
戻し制御電流値TMODの急変を防止するために、ステップ
780に示した計算式(ここで、knm1は0〜1の定数)
を用いてハンドル戻し制御電流値TMODをなまし、最終的
なハンドル戻し制御電流値TMODを演算する。
【0028】次いで、CPU11は図4のステップ44
0に進み、高車速でのハンドル操舵の収斂性、及び運転
者が操舵ハンドル31を所定の角度に操舵している状態
から更に角度を増大する(切り込む)際の手応え感等の
向上を図るためのダンピング制御電流値TDAMPの演算を
行う。具体的には、図8に詳細なフローチャートを示し
たように、CPU11はステップ810にて操舵トルク
TMの絶対値が所定の閾値THDより小さいか否かを判定
し、小さい場合(「Yes」と判定される場合)にはス
テップ820に進んで操舵角速度推定値STRVと、同ステ
ップ820中に示したマップとからダンピング制御電流
基本値TDAMPBを演算する。
【0029】次に、CPU11はステップ830へと進
み、車速Vと同ステップ830に示したマップとからゲ
インk3を求め、ステップ840にて今回のダンピング制
御電流値TDAMPXをダンピング制御電流基本値TDAMPBとゲ
インk3の積値とする。一方、前記ステップ810にて
「No」と判定される場合には、ステップ850にて、
今回のダンピング制御電流値TDAMPXを「0」に設定す
る。そして、CPU11はステップ860にてダンピン
グ制御電流値TDAMPの急変を防止するために、ステップ
860に示した計算式(ここで、knm2は0〜1の定数)
を用いてダンピング制御電流値TDAMPをなまし、最終的
なダンピング制御電流値TDAMPを演算する。
【0030】なお、上記ステップ810にて操舵トルク
TMの絶対値が所定の閾値THDより大きい場合に、ステッ
プ850にてダンピング制御電流値TDAMPXを「0」に設
定するのは、ダンピング制御値自体は操舵に対して反力
を付与して操舵フィーリングを向上しようとするもので
あるが、真に操舵ハンドル31をすばやく且つ大きく操
舵する必要がある場合には、同ダンピング制御値を小さ
くしてその操舵を優先させるようにする必要があるため
である。
【0031】次いで、CPU11は図4のステップ45
0に進み、ECU25(駆動回路20)内のスイッチン
グ素子Tr1〜Tr4の過熱保護のためのECU側電流
制限値ILECUを演算する。具体的には、図9に詳細なフ
ローチャートを示したように、CPU11はステップ9
10にて電動モータ30の電流値IMOTRを擬似的に積分
した第1電動モータ電流積分値ISUM1を求める。即ち、
電動モータ30の電流値IMOTRと0〜1までの所定のな
まし係数ke1とを用い、同ステップ910に示した計算
式にしたがって求めた値を第1電動モータ電流積分値IS
UM1とする。
【0032】同様に、続くステップ920にて電動モー
タ30の電流値IMOTRを擬似的に積分した第2電動モー
タ電流積分値ISUM2を、電流値IMOTRと0〜1までの値で
あってなまし係数ke1より大きな係数ke2とを用い、同ス
テップ920に示した計算式にしたがって求める。そし
て、ステップ930にて、第1電動モータ電流積分値IS
UM1と第2電動モータ電流積分値ISUM2の和を求め、その
和を電動モータ電流積分値ISUMとする。なお、なまし係
数ke1はなまし係数ke2より小さいので、第1電動モータ
電流積分値ISUM1は主としてモータ電流値の定常的な変
動を反映した値となり、一方、なまし係数ke2はなまし
係数ke1より大きいので、第2電動モータ電流積分値ISU
M2は主としてモータ電流値の過渡的な変化を反映した値
となる。従って、これらの和である電動モータ電流積分
値ISUMは、実際に電動モータ30に流れるモータ電流値
の積分値によく近似した値となる。
【0033】次いで、CPU11はステップ940へと
進み、所定の係数ke3と、電動モータ電流積分値ISUM
と、基板温度センサ23が検出する基板温度TMPBORDと
を用いて同ステップ940に示した計算式(TMPECU=ke
3・ISUM+TMPBORD)にしたがった演算を行い、スイッチ
ング素子Tr1〜Tr4の推定温度TMPECUを求める。こ
こで、基板温度TMPBORDはECU25(駆動回路20)
の雰囲気温度と良く相関する値であり、また、電動モー
タ電流積分値ISUMはスイッチング素子Tr1〜Tr4の
発熱による温度上昇分と良く相関する値である。従っ
て、上記のように基板温度TMPBORDに電動モータ電流積
分値ISUMを定数倍した値を加えたスイッチング素子推定
温度TMPECUは、実際のスイッチング素子Tr1〜Tr4
(MOSジャンクション)の温度を精度良く表す値とな
る。
【0034】その後、CPU11は、ステップ950に
て、スイッチング素子推定温度TMPECUと同ステップ95
0に示したマップとから、ECU側電流制限値ILECUを決定
する。これにより、ECU側電流制限値ILECUはスイッチン
グ素子推定温度TMPECUが高いほど小さくなる値となり、
電動モータ30の電流値をより小さい値に制限するもの
となる。
【0035】次いで、CPU11は、図4のステップ4
60に進み、電動モータ30の過熱保護のためのモータ
側電流制限値ILMOTRを演算する。具体的には、図10に
詳細なフローチャートを示したように、CPU11はス
テップ1005にて操舵角速度推定値STRVの絶対値が所
定の操舵角速度(閾値)THSTRVより大きいか否かを判定
する。これは、操舵中であるか保舵中(操舵ハンドル3
1を所定角度だけ回動した状態に保つ状態)であるかを
区別するためである。
【0036】そして、CPU11はステップ1005に
て「Yes」(操舵中)と判定するとステップ1010
に進んで熱収支バランス電流THSQIMに第1の所定値(4
0A)を設定し、ステップ1005にて「No」(保舵
中)と判定するとステップ1015にて熱収支バランス
電流THSQIMに前記第1の所定値より小さい第2の所定値
(20A)を設定し、ステップ1020にて電動モータ
