JP6930246B2 - 電子制御装置 - Google Patents

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Description

この明細書における開示は、電子制御装置に関する。
特許文献1に開示されているように、車両に搭載される防水型の電子装置が知られている。この電子装置は、シール剤により水密に封止された防水筐体を備えている。この防水筐体の内部空間には、回路基板が収容されている。また、防水筐体の壁部の外面側には、回路基板から生じた熱を電子装置外に放熱するための放熱フィンが設けられている。
特開2016−143852号公報
ところで、電子制御装置は、車両の搭載環境が狭くなったことにともない小型化している。このため、電子制御装置は、電子制御装置の小型化にともない放熱フィンの設置領域が狭くなり、放熱性能を確保するのが困難である。
これに対し、防水筐体の壁部に、ハウジングと、軸受を介して回転可能に設けられた羽根部などを有する送風ユニットを配置し、放熱性能の向上を図ることも考えられる。しかしながら、電子制御装置は、放熱性能を向上させるために、送風ユニットの羽根部を回転させて空気の流れを発生させた場合、この空気によって防水筐体が冷やされ、その影響で軸受のグリースの温度が低下する可能性がある。このため、電子制御装置は、グリースの温度が低下することで硬くなり、送風ユニットの寿命低下する虞がある。
本開示は、上記問題点に鑑みなされたものであり、送風ユニットの寿命低下を抑制できる電子制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本開示は、
車両に搭載可能な電子制御装置であって、
壁部(21)を有する筐体(20)と、
筐体に取り付けられ、制御対象の車載機器を駆動制御する制御部(70)と、
壁部に配置されており、制御部によって駆動制御され、壁部の外面に沿った空気の流れを形成することで筐体を冷却する送風ユニット(100)と、を有しており、
送風ユニットは、
羽根部(120)と、羽根部を回転可能に収容し壁部に配置されたハウジング(200)と、一部がハウジングに固定されつつ羽根部を回転可能に支持するグリースで潤滑された軸受(112)と、を含んでおり、
制御部は、
電子制御装置の温度が冷却の必要な冷却開始温度を超えると、羽根部を回転させることで、送風ユニットに空気の流れを形成させて筐体への空気の送風を開始する送風始動部(S11、S12)と、
電子制御装置の装置温度と制御部の制御状態とを取得し、装置温度と制御状態とに基づいてグリースの温度を推定する推定部(S13)と、
送風ユニットよる送風が行われている状況において、推定部にて推定されたグリースの推定温度が、グリースが硬くなる温度を下回ったか否かを判定し、下回ったと判定した場合、羽根部の回転数を低減する送風低減部(S14、S15)と、を備え
装置温度を計測する装置温度センサを有しており、
推定部は、装置温度と、制御状態から算出された制御部の自己発熱と、装置温度センサから軸受までの熱抵抗とに基づいて、推定温度を推定する電子制御装置。
本開示は、送風ユニットを備えており、送風ユニットから壁部の外面に沿った空気の流れを形成することで、筐体を冷却している。これによって、本開示は、筐体を冷却することができる。しかしながら、本開示は、筐体を冷却することで、グリースの温度も低下してしまう可能性がある。
そこで、本開示は、装置温度と制御状態とに基づいてグリースの温度を推定し、グリースの推定温度が、グリースが硬くなる温度を下回ったと判定した場合、羽根部の回転数を低減する。よって、本開示は、グリースが硬くなることを抑制できる。このため、本開示は、グリースの抵抗が必要以上に大きくなることを抑制でき、送風ユニットの寿命低下を抑制できる。
なお、特許請求の範囲、及びこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態における電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。 実施形態における電子制御装置の概略構成を示す斜視図である。 図2のIII‐III線に沿う断面図である。 実施形態における電子制御装置の処理動作を説明するフローチャートである。 実施形態における電子制御装置のグリース温度推定処理を示すフローチャートである。 グリース温度推定処理の変形例を示すフローチャートである。
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面と示す。
図1〜図5に基づいて、本実施形態に係る電子制御装置10に関して説明する。まず、図1、図2、図3に基づき、本実施形態に係る電子制御装置10の概略構成について説明する。
図1に示すように、電子制御装置10は、車両に搭載可能に構成されており、制御部70、内部温度センサ80、送風ファン100などを備えている。電子制御装置10は、例えば、エンジンを制御する電子制御装置(ECU)として適用できる。また、電子制御装置10は、入力系の車載機器、及びアクチュエータなどの制御対象と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、一例として、駆動源としてエンジンを搭載した車両に搭載された電子制御装置10を採用している。また、後程説明するが、本実施形態では、制御部70の一部であるファン駆動部72が送風ファン100に設けられている例を採用している。
本実施形態では、入力系の車載機器の一例として、エンジン回転センサ410、吸気温度センサ420、シフトスイッチ430を採用している。電子制御装置10は、エンジン回転センサ410から出力されたエンジンの回転を示すエンジン回転信号を取得可能に構成されている。電子制御装置10は、吸気温度センサ420から出力された吸気温度、すなわち外気温度を示す吸気温度信号を取得可能に構成されている。電子制御装置10は、シフトスイッチ430から出力されたシフトレバーの操作位置を示すシフト位置信号を取得可能に構成されている。これらの信号は、電子制御装置10の車両制御部71に入力される。
また、本実施形態では、制御対象の一例として、インジェクタ310、電スロモータ320、シフトソレノイド330、バルブ340、リレー350を採用している。なお、電スロモータ320は、電子スロットル装置に設けられた、スロットルバルブを駆動するアクチュエータである。シフトソレノイド330は、トランスミッションのシフトチェンジを行うアクチュエータである。
また、バルブ340は、弁体と電磁コイルとを含んでおり、エンジン制御などに用いられる。なお、電子制御装置10は、バルブ340に設けられた電磁コイルと電気的に接続されている。リレー350は、エンジン制御などを行う際に用いられるリレーである。
また、図2及び図3に示すように、電子制御装置10は、ケース20とカバー30とを含む防水筐体、回路基板60、送風ファン100などを備えている。また、電子制御装置10は、エンジンとともにエンジンルームに設けられている。なお、図3は、電子制御装置10のXZ平面での部分的な断面図である。
防水筐体は、回路基板60を収容する内部空間S1としての防水空間を提供する。防水筐体は、回路基板60の板厚方向であるZ方向において二つの部材に分割されている。二つの部材は、一方がケース20で、他方がカバー30とされている。防水筐体は、図示しないシール部材を介して、ケース20及びカバー30を相互に組み付けて構成される。つまり、防水筐体は、ケース20とカバー30とがシール部材を介して組み付けられて、防水空間を提供している。防水筐体は、壁部21を有する筐体に相当する。なお、本実施形態では、回路基板60が防水筐体に収容される例を採用している。しかしながら、回路基板60は、防水性を有していない筐体に収容されていてもよい。
ケース20は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、放熱性向上のために、ケース20がアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されている。つまり、ケース20は、樹脂材料を用いて形成されていても回路基板60を保護することができる。しかしながら、ケース20は、金属材料を用いて形成することで、樹脂材料を用いて形成されたものより放熱性を向上できる。ケース20は、例えばアルミダイカストによって成形されたものを採用できる。
ケース20の壁部21は、例えば平面略矩形状をなしている。ケース20の壁部21は、防水筐体の壁部に相当する。壁部21に連なる4つの側壁の一つには、図示しない切り欠きが設けられている。この切り欠きは、ケース20の一面の開口につながっている。また、切り欠きは、コネクタ40の一部を防水筐体の外部に露出するために設けられている。
壁部21は、壁部21を板厚方向に貫通するファン取付開口部25が形成されている。ファン取付開口部25は、防水筐体のケース20に送風ファン100を取り付けるための開口部である。ファン取付開口部25は、ケース20の外面及び内面にわたって形成されている。つまり、ファン取付開口部25は、内部空間S1と、防水筐体の外部空間とを連通する貫通孔である。また、ファン取付開口部25は、壁部21に形成された貫通孔に相当する。
