JP2019016425A - フッ化物イオン伝導材料およびフッ化物シャトル二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えばフッ化物シャトル二次電池に使用可能である、新規なフッ化物イオン伝導材料を提供する。【解決手段】フッ化ランタンと、フッ化カルシウムと、を含有するフッ化物イオン伝導材料とする。本開示のフッ化物イオン伝導材料は、例えば、式La1-xCaxF3-xにより示される組成を有する。ただし、当該式のxは、0.05≦x≦0.5を満たす。本開示のフッ化物イオン伝導材料は、例えば、フッ化物イオンをシャトルコックとするフッ化物シャトル二次電池の電解質に使用できる。【選択図】図1
Description
本開示は、フッ化物イオン伝導材料およびフッ化物シャトル二次電池に関する。
二次電池の一種に、シャトルコック型電池がある。シャトルコック型電池では、正極と負極との間を電解質を介してイオンが移動することにより、充放電が行われる。移動するイオンにリチウムイオンを用いたリチウムイオン二次電池が、シャトルコック型電池として広く普及している。近年、リチウムイオンの代わりにフッ化物イオンを用いたフッ化物シャトル二次電池が報告されている。
特許文献1には、燃料電池の電解質に使用するO2-(酸素イオン)伝導材料が開示されている。当該材料は、式A1-xBxZにより示される。Aは、La、Ce、Nd、Pr、Sc、またはこれらの混合物である。Bは、Sr、Ca、BaまたはMgである。Zは、F3-xまたはOcFdである。xは、約0〜0.9999である。c、dおよびxは、式2c+d=3−xを満たす。cは、0.0001〜1.5である。dは、0.0001〜3である。特許文献1には、AがLaであり、BがSrであり、ZがF3-xである例が開示されている。
本開示は、例えばフッ化物シャトル二次電池に使用可能である、新規なフッ化物イオン伝導材料を提供する。
本開示のフッ化物イオン伝導材料は、フッ化ランタンと、フッ化カルシウムと、を含有する。
本開示のフッ化物イオン伝導材料は、新規なフッ化物イオン伝導材料である。本開示のフッ化物イオン伝導材料は、例えば、フッ化物シャトル二次電池に使用可能である。
(本開示の一態様に到った経緯)
フッ化物シャトル二次電池は、シャトルコック型二次電池としての効果を得ることができる。当該効果は、例えば、高い安定性、高いエネルギー密度、高い出力密度等である。しかし、フッ化物シャトル二次電池は、未だ研究開発の途上にある。高いフッ化物イオン伝導性を示す電解質材料を見出すことができれば、フッ化物シャトル二次電池の性能向上を図ることができる。本発明者らは、高いフッ化物イオン伝導性を示しうる材料を見出し、本開示の発明を完成させた。本開示の発明によれば、例えば、高い性能を有するフッ化物シャトル二次電池が実現する。
フッ化物シャトル二次電池は、シャトルコック型二次電池としての効果を得ることができる。当該効果は、例えば、高い安定性、高いエネルギー密度、高い出力密度等である。しかし、フッ化物シャトル二次電池は、未だ研究開発の途上にある。高いフッ化物イオン伝導性を示す電解質材料を見出すことができれば、フッ化物シャトル二次電池の性能向上を図ることができる。本発明者らは、高いフッ化物イオン伝導性を示しうる材料を見出し、本開示の発明を完成させた。本開示の発明によれば、例えば、高い性能を有するフッ化物シャトル二次電池が実現する。
(開示の態様)
本開示の第1態様に係るフッ化物イオン伝導材料は、フッ化ランタンと、フッ化カルシウムと、を含有する。
本開示の第1態様に係るフッ化物イオン伝導材料は、フッ化ランタンと、フッ化カルシウムと、を含有する。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係るフッ化物イオン伝導材料は、式La1-xCaxF3-xにより示される組成を有する。ただし、上記式におけるxは、0.05≦x≦0.5を満たす。当該組成を有するフッ化物イオン伝導材料は、より高いフッ化物イオン伝導性を示す。
本開示の第3態様に係るフッ化物シャトル二次電池は、正極層と、負極層と、電解質層と、を備え、前記電解質層は前記正極層と前記負極層との間に配置されており、前記正極層、前記負極層、および前記電解質層から選ばれる少なくとも1つの層が、上記本開示のフッ化物イオン伝導材料を含む。
本開示の第4態様に係るフッ化物シャトル二次電池において、例えば、第3態様に係るフッ化物シャトル二次電池の前記電解質層および/または前記負極層が、前記フッ化物イオン伝導材料を含む。
本開示の第5態様に係るフッ化物シャトル二次電池において、例えば、第3態様に係るフッ化物シャトル二次電池の前記電解質層が前記フッ化物イオン伝導材料を含む。
本開示の第6態様に係るフッ化物シャトル二次電池において、例えば、第3〜第5態様のいずれか一つに係るフッ化物シャトル二次電池の前記正極層が正極活物質を含み、前記正極活物質が、Co、Cu、Bi、Sn、Pb、Fe、Zn、Ga、およびCから選ばれる少なくとも1種を含む。