30のモータ電流値IMOTRから熱収支バランス電流THSQI
Mを減算した値を熱収支バランス化後電流(単に、バラ
ンス化後電流ともいう。)IMBARAとして設定する。上記
熱収支バランス電流THSQIMの大きさは、操舵中と保舵中
のそれぞれの状態において電動モータ30に常時通電し
たときに、電動モータ30が過熱状態ではない所定の温
度にて温度的に平衡状態に達する電流値であり、予め実
験的に求められている。
【0037】次いで、CPU11はステップ1025に
進んで熱収支バランス化後電流IMBARAが「0」以上か否
かを判定し、熱収支バランス化後電流IMBARAが「0」以
上の場合にはステップ1030に進み、同ステップ10
30にて熱収支バランス化後電流IMBARAを2乗した値に
所定の正の係数kupを乗じた値をその時点の(既に求め
られている)モータ電流2乗積算値SQIMSUMに加え、そ
の結果を新たなモータ電流2乗積算値SQIMSUMとし、ス
テップ1035にてオーバーフローガードをかけてステ
ップ1040へと進む。一方、ステップ1025にて熱
収支バランス化後電流IMBARAが「0」より小さい場合に
はステップ1045に進み、熱収支バランス化後電流IM
BARAを2乗した値に所定の正の係数kdwnを乗じた値をそ
の時点の(既に求められている)モータ電流2乗積算値
SQIMSUMから減算し、その結果を新たなモータ電流2乗
積算値SQIMSUMとし、ステップ1050にて「0」以下
とならないようにガードをかける。このようにして得ら
れるモータ電流2乗積算値SQIMSUMは、電動モータ30
の過熱状態(温度)を表すものである。
【0038】次に、CPU11はステップ1040にて
基板温度 TMPBORDの増大にしたがって低下するモータ電
流制限判定値ITHを、実際の基板温度TMPBORDとステップ
1040に示したマップから決定する。なお、基板温度
TMPBORDが小さいとき、モータ電流制限判定値ITHは最大
値ITH0となる。次いで、CPU11はステップ1055
にてモータ電流2乗積算値SQIMSUMがモータ電流制限判
定値ITH以上か否かを判定し、判定結果が「Yes」で
ある場合にはステップ1060にてその時点のモータ側
電流制限値ILMOTRから正の所定値αを減算した値を新た
なモータ側電流制限値ILMOTRとし、一方ステップ105
5の判定結果が「No」である場合にはステップ106
5にてその時点のモータ側電流制限値ILMOTRに正の所定
値βを加えた値を新たなモータ側電流制限値ILMOTRとす
る。その後、CPU11はステップ1070にてモータ
側電流制限値ILMOTRを所定の上下限値(上限値Imax,下
限値Imin)でガードし、以上によりモータ側電流制限値
ILMOTRが決定される。
【0039】この図10に示したルーチンのステップ1
005から1015において、保舵中の熱収支バランス
電流THSQIMの値(20A)が操舵中の熱収支バランス電
流THSQIMの値(40A)よりも小さくなるように設定し
ているのは、保舵中にあっては電動モータ30の回転角
度の変化が小さいので、同モータ30のブラシ部等が過
熱状態となり易いことによる。即ち、保舵中において
は、熱収支バランス電流THSQIMの値(20A)を操舵中
のそれ(40A)よりも小さい値とし、これにより熱収
支バランス化後電流IMBARAを大きくさせてモータ電流2
乗積算値SQIMSUMを増大し易くさせ、以ってモータ側電
流制限値ILMOTRを小さくし易くして、電動モータ30の
過熱を有効に防止する。また、これにより、所謂据え切
り運転状態のような連続操舵状態において、モータ側電
流制限値ILMOTRが必要以上に小さくなることを防止でき
るので、同状態における操舵アシスト力が過小となるこ
とを防止することができる。
【0040】また、上記熱収支バランス電流THSQIMは、
その大きさの電流を電動モータ30に通電し続けても同
電動モータ30が過熱温度以下の温度(例えば150
℃)で温度的に平衡状態となると考えられる値に選択さ
れているので、ステップ1020にて実際のモータ電流
値IMOTRから熱収支バランス電流THSQIMを減算して求め
られる熱収支バランス化後電流IMBARAは、電動モータ3
0の放熱特性が加味された値となり、電動モータ30自
体の通電による平衡温度からの温度変化分に強い相関を
有する値となる。
【0041】また、ステップ1030,1045におい
ては、そのときのモータ電流2乗積算値SQIMSUMに熱収
支バランス化後電流IMBARAを2乗した値に係数kupを乗
じた値を加算し、又はそのときのモータ電流2乗積算値
SQIMSUMから熱収支バランス化後電流IMBARAを2乗した
値に係数kdwn(kupと異なる)を乗じた値を減算するこ
ととしている。これは、一つには、バランス化後電流値
IMBARAを2乗した2乗電流値は、平衡温度からの温度上
昇又は温度下降の程度をよく表した値となるため、これ
に基づいてモータ電流2乗積算値SQIMSUMを更新すれ
ば、同モータ電流2乗積算値SQIMSUMが電動モータの過
熱状態を精度良く表す値となるからである。また、係数
kupとkdwnとを異なる値とすることにより、モータ電流
2乗積算値SQIMSUMを、装置(電動モータ30)の温度
上昇特性と温度下降特性に一層適合しながら変化する値
とすることができるからである。なお、ステップ103
0,1045は、熱収支バランス化後電流IMBARAの2乗
値を実質的に時間積分するステップとすることもでき
る。
【0042】また、ステップ1040でモータ電流制限
判定値ITHを基板温度 TMPBORDの増大にしたがって低下
する値とし、モータ電流2乗積算値SQIMSUMがモータ電
流制限判定値ITHよりも大きいときステップ1060に
てモータ側電流制限値ILMOTRを小さくすることとしたの
は、基板温度TMPBORDが高いときはモータの過熱が発生
しやすいことから、モータ側電流制限値ILMOTRを早めに
低下させる必要があるからである。
【0043】また、上記ステップ1070では、モータ
