JP2019016688A - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性に優れる積層セラミック電子部品の製造方法を提供する。【解決手段】積層された複数のセラミックグリーンシート42と、内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、上記マザーブロックを互いに直交する切断線に沿って切断することによって、切断側面20に上記内部電極が露出した、複数のグリーンチップ19を得る切断工程と、上記切断側面にセラミック保護層用グリーンシート42を貼付することによって、未焼成の部品本体を得る貼付工程と、上記未焼成の部品本体を焼成する工程とを備え、上記セラミック保護層用グリーンシートは、樹脂シート42aと上記樹脂シート上に形成されたセラミックシート42bとを含み、上記貼付工程では、上記セラミック保護層用グリーンシートを構成する上記セラミックシートを上記切断側面に接触させる。【選択図】図9

Description

本発明は、積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
積層セラミック電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサが挙げられる。積層セラミックコンデンサを製造するためには、例えば、内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを積層し、得られた未焼成の部品本体を焼成した後、焼結した部品本体の相対向する端面に外部電極を形成する。これによって、両側の端面に引き出された内部電極が外部電極と電気的に接続された積層セラミックコンデンサが得られる。
近年、電子部品の小型化及び高機能化に伴い、積層セラミックコンデンサには、小型化及び高容量化が求められている。積層セラミックコンデンサの小型化及び高容量化を実現するためには、セラミックグリーンシート上を占有する内部電極の有効面積、つまり、互いに対向する内部電極の面積を大きくすることが有効である。
例えば、特許文献1には、積層された複数のセラミックグリーンシートと、上記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、上記マザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ上記第2方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に上記内部電極が露出した状態にある、複数のグリーンチップを得る、切断工程と、上記切断側面に側面用セラミックグリーンシートを貼付して、未焼成のセラミック保護層を形成することによって、未焼成の部品本体を得る、貼付工程と、上記未焼成の部品本体を焼成する工程とを備える積層セラミック電子部品の製造方法が開示されている。
特許文献1には、貼付工程において、側面用セラミックグリーンシートが貼付用弾性体上に置かれ、貼付用弾性体が弾性変形する程度の力で、切断側面が側面用セラミックグリーンシートに押し付けられることが記載されている。さらに、特許文献1には、側面用セラミックグリーンシートが、切断側面の周縁からのせん断力によって、切断側面の寸法分だけ打ち抜かれることが好ましいと記載されている。
特開2012−209539号公報
積層セラミックコンデンサの小型化及び高容量化が進む中では、セラミック保護層となる側面用セラミックグリーンシート(以下、セラミック保護層用グリーンシートともいう)のさらなる薄層化が求められる。しかし、セラミック保護層用グリーンシートを薄くすることによって、内部電極の有効面積を大きくすることができる一方で、セラミック保護層用グリーンシートが破れやすくなるため、そのハンドリングが困難になる。また、貼付工程においてセラミック保護層用グリーンシートを打ち抜く場合には、セラミック保護層用グリーンシートが薄くなるほど、切断側面の形状にセラミック保護層用グリーンシートを打ち抜くことができない等の加工不良が生じやすくなる。
なお、上記の問題は、積層セラミックコンデンサを製造する場合に限らず、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品を製造する場合に共通する問題である。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性に優れる積層セラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法は、第1の態様において、積層された複数のセラミックグリーンシートと、上記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、上記マザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ上記第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に上記内部電極が露出した、複数のグリーンチップを得る切断工程と、上記切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付することによって、未焼成の部品本体を得る貼付工程と、上記未焼成の部品本体を焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、上記セラミック保護層用グリーンシートは、樹脂シートと、上記樹脂シート上に形成されたセラミックシートとを含み、上記貼付工程では、上記セラミック保護層用グリーンシートを構成する上記セラミックシートを上記切断側面に接触させることを特徴とする。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法は、第2の態様において、積層された複数のセラミックグリーンシートと、上記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、上記マザーブロックを第1方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ上記第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に上記内部電極が露出した、複数の棒状のグリーンブロック体を得る第1切断工程と、上記切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付する貼付工程と、上記セラミック保護層用グリーンシートが貼付された上記棒状のグリーンブロック体を、上記第1方向に直交する第2方向の切断線に沿って切断することによって、複数の未焼成の部品本体を得る第2切断工程と、上記未焼成の部品本体を焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、上記セラミック保護層用グリーンシートは、樹脂シートと、上記樹脂シート上に形成されたセラミックシートとを含み、上記貼付工程では、上記セラミック保護層用グリーンシートを構成する上記セラミックシートを上記切断側面に接触させることを特徴とする。
