以下、図面を参照しながらターボ過給機付きエンジンの排気装置を説明する。尚、以下の説明は、例示である。図1は、ロータリピストンエンジン1(以下、単にロータリエンジン1ともいう)の構造を示している。ロータリエンジン1は、図2に示すように、2つのロータ2を備えた2ロータタイプであり、前側(便宜上、図2における紙面左側)及び後側(便宜上、図2における紙面右側)の2つのロータハウジング3、3が、インターミディエイトハウジング(つまり、サイドハウジング)4をその間に挟んだ状態で、これらの両側からさらに2つのサイドハウジング41、41で挟み込むようにして一体化されることによって構成されている。尚、ロータ2の個数(気筒数)はこれに限定されるものではない。
ロータハウジング3の、平行トロコイド曲線で描かれるトロコイド内周面3aと、これらロータハウジング3を両側から挟むサイドハウジング41の内側面と、インターミディエイトハウジング4の両側の内側面4aとによって、回転軸Xの一方側から回転軸Xに沿う方向にロータリピストンエンジン1を見たときに、繭のような略楕円形状をしたロータ収容室31が、前側及び後側の2つ横並びに区画されており、これらロータ収容室31にロータ2が1つずつ収容されている。各ロータ収容室31は、インターミディエイトハウジング4に対して対称に配置されており、ロータ2の位置及び位相が異なっている点を除けば構成は同じであるため、以下、1つのロータ収容室31について説明する。
ロータ2は、回転軸Xの方向から見て各辺の中央部が膨出する略三角形状をしたブロック体からなり、その外周に、各頂部間に3つの略長方形をしたフランク面2a、2a、2aを備えている。
ロータ2は、各頂部に図示しないアペックスシールを有し、これらアペックスシールがロータハウジング3のトロコイド内周面3aに摺接しており、このロータハウジング3のトロコイド内周面3aと、インターミディエイトハウジング4の内側面4aと、サイドハウジング41の内側面と、ロータ2のフランク面2aとで、ロータ収容室31の内部に、3つの作動室8、8、8がそれぞれ区画形成されている。従ってこのエンジン1は、車両前後方向の前側に第1〜第3の3つの作動室8と、後側に第4〜第6の3つの作動室8の、合計6個の作動室を有している。
ロータ2の内側には位相ギアが設けられている(図示せず)。すなわち、ロータ2の内側の内歯車(ロータギア)とサイドハウジング41側の外歯車(固定ギア)とが噛合するとともに、ロータ2は、インターミディエイトハウジング4及びサイドハウジング41を貫通しかつ、出力軸Xを構成するエキセントリックシャフト6に対して、遊星回転運動をするように支持されている。尚、符号21は、ロータ2の側面に設けられたオイルシールであり、余分な潤滑オイルが作動室8内に流入することを防止する。
ロータ2の回転運動は内歯車と外歯車との噛み合いによって規定され、ロータ2は、3つのシール部が各々ロータハウジング3のトロコイド内周面3aに摺接しつつ、エキセントリックシャフト6の偏心輪(偏心軸)6aの周りを自転しながら、回転軸Xの周りに自転と同方向に公転する(この自転及び公転を含め、広い意味で単にロータの回転という)。そして、ロータ2が1回転する間に3つの作動室8、8、8が周方向に移動し、それぞれで吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程が行われて、これにより発生する回転力がロータ2を介してエキセントリックシャフト6から出力される。
より具体的に、ロータ2は矢印で示すように、時計回りに回転し、回転軸Xを通るロータ収容室31の長軸Yを境に分けられるロータ収容室31の右側が概ね吸気及び排気行程の領域となり、左側が概ね圧縮及び膨張行程の領域となっている。
これに対し、従来構成のロータリピストンエンジンは、長軸Yを境に分けられるロータ収容室31の左側が概ね吸気及び排気行程の領域となり、右側が概ね圧縮及び膨張行程の領域となっている。つまり、本構成のロータリピストンエンジンは、従来構成のロータリピストンエンジンを、回転軸Xを中心として180°回転させたような状態で車両に搭載している。
図1における右下の作動室8に着目すると、これは吸気と噴射された燃料とによって混合気を形成する吸気行程を示しており、この作動室8がロータ2の回転につれて圧縮行程に移行すると、その内部にて混合気が圧縮される。その後、図1の左側に示す作動室8のように圧縮行程の終盤から膨張行程にかけて所定のタイミングにて点火プラグ82、83により点火されて、燃焼・膨張行程が行われる。そして、最後に図1の右上の作動室8のような排気行程に至ると、燃焼ガスが排気ポート10から排気された後、再び吸気行程に戻って各行程が繰り返されるようになっている。
吸気行程の状態にある作動室8には、吸気ポート11が連通している。吸気ポート11は、より詳細には、吸気行程の状態にある作動室8に面するインターミディエイトハウジング4の内側面4aに、ロータ収容室31の外周側の、回転軸Xを通るロータ収容室31の短軸Z寄りで開口すると共に、インターミディエイトハウジング4内を、ほぼ水平方向に延びて、エンジン1の側面に開口する。また、図示は省略するが、吸気行程の状態にある作動室8に面するサイドハウジング41の内側面にも、吸気ポート11に対向するように、別の吸気ポートが開口しており、この吸気ポートも、サイドハウジング41内を、ほぼ水平方向に延びて、エンジン1の側面に開口する。エンジン1の側面には、吸気ポート11に連通する吸気マニホールド12が取り付けられる。