側電流制限値ILMOTRが許容値(下限値)Iminよりも小さ
くならないようにガードをかけるが、この許容値Iminは
保舵時の熱収支バランス電流THSQIM(20A)と同一に
しておくことが好適である。このようにすれば、電動モ
ータ31は過熱することはなく、また、アシスト力を少
しでも発生させることができるからである。
【0044】上記モータ側電流制限値ILMOTRの演算後、
CPU11は図4のステップ470に進み、図11に詳
細に示した電流制限値ILTEMP演算ルーチンを実行する。
具体的には、ステップ1105にてモータ電流2乗積算
値SQIMSUMの増大に伴って負の値から正の値へと増大す
る電流制限加減値ILFGを、モータ電流2乗積算値SQIMSU
Mと同ステップ1105に示したマップから求め、ステ
ップ1110にてフラグFTMBの値が「1」であるか否か
を判定する。前述したように、このフラグFTMBは、その
値「1」により基板温度センサ23が異常と判定された
状態にあることを示し、その値「0」により同基板温度
センサ23が正常と判定された状態にあることを示すも
のであり、後述するルーチンにより値が変更される。
【0045】そして、CPU11は、フラグFTMBの値が
「1」であると判定すると、ステップ1115に進んで
電流制限値ILTEMPから電流制限加減値ILFGを減算した値
を新たな電流制限値ILTEMPとして、ステップ1135へ
と進む。上記ステップ1105〜1115は、基板温度
センサ23が異常となった場合であっても、適切な電流
制限値ILTEMPを得るために設けたステップである。
【0046】一方、CPU11は、ステップ1110に
てフラグFTMBの値が「0」であると判定すると、ステッ
プ1120に進んでECU側電流制限値ILECUとモータ側電
流制限値ILMOTRとを比較し、ECU側電流制限値ILECUがモ
ータ側電流制限値ILMOTRより小さいときステップ112
5に進んで電流制限値ILTEMPにECU側電流制限値ILECUを
設定し、ECU側電流制限値ILECUがモータ側電流制限値IL
MOTRより大きいときステップ1130に進んで電流制限
値ILTEMPにモータ側電流制限値ILMOTRを設定し、その後
ステップ1135へと進む。以上のステップ1120〜
1130は、ECU側電流制限値ILECUとモータ側電流制限
値ILMOTRのうち、小さい方を最終的な電流制限値ILTEMP
とするためのステップである。そして、CPU11は、
ステップ1135にて電流制限値ILTEMPを0〜50Aで
ガードし、電動モータ30の通電状態に応じた最終的な
電流制限値ILTEMPを決定する。
【0047】次いで、CPU11は、図4のステップ4
80に進み、図12に詳細に示した最終アシスト電流値
IFINALの演算ルーチンを実行する。具体的には、CPU
11はステップ1205にて、慣性補償電流値TKANとハ
ンドル戻し制御電流値TMODの和を慣性・戻し電流値TKM
とし、ステップ1210〜ステップ1225の実行によ
り慣性・戻し電流値TKMの絶対値がガード値KGを超えな
いようにガードし、ステップ1230に進む。
【0048】次いで、CPU11はステップ1230に
て基本目標電流値TKIHON、慣性・戻し電流値TKM、及び
ダンピング制御電流値TDAMPの和を求め、この和をアシ
スト電流値ICTRLとし、ステップ1235にて同アシス
ト電流値ICTRLの絶対値と電流制限値ILTEMPとを比較す
る。そして、アシスト電流値ICTRLの絶対値が電流制限
値ILTEMPよりも大きいときはステップ1240にて同ア
シスト電流値ICTRLの正負を判定し、正であるときには
ステップ1245にて最終アシスト電流値IFINALを電流
制限値ILTEMPとし、負であるときにはステップ1250
にて最終アシスト電流値IFINALを電流制限値ILTEMPの符
号を逆転した値(−ILTEMP)とした後、ステップ129
5に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、ステップ
1235にてアシスト電流値ICTRLの絶対値が電流制限
値ILTEMPよりも小さいと判定されるときは、CPU11
はステップ1255にて最終アシスト電流値IFINALをア
シスト電流値ICTRLとし、ステップ1295に進んで本
ルーチンを一旦終了する。以上により電流制限値ILTEMP
による制限がなされたアシスト電流値(最終アシスト電
流値)IFINALが決定される。
【0049】なお、上記ステップ1210〜ステップ1
225の実行により慣性・戻し電流値TKMの絶対値がガ
ード値KGを超えないようにガードするのは次の理由によ
る。即ち、本電動パワーステアリング装置は、図示しな
いサブのCPUにてメインCPU11を監視している
が、サブのCPUには操舵トルクTMしか入力されていな
いため、メインのCPU11が計算したアシスト電流値
ICTRLが異常に大きい値であるか否かを判定する判定値
を、操舵トルクTMと図5に示した基本目標電流値TKIHON
マップから求めた値に所定の電流値(例えば5A)を加
えたものとしている。従って、操舵トルクTMとは独立し
て得られる慣性補償電流値TKANとハンドル戻し制御電流
値TMODの和である慣性・戻し電流値TKMを所定の電流値
(5A)よりも小さくガードしておかない場合には、計
算値は正常であるにもかかわらず、異常であると判定さ
れることがあるからである。
【0050】次いで、CPU11は、図4のステップ4
90にて上記最終アシスト電流値IFINALに基づき、周知
のPID制御、及びPWM制御を実施してスイッチング
素子Tr1〜Tr4の各々の通電時間を決定し、これに
応じて駆動回路20に制御信号を発生する。その結果、
電動モータ30には最終アシスト電流値IFINALに応じた
電流が流れ、同電流に応じたアシスト力が操舵軸33に
付与される。そして、CPU11はステップ495にて
本ルーチンを一旦終了し、所定時間後に再び同ルーチン
をステップ400から開始する。
【0051】次に、基板温度センサ23の異常判定につ
