JP2019015266A - ロータリーピストンエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】吸気効率を高めることのできるロータリーピストンエンジンを提供する。【解決手段】ロータ3の外周を囲むロータハウジング5と、ロータ3の側方に設けられてロータハウジング5とともにロータ収容室2を区画するサイドハウジング6とを設け、吸気ポート11を、サイドハウジング6に形成し、排気ポート13、14として、サイドハウジング6に形成されるサイド排気ポート13と、ロータハウジング5に形成されるペリ排気ポート14とを設け、サイド排気ポート13を、吸気行程にある作動室Aにおいて吸気ポート11が開口している期間とサイド排気ポート13が開口している期間とが重複しない位置に設け、ペリ排気ポート14を、吸気行程にある作動室Aにおいて吸気ポート11が開口している期間とペリ排気ポート14が開口している期間とが重複する位置に設ける。【選択図】図6

Description

本発明は、ロータと、当該ロータの回転によって吸気・圧縮・膨張・排気の各行程が実施される複数の作動室が内側に区画されるロータ収容室と、前記ロータ収容室から排気を導出する排気ポートおよび前記ロータ収容室に吸気を導入する吸気ポートとを有するロータリーピストンエンジンに関する。
ロータリーピストンエンジンの一例として、下記特許文献1のものが知られている。特許文献1に開示されているように、ロータリーピストンエンジンでは、ロータの外周を囲むロータハウジングと、ロータの側方に設けられたサイドハウジングとによって、ロータを収容するロータ収容室が区画されている。特許文献1のロータリーピストンエンジンでは、ロータハウジングとサイドハウジングのうちサイドハウジングに、ロータ収容室内から外部に排気を導出するための排気ポートが形成されている。
このようにサイドハウジングに排気ポートを形成した場合には、排気ポートの開口面積を比較的大きく確保することができ、ロータ収容室からより多くの排気を排出してこれにより吸気効率を高めることができる。
特開2016−89720号公報
しかしながら、ロータリーピストンエンジンにおいて、吸気効率をより一層高めることが求められている。すなわち、ロータ収容室から外部により多くの排気(燃焼後のガス)を導出し、且つ、ロータ収容室内により多くの新気(空気)を導入することが望まれている。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、吸気効率を高めることのできるロータリーピストンエンジンを提供することを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、ロータと、当該ロータの回転によって吸気・圧縮・膨張・排気の各行程が実施される複数の作動室が内側に区画されるロータ収容室と、前記ロータ収容室から排気を導出する排気ポートおよび前記ロータ収容室に吸気を導入する吸気ポートとを有するロータリーピストンエンジンであって、前記ロータの外周を囲むロータハウジングと、前記ロータの側方に設けられて前記ロータハウジングとともに前記ロータ収容室を区画するサイドハウジングとを備え、前記吸気ポートは、前記サイドハウジングに形成されており、前記排気ポートは、前記サイドハウジングに形成されるサイド排気ポートと、前記ロータハウジングに形成されるペリ排気ポートとを備え、前記サイド排気ポートは、吸気行程にある作動室において前記吸気ポートが開口している期間と当該サイド排気ポートが開口している期間とが重複しない位置に設けられており、前記ペリ排気ポートは、吸気行程にある作動室において前記吸気ポートが開口している期間と当該ペリ排気ポートが開口している期間とが重複する位置に設けられていることを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、サイドハウジングに設けられたサイド排気ポートに加えてロータハウジングにペリ排気ポートが設けられていることで排気ポート全体の開口面積を大きくすることができ、ロータ収容室からより多量の排気(燃焼後のガス)を排出できる。しかも、本発明では、吸気行程にある作動室においてペリ排気ポートの開口期間と吸気ポートの開口期間とが重複するように構成されているため、吸気ポートからロータ収容室に導入された吸気によって作動室内の排気(燃焼後のガス)をペリ排気ポートへ押し出すことができ、掃気性能を高めることができる。従って、吸気効率を高めることができる。
特に、ロータリーピストンエンジンではロータの回転に伴ってロータ収容室内のガスに遠心力が作用するため、ロータ収容室内のガスはロータ収容室の外周部分に向かいやすい。これに対して、本発明では、前記のように、ロータの外周を囲むロータハウジングにペリ排気ポートが設けられているため、前記外周部分に存在する多量の排気(燃焼後のガス)を吸気ポートから導入された空気によって効果的に押し出して、掃気性能を確実に高めることができる。
前記構成において、前記ペリ排気ポートを開閉可能な排気ポート開閉弁を備え、前記排気ポート開閉弁は、エンジン回転数が予め設定された基準回転数以下且つエンジン負荷が予め設定された第1基準負荷以下の低速低負荷領域では閉弁され、エンジン負荷が少なくとも前記第1基準負荷よりも高い第2基準負荷以上の高負荷領域では開弁されるのが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、低速低負荷領域と高負荷領域との両領域において吸気効率を適切に高めることができる。