以下、本発明の第1の態様及び第2の態様を特に区別しない場合、単に「本発明の積層セラミック電子部品の製造方法」という。
上述したように、セラミック保護層用グリーンシートを薄くすることによって、内部電極の有効面積を大きくすることができる一方で、セラミック保護層用グリーンシートが破れやすくなるため、そのハンドリングが困難になる。また、貼付工程においてセラミック保護層用グリーンシートを打ち抜く場合には、セラミック保護層用グリーンシートが薄くなるほど、切断側面の形状にセラミック保護層用グリーンシートを打ち抜くことができない等の加工不良が生じやすくなる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法では、セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートの外側に樹脂シートを取り付けることにより、セラミック保護層用グリーンシートを厚くすることができるため、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性を確保することができる。さらに、セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートが、グリーンチップ又は棒状のグリーンブロック体に対する保護膜の役割を果たすため、グリーンチップ又は棒状のグリーンブロック体の欠けや割れ等を低減することができる。セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートは脱脂及び/又は焼成時に焼失させることができるため、内部電極の有効面積が大きい積層セラミック電子部品を製造することができる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法において、上記セラミック保護層用グリーンシートを構成する上記樹脂シートの厚みは、100μm以下であることが好ましい。また、上記セラミック保護層用グリーンシートを構成する上記樹脂シートの厚みは、20μm以上、30μm以下であることがより好ましい。
セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートの厚みが上記範囲であれば、セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートを薄くしても、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性を確保することができる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法において、上記セラミック保護層用グリーンシートを構成する上記樹脂シートは、セルロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール系及びポリビニルブチラール系からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることが好ましい。
上記樹脂は200℃以上で焼失しやすいため、セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートを脱脂及び/又は焼成時に焼失させることができる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法において、上記セラミック保護層用グリーンシートを構成する上記セラミックシートの厚みは、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法では、セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートの厚みを変更することで、セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートを上記範囲のように薄くすることができる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法において、上記セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx[%]、上記セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をy[N]としたとき、y≧1.30であり、かつ、−0.0962x+2.28≦y≦−0.1172x+3.49を満たすことが好ましい。
上記の場合、セラミック保護層用グリーンシートの破断歪x及び破断荷重yの範囲を個別に規定するのではなく、セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重yがセラミック保護層用グリーンシートの破断歪xに対して所定の関係を満たすように破断荷重yの範囲を規定している。その結果、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性をバランス良く確保することができる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法において、上記貼付工程では、貼付用弾性体上に置かれた上記セラミック保護層用グリーンシートに上記切断側面を押し付けた後、上記セラミック保護層用グリーンシートを上記切断側面に付着させた状態で、上記グリーンチップ又は上記棒状のグリーンブロック体を上記貼付用弾性体から離隔することが好ましい。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法において、上記セラミック保護層用グリーンシートは、上記切断側面より大きい寸法を有し、上記切断側面を上記セラミック保護層用グリーンシートに押し付ける際、上記セラミック保護層用グリーンシートを上記切断側面の周縁によって打ち抜くことが好ましい。
