JP6531789B2 - ロータリーピストンエンジンシステムおよびこれが搭載された車両 - Google Patents
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Description
本発明は、前後方向に延びるエキセントリックシャフト回りを回転するロータと、当該ロータを収容するロータ収容室とを有するエンジン本体と、前記エンジン本体に吸入される吸気が内側を流通する吸気通路と、前記エンジン本体から排出された排気が内側を流通する排気通路とを備えたロータリーピストンエンジンシステムに関する。
ロータリーピストンエンジンの一例として、下記特許文献1のものが知られている。特許文献1に開示されているように、ロータリーピストンエンジンでは、ロータの外周を囲むロータハウジングと、ロータの回転軸方向の側部に設けられたサイドハウジングとによって、ロータを収容するロータ収容室が区画されている。
特許文献1のロータリーピストンエンジンでは、ロータ収容室に吸気を導入するための吸気ポートとロータ収容室から排気を導出するための排気ポートとがともに同じサイドハウジングに形成されている。また、このサイドハウジングの一側面の上部に吸気ポートが開口し、下部に排気ポートが開口するように構成されている。
特許文献1のエンジンシステムでは、前記のように、吸気ポートと排気ポートとが同じサイドハウジングに形成され、かつ、このサイドハウジングの一側面の上部に吸気ポートが開口し、下部に排気ポートが開口するように構成されていることに伴い、吸気ポートに接続される吸気通路の下流端が、排気ポートに接続される排気通路の上流端の直上方に位置することになる。ここで、排気通路の上流端にはエンジン本体から排出された直後の高温の排気が流通するため、排気通路の上流端付近は高温になる。従って、特許文献1のエンジンシステムでは、吸気通路の下流端から吸気ポートに流入する吸気が、排気通路の上流端付近の部分によって昇温されてしまい、エンジン本体の吸気効率を十分に高くできないという問題がある。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、エンジン本体の吸気効率を高めることのできるロータリーピストンエンジンシステムおよびこれが搭載された車両を提供することを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、前後方向に延びるエキセントリックシャフト回りを回転するロータと、当該ロータを収容するロータ収容室とを有するエンジン本体と、前記エンジン本体に吸入される吸気が内側を流通する吸気通路と、前記エンジン本体から排出された排気が内側を流通する排気通路とを備えたロータリーピストンエンジンシステムであって、前記エンジン本体は、前後方向に並び共通の前記エキセントリックシャフト回りを回転する複数の前記ロータと、前記各ロータをそれぞれ収容する複数の前記ロータ収容室と、前記各ロータの外周をそれぞれ囲む複数のロータハウジングと、前記各ロータを挟んで当該各ロータの前後両側にそれぞれ設けられる複数のサイドハウジングと、前記各ロータ収容室から前記排気通路にそれぞれ排気を導出する複数の排気ポートと、前記吸気通路から前記各ロータ収容室に吸気をそれぞれ導入する複数の吸気ポートとを備え、前記各吸気ポートは、前記各ロータ収容室の前側の側面にのみ開口するように前記各ロータの前方に配置されたサイドハウジングに設けられ、前記各排気ポートは、前記各ロータ収容室の後側の側面にのみ開口するように前記各ロータの後方に配置されたサイドハウジングに設けられており、前記各吸気ポートから延びる前記吸気通路の下流端は、前記エンジン本体の左右一方側の側面の上部前寄りの部分に配置されており、前記各排気ポートから延びる前記排気通路の上流端は、前記エンジン本体の前記左右一方側の側面の下部後寄りの部分に配置されており、一のロータの後側に配置されるサイドハウジングと当該ロータの後側にこれと隣接して配置された他のロータの前側に配置されるサイドハウジングとは、共通のサイドハウジングで構成されており、前後方向に隣接する前記ロータ間に配置される前記サイドハウジングには、当該サイドハウジングの後方のロータ収容室と連通する吸気ポートと、当該サイドハウジングの前方のロータ収容室と連通する排気ポートとが形成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
本発明では、排気通路の上流端と吸気通路の下流端とがともにエンジン本体の左右一方の側面に配置されていることで、これら端部から延びる部分をエンジン本体回りにコンパクトに配置しつつ、排気通路の上流端と吸気通路の下流端とが前後方向にずらされていることで、排気通路の上流端付近であって内側にエンジン本体から高温の排気が排出される部分から主として上方に発せられる熱が、吸気通路の下流端付近であって内側をエンジン本体に流入する直前の吸気が流通する部分を温めるのを抑制することができ、エンジン本体に流入する吸気の温度上昇を抑制して吸気効率を高くすることができる。