具体的には、低速低負荷領域ではエンジン回転数およびエンジン負荷が低いことに伴って吸気圧(吸気ポート内の圧力)が低いため、吸気行程にある作動室において排気ポートの開口期間と吸気ポートの開口期間とが重複していると、排気が排気ポート側からロータ収容室内に逆流して吸気効率がかえって低下するおそれがある。これに対して、この構成では、低速低負荷領域において、排気ポート開閉弁が閉弁されて吸気ポートと開口期間が重複するペリ排気ポートが閉鎖されるため、前記逆流を回避して吸気効率を高くすることができる。そして、高負荷領域であって吸気圧が高い領域においては、排気ポート開閉弁が開弁されてペリ排気ポートが開放されることで、前記のように掃気性能および吸気効率を高めることができる。
前記構成において、前記サイド排気ポートに接続されるサイド側排気通路と、前記ペリ排気ポートに接続されるペリ側排気通路とを備え、前記サイド側排気通路には、当該サイド側排気通路を流通する排気のエネルギーにより回転するタービンが設けられており、前記ペリ側排気通路は、前記タービンを迂回して前記ペリ排気ポートと前記サイド側排気通路の前記タービンよりも下流側の部分とを接続しており、前記ペリ排気ポートは、排気行程にある作動室において前記サイド排気ポートよりも遅い時期に開口を開始する位置に設けられているのが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、排気行程にある作動室での開口時期が早く、これに伴って高い圧力の排気が導出されるサイド排気ポートにタービンが接続されているため、タービンに高いエネルギーを付与してその駆動力を高くすることができる。また、ペリ排気ポートに接続されるペリ側排気通路がタービンを迂回していることで、サイド排気ポートから排出された排気がペリ側排気通路側に膨張するのを回避してタービンにより高いエネルギーを付与できるとともに、ペリ排気ポートから排出される排気に対してタービンが抵抗となって前記の掃気性能が低下するのを抑制することができる。
以上説明したように、本発明のロータリーピストンエンジンによれば、吸気効率を高めることができる。
本発明の実施形態にかかるロータリエンジンの概略構成図である。 エンジン本体の構成を説明するための概略断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 ロータの頂部付近の概略拡大図である。 2つのロータ収容室で実施される各行程のタイミグを示した図である。 エキセン角とポートの開口面積との関係を示した図である。 ロータ収容室内の様子を示した概略断面図であり、(a)は排気上死点での図、(b)は排気上死点を過ぎた状態の図である。 ロータ収容室内の様子を示した概略断面図であり、(a)は吸気上死点での図、(b)は吸気上死点を過ぎた状態の図である。 図3のIX−IX線断面の一部を示した図である。 図3の一部を拡大した図である。 吸気ポート開閉弁の開閉領域を示した図である。 タービンの概略断面図である。 図11のXIII−XIII線断面図である。 サイド側独立通路部内の圧力とペリ側独立通路部内の圧力とを比較して示した図である。 排気ポート開閉弁の開閉領域を示した図である。 サイド側独立通路部内の圧力およびペリ側集合通路部内の圧力を示した図である。 ボルテックスチューブの概略断面図である。
図1は、本発明の実施形態に係るロータリーピストンエンジン(以下、単にロータリエンジンという)100の全体構成を概略的に示した図である。以下では、適宜、図1の右左方向を前後方向という。
第1実施形態のロータリエンジン100は、前後方向に並ぶ2つのロータ収容室2(前側に位置する第1ロータ収容室2a、後側に位置する第2ロータ収容室2b)を有するエンジン本体1と、各ロータ収容室2に導入される吸気が流通する吸気通路30と、各ロータ収容室2から排出される排気が流通する排気通路50と、ターボ過給機70と、EGR装置90とを有している。このエンジン100は、例えば、エンジン本体1を走行用の駆動源とする車両に搭載される。
(1)エンジン本体
図2は、エンジン本体1の構成を説明するための概略断面図である。図3は、エンジン本体1の概略断面図である。なお、図2は、正確な断面図ではなく、後述する各ポート11、12、13、14等を模式的に示している(例えば、正確には後述するペリ排気ポート14と他のポート11、12、13とは同一平面上には存在しない)。また、後述するように吸気ポート11、12と排気ポート13、14とは互いに対向する異なる2つのサイドハウジング6に設けられているが、図3(および後述する図7、図8)では、これらポートの相対的な開閉時期を明確にするべく、これら吸気ポート11、12と排気ポート13、14とを同一サイドハウジング6上に示している。
エンジン本体1には、各ロータ収容室2を貫通して前後方向に延びる出力軸であるエキセントリックシャフト4が設けられている。エンジン本体1の各ロータ収容室2には、それぞれ、ロータ3(前側に位置する第1ロータ3a、後側に位置する第2ロータ3b)が収容されている。
各ロータ3は、側面視で略三角形状を有している。各ロータ3は、エキセントリックシャフト4に対して遊星回転運動するように支持されており、3つの頂部3rがロータ収容室2の内周面に沿って移動するようにエキセントリックシャフト4回りに回転する。
各ロータ3にはロータ収容室2の内側面との間の気密性を保つことを目的として多数のシール部材が設けられている。例えば、ロータ3の頂部3r付近を拡大して示した概略図である図4に示すように、ロータ3の各頂部3rには、前後方向に延びるアペックスシール101が取り付けられている。そして、アペックスシール101の前後方向の両端部には、アペックスシール101と連結される略円柱状のコーナーシール102が設けられている。また、ロータ3の前後方向の両側面には、それぞれ、各コーナーシール102どうしの間をロータ3の外周縁と略平行に延びるサイドシール103と、サイドシール103よりもロータ3の径方向内方に位置してロータ3の中心を中心とする円環状の2本のオイルシール104、104とが設けられている。2本のオイルシール104、104はロータ3の径方向に所定の隙間をあけて並んでいる。