本発明によれば、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性に優れる積層セラミック電子部品の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサを構成する部品本体の一例を模式的に示す斜視図である。 図3は、図2に示す部品本体を作製するために準備されるグリーンチップの一例を模式的に示す斜視図である。 図4は、図3に示すグリーンチップを作製するために準備される内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの一例を模式的に示す平面図である。 図5(a)は、図4に示すセラミックグリーンシートを積層する工程を説明するための斜視図である。図5(b)及び図5(c)は、図4に示すセラミックグリーンシートを積層する工程を説明するための平面図である。 図6は、マザーブロックを切断する工程を説明するための斜視図である。 図7は、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップの互いの間隔を広げた状態を示す斜視図である。 図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、転動工程の一例を説明するためにグリーンチップの端面方向から示した図である。 図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、貼付工程の一例を説明するためにグリーンチップの端面方向から示した図である。 図10は、セラミック保護層用グリーンシートの破断歪x及び破断荷重yと評価結果との関係を示すグラフである。
以下、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの製造方法を例にとって説明する。なお、本発明の製造方法は、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品にも適用することができる。
まず、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサについて説明する。
図1は、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサを構成する部品本体の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す積層セラミックコンデンサ11は、部品本体12を備えている。図2に示すように、部品本体12は、直方体状又は略直方体状をなしており、互いに対向する1対の主面13及び14と、互いに対向する1対の側面15及び16と、互いに対向する1対の端面17及び18とを有している。
図3は、図2に示す部品本体を作製するために準備されるグリーンチップの一例を模式的に示す斜視図である。
後述するように、図2に示す部品本体12は、図3に示すグリーンチップ19の互いに対向する1対の側面(以下、切断側面という)20及び21上に、未焼成のセラミック保護層22及び23をそれぞれ形成したものを焼成することにより得られる。以後の説明において、焼成後の部品本体12におけるグリーンチップ19に由来する部分を積層部24と呼ぶことにする。
図2及び図3に示すように、部品本体12における積層部24は、主面13及び14の方向に延びかつ主面13及び14に直交する方向に積層された複数のセラミック層25と、セラミック層25間の界面に沿って形成された複数対の内部電極26及び27とをもって構成された積層構造を有している。部品本体12は、その側面15及び16をそれぞれ与えるように積層部24の切断側面20及び21上に配置される1対のセラミック保護層22及び23を有している。セラミック保護層22及び23の厚みは、互いに同じであることが好ましい。
なお、図1及び図2においては、説明の便宜のために、積層部24とセラミック保護層22及び23の各々との境界が明瞭に図示されているが、このような境界は明瞭に現れなくてもよい。
図2及び図3に示すように、内部電極26と内部電極27とは、セラミック層25を介して互いに対向する。内部電極26と内部電極27とが対向することによって、電気的特性が発現する。すなわち、図1に示す積層セラミックコンデンサ11においては、静電容量が形成される。
内部電極26は、部品本体12の端面17に露出する露出端を持ち、内部電極27は、部品本体12の端面18に露出する露出端を持っている。一方、上述したセラミック保護層22及び23が配置されているため、内部電極26及び27は、部品本体12の側面15及び16には露出しない。
図1に示すように、積層セラミックコンデンサ11は、さらに、内部電極26及び27の各々の露出端にそれぞれ電気的に接続されるように、部品本体12の少なくとも1対の端面17及び18上にそれぞれ形成された、外部電極28及び29を備えている。
外部電極28及び29は、部品本体12の少なくとも1対の端面17及び18上にそれぞれ形成されており、図1では、主面13及び14並びに側面15及び16の各一部にまで回り込んだ部分を有している。
内部電極を構成する導電材料としては、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等の金属材料を用いることができる。
セラミック層及びセラミック保護層を構成するセラミック材料としては、例えば、BaTiO、CaTiO、SrTiO、CaZrO等を主成分とする誘電体セラミックを用いることができる。
セラミック保護層を構成するセラミック材料は、セラミック層を構成するセラミック材料と少なくとも主成分が同じであることが好ましい。この場合、同じ組成のセラミック材料がセラミック層とセラミック保護層との双方に用いられることが特に好ましい。
上述のとおり、本発明の製造方法は、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品にも適用することができる。例えば、積層セラミック電子部品が圧電部品の場合には、PZT系セラミック等の圧電体セラミック、サーミスタの場合には、スピネル系セラミック等の半導体セラミックが用いられる。
外部電極は、下地層と下地層上に形成されるめっき層とで構成されることが好ましい。下地層を構成する導電材料としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等を用いることができる。下地層は、導電性ペーストを未焼成の部品本体上に塗布して部品本体と同時焼成するコファイア法を適用することによって形成されてもよく、導電性ペーストを焼成後の部品本体上に塗布して焼き付けるポストファイア法を適用することによって形成されてもよい。あるいは、下地層は、直接めっきにより形成されてもよく、熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂を硬化させることにより形成されてもよい。