しかも、本発明では、吸気ポートと排気ポートとが、ロータ収容室のロータの回転軸方向について互いに反対側の面に分かれて開口しており、吸気ポートと排気ポートとが、ロータ収容室の側面とロータの側面との隙間を介して連通しない。従って、シール部材の数を少なく抑えてロータの摺動抵抗を小さく抑えつつ、排気の吸気ポート内への回り込みや吸気ポート内の燃料の排気ポートへの漏えいを抑制してエンジン性能を高くすることができる。さらに、この構成では、一のロータ収容室と連通する吸気ポートと、このロータ収容室と前後方向に隣り合う他のロータ収容室と連通する排気ポートとが、共通のサイドハウジングに形成されているため、前記のように吸気効率を高くしつつエンジン本体をコンパクトにすることができる。
前記構成において、前記排気通路には、当該排気通路を流通する排気のエネルギーにより駆動されるタービンが設けられており、前記タービンは、前記エンジン本体の幅方向の前記一方側の側面のうち下部且つ後寄りの部分と対向する位置に配置されているのが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、排気通路の下流端に比較的近い位置にタービンを配置してタービンへの高い排気エネルギーの供給を実現しつつ、タービンから発せられる熱によって吸気が昇温されるのを抑制することができる。また、タービンを含むエンジン本体周りの部材の重心を下方にすることができ、これらを安定して車両等に配設することができる。
また、本発明は、前記エンジン本体は、前記エキセントリックシャフトが車両前後方向に延び、且つ、前記排気通路の上流端が前記吸気通路の下流端よりも車両前後方向の中央寄りに位置するように、車両に搭載されていることを特徴とする車両を提供する。
この車両によれば、排気通路の下流端が吸気通路の上流端よりも車両前後方向の中央に配置されることで、走行風を受けて下流端を含む排気通路の下流側部分から発せられた熱が前記上流端を含む吸気通路の上流側部分に流れ込むのを抑制することができる。従って、吸気通路の上流端を流通する吸気の温度上昇を抑制して吸気効率をより確実に高めることができる。
以上説明したように、本発明によれば、エンジン本体の吸気効率を高くすることができる。
図1は、本発明の実施形態に係るロータリーピストンエンジンシステム(以下、単にエンジンシステムという)100の全体構成を模式的に示した図である。図2は、エンジンシステム100が搭載された車両200の概略図である。エンジンシステム100に含まれるエンジン本体1は、例えば、車両の走行用の駆動源として利用される。以下では、車両前後方向を単に前後方向という。また、車両の運転席から前方を見た状態での左右方向を単に左右方向という。図3および図4は、それぞれエンジン本体1周辺の側面図および上面図である。図5は、図4のV−V線断面図である。図6は、図4のVI−VI線断面図である。図7は、図5のVII−VII線断面図の一部を拡大した図である。図8は、図6の一部を拡大した図である。
エンジンシステム100は、2つのロータ収容室2と各ロータ収容室2にそれぞれ収容されたロータ3とを有するロータリーピストンエンジンからなるエンジン本体1と、各ロータ収容室2に導入される吸気が流通する吸気通路30と、各ロータ収容室2にから排出される排気が流通する排気通路50と、ターボ過給機70とを有する。
(1)エンジン本体
本実施形態では、エンジン本体1は、車両200の前部に設けられたエンジンルームR内に、2つのロータ収容室2およびロータ3が前後方向に並ぶ姿勢で車両200に搭載されている。また、エンジン本体1は、後述する点火プラグ21が取り付けられるエンジン本体1の側面が左側となる姿勢で車両200に搭載されている。以下では、前側のロータ収容室2を第1ロータ収容室2aといい、後側のロータ収容室2を第2ロータ収容室2bという。また、前側に位置するロータ3を第1ロータ3a、後側に位置するロータ3を第2ロータ3bという。
本実施形態では、エンジン本体1は、車両200の前部に設けられたエンジンルームR内に、2つのロータ収容室2およびロータ3が前後方向に並ぶ姿勢で車両200に搭載されている。また、エンジン本体1は、後述する点火プラグ21が取り付けられるエンジン本体1の側面が左側となる姿勢で車両200に搭載されている。以下では、前側のロータ収容室2を第1ロータ収容室2aといい、後側のロータ収容室2を第2ロータ収容室2bという。また、前側に位置するロータ3を第1ロータ3a、後側に位置するロータ3を第2ロータ3bという。
エンジン本体1は、各ロータ収容室2を貫通して前後方向に延びる出力軸であるエキセントリックシャフト4を有する。エキセントリックシャフト4は、前後方向に延びる円柱状を有し、その中心軸X1回りに回転する。各ロータ3は、エキセントリックシャフト4に対して遊星回転運動するように支持されている。
エンジン本体1は、各ロータ3の外周をそれぞれ囲むロータハウジング5と、各ロータ3の前後両側に設けられるサイドハウジング6を有する。
具体的には、ロータハウジング5は、前側に位置する第1ロータ3aの外周を囲む第1ロータハウジング5aと、後側に位置する第2ロータ3bの外周を囲む第2ロータハウジング5bとを含む。サイドハウジング6は、第1ロータ3aの前方に位置する第1サイドハウジング6aと、第2ロータ3bの後方に位置する第2サイドハウジング6bと、第1ロータ3aの後方且つ第2ロータ3bの前方に位置する中央サイドハウジング6c(以下、インターミディエイトハウジング6cという)とを含む。