いて、以下に示す場合に分けて説明する。なお、CPU
11は、図13及び図14のルーチンを図4に示したメ
インルーチンとは独立して、所定時間毎に繰り返し実行
している。 1:異常判定を行うための温度条件が不成立の場合 2−1:異常判定を行うための温度条件が成立し、且つ
基板温度センサ23が正常な場合 2−2:異常判定を行うための温度条件が成立し、且つ
基板温度センサ23が異常となった場合
【0052】<1:異常判定を行うための温度条件が不
成立の場合>先ず、基板温度センサ23の異常を判定す
るための判定用参照値TMPBORD REFを取得する図13の
参照値書込ルーチンについて説明すると、CPU11
は、所定のタイミングにてステップ1300から同ルー
チンの実行を開始し、続くステップ1305にて過渡温
度値TTRが参照値取込許可温度(ここでは2℃)以下で
あるか否かを判定する。なお、この過渡温度値TTRは、
電動モータ30に流れる電流値から推定される基板温度
センサ23の近傍部位の温度であり、詳細については後
述する。
【0053】そして、過渡温度値TTRが2℃以下であれ
ば、CPU11はステップ1305にて「Yes」と判
定してステップ1310に進み、その時点の基板温度セ
ンサ23の出力である基板温度TMPBORDを、判定用参照
値TMPBORD REFに書込み、ステップ1395に進んで本
ルーチンを一旦終了する。一方、CPU11は、ステッ
プ1305にて過渡温度値TTRが2℃以下でないと判定
した場合には、直接ステップ1395に進んで本ルーチ
ンを一旦終了する。以上の作動により、過渡温度値TTR
が2℃以下と判定される所定の時点の基板温度TMPBORD
が、判定用参照値TMPBORD REFに書込まれる。
【0054】なお、イグニッションスイッチ22がオフ
状態からオン状態に変更された後の所定のタイミングに
て、このルーチンが実行された場合には、過渡温度値TT
Rは前述した図3のステップ315にて0℃に設定され
ているため、CPU11はステップ1305を「Ye
s」と判定して、その時点の基板温度センサ23の出力
である基板温度TMPBORDを、判定用参照値TMPBORD REFに
書込む。
【0055】また、CPU11は、所定のタイミングに
て図14に示した異常判定ルーチンをステップ1400
から開始する。このルーチンは、基板温度センサ23が
異常となったか否かを判定するためのルーチンであり、
基板温度センサ23の異常判定の実行を許容する温度条
件が成立したか否かを判定するステップと、基板温度セ
ンサ23に異常が発生しているか否かを判定するステッ
プとを含んで構成されている。
【0056】具体的には、CPU11は、ステップ14
05にて図9のステップ930にて求めた電流積分値IS
UMを温度に変換するために、電流積算値ISUMに温度変換
用の所定の係数tmを乗じ、その積値を過渡温度値TTRと
する。このステップにて使用される電流積分値ISUMは、
図9のステップ910〜930に示したように、電動モ
ータ30に流される電流の電流値IMOTRに基づいて求め
られており、従って、過渡温度値TTRは、電動モータ3
0に流される電流により発熱する部分である「駆動回路
20の基板温度センサ23の近傍部位」の温度を、電動
モータ30に流される電流IMOTRに基づいて推定した値
(発熱部分の推定温度に応じた値)となる。
【0057】次いで、CPU11はステップ1410に
て基板温度センサ23の異常判定のための第1の温度条
件が成立しているか否かを判定し、ステップ1415に
て同異常判定のための第2の温度条件が成立しているか
否かを判定する。具体的には、CPU11は、ステップ
1410にて、ステップ1405にて求めた過渡温度値
TTRが第1基準温度(ここでは10℃)以上であるか否
かを判定する。このステップにおいて、過渡温度値TTR
が第1基準温度以上と判定されるときは、電動モータ3
0に流れる電流値に基づいて推定される温度(即ち、過
渡温度値TTR)が、判定用参照値TMPBORD REFを書込んだ
時点から第1所定温度(この場合、10℃−2℃=8
℃)以上変化したことを意味する。
【0058】また、CPU11は、ステップ1415に
て、基板温度センサ23の検出する基板温度TMPBORDが
第2基準温度(ここでは160℃)以下であるか否かを
判定する。この第2基準温度は、基板温度センサ23が
検出することのできる最高温度以下の所定の高温度に選
択されている。換言すれば、この第2基準温度は、その
温度以下の領域で基板温度センサ23の検出する値(抵
抗値)が単位温度当たり所定値以上変化する温度に選択
されている。即ち、このステップ1415は、基板温度
センサ23の出力特性が非線形であることに起因して第
2基準温度以上においては温度変化に対する出力(抵抗
値)の変化が小さくなり、基板温度センサ23が異常で
あるか否かの判定の精度が低下する可能性があることを
考慮して、第2基準温度以上では以下に説明する異常の
判定を行わないようにするために設けられている。
【0059】以上に説明したステップ1410,141
5の何れもが満たされたときは、異常判定を行うための
温度条件が成立したこととなり、CPU11はステップ
1425に進むが、現時点は温度条件が不成立であるの
で、CPU11はステップ1410又はステップ141
5の何れかにおいて「No」と判定してステップ142
0に進み、後述する異常判定用カウンタCの値を「0」
に設定(クリア)し、その後ステップ1495に進んで
本ルーチンを一旦終了する。
【0060】<2−1:異常判定を行うための温度条件
が成立し、且つ基板温度センサ23が正常な場合>次
に、その後の運転により異常判定を行うための温度条件
が成立し、且つ基板温度センサ23が正常な場合につい
て説明する。異常判定を行うための温度条件が成立した
場合には、CPU11は、ステップ1410及びステッ
プ1415の両ステップにおいて「Yes」と判定し、
ステップ1425に進む。このステップ1425におい
ては、その時点の基板温度TMPBORDから前記判定用参照