下地層上に形成されるめっき層は、Niめっき、及び、その上のSnめっきの2層構造であることが好ましい。
次に、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法の一実施形態として、図1に示す積層セラミックコンデンサ11の製造方法について説明する。
まず、積層部を構成するセラミック層となるべきセラミックグリーンシートが準備される。例えば、上述した誘電体セラミック等のセラミック粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むセラミックスラリーが準備され、このセラミックスラリーが、キャリアフィルム上で、ダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形されることにより、セラミックグリーンシートが得られる。上記セラミックスラリーには、可塑剤、分散剤、帯電防止剤等の種々の添加剤が含まれていてもよい。
セラミックグリーンシートに含まれるバインダ樹脂としては、例えば、セルロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリビニルブチラール(PVB)系の樹脂等を用いることができる。また、セラミックグリーンシートに含まれる可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステル系等を用いることができる。
セラミックグリーンシートの厚みは、通常3μm以下であり、1μm以下であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましい。
次に、セラミックグリーンシート上に、所定のパターンをもって導電性ペーストが印刷される。導電性ペーストは、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、グラビア印刷法等を用いてセラミックグリーンシート上に塗布される。
図4は、図3に示すグリーンチップを作製するために準備される内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの一例を模式的に示す平面図である。
図4に示すように、セラミック層25となるべきセラミックグリーンシート31上に、所定のパターンをもって導電性ペーストが印刷されることによって、内部電極26及び27の各々となるべき内部電極パターン32が形成される。具体的には、セラミックグリーンシート31上に、帯状の内部電極パターン32が複数列形成される。
内部電極パターンの厚みは特に限定されないが、1.5μm以下であることが好ましい。
その後、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートをずらしながら所定枚数積層し、その上下に内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層する積層工程が行われる。
図5(a)は、図4に示すセラミックグリーンシートを積層する工程を説明するための斜視図である。
図5(a)に示すように、内部電極パターン32が形成されたセラミックグリーンシート31を、内部電極パターン32の幅方向に沿って所定間隔、すなわち内部電極パターン32の幅方向寸法の半分ずつずらしながら所定枚数積層する。さらに、その上下に内部電極パターンが印刷されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層する。
図5(b)及び図5(c)は、図4に示すセラミックグリーンシートを積層する工程を説明するための平面図である。図5(b)及び図5(c)は、それぞれ1層目及び2層目のセラミックグリーンシートが拡大して示されている。
図5(b)及び図5(c)には、帯状の内部電極パターン32が延びる方向と直交する第1方向(図5(b)及び図5(c)における上下方向)の切断線33、及び、これに対して直交する第2方向(図5(b)及び図5(c)における左右方向)の切断線34の各一部が示されている。帯状の内部電極パターン32は、2つ分の内部電極26及び27が各々の引出し部同士で連結されたものが、第2方向に沿って連なった形状を有している。図5(b)及び図5(c)では、切断線33及び34が共通して示されている。
積層工程の結果、積層された複数のセラミックグリーンシートと、セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックが得られる。得られたマザーブロックは、静水圧プレス等の手段により積層方向にプレスされる。
プレスされたマザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、複数のグリーンチップが得られる。この切断には、例えば、ダイシング、押切り、レーザカット等の方法が適用される。
図6は、マザーブロックを切断する工程を説明するための斜視図である。
図6において、マザーブロック35は、互いに直交する第1方向の切断線33及び第2方向の切断線34に沿って切断され、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップ19が得られる。図6では、マザーブロック35の内部に位置する最上の内部電極パターン32が破線で示されている。なお、図6では、1個のマザーブロック35から6個のグリーンチップ19が取り出されているが、実際には、より多数のグリーンチップ19が取り出される。また、図6に示すマザーブロック35はあくまでも一例であり、実際には、セラミックグリーンシート31及び内部電極パターン32を積層する枚数、及び、帯状の内部電極パターン32を形成する列の個数はより多くなる。
図3に示したように、各グリーンチップ19は、未焼成の状態にある複数のセラミック層25と複数の内部電極26及び27とをもって構成された積層構造を有している。グリーンチップ19の切断側面20及び21は、第1方向の切断線33に沿う切断によって現れた面であり、切断端面36及び37は第2方向の切断線34の切断によって現れた面である。切断側面20及び21には、内部電極26及び27のすべてが露出している。また、一方の切断端面36には、内部電極26のみが露出し、他方の切断端面37には、内部電極27のみが露出している。