第1ロータ収容室2aは、第1ロータハウジング5aと第1サイドハウジンング6aとインターミディエイトハウジング6cとによって区画されている。具体的には、第1ロータ収容室2aの内側面は、第1ロータハウジング5aの内周面により構成されて第1ロータ2aの外周を囲むロータ面110aと、第1サイドハウジング6aの後側面で構成されるサイド面111a_fと、インターミディエイトハウジング6cの前側面で構成されたサイド面111a_rとからなる。
第2ロータ収容室2bは、第2ロータハウジング5bと第2サイドハウジンング6bとインターミディエイトハウジング6cとによって区画されている。具体的には、第2ロータ収容室2bの内側面は、第2ロータハウジング5bの内周面により構成されて第2ロータ2bの外周を囲むロータ面110bと、第2サイドハウジング56bの前側面で構成されるサイド面111b_rと、インターミディエイトハウジング6cの後側面で構成されるサイド面111b_fとからなる。
各サイド面111は上下および左右方向に延びている。ロータ面110は、平行トロコイド曲線に沿って延びている。各ロータ3は、その3つの頂部3rがロータ面110に沿って移動するように、エキセントリックシャフト4回りを回転する。
各ロータ3にはロータ収容室2の内側面との間の気密性を保つこと等を目的として多数のシール部材が設けられている。
図5に示すように、ロータ3の各頂部3rには、前後方向に延びるアペックスシール101が取り付けられている。そして、アペックスシール101の前後方向の両端部には、アペックスシール101と連結される略円柱状のコーナーシール102が設けられている。
ロータ3の前後方向の両側面3sは互いにほぼ同じ構造を有しており、図5および図7に示すように、ロータ3の両側面3sには、それぞれ、各コーナーシール102どうしの間をロータ3の外周縁と略平行に延びるサイドシール103と、サイドシール103よりもロータ3の径方向内方に位置してロータ3の中心を中心とする円環状の2本のオイルシール104、104とが設けられている。2本のオイルシール104、104はロータ3の径方向に所定の隙間をあけて並んでいる。これらサイドシール103およびオイルシール104、104は、ロータ3の前後方向の両側面3s、3sに形成された溝にそれぞれ嵌め込まれているとともにこの溝の底部に配置されたばね部材によって対向するサイド面111に押しつけられている。
ロータ収容室2内は、ロータ3によって3つの作動室Aに区画されており、ロータ3の回転に伴い3つの作動室Aがエキセントリックシャフト4回りに移動して、各作動室Aにて吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程が行われる。各行程は、エキセントリックシャフト4が270度回転する期間実施される。
第1ロータ3aと第2ロータ3bとは、エキセントリックシャフト4の回転角度において互いに180度の位相差で回転しており、第1ロータ収容室2aと第2ロータ収容室2bとでは、エキセントリックシャフト4の回転角度において180度ずれて、吸気、圧縮、膨張(燃焼)および排気の各行程がそれぞれ行われる。従って、2つのロータ収容室2間において各行程は重複する。
図5に示すように、各ロータハウジング5にはロータ3の回転方向に沿って並ぶ2つの点火プラグ21、21が取り付けられている。本実施形態では、図5の矢印で示すようにロータ3が後方視で反時計回りに回転するようになっている。また、点火プラグ21、21が、ロータ収容室2の左側部分の上下中央付近を臨むように取り付けられている。これに伴い、本実施形態では、ロータ収容室2の左下側の領域で概ね膨張(燃焼)行程が行われ、右下側の領域において概ね排気行程が行われ、右上側の領域において概ね吸気行程が行われ、左上側の領域において概ね圧縮行程が行われる。
なお、図示は省略したが、第1サイドハウジング6aと第2サイドハウジング6bとには、各ロータ収容室2内に燃料を供給するためのインジェクタ(不図示)が取り付けられている。このインジェクタは、各サイドハウジング6a、6bに形成された後述するプライマリ吸気ポート11内に燃料を噴射する。
(吸気ポート)
第1サイドハウジング6aには、第1ロータ収容室2aと連通してこれに吸気を導入するための2つの吸気ポート11、12が形成されている。
第1サイドハウジング6aには、第1ロータ収容室2aと連通してこれに吸気を導入するための2つの吸気ポート11、12が形成されている。
第1ロータ収容室2aと連通するこれら吸気ポート11、12は、第1サイドハウジング6aの後面(第1ロータ収容室2aの前側のサイド面111a_f)の右上側部分であって吸気行程が実施される作動室部分に開口している。
図5に示すように、第1ロータ収容室2aと連通するこれら吸気ポート11、12は、第1サイドハウジング6a内を略水平方向に貫通して、第1サイドハウジング6aの右側面の上部に開口している。
また、インターミディエイトハウジング6cには、第2ロータ収容室2bと連通してこれに吸気を導入するための2つの吸気ポート11、12が形成されている。
第2ロータ収容室2bと連通するこれら吸気ポート11、12は、インターミディエイトハウジング6cの後面(第2ロータ収容室2bの前側のサイド面111b_f)の右上側部分であって吸気行程が実施される部分に開口している。