なお、本実施形態では、一例として、ファン取付開口部25が形成された部位が壁部21の他の部分(コネクタ取付部22など)に対して凹んで設けられたケース20を採用している。つまり、ケース20は、壁部21において、ファン取付開口部25が形成された部位に対して突出した部位を含んでいる。コネクタ取付部22は、コネクタ40を収容すべくX方向における一端側に設けられている。しかしながら、回路基板60と外部機器との電気的な接続構造によっては、ケース20にコネクタ取付部22が形成されていなくてもよい。
また、本実施形態では、壁部21において、ファン取付開口部25が形成された部位に対して突出した部位として、回路基板60を構成するアルミ電解コンデンサなどの高背部品を収容する高背収容部が形成されたケース20を一例として採用している。本実施形態の高背収容部は、コネクタ取付部22からX方向に延設されている。しかしながら、回路基板60が高背部品を含んでいない場合、ケース20に高背収容部が形成されていなくてもよい。
このように、ファン取付開口部25は、壁部21のうち、コネクタ取付部22及び高背収容部を除く部分に形成されている。また、ファン取付開口部25は、壁部21のうち、略平坦な部分に形成されている。
なお、図2に示す符号23は、ねじなどによって電子制御装置10を車両に取り付けるための車体固定部である。符号24は、ケース20とカバー30とを固定するための筐体固定孔である。筐体固定孔24には、図示しないねじが挿入される。これら車体固定部23及び筐体固定孔24は、ケース20と一体に設けられている。
しかしながら、電子制御装置10は、クリップや接着剤によって車両に取り付けられてもよい。この場合、ケース20は、車体固定部23が設けられていなくもてよい。また、ケース20とカバー30は、クリップや接着剤によって固定されてもよい。この場合、ケース20は、筐体固定孔24が設けられていなくもてよい。
カバー30は、ケース20とともに防水筐体の内部空間S1を形成する。ケース20とカバー30を組み付けることで、カバー30によりケース20における一面の開口が閉塞される。また、カバー30によりケース20の一面の開口が閉塞されることで、側壁に形成された切り欠きが区画され、図示しない開口部となる。この開口部により、コネクタ40の一部が外部に露出される。なお、コネクタ40は、少なくとも一部が内部空間S1に配置され、残りの部分が外部空間に配置される。
本実施形態では、放熱性向上のために、ケース20と同様にアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されたカバー30を採用できる。また、カバー30は、ケース20と同様に、例えばアルミダイカストによって成形されたものを採用できる。カバー30は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、一例として、外面側に複数の放熱フィン31が形成されたカバー30を採用している。しかしながら、カバー30は、放熱フィン31が形成されていなくてもよい。
防水筐体のシール部材は、ケース20とカバー30との間、ケース20とコネクタ40との間、及びカバー30とコネクタ40との間を介して、内部空間S1が防水筐体の外部空間と連通するのを遮断するように設けられている。このシール部材は、内部空間S1を取り囲むようにケース20及びカバー30の周縁部に配置されている。シール部材により、ケース20及びカバー30の周縁部が水密に封止されている。シール部材として、例えば硬化前において液状の接着材を採用することができる。また、シール部材は、これに限定されず、Oリングや環状のゴムシートなどのように弾性変形によって水密に封止する部材であっても採用できる。
回路基板60は、防水筐体の内部空間S1に収容されており、ケース20又はカバー30に固定されている。つまり、回路基板60は、筐体に取り付けられている。また、回路基板60は、ケース20とカバー30とで挟み込まれて、ケース20とカバー30に固定されていてもよい。ケース20やカバー30に対する回路基板60の固定構造は、特に限定されない。
回路基板60は、プリント基板、及び、プリント基板に実装された回路素子61を有している。プリント基板は、例えば樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成された基材に、配線が配置されてなる。そして、回路基板60は、配線と回路素子61とにより、回路が形成されている。なお、プリント基板は、例えば平面略矩形状をなしている。回路素子61は、プリント基板におけるケース20側の面及びカバー30側の面の少なくとも一方に実装されている。
本実施形態では、回路素子61のうち、パワーMOSFETなどの発熱素子が、プリント基板におけるケース20側の面であって、Z方向の平面視において送風ファン100の周囲に配置されている。電子制御装置10は、発熱素子の周辺、すなわち壁部21における発熱素子に対向する領域を積極的に冷却することが好ましい。このため、発熱素子は、送風ファン100の周囲であり、且つ、後程説明する第2通気口212の開口方向に沿う位置に設けられていると好ましい。つまり、送風ファン100は、壁部21における発熱素子に対向する領域に風を供給できるように構成されていると好ましい。電子制御装置10は、壁部21における送風ファン100の位置や、送風ファン100における第2通気口212の位置などによって、壁部21における発熱素子に対向する領域に風を供給できるように構成可能である。
また、本実施形態では、スルーホール62が形成されたプリント基板を採用している。そして、回路基板60は、例えば回路素子61の端子がスルーホール62に挿入された状態で、回路素子61とプリント基板(配線)が電気的に接続されている。
この配線と回路素子61によって形成された回路は、制御部70の一部である車両制御部71とグリース温度推定部73に相当する。よって、回路基板60には、車両制御部71とグリース温度推定部73が形成されていると言える。また、車両制御部71とグリース温度推定部73は、電気的に接続されており、各種演算処理を行う演算部の一部とみなすこともできる。よって、以下においては、これらを特に区別する必要がない場合、演算部と記載する。
また、演算部は、少なくとも一つの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくとも一つのメモリ装置(MMR)とを有する。演算部は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって提供されうる。演算部は、一つのコンピュータ、又はデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、演算部によって実行されることによって、演算部をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。演算部は、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するための手段と呼ぶことができ、別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成的なブロック、又はモジュールと呼ぶことができる。
なお、演算部が提供する手段及び/又は機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組み合わせによって提供することができる。例えば、演算部がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。
また、制御部70は、図1に示すように、車両制御部71とファン駆動部72とグリース温度推定部73とを含んでいる。車両制御部71は、エンジン回転信号、吸気温度信号、シフト位置信号などが入力されるように構成されている。また、車両制御部71は、これらの信号の他にも、アクセルペダルの踏み込み量に応じたアクセル開度信号などが入力されるように構成されていてもよい。
車両制御部71は、エンジン回転信号やアクセル開度信号などに基づいて燃料の噴射量や噴射タイミングなどを算出し、インジェクタ310、電スロモータ320、バルブ340、リレー350などを駆動制御することで噴射制御などを含むエンジン制御を行う。また、車両制御部71は、シフト位置信号に基づいて、シフトソレノイド330を駆動制御することでトランスミッションのシフトチェンジを行う。よって、車両制御部71は、エンジン回転数、噴射制御状態、シフト状態を有していると言える。
なお、車両制御部71は、一例として、これらの制御を行う。しかしながら、車両制御部71は、これらの制御に限定されず、他の制御を行うものであってもよい。
グリース温度推定部73は、後程説明する送風ファン100の軸受112におけるグリースの温度を推定する。また、グリース温度推定部73は、ファン駆動部72と電気的に接続されており、後程説明する内部温度センサ80の計測結果である内部温度に基づき、ファン駆動部72に対して、送風ファン100の始動を指示する。また、グリース温度推定部73は、推定結果に基づき、ファン駆動部72に対して、送風ファン100の駆動停止を指示する。なお、以下においては、推定したグリースの温度を、グリース推定温度と称することがある。また、グリース推定温度は、特許請求の範囲における推定温度に相当する。