なお、図6に示すように、複数のグリーンチップ19が行及び列方向に配列されるように、マザーブロック35が拡張性のある粘着シート38上に貼り付けられた状態で切断されることが好ましい。この場合、図示しないエキスパンド装置によって、粘着シート38を拡張することができる。
図7は、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップの互いの間隔を広げた状態を示す斜視図である。
図6に示す粘着シート38を拡張することによって、図7に示すように、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップ19は、互いの間隔を広げた状態とされることが好ましい。
その後、複数のグリーンチップを転動させることによって、複数のグリーンチップの各々の切断側面を揃って開放面とする転動工程が行われることが好ましい。
図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、転動工程の一例を説明するためにグリーンチップの端面方向から示した図である。
図8(a)に示すように、粘着シート38上に貼り付けられたグリーンチップ19が、粘着シート38とともに支持台40上に置かれ、他方、転動作用板41がグリーンチップ19に対して上から作用し得る状態に置かれる。支持台40及び転動作用板41は、好ましくは、シリコーンゴムから構成される。
支持台40を転動作用板41に対して矢印の方向へ移動させることによって、図8(b)及び図8(c)に示すように、グリーンチップ19が90度回転し、一方の切断側面20を上方へ向けた状態とされる。この状態で転動作用板41を除去すれば、切断側面20が開放面となる。
なお、グリーンチップの転動をより円滑にするため、粘着シートから粘着性ゴムシート上へグリーンチップを移し替えてから転動操作を行ってもよい。
続いて、切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付する貼付工程が行われる。
セラミック保護層用グリーンシートは、樹脂シートと、上記樹脂シート上に形成されたセラミックシートとを含む。このうち、セラミックシートは切断側面と接触する側に配置され、樹脂シートはグリーンチップ(部品本体)の外側に配置される。
セラミック保護層用グリーンシートは、1層の樹脂シートを含んでもよいし、2層以上の樹脂シートを含んでもよい。セラミック保護層用グリーンシートが2層以上の樹脂シートを含む場合、例えば、セラミックシートと接する面と、グリーンチップ(部品本体)の外側になる面とで、樹脂の種類又は分子量等を変更することができる。
セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートは、スラリー状の樹脂が準備され、このスラリー状の樹脂が、キャリアフィルム上で、ダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形されることによって得られる。
セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートに含まれる樹脂としては、200℃以上で焼失するものが好ましい。例えば、セルロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリビニルブチラール(PVB)系の樹脂等が挙げられる。
樹脂の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、10000以上、150000以下であることが好ましい。
セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートは、樹脂を90重量%以上含有することが好ましく、95重量%以上含有することがより好ましく、100重量%含有することが特に好ましい。中でも、セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートは、セルロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール系及びポリビニルブチラール系からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることが好ましい。
セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートの厚みは特に限定されず、セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートと同じ厚みでもよいし、セラミックシートより厚くてもよいし、セラミックシートより薄くてもよい。上記樹脂シートの厚みは、100μm以下であることが好ましく、20μm以上、30μm以下であることがより好ましい。
セラミック保護層用グリーンシートは、1層のセラミックシートを含んでもよいし、2層以上のセラミックシートを含んでもよい。セラミック保護層用グリーンシートが2層以上のセラミックシートを含む場合、例えば、切断側面に接触させる面と、樹脂シートと接する面とで、樹脂の量、種類又は分子量等を変更することができる。
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートは、積層部を構成するセラミック層となるべきセラミックグリーンシートと同様、上述した誘電体セラミック等のセラミック粉末、バインダ樹脂及び溶剤を含むセラミックスラリーが準備され、このセラミックスラリーが、キャリアフィルム上で、ダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形されることによって得られる。上記セラミックスラリーには、可塑剤、分散剤、帯電防止剤等の種々の添加剤が含まれていてもよい。
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートに含まれるバインダ樹脂としては、例えば、セルロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリビニルブチラール(PVB)系の樹脂等を用いることができる。また、セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートに含まれる可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステル系等を用いることができる。
バインダ樹脂の分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、10000以上、150000以下であることが好ましい。
