JP2019014814A - 延伸シート及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】製膜性が良好であり、透明性、耐熱性および耐油性に優れたスチレン系樹脂からなる延伸シート、およびその成形品を提供する。【解決手段】スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を含有し、Z平均分子量30万〜300万であるスチレン系樹脂組成物からなる延伸シートである。また当該延伸シートを二次成形してなる成形品である。前記スチレン系樹脂組成物は、200℃の環境下で引取速度15m/minにおける溶融張力が0.2N〜1.5Nであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、電子レンジで加熱する食品の包装容器の用途に好適に用いることができるスチレン系樹脂組成物からなる延伸シートとその成形品に関するものである。
ポリスチレンの延伸シート、特に二軸延伸シートは、その透明性、剛性に優れることから、型成形されて主に軽量容器等の成形品に大量に使用されている。しかしながら、これらの容器は、耐熱性に劣ることから、沸騰水に直接接触する用途や、電子レンジで加熱する用途へはあまり使用されていない。そこで、原料であるポリスチレンに耐熱性を付与する試みがなされてきた。耐熱性を向上させたポリスチレンとしては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体またはスチレン−メタクリル酸共重合体(特許文献1、特許文献2)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(特許文献3、特許文献4)が挙げられる。これらは一般的にスチレン系耐熱性樹脂として知られており、透明性、剛性を損なわずに耐熱性を向上させている。
しかし、前記スチレン系耐熱性樹脂は通常のポリスチレンよりも溶融押出時の流動性が低く、樹脂の生産能力やシートの生産能力を上げることが難しい。上記スチレン系耐熱性樹脂の流動性を上げるためには、(i)押出温度を高くする方法、(ii)樹脂の分子量を下げる方法が考えられる。押出温度を高くすると、上記スチレン系耐熱性樹脂中のカルボン酸基が反応し、ゲル状の異物となってシートの品質低下を招く。また、樹脂の分子量を下げると、シート押出時のドローダウンが発生しやすくなり製膜が難しくなる。
押出温度を高くしつつ、ゲル発生を抑える方法としては、例えば、特許文献5には、押出時にゲル化防止剤を添加する方法が提案されている。しかし、特許文献5に記載のゲル化防止剤は可塑剤としても働くため、得られるスチレン系樹脂シートの耐熱性、耐油性が低下する。また、特許文献6には、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂およびスチレン−メタクリル酸共重合樹脂の組成物が開示されている。しかし、特許文献6に記載の組成物は、相溶性に優れ、ゲルの発生が少ないものの、溶融張力が低く、製膜性に劣っていた。
スチレン系樹脂の分子量を下げつつ、製膜性を維持する方法としては、高分子量のポリスチレンを少量添加することにより、歪み硬化性を与える方法(特許文献7)が知られている。しかし、特許文献7に記載の高分子量のポリスチレンは前記スチレン系耐熱性樹脂とは相溶性が低く、期待する歪み硬化性が出にくいほか、得られるシートの透明性が低下する欠点を持つ。
米国特許第3035033号明細書 特開2003−12734号公報 特公昭59−15133号公報 特開昭55−71530号公報 特開昭56−161409号公報 特開2014−101403号公報 特開2011−225866号公報
これらの理由から、製膜性が良好で、透明性、耐熱性、耐油性にも優れたスチレン系樹脂からなる延伸シートが求められている。
すなわち、本発明の課題は、製膜性が良好であり、透明性、耐熱性および耐油性に優れたスチレン系樹脂からなる延伸シート、およびその成形品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく、種々の組成のスチレン系樹脂組成物を用いた延伸シートについて鋭意検討を重ねた。その結果、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂とを含有するスチレン系樹脂組成物を用いることとした。そして、当該スチレン系樹脂組成物のZ平均分子量を30万〜300万の特定の数値範囲とすることによって、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を含有し、Z平均分子量30万〜300万であるスチレン系樹脂組成物からなる延伸シートである。
(2)前記スチレン系樹脂組成物は、200℃の環境下で引取速度15m/minにおける溶融張力が0.2N〜1.5Nである前記(1)に記載の延伸シートである。
(3)前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量が100万〜1000万である前記(1)または前記(2)に記載の延伸シートである。
(4)前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の質量比が90/10〜97/3である前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(5)前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量が12万〜25万である前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(6)前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂は、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有する前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(7)前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂は、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を65/35〜85/15の質量比で含有する前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の延伸シートである。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の延伸シートを二次成形してなる成形品である。
(9)電子レンジ加熱用食品包装容器である前記(8)に記載の成形品である。