ファン駆動部72は、後程説明するファン用回路基板130の一部として設けられており、後程説明する端子140を介して演算部におけるグリース温度推定部73と電気的に接続されている。ファン駆動部72は、グリース温度推定部73の演算結果に基づいて送風ファン100を駆動制御する。つまり、ファン駆動部72は、グリース温度推定部73からの指示に基づいて送風ファン100を駆動制御する。なお、制御部70を主とする電子制御装置10の処理動作に関しては、後程説明する。
回路基板60には、コネクタ40が実装されている。コネクタ40は、回路基板60と、電子制御装置10の外部に設けられた電子機器とを電気的に接続するための電子部品である。コネクタ40は、回路基板60におけるX方向の一端側に実装され、プリント基板の配線に電気的に接続されている。コネクタ40は、一部が防水筐体の上記した開口部を介して外部に露出され、残りの部分が内部空間S1に収容されている。
電子制御装置10は、電子制御装置10の温度として、防水筐体内の温度である内部温度を計測する内部温度センサ80を備えている。内部温度センサ80は、装置温度センサに相当する。内部温度センサ80としては、例えばサーミスタを採用できる。内部温度センサ80は、例えば回路基板60や、発熱素子としての回路素子61や、これら以外の内部空間S1に設けられている。
内部温度センサ80は、車両制御部71及びグリース温度推定部73と電気的に接続されており、内部温度を示す電気信号を車両制御部71及びグリース温度推定部73に出力可能に構成されている。よって、車両制御部71及びグリース温度推定部73は、内部温度を取得可能と言える。また、内部温度センサ80によって計測される内部温度は、装置温度に相当する。
なお、本実施形態では、電子制御装置10の温度として、防水筐体内の温度である内部温度を採用している。しかしながら、電子制御装置10の温度は、これに限定されず、防水筐体の温度、回路素子61としての発熱素子の温度、回路基板60の温度であっても採用できる。
また、電子制御装置10は、主に、演算部が動作することで、回路素子61における発熱素子から発せられた熱によって温度が上昇する。よって、電子制御装置10の内部温度は、回路基板60の温度に相当する、又は、発熱素子としての回路素子61の温度に相当する、さらに、内部空間S1の温度に相当すると言える。
コネクタ40は、樹脂材料を用いて形成されたハウジング、及び、導電性材料を用いて形成され、ハウジングに保持された複数の端子を有している。つまり、コネクタ40は、複数の端子がプリント基板の配線に電気的に接続されている。コネクタ40は、複数の端子が、スルーホール62に挿入された状態で、プリント基板の配線に電気的に接続されていてもよい。
送風ファン100は、送風ユニットに相当する。送風ファン100は、ケース20の壁部21に取り付けられている。送風ファン100は、ケース20のファン取付開口部25に取り付けられている。送風ファン100は、回路基板60を冷却するために設けられている。
送風ファン100は、羽根部120の回転により、図3の一点鎖線で示すように空気の流れを形成して、ケース20に風を供給する。つまり、送風ファン100は、羽根部120の回転にともないハウジング200に設けられた通気口201、212を介して壁部21の外面に沿った空気の流れを形成する。また、送風ファン100は、第1通気口201と第2通気口212の位置及び開口方向を後程説明する構成とすることで、図3の一点鎖線で示すように空気の流れを形成することができる。さらに、送風ファン100は、制御部70によって駆動制御され、壁部21の外面に沿った空気の流れを形成することで筐体を冷却すると言える。
送風ファン100は、ケース20に風を供給することで回路基板60を冷却する。つまり、送風ファン100は、ケース20を冷却することで、ケース20内の回路基板60を冷却するものと言える。このため、送風ファン100は、冷却ファンとも言える。送風ファン100としては、例えば、周知の軸流ファンを採用することができる。
送風ファン100は、ケース20に風を供給する部位であるファン機構と、ファン機構を保持するハウジング200とを含んでいる。送風ファン100は、シール部材50を介してケース20に固定されるとともに、回路基板60に電気的に接続されている。
ファン機構は、例えば、軸部110、羽根部120、ファン用回路基板130、端子140、ポッティング部150などを備えている。さらに、ファン機構は、一部がハウジング200に固定されつつ、羽根部120を回転可能に支持する軸受112を備えている。軸受112は、周知技術であり、グリースによって潤滑されている。グリース温度推定部73は、軸受112におけるグリースの温度を推定するものである。なお、ファン機構は、軸流ファンにおける周知の構造を採用できるため、図3などにおいては、軸部110、羽根部120などを簡略化して図示している。
例えば、軸部110は、羽根部120の回転軸となる回転シャフト111、回転シャフト111をハウジング200やコイルに対して回転可能に構成するための軸受112、回転シャフト111の周囲に配置されハウジング200に対して固定されたコイルなどを含んでいる。コイルは、ファン用回路基板130と電気的に接続されており、ファン用回路基板130から通電される。なお、コイルは、回転軸の周囲における複数箇所に設けられている。
回転シャフト111は、送風ファン100がケース20や回路基板60に取り付けられた状態で、回路基板60に対して垂直に設けられている。回転シャフト111の軸方向、すなわち羽根部120の回転軸の方向が、Z方向と一致するように、送風ファン100がケース20に取り付けられている。つまり、送風ファン100は、羽根部120の回転軸が回路基板60の板厚方向と一致した状態で、すなわちZ方向に沿った状態で壁部21に配置されている。このため、送風ファン100は、XY平面に沿って羽根部120が回転する。
また、羽根部120は、例えば、コイルの周囲に等間隔で複数個設けられており、コイルと対向する位置に磁石が取り付けられている。羽根部120は、回転シャフト111に固定されており、回転シャフト111の回転に伴って、ハウジング200に対して回転可能に構成されている。
このように、ファン機構は、ハウジング200に対して回転可能に構成された回転子と、ハウジング200に固定された固定子とを含んでいるとも言える。回転子は、例えば回転シャフト111や羽根部120などを含んでいる。一方、固定子は、例えばコイルや軸受112などを含んでいる。さらに、ファン機構は、モータと、モータの回転に伴って回転する羽根部120を備えているとも言える。
送風ファン100は、コイルが通電されることによって羽根部120が回転する。そして、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、第1通気口201から空気を吸入して、第2通気口212から排出する。この場合、第1通気口201を吸込口、第2通気口212を排出口と称することもできる。
なお、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、第2通気口212から空気を吸入して、第1通気口201から排出するように構成されていてもよい。この場合、第2通気口212を吸込口、第1通気口201を排出口と称することができる。
本実施形態では、ファン用回路基板130を保護するために、ポッティング部150を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、後程説明するハウジング200とともにファン用回路基板130と端子140がインサート成形されていてもよい。さらに、送風ファン100は、ポッティング部150が設けられていなくてもよい。なお、本実施形態で採用したファン機構は一例である。ファン機構は、例えば、遠心ファンと同様の構成であっても採用できる。
上記のように、制御部70は、演算部が防水筐体に取り付けられた回路基板60に設けられており、ファン駆動部72が防水筐体に取り付けられた送風ファン100に設けられている。よって、制御部70は、防水筐体に取り付けられていると言える。
ハウジング200は、回転シャフト111や羽根部120などの回転子を回転可能な状態で、ファン機構を収納している。ハウジング200は、第1通気口201、側壁210、側壁端部211、第2通気口212、底部220、フランジ部221などを含んでいる。送風ファン100は、ファン機構がハウジング200の側壁210で囲まれているため、飛び石などの異物がファン機構に当たるのを抑制することができ、ファン機構の羽根部120などを保護することができる。
ハウジング200は、ファン取付開口部25を塞ぐように、壁部21の内面におけるファン取付開口部25の周囲部分と対向しつつファン取付開口部25を覆うように配置されている。つまり、ハウジング200は、壁部21の内面と対向する部分を有しつつファン取付開口部25を塞ぐように壁部21に配置されている。ハウジング200には、複数の通気口201、212が形成されている。複数の通気口は、羽根部120の回転にともなって、壁部21の外面に沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において異なる位置に形成されている。
本実施形態では、第1通気口201と第2通気口212が形成されたハウジング200を採用している。第1通気口201及び第2通気口212の一方が空気の吸込口として機能し、他方が排出口として機能する。
