JP2019014814A - 延伸シート及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明の課題は、製膜性が良好であり、透明性、耐熱性および耐油性に優れたスチレン系樹脂からなる延伸シート、およびその成形品を提供することである。
(1)スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を含有し、Z平均分子量30万〜300万であるスチレン系樹脂組成物からなる延伸シートである。
(2)前記スチレン系樹脂組成物は、200℃の環境下で引取速度15m/minにおける溶融張力が0.2N〜1.5Nである前記(1)に記載の延伸シートである。
(3)前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量が100万〜1000万である前記(1)または前記(2)に記載の延伸シートである。
(4)前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の質量比が90/10〜97/3である前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(5)前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量が12万〜25万である前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(6)前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂は、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有する前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(7)前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂は、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を65/35〜85/15の質量比で含有する前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の延伸シートを二次成形してなる成形品である。
(9)電子レンジ加熱用食品包装容器である前記(8)に記載の成形品である。
(GPCによる測定方法)
以下の方法にて、単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出する。
機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製PLgel GUARD 10μm φ7.5×50mmを1本と、PLgel MIXED−B 10μm φ7.5×300mmを3本使用。
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
(スチレン−メタクリル酸共重合樹脂)
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂は、スチレンとメタクリル酸の共重合体である。スチレン−メタクリル酸共重合樹脂におけるスチレンとメタクリル酸の共重合比率は、所望とする耐熱性と機械的強度等によって設定される。スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有することが好ましい。この質量比の範囲にあると、耐熱性、機械的強度、シートにしたときの透明性のバランスに優れた樹脂が容易に得られる。メタクリル酸単量体単位の含有量が6質量%未満であると、耐熱性が不足し、また電子レンジ加熱時に穴あき、変形が起こり易くなる。メタクリル酸単量体単位の含有量は、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上である。一方、メタクリル酸単量体単位の含有量が16質量%を超えると、製膜時のシート外観不良、二次成形時の賦型性の低下などの加工性の低下に加え、ゲル発生による外観低下が起こり易くなる。メタクリル酸単量体単位の含有量は、より好ましくは14質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下である。
(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれるいずれか2以上の単量体を重合してなる共重合体である。
スチレン系樹脂組成物は、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を含有している。スチレン系樹脂組成物におけるスチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂との質量比は、90/10〜97/3であることが好ましい。質量比は、より好ましくは91/9〜96/4であり、さらに好ましくは93/7〜95/5である。(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の含有量が3質量%未満であると、製膜性の向上を図ることができず、電子レンジ加熱に対する耐久性を十分発揮できない懸念がある。一方、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の含有量が10質量%を超えると、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の不溶化物がゲルとして発生し、延伸シートの透明性を大きく損ねる懸念がある。
上記添加剤の添加量に制限はないが、スチレン系樹脂組成物のシートの透明性を損なわない範囲で添加することが好ましい。
本発明の延伸シートは、前記のスチレン系樹脂組成物を延伸加工して得られるものである。延伸加工は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。二軸延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれであってもよい。以下、二軸延伸シートの場合を中心にして説明するが、一軸延伸シートの場合も同様に考えることができる。
なお、延伸倍率の測定方法は、以下のとおりである。二軸延伸シートの試験片に対して、縦方向(MD)および横方向(TD)に100mm長の直線Yを引く。JIS K7206:2016に準拠して測定したシートのビカット軟化温度より30℃高い温度のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さZ[mm]を測定する。縦方向および横方向の延伸倍率(倍)は、それぞれ次式によって算出した数値である。
延伸倍率(倍)=100/Z
なお、本発明の二軸延伸シートの配向緩和応力は、ASTM D1504に準じて、シートを構成する樹脂組成物のビカット軟化温度より30℃高い温度のシリコーンオイル中でのピーク応力値として測定した値である。
装置名:GC−12A(島津製作所社製)
カラム:ガラスカラム φ3[mm]×3[m]
定量法:内部標準法(シクロペンタノール)
(実験例1)
内容量200Lのジャケット、攪拌機付きオートクレーブに純水100kg、ポリビニルアルコール100gを加え、130rpmで攪拌した。続いてスチレン72kg、メタクリル酸4kgおよびt−ブチルパーオキサイド20gを仕込み、オートクレーブを密閉して、110℃に昇温して5時間重合を行った(ステップ1)。また、4kgのメタクリル酸を、重合温度が110℃に達した時点から2時間かけて、均等に追加添加した(ステップ2)。さらに140℃で3時間保持し、重合を完結させた(ステップ3)。得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出し、表1に記載のペレット状のスチレン−メタクリル酸共重合樹脂A−1を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、スチレン単量体/メタクリル酸単量体の質量比(%)は、90/10であった。また、GPC測定により求めた重量平均分子量(Mw)は、18万であった。