排気行程の状態にある作動室8には、排気ポート10が連通している。排気ポート10は、より詳細には、排気行程の状態にある作動室8に面するインターミディエイトハウジング4の内側面4aに、ロータ収容室31の外周側の短軸Z寄りで開口すると共に、インターミディエイトハウジング4内を、斜め上方に向かって延びて、エンジン1の上面と側面との角部付近に開口する。また、図2に示すように、排気行程の状態にある作動室8に面するサイドハウジング41の内側面にも、前記排気ポート10に対向して別の排気ポート10が開口している。サイドハウジング41に形成された排気ポートも、サイドハウジング41内を、斜め上方に向かって延びて、エンジン1の上面と側面との角部付近に開口する。このエンジン1では、いわゆるサイド排気方式が採用されており、この排気ポート10の開口位置及び開口形状は、吸気のオープンタイミングと排気のオープンタイミングとがオーバーラップしないように設定されている。これによって、次行程に持ち込まれる残留排ガスを低減している。また、サイドハウジング41の排気ポート10の開口と、インターミディエイトハウジング4の排気ポート10の開口とは、互いに同じ形状を有しており,これにより、両排気ポート10の開くタイミングは互いに同じでありかつ、両排気ポート10の閉じるタイミングも互いに同じである。尚、以下においては、サイドハウジング41に形成された排気ポート10は、プライマリポート10aと呼び、インターミディエイトハウジング4に形成された排気ポートは、セカンダリポート10bと呼び、それらの排気ポートを総称するときには、単に排気ポート10と呼ぶ場合がある。エンジン1には、排気ポート10に連通する排気通路13が接続される。排気通路13の構成についての詳細は、後述する。
尚、図1における符号103は、排気通路13内に二次エアを供給するための二次エア通路である。
作動室8内に燃料を供給するためのインジェクタ81は、インターミディエイトハウジング4に取り付けられており、このインターミディエイトハウジング4に設けた吸気ポート11内に燃料を噴射する。
ロータハウジング3の側部における、短軸Zを挟んだロータ回転方向のトレーリング側(遅れ側)位置と、リーディング側(進み側)位置とにはそれぞれ、T側点火プラグ82とL側点火プラグ83とが取り付けられている。これら2つの点火プラグ82、83は、圧縮・膨張状態にある作動室8に臨んでおり、作動室8内の混合気に、同時に点火、又は位相差を持って順に点火をする。
(ターボ過給機付きロータリエンジンの排気装置の構成例1)
図2は、ターボ過給機付きロータリエンジン1の排気装置の構成例の1つを概念的に示している。図2は、排気装置に含まれる要素と要素との間の接続関係を概念的に示す図であり、各通路の接続位置、合流位置、及び分岐位置や、通路形状等を、必ずしも、具体的に表すものではない。
排気装置は、可変容量ターボ過給機5のタービン51と、その下流側の触媒装置100と、排気ガスの一部を吸気側に還流させるEGRシステム9と、を備えている。触媒装置100は、例えば三元触媒を備えて構成される。
前述したように、2ロータタイプのロータリエンジン1において、各気筒(つまり、ロータ2を収容するロータ収容室31であり、以下、説明の便宜上、図2における左側の気筒を前側気筒31aと呼び、図2における右側の気筒を後側気筒31bと呼ぶ)には、サイドハウジング41に開口するプライマリポート10aと、インターミディエイトハウジングに開口するセカンダリポート10bと、が設けられている。この排気装置では、プライマリポート10aと、セカンダリポート10bとは、互いに独立した排気通路13に接続されている。具体的に、プライマリポート10aは、第1通路131に接続され、セカンダリポート10bは、第2通路132に接続されており、排気通路13は、2系統に分離している。
第1通路131は、前側気筒31aのプライマリポート10aと、後側気筒31bのプライマリポート10aとを、タービン51に接続させるよう構成されている。第1通路131は、各プライマリポート10aから排出される排気ガスが、排気干渉を生じない、又は、生じ難いように構成されている。こうすることで、排気エネルギを、タービン51に対しロス無く供給することが可能になる。具体的には、前側気筒31aのプライマリポート10aに接続される通路と、後側気筒31bのプライマリポート10aに接続される通路とは、タービン51の直上流までは、互いに独立しており、そのタービン51の直上流においては、2つの通路が合流しタービン51に接続される。尚、図示は省略するが、タービン51のスクロール内においても、2つの通路が独立するように構成して、前側気筒31aに接続される通路と、後側気筒31bに接続される通路とをスクロール内においても、互いに独立させてもよい。また尚、前側気筒31aのプライマリポート10aに接続される通路と、後側気筒31bのプライマリポート10aに接続される通路とは、任意の箇所で合流させてもよい。
第1通路131は、冷却構造を有しており、具体的には、エンジンの冷却水によって排気ガスを冷却するよう構成されている。第1通路131は、いわゆる水冷排気マニホールドである。水冷排気マニホールドは、耐熱性を有する材料を用いる必要が無くなる、という利点がある。尚、第1通路131の冷却構造は、水冷構造に限定されず、その他、様々な冷却構造を採用することが可能である。