第1通気口201及び第2通気口212は、いずれも、Z方向において、壁部21におけるファン取付開口部25の開口周囲の外面よりも上方、すなわち回路基板60から離れた位置に形成されている。第1通気口201は、少なくとも一部分がZ方向において羽根部120よりも上方に位置し、第2通気口212は、少なくとも一部分がZ方向において羽根部120よりも下方に位置するように形成されている。さらに、第2通気口212は、送風ファン100がケース20に取り付けられた状態で、防水筐体の外部に配置される位置に設けられている。つまり、第2通気口212は、壁部21の外面を基準として、内部空間S1とは反対側に位置に設けられている。
また、第1通気口201は、Z方向に開口している。一方、第2通気口212は、XY平面に沿う方向(以下、XY平面方向)に開口している。このように、第1通気口201と第2通気口212は、開口方向が異なる。このため、羽根部120が回転した際の第1通気口201を通過する風の流れは、Z方向になると言える。一方、羽根部120が回転した際の第2通気口212を通過する風の流れは、XY平面方向になると言える。送風ファン100は、吸込口を通る風の向きと、排出口を通る風の向きを変えることができるように構成されていると言える。また、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、XY平面方向に吸い込んだ空気をZ軸方向へ排出、又はZ軸方向に吸い込んだ空気をXY平面方向へ排出できるように構成されているとも言える。
本実施形態では、ハウジング200が、側壁210、底部220、及びフランジ部221を有している。ハウジング200は例えば樹脂材料を用いて形成されている。側壁210及び底部220は、Z方向において一端側が開口する有底の筒形状をなしている。この筒の開口が、第1通気口201とされている。第1通気口201の全体が、Z方向において羽根部120よりも上方に設けられている。
ハウジング200は、例えば平面略矩形状の底部220と、底部220と連なる四つの側壁210を有している。側壁210の少なくとも一つに、第2通気口212が形成されている。本実施形態では、4つの側壁210のそれぞれに、第2通気口212が形成されている。第2通気口212は、側壁210を貫通する貫通孔である。第2通気口212は、Z方向が短手方向、Z方向に直交する方向が長手方向となるように、形成されている。しかしながら、第2通気口212の開口形状は、これに限定されない。第2通気口212は、開口形状が円形や正方形であってもよく、特に限定されない。
側壁210は、底部220からZ方向に離れた位置に第2通気口212が形成されている。側壁210は、底部220側の端部に側壁端部211が設けられている。側壁端部211は、側壁210のうち、第2通気口212と底部220との間の部位である。なお、側壁端部211は、Z方向における底部220及びフランジ部221から第2通気口212までの間隔が、壁部21の厚みよりも長くなっている。これによって、ハウジング200は、第2通気口212が防水筐体の外部に配置されることになる。しかしながら、ハウジング200は、第2通気口212が内部空間S1に連通しておらず、第2通気口212の少なくとも一部が防水筐体の外部に配置されていればよい。
また、ハウジング200は、ケース20に取り付けられた防水筐体の防水性を維持するために、羽根部120などを収容している収容空間と内部空間S1とを連通する穴が形成されていない。つまり、例えば底部220には、内部空間S1に達する貫通孔などは設けられていない。側壁210及び底部220で構成される有底の筒状部材は、底に開口が設けられていない、と言うことができる。
しかしながら、ハウジング200は、後程説明するように、送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続するための端子140が内部空間S1に突出している。このため、端子140は、ハウジング200との間が水密な状態でハウジング200から突出するように構成されている。これは、ハウジング200を形成する際に、端子140をインサート成形することなどによって達成できる。
なお、本実施形態では、隣り合う側壁210の角部、すなわち連結部分がR形状をなしたハウジング200を採用している。第2通気口212は、R形状の部分を除く平坦部分に形成されている。しかしながら、ハウジング200は、これに限定されず、R形状をなしていなくてもよく、R形状をなしている部分に第2通気口212が形成されていてもよい。
また、本実施形態では、四箇所に第2通気口212が形成されたハウジング200を採用している。しかしながら、ハウジング200は、これに限定されず、三箇所以下に第2通気口212が形成されていてもよいし、五箇所以上に第2通気口212が形成されていてもよい。さらに、ハウジング200は、Z方向の平面視において丸形状であってもよい。
図3に示すように、ハウジング200は、ファン取付開口部25に挿入されている。ハウジング200は、ファン取付開口部25を通じて、ケース20の内外にわたって配置されている。底部220の少なくとも一部は、内部空間S1に配置されている。側壁210は、一部がファン取付開口部25内に配置されるとともに、他の一部が壁部21の外面よりも上方に突出している。本実施形態では、ハウジング200がファン取付開口部25に挿入された状態で、側壁端部211の一部がファン取付開口部25に配置される。つまり、側壁端部211は、Z方向に直交する方向において、ファン取付開口部25を構成するプリント基板の側壁と対向している。
フランジ部221は、側壁210及び底部220がなす筒の下端から、周囲に広がるようにして、側壁210及び底部220と一体に成形されている。フランジ部221は、ファン取付開口部25周りの全周で、壁部21と対向するように設けられている。本実施形態では、フランジ部221が、側壁210の下端及び底部220の外周端に連なっている。つまり、フランジ部221は、側壁210の下端及び底部220の外周端とから、XY平面に沿って突出した部位と言える。また、フランジ部221が、壁部21の内面におけるファン取付開口部25の周囲部分と対向している。フランジ部221は、壁部21の内面と対向する部分に相当する。
送風ファン100は、少なくともフランジ部221においてケース20に固定されている。電子制御装置10は、ハウジング200とケース20との対向部分の一部により、防水シール部51が構成されている。防水シール部51は、少なくともフランジ部221とケース20との対向部分に、シール部材50が介在してなる。本実施形態では、フランジ部221とケース20との対向部分に加えて、側壁端部211とケース20との対向部分にもシール部材50が介在してなる例を採用している。なお、フランジ部221とケース20との対向部分は、フランジ部221とケース20との間の領域又は対向領域と言い換えることができる。同様に、側壁端部211とケース20との対向部分は、側壁端部211とケース20との間の領域又は対向領域と言い換えることができる。
なお、本実施形態では、送風ユニットとして送風ファン100を採用している。しかしながら、送風ユニットは、これに限定されず、防水性を有していないファンであっても採用できる。
防水シール部51は、ファン取付開口部25を取り囲むように環状に設けられている。ハウジング200及びケース20のうち、Z方向の平面視においてシール部材50と重なる部分が、防水シール部51を構成する部分である。本実施形態では、フランジ部221とケース20との対向部分に加えて、側壁端部211とケース20との対向部分が防水シール部51とされている。このように、電子制御装置10は、壁部21とハウジング200との対向部分にシール部材50が介在してなり、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する防水シール部51を有していると言える。
しかしながら、電子制御装置10は、これに限定されず、例えば、側壁端部211とケース20との対向部分にシール部材50が設けられていなくてもよい。この場合、電子制御装置10は、フランジ部221の先端から所定範囲の部分にシール部材50が設けられ、この部分が防水シール部51となる。
なお、電子制御装置10は、これらに限定されず、ファン取付開口部25の全周であり、且つ、フランジ部221とケース20との対向部分及び側壁210とケース20との対向部分の一部にシール部材50が設けられていればよい。
また、シール部材50としては、硬化前において液状の接着材を採用できる。送風ファン100は、防水シール部51にてケース20に固定されている。
本実施形態では、防水シール部51を備えた電子制御装置10を採用している。しかしながら、電子制御装置10は、これに限定されず、防水性を有していない筐体に回路基板60が収容される場合、防水シール部51を備えていなくてもよい。
端子140は、電気接続端子に相当し、ハウジング200から内部空間S1側に突出しており、回路基板60と電気的に接続されている。送風ファン100は、例えば、三つの端子140を備えている。端子140は、ハウジング200の底部220を貫通している。端子140は、ハウジング200のうち、防水シール部51により囲まれた部分から、内部空間S1に突出している。つまり、端子140は、底部220からZ方向であり、且つ、回路基板60側に突出していると言える。端子140は、一部がハウジング200内に配置されたファン用回路基板130と電気的に接続され、他の一部が回路基板60と電気的に接続されている。