値TMPBORD REFを減じた値(即ち、検出基板温度の変化
幅)が第2所定温度(ここでは2.5℃)以下か否かを
判定する。
【0061】これは、判定用参照値TMPBORD REFを書込
んだ時点から、基板温度TMPBORDが第2所定温度以上変
化していないか否か(基板温度TMPBORDが示す温度変化
幅が第2所定温度以下か否か)を判定することにより、
基板温度センサ23が、温度変化に応じた出力変化を生
じない異常状態となっているか否かを判定するものであ
る。現段階においては、基板温度センサ23はそのよう
な異常状態になっていないので、CPU11はステップ
1425にて「No」と判定して前述のステップ142
0に進み、異常判定用カウンタCを「0」に設定した
後、ステップ1495にて本ルーチンを一旦終了する。
【0062】<2−1:異常判定を行うための温度条件
が成立し、且つ、基板温度センサ23が異常となった場
合>以上のように、CPU11は、図13のステップ1
305,1310にて過渡温度TTRが2℃以下となった
とき、その時点の基板温度TMPBORDを判定用参照値TMPBO
RD REFとして保持し、図14のステップ1410にて過
渡温度TTRが10℃以上と判定され、且つ、ステップ1
415にてその時点の基板温度TMPBORDが160℃以下
であると判定されたときに、ステップ1425にて同時
点の基板温度TMPBORDと判定用参照値TMPBORD REFとの差
が2.5℃以上か否かを判定する。また、これらのステ
ップは所定時間毎に繰り返し実行されている。
【0063】従って、基板温度センサ23に異常が発生
し、実際の温度が上昇しても同基板温度センサ23の検
出する基板温度TMPBORDが変化しなくなると、CPU1
1はステップ1425にて「Yes」と判定するように
なる。この場合、CPU11は、続くステップ1430
にて異常判定用カウンタCを「1」だけ増大し、ステッ
プ1435にて同カウンタCの値が基準判定値C0(こ
の場合、30秒相当)より大きいか否かを判定する。
【0064】このような異常が発生した直後において
は、カウンタCの値は基準判定値C0よりも小さいの
で、CPU11はステップ1435にて「No」と判定
し、そのままステップ1495に進んで本ルーチンを一
旦終了する。そして、このような異常状態が継続する
と、カウンタCの値はステップ1430の実行により次
第に増大し、所定の時間が経過すると基準判定値C0を
超える。これにより、CPU11はステップ1435に
て「Yes」と判定してステップ1440に進み、同ス
テップ1440にてEEPROM14に基板温度センサ
23が異常(出力変化が発生しない異常)となった旨を
書込む。
【0065】次いで、CPU11は、ステップ1445
に進んでフラグFTMBの値を「1」に設定し、同フラグFT
MBの値(即ち「1」)をEEPROM14内の所定のア
ドレスに書込み、その後ステップ1495に進んで本ル
ーチンを一旦終了する。このようにして、基板温度セン
サ23の異常が検出される。なお、上記カウンタCの値
が基準判定値C0より大きくなったときに、基板温度セ
ンサ23が異常であると判定するように構成したのは、
異常の疑いがあることが複数回連続して判定された場合
に基板温度センサ23が異常であると判定することによ
り、その判定精度をより向上するためである。
【0066】次に、図15を参照して、基板温度センサ
23が異常と判定された後、同センサ23が正常状態へ
と復帰したかどうかを監視・判定するための正常判定ル
ーチンについて説明する。CPU11は、このルーチン
についても所定時間毎に繰り返し実行しているので、所
定のタイミングにてステップ1500から処理を開始し
てステップ1505に進み、フラグFTMBの値が「1」で
あるか否か(即ち、基板温度センサ23が異常であると
判定されている状態であるか否か)を判定し、フラグFT
MBの値が「0」であれば、ステップ1595にて直ちに
本ルーチンを終了する。
【0067】一方、基板温度センサ23が異常と判定さ
れた状態にあると、フラグFTMBの値は「1」となってい
るので、CPU11はステップ1505にて「Yes」
と判定してステップ1510に進み、同ステップ151
0にて過渡温度TTRが正常判定用基準温度(ここでは
10℃)以上であるか否かを判定する。そして、過渡温
度TTRが正常判定用基準温度以上でなければ、CPU
11は、ステップ1510にて「No」と判定してステ
ップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0068】一方、過渡温度TTRが正常判定用基準温
度以上であれば、CPU11は、ステップ1510にて
「Yes」と判定してステップ1515に進む。ステッ
プ1510にて「Yes」と判定され場合は、上述した
図14のステップ1410にて「Yes」と判定される
場合と同様であり、電動モータ30に流れる電流値に基
づいて推定される温度(即ち、過渡温度値TTR)が、判
定用参照値TMPBORD REFを書込んだ時点から第1所定温
度(この場合、10℃−2℃=8℃)以上変化したこと
を意味する。
【0069】ステップ1515は、図14のステップ1
425と同様の処理を行うステップであり、その時点の
基板温度TMPBORDから前記判定用参照値TMPBORD REFを減
じた値(検出基板温度変化幅)が第3所定温度(第2所
定温度と異なっていてもよい。ここでは2.5℃として
いる。)以上か否かを判定する。
【0070】これは、判定用参照値TMPBORD REFを書込
んだ時点から、基板温度TMPBORDが第3所定温度以上変
化したか否かを判定することにより、基板温度センサ2
3が、温度変化に応じた出力変化を生じる正常な状態に
復帰したか否かを判定するものである。そして、同ステ
ップ1515にて「No」と判定されるときは、基板温
度センサ23は正常な状態に戻っていないと判定できる
ので、CPU11はステップ1595に進んで本ルーチ
ンを一旦終了する。一方、ステップ1515にて「Ye
s」と判定されるときは、基板温度センサ23が正常な