本開示の第7態様に係るフッ化物シャトル二次電池において、例えば、第3〜第6態様のいずれか一つに係るフッ化物シャトル二次電池の前記負極層が負極活物質を含み、前記負極活物質が、Ti、Zr、Al、Sc、Rb、Ge、Cs、Mg、K、Na、La、Ca、Ba、およびSrから選ばれる少なくとも1種を含む。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、プロセス条件、ステップ、ステップの順序などは一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
[フッ化物イオン伝導材料]
本開示のフッ化物イオン伝導材料は、フッ化ランタンと、フッ化カルシウムと、を含有する。当該材料の組成は限定されない。当該材料に含まれるランタン(La)とカルシウム(Ca)とのモル比は、La:Caにより表示して、例えば95:5〜10:90である。当該モル比は、95:5〜30:70でありうるし、95:5〜50:50でありうる。当該材料に含まれるフッ化ランタンとフッ化カルシウムとのモル比は、フッ化ランタン:フッ化カルシウムにより表示して、例えば95:5〜10:90である。当該モル比は、95:5〜30:70でありうるし、95:5〜50:50でありうる。本開示の材料において、フッ素の一部が欠損していてもよい。
本開示のフッ化物イオン伝導材料は、フッ化ランタンと、フッ化カルシウムと、を含有する。当該材料の組成は限定されない。当該材料に含まれるランタン(La)とカルシウム(Ca)とのモル比は、La:Caにより表示して、例えば95:5〜10:90である。当該モル比は、95:5〜30:70でありうるし、95:5〜50:50でありうる。当該材料に含まれるフッ化ランタンとフッ化カルシウムとのモル比は、フッ化ランタン:フッ化カルシウムにより表示して、例えば95:5〜10:90である。当該モル比は、95:5〜30:70でありうるし、95:5〜50:50でありうる。本開示の材料において、フッ素の一部が欠損していてもよい。
本開示のフッ化物イオン伝導材料は、式La1-xCaxF3-xにより示される組成を有しうる。ただし、上記式におけるxは、0.05≦x≦0.5を満たす。xは、0.05≦x≦0.3、0.05≦x≦0.2、または0.05≦x≦0.15を満たしうる。これらの組成を有するイオン伝導材料は、より高いフッ化物イオン伝導性を示しうる。
本開示のフッ化物イオン伝導材料の結晶状態は限定されず、単結晶、多結晶、非晶、およびこれらが混在する状態をとりうる。
本開示のフッ化物イオン伝導材料の形状は限定されない。当該材料は、例えば、粒子、フィルム、シート、ディスク、バルク、圧粉体といった任意の形状を有しうる。当該材料は、例えば、後述するフッ化物シャトル二次電池の筐体内に収容可能な形状をとりうる。当該材料は、例えば、後述するフッ化物シャトル二次電池の正極層および負極層と積層可能な形状をとりうる。本開示のイオン伝導材料は、固体のフッ化物イオン伝導材料でありうる。
本開示のフッ化物イオン伝導材料が示すフッ化物イオン伝導度は、140℃において、例えば、2.0×10-8(S/cm)以上であり、1.0×10-7(S/cm)以上、1.0×10-6(S/cm)以上、1.0×10-5(S/cm)以上、4.0×10-5(S/cm)以上、1.0×10-4(S/cm)以上、さらには2.0×10-4(S/cm)以上でありうる。フッ化物イオン伝導性は、例えば、粒子状の当該材料をプレスしてディスク状とし、140℃に保持した当該ディスクの双方の主面をインピーダンスアナライザに接続して、複素インピーダンス法により評価できる。本開示のフッ化物イオン伝導材料は、140℃という、200℃以下の比較的低温にて、高いフッ化物イオンの伝導性を示しうる。
本開示のフッ化物イオン伝導材料の用途は限定されない。用途は、例えば、固体のフッ化物イオン伝導材料である。用途のより具体的な例は、フッ化物イオンを伝導する固体電解質である。本開示のイオン伝導材料は、例えば、フッ化物シャトル二次電池に使用できる。フッ化物シャトル二次電池は、充放電可能な二次電池である。フッ化物シャトル二次電池では、正極と負極との間を電解質を介してフッ化物イオンが移動することにより、充放電が行われる。当該電池の正極層、負極層および電解質層から選ばれる少なくとも1つの層が含む電解質として、本開示のフッ化物イオン伝導材料を使用可能である。より具体的に、当該電池の電解質層、特に固体電解質層、が含む電解質として、本開示のフッ化物イオン伝導材料を使用可能である。また、正極層に含まれる正極活物質との組み合わせによっては、フッ化物シャトル二次電池の負極層に含まれる負極活物質としても、本開示のフッ化物イオン伝導材料を使用可能である。
本開示のフッ化物イオン伝導材料を使用したフッ化物シャトル二次電池は、全固体二次電池でありうる。全固体二次電池は、安全性が高く、かつ正極層、電解質層および負極層の構成によっては高いエネルギー密度を有しうる。
本開示のフッ化物イオン伝導材料をフッ化物シャトル二次電池の電解質および/または負極活物質に使用することにより、例えば200℃以下、さらには150℃以下で動作可能なフッ化物シャトル二次電池を構築できる。
本開示のフッ化物イオン伝導材料の製造方法は限定されない。例えば、フッ化ランタンとフッ化カルシウムとを、混合後のLaとCaとの含有モル比が望む値となるように混合して製造できる。混合をボールミル、ロッドミル等の粉砕機、粒子混合装置を用いて実施した場合、イオン伝導材料の組成がより均一となる。フッ化ランタンは、例えば、LaF3である。フッ化カルシウムは、例えば、CaF2である。混合後のイオン伝導材料は、成形により所定の形状に加工することができる。成形には、例えば、プレス、焼結を利用できる。