このように、電子制御装置10は、端子140を介して、ファン用回路基板130、すなわち送風ファン100と、回路基板60とが電気的に接続されている。また、送風ファン100は、端子140が防水シール部51で囲まれた位置に設けられており、端子140を介して回路基板60に電気的に接続されている。
なお、金属製の端子140は、樹脂製のハウジング200にインサート成形されて、一体化されている。また、端子140は、例えば、回路基板60に設けられたスルーホール62に一部が配置されて、すなわちスルーホール62に挿入されて、はんだなどの導電性の接続部材63によって回路基板60の配線と電気的に接続されている。
ファン用回路基板130には、羽根部120を回転させるための駆動回路であるファン駆動部72が形成されている。ファン用回路基板130には、軸部110におけるコイルが電気的に接続されている。送風ファン100は、回路基板60、端子140、及びファン用回路基板130を通じてコイルが通電されることにより、上記した回転子が正方向に回転する。そして、送風ファン100は、羽根部120の所定の形状によりハウジング200内に空気の圧力差が発生し、図3に示すように、第1通気口201から吸入した空気が第2通気口212から排出される。なお、送風ファン100は、ロータを正方向とは反対の方向に回転させると、第2通気口212から吸入した空気が第1通気口201から排出される。
ファン用回路基板130は、ハウジング200内において、羽根部120よりも下方、すなわち回路基板60側に配置されている。ファン用回路基板130は、ハウジング200に固定されている。本実施形態では、ファン用回路基板130及び端子140の一部がポッティング部150内に埋設されて、ポッティング部150で封止されている。このため、ファン用回路基板130や端子140の一部は、ポッティング部150によって保護されている。つまり、送風ファン100は、ポッティング部150で覆われたファン用回路基板130や端子140に、水などの液体が付着することを抑制できる。言い換えると、送風ファン100は、ポッティング部150によって防水性が確保されている。
ポッティング部150は、ハウジング200内に、第2通気口212を閉塞せず、且つ、羽根部120などの回転子の動きを阻害しないように設けられている。本実施形態では、一例として、底部220から第2通気口212に達するまでの空間、すなわち、底部220上において側壁端部211で囲まれた空間にポッティング部150が形成された例を採用している。
なお、ファン用回路基板130は、端子140とは別の支持部によって支持されていてもよい。ファン用回路基板130は、底部220の内面に固定されてもよい。また、ファン用回路基板130の封止は、ポッティング部150に限定されない。例えば、端子140が実装されたファン用回路基板130は、ハウジング200にインサート成形され、底部220によって封止された構成であっても採用することができる。
次に、上記した電子制御装置10の組み付け手順の一例について説明する。
先ず、ケース20、カバー30、回路基板60、及び送風ファン100をそれぞれ準備する。そして、送風ファン100を回路基板60に実装する。本実施形態では、挿入実装型の端子140を採用しており、回路基板60のスルーホール62に端子140を挿入し、回路基板60と端子140とを接続部材63で電気的に接続する。このようにして、回路基板60と送風ファン100を一体化させる。
なお、コネクタ40については、送風ファン100と同じタイミングで回路基板60に実装してもよいし、送風ファン100とは別のタイミングで実装してもよい。本実施形態では、挿入実装される回路素子61、コネクタ40、及び送風ファン100を、同じタイミングではんだ付けする。
次いで、回路基板60をケース20に取り付ける。例えば、ケース20は、壁部21の内面側に図示しない台座を有しており、回路基板60を台座に配置してねじ固定する。
回路基板60を取り付ける際、送風ファン100もケース20に取り付ける。回路基板60をケース20の台座に配置する前に、フランジ部221や側壁端部211にシール部材50を塗布する。また、ケース20の周縁部のうち、コネクタ40のハウジングが対向する部分にも、図示しないシール部材を塗布する。なお、シール部材50は、ケース20におけるフランジ部221や側壁端部211と対向する部位に塗布してもよい。
そして、ファン取付開口部25に対して送風ファン100を位置決めした状態で、回路基板60を台座に配置する。これにより、ケース20とフランジ部221や側壁端部211との間にシール部材50が形成される。シール部材50は、ケース20、フランジ部221、側壁端部211に接触する。そして、ケース20への回路基板60の固定により、防水シール部51が形成される。
次いで、ケース20の周縁部及びコネクタ40におけるカバー30との対向部分にシール部材を塗布した後、ケース20にカバー30を組み付ける。以上により、上記した電子制御装置10を得ることができる。
ここで、図4に基づいて、電子制御装置10の処理動作に関して説明する。
ステップS10では、イグニッションスイッチ(以下IGSW)がオン、すなわちIGSWオンになる。IGSWは、ドライバなどの乗員の操作に応じて、IGSWオフからIGSWオンとなる。電子制御装置10は、IGSWがIGSWオフからIGSWオンになると、ステップS11以降の処理を行う。
なお、電子制御装置10は、例えば、IGSWがIGSWオフからIGSWオンに切り替わると、ステップS11以降の処理を行うようにしてもよい。又は、電子制御装置10は、動作を開始すると、図ステップS11以降の処理を行うものであってもよい。さらに、電子制御装置10は、電源が供給されている間、所定時間毎にステップS11以降の処理を行うものであってもよい。なお、電子制御装置10は、ステップS11以降の処理を行なっている間に、IGSWオフに切り替わると図4に示す処理を終了する。
ステップS11では、内部温度>ファン始動閾値であるか否かを判定する(送風始動部)。グリース温度推定部73は、内部温度センサ80で計測された内部温度を取得して、ファン始動閾値を比較する。ファン始動閾値は、冷却開始温度に相当し、電子制御装置10が冷却の必要であるか否かを判定するための閾値である。また、ファン始動閾値は、内部温度が、電子制御装置10の冷却が必要である温度であるか否かを判定するための閾値とも言える。なお、ファン始動閾値は、予めメモリ装置に記憶されている。
そして、グリース温度推定部73は、内部温度>ファン始動閾値であると判定した場合、電子制御装置10の冷却が必要とみなしてステップS12へ進む。一方、グリース温度推定部73は、内部温度>ファン始動閾値であると判定しなかった場合、電子制御装置10の冷却が必要ないとみなしてステップS11での判定を繰り返す。なお、ステップS11では、グリース温度を推定しない。このため、ステップS11は、車両制御部71やファン駆動部72が実行してもよい。
ステップS12では、送風ファンの駆動を開始する(送風始動部)。グリース温度推定部73は、ファン駆動部72を介して送風ファン100を始動する。つまり、グリース温度推定部73は、ファン駆動部72に対して、送風ファン100の始動を指示する。これによって、ファン駆動部72は、送風ファン100を始動させる。送風ファン100は、ファン駆動部72から始動されると、羽根部120を回転させてケース20に風を供給する。このように、制御部70は、内部温度>ファン始動閾値であると判定した場合、羽根部120を回転させることで、送風ファン100に空気の流れを形成させてケース20への空気の送風を開始する。つまり、電子制御装置10は、ケース20に風を供給することで、ケース20ひいては回路基板60を冷却する。
ステップS13では、グリース温度の推定を行う(推定部)。グリース温度推定処理に関しては、図5を用いて説明する。
ステップS20では、内部温度を取得する(推定部)。グリース温度推定部73は、内部温度センサ80から内部温度を取得する。ステップS21では、エンジン回転数、噴射制御状態、シフト状態を取得する(推定部)。グリース温度推定部73は、車両制御部71からエンジン回転数、噴射制御状態、シフト状態を取得する。つまり、グリース温度推定部73は、制御部70の制御状態を取得する。このように、制御状態は、主に車両制御部71による制御状態である。ステップS22では、自己発熱を算出する(推定部)。グリース温度推定部73は、取得した制御状態から制御部70の自己発熱を算出する。
電子制御装置10は、エンジン回転数が高くなるほど、車両制御部71の負荷も大きくなり発熱量が増える。また、電子制御装置10は、多段噴射などで同回転数でも噴射回数が多いほど、車両制御部71の負荷も大きくなり発熱量が増える。さらに、電子制御装置10は、シフトレンジとギア段で決まる複数あるソレノイドの通電パターンによって、車両制御部71の負荷が大きく発熱量が多くなることがある。よって、ここでの自己発熱は、主に車両制御部71の発熱量とみなすことができる。