第2ロータ収容室2bと連通するこれら吸気ポート11、12は、インターミディエイトハウジング6c内を略水平方向に貫通して、インターミディエイトハウジング6cの右側面の上部に開口している。
各ハウジング6a、6cにおいて、2つの吸気ポート11、12はロータ3の回転方向に並んでおり、吸気行程において、下方の吸気ポート11の方が上方の吸気ポート12よりも早期に開口および閉口するようになっている。以下では、下側の吸気ポート11であってより早いタイミングで開口および閉口する吸気ポート11をプライマリ吸気ポート11といい、上側の吸気ポート12であってより遅いタイミングで開口および閉口する吸気ポート12をセカンダリ吸気ポート12という。
図9は、エキセントリックシャフトの回転角度であるエキセン角と各ポートの開口面積との関係を示した図である。図9に示すように、プライマリ吸気ポート11は、排気上死点付近で開口を開始し、吸気下死点をわずかに超えた時期に閉口する。一方、セカンダリ吸気ポート12は、プライマリ吸気ポート11と同様に排気上死点付近で開口を開始する一方、吸気下死点よりも比較的長い期間が経過した後に閉口する。例えば、プライマリ吸気ポート11は吸気下死点後30°EA(EA:エキセン角)程度で閉口するのに対して、セカンダリ吸気ポート12は吸気下死点後90°EA程度で閉口する。
(排気ポート)
インターミディエイトハウジング6cには、第1ロータ収容室2aと連通してこれから排気(燃焼後のガス)を導出するための排気ポート13が形成されている。第1ロータ収容室2aと連通するこの排気ポート13は、インターミディエイトハウジング6cの前面(第1ロータ収容室2aの後側のサイド面111a_r)の右下側部分であって排気行程が実施される部分に開口している。
インターミディエイトハウジング6cには、第1ロータ収容室2aと連通してこれから排気(燃焼後のガス)を導出するための排気ポート13が形成されている。第1ロータ収容室2aと連通するこの排気ポート13は、インターミディエイトハウジング6cの前面(第1ロータ収容室2aの後側のサイド面111a_r)の右下側部分であって排気行程が実施される部分に開口している。
第2サイドハウジング6bには、第2ロータ収容室2bと連通してこれから排気(燃焼後のガス)を導出するための排気ポート13が形成されている。第2ロータ収容室2bと連通するこの排気ポート13は、第2サイドハウジング6bの前面(第2ロータ収容室2bの後側のサイド面111b_r)の右下側部分であって排気行程が実施される部分に開口している。
図5に示すように、各排気ポート13は、各ハウジング6b、6c内においてロータ収容室2側の開口部分から右斜め下方に延びて、各ハウジング6b、6cの右側面の下部に開口している。
このように、本実施形態では、各ロータ収容室2において、吸気ポート11、12は、前側のサイド面111a_f、111b_fに開口し、排気ポート13は後側のサイド面111a_r、111b_rに開口しており、吸気ポート11、12と排気ポート13とは、互いに反対側のサイド面111に開口している。そのため、エンジン性能を高めることができる。
図8および図10を用いて具体的に説明する。図10は、図8に対応する図であって、比較例に係る図である。図10に示すように、比較例では、同じロータ収容室2において、排気ポート13と吸気ポート11、12とが同じサイド面111に開口している。
図10の矢印で示すように、比較例では、排気ポート13と吸気ポート11、12とが同じサイド面111に開口していることで、サイド面111と、これに対向するロータ3の側面3sとの間の隙間Gを介して排気ポート13と吸気ポート11、12とが連通する状態となる。詳細には、図5および図7に示すように、排気ポート13と吸気ポート11、12とは、ロータ3の側面3sのうちサイドシール103と外周側のオイルシール104との間の隙間Gを介して連通する。
そのため、排気ポート13内の排気が、隙間Gを通って吸気ポート11、12に流入するおそれがある。そして、このように排気が吸気ポート11、12に流入すると、吸気効率が低下してしまう。また、吸気ポート11、12(本実施形態では、前記のようにプライマリ吸気ポート11にのみ燃料が供給される)に供給された燃料を含む吸気が、吸気ポート11、12から隙間Gを通って排気ポート13に流入して、未燃の燃料がそのままエンジンの外部に排出されて排気性能が悪化するおそれがある。
また、吸気ポート11、12内の燃料がロータ3の側面3sに付着し、この付着部分がロータ3の回転に伴って排気ポート13と対向する位置に移動することで、ロータ3の側面3sに付着した燃料が未燃のまま排気ポート13およびエンジンの外部に排出されるおそれがある。
ここで、ロータ3の側面3sに隙間Gを塞ぐようにシール部材を設ければ、前記の隙間Gを介した排気や燃料の移動は抑制できる。しかし、このようにするとロータ3の摺動抵抗が増大してエンジン出力が低下してしまう。