状態に復帰したものと判定でき、この場合、CPU11
はステップ1520に進んでフラグFTMBの値を「1」か
ら「0」に変更する。
【0071】次いで、CPU11はステップ1525に
進み、FTMBの値(即ち「0」)をEEPROM14内の
所定のアドレスに書込み、続くステップ1530にて前
記異常判定用カウンタCの値を「0」とした後、ステッ
プ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。このよ
うにして、基板温度センサ23が異常状態から正常状態
に復帰したことが検出される。
【0072】次に、イグニッションスイッチ22がオン
状態からオフ状態へと変更された場合について説明する
と、CPU11はイグニッションスイッチ22のオン状
態からオフ状態への変更をトリガとして図16に示した
ルーチンをステップ1600から開始し、ステップ16
05に進む。CPU11は、同ステップ1605にてモ
ータ電流2乗積算値SQIMSUMがモータ電流制限判定値の
最大値ITH0 の1/4より小さいか否かを判定し、モー
タ電流2乗積算値SQIMSUMがモータ電流制限判定値の最
大値ITH0 の1/4より小さい場合にはステップ161
0にてEEPROM14内に格納されるモータ電流2乗
積算記憶値SQIMSUMAに値「0」を設定し、この値をEE
PROM14内に格納する。
【0073】ステップ1605にて「No」と判定され
る場合には、CPU11はステップ1615にてモータ
電流2乗積算値SQIMSUMがモータ電流制限判定値の最大
値ITH0 の1/4以上〜1/2の範囲にあるか否かを判
定し、その判定結果が「Yes」である場合にはステッ
プ1620にてモータ電流2乗積算記憶値SQIMSUMAに値
「1」を格納してステップ1640に進む。また、ステ
ップ1615にて「No」と判定される場合には、CP
U11はステップ1625にてモータ電流2乗積算値SQ
IMSUMがモータ電流制限判定値の最大値ITH0 の1/2以
上〜3/4の範囲にあるか否かを判定し、その判定結果
が「Yes」である場合にはステップ1630にてモー
タ電流2乗積算記憶値SQIMSUMAに値「2」を格納してス
テップ1640に進む。そして、ステップ1625にて
「No」と判定される場合には、ステップ1635にて
モータ電流2乗積算記憶値SQIMSUMAに値「3」を格納
し、ステップ1640に進み、同ステップ1640にて
リレー21をオフ状態に変更する。
【0074】以上により、イグニッションスイッチ22
がオン状態からオフ状態へと変更された時点にて、電流
制限値ILTEMPに関するデータの一つであるモータ電流2
乗積算値SQIMSUMがモータ電流制限判定値の最大値ITH0
に対する比率に応じた値に変換され、その変換後の値が
EEPROM14内にモータ電流2乗積算記憶値SQIMSU
MAとして記憶される。これにより、運転者が再びイグニ
ッションスイッチ22をオフ状態からオン状態へと変更
したとき、図3に示したルーチンにより、この記憶され
たモータ電流2乗積算記憶値SQIMSUMAにモータ電流制限
判定値の最大値ITH0 の1/4を乗じた値が求められ
(ステップ305)、その値が以降に電動モータ30の
通電状態に応じて更新されるモータ電流2乗積算値SQIM
SUMの初期値とされる(図10のステップ1030,1
045参照)。
【0075】従って、イグニッションスイッチ22がオ
ン状態からオフ状態となったとき、バッテリ50に負担
を与えることなく電流制限値に関するデータ(モータ電
流2乗積算値SQIMSUMに応じたデータ)を保持すること
が可能となるとともに、次にイグニッションスイッチ2
2がオン状態となったときに保持しているデータ(モー
タ電流2乗積算記憶値SQIMSUMA)を読み出して、これを
電動モータ30の通電状態に応じて更新されていくモー
タ電流2乗積算値SQIMSUMの初期値とするので、イグニ
ッションスイッチ22がオン状態から一旦オフ状態とさ
れ、その後オンの状態に短時間内に変更された場合であ
っても、電流制限値ILTEMPが適切な値となって、最終ア
シスト電流値(IFINAL)を最適な値とすることができ、
駆動回路20や電動モータ30の過熱を確実に防止する
ことができる。
【0076】なお、上記においては、電流制限値のデー
タの一つであるモータ電流2乗積算値SQIMSUMをモータ
電流2乗積算記憶値SQIMSUMAとして記憶させる場合の基
準となる値をモータ電流制限判定値の最大値ITH0 とし
ている。これは、通常はモータ電流2乗積算値SQIMSUM
がモータ電流制限判定値(の最大値ITH0)以上となる
と、同モータ電流値IMOTRに制限が加わることから、モ
ータ電流値IMOTRが同モータ電流制限判定値の最大値ITH
0 よりも極めて大きな値となることは考えにくく、従っ
て、同モータ電流制限判定値の最大値ITH0 (即ち、電
流制限がなされるモータ電流IMOTRがとりうる最大値の
近傍の値)を基準としてその比率を記憶することによ
り、少ない容量を使用しつつ記憶されるデータの精度を
向上する(LSBを小さくする)ことができるからであ
る。
【0077】また、上記のように求められるモータ電流
2乗積算値SQIMSUMは、電動モータ30の放熱特性が加
味された値である実際のモータ電流値IMOTRから熱収支
バランス電流THSQIMを減算した値(即ち、熱収支バラン
ス化後電流IMBARA)を基礎データとしていていること、
及び、この熱収支バランス化後電流IMBARAを2乗した値
に基づいて算出される値であることから、電動モータ3
0の平衡温度からの温度上昇又は温度下降の程度をよく
反映した値となる。この結果、上記の装置によれば、電
動モータ30の過熱状態が精度よく推定され、その推定
に基づく電流制限が適切なものとなる。また、電動モー
タ30の温度を直接検出する温度センサを使用しなくて
も、同電動モータ30の過熱状態を推定できるので、製
造コストを低下させることも可能となる。
【0078】以上、説明したように、本発明の一実施形