エンジン本体1は、各ロータ3の外周をそれぞれ囲むロータハウジング5と、各ロータ3の前方および後方に設けられたサイドハウジング6、6を有している。
ロータハウジング5は、第1ロータ3aの外周を囲む第1ロータハウジング5aと、第2ロータ3bの外周を囲む第2ロータハウジング5bとを含む。また、サイドハウジング6は、第1ロータ3aの前方に位置する第1サイドハウジング6aと、第1ロータ3aの後方且つ第2ロータ3bの前方に位置する中央サイドハウジング6c(以下、インターミディエイトハウジング6cという)とを含む。ロータ収容室2はこれらロータハウジング5とサイドハウジング6、6とによって区画されている。
ロータハウジング5の内周面は、平行トロコイド曲線に沿って延びており、ロータ収容室2内は、ロータ3によって3つの作動室Aに区画されている。
このように構成されたロータリエンジン1では、ロータ3の回転に伴い3つの作動室Aがエキセントリックシャフト4回りに移動して、各作動室Aにて吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程が行われる。また、各行程は、エキセントリックシャフト4が270度回転する期間実施される。
第1ロータ3aと第2ロータ3bとは、エキセントリックシャフト4の回転角度において互いに180度の位相差で回転しており、図5に示すように、第1ロータ収容室2aと第2ロータ収容室2bとでは、エキセントリックシャフト4の回転角度(エキセン角)において180度(180°EA、EA:エキセン角)ずれて、吸気、圧縮、膨張(燃焼)および排気の各行程がそれぞれ行われる。従って、2つのロータ収容室2間において各行程は重複する。
図3に示した例では、各ロータ3は、それぞれ、矢印で示すように時計回りに回転し、左上側の領域において概ね吸気行程が行われ、右上側の領域において概ね圧縮行程が行われ、右下側の領域において概ね膨張(燃焼)行程が行われ、左下側の領域において概ね排気行程が行われる。以下、適宜、図3の左右方向を単に左右方向として説明する。
各ロータハウジング5には、ロータ3の回転方向に沿って並ぶ2つの点火プラグ21、21が取り付けられている。また、第1サイドハウジング3aと第2サイドハウジング3bとには、各ロータ収容室2内に燃料を供給するためのインジェクタ(不図示)が取り付けられている。このインジェクタは、後述するプライマリ吸気ポート11内に燃料を噴射する。
(吸気ポートおよび排気ポートの詳細構造)
第1サイドハウジング6aには、第1ロータ収容室2aに吸気を導入するための2つの吸気ポート11、12が形成され、インターミディエイトハウジング6cには、第2ロータ収容室2bに吸気を導入するための2つの吸気ポート11、12が形成されている。これら吸気ポート11、12は、吸気行程が行われる領域に設けられている。図3の例では、吸気ポート11、12は、各ハウジング6a、6cの左上側の部分に形成されており、ロータ収容室2の内側面の左上側の部分に開口している。
ここで、ロータ3の頂部3rの前後方向の両端部に設けられたコーナーシール102は、サイドハウジング6の外周縁に沿って移動する。そのため、吸気ポートがサイドハウジング6の外周縁まで延びていると、吸気ポートにコーナーシール102が脱落するおそれがある。これに伴い、サイドハウジング6に形成された各吸気ポート11、12は、サイドハウジング6の外周縁からロータ3の径方向の内側に所定量離間するように形成されている。
1つのサイドハウジング6において、2つの吸気ポート11、12はロータ3の回転方向に並んでおり、吸気行程において下方の吸気ポート11の方が上方の吸気ポート12よりも早期に開口および閉口するようになっている。以下では、下側の吸気ポート11であってより早いタイミングで開口および閉口する吸気ポート11をプライマリ吸気ポート11といい、上側の吸気ポート12であってより遅いタイミングで開口および閉口する吸気ポート12をセカンダリ吸気ポート12という。
図6は、エキセントリックシャフトの回転角度であるエキセン角と各ポートの開口面積との関係を示した図である。図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)は、ロータ収容室2内の様子を示した概略図である。図7(a)は左側の作動室A1が排気上死点にある状態の図、図7(b)は左側の作動室A1が排気上死点をわずかに過ぎた状態の図である。図8(a)は上側の作動室A2が吸気下死点にある状態の図、図8(b)は上側の作動室A2が吸気下死点をわずかに過ぎた状態の図である。
図6〜図8に示すように、プライマリ吸気ポート11は、排気上死点付近で開口を開始し、吸気下死点をわずかに超えた時期に閉口する。一方、セカンダリ吸気ポート12は、プライマリ吸気ポート11と同様に排気上死点付近で開口を開始する一方、吸気下死点よりも遅角側且つプライマリ吸気ポート11よりも遅角側の時期で閉口する。例えば、プライマリ吸気ポート11は吸気下死点後30°EA(EA:エキセン角)程度で閉口するのに対して、セカンダリ吸気ポート12はエキセン角で吸気下死点後90°EA程度で閉口する。
また、インターメディエイトハウジング6cには、第1ロータ収容室2aから排気を導出するためのサイド排気ポート13が形成され、第2サイドハウジング6bには、第2ロータ収容室2bから排気を導出するためのサイド排気ポート13が形成されている。吸気ポート11、12と同様に、インターメディエイトハウジング6c、第2サイドハウジング6bに設けられたサイド排気ポート13は、アペックスシール101の脱落を回避するために各ハウジング6b、6cの外周縁から所定量ロータ3の径方向の内側に所定量離間するように形成されている。
本実施形態では、さらに、各ロータハウジング5にもロータ収容室2から排気を導出するためのペリ排気ポート14がそれぞれ形成されている。つまり、第1ロータハウジング5aには第1ロータ収容室2aから排気を導出するためのペリ排気ポート14が形成され、第2ロータハウジング5bには第2ロータ収容室2bから排気を導出するためのペリ排気ポート14が形成されている。