そして、グリース温度推定部73は、エンジン回転数、噴射制御状態、シフト状態と、自己発熱とが関連付けられた関係式などを用いることで、制御状態から自己発熱を算出する。なお、グリース温度推定部73は、エンジン回転数、噴射制御状態、シフト状態と、自己発熱とが関連付けられたマップから、制御状態から自己発熱を得ることもできる。このため、グリース温度推定部73は、制御状態から自己発熱を取得するとも言える。
なお、メモリ装置には、内部温度センサ80から軸受112までの熱抵抗値が記憶されている。熱抵抗値は、内部温度センサ80から軸受112までの熱伝達経路における熱抵抗値である。そして、グリース温度推定部73は、グリースの温度を推定する際に、メモリ装置から熱抵抗値を取得する。
ステップS23では、グリース温度計算式によりグリース推定温度を算出する。グリース温度推定部73は、内部温度、自己発熱、熱抵抗値と、グリース温度計算式とに基づいて、グリース推定温度を算出する。つまり、グリース温度推定部73は、演算によってグリース推定温度を推定すると言える。なお、グリース温度計算式は、グリース温度[℃]=内部温度[℃]−熱抵抗[℃/W]×自己発熱[W]である。
このように、グリース温度推定部73は、電子制御装置10の内部温度と制御部70の制御状態とを取得し、内部温度と制御状態とに基づいてグリースの温度を推定する。そして、グリース温度推定部73は、ステップS23での処理を終了すると図3の処理に戻りステップS14へ進む。
ステップS14では、グリース推定温度<ファン停止閾値であるか否かを判定する(送風低減部)。ファン停止閾値は、グリースが硬くなる温度に相当し、電子制御装置10の冷却停止が必要であるか否かを判定するための閾値である。ここでの、グリースが硬くなる温度とは、グリースの使用可能な温度範囲の最低温度、すなわち、グリースが潤滑部材としての機能を発揮できなくなる最低温度と言える。
また、ファン停止閾値は、グリース推定温度が、送風ファン100の停止が必要である温度であるか否かを判定するための閾値とも言える。さらに、ファン停止閾値は、送風ファン100からの送風によって、軸受112の潤滑部材としての機能を発揮できない程度の硬さになるほどグリースの温度が低下しているか否かを判定するための閾値とも言える。なお、ファン停止閾値は、予めメモリ装置に記憶されている。
グリースは、送風ファン100によってケース20が冷却されると、その影響でグリースの温度も下がる。また、グリースは、温度が下がると硬くなる。そして、グリースは、硬くなると、回転シャフト111や軸受112との間の抵抗が高くなり、潤滑部材としての機能を発揮できなくなる。グリースが潤滑部材としての機能を発揮できなくなる程度に硬くなる温度は、送風ファン100による冷却の抑制が必要な温度であり、冷却抑制温度とも言える。よって、ファン停止閾値は、冷却抑制温度に相当するとも言える。なお、グリースは、温度が下がると粘度が高くなるとも言える。
そして、グリース温度推定部73は、グリース推定温度<ファン停止閾値であると判定した場合、送風ファン100からの送風によってグリースの温度が低下し、グリースが硬くなるとみなしてステップS15へ進む。一方、グリース温度推定部73は、グリース推定温度<ファン停止閾値であると判定しなかった場合、送風ファン100からの送風がなされていても、グリースが硬くなる程度にグリースの温度が低下していないとみなしてステップS13へ戻る。
ステップS15では、送風ファンの駆動を停止する(送風低減部)。グリース温度推定部73は、ファン駆動部72を介して送風ファン100の駆動を停止する。つまり、グリース温度推定部73は、ファン駆動部72に対して、送風ファン100の停止を指示する。これによって、ファン駆動部72は、送風ファン100を停止させる。このように、制御部70は、送風ファン100からの送風によってグリースが硬くなるとみなした場合、送風ファン100に対して停止を指示する。
送風ファン100は、グリース温度推定部73によって停止が指示されると、羽根部120の回転を停止させて、ケース20への風の供給を止める。このように、グリース温度推定部73は、送風ファン100よる送風が行われている状況において、グリース推定温度が、グリースが硬くなる温度を下回ったと判定した場合、送風ファン100の駆動を停止させる。つまり、グリース温度推定部73は、羽根部120の回転を停止させる。
しかしながら、グリース温度推定部73は、グリースが硬くなる温度を下回ったと判定した場合、羽根部120の回転数を低減するものであれば採用できる。よって、グリース温度推定部73は、羽根部120の回転を停止させることなく、ケース20を冷却するために送風ファン100を始動させたときよりも、羽根部120の回転数を低減してもよい。つまり、グリース温度推定部73は、グリースが潤滑部材としての機能を発揮できなくなる程度に硬くならないように、羽根部120を回転させてもよい。
なお、電子制御装置10は、送風ファン100を動作させている際に、内部温度がファン始動閾値より低いと判定した場合、電子制御装置10の冷却が必要なくなったとみなして、送風ファン100の動作を停止させてもよい。このように、電子制御装置10は、冷却が必要ない場合、ケース20への風の供給を停止させて消費電力を低減することができる。言い換えると、電子制御装置10は、電力の無駄な消費を避けるために、電子制御装置10の駆動時、常に送風ファン100を動作させ続けるのではなく、一定時間後におけるECU温度が冷却予測閾値に達すると予測したときのみ送風ファン100を動作させる。
ステップS16では、IGSWがオフであるか否かを判定する。グリース温度推定部73は、IGSWオフであるか否か、すなわち、IGSWがIGSWオンからIGSWオフに切り替わったか否かを判定する。そして、グリース温度推定部73は、IGSWがIGSWオフであると判定した場合、図4の処理を終了する。一方、グリース温度推定部73は、IGSWがIGSWオフであると判定しなかった場合、ステップS11へ戻る。
電子制御装置10は、送風ファン100を備えており、送風ファン100から壁部21の外面に沿った空気の流れを形成することで、ケース20を冷却している。これによって、電子制御装置10は、ケース20ひいては回路基板60を冷却することができる。しかしながら、電子制御装置10は、ケース20などを冷却することで、グリースの温度も低下してしまう可能性がある。つまり、電子制御装置10は、ケース20などを冷却することで、グリースの周辺温度が低下し、グリースの温度を低下させてしまう。
そこで、電子制御装置10は、内部温度と制御状態とに基づいてグリースの温度を推定し、グリース推定温度が、グリースが硬くなる温度を下回ったと判定した場合、羽根部120の回転数を低減する。よって、電子制御装置10は、グリースが硬くなることを抑制できる。このため、電子制御装置10は、グリースの抵抗が必要以上に大きくなることを抑制でき、送風ファン100の寿命低下を抑制できる。つまり、電子制御装置10は、グリースの抵抗が必要以上に大きくなり、高負荷の状態で羽根部120を回転させることを抑制できるため、送風ファン100の寿命低下を抑制できる。なお、グリースの抵抗とは、羽根部120が回転する際に、羽根部120の回転を妨げるように働く抵抗とも言える。
また、電子制御装置10は、送風ファン100でケース20を冷却するものであっても、グリースの抵抗が必要以上に大きくなることを抑制できるため、使用可能な温度範囲が広いグリースを用いる必要がない。よって、電子制御装置10は、使用可能な温度範囲が広いグリースを用いることでコストを上がることを抑制できる。言い換えると、電子制御装置10は、使用可能な温度範囲を高温側に絞ったグリースを採用できるため、使用可能な温度範囲が広いグリースを用いる場合よりもコストを低減できる。さらに、電子制御装置10は、ファン停止閾値を、グリースの使用可能な温度範囲の最低温度程度に設定することで、高温特性に特化したグリースのスペックを使い切ることができる。
さらに、電子制御装置10は、グリースの温度が、グリースの使用可能な温度範囲の最低温度を下回ることを確実に抑制するために、この最低温度よりも高い温度をファン停止閾値として採用してもよい。これによって、電子制御装置10は、グリースの温度が低下することで送風ファン100の寿命が低下することを確実に抑制できる。なお、この場合のファン停止閾値は、実機を用いた実験やシミュレーションなどによって設定することができる。
また、電子制御装置10では、防水シール部51で囲まれた位置から内部空間S1に突出した端子140を介して送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続している。このため、電子制御装置10は、回路基板60とは異なる車両に設けられた電子機器などと送風ファン100とを電気的に接続する必要がなく、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。また、電子制御装置10は、防水筐体の外部に設けられたワイヤハーネスなどを介して回路基板60と送風ファン100とを接続したり、回路基板60とは異なる車両に設けられた電子機器などと送風ファン100とを直接電気的に接続したりする必要がない。よって、電子制御装置10は、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。これによって、電子制御装置10は、構成を簡素化でき、体格を小型化できる。さらに、電子制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に電気的に接続する際の工数を低減できる。