第2通路132は、前側気筒31aのセカンダリポート10bと、後側気筒31bのセカンダリポート10bとを、集合させる通路である。前側気筒31aのセカンダリポート10bと、後側気筒31bのセカンダリポート10bとは、インターミディエイトハウジング4の外側面において隣り合って開口している。第2通路132は、第1通路131とは異なり、排気干渉を生じ得る。第2通路132はまた、タービン51をバイパスして触媒装置100に接続されている。
第2通路132には、開閉弁134が設けられている。開閉弁134は、図2に仮想的に示すように、閉弁したときには、前側気筒31aのセカンダリポート10b、及び、後側気筒31bのセカンダリポート10bの開口を共に閉じるように構成されており、これにより、開閉弁134を閉弁したときには、前側気筒31a及び後側気筒31bの作動室8同士が、セカンダリポート10bを介して互いに連通してしまうことが回避される。つまり、排気干渉が生じない。図2に実線で示すように、開閉弁134を開弁したときには、前側気筒31aのセカンダリポート10b、及び、後側気筒31bのセカンダリポート10bの開口がそれぞれ開いて、各気筒31a、31bから排出される排気ガスが、第2通路132を通って(つまり、タービン51をバイパスして)、触媒装置100に送られる。第2通路132の開閉弁134はまた、第2通路132を流れる排気ガスの流量を調整可能な流量調整弁である。
第2通路132はまた、保温構造を有している。具体的に、第2通路132は、二重管によって構成されていて、第2通路132を流れる排気ガスの放熱を遮断するような断熱構造を有している。これにより、第2通路132を流れる排気ガスの温度は、高く維持されたままで、触媒装置100に至るようになる。つまり、第2通路132を流れる排気ガスの温度は、冷却構造を有する第1通路131を流れる排気ガスの温度よりも高くなる。
尚、保温構造は、二重管を用いた断熱構造に限定されるものではない。また、第2通路132を流れる排気ガスの温度が、第1通路131を流れる排気ガスの温度よりも高ければよく、第1通路131が冷却構造を有していることで排気ガスの温度を積極的に低下させているのであれば、第2通路132の保温構造を省略してもよい。逆に、第2通路132が保温構造を有していることで排気ガスの温度低下を抑制しているのであれば、第1通路131の冷却構造を省略することも可能である。
ターボ過給機5は、排気通路13上に配設されたタービン51と、図示を省略する吸気通路上に配設されたコンプレッサ52とを有している。排気ガス流によってタービン51が回転し、このタービン51の回転によって、タービン51に連結されたコンプレッサ52が作動をすることで、所望の過給圧を得る。前述したように、このターボ過給機5は、可変容量ターボ過給機であり、その構成自体は公知であるため、詳細な図示を省略するが、タービン51の上流側に、可変ベーン51aが配設されている。可変ベーン51aは、車両走行中の、エンジンの運転状態に応じて、その角度が変更される。つまり、低回転域では、可変ベーン51aの角度を小さくすることによって、タービン51に流入する排気ガスの流速が高まり、ターボ過給機5の過給レスポンスが高まる。一方、高回転域では、可変ベーン51aの角度を大きくすることによって、タービン51に流入する排気ガスの流速が低下し、ターボ過給機5の過給効率が高まる。この可変容量ターボ過給機5は、車両走行中には、エンジンの運転状態に応じて、所定の第1角度から、第1角度よりも大きい所定の第2角度の範囲で、可変ベーンの角度が変更されるよう構成されている。可変ベーン51aの構造上の可動範囲を0〜100%としたときに、第1角度は、30%程度であり、第2角度は、80%程度である。この可変容量ターボ過給機5はさらに、詳細は後述するが、可変ベーン51aの角度が、前記所定の第1角度よりも小さい全閉角度(例えば10%以下)にすることが可能に構成されている。つまり、車両走行中の最小角度である第1角度は、タービン51への排気ガスの流入を制限するものの、その流入を禁止する角度ではないのに対し、その第1角度よりも小さい全閉角度にして、可変ベーン51aと可変ベーン51aとの間の隙間を実質的に無くしたときには、タービン51への排気ガスの流入が実質的に禁止されるよう構成されている。
ここで、ロータリエンジンに取り付けられたターボ過給機の特性について説明をする。図3(a)は、ロータリエンジンに取り付けられたターボ過給機の特性を示し、図3(b)は、同じターボ過給機を、レシプロエンジンに取り付けたときの特性を示している。先ず、図3(b)の一点鎖線は、ウェストゲートバルブを開くインターセプトポイントを示しており、レシプロエンジンにおいて、インターセプトポイント以下の低回転域では、ウェストゲートバルブが閉じていると共に、同図に実線で示す過給圧の方が、同図に破線で示すタービン前背圧よりも高くなる。一方、インターセプトポイントを超える中回転域から高回転域では、ウェストゲートバルブが開いて過給圧を制限することに伴い、タービン前背圧の方が過給圧よりも高くなる。ウェストゲートバルブを開けることで、タービン前背圧は低下するものの、それ以上に過給圧の低下が大きい。