[フッ化物シャトル二次電池]
(実施形態1)
図1は、実施形態1のフッ化物シャトル二次電池の構成を模式的に示す断面図である。図1に示されるフッ化物シャトル二次電池1は、正極層2と、負極層4と、電解質層3とを備える。電解質層3は、正極層2と負極層4との間に配置されている。正極層2、電解質層3および負極層4は互いに接している。
(実施形態1)
図1は、実施形態1のフッ化物シャトル二次電池の構成を模式的に示す断面図である。図1に示されるフッ化物シャトル二次電池1は、正極層2と、負極層4と、電解質層3とを備える。電解質層3は、正極層2と負極層4との間に配置されている。正極層2、電解質層3および負極層4は互いに接している。
正極層2、電解質層3および負極層4は、いずれも固体である。電池1は、全固体二次電池である。
正極層2は、例えば、正極活物質と、フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質とを含む。電解質層3は、フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質を含む。負極層4は、例えば、負極活物質と、フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質とを含む。電池1では、正極層2、電解質層3および負極層4から選ばれる少なくとも1つの層に含まれる電解質が、本開示のフッ化物イオン伝導材料である。
電池1は、電解質層3および/または負極層4に含まれる電解質として、本開示のフッ化物イオン伝導材料を含みうる。
電池1は、電解質層3に含まれる電解質として、本開示のフッ化物イオン伝導材料を含みうる。このとき、電解質層3は本開示のフッ化物イオン伝導材料から構成されうる。
正極層2が含む正極活物質との組み合わせによっては、電池1は、負極層4に含まれる負極活物質として、本開示のフッ化物イオン伝導材料を含みうる。
電池1は、本開示のフッ化物イオン伝導材料の使用により、例えば200℃以下、さらには150℃以下の比較的低温で動作可能である。また、本開示のフッ化物イオン伝導材料の使用、とりわけ電解質層3への使用により、高い出力特性を有する電池1を構築できる。
電解質層3は、厚さ方向、すなわち正極層2および負極層4の積層方向、にフッ化物イオン伝導性を有する層である。電解質層3は、典型的には、厚さ方向に電子伝導性を有さない。電解質層3の厚さは、例えば、1〜1000μmである。電解質層3の厚さは、200〜800μm、さらには300〜700μmでありうる。電解質層3の厚さがこれらの範囲にある場合、正極層2と負極層4との電気的な短絡が抑制されるとともに、フッ化物イオンの伝導性をより確実に確保できる。フッ化物イオンの伝導性をより確実に確保できることにより、より高い出力特性を有する電池1を構築することができる。
電解質層3の具体的な構成は限定されない。電解質層3は、例えば、フッ化物イオン伝導材料を含む薄膜である。電解質層3は、フッ化物イオン伝導材料の粒子の凝集体でありうる。これらのフッ化物イオン伝導材料は、本開示のフッ化物イオン伝導材料でありうる。
電池1がフッ化物シャトル二次電池として機能する限り、電解質層3は、フッ化物イオン伝導材料以外の材料を含みうる。
正極層2は、正極活物質を含む層である。正極層2は、正極活物質と、フッ化物イオン伝導性を有する電解質とを含む正極合剤層であってもよい。
正極活物質は、電池の充放電に伴ってフッ化物イオンを吸蔵および放出できる材料である。吸蔵および放出には、フッ化物イオンとの化学反応を伴う形態、およびインターカレーション等の化学反応を伴わない形態の双方が含まれる。化学反応には、化合物を形成する反応と、合金および固溶体等の化合物ではない複合体を形成する反応とが含まれる。
正極活物質は、電池1において組み合わされる負極層4の負極活物質に比べて、標準電極電位で表示して貴の電位を示す物質でありうる。
正極活物質は、例えば、Co、Cu、Bi、Sn、Pb、Fe、Zn、Ga、およびCから選ばれる少なくとも1種を含む。正極活物質は、当該少なくとも1種の元素の単体、合金および固溶体等の複合体、ならびに化合物でありうる。化合物は、例えば、フッ化物である。C(炭素)は、例えば、黒鉛、およびハードカーボンまたはコークスといった非黒鉛系炭素である。正極活物質に炭素を用いた場合、電池1の製造コストを低減できるとともに、平均放電電圧を高めることができる。
正極層2の厚さは、例えば、1〜500μmである。正極層2の厚さは、1〜400μm、さらには50〜200μmでありうる。正極層2の厚さがこれらの範囲にある場合、電池1のエネルギー密度をより向上できるとともに、高出力でのより安定した動作が可能となる。
正極層2の具体的な構成は限定されない。正極層2は、例えば、正極活物質およびフッ化物イオン伝導材料を含む薄膜である。正極層2は、正極活物質の粒子およびフッ化物イオン伝導材料の粒子を含みうる。当該フッ化物イオン伝導材料は、本開示のフッ化物イオン伝導材料でありうる。
電池1がフッ化物シャトル二次電池として機能する限り、正極層2は、上述した以外の材料を含みうる。