これに対して、本実施形態では、排気ポート13と吸気ポート11、12とが、互いに反対側のサイド面111に開口していることで、排気ポート13と吸気ポート11、12とは隙間Gを介して連通しない。そのため、ロータ3の摺動抵抗を増大させることなく、隙間Gを介した排気や燃料の移動を回避することができる。また、吸気ポート11、12内の燃料がロータ3の側面3sに付着しても、この付着部分と排気ポート13とが対向しないため、ロータ3の側面3sに付着した燃料が未燃のまま排気ポート13およびエンジンの外部に排出されるのを回避できる。従って、エンジン性能を高めることができる。
(2)吸気通路
図1に示すように、吸気通路30には、上流側から順に、エアクリーナー41、ターボ過給機70のコンプレッサ71、インタークーラ42、スロットルバルブ43が設けられている。スロットルバルブ43は、吸気通路30を開閉するバルブであり、ロータ収容室2に導入すべき空気の量に応じてその開度が変更される。
図1に示すように、吸気通路30には、上流側から順に、エアクリーナー41、ターボ過給機70のコンプレッサ71、インタークーラ42、スロットルバルブ43が設けられている。スロットルバルブ43は、吸気通路30を開閉するバルブであり、ロータ収容室2に導入すべき空気の量に応じてその開度が変更される。
吸気通路30は、その上流端からスロットルバルブ43の直下流側まで延びる1本の上流側通路部31と、吸気上流側通路部31の下流端からそれぞれ延びるプライマリ吸気通路部32とセカンダリ吸気通路部33とで構成されている。
プライマリ吸気通路部32は、その下流側部分においてさらに2つ通路部32a、32bに分岐しており、一方の通路部である第1プライマリ吸気通路部32aが第1ロータ収容室2aのプライマリ吸気ポート11と連通し、他方の通路部である第2プライマリ吸気通路部32bが第2ロータ収容室2bのプライマリ吸気ポート11と連通している。
セカンダリ吸気通路部33は、その下流側部分においてさらに2つの通路部33a、33bに分岐しており、一方の通路部である第1セカンダリ吸気通路部33aが第1ロータ収容室2aのセカンダリ吸気ポート12と連通し、他方の通路部である第2セカンダリ吸気通路部33bが第2ロータ収容室2bのセカンダリ吸気ポート12と連通している。
前記のように、第1ロータ収容室2aと連通する吸気ポート11,12は、第1サイドハウジング6aの右側面の上部に開口しており、第2ロータ収容室2bと連通する吸気ポート11、12は、インターミディエイトハウジング6cの右側面の上部に開口している。
これに対応して、第1プライマリ吸気通路部32aおよび第1セカンダリ吸気通路部33aの各下流端は、第1サイドハウジング6aの右側面の上部に配置され、第2プライマリ吸気通路部32bおよび第2セカンダリ吸気通路部33bの各下流端は、インターミディエイトハウジング6cの右側面の上部に配置されている。そして、プライマリ吸気通路部32とセカンダリ吸気通路部33とは、この配置状態でエンジン本体1の右側面に固定されている。
これに伴い、各プライマリ吸気通路部32a、32bの下流端と各セカンダリ吸気通路部33a、33bの下流端とからなる吸気通路30の下流端は、エンジン本体1の右側面の上部のうちインターミディエイトハウジング6cから第1サイドハウジング6aまでの領域、つまり、エンジン本体1の右側面の上部のうちその前後方向の略中央から前端付近までの領域であってエンジン本体1の右側面の上部前寄りの領域に位置している。そして、吸気通路30のうち下流端から所定量上流側に延びる部分である下流端部300は、エンジン本体1の右側面の上部のうちその前後方向の略中央から前端付近までの部分つまりエンジン本体1の右側面の上部前寄りの部分の右方に配置されており、側面視でこの領域と重複する。図3の例では、吸気通路30のうちセカンダリ吸気通路部33とプライマリ吸気通路部32とに分岐する部分からわずかに下流側の部分から吸気通路30の下流端までの部分が、前記部分と重複する吸気通路30の下流端部300を構成している。
本実施形態では、図3に示すように、側面視で、スロットルバルブ43は、第1サイドハウジング6a付近の上方に配置されている。これに伴い、第1プライマリ吸気通路部32aと第1セカンダリ吸気通路部33aとは、第1サイドハウジング6aの右側面の上部から右方に向かった後、ほぼまっすぐ上に延びている。一方、第2プライマリ吸気通路部32bと第2セカンダリ吸気通路部33bとは、第2サイドハウジング6aの右側面の上部から右方に向かった後、前斜め上方に延びている。
また、本実施形態では、図3および図4に示すように、吸気通路30のうちスロットルバルブ43よりも上流側の部分はスロットルバルブ43から前方に延びている。なお、後述するようにタービン72がエンジン本体1の下部後寄りの部分の右方に配置されていることに伴い、吸気通路30のうちタービン72に連結されるコンプレッサ71付近の部分は、エンジン本体1の下部前寄りの部分に配置されている。
本実施形態では、図1に示すように、第1セカンダリ吸気通路部33a、第2セカンダリ吸気通路部33bには、それぞれ各通路部33a、33bひいてはセカンダリ吸気ポート12、12を開閉する吸気ポート開閉弁18、18が設けられている。