ロータリエンジンに取り付けられたターボ過給機では、図3(a)に示すように、ウェストゲートバルブを閉じるインターセプトポイント以下の低回転域では、同図に実線で示す過給圧の方が、同図に破線で示すタービン前背圧よりも高くなる。これは、レシプロエンジンと同じである。一方、インターセプトポイントを超える中回転域から高回転域では、ウェストゲートバルブを開いて過給圧を制限するものの、過給圧の方がタービン前背圧よりも高い状態が維持される。これは以下に述べるように、排気ポートの開弁特性が相違するためと考えられる。
図4は、ロータリエンジンにおける排気ポートの開口面積の角度変化(エキセントリックシャフト6のエキセン角変化)と、レシプロエンジンにおいて排気ポートを開閉するポペット弁のリフト量の角度変化(クランク角変化)とを比較している。図4は、角度の進行に対する排気ポートの開口状態の変化特性を比較する図であり、縦軸のスケールは、ロータリエンジンとレシプロエンジンとで同じではなく、横軸のスケールもまた、ロータリエンジンとレシプロエンジンとで必ずしも同じではない。先ず、排気ポートをポペット弁の上下動によって開閉するレシプロエンジンにおいては、排気ポートの開弁時に、そのリフト量が徐々に大きくなる。これに対し、ロータリエンジンでは、図1からも明らかなように、サイドハウジング41及びインターミディエイトハウジング4の側面に開口する排気ポート10が、ロータ2の回転に伴い開閉する構造であるため、排気ポート10の開弁時に、その開口面積が急激に拡大するようになる。このように、排気ポートの開弁時の開口状態の変化特性が、ロータリエンジン1とレシプロエンジンとでは、大きく相違する。排気ポートの開弁時には、ブローダウンにより、排気ガスが高い圧力で排気通路に噴出するが、ロータリエンジン1は、排気ポートの開弁時に開口面積が急拡大する特性に起因して、レシプロエンジンよりも高いブローダウンエネルギをタービンに供給することができる。このことが、図3に示すような、ターボ過給機の特性の相違を生むと考えられる。尚、図3(a)において、流量が増大する高回転域では、過給圧よりもタービン前背圧が高くなるが、これは、コンプレッサ効率の低下によるものである。
図2の排気装置に戻り、EGRシステム9は、第1通路131に連通するEGR通路91と、EGR通路91の途中に介設されたEGRクーラー92と、EGRクーラー92の下流側に配設されたEGR弁93とを備えている。EGR通路91は、前側気筒31aからの排気ガス、及び、後側気筒31bからの排気ガスを均等に取り出すように、第1通路131に接続される。EGRクーラー92は、エンジン冷却水によって排気ガスを冷却するように構成されている。吸気側には、冷却した低温の排気ガスが還流する。EGR弁93は、吸気側に還流させる排気ガス量の調整を行う流量調整弁である。
排気装置はさらに、EGRクーラー92の下流側においてEGR通路91から分岐すると共に、触媒装置100の上流側で第2通路132に接続される第3通路133を備えている。第3通路133には、当該第3通路133を流れる排気ガスの流量を調整する流量調整弁135が介設されている。
ECU20は、ロータリエンジン1の運転を制御する。図2に示す排気装置に関しては、可変ベーン51aの角度、第2通路132の開閉弁134の開度、EGR弁93の開度、及び、第3通路133の流量調整弁135の開度をそれぞれ調整制御する。
次に、この構成の排気装置における排気ガスの流れについて説明する。先ず、触媒が未活性のときには、AWS(Accelerated Warm−up System)を実行することにより触媒の活性化を図る。このAWS実行時には、タービン51を流れる排気ガス量を制限すると共に、各気筒31a、31bから排出された排気ガスを、タービン51をバイパスして触媒装置100に送るようにする。具体的に、ECU20は、可変容量ターボ過給機5における可変ベーン51aの角度を、走行中の最小角度である第1角度よりも小さい全閉角度にする。これにより、排気ガスは、実質的にタービン51に流入しなくなるため、各気筒31a、31bにおいて、プライマリポート10aを通じた排気ガスの排出も、実質的に行われない。
こうして、可変ベーン51aの角度を全閉角度にする一方で、ECU20は、AWS実行時には、第2通路132の開閉弁134を全開にする(図2の実線参照)。これにより、各気筒31a、31bから排出される排気ガスは、ほぼ全量が、セカンダリポート10bを通じて排出され、第2通路132内を流れる。第2通路132は、前述したように、断熱構造を有しているため、第2通路132を流れる排気ガスの温度は、比較的高く維持される。こうして、温度の高い排気ガスを、タービン51を通過させることなく、直接、触媒装置100に送ることが可能になり、触媒を迅速に活性化することが可能になる。
触媒が活性してAWSが終了した後、ECU20は、第2通路132の開閉弁134を閉じる(例えば全閉にする)と共に、可変容量ターボ過給機5の可変ベーン51aの角度を、少なくとも第1角度以上にする。ECU20は、可変ベーン51aの角度を、ロータリエンジン1の運転状態に応じて、第1角度から第2角度の範囲で、適宜、設定する。