また、送風ファン100は、強制的に空気の流れを作ってケース20を冷却している。このため、送風ファン100を取り付けた電子制御装置10は、放熱フィンのみを取り付けた電子制御装置よりも放熱性能が優れていると言える。つまり、防水筐体の占める面積が同じ場合、送風ファン100を取り付けた電子制御装置10は、放熱フィンのみを取り付けた電子制御装置よりも放熱性能が優れている。逆に、放熱性能が同じ電子制御装置を比較した場合、送風ファン100を取り付けた電子制御装置10の防水筐体が必要とする面積は,放熱フィンのみを取り付けた電子制御装置の防水筐体が占める面積よりも小さい。よって、電子制御装置10は、送風ファン100と同様の冷却性能を確保するために放熱フィンを設ける場合よりも、体格を小型化できる。
また、防水筐体や回路基板を冷却するには、エンジン冷却水などを防水筐体の周囲に配置して、エンジン冷却水で冷却することも考えられる。さらに、防水筐体や回路基板を冷却するには、ラジエータファンからの風があたる位置に電子制御装置を配置して、ラジエータファンからの風によって冷却することも考えられる。
しかしながら、電子制御装置10は、上記のようにケース20に送風ファン100を取り付けて、送風ファン100で冷却を行う。このため、電子制御装置10は、エンジン冷却水を防水筐体の周囲に配置したり、ラジエータファンからの風があたる位置に電子制御装置10を配置したりする必要がなく、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。
また、送風ファン100は、羽根部120の回転軸がZ方向に直交する状態で壁部21に配置することも考えられる。しかしながら、電子制御装置10では、回転軸が回路基板60の板厚方向と一致した状態で壁部21に配置している。このため、電子制御装置10は、回転軸がZ方向に直交する状態で壁部21に配置する場合よりも、Z方向の体格を小さくすることができる。
特に本実施形態では、送風ファン100の一部をファン取付開口部25内に配置している。このため、電子制御装置10は、Z方向において、体格をより一層小型化することができる。さらには、電子制御装置10は、送風ファン100の一部を内部空間S1内に配置しているため、Z方向において、体格をより一層小型化することができる。
また、電子制御装置10は、壁部21の内面にハウジング200のフランジ部221が対向するように、送風ファン100とケース20とが組み付けられている。このため、電子制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に実装してから、ケース20を送風ファン100に組み付けることができる。これによって、電子制御装置10は、送風ファン100から露出している端子140を回路基板60のスルーホール62に容易に挿入することができる。また、電子制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に実装される電子部品の一つとして取り扱うことができ、組み付けを簡素化できる。
電子制御装置10は、ケース20に設けられた放熱フィンによって冷却を行う構成に対して、カバー30の外形、回路基板60の外形、製造工程を変更することなく送風ファン100をケース20に取り付けることができる。
電子制御装置10は、回路基板60が防水筐体に収容されているため、回路基板60から発せられた熱が防水筐体に放熱される。そして、電子制御装置10は、送風ファン100によって外面に沿った空気の流れが形成されるため、防水筐体の放熱を促進することができる。電子制御装置10は、送風ファン100によって作り出された風によって回路基板60を冷却するため、放熱フィンによって防水筐体や回路基板60を冷却する構成よりも、防水筐体や回路基板60を急冷することができる。
つまり、本実施形態では、羽根部120の回転軸が、回路基板60の板厚方向であるZ方向と略一致するように、送風ファン100がケース20に取り付けられている。そして、ハウジング200には、羽根部120の回転にともなって、ケース20の外面に沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において互いに異なる位置に第1通気口201及び第2通気口212が形成されている。このため、送風ファン100により、ケース20、ひいては回路基板60を効率よく冷却することができる。
特に本実施形態では、第1通気口201が吸込口、第2通気口212が排出口とされる。これによれば、第2通気口212が吸込口、第1通気口201が排出口とされる構成に較べて、同じ回転数でも、ケース20の外面上の流速を高めることができる。すなわち、ケース20、ひいては回路基板60の温度を低くすることができる。この点については、シミュレーションにより確認されている。
上記したように、ケースの底壁に貫通孔を設けない構成では、送風ユニットにコネクタを設け、防水筐体の外で電気的な接続を行うこととなる。このため、ケースの外面上に、コネクタに接続されたハーネスが配置されることとなり、冷却の妨げとなる。すなわち、電子部品である発熱素子の配置も制限される。これに対し、本実施形態では、送風ファン100の端子140が回路基板60に接続されている。したがって、上記したコネクタやハーネスの妨げが無いため、回路素子61の配置自由度を向上することができる。
このように、コネクタやハーネスの妨げが無いため、本実施形態では、ハウジング200の4つの側壁210のすべてに、第2通気口212が形成されている。これにより、第1通気口201から吸入した空気が、ケース20の外面上を四方に広がる。したがって、ケース20を効果的に冷却することができる。また、電子制御装置10は、防水シール部51を有しているため、送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続しつつ、防水筐体の防水性を確保することができる。
なお、本実施形態では、シール部材50として、硬化前において液状の接着材を採用している。しかしながら、シール部材50は、これに限定されず、弾性変形によってファン取付開口部25の周りを水密に封止する部材であっても採用できる。このシール部材50は、Oリングや環状のゴムシートなどであり、ファン取付開口部25を囲う位置に設けられ、ハウジング200とケース20とで挟み込まれて弾性変形することで、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する。この場合、電子制御装置10は、ケース20に対して送風ファン100を固定する固定機構を備えることが好ましい。また、この点は、他の実施形態でも同様である。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
例えば、グリース温度推定処理は、上記で採用した例に限定されない。ここで、図6を用いて、グリース温度推定処理の変形例に関して説明する。なお、図6では、図5と同じ処理に関して、図5と同じステップ番号を付与している。このため、図5と同じステップ番号の処理は、図5での説明を参照して適用することができる。
ステップS22aでは、内部温度と制御状態とマップと比較する。グリース温度推定部73は、ステップS20、S21で取得した内部温度と制御状態と、メモリ装置に記憶されたマップとを比較する。マップは、複数の内部温度のそれぞれと、複数の制御状態のそれぞれと、各内部温度と各制御状態時に推定されるグリースの温度とが関連付けられている。つまり、マップは、複数の内部温度のそれぞれと、複数のエンジン回転数のそれぞれと、複数の噴射制御状態のそれぞれと、複数のシフト状態のそれぞれと、推定されるグリースの温度とが関連付けられている。マップは、実機を用いた実験や、シミュレーションなどによって生成することができる。なお、このマップは、グリースの温度を推定するために用いられるので、グリース温度推定マップと言える。また、グリース温度推定マップは、複数のパラメータを用いてグリース温度計算式で演算した結果をマップ化したものと言える。よって、内部温度が高いほどグリース温度は高くなる。しかしながら、自己発熱が大きいほど内部温度とグリース温度の差が大きくなるため、同じ内部温度で制御負荷が大きいとグリース温度は低い結果となる。
ステップS23aでは、マップよりグリース推定温度を取得する。グリース温度推定部73は、ステップS22aで内部温度と制御状態とマップと比較することで、グリース推定温度を取得する。つまり、グリース温度推定部73は、内部温度と制御状態とマップとからグリース推定温度を推定すると言える。
電子制御装置10は、このようにしてグリース温度を推定することで、上記実施形態のように逐次計算を行うことなくグリース推定温度を得ることができる。よって、電子制御装置10は、上記実施形態よりも、グリース温度推定部73の処理負荷を低減できる。
グリース温度推定部73は、内部温度と制御状態とに基づいてグリースの温度を推定し、これとは別に、羽根部120の回転数及び羽根部120を回転させるための駆動電流に基づいてグリースの温度を推定してもよい。内部温度と制御状態とに基づいて推定したグリース推定温度は、第1推定温度に相当する。一方、羽根部120の回転数及び羽根部120を回転させるための駆動電流に基づいて推定したグリース推定温度は、第2推定温度に相当する。よって、グリース温度推定部73は、第1推定温度に加えて、第2推定温度を推定する。そして、グリース温度推定部73は、第1推定温度と第2推定温度のうち温度が低い方を用いて、グリースが硬くなる温度を下回ったか否かを判定してもよい(送風低減部)。