バインダ樹脂等の樹脂と可塑剤との重量比率は特に限定されないが、可塑剤に対する樹脂の重量比率は、2以上、8以下であることが好ましい。
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートに含まれるセラミック材料は、積層部を構成するセラミック層となるべきセラミックグリーンシートに含まれるセラミック材料と主成分が同じであることが好ましい。この場合、同じ組成のセラミック材料が双方に用いられることが特に好ましい。
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートは、セラミック材料を30重量%以上含有することが好ましい。また、セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートは、セラミック材料を70重量%以下含有することが好ましい。
セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートの厚みは、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートの厚みの下限値は特に限定されないが、上記セラミックシートの厚みは、例えば、1μm以上である。
セラミック保護層用グリーンシートは、例えば、キャリアフィルム上にセラミックスラリーを塗工して形成したセラミックシートに対し、別のキャリアフィルム上に形成した樹脂シートを転写することにより成形される。また、セラミック保護層用グリーンシートは、キャリアフィルム上に樹脂シートを形成した後、当該樹脂シート上にセラミックスラリーを塗工してセラミックシートを形成することにより成形されてもよい。
セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx[%]、セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をy[N]としたとき、y≧1.30であり、かつ、−0.0962x+2.28≦y≦−0.1172x+3.49を満たすことを特徴としている。ここで、y>−0.1172x+3.49の場合には、セラミック保護層用グリーンシートが硬く、歪みやすいことから、切断が困難となる。一方、y<−0.0962x+2.28の場合には、セラミック保護層用グリーンシートが柔らかく、歪みにくいことから、容易に破断する。
なお、セラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重とは、樹脂シート及びセラミックシートの両方を含むセラミック保護層用グリーンシート全体の破断歪及び破断荷重を意味する。
セラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重は、引張試験により測定される。測定サンプルとして、セラミック保護層用グリーンシートをダンベル形状(狭い平行部の幅5mm、該平行部の長さ13mm)に打ち抜いたものが用いられる。引張試験機を用いて、引張速度10mm/分で引張試験を行い、測定サンプルが切断したときの応力を測定し、それを破断荷重[N]とする。また、上記切断時における測定サンプルの伸び率を測定し、それを破断歪[%]とする。引張試験は3回行い、その平均値を用いる。なお、破断荷重を測定サンプルの断面積で除すことにより、破断強度を求めることができる。
セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重yは、y≧1.30である。破断荷重yの上限値は特に限定されないが、例えばy≦3.00であり、好ましくはy≦2.22である。
セラミック保護層用グリーンシートの破断歪xの下限値は特に限定されないが、例えばx≧6.72であり、好ましくはx≧8.60である。セラミック保護層用グリーンシートの破断歪xの上限値も特に限定されないが、例えばx≦12.83であり、好ましくはx≦10.85である。
セラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重は、セラミック保護層用グリーンシートに含まれる樹脂の量、種類又は分子量、可塑剤の量又は種類、樹脂と可塑剤との重量比率等を変更することによって調整することができる。
セラミック保護層用グリーンシートの厚みは、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。また、セラミック保護層用グリーンシートの厚みは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法では、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性に優れるため、セラミック保護層用グリーンシートを薄くすることができる。
図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、貼付工程の一例を説明するためにグリーンチップの端面方向から示した図である。
図9(a)に示すように、グリーンチップ19の切断側面20と対向するように、セラミック保護層用グリーンシート42が配置される。セラミック保護層用グリーンシート42は、樹脂シート42aと、樹脂シート42a上に形成されたセラミックシート42bとを含み、セラミックシート42bがグリーンチップ19の切断側面20と対向している。図9(a)では、セラミック保護層用グリーンシート42は、貼付用弾性体43上に置かれている。セラミック保護層用グリーンシート42は、グリーンチップ19の切断側面20より大きい寸法を有している。また、図9(a)では、セラミック保護層用グリーンシート42の搬送は、巻出しロール44及び巻取りロール45を用いて行われている。貼付用弾性体43は、好ましくは、シリコーンゴム又はNBRゴムから構成される。
グリーンチップ19がセラミック保護層用グリーンシート42に対して近接され、セラミック保護層用グリーンシート42を構成するセラミックシート42bをグリーンチップ19の切断側面20に接触させる。図9(b)では、貼付用弾性体43が弾性変形する程度の力で、グリーンチップ19の切断側面20がセラミック保護層用グリーンシート42に押し付けられる。このとき、セラミック保護層用グリーンシート42が、グリーンチップ19の切断側面20の周縁からのせん断力によって、切断側面20の寸法分だけ打ち抜かれることが好ましい。