実験例1の各種原料仕込み量を調整し、上記と同様の製造条件で、表1に記載の各種スチレン−メタクリル酸共重合樹脂A−2〜A−5を得た。
(実験例6)
温度計、窒素導入管、冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコ(容量5リットル)に、分散媒としてイオン交換水300質量部(3000グラム)、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.1質量部、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.01質量部、単量体としてメタクリル酸メチル120質量部、アクリル酸ブチル40質量部を投入した。このセパラブルフラスコに窒素気流を通じることにより、フラスコ内雰囲気の窒素置換を行なった。次いで、内温を60℃まで昇温させ、過硫酸カリウム0.15質量部、脱イオン水5質量部を加えた。その後、加熱攪拌を2時間継続して重合を終了し、アクリル系樹脂ラテックスを得た。
実験例6の各種原料仕込み量を調整し、上記と同様の製造条件で、表2に記載の各種(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂B−2〜B−5を得た。
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A−1)95.0質量%、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂(B−1)5.0質量%をハンドブレンドし、ペレット押出機(真空ベント付き二軸同方向押出機 TEM35B (東芝機械製))を用い、押出温度230℃、回転数250rpm、ベント脱揮圧力−760mmHgにてダイプレートを通してストランドとした。その後、水槽にて冷却したのち、ペレタイザーを通してペレット化し、スチレン系樹脂組成物を得た。なお、ベント脱揮圧力は、常圧に対する差圧値として示した。得られたスチレン系樹脂組成物中のスチレン単量体の含有量は500ppm、メタクリル酸単量体の含有量は50ppmであった。また、ビカット軟化温度は130℃であった。また、前記のGPCによる測定方法によってZ平均分子量を測定した結果、60万であった。また、下記の溶融張力の測定方法によって溶融張力を測定した結果、0.6Nであった。
東洋精機製作所(株)製キャピログラフ1Bを使用し、試料を200℃に加熱し、径1mmで長さ40mmのキャピラリーを用いて、ピストンスピード10mm/分、曳糸速度15m/分で引き取って、溶融張力(N)を測定した。
上記実施例1のスチレン系樹脂組成物の配合組成を、表3および表4に記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、表3および表4の実施例2〜13、比較例1〜2の二軸延伸シートを得た。
未延伸シートにMD方向およびTD方向に20mm間隔で直線を5本ずつ格子状に引いた時の交点25点についてマイクロゲージを用いて厚みを測定し、その標準偏差σを下記基準で評価した。
○:σが0.03mm未満
△:σが0.03mm以上、0.07mm未満
×:σが0.07mm以上
JIS K7210のH条件(200℃、5kg)に従って測定した。
○:1.0g/10分以上かつ3.0g/10分未満
△:0.5g/10分以上かつ1.0g/10分未満、または、
3.0g/10分以上かつ5.0g/10分未満
×:0.5g/10分未満または5.0g/10分以上
二軸延伸シートにMD方向およびTD方向に50mm間隔で直線を5本ずつ格子状に引いた時の交点25点についてマイクロゲージを用いて厚みを測定し、その標準偏差σを下記基準で評価した。
○:σが0.05mm未満
△:σが0.05mm以上、0.10mm未満
×:σが0.10mm以上
JIS K−7361−1:1997に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)を用いて、二軸延伸シートのヘーズを測定した。
◎:ヘーズ1.5%未満
○:ヘーズ1.5%以上、3.0%未満
△:ヘーズ3.0%以上、5.0%未満
×:ヘーズ5.0%以上
熱板成形機HPT?400A(脇坂エンジニアリング社製)にて、熱板温度150℃、加熱時間2.0秒の条件で、フードパック(寸法 蓋:縦150×横130×高さ30mm、本体:縦150×横130×高さ20mm)を成形し、賦型性を下記基準にて評価した。
○:良好
△:コーナー部に僅かな形状不良
×:寸法と異なる形状またはコーナー部に著しい形状不良
上記成形条件で得られたフードパックを110℃に設定した熱風乾燥機に60分間入れた後、容器の変形を目視で観察した。
○:変形なし
△:軽微な変形、外寸変化5%未満
×:大変形、外寸変化5%以上
上記フードパックのヒンジ部にサラダ油(日清製油社製)、マヨネーズ(味の素社製)、ココナードML(登録商標、花王社製)の試験液をしみ込ませたガーゼ10×10mmを貼り付け、60℃オーブンにて24時間静置し、付着部の表面観察を行った。
○:変化無し
△:わずかに白化あり
×:著しい白化、割れあり
上記フードパックの蓋中央に5mm×5mmの範囲でマヨネーズを9点付着させ、容器本体に水300gを入れ、蓋容器をかぶせて1500Wの電子レンジで90秒間加熱した後、マヨネーズ付着部分の様子を目視で評価した。
○:変化なし
△:白化あり、容器がわずかに変形
×:穴あきあり、容器が著しく変形
表3、表4の結果より、実施例1〜13の二軸延伸シートはいずれも、製膜性(製膜性、流動性、延伸性)、シート性能(透明性)、成形性(賦型性)が良好であり、耐熱性、耐油性、電子レンジ加熱耐性の何れにおいても優れた性能を有するものであった。
Claims (9)
- スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を含有し、Z平均分子量30万〜300万であるスチレン系樹脂組成物からなる延伸シート。
- 前記スチレン系樹脂組成物は、200℃の環境下で引取速度15m/minにおける溶融張力が0.2N〜1.5Nである請求項1に記載の延伸シート。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量が100万〜1000万である請求項1または請求項2に記載の延伸シート。
- 前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の質量比が90/10〜97/3である請求項1〜3のいずれか1項に記載の延伸シート。
- 前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量が12万〜25万である請求項1〜4のいずれか1項に記載の延伸シート。
- 前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂は、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の延伸シート。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂は、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を65/35〜85/15の質量比で含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の延伸シート。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の延伸シートを二次成形してなる成形品。
- 電子レンジ加熱用食品包装容器である請求項8に記載の成形品。
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