吸気ポート開閉弁18は例えば次のように制御される。エンジン回転数が低くエンジン負荷が高い領域では、吸気下死点を過ぎた後も比較的長い時間開口するセカンダリ吸気ポート12を開口していると、ロータ収容室2からセカンダリ吸気ポート12へ吸気が吹き返し、これによって吸気量(新気量)を確保できないおそれがあるため、この領域では、吸気ポート開閉弁18は閉弁される。一方、エンジン回転数が低く且つエンジン負荷が低い領域であって、必要な吸気量が少なく前記吸気の吹き返しを生じさせることでポンピングロスを低減できる領域では、吸気ポート開閉弁18は開弁される。また、エンジン回転数が高い領域であって、吸気脈動の作用によって吸気下死点を過ぎた後でもセカンダリ吸気ポート12からロータ収容室2内に吸気を導入できる領域では、吸気ポート開閉弁18は開弁される。
なお、車両には、エンジンの各部を制御可能なECU(不図示)が設けられており、このECUによって、吸気ポート開閉弁18等が制御される。
(3)排気通路
排気通路50には、上流から順に、ターボ過給機70のタービン72と、三元触媒等の浄化装置が設けられている。
排気通路50には、上流から順に、ターボ過給機70のタービン72と、三元触媒等の浄化装置が設けられている。
本実施形態では、図1に示すように、タービン72は、ツインスクロール式のタービンである。具体的には、タービン72は、複数の羽根を有しこれら羽根に排気が衝突することで回転するタービン本体74と、これを内側に収容するタービンハウジング75とを備える。また、タービンハウジング75はタービン本体74の外周を囲む渦巻状のタービンスクロール部を備える。そして、本実施形態のタービン72では、タービンハウジング75の上流端からタービンスクロール部の下流端にわたる部分において、タービンハウジング75の内側空間が2つに区画されており、前記部分には互いに独立した2つの吸入通路81、81が形成されている。
排気通路50は、第1ロータ収容室2aの排気ポート13と一方の吸入通路81とを接続する第1独立排気通路部55aと、第2ロータ収容室2bの排気ポート13と他方の吸入通路81とを接続する第2独立排気通路部55bと、タービンハウジング75の下流端に接続される1本の排気集合通路56とを有する。なお、図示は省略したが、各独立排気通路部55には、各独立排気通路部55の下流端付近と排気集合通路56とを連通して各独立排気通路部55内の排気をタービン72を迂回して排気集合通路56に流すためのバイパス通路と、これを開閉するウエストゲートバルブとが設けられている。
このように、本実施形態では、各ロータ収容室2の排気ポート13とタービン72の各吸入通路81とが独立排気通路部55を介して個別に連通されることで、一方の排気ポート13から排出されて一方の独立排気通路部55を通りタービンハウジング75に流入した排気は、他方の独立排気通路部55に回り込むことなくタービン本体74の各羽根に衝突する。そのため、各排気ポート13から排出された排気は、そのエネルギーが高く維持されたまま各羽根の回転に利用される。
前記のように、第1ロータ収容室2aと連通する排気ポート13は、インターミディエイトハウジング6cの右側面の下部に開口しており、第2ロータ収容室2bと連通する排気ポート13は、第2サイドハウジング6bの右側面の下部に開口している。
これに対応して、第1独立排気通路部55aの上流端はインターミディエイトハウジング6cの右側面の下部に位置し、第2独立排気通路部55bの上流端は第2サイドハウジング6bの右側面の下部に位置している。そして、これら独立排気通路部55は、この配置状態でエンジン本体1の右側面に固定されている。
これに伴い、各独立排気通路部55の上流端からなる排気通路50の上流端は、エンジン本体1の右側面の下部のうちインターミディエイトハウジング6cから第2サイドハウジング6bまでの領域、つまり、エンジン本体1の右側面の下部のうちその前後方向の略中央から後端付近までの領域であってエンジン本体1の右側面の下部後寄りの領域に位置している。そして、排気通路50のうち上流端から所定量下である上流端部500は、エンジン本体1の右側面の下部のうちその前後方向の略中央から後端付近までの部分つまりエンジン本体1の右側面の下部後寄りの部分の右方に配置されており、この部分と排気通路50の上流端部500とは側面視で重複する。
本実施形態では、図3および図4に示すようにタービン72が、エンジン本体1の右側面の下部後寄りの部分と対向する位置、詳細には、第2ロータハウジング5bの下部と対向する位置に配置されている。これに伴い、第1独立排気通路部55aはインターミディエイトハウジング6cの右側面の下部から後斜め右方に延び、第2独立排気通路部55bは第2サイドハウジング6bの右側面の下部から前斜め右方に延びている。
これに伴い、排気通路50のうちその上流端からタービン72よりもわずかに下流側の位置までの部分が、エンジン本体1の右側面の下部のうちその前後方向の略中央から後端付近までの領域つまりエンジン本体1の右側面の下部の後寄りの領域の右方に位置して、側面視でこの領域と重複している。すなわち、本実施形態では、排気通路50のうちその上流端からタービン72よりもわずかに下流側の位置までの部分が、側面視でエンジン本体1の右側面の下部後寄りの部分と重複する排気通路50の下流端部500を構成している。また、本実施形態では、排気集合通路56は、タービン72からほぼまっすぐ後方に延びている。
(4)作用等