ECU20は、第2通路132の開閉弁134を、インターセプトポイント以下の低回転域では、閉弁する。これにより、各気筒31a、31bから排出される排気ガスは、プライマリポート10aから第1通路131を通って、タービン51へと供給される。第1通路131は、排気干渉が生じない、又は、生じ難い構造である一方、第2通路132では、開閉弁134が閉弁していて、セカンダリポート10bを通じた2つの気筒31a、31bの連通がないため、排気干渉が生じない。従って、高いブローダウンエネルギを利用して、タービンエネルギを高めることが可能になる。これは、ターボ過給機5の過給効率の向上に有利である。
第1通路131は冷却構造を有しているため、タービン51に流入する排気ガスの温度は、比較的低くなる。これにより、可変容量ターボ過給機5の信頼性を高めることが可能になる。
インターセプトポイントを超える中回転から高回転域では、ECU20は、第2通路132の開閉弁134を適宜開く。これにより、各気筒31a、31bから排出される排気ガスの一部は、セカンダリポート10bを通じて排出され、第2通路132を通って、タービン51をバイパスする。これにより、ターボ過給機5の過過給が回避される。開閉弁134は、ウェストゲートバルブとして機能をする。尚、図3(a)を参照して説明したように、ロータリエンジン1では、インターセプトポイントを超える中回転から高回転域においても、過給圧が、タービン前背圧よりも高い状態を維持することが可能である。
AWSの終了後は、触媒装置100には、第1通路131から、タービン51を通過した後の、比較的低温の排気ガスが流れる。また、開閉弁134を開いたときには、断熱構造を有する第2通路132を通って、タービン51をバイパスした排気ガスも、触媒装置100を流れる。触媒装置100を流れる排気ガスの温度は、適宜の温度となる。
ECU20は、エンジンの運転状態に応じて、排気ガスの一部を、EGR通路91を介して吸気側に還流する。具体的に、ECU20は、EGR弁93を、適宜の開度に開く。このことによって、所望の量の排気ガスが、第1通路131から取り出されると共に、EGRクーラー92を通過して冷却された後に、吸気側へと還流される。第1通路131は、第2通路132のように開閉弁を有していないため、開閉弁の開閉状態の制約を受けることなく、排気ガスを取り出すことが可能である。また、第1通路131は、冷却構造を有するため、冷却した排気ガスを吸気側に還流させる上で有利である。また、図3(a)を参照して説明したように、ロータリエンジン1では、高いブローダウンエネルギをタービン51に供給することが可能であるため、第1通路131からEGRガスを取り出しても、所望の過給圧を得ることが可能である。
ロータリエンジン1の運転状態が高回転及び/又は高負荷領域にあるときには、触媒装置100の温度が高くなり易い。特にこの排気装置では、前述の通り、第2通路132は断熱構造によって排気ガスの温度が比較的高くなり、それに伴い、触媒装置100の温度も高くなりやすい。ECU20は、触媒装置100の温度に応じて、その温度が高くなるときには、第3通路133の流量調整弁135を開いて、第1通路131から取り出しかつ、EGRクーラー92によって冷却した排気ガスを、触媒装置100の上流側で第2通路132に導入する。これにより、触媒装置100に流入する排気ガスの温度が低くなるため、触媒装置100の温度が高くなりすぎることが回避される。これは、触媒装置100の信頼性向上と共に、触媒装置100の耐久性を向上する。
尚、触媒装置100の温度が高くなる運転状態では、EGRガスの還流は、行われない、又は、ほとんど行われない。このため、EGRクーラー92を通過した排気ガスを、吸気側に流さずに、触媒装置100に流しても、EGRガスが不足することにはならない。
(ターボ過給機付きロータリエンジンの排気装置の構成例2)
図5は、ターボ過給機付きロータリエンジン1の排気装置の別の構成例を概念的に示している。図2に示す排気装置と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する場合がある。図5に示す排気装置は、第1及び第2の2つの可変容量ターボ過給機5a、5bを備え、並列の2つのターボ過給機5a、5bが作動をする、いわゆるツインターボ過給である。
この排気装置において、前側気筒31aのプライマリポート10aと、後側気筒31bのプライマリポート10aとは、第1通路131に接続されている。第1通路131は、排気干渉が生じ難い構造において、互いに連通していると共に、第1の可変容量ターボ過給機5aのタービン51、及び、第2の可変容量ターボ過給機5bのタービン51にそれぞれ接続されている。第1通路131が冷却構造を有している点は、図2に示す排気装置と同じである。
第2通路132の構成は、図2に示す排気装置と同じである。つまり、第2通路132は、前側気筒31aのセカンダリポート10bと、後側気筒31bのセカンダリポート10bとを互いに集合させると共に、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bそれぞれのタービン51をバイパスして、触媒装置100に接続されている。第2通路132は、開閉弁134を有すると共に、断熱構造を有している。