負極層4は、負極活物質を含む層である。負極層4は、負極活物質と、フッ化物イオン伝導性を有する電解質とを含む負極合剤層であってもよい。
負極活物質は、電池の充放電に伴ってフッ化物イオンを吸蔵および放出できる材料である。吸蔵および放出には、フッ化物イオンとの化学反応を伴う形態、およびインターカレーション等の化学反応を伴わない形態の双方が含まれる。化学反応には、化合物を形成する反応と、合金および固溶体等の化合物ではない複合体を形成する反応とが含まれる。
負極活物質は、電池1において組み合わされる正極層2の正極活物質に比べて、標準電極電位で表示して卑の電位を示す物質でありうる。
負極活物質は、例えば、Ti、Zr、Al、Sc、Rb、Ge、Cs、Mg、K、Na、La、Ca、Ba、およびSrから選ばれる少なくとも1種を含む。負極活物質は、当該少なくとも1種の元素の単体、合金および固溶体等の複合体、ならびに化合物でありうる。化合物は、例えば、フッ化物である。
負極層4の厚さは、例えば、1〜500μmである。負極層4の厚さは、1〜400μm、さらには50〜200μmでありうる。負極層4の厚さがこれらの範囲にある場合、電池1のエネルギー密度をより向上できるとともに、高出力でのより安定した動作が可能となる。
負極層4の具体的な構成は限定されない。負極層4は、例えば、負極活物質およびフッ化物イオン伝導材料を含む薄膜である。負極層4は、負極活物質の粒子およびフッ化物イオン伝導材料の粒子を含みうる。当該フッ化物イオン伝導材料は、本開示のフッ化物イオン伝導材料でありうる。
電池1がフッ化物シャトル二次電池として機能する限り、負極層4は、上述した以外の材料を含みうる。
正極層2および負極層4は、導電助剤を含みうる。導電助剤を含む場合、当該層の電極抵抗を低減できる。
導電助剤は、電子伝導性を有する限り限定されない。導電助剤は、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト類;アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック類;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類;フッ化カーボン、アルミニウム等の金属粉末類;酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類;酸化チタン等の導電性金属酸化物;およびポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物である。グラファイト類およびカーボンブラック類といった炭素系導電助剤の使用により、電池1の低コスト化を図ることができる。
正極層2および負極層4における電極活物質、電解質および導電助剤の含有割合は限定されない。
正極層2および負極層4は、電極活物質、電解質および導電助剤から選ばれる少なくとも1つを、粒子の状態で含みうる。
粒子状の材料を含む層は、当該粒子を互いに結着する結着剤をさらに含みうる。結着剤により、層内における粒子間の結着性を向上できる。また、結着剤により、隣接する層との接合性(密着強度)を向上できる。結着剤により、例えば、正極層2または負極層4と、当該層に隣接する集電体層5,6との接合性を向上できる。これら接合性の向上は、各層の薄膜化に寄与する。例えば正極層2および負極層4では、電極活物質同士をより確実に接触させることができるためである。電解質層3では、電解質同士をより確実に接触させることができる。各層の薄膜化によって、電池1のエネルギー密度のさらなる向上が可能となる。
結着剤は限定されない。結着剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テフロンバインダー、ポリ(フッ化ビニリデン)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素系樹脂から構成されるバインダー;カルボキシメチルセルロース、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメタクリル酸およびその金属塩、ポリアクリル酸およびその金属塩、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンイミン、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのNa+イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびそのNa+イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体およびそのNa+イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体およびそのNa+イオン架橋体、ポリエステル樹脂、モノアルキルトリアルコキシシラン重合体、モノアルキルトリアルコキシシラン重合体とテトラアルコキシシランモノマーとを共重合させた高分子等の高分子化合物;スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−イソプレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体(ブチルゴム)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、水素化SBR、水素化NBR、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM等のゴム質重合体である。