図6に示すように、ペリ排気ポート14は、サイド排気ポート13よりも遅い時期に開口するように配置されている。
図9は、図3のIX−IX線断面の一部を示した図である。図9に示すように、ペリ排気ポート14は、ロータハウジング5の前後方向中央を挟んで前方および後方に延びる略長方形状を有している。ペリ排気ポート14は、アペックスシール101の脱落を回避するべく、ロータハウジング5の前後方向の両縁付近、を除く部分に設けられている。例えば、ペリ排気ポート14の前後方向の寸法は、ロータハウジング5の前後方向の寸法の0.8倍程度に設定されている。
このように、ロータハウジング5にペリ排気ポート14が設けられることで、本実施形態では、エンジン本体1をより適正に稼働させることができる。
具体的には、ロータリエンジン1では、ロータ3の回転に伴ってロータ収容室2内の物質に遠心力が作用するため、燃焼後のガスや燃焼に伴って生成された煤および凝縮水はロータ収容室2の外周縁付近に溜まりやすい。そのため、前記のようにロータ収容室2の外周縁から離間するように形成されたサイド排気ポート13しか設けられていない場合には、燃焼後のガス等がロータ収容室2の外部に適切に排出されないおそれがある。そして、排出されなかった煤がアペックスシール101に付着してアペックスシール101とロータ収容室2の内周面との間の気密性が低下し、圧縮行程において混合気が適切に圧縮されず膨張仕事が低下するおそれがある。また、排出されなかった凝縮水が点火プラグ21等に悪影響をおよぼすおそれがある。また、ロータ収容室2内の煤が点火源となってロータ収容室2内で予期せず燃焼が開始するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、ロータハウジング5にペリ排気ポート14が設けられていることで、ロータ収容室2の外周縁付近に溜まった煤をこのペリ排気ポート14からロータ収容室2外に排出することができる。特に、アペックスシール101に煤が付着した場合であっても、この煤をペリ排気ポート14内に脱落させることができる。詳細には、図3の一部を拡大した図10において、矢印で示すようにロータ3の頂部3rがペリ排気ポート14を通過する際、アペックスシール101がペリ排気ポート14の開口縁14rにロータ3の回転方向の下流側から上流側に向かって当接することで、アペックスシール101に付着している煤Cがペリ排気ポート14の開口縁14rによってアペックスシール101からかき落とされる。また、ロータ収容室2の外周縁付近に溜まった凝縮水をペリ排気ポート14から排出することができる。従って、膨張仕事を確保することができるとともに点火プラグ21等を適正に作動させること、および、適切な燃焼を実現できる。
各排気ポート13、14は、基本的に排気行程が行われる領域に設けられており、図3の例では、ロータ収容室2の内側面の左下側の領域に開口している。ただし、図6および図7(a)、(b)に示すように、サイド排気ポート13は、その閉口時期が排気上死点付近となるように設けられる一方、ペリ排気ポート14は、サイド排気ポート13よりも遅角側でかつその閉口時期が排気上死点を超えるように設けられている。これに伴い、吸気行程にある作動室Aにおいて、サイド排気ポート13が開口している期間と、各吸気ポート11、12が開口している期間とは重複しない一方、ペリ排気ポート14が開口している期間と、各吸気ポート11、12が開口している期間とは重複する。
ここで、サイド排気ポート13の開口面積は、サイド排気ポート13のロータ3の径方向についての寸法を大きくすることによって大きくすることができる。これに対して、ペリ排気ポート14の前後方向の寸法はロータハウジング5の前後方向の寸法によって規定される。そのため、ペリ排気ポート14の開口面積を大きくしようとすると、ロータ3の回転方向についてのペリ排気ポート14の寸法を大きくせねばならない。しかしながら、ペリ排気ポート14のこの回転方向の寸法を大きくすると、ペリ排気ポート14の開口開始時期が早くなる、あるいは、閉口時期が遅くなって、膨張行程中にペリ排気ポート14が開口する、あるいは、吸気行程中にペリ排気ポート14が開口する期間が過剰に長くなり、膨張仕事あるいは吸気効率が低下してしまう。そこで、本実施形態では、ペリ排気ポート14の開口開始時期と閉口時期とを適切な時期とし、サイド排気ポート13の開口面積を大きくすることで、排気ポート13、14全体での開口面積を確保している。これに伴い、図6に示すように、サイド排気ポート13の開口面積(最大値)は、ペリ排気ポート14の開口面積(最大値)よりも大きくなっている。
(2)吸気通路
吸気通路30は、1本の吸気上流側通路部31と、吸気上流側通路部31の下流端から延びる2つの分岐通路部32、33とを備える。
吸気上流側通路部31には、上流側から順に、エアクリーナー41、ターボ過給機70のコンプレッサ71、インタークーラ42、スロットルバルブ43が設けられている。
一方の分岐通路部32であるプライマリ吸気通路部32の下流側部分はさらに2つ通路部32a、32bに分岐しており、これら通路部32a、32bがそれぞれ独立して第1ロータ収容室2aのプライマリ吸気ポート11と第2ロータ収容室2bのプライマリ吸気ポート11とに接続されている。また、他方の分岐通路部33であるセカンダリ吸気通路部33の下流側部分もさらに2つの通路部33a、33bに分岐しており、これら通路部33a、33bがそれぞれ独立して第1ロータ収容室2aのセカンダリ吸気ポート12と第2ロータ収容室2bのセカンダリ吸気ポート12とに接続されている。
セカンダリ吸気ポート12にそれぞれ接続された2本の通路部33a、33bには、それぞれこの通路ひいてはセカンダリ吸気ポート12、12を開閉する吸気ポート開閉弁18、18が設けられている。