また、グリース温度推定部73は、吸気温度センサ420から出力された吸気温度、すなわち外気温度を示す吸気温度信号を取得可能に構成されていてもよい。この場合、グリース温度推定部73は、推定したグリース推定温度を、吸気温度が低いほど低い温度に補正する。グリース温度推定部73は、第1推定温度のみを推定する場合、第1推定温度を吸気温度に基づいて補正する。また、グリース温度推定部73は、第1推定温度と第2推定温度を推定する場合、第1推定温度と第2推定温度を吸気温度に基づいて補正する。
グリースの温度は、外気温度にも影響を受ける。このため、グリース温度推定部73は、外気温度に相当する吸気温度でグリースの推定温度を補正することで、グリースの温度を推定する際の推定精度を向上できる。つまり、グリース温度推定部73は、推定したグリースの温度を、実際のグリースの温度に近い温度とすることができる。このため、電子制御装置10は、補正を行わない場合よりも、グリースの抵抗が必要以上に大きくなることを抑制でき、送風ファン100の寿命低下を抑制できる。
なお、本実施形態では、駆動源としてエンジンを搭載した車両に搭載された電子制御装置10を採用した。しかしながら、本開示は、これに限定されない。電子制御装置10は、駆動源としてエンジンとモータを搭載した車両(ハイブリッド車)に搭載されていてもよい。さらに、電子制御装置10は、駆動源としてエンジンを搭載しておらず、モータを搭載した車両(電気自動車)に搭載されていてもよい。この場合、電子制御装置10は、ステップS21で駆動モータの回転を示すモータ回転信号を取得して、ステップS22、S22aでモータ回転数を用いてもよい。
10…電子制御装置、20…ケース、21…壁部、22…コネクタ取付部、23…車体固定部、24…筐体固定孔、25…ファン取付開口部、30…カバー、31…放熱フィン、40…コネクタ、50…シール部材、51…防水シール部、60…回路基板、61…回路素子、62…スルーホール、63…接続部材、70…制御部、71…車両制御部、72…駆動部、73…グリース温度推定部、80…内部温度センサ、100…送風ファン、110…軸部、111…回転シャフト、112…軸受、120…羽根、130…ファン用回路基板、140…端子、150…ポッティング部、200…ハウジング、201…開口部、210…側壁、211…側壁端部、212…通気口、220…底部、221…フランジ部、410…エンジン回転センサ、420…吸気温度センサ、430…シフトスイッチ、310…インジェクタ、320…電スロモータ、330…シフトソレノイド、340…バルブ、350…リレー

Claims (6)

  1. 車両に搭載可能な電子制御装置であって、
    壁部(21)を有する筐体(20)と、
    前記筐体に取り付けられ、制御対象の車載機器を駆動制御する制御部(70)と、
    前記壁部に配置されており、前記制御部によって駆動制御され、前記壁部の外面に沿った空気の流れを形成することで前記筐体を冷却する送風ユニット(100)と、を有しており、
    前記送風ユニットは、
    羽根部(120)と、前記羽根部を回転可能に収容し前記壁部に配置されたハウジング(200)と、一部が前記ハウジングに固定されつつ前記羽根部を回転可能に支持するグリースで潤滑された軸受(112)と、を含んでおり、
    前記制御部は、
    前記電子制御装置の温度が冷却の必要な冷却開始温度を超えると、前記羽根部を回転させることで、前記送風ユニットに前記空気の流れを形成させて前記筐体への前記空気の送風を開始する送風始動部(S11、S12)と、
    前記電子制御装置の装置温度と前記制御部の制御状態とを取得し、前記装置温度と前記制御状態とに基づいて前記グリースの温度を推定する推定部(S13)と、
    前記送風ユニットよる送風が行われている状況において、前記推定部にて推定された前記グリースの推定温度が、前記グリースが硬くなる温度を下回ったか否かを判定し、下回ったと判定した場合、前記羽根部の回転数を低減する送風低減部(S14、S15)と、を備え
    前記装置温度を計測する装置温度センサを有しており、
    前記推定部は、前記装置温度と、前記制御状態から算出された前記制御部の自己発熱と、前記装置温度センサから前記軸受までの熱抵抗とに基づいて、前記推定温度を推定する電子制御装置。
  2. 車両に搭載可能な電子制御装置であって、
    壁部(21)を有する筐体(20)と、
    前記筐体に取り付けられ、制御対象の車載機器を駆動制御する制御部(70)と、
    前記壁部に配置されており、前記制御部によって駆動制御され、前記壁部の外面に沿った空気の流れを形成することで前記筐体を冷却する送風ユニット(100)と、を有しており、
    前記送風ユニットは、
    羽根部(120)と、前記羽根部を回転可能に収容し前記壁部に配置されたハウジング(200)と、一部が前記ハウジングに固定されつつ前記羽根部を回転可能に支持するグリースで潤滑された軸受(112)と、を含んでおり、
    前記制御部は、
    前記電子制御装置の温度が冷却の必要な冷却開始温度を超えると、前記羽根部を回転させることで、前記送風ユニットに前記空気の流れを形成させて前記筐体への前記空気の送風を開始する送風始動部(S11、S12)と、
    前記電子制御装置の装置温度と前記制御部の制御状態とを取得し、前記装置温度と前記制御状態とに基づいて前記グリースの温度を推定する推定部(S13)と、
    前記送風ユニットよる送風が行われている状況において、前記推定部にて推定された前記グリースの推定温度が、前記グリースが硬くなる温度を下回ったか否かを判定し、下回ったと判定した場合、前記羽根部の回転数を低減する送風低減部(S14、S15)と、を備え
    前記装置温度と前記制御状態とに基づいて推定された前記推定温度を第1推定温度とすると、
    前記推定部は、前記第1推定温度に加えて、前記羽根部の回転数及び前記羽根部を回転させるための駆動電流に基づいて前記グリースの第2推定温度を推定し、
    前記送風低減部は、前記第1推定温度と前記第2推定温度のうち温度が低い方を用いて、前記グリースが硬くなる温度を下回ったか否かを判定する電子制御装置。
  3. 車両に搭載可能な電子制御装置であって、
    壁部(21)を有する筐体(20)と、
    前記筐体に取り付けられ、制御対象の車載機器を駆動制御する制御部(70)と、
    前記壁部に配置されており、前記制御部によって駆動制御され、前記壁部の外面に沿った空気の流れを形成することで前記筐体を冷却する送風ユニット(100)と、を有しており、
    前記送風ユニットは、
    羽根部(120)と、前記羽根部を回転可能に収容し前記壁部に配置されたハウジング(200)と、一部が前記ハウジングに固定されつつ前記羽根部を回転可能に支持するグリースで潤滑された軸受(112)と、を含んでおり、
    前記制御部は、
    前記電子制御装置の温度が冷却の必要な冷却開始温度を超えると、前記羽根部を回転させることで、前記送風ユニットに前記空気の流れを形成させて前記筐体への前記空気の送風を開始する送風始動部(S11、S12)と、
    前記電子制御装置の装置温度と前記制御部の制御状態とを取得し、前記装置温度と前記制御状態とに基づいて前記グリースの温度を推定する推定部(S13)と、
    前記送風ユニットよる送風が行われている状況において、前記推定部にて推定された前記グリースの推定温度が、前記グリースが硬くなる温度を下回ったか否かを判定し、下回ったと判定した場合、前記羽根部の回転数を低減する送風低減部(S14、S15)と、を備え
    前記車両のエンジンにおける吸気の温度を計測する吸気温度センサを有しており、
    前記推定部は、推定した温度を、前記吸気の温度が低いほど低い温度に補正する電子制御装置。
  4. 前記装置温度と前記制御状態とに基づいて推定された前記推定温度を第1推定温度とすると、
    前記推定部は、前記第1推定温度に加えて、前記羽根部の回転数及び前記羽根部を回転させるための駆動電流に基づいて前記グリースの第2推定温度を推定し、
    前記送風低減部は、前記第1推定温度と前記第2推定温度のうち温度が低い方を用いて、前記グリースが硬くなる温度を下回ったか否かを判定する請求項3に記載の電子制御装置。
  5. 前記装置温度を計測する装置温度センサを有しており、
    前記推定部は、前記装置温度と、前記制御状態から算出された前記制御部の自己発熱と、前記装置温度センサから前記軸受までの熱抵抗とに基づいて、前記推定温度を推定する請求項2乃至4のいずれか一項に記載の電子制御装置。
  6. 複数の前記装置温度のそれぞれと、複数の前記制御状態のそれぞれと、各装置温度と各制御状態時に推定される前記グリースの温度とが関連付けられたマップと、を有しており、
    前記推定部は、前記装置温度と、前記制御状態と、前記マップとから前記グリースの温度を取得することで、前記推定温度を推定する請求項2乃至4のいずれか一項に記載の電子制御装置。
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