結着剤がフッ化物イオンおよび/または電子を伝導しない絶縁性の物質である場合、各層における結着剤の含有率が過度に大きくなると、電池の充放電特性が低下したり、エネルギー密度が却って低下することがある。この観点から、上記絶縁性の物質である結着剤を含む層における結着剤の含有率は、例えば20重量%以下であり、5重量%以下でありうる。
電池1では、正極層2、電解質層3および負極層4の全ての層が結着剤を含んでいてもよい。また、正極層2、電解質層3および負極層4から選ばれる少なくとも1つの層が、結着剤を含まない構成を有しうる。
図1に例示する電池1は、正極集電体5および負極集電体6をさらに備える。正極集電体5は、正極層2に接している。負極集電体6は、負極層4に接している。正極集電体5および負極集電体6は、正極層2、電解質層3および負極層4の積層体を挟持している。
正極集電体5および負極集電体6は、電子伝導性を有する。正極集電体5および負極集電体6は、電子伝導性を有し、かつ電池1の充放電環境下において腐食し難い材料から構成されうる。
正極集電体5は、例えば、アルミニウム、金、白金、およびこれらの合金等の金属材料から構成される。正極集電体5の形状は限定されず、例えば、シートまたはフィルムである。正極集電体5は、多孔または無孔のシートまたはフィルムでありうる。シートおよびフィルムには、箔およびメッシュが含まれる。アルミニウムおよびその合金は、安価であるとともに、薄膜化し易い。正極集電体5は、カーボンコーティングされたアルミニウムから構成されうる。正極集電体5の厚さは、例えば、1〜30μmである。正極集電体5の厚さがこの範囲にある場合、集電体の強度をより確実に確保でき、例えば集電体の割れおよび破れが抑制されるとともに、電池1のエネルギー密度をより確実に確保できる。
正極集電体5は、正極端子を有しうる。
負極集電体6は、例えば、金、白金、アルミニウム、およびこれらの合金等の金属材料から構成される。負極集電体6の形状は限定されず、例えば、シートまたはフィルムである。負極集電体6は、多孔または無孔のシートまたはフィルムでありうる。シートおよびフィルムには、箔およびメッシュが含まれる。アルミニウムおよびその合金は、安価であるとともに、薄膜化し易い。負極集電体6は、カーボンコーティングされたアルミニウムから構成されうる。負極集電体6の厚さは、例えば、1〜30μmである。負極集電体6の厚さがこの範囲にある場合、集電体の強度をより確実に確保でき、例えば集電体の割れおよび破れが抑制されるとともに、電池1のエネルギー密度をより確実に確保できる。
負極集電体6は、負極端子を有しうる。
本開示のフッ化物シャトル二次電池は、充放電が可能であり、二次電池として使用できる限り、上述した以外の任意の部材および構成を有しうる。
本開示のフッ化物シャトル二次電池の形状は限定されない。当該形状は、公知の二次電池が有する形状でありうる。形状の例は、矩形、円形、楕円形、六角形である。本開示のフッ化物シャトル二次電池は、実施形態に例示した電池(単電池)をさらにスタックした構成、あるいは折りたたんだ構成を有していてもよい。この場合、本開示のフッ化物シャトル二次電池は、円筒型、角型、ボタン型、コイン型、扁平型等の各種の電池形状を有しうる。
本開示のフッ化物シャトル二次電池の製造方法は限定されない。本開示のフッ化物シャトル二次電池は、電解質として本開示のフッ化物イオン伝導材料を使用する以外、公知の二次電池、典型的には全固体型二次電池、の製造方法を応用して製造できる。
本開示のフッ化物シャトル二次電池を構成する各層の形成には、公知の薄膜形成手法を採用できる。薄膜形成手法は、例えば、化学堆積法および物理堆積法である。物理堆積法の具体的な例は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、パルスレーザをターゲットに照射して堆積を行うPLD法である。化学堆積法は、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDなどの化学気相蒸着法(CVD法);電界メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキなどの湿式メッキ法といった液相成膜法;ゾルゲル法;MOD法;スプレイ熱分解法;微粒子分散液を用いたドクターブレイド法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法などの印刷技術;である。薄膜形成手法は、これらの例に限定されない。
以下、実施例に基づき、本開示のフッ化物イオン伝導材料について、より具体的に説明する。本開示のフッ化物イオン伝導材料は、以下の実施例に示す材料に限定されない。
<フッ化物イオン伝導度の評価方法>
本実施例において作製したフッ化物イオン伝導材料のフッ化物イオン伝導度は、以下のように評価した。
本実施例において作製したフッ化物イオン伝導材料のフッ化物イオン伝導度は、以下のように評価した。