態に係る電動パワーステアリング装置においては、電動
モータ30に流される電流の電流値に基づいて、発熱す
る部分の温度が所定の時点(過渡温度値TTRが2℃以下
となった時点)における温度から第1所定温度(8℃)
以上変化したか否かが判定される(ステップ1305,
1310,1410)。そして、この温度条件が成立し
た場合であって、温度検出手段である基板温度センサ2
3による検出温度TMPBORDが、前記所定の時点の検出温
度(TMPBORD REF)から第2所定温度(2.5℃)以上
変化しない異常を示す条件が成立したとき同温度検出手
段が異常であると判定される(ステップ1425〜ステ
ップ1450)。従って、基板温度センサ23が検出可
能な温度範囲内の温度を示しながら変化しないような異
常状態を確実に検出することが可能となる。
【0079】また、上記実施形態は、温度検出手段の異
常判定の実行を許可する温度条件が成立したか否かの判
定は、前記電動モータ30の電流値(IMOTR)に応じた
値を時間の経過に従って積算し(ステップ910〜93
0)、この積算値(ISUM)に基づいてプリント基板温度
センサ23の設置位置近傍部位の温度に応じた値を求め
(ステップ1405)、この温度推定値に基づいて行わ
れるように構成されている。これにより、電動モータ3
0の電流値(IMOTR)に応じた値を時間の経過に従って
積算した積算値が発熱部分の温度(温度変化)に強い相
関を有することから、前記温度条件が成立したか否かの
判定精度が向上する。なお、前記電動モータの電流値に
応じた値とは、同電流値を2乗した値、或いは同電流値
を3乗した値等が選択され得る。
【0080】また、上記実施形態は、基板温度センサ2
3が検出することができる最高温度(250℃)以下の
所定の高温度(160℃)以下の場合において前記異常
を示す条件が成立したときに、基板温度センサ23の異
常判定を行うように構成されている(ステップ141
5)。これにより、実際の温度変化に対する基板温度セ
ンサ23の出力(抵抗値)変化が小さいために、正常で
あるにもかかわらず異常であると誤判定してしまう可能
性を低減できる。
【0081】また、上記実施形態は、フラグFTMBの値が
変更されたとき、EEPROM14の所定のアドレスに
同フラグFTMBの値を格納して(ステップ1445,15
25)、イグニッションスイッチ22がオフ状態になっ
た場合にも基板温度センサ23が異常と判定されている
状態にあることを記憶しておき、次にイグニッションス
イッチ22がオン状態に変更されたとき、EEPROM
14の所定のアドレスに記憶されているフラグFTMBの値
を読み出して、これをフラグFTMBに書き込むようになっ
ている(ステップ310)。
【0082】従って、基板温度センサ23が異常である
場合に、イグニッションスイッチ22が一旦オフ状態と
され、その後にオン状態とされたとき、直ちに基板温度
センサ23が異常であるとの認識に立脚した電流制御の
実行が可能となって(ステップ1110〜1135)、
電動モータ30に流される電流値を適正に制限すること
ができる。
【0083】また、上記実施形態は、基板温度センサ2
3が異常であると判定した場合には、フラグFTMBの値と
は別に、その旨をEEPROM14の所定のアドレスに
書き込むようになっている(ステップ1440)。従っ
て、車両の点検時等においては、このEEPROM14
の内容を読み出すことにより、過去に基板温度センサ2
3が一度でも異常と判定されたことがあるか否かが判別
できるため、仮に基板温度センサ23が正常状態に復帰
していた場合でも、修理・点検が容易になるという利点
も有する。
【0084】以上、本発明の一実施形態について説明し
てきたが、本発明の範囲内において種々の変形が可能で
ある。例えば、上記実施形態においては、モータ電流2
乗積算値SQIMSUMを4段階に区別して、その区別した結
果をモータ電流2乗積算記憶値SQIMSUMAとして記憶させ
ているが、モータ電流2乗積算値SQIMSUMがモータ電流
制限判定値の最大値ITH0に対して何%であるかを計算
し、その計算結果を例えばLSBを1%として記憶するよ
うにしてもよい。
【0085】また、上記実施形態においては、イグニッ
ションスイッチ22がオン状態からオフ状態に変更され
たときに、モータ電流2乗積算値SQIMSUM(の比率)を
EEPROM14に記憶させているが、CPU11に電
源が供給されているとき(リレー21又はイグニッショ
ンスイッチ22がオン状態にあるとき)には、所定のタ
イミング毎に記憶させるように構成することもできる。
なお、この場合であっても、通常はリレー21はイグニ
ッションスイッチ22のオフ後の短時間内にオフされる
ので、EEPROM14に記憶される値はイグニッショ
ンスイッチ22がオン状態からオフ状態へと変化したと
きの値と実質的に等しい値となる。
【0086】また、上記実施形態においては、アシスト
電流値ICTRLは、基本目標電流値TKIHON、慣性補償電流
値TKAN、ハンドル戻し制御電流値TMOD及びダンピング制
御電流値TDAMPから求めているが、これに限定されるこ
とはなく、例えば基本目標電流値TKIHONとハンドル戻し
制御電流値TMODとから求めてもよい。
【0087】また、上記実施形態においては、モータ電
流2乗積算値SQIMSUMに基づいて、モータ側電流制限値I
LMOTRを求めているが、電動モータ30の平均電流値を
求め、同平均電流が大きいほど小さくなる係数を求め、
その係数をアシスト電流値ICTRLに乗じることにより、
最終アシスト電流値IFINALを決定するような構成とする
こともできる。なお、この場合には、イグニッションス
イッチ22がオン状態からオフ状態となったときにEE
PROM14に記憶させるデータとしては、当該平均電
流値となる。
【0088】また、上記実施形態においては、図10の
ステップ1030,1040の係数kup, kdwnを異なる
値としていたが、これらは同一の値であってもよく、ス
テップ1060,1065の値αとβは異なる値でも同