以上のように、本実施形態では、排気通路50のうちその上流端を含みこの上流端から下流側に延びる上流端部500と、吸気通路30のうちその下流端を含みこの下流端から上流側に延びる下流端部300とがともにエンジン本体の右側面に配置されていることで、これら上流端部500および下流端部300をエンジン本体1の周囲にコンパクトに配置することができるとともに、これら排気通路50の上流端部500と吸気通路30の下流端部300とが前後方向にずらされていることで、吸気効率を高くすることができる。
以上のように、本実施形態では、排気通路50のうちその上流端を含みこの上流端から下流側に延びる上流端部500と、吸気通路30のうちその下流端を含みこの下流端から上流側に延びる下流端部300とがともにエンジン本体の右側面に配置されていることで、これら上流端部500および下流端部300をエンジン本体1の周囲にコンパクトに配置することができるとともに、これら排気通路50の上流端部500と吸気通路30の下流端部300とが前後方向にずらされていることで、吸気効率を高くすることができる。
具体的には、排気通路50の上流端部500は、エンジン本体1から高温の排気が排出されることで高温になりやすく、この上流端部500から周囲には熱が発せられる。ここで熱エネルギー(高温の空気や放射熱)は特に上方に移動しやすい。一方、吸気通路30の下流端部300内には、エンジン本体1に導入される直前の吸気が流通している。そのため、吸気通路30の下流端部300が温められて内側の吸気が昇温すると、この吸気はその後冷却されることなくそのままエンジン本体1に導入されてしまうため、エンジン本体1の吸気効率が低下してしまう。
これに対して、本実施形態では、前記のように、排気通路50の上流端部500と吸気通路30の下流端部300とが前後方向にずれて配置されている。そのため、排気通路50の上流端部500から発せられた熱によって吸気通路30下流端部300が温められるのを抑制することができ、吸気効率を高めることができる。また、この下流端部300が熱害を受けるのを抑制することができる。
特に、本実施形態では、排気通路50のうちその上流端からタービン72の下流側の部分までの領域がエンジン本体1の下部後寄り部分の右方に配置されている。そのため、タービン72を排気通路50の上流端から近い位置に配置してタービン72に導入される排気のエネルギーを高くしつつ、この高温になりやすいタービン72からの熱によって吸気通路30の下流端部300およびこれを流通する吸気が温められるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、排気通路50の上流端部500が吸気通路30の下流端部300に対して後方、つまり、車両の前後方向の外側からより遠い位置に配置されていることで、車両の前後方向の外側(本実施形態では前方)からエンジンルームRに導入される走行風を受けて排気通路50の下流端部500から発せられた熱が吸気通路30の上流端部300に流れ込むのを抑制することができる。従って、吸気通路30の上流端部300およびこれを流通する吸気の温度上昇を抑制して吸気効率をより確実に高めることができる。また、重量の大きいタービン72がより後方、つまり、車両前後方向の中央寄りに配置されることで、車両の重心を車両前後方向の中央により近づけることができ、車両の走行安定性を高めることができる。
また、本実施形態では、排気ポート13がサイドハウジング6の下部に形成されて、排気通路50の上流端部500がエンジン本体1の下寄りの部分に設けられていることで、ロータ収容室2内で生成された凝縮水を排気通路50へ適切に排出することができる。
また、本実施形態では、サイド面111に開口する排気ポート13と吸気ポート11、12とが、各ロータ収容室2において、互いに反対側のサイド面111に開口している。そして、これにより、サイド面111とこれに対向するロータ3の側面3sとの間の隙間Gを介して排気ポート13と吸気ポート11、12とが連通するのが回避されている。
そのため、前記のように、隙間Gを塞ぐためのシール部材を設けることなく、各シール部材排気ポート13内の排気が前記の隙間Gを通って吸気ポート11、12に逆流するのを回避できるとともに、吸気ポート11、12内の未燃の燃料が隙間Gを通って排気ポート13に流入するのを回避できる。また、吸気ポート11、12内の未燃の燃料がロータ3の側面3sに付着して燃焼することなく排気ポート13に運ばれるのを回避できる。従って、ロータ3の摺動抵抗を小さく抑えてエンジン出力を高く確保しつつ、前記排気の逆流に伴う吸気効率の低下を回避して吸気効率を高くすることができるとともに、排気性能を高めることができる。
(5)変形例
前記実施形態では、エンジン本体1が2つのロータ3およびロータ収容室2を備えた2ロータのロータリーピストンエンジンの場合について説明したが、エンジン本体1は、1つのロータ3およびロータ収容室2を有するロータリーピストンエンジンであってもよい。また、エンジン本体1は、3以上のロータ3およびロータ収容室2を有するロータリーピストンエンジンであってもよい。
前記実施形態では、エンジン本体1が2つのロータ3およびロータ収容室2を備えた2ロータのロータリーピストンエンジンの場合について説明したが、エンジン本体1は、1つのロータ3およびロータ収容室2を有するロータリーピストンエンジンであってもよい。また、エンジン本体1は、3以上のロータ3およびロータ収容室2を有するロータリーピストンエンジンであってもよい。