作製した粒子状のイオン伝導材料から0.20gを秤量した。秤量した材料を、直径10mmの金属製の筒に収容して温度25℃、圧力10MPaで1分間、予備プレスして、円板状(直径10mm)の電解質層52(図2参照)を形成した。次に、形成した電解質層52の双方の主面に、直径10mm、厚さ20μmの金箔53を配置した。次に、金箔53配置後の電解質層52を、温度25℃、圧力40MPaで1分間、プレスして、イオン伝導度評価用のセル51を作製した。次に、作製したセル51の双方の金箔53にインピーダンスアナライザを接続し、セル51を140℃に保持した状態で、そのイオン伝導度を測定した。イオン伝導度の測定には、複素インピーダンス法を用いた。
(サンプル1)
LaF3の粒子(高純度化学研究所製)を、遊星型ボールミルを用いて6時間ミリング処理した。次に、ミリング処理後の粒子の結晶化温度を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。次に、ミリング処理後の粒子を、不活性ガスの雰囲気下にて、上記測定した結晶化温度より20℃高い温度で1時間熱処理した。これにより、式LaF3により示される組成を有する材料を作製した。
LaF3の粒子(高純度化学研究所製)を、遊星型ボールミルを用いて6時間ミリング処理した。次に、ミリング処理後の粒子の結晶化温度を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。次に、ミリング処理後の粒子を、不活性ガスの雰囲気下にて、上記測定した結晶化温度より20℃高い温度で1時間熱処理した。これにより、式LaF3により示される組成を有する材料を作製した。
作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。なお、表1の「組成比および組成」の欄における丸括弧の中の記載は、組成である。
(サンプル2)
LaF3およびCaF2の粒子(いずれの粒子も高純度化学研究所製)を、モル比LaF3:CaF2=95:5で混合した。次に、混合物を、遊星型ボールミルを用いて6時間ミリング処理した。次に、ミリング処理後の混合物の結晶化温度を、DSCを用いて測定した。次に、ミリング処理後の混合物を、不活性ガスの雰囲気下にて、上記測定した結晶化温度より20℃高い温度で1時間熱処理した。これにより、式La0.95Ca0.05F2.95により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。
LaF3およびCaF2の粒子(いずれの粒子も高純度化学研究所製)を、モル比LaF3:CaF2=95:5で混合した。次に、混合物を、遊星型ボールミルを用いて6時間ミリング処理した。次に、ミリング処理後の混合物の結晶化温度を、DSCを用いて測定した。次に、ミリング処理後の混合物を、不活性ガスの雰囲気下にて、上記測定した結晶化温度より20℃高い温度で1時間熱処理した。これにより、式La0.95Ca0.05F2.95により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。
作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル3)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=90:10とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.9Ca0.1F2.9により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=90:10とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.9Ca0.1F2.9により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル4)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=85:15とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.85Ca0.15F2.85により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=85:15とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.85Ca0.15F2.85により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル5)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=80:20とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.8Ca0.2F2.8により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=80:20とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.8Ca0