第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bは、その容量が同じに設定されている。また、各可変容量ターボ過給機5a、5bは、図2に示す排気装置の可変容量ターボ過給機5と同様に、走行中の最小角度である第1角度よりも小さい全閉角度に設定可能な可変ベーン51aを有している。第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bはそれぞれ、タービン51に排気ガスが流入することを実質的に禁止することが可能である。
また、走行中は、各可変容量ターボ過給機5a、5bの可変ベーン51aの角度が、エンジンの運転状態に応じて、第1角度から第2角度の範囲で変更されるが、この排気装置では、前側気筒31aのプライマリポート10aと、後側気筒31bのプライマリポート10aとが、第1通路131によって互いに連通した上で、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bそれぞれのタービン51に接続される。このため、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bを同時に駆動する上で、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bの個体差が無くなるよう、ECU20は、可変ベーン51aの角度を、2つのターボ過給機5a、5bで個別に調整する。
第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bそれぞれは、比較的低容量に設定されている。これにより、低回転域での過給レスポンスが向上する一方で、2つのコンプレッサ52、52からの風量が合計されることで、高回転域での大容量を確保することができる。
EGR通路91は、第1通路131に接続されている。EGRシステム9は、前側気筒31a及び後側気筒31bのそれぞれから均等に、排気ガスを取り出して、吸気側に還流する。
この構成の排気装置において、触媒が未活性のAWS時には、ECU20は、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bの可変ベーン51aをそれぞれ全閉角度にし、それによって、各タービン51への排気ガスの流入を、実質的に禁止する。一方、ECU20は、第2通路132の開閉弁134を開弁することで、各気筒31a、31bから排出される排気ガスは、断熱構造の第2通路132を通じて、高い温度を維持したまま、2つのタービン51を共にバイパスして、触媒装置100に至る。これにより、触媒の活性化が促進される。
触媒が活性して、AWSが終了した後は、ECU20は、インターセプトポイント以下の低回転域では、第2通路132の開閉弁134を閉弁する。各気筒31a、31bから排出される排気ガスは、第1通路131によって冷却されながら、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bのタービン51に流入する。ECU20は、各可変容量ターボ過給機5a、5bの可変ベーン51aの角度を、エンジンの運転状態に応じて、所定の第1角度から第2角度の範囲で、調整する。前述の通り、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bは、比較的低容量であるため、低回転時のレスポンスが向上する。ECU20はまた、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bの個体差が無くなるように、各可変容量ターボ過給機5a、5bの可変ベーン51aの角度を、個別に調整する。
インターセプトポイントを超える中回転から高回転域では、ECU20は、第2通路132の開閉弁134を開く。各気筒31a、31bから排出される排気ガスの一部は、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bのタービン51をバイパスする。これにより、過過給が未然に防止される。
さらに、触媒装置100の温度が高くなるときには、ECU20は、流量調整弁135を開く。このことにより、第3通路133を通じて、EGRクーラー92によって冷却した排気ガスが、触媒装置100に送られる。このことで、触媒装置100の温度が高くなりすぎることが防止される。
この構成の排気装置では、第1及び第2の2つの可変容量ターボ過給機5a、5bを備えることで、低回転域での過給レスポンスの向上に加えて、低回転域から高回転域までの広い回転域に亘って過給を行うことが可能である。
(ターボ過給機付きロータリエンジンの排気装置の構成例3)
図6は、ターボ過給機付きロータリエンジン1の排気装置の別の構成例を概念的に示している。図2及び図5に示す排気装置と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する場合がある。図6に示す排気装置は、図5に示す排気装置と同様に、2つの可変容量ターボ過給機を備えているが、プライマリ可変容量ターボ過給機5pのみを作動させる状態と、プライマリ可変容量ターボ過給機5pと、セカンダリ可変容量ターボ過給機5sとの両方を作動させる状態とを切り替える、いわゆる並列型のシーケンシャルターボ過給である。これにより、図5に示す排気装置よりも、さらに高回転域での過給を可能なワイドレンジ化が図られる。