また、前記実施形態では、車両200の前部のエンジンルームRが設けられて、このエンジンルームRにエンジン本体1が搭載された場合について説明したが、車両200の後部にエンジンルームRを設けてこれにエンジン本体1を収容してもよい。ただし、この場合には、タービン72をより車両前後方向の中央側に配置して車両の走行安定性を高めるべく、また、走行風によって排気通路50の上流端部500の熱が吸気通路30の上流端部300に流入するのを回避するべく、エンジン本体1の側方において、排気通路50の上流端部500を前寄りに配置し、吸気通路30のカリュタン部300を後寄りに配置するのが好ましい。
また、前記実施形態では、排気通路50の上流端部500および吸気通路30の上流端部300がエンジン本体1の右方に配置される場合について説明したが、これらはエンジン本体1の左方に配置されてもよい。また、エンジン本体1は、エキセントリックシャフト4が車幅方向(前記実施形態における左右方向)に延びるように車両200に搭載されてもよい。
また、前記実施形態では、各ロータ収容室2から排気を排出するための排気ポートが、サイドハウジング6にのみに形成された場合について説明したが、このサイドハウジング6に形成された排気ポート13に加えて、ロータハウジング5に別の排気ポートを設けてもよい。
また、セカンダリ吸気ポート12およびセカンダリ吸気通路部33aは省略可能である。また、前記実施形態では、エンジン本体1が車両の駆動源として用いられる場合について説明したが、これに限らず、例えば、車両の駆動源としてモータを備えたハイブリッド車両に設けられてこのモータに電力を供給するための電力源としてエンジン本体1を利用してもよい。
1 エンジン本体
2 ロータ収容室
3 ロータ
4 エキセントリックシャフト
5 ロータハウジング
6 サイドハウジング
11 プライマリ吸気ポート(吸気ポート)
12 セカンダリ吸気ポート(吸気ポート)
13 排気ポート(排気ポート)
30 吸気通路
40 排気通路
2 ロータ収容室
3 ロータ
4 エキセントリックシャフト
5 ロータハウジング
6 サイドハウジング
11 プライマリ吸気ポート(吸気ポート)
12 セカンダリ吸気ポート(吸気ポート)
13 排気ポート(排気ポート)
30 吸気通路
40 排気通路
Claims (3)
- 前後方向に延びるエキセントリックシャフト回りを回転するロータと当該ロータを収容するロータ収容室とを有するエンジン本体と、前記エンジン本体に吸入される吸気が内側を流通する吸気通路と、前記エンジン本体から排出された排気が内側を流通する排気通路とを備えたロータリーピストンエンジンシステムであって、
前記エンジン本体は、前後方向に並び共通の前記エキセントリックシャフト回りを回転する複数の前記ロータと、前記各ロータをそれぞれ収容する複数の前記ロータ収容室と、前記各ロータの外周をそれぞれ囲む複数のロータハウジングと、前記各ロータを挟んで当該各ロータの前後両側にそれぞれ設けられる複数のサイドハウジングと、前記各ロータ収容室から前記排気通路にそれぞれ排気を導出する複数の排気ポートと、前記吸気通路から前記各ロータ収容室に吸気をそれぞれ導入する複数の吸気ポートとを備え、
前記各吸気ポートは、前記各ロータ収容室の前側の側面にのみ開口するように前記各ロータの前方に配置されたサイドハウジングに設けられ、
前記各排気ポートは、前記各ロータ収容室の後側の側面にのみ開口するように前記各ロータの後方に配置されたサイドハウジングに設けられており、
前記各吸気ポートから延びる前記吸気通路の下流端は、前記エンジン本体の左右一方側の側面の上部前寄りの部分に配置されており、
前記各排気ポートから延びる前記排気通路の上流端は、前記エンジン本体の前記左右一方側の側面の下部後寄りの部分に配置されており、
一のロータの後側に配置されるサイドハウジングと当該ロータの後側にこれと隣接して配置された他のロータの前側に配置されるサイドハウジングとは、共通のサイドハウジングで構成されており、
前後方向に隣接する前記ロータ間に配置される前記サイドハウジングには、当該サイドハウジングの後方のロータ収容室と連通する吸気ポートと、当該サイドハウジングの前方のロータ収容室と連通する排気ポートとが形成されていることを特徴とするロータリーピストンエンジンシステム。 - 請求項1に記載のロータリーピストンエンジンシステムであって、
前記排気通路には、当該排気通路を流通する排気のエネルギーにより駆動されるタービンが設けられており、
前記タービンは、前記エンジン本体の幅方向の前記左右一方側の側面の下部且つ後寄りの部分と対向する位置に配置されていることを特徴とするロータリーピストンエンジンシステム。 - 請求項1または2に記載のロータリーピストンエンジンシステムが搭載された車両であって、
前記エンジン本体は、前記エキセントリックシャフトが車両前後方向に延び、且つ、前記排気通路の上流端が前記吸気通路の下流端よりも車両前後方向の中央寄りに位置するように、車両に搭載されていることを特徴とする車両。
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-
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