グリーンチップ19でセラミック保護層用グリーンシート42を打ち抜く場合、特に加熱は必要ではないが、加熱される場合には、セラミック保護層用グリーンシート42が打ち抜かれずにつぶれてしまうことを防止するため、セラミック保護層用グリーンシート42が軟化する転移点以下の温度に設定されることが好ましい。
グリーンチップ19でセラミック保護層用グリーンシート42を打ち抜く場合、1回のみの押し込みではなく、セラミック保護層用グリーンシート42の弾性変形域での押し込みを複数回繰り返してもよい。このような方法により、セラミック保護層用グリーンシート42の塑性変形を抑制することができ、その結果、この後に実施される、図9(c)に示したグリーンチップ19を貼付用弾性体43から離隔する工程において、セラミック保護層用グリーンシート42の不要部分の除去が容易になる。
その後、図9(c)に示すように、セラミック保護層用グリーンシート42のうちセラミック保護層22となる部分を切断側面20に付着させた状態で、グリーンチップ19が貼付用弾性体43から離隔される。図9(c)に示すように、切断側面20には、セラミック保護層用グリーンシート42のうちセラミック保護層22となる部分とともに、当該部分に対応する樹脂シート42cも付着する。このとき、打ち抜き後のセラミック保護層用グリーンシート42の不要部分は、貼付用弾性体43側に残される。
図9(c)に示すように、セラミック保護層用グリーンシート42の搬送が巻出しロール44及び巻取りロール45を用いて行われる場合、セラミック保護層用グリーンシート42の不要部分は、セラミック保護層用グリーンシート42の一方の端部をロール状に巻き取りながら、グリーンチップ19から除去される。したがって、セラミック保護層用グリーンシート42の不要部分を容易に除去することができる。
以上より、粘着シート38を介して支持台40によって支持されたグリーンチップ19が、切断側面20に未焼成のセラミック保護層22を形成した状態とされる。
なお、セラミック保護層用グリーンシート42は、グリーンチップ19の切断側面20より大きい寸法を有するのではなく、切断側面20と同じ寸法を有するように予めカットしておいてから貼付工程を行うようにしてもよい。
未焼成のセラミック保護層22を形成した後、必要に応じて、乾燥工程が行われる。乾燥工程では、未焼成のセラミック保護層22が形成されたグリーンチップ19が、例えば、120℃に設定されたオーブンに5分間入れられる。
次に、図8(a)、図8(b)及び図8(c)を参照して説明した工程と同様の転動工程が行われることが好ましい。すなわち、複数のグリーンチップを転動させることによって、複数のグリーンチップの各々の切断側面を揃って開放面とする転動工程が行われることが好ましい。この場合、グリーンチップを180度回転させることによって、反対側の切断側面が上方へ向いた開放面とすることができる。
反対側の切断側面に対しても、図9(a)、図9(b)及び図9(c)を参照して説明した工程と同様の貼付工程が行われた後、必要に応じて、乾燥工程が行われる。以上により、グリーンチップ19の切断側面20に未焼成のセラミック保護層22が形成され、グリーンチップ19の切断側面21に未焼成のセラミック保護層23が形成された、未焼成の部品本体12が得られる。
得られた未焼成の部品本体12は、脱脂処理が行われた後、焼成される。脱脂温度は、例えば200℃以上、700℃以下の範囲である。焼成温度は、未焼成の部品本体12に含まれるセラミック材料や金属材料にもよるが、例えば900℃以上、1300℃以下の範囲である。
未焼成の部品本体12は、焼成されることによって、図2に示す部品本体12となる。セラミック保護層用グリーンシートを構成するセラミックシートは、セラミック保護層となり、積層部を構成するセラミックグリーンシートとともにセラミック層の一部となる。したがって、焼成により得られる部品本体12においては、積層部24とセラミック保護層22及び23の各々との境界が明瞭に現れなくてもよい。一方、セラミック保護層用グリーンシートを構成する樹脂シートは、脱脂及び/又は焼成時に焼失する。
焼成後の部品本体12の両端面17及び18に導電性ペーストを塗布し、焼き付け、さらに、必要に応じて、めっきが施されることによって、外部電極28及び29が形成される。なお、導電性ペーストの塗布は、未焼成の部品本体12に対して実施されてもよく、未焼成の部品本体12の焼成時に、導電性ペーストの焼付けを同時に行なうようにしてもよい。
このようにして、図1に示す積層セラミックコンデンサ11が製造される。
図10は、セラミック保護層用グリーンシートの破断歪x及び破断荷重yと評価結果との関係を示すグラフである。
図10では、破断歪[%]及び破断荷重[N]の異なるセラミック保護層用グリーンシートを用いて積層セラミックコンデンサを作製する際の、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性が評価されている。
図10中、搬送時にセラミック保護層用グリーンシートが破れにくく、セラミック保護層用グリーンシートの打ち抜きが容易である場合を○で示している。一方、実用上は問題ないものの、○の場合に比べてハンドリング性が劣る場合を×、○の場合に比べて加工性が劣る場合を△又は*で示している。
図10には、点A及び点Bを結ぶ直線の式:y=−0.0962x+2.28、点C及び点Dを結ぶ直線の式:y=−0.1172x+3.49、並びに、点Eを通りx軸に平行な直線の式:y=1.30を示している。さらに、図10では、y≧1.30であり、かつ、−0.0962x+2.28≦y≦−0.1172x+3.49を満たす領域を網掛け部分(直線上を含む)で表示している。
図10より、セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx、セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をyとしたとき、y≧1.30であり、かつ、−0.0962x+2.28≦y≦−0.1172x+3.49を満たす場合に、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性が最もバランス良く確保されている。
上述した実施形態では、マザーブロックを第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断して複数のグリーンチップを得てから、切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付していたが、以下のように変更することも可能である。