図11は、吸気ポート開閉弁18の開閉領域を示した図である。図11に示すように、本実施形態では、吸気ポート開閉弁18は、エンジン回転数が予め設定された吸気側基準回転数N1以下で且つエンジン負荷が予め設定された吸気側基準負荷Tq1よりも高い低速高負荷領域R1でエンジン本体1が運転されている場合に閉弁され、その他の領域R2では開弁される。
これは、次の理由による。
エンジン回転数が高い場合には、吸気脈動の作用によって吸気下死点を過ぎた後でも吸気ポートから作動室A内には吸気が導入される。そのため、エンジン回転数が高い場合には、吸気下死点を過ぎた後も比較的長い時間開口するセカンダリ吸気ポート12を開放することで吸気効率を高めることができる。
一方、エンジン回転数が低い場合にセカンダリ吸気ポート12が開放されて吸気下死点を過ぎた後長い時間吸気ポートが開放されていると、作動室A内の吸気がセカンダリ吸気ポート12およびこれに接続される吸気通路30に吹き返されて作動室A内の吸気量(新気量)が低減してしまう。そのため、エンジン回転数が低い場合には、セカンダリ吸気ポート12を閉鎖することで新気量を多くすることができる。ただし、エンジン負荷が低い場合は、必要な新気量は少なくなる。さらには、前記のように吸気の吹き返しを生じさせることで、スロットルバルブ43を絞る量を少なくすることができ、ポンピングロスを低減できる。そこで、本実施形態では、低速高負荷領域R1では、吸気ポート開閉弁18を閉弁してセカンダリ吸気ポート12を閉鎖し(セカンダリ吸気ポート12を介した吸気通路30と作動室Aとの間でのガスの流通を停止し)、その他の領域R2では吸気ポート開閉弁18を開弁してセカンダリ吸気ポート12を開放する(セカンダリ吸気ポート12を介した吸気通路30と作動室Aとの間でのガスの流通を許可する)。
(3)排気通路
排気通路50は、2つのペリ排気ポート14に接続されるペリ側排気通路部(ペリ側排気通路)51と、2つのサイド排気ポート13に接続されるサイド側排気通路部(サイド側排気通路)54とを備える。
ターボ過給機70のタービン72は、サイド側排気通路部54に設けられている。一方、ペリ側排気通路部51の下流端は、タービン72を迂回してサイド側排気通路部54のタービン72よりも下流側の部分(後述する下流側通路部56)に接続されている。サイド側排気通路部54のうちペリ側排気通路部51との接続部分よりも下流側には、排気を浄化するための三元触媒等の浄化装置58が設けられている。
サイド側排気通路部54は、サイド側排気通路部54の上流側部分を構成して第1ロータ収容室2aのサイド排気ポート13に接続される第1サイド側独立通路部55と、サイド側排気通路部54の上流側部分を構成して第2ロータ収容室2bのサイド排気ポート13に接続される第2サイド側独立通路部55とを備える。
図12は、タービン72の概略断面図である。図13は、図12のXIII−XIII線断面図である。タービン72は、いわゆるラジアルタービンであり、外周に複数の羽根73を有しこれら羽根73に排気が衝突することで回転するタービン本体(いわゆるタービンインペラ)74と、タービン本体74を内側に収容するタービンハウジング75とを有している。
タービンハウジング75は、排気を内側に導入するための吸入部76と、吸入部76の下流端からタービン本体74の外周に沿って延びてタービン本体74を囲むタービンスクロール部77と、タービン本体74で膨張した後の排気を下流側に導出するための導出部78とを有する。本実施形態では、吸入部76は上下流方向にわたって流路面積が一定の略円管状を有している。
タービンスクロール部77の下流端には、タービン本体74に向かって突出して、吸入部76とタービンスクロール部77の下流側部分とを仕切る舌部79が設けられている。タービンスクロール部77は渦巻状を有しており、タービンスクロール部77の流路面積は舌部79(タービンスクロール部77の下流端)に向かって下流側ほど小さくなっている。
このように、タービンハウジング75の流路面積は、その上流端(吸入部76の上流端)から、タービンスクロール部77の上流端(吸入部76の下流端)までは一定とされ、その後、舌部79に向かって漸減していく。ここで、タービンハウジング75の舌部70の先端を通る部分であってタービンスクロール部77と吸入部76との境界部分は、この部分からタービン本体74に向かって流路面積が減少していくことに伴ってのど部80と呼ばれている。
本実施形態に係るタービン72は、いわゆるツインスクロールタービンであり、タービンハウジング75のうち吸入部76とタービンスクロール部77とからなる部分の内側空間は、タービン本体74の回転軸方向について並ぶ2つの空間に区画されており、この内側空間には、2つの独立した吸入通路81、81が形成されている。そして、一方の吸入通路81に第1サイド側独立通路部55が接続されて、他方の吸入通路81に第2サイド側独立通路部55が接続されている。
タービンスクロール部77の導出部78には、サイド側排気通路部54の下流側部分を構成する1本の下流側通路部56が接続されており、タービン本体74を回転させた後の排気はこの下流側通路部56に導入される。
前記のように構成されることで、一方のサイド排気ポート13から排出されて一方のサイド側独立通路部55を通りタービンハウジング75に流入した排気は、他方のサイド側独立通路部55に回り込むことなくタービン本体74の各羽根73に衝突する。そのため、本実施形態では、各サイド排気ポート13から排出された排気のエネルギーを高く維持したまま各羽根73に付与することができる。つまり、排気干渉によってタービン本体74に供給される排気のエネルギーが減少するのを回避でき、タービン本体74の駆動力を高めることができる。