この排気装置において、前側気筒31aのプライマリポート10aと、後側気筒31bのプライマリポート10aとは、第1通路131に接続されている。第1通路131は、この排気装置では、前側気筒31aに接続される前側第1通路131aと、後側気筒31bに接続される後側第1通路131bとを含んで構成される。この内、前側第1通路131aは、その途中で分岐をして、一方が、プライマリ可変容量ターボ過給機5pに接続される一方、他方が、セカンダリ可変容量ターボ過給機5sに接続される。一方、後側第1通路131bは、プライマリ可変容量ターボ過給機5pにのみ接続される。この構成は、排気干渉が生じない。
プライマリ可変容量ターボ過給機5pに対しては、前側気筒31aに接続される前側第1通路131aと、後側気筒31bに接続される後側第1通路131bとの双方が接続されるが、この2つの通路は、排気ガスが互いに独立してタービン51に流入するよう構成されている。例えば、図示は省略するが、プライマリ可変容量ターボ過給機5pのスクロールは、その内部においても通路が、2つに独立する構成を有している、としてもよい。
尚、前側第1通路131a及び後側第1通路131bが冷却構造を有している点は、図2に示す排気装置と同じである。
第2通路132の構成は、図2に示す排気装置と同じである。つまり、第2通路132は、前側気筒31aのセカンダリポート10bと、後側気筒31bのセカンダリポート10bとを互いに集合させると共に、第1及び第2の可変容量ターボ過給機5a、5bそれぞれのタービン51をバイパスして、触媒装置100に接続されている。第2通路132は、開閉弁134を有すると共に、断熱構造を有している。
プライマリ可変容量ターボ過給機5pと、セカンダリ可変容量ターボ過給機5sとは、その容量が互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、各可変容量ターボ過給機5p、5sは、図2に示す排気装置の可変容量ターボ過給機5と同様に、走行中の最小角度である第1角度よりも小さい全閉角度に設定可能な可変ベーン51aを有している。各可変容量ターボ過給機5p、5sは、タービン51に排気ガスが流入することを実質的に禁止することが可能である。また、走行中は、各可変容量ターボ過給機5p、5sの可変ベーン51aの角度が、エンジンの運転状態に応じて、第1角度から第2角度の範囲で変更される。
EGR通路91は、セカンダリ可変容量ターボ過給機5sに接続される前側第1通路131aに接続されている。
この構成の排気装置において、触媒が未活性のAWS時には、ECU20は、可変容量ターボ過給機5p、5sの可変ベーン51aを、それぞれ全閉角度にする。それによって、各タービン51への排気ガスの流入が、実質的に禁止される。一方、ECU20は、第2通路132の開閉弁134を開弁する。このことで、各気筒31a、31bから排出される排気ガスは、断熱構造の第2通路132を通じて、高い温度を維持したまま、2つのタービン51を共にバイパスして、触媒装置100に至る。これにより、触媒の活性化が促進される。
触媒が活性して、AWSが終了した後、ECU20は、低回転域(尚、この低回転域は、プライマリ可変容量ターボ過給機5pのみを作動させるよう設定された低回転域に相当する)では、プライマリ可変容量ターボ過給機5pの可変ベーン51aを、全閉角度ではなく、第1角度から第2角度までの範囲で、適宜変更する一方、セカンダリ可変容量ターボ過給機5sの可変ベーン51aを、全閉角度のままで維持する。これにより、各気筒31a、31bから排出される排気ガスは、前側第1通路131a及び後側第1通路131bによって冷却されながら、プライマリ可変容量ターボ過給機5pのタービン51にのみ流入する。こうして、プライマリ可変容量ターボ過給機5pのみを作動させる。これにより、低回転時の過給レスポンスが向上する。セカンダリ可変容量ターボ過給機5sの可変ベーン51aは、シーケンシャルターボ過給の切り替えに利用される。
一方、高回転域(尚、この高回転域は、プライマリ可変容量ターボ過給機5p及びセカンダリ可変容量ターボ過給機5sを作動させるよう設定された高回転域に相当する)では、ECU20は、プライマリ可変容量ターボ過給機5pの可変ベーン51a、及び、セカンダリ可変容量ターボ過給機5sの可変ベーン51aをそれぞれ、第1角度から第2角度までの範囲で、適宜変更する。これにより、各気筒31a、31bから排出される排気ガスは、前側第1通路131a及び後側第1通路131bによって冷却されながら、プライマリ可変容量ターボ過給機5pのタービン51及びセカンダリ可変容量ターボ過給機5sのタービン51に流入する。こうして、プライマリ可変容量ターボ過給機5p及びセカンダリ可変容量ターボ過給機5sの両方が作動する。これにより、高回転時の過給効率が向上する。
尚、エンジンの運転状態に応じて、ECU20は、第2通路132の開閉弁134を、適宜、開閉制御して、過過給を防止する。また、触媒装置100の温度が高くなるときには、ECU20は、流量調整弁135を開くことにより、第3通路133を通じて、EGRクーラー92によって冷却した排気ガスを、触媒装置100に送る。このことで、触媒装置100の温度が高くなりすぎることを防止する。