.2F2.8により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル6)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=70:30とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.7Ca0.3F2.7により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=70:30とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.7Ca0.3F2.7により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル7)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=60:40とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.6Ca0.4F2.6により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=60:40とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.6Ca0.4F2.6により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル8)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=50:50とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.5Ca0.5F2.5により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=50:50とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.5Ca0.5F2.5により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル9)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=40:60とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.4Ca0.6F2.4により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=40:60とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.4Ca0.6F2.4により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル10)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=30:70とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.3Ca0.7F2.3により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=30:70とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.3Ca0.7F2.3により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル11)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=20:80とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.2Ca0.8F2.2により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=20:80とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.2Ca0.8F2.2により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル12)
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=10:90とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.1Ca0.9F2.1により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
LaF3およびCaF2の粒子の混合比をモル比でLaF3:CaF2=10:90とした以外はサンプル2と同様にして、式La0.1Ca0.9F2.1により示される組成を有するフッ化物イオン伝導材料を得た。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を、以下の表1に示す。
(サンプル13)
LaF3の粒子の代わりにCaF2の粒子を用いた以外はサンプル1と同様にして、式CaF2により示される組成を有する材料を作製した。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を以下の表1に示す。
LaF3の粒子の代わりにCaF2の粒子を用いた以外はサンプル1と同様にして、式CaF2により示される組成を有する材料を作製した。作製した材料のフッ化物イオン伝導度を以下の表1に示す。
<サイクリックボルタンメトリーによる評価>
サンプル2で作製した粒子状のイオン伝導材料から0.20gを秤量した。秤量した材料を、直径10mmの金属製の筒に収容して温度25℃、圧力10MPaで1分間、予備プレスして、円板状(直径10mm)の電解質層52(図3参照)を形成した。次に、形成した電解質層52の一方の主面に、直径10mm、厚さ20μmの金箔56を作用電極(WE)として配置した。また、形成した電解質層52の他方の主面に、直径10mm、厚さ20μmであり、中心に直径3mmの穴を有する金箔55をカウンター電極(CE)として配置した。次に、金箔55,56配置後の電解質層52を、温度25℃、圧力40MPaで1分間、プレスした。次に、金箔55の穴に、参照電極として直径2mmの鉛線57を接続して、サイクリックボルタンメトリー用のセル54を作製した。
サンプル2で作製した粒子状のイオン伝導材料から0.20gを秤量した。秤量した材料を、直径10mmの金属製の筒に収容して温度25℃、圧力10MPaで1分間、予備プレスして、円板状(直径10mm)の電解質層52(図3参照)を形成した。次に、形成した電解質層52の一方の主面に、直径10mm、厚さ20μmの金箔56を作用電極(WE)として配置した。また、形成した電解質層52の他方の主面に、直径10mm、厚さ20μmであり、中心に直径3mmの穴を有する金箔55をカウンター電極(CE)として配置した。次に、金箔55,56配置後の電解質層52を、温度25℃、圧力40MPaで1分間、プレスした。次に、金箔55の穴に、参照電極として直径2mmの鉛線57を接続して、サイクリックボルタンメトリー用のセル54を作製した。
次に、セル54に対して、サイクリックボルタンメトリーによる評価を実施した。評価温度は40℃、掃引速度は0.3mV/秒とした。図4に、評価により得られたセル54のサイクリックボルタモグラムを示す。図4に示すように、得られたサイクリックボルタモグラムにおいてレドックス対を観察できることから、セル54、すなわち上記イオン伝導材料、ではフッ素の挿入および脱離が可能であると考えられ、セル54は自己形成負極として動作すると推定される。
本開示のフッ化物イオン伝導材料およびフッ化物シャトル二次電池は、上述した各実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形、変更が可能である。例えば、発明を実施するための形態に記載した実施形態に示された技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本開示のフッ化物イオン伝導材料の用途は限定されない。本開示のフッ化物イオン伝導材料は、例えば、フッ化物シャトル二次電池の電解質に使用できる。本開示のフッ化物シャトル二次電池は、充放電可能な二次電池として、種々の用途への応用が期待される。
1 フッ化物シャトル二次電池
2 正極層
3 電解質層
4 負極層
5 正極集電体
6 負極集電体
51 セル
52 電解質層
53 金箔
54 セル
55 金箔
56 金箔
57 鉛線
2 正極層
3 電解質層
4 負極層
5 正極集電体
6 負極集電体
51 セル
52 電解質層
53 金箔
54 セル
55 金箔
56 金箔
57 鉛線
Claims (7)
- フッ化ランタンと、フッ化カルシウムと、を含有するフッ化物イオン伝導材料。
- 式La1-xCaxF3-xにより示される組成を有する、請求項1に記載のフッ化物イオン伝導材料。
上記式におけるxは、0.05≦x≦0.5を満たす。 - 正極層と、負極層と、電解質層と、を備え、
前記電解質層は、前記正極層と前記負極層との間に配置されており、
前記正極層、前記負極層、および前記電解質層から選ばれる少なくとも1つの層が、請求項1または2に記載のフッ化物イオン伝導材料を含む、フッ化物シャトル二次電池。 - 前記電解質層および/または前記負極層が前記フッ化物イオン伝導材料を含む、請求項3に記載のフッ化物シャトル二次電池。
- 前記電解質層が前記フッ化物イオン伝導材料を含む、請求項3に記載のフッ化物シャトル二次電池。
- 前記正極層が正極活物質を含み、
前記正極活物質が、Co、Cu、Bi、Sn、Pb、Fe、Zn、Ga、およびCから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項3〜5のいずれかに記載のフッ化物シャトル二次電池。 - 前記負極層が負極活物質を含み、
前記負極活物質が、Ti、Zr、Al、Sc、Rb、Ge、Cs、Mg、K、Na、La、Ca、Ba、およびSrから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項3〜6のいずれかに記載のフッ化物シャトル二次電池。
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