特に、本実施形態では、サイド排気ポート13は、ペリ排気ポート14よりも早いタイミング、つまり、作動室A内の圧力がより高いタイミングで開口する。そのため、サイド側独立通路部55には高圧のブローダウンガス(排気ポートの開口とともに排出される高圧の排気)が流入し、サイド側独立通路部55内の圧力(実線)と、後述するペリ側独立通路部52内の圧力(破線)とを比較して示した図14に示されるように、サイド側独立通路部55およびタービン本体74に導入される排気の圧力は高く、より高いエネルギーがタービン本体74に供給される。
なお、図示は省略したが、各サイド側独立通路部55には、各サイド側独立通路部55の下流端付近と下流側通路部56とを連通して、各サイド側独立通路部55内の排気をタービン72を迂回して下流側通路部56に流すためのバイパス通路と、これを開閉するウエストゲートバルブとが設けられている。また、前記のように、タービンハウジング75の流路面積は、のど部80から下流側に向かって漸減する。そのため、のど部80よりも下流側では排気の流速は高められ、所定の通路からタービンハウジング75に流入した排気の他の通路への回り込みすなわち排気干渉は抑制されて、タービン本体74の駆動力を高めることができる。従って、タービンスクロール部77の内側空間のほぼ全体が2つの空間に区画された前記構成に代えて、タービンハウジング75の内側空間のうちその上流端から舌部79よりも上流側の部分までの空間が、2つに区画されるように構成してもよい。
ペリ側排気通路部51は、第1ロータ収容室2aのペリ排気ポート14と連通する第1ペリ側独立通路部52と、第2ロータ収容室2bのペリ排気ポート14と連通する第2ペリ側独立通路部52と、これら2つのぺリ側独立通路部52が集合したペリ側集合通路部53とからなる。
各ペリ側独立通路部52には、それぞれ、各ペリ側独立通路部52ひいては各ペリ排気ポート14を開閉可能な排気ポート開閉弁61が設けられている。
前記のように、ロータ収容室2内の煤および凝縮水はペリ排気ポート14によって効果的に除去される。そこで、本実施形態では、エンジンの運転領域によらずエンジンを始動してから所定期間の間、ペリ排気ポート開閉弁61を開弁させてロータ収容室2内に溜まった煤および凝縮水を除去する。
また、本実施形態では、エンジン始動後において、排気ポート開閉弁61は図15に示すように制御される。具体的には、排気ポート開閉弁61は、エンジン回転数が予め設定された排気側基準回転数(基準回転数)N2以下且つエンジン負荷が予め設定された排気側基準負荷(第1基準負荷)Tq11以下の低速低負荷領域R11でエンジン本体1が運転されている場合に閉弁され、その他の領域R12で開弁される。
これは、次の理由による。
前記のように、本実施形態では、ペリ排気ポート14の開口期間と各吸気ポート11、12の開口期間とが重複しており、吸気行程にある作動室Aにおいてこれらのポート11、12、14がともに所定期間開口可能に構成されている。そのため、排気ポート開閉弁61を開弁してペリ排気ポート14を開放する(ペリ排気ポート14を介した排気通路50と作動室Aとの間でのガスの流通を許可する)と、吸気ポート11、12から作動室Aに流入した吸気によって作動室A内の排気(燃焼後のガス)をペリ排気ポート14側に押しやり掃気性能を高めることができる。
ただし、低速低負荷領域R11では、エンジン回転数およびエンジン負荷が低く吸気の圧力が燃焼後の作動室A内の圧力よりも低いことに伴い、ペリ排気ポート14を開放すると、作動室A内の排気が吸気ポート11、12側に流入して作動室A内への吸気の導入を阻害するおそれがある。そこで、本実施形態では、低速低負荷領域R11では排気ポート開閉弁61を閉弁してペリ排気ポート14を閉鎖し(ペリ排気ポート14を介した排気通路50と作動室Aとの間でのガスの流通を停止し)、これにより、作動室A内つまりロータ収容室2内への吸気の導入を促進する一方、その他の領域R2では排気ポート開閉弁61を開弁して前記のように掃気性能を高め、これにより、作動室A内つまりロータ収容室2内への吸気の導入を促進する。
(4)EGR装置
EGR装置90は、排気の一部を吸気に還流するための装置であり、排気通路50と吸気通路30とを連通するEGR通路91と、これを開閉するEGRバルブ92と、EGR通路91を通過してロータ収容室2に導入される排気であるEGRガスを冷却するEGRクーラ93とを備える。
EGR通路91は、ペリ側集合通路部53とプライマリ吸気通路部32とに接続されている。本実施形態では、EGR通路91は、ペリ側集合通路部53の途中部に、後述するボルテックスチューブ69を介して接続されている。また、EGR通路91は、プライマリ吸気通路部32の上流側部分であって各プライマリ吸気ポート11に向かって2つの通路に分岐する部分よりも上流側の部分に接続されている。従って、EGR通路91には、各ペリ排気ポート14から排出された排気のみが導入されるとともに、EGR通路91を流通するEGRガスはプライマリ吸気ポート11のみからロータ収容室2内に導入される。
このように、EGR通路91がペリ側集合通路部53に接続されていることで、本実施形態では、EGRガスをより適切に各ロータ収容室2に導入することができる。
図16は、サイド側独立通路部51内の圧力(破線)とペリ側集合通路部53内の圧力(実線)とを比較して示した図である。前記のように、ペリ排気ポート14からはブローダウン(サイド排気ポート13の開口に伴って高圧の排気が排出された)後の比較的低い圧力の排気が導入される。そのため、ペリ排気ポート14と連通するペリ側集合通路部53内の圧力は比較的低くなる。さらに、ペリ側集合通路部53が2つのペリ側排気ポート14と連通していることで、ペリ側集合通路部53内では各ペリ側排気ポート14から排出された排気の圧力脈動が平均化される。従って、ペリ側集合通路部53内の圧力変動幅は小さくなり、ペリ側集合通路部53に接続されたEGR通路91内の圧力変動も小さくなる。従って、各作動室Aおよび各ロータ収容室2に導入されるEGRガス量の変動は小さくなり、各作動室Aおよび各ロータ収容室2内にそれぞれ適切にEGRガスが導入される。なお、前記のように各ペリ排気ポート14からペリ側集合通路部53に導出される排気の圧力が小さいことから、一方のペリ排気ポート14からペリ側集合通路部53へ導出された排気が他方のペリ排気ポート14からペリ側集合通路部53への排気の導出に与える悪影響は小さく抑えられる。