一の値でもよい。
【0089】また、基板温度センサ23が示す基板温度
TMPBORDが、予定している温度範囲の最低値以下(例え
ば−50℃以下)又は最大値以上(例えば250℃以
上)である場合に、基板温度センサ23が短絡又は断線
等の異常であると判定し、フラグFTMBとは別の異常表示
フラグFTMCを「1」とし、基板温度TMPBORDが前記予定
している温度範囲内にある場合に、基板温度センサ23
が正常であると判定して同フラグFTMCを「0」とする所
定時間毎に実行されるルーチンを加えるとともに、上記
ステップ1110の判定を、フラグFTMB又はフラグFTMC
の少なくとも一方が「1」であるか否かを判定するステ
ップに変更することにより、基板温度センサ23の短絡
・断線のような異常にも適正に対応し得るように構成す
ることもできる。
【0090】また、上記実施形態は、基板温度センサ2
3の異常を検出していたが、本発明はこれに限定され
ず、例えば、電動パワーステアリング装置が電動モータ
30内に温度センサを有している場合等においては、こ
の温度センサの異常も同様に検出することができる。
【0091】また、上記実施形態は、基板温度センサ2
3が検出することができる最高温度以下の所定の高温度
(160℃)以下の場合において前記異常を示す条件が
成立したときに、基板温度センサ23の異常判定を行う
ように構成されていたが、基板温度センサが検出温度の
上昇に伴って抵抗値が増大する正特性サーミスタからな
る場合には、同基板温度センサ23が検出することがで
きる最低温度以上の所定の低温度以上の場合において、
同基板温度センサ23の異常判定を行うように構成する
こともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る電動パワーステ
アリング装置の概略ブロック図である。
【図2】 図1に示した電動パワーステアリング装置の
電気回路図である。
【図3】 図2に示したCPUが実行するプログラムを
示すフローチャートである。
【図4】 図2に示したCPUが実行するプログラムを
示すフローチャートである。
【図5】 基本目標電流値を示すマップ(テーブル)で
ある。
【図6】 (A)は慣性補償電流基本値を示すマップ、
(B)はゲインを示すマップである。
【図7】 図2に示したCPUが実行するプログラムを
示すフローチャートである。
【図8】 図2に示したCPUが実行するプログラムを
示すフローチャートである。
【図9】 図2に示したCPUが実行するプログラムを
示すフローチャートである。
【図10】 図2に示したCPUが実行するプログラム
を示すフローチャートである。
【図11】 図2に示したCPUが実行するプログラム
を示すフローチャートである。
【図12】 図2に示したCPUが実行するプログラム
を示すフローチャートである。
【図13】 図2に示したCPUが実行するプログラム
を示すフローチャートである。
【図14】 図2に示したCPUが実行するプログラム
を示すフローチャートである。
【図15】 図2に示したCPUが実行するプログラム
を示すフローチャートである。
【図16】 図2に示したCPUが実行するプログラム
を示すフローチャートである。
【図17】 図2に示した基板温度センサの出力特性を
示した図である。
【符号の説明】
10…電気制御回路、11a…メモリ、20…駆動回
路、21…リレー、22…イグニッションスイッチ、2
3…基板温度センサ、30…直流電動モータ、31…操
舵ハンドル、32…減速機構、33…操舵軸、35…操
舵トルクセンサ、50…バッテリ、Tr1〜Tr4…ス
イッチング素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 127:00 B62D 127:00 Fターム(参考) 3D032 CC32 DA15 DA23 DA49 DB11 DC02 DC07 DC08 DD01 DD02 DD05 DD07 DD13 DE20 EC23 GG01 3D033 CA11 CA13 CA16 CA21 CA27 CA31

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の運転状態に応じた電流が流されて操
    舵ハンドルの回動操作に対するアシスト力を発生する電
    動モータを備えた車両の電動パワーステアリング装置に
    おいて、 前記電流により発熱する部分の温度を検出する温度検出
    手段と、 前記電動モータに流される電流の電流値に基づいて求め
    られる前記発熱する部分の推定温度に応じた値が所定値
    以上変化したか否かを判定する温度条件判定手段と、 前記発熱する部分の推定温度に応じた値が前記所定値以
    上変化したと判定された場合に前記温度検出手段による
    検出温度が所定温度以上変化していないとき、前記温度
    検出手段が異常であると判定する異常判定手段とを備え
    たことを特徴とする車両の電動パワーステアリング装
    置。
  2. 【請求項2】前記温度条件判定手段は、前記電動モータ
    の電流値に応じた値を時間の経過に従って積算し、この
    積算値に基づいて前記発熱する部分の推定温度に応じた
    値を求めるように構成されてなる請求項1に記載の電動
    パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】前記異常判定手段は、前記温度検出手段が
    同温度検出手段の検出することができる最高温度以下の
    所定の高温度以下の温度を検出している場合、又は同温
    度検出手段の検出することができる最低温度以上の所定
    の低温度以上の温度を検出している場合に、前記温度検
    出手段の異常判定を行うように構成されてなる請求項1
    又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
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