すなわち、マザーブロックを第1方向の切断線のみに沿って切断することによって、第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に内部電極が露出した、複数の棒状のグリーンブロック体を得てから、切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付した後、第2方向の切断線に沿って切断して複数の未焼成の部品本体を得て、その後、未焼成の部品本体を焼成してもよい。焼成後は、上述の実施形態と同様の工程を行うことによって、積層セラミック電子部品を製造することができる。
11 積層セラミックコンデンサ(積層セラミック電子部品)
12 部品本体
13,14 主面
15,16 側面
17,18 端面
19 グリーンチップ
20,21 切断側面
22,23 セラミック保護層
24 積層部
25 セラミック層
26,27 内部電極
28,29 外部電極
31 セラミックグリーンシート
32 内部電極パターン
33 第1方向の切断線
34 第2方向の切断線
35 マザーブロック
36,37 切断端面
38 粘着シート
40 支持台
41 転動作用板
42 セラミック保護層用グリーンシート
42a,42c 樹脂シート
42b セラミックシート
43 貼付用弾性体
44 巻出しロール
45 巻取りロール

Claims (10)

  1. 積層された複数のセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、
    前記マザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ前記第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に前記内部電極が露出した、複数のグリーンチップを得る切断工程と、
    前記切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付することによって、未焼成の部品本体を得る貼付工程と、
    前記未焼成の部品本体を焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記セラミック保護層用グリーンシートは、樹脂シートと、前記樹脂シート上に形成されたセラミックシートとを含み、
    前記貼付工程では、前記セラミック保護層用グリーンシートを構成する前記セラミックシートを前記切断側面に接触させることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. 積層された複数のセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、
    前記マザーブロックを第1方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ前記第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に前記内部電極が露出した、複数の棒状のグリーンブロック体を得る第1切断工程と、
    前記切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付する貼付工程と、
    前記セラミック保護層用グリーンシートが貼付された前記棒状のグリーンブロック体を、前記第1方向に直交する第2方向の切断線に沿って切断することによって、複数の未焼成の部品本体を得る第2切断工程と、
    前記未焼成の部品本体を焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記セラミック保護層用グリーンシートは、樹脂シートと、前記樹脂シート上に形成されたセラミックシートとを含み、
    前記貼付工程では、前記セラミック保護層用グリーンシートを構成する前記セラミックシートを前記切断側面に接触させることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記セラミック保護層用グリーンシートを構成する前記樹脂シートの厚みは、100μm以下である請求項1又は2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記セラミック保護層用グリーンシートを構成する前記樹脂シートの厚みは、20μm以上、30μm以下である請求項3に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記セラミック保護層用グリーンシートを構成する前記樹脂シートは、セルロース系、アクリル系、ポリビニルアルコール系及びポリビニルブチラール系からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. 前記セラミック保護層用グリーンシートを構成する前記セラミックシートの厚みは、15μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  7. 前記セラミック保護層用グリーンシートを構成する前記セラミックシートの厚みは、10μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  8. 前記セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx[%]、前記セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をy[N]としたとき、
    y≧1.30であり、かつ、−0.0962x+2.28≦y≦−0.1172x+3.49を満たす請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  9. 前記貼付工程では、貼付用弾性体上に置かれた前記セラミック保護層用グリーンシートに前記切断側面を押し付けた後、前記セラミック保護層用グリーンシートを前記切断側面に付着させた状態で、前記グリーンチップ又は前記棒状のグリーンブロック体を前記貼付用弾性体から離隔する請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  10. 前記セラミック保護層用グリーンシートは、前記切断側面より大きい寸法を有し、
    前記切断側面を前記セラミック保護層用グリーンシートに押し付ける際、前記セラミック保護層用グリーンシートを前記切断側面の周縁によって打ち抜く請求項9に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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