また、前記のように、セカンダリ吸気ポート12には、主としてエンジン回転数が低い領域において、ロータ収容室2からの吹き返しが生じる。そのため、セカンダリ吸気ポート12にEGR通路91が接続されていると、セカンダリ吸気通路部33に吹き返された吸気が、EGR通路91からセカンダリ吸気通路部33へのEGRガスの流入を阻害するおそれがある。また、セカンダリ吸気ポート12にEGR通路91が接続されていると、所定の作動室Aからセカンダリ吸気通路部33に吸気とともに吹き返されたEGRガスが、他の作動室Aに流入して各作動室A内のEGRガス量が不適切になるおそれがある。これに対して、本実施形態では、閉口時期が早くロータ収容室2からの吹き返しがほとんどないプライマリ吸気ポート11およびプライマリ吸気通路部32にEGR通路91が接続されていることで、各ロータ収容室2および各作動室Aに適切な量のEGRガスを導入することができる。
また、ペリ側排気ポート14からペリ側排気通路部51には、圧力とともに温度の低い排気が導出される。そのため、EGRガスの温度をより低くすること、あるいは、EGRガスの温度を所定の温度に低下させつつEGRクーラ93の性能を低く抑えること(例えば、EGRクーラの容量を小さく抑えること)が可能となる。
ここで、前記のようにEGR通路91が接続されるペリ側集合通路部53内の圧力は比較的低い。そのため、エンジンの運転条件によってはEGR通路91の前後差圧が小さくなって十分なEGRガスをロータ収容室2内に導入できないおそれがある。これに対して、本実施形態では、ペリ側集合通路部53のうちEGR通路91の接続部分よりも下流側に、ペリ側集合通路部53を開閉する排気開閉弁63が設けられている。従って、この排気開閉弁63を閉じ側にすることで、前記の運転条件においても、ロータ収容室2内に適切な量のEGRガスを導入することができる。例えば、排気開閉弁63は、エンジン負荷が予め設定されたEGR基準負荷以下の領域において閉じ側に制御され、その開度は、吸気圧(吸気通路30内の圧力)に応じて変更される。あるいは、排気開閉弁63として、全閉と全開とに切り替えられるものが用いられて、吸気圧に応じて全閉と全開とに切り替えられる。なお、EGR通路91を介して吸気通路30から排気通路50に吸気が導入されるのを回避するべく、排気ポート開閉弁61の閉弁時には、排気開閉弁63は全閉とされる。
図17は、ボルテックスチューブ69の概略断面図である。ボルテックスチューブ69は、例えば、特開2002−70657に開示されているようなものを使用することができ、ここでは簡単に説明する。
図17に示すように、ボルテックスチューブ69は、旋回室64aが内側に区画された略円筒状の旋回流形成部64と、旋回流形成部64の一端に接続された暖気吐出部65と、旋回流形成部64の他端に接続された冷気吐出部66と、旋回流形成部64の周壁に形成されたガス導入部67とを有する。旋回室64aは、図17に示すようにその内側で旋回流Sが形成されるように構成されている。ボルテックスチューブ69では、ガス導入部67から高温高圧のガスが導入されると旋回室64a内でその外周面に沿い暖気吐出部65に向かう旋回流S1と、この旋回流S1の内側を通り暖気吐出部65側から冷気吐出部66に向かう旋回流S2とが生じ、これら旋回流S1、S2間での熱交換により、導入されたガスが高温のガスと低温のガスとに分離される。そして、高温のガスは暖気吐出部65から外部に導出されて、低温のガスは冷気吐出部66から外部に吐出される。
本実施形態では、このように構成されたボルテックスチューブ69のガス導入部67と暖気吐出部65にそれぞれペリ側集合通路部53の途中部が接続されて、冷気吐出部66にEGR通路91の上流端が接続されており、ボルテックスチューブ69を介して、ペリ側集合通路部53とEGR通路91とが接続されている。
このように構成されることで、ペリ側集合通路部53から排出された高温高圧のガスの一部は冷却されてEGR通路91に導入され、他部は下流側通路部56へと導出される。従って、本実施形態では、EGRガスの温度をより一層低くすること、あるいは、EGRガスの温度を所定の温度に低下させつつEGRクーラ93の性能をより一層低く抑えることができる。
ここで、前記の温度分離を実現するためには暖気吐出部65の圧力を十分に高くする必要がある。これに対して、本実施形態では、前記排気開閉弁63がペリ側集合通路部53の下流側部分に設けられており、この排気開閉弁63が閉じ側に制御されることで前記圧力が高く維持される。
なお、車両には、エンジンの各部を制御可能なECU(不図示)が設けられており、このECUによって、吸気ポート開閉弁18、排気ポート開閉弁61、排気開閉弁63、EGRバルブ92、スロットルバルブ43等が制御される。
(5)作用等
以上のように、本実施形態では、排気ポートとしてサイドハウジング6に形成されたサイド排気ポート13と、ロータハウジング5に形成されたペリ排気ポート14とが設けられている。従って、排気ポート全体の開口面積を大きくすることができ、より多くの作動室A内の排気(燃焼後のガス)を外部に排出することができる。
しかも、ペリ排気ポート14が、吸気行程にある作動室Aにおいて、ペリ排気ポート14が開口している期間と、各吸気ポート11、12が開口している期間とが重複する位置に設けられている。従って、掃気性能を高めて吸気効率を高めることができる。