この構成の排気装置では、プライマリ及びセカンダリの2つの可変容量ターボ過給機5p、5sを備え、低回転側ではプライマリ可変容量ターボ過給機5pのみを作動し、高回転側では、プライマリ可変容量ターボ過給機5pとセカンダリ可変容量ターボ過給機5sとの両方を作動させることで、低回転域での過給レスポンスの向上と共に、図5に示す排気装置によりもさらに高回転域まで過給を行うことが可能になる。
(ターボ過給機付きレシプロエンジンの排気装置の構成例)
図7は、ここに開示する技術を、レシプロエンジン101の排気装置に適用した構成例を概念的に示している。図2、図5及び図6に示す排気装置と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する場合がある。レシプロエンジン101は、例えば直列4気筒のディーゼルエンジンである。尚、レシプロエンジン101の構成は、これに限定されるものではなく、その気筒数は適宜変更することが可能である。また、直列エンジンに限らず、V型エンジンや水平対向エンジンであってもよい。さらに、ディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンとしてもよい。
この排気装置は、各気筒310の排気ポートに連通する排気マニホールド1301を備えている。図例において排気マニホールド1301は、レシプロエンジン101のシリンダヘッドの内部に設けられている。この排気マニホールド1301は、エンジン冷却水によって排気ガスが冷却されるよう構成された水冷排気マニホールドである。排気マニホールド1301の下流側は、ターボ過給機5のタービン51に接続されている。この水冷の排気マニホールド1301が、第1通路を構成する。尚、排気マニホールドは、エンジン本体に対して外付けされるよう構成してもよい。
排気マニホールド1301の集合部の内部には、別の排気通路である第2通路1302が配設されている。この第2通路1302は、気筒列方向に沿って延びるように配設されていると共に、各気筒の排気ポートに相対する位置に開口1303が設けられている。これにより、各気筒から排出された排気ガスの一部は、開口1303を通じて、第2通路1302内に流入するよう構成されている。第2通路1302は、排気マニホールド1301の内部に配設されていることで、第2通路1302内を流れる排気ガスは、排気マニホールド1301の周囲を流れるエンジン冷却水によって冷却されることは、ほとんどない。従って、第2通路1302内を流れる排気ガスの温度は、排気マニホールド1301内を流れる排気ガスの温度よりも高くなる。第2通路1302は、ターボ過給機5のタービン51の下流側で、触媒装置100につながる排気通路13に接続されている。これにより、第2通路1302は、タービン51をバイパスして、触媒装置100に接続されることになる。尚、図7には示していないが、第2通路1302を、保温構造(例えば、二重管による断熱構造)を有する構成にしてもよい。
第2通路1302と排気通路13との接続部分には、開閉弁1340が設けられている。開閉弁1340は、第2通路1302を流れる排気ガスの流量を調整する流量調整弁である。
ターボ過給機5は、図2等に示す排気装置と同様に、可変容量ターボ過給機5であり、タービン51の上流側に配設された可変ベーン51aは、車両走行中は、エンジンの運転状態に応じて、所定の第1角度から第2角度までの範囲で、その角度が適宜、変更される(図7(a)参照)。また、この可変容量ターボ過給機5も、走行中の最小角度である第1角度よりも小さい全閉角度に、可変ベーン51aの角度を設定することが可能である(図7(b)参照)。これにより、可変容量ターボ過給機5は、タービン51に排気ガスが流入することを実質的に禁止することが可能である。
この構成の排気装置において、触媒が未活性のAWS時には、ECU20は、図7(b)に示すように、可変容量ターボ過給機5の可変ベーン51aの角度を、全閉角度に設定する。それにより、タービン51への排気ガスの流入は、実質的に禁止される。ECU20は、第2通路1302の開閉弁1340を開弁する。それにより、各気筒310から排出された排気ガスは、第2通路1302に流入し、タービン51をバイパスして、触媒装置100に送られる。これにより、比較的温度の高い排気ガスを触媒装置100に流すことが可能になるから、触媒の活性化が促進される。
触媒が活性して、AWSが終了した後、ECU20は、図7(a)に示すように、可変容量ターボ過給機5の可変ベーン51aを、第1角度から第2角度までの範囲で、エンジンの運転状態に応じて変更する。ECU20はまた、第2通路1302の開閉弁1340を、インターセプトポイント以下の低回転域では閉弁しかつ、中回転から高回転域では、適宜、開閉制御する。それによって、各気筒310から排出された排気ガスは、タービン51に送られる。こうして、可変容量ターボ過給機5により、低回転域での過給レスポンスの向上と共に、高回転域における過給効率の向上が図られる。
尚、図7には示していないが、EGRガスを吸気側に還流させるEGR通路は、排気マニホールド1301に接続するようにすればよい。EGR通路は、図2等に示すように、EGRクーラーを有してもよく、また、EGRクーラーの下流側においてEGR通路から分岐すると共に、触媒装置100の上流側で排気通路13に接続される通路を設けると共に、その通路に排気ガスの流量を調整する流量調整弁を介設してもよい。
また、レシプロエンジンにおいて、排気装置に、ターボ過給機を2個備えるようにしてもよい。