特に、前記のように、ロータリエンジンではロータ3の回転に伴ってロータ収容室2内の物質には遠心力が作用するため、ロータ収容室内のガスはロータ収容室の外周部分に向かいやすい。これに対して、本実施形態では、前記のように、ロータ3の外周を囲むロータハウジング5にペリ排気ポート14が設けられている。そのため、ロータ収容室の外周部分に存在する多量の排気を、吸気ポート11、12から導入された吸気(空気、あるいは、空気とEGRガスとを含むガス)によって効果的にペリ排気ポート14から外部に排出することができ、掃気性能を確実に高めることができる。
また、本実施形態では、前記のように、ペリ排気ポート14を開閉可能な排気ポート開閉弁61が設けられて、低速低負荷領域R11において排気ポート開閉弁61が閉弁され、他の領域R12において排気ポート開閉弁61が開弁される。そのため、前記のように、他の領域R12では掃気性能を高めてこれにより吸気効率を高くすることができるとともに、低速低負荷領域R11では、作動室A内の排気が吸気ポート11、12側に流入して作動室A内への吸気の導入を阻害するのを回避してこれにより吸気効率を高くすることができる。
また、本実施形態では、開口時期が早いサイド排気ポート13に接続されるサイド側排気通路部54にタービン72を設け、ペリ排気ポート14に接続されるペリ側排気通路部51はタービン72を迂回するように構成している。
そのため、前記のように、タービン72に高い排気のエネルギーを付与してその駆動力を高くすることができるとともに、タービン72がペリ排気ポート14から排出される排気に対して抵抗となるのを回避することができ、前記のペリ排気ポート14と吸気ポート11、12との開口期間の重複に伴う掃気性能を高く維持することができる。
(6)変形例
前記実施形態では、排気ポート開閉弁61が低速低負荷領域R11で閉弁され、他の領域R12で開弁される場合について説明したが、排気ポート開閉弁61を閉弁または開弁する領域はこれに限らない。ただし、前記のように低速低負荷領域R11では吸気効率を高めるために排気ポート開閉弁61を閉弁するのが好ましい。また、エンジン負荷が高い領域では吸気量を確保するべく排気ポート開閉弁61を開弁して掃気性能を高めるのが好ましい。従って、図14に示すように、エンジン負荷が排気側基準負荷Tq11よりも高い所定の負荷(第2基準負荷)Tq12以上の高負荷領域R20では、排気ポート開閉弁61を開弁して掃気性能を高めるのが好ましい。
前記実施形態では、ペリ側排気通路部51とEGR通路91とをボルテックスチューブ69を介して接続した場合について説明したが、ボルテックスチューブ69は省略可能である。また、セカンダリ吸気ポート12およびセカンダリ吸気通路33aは省略可能である。また、インジェクタを、プライマリ吸気ポート11ではなく直接ロータ収容室2内に燃料を噴射するように配置してもよい。また、前記実施形態では、エンジン本体1が車両の駆動源として用いられる場合について説明したが、これに限らず、例えば、車両の駆動源としてモータを備えたハイブリッド車両に設けてこのモータに電力を供給するための電力源としてエンジン本体1を利用してもよい。
2 ロータ収容室
3 ロータ
5 ロータハウジング
6 サイドハウジング
11 プライマリ吸気ポート(吸気ポート)
12 セカンダリ吸気ポート(吸気ポート)
13 サイド排気ポート
14 ペリ排気ポート
18 吸気ポート開閉弁
51 ペリ側排気通路部(ペリ側排気通路)
54 サイド側排気通路部(サイド側排気通路)
72 タービン

Claims (3)

  1. ロータと、当該ロータの回転によって吸気・圧縮・膨張・排気の各行程が実施される複数の作動室が内側に区画されるロータ収容室と、前記ロータ収容室から排気を導出する排気ポートおよび前記ロータ収容室に吸気を導入する吸気ポートとを有するロータリーピストンエンジンであって、
    前記ロータの外周を囲むロータハウジングと、
    前記ロータの側方に設けられて前記ロータハウジングとともに前記ロータ収容室を区画するサイドハウジングとを備え、
    前記吸気ポートは、前記サイドハウジングに形成されており、
    前記排気ポートは、前記サイドハウジングに形成されるサイド排気ポートと、前記ロータハウジングに形成されるペリ排気ポートとを備え、
    前記サイド排気ポートは、吸気行程にある作動室において前記吸気ポートが開口している期間と当該サイド排気ポートが開口している期間とが重複しない位置に設けられており、
    前記ペリ排気ポートは、吸気行程にある作動室において前記吸気ポートが開口している期間と当該ペリ排気ポートが開口している期間とが重複する位置に設けられていることを特徴とするロータリーピストンエンジン。
  2. 請求項1に記載のロータリーピストンエンジンであって、
    前記ペリ排気ポートを開閉可能な排気ポート開閉弁を備え、
    前記排気ポート開閉弁は、エンジン回転数が予め設定された基準回転数以下且つエンジン負荷が予め設定された第1基準負荷以下の低速低負荷領域では閉弁され、エンジン負荷が少なくとも前記第1基準負荷よりも高い第2基準負荷以上の高負荷領域では開弁されることを特徴とするロータリーピストンエンジン。
  3. 請求項1または2に記載のロータリーピストンエンジンであって、
    前記サイド排気ポートに接続されるサイド側排気通路と、
    前記ペリ排気ポートに接続されるペリ側排気通路とを備え、
    前記サイド側排気通路には、当該サイド側排気通路を流通する排気のエネルギーにより回転するタービンが設けられており、
    前記ペリ側排気通路は、前記タービンを迂回して前記ペリ排気ポートと前記サイド側排気通路の前記タービンよりも下流側の部分とに接続されており、
    前記ペリ排気ポートは、排気行程にある作動室において前記サイド排気ポートよりも遅い時期に開口を開始する位置に設けられていることを特徴とするロータリーピストンエンジン。
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