本発明の延伸シートは、製膜性が良好であり、透明性、耐熱性および耐油性に優れている。そのため、電子レンジで加熱する食品の包装容器等の成形品に好適に用いることができる。
本発明の実施形態について以下に説明する。但し、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の延伸シートは、代表的なスチレン系耐熱性樹脂であるスチレン−メタクリル酸共重合樹脂を主たる樹脂成分として含有するスチレン系樹脂組成物からなる。延伸シートは、前記スチレン系樹脂組成物を押出成形し、得られた未延伸のシートを延伸することによって得ることができる。
スチレン系樹脂組成物を押出機のTダイから押し出し、未延伸シートとして巻き取る際に、溶融張力が小さいと、ドローダウンやネックインが発生し易くなり、製膜性が低下する。そこで、本発明者らは、スチレン系樹脂組成物の製膜性のさらなる向上を図るために、スチレン系樹脂組成物に対して適性な溶融張力を付与することを検討した。
溶融張力としては、200℃の環境下で引取速度15m/minの条件で測定した際に、0.2N〜1.5Nであることが好ましい。溶融張力が前記範囲内にあると、スチレン系樹脂組成物の製膜時にドローダウンやネックインの発生が抑制され、加工性が改善されて、製膜性が向上する。溶融張力は、0.3N〜1Nであることがより好ましく、更に好ましくは0.4N〜0.7Nである。溶融張力の測定は、後記するように、キャピログラフを用いて、200℃の環境下で引取速度15m/minの条件で行われる。
次に、スチレン系樹脂組成物に上記の溶融張力を付与するために、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂との相溶性に優れた(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を混合させて、溶融張力の増大を図ることを検討した。スチレン−メタクリル酸共重合樹脂に(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を所定量混合すると、スチレン系樹脂組成物を溶融した際に、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の溶融物が(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の溶融物によって補強されて、溶融張力が増大する。このとき、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂は後記するように、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂よりも重量平均分子量が高いものを用いることが好ましい。
本発明者らは、重量平均分子量が異なる2種類の樹脂成分を含有するスチレン系樹脂組成物の分子量の分布状態を表現する方法として、Z平均分子量に着目した。Z平均分子量は、重量平均分子量と比べると、分子量が高い領域に重み付けをした分子量である。含有量としては少量であるが、溶融張力の増大に大きな影響がある高分子量成分を強調して表現する指標として、Z平均分子量を用いることとした。
検討の結果、スチレン系樹脂組成物のZ平均分子量が30万〜300万の範囲内にあるときに、溶融張力を0.2N〜1.5Nの範囲内に制御できることを見出した。スチレン系樹脂組成物のZ平均分子量は、好ましくは、40万〜100万であり、さらに好ましくは50万〜90万である。スチレン系樹脂組成物のZ平均分子量の数値は、後記するように、スチレン系樹脂組成物を構成するスチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量よりは大きく、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量よりは小さい数値である。
スチレン系樹脂組成物のZ平均分子量は、以下の条件のGPCによる測定方法によって測定される。
(GPCによる測定方法)
以下の方法にて、単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出する。
機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製PLgel GUARD 10μm φ7.5×50mmを1本と、PLgel MIXED−B 10μm φ7.5×300mmを3本使用。
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
以下、スチレン系樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
(スチレン−メタクリル酸共重合樹脂)
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂は、スチレンとメタクリル酸の共重合体である。スチレン−メタクリル酸共重合樹脂におけるスチレンとメタクリル酸の共重合比率は、所望とする耐熱性と機械的強度等によって設定される。スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位の合計量を100質量%としたときに、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有することが好ましい。この質量比の範囲にあると、耐熱性、機械的強度、シートにしたときの透明性のバランスに優れた樹脂が容易に得られる。メタクリル酸単量体単位の含有量が6質量%未満であると、耐熱性が不足し、また電子レンジ加熱時に穴あき、変形が起こり易くなる。メタクリル酸単量体単位の含有量は、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上である。一方、メタクリル酸単量体単位の含有量が16質量%を超えると、製膜時のシート外観不良、二次成形時の賦型性の低下などの加工性の低下に加え、ゲル発生による外観低下が起こり易くなる。メタクリル酸単量体単位の含有量は、より好ましくは14質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下である。
また、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂は、必要に応じて、発明の効果を損なわない限りにおいて、スチレンとメタクリル酸以外の他の単量体を適宜、共重合させてもよい。他の単量体の含有率は10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5%質量以下、さらに好ましくは3質量%以下である。他の単量体の含有率が10質量%を超えると、スチレンまたはメタクリル酸の比率が低下し、十分な透明性、機械的強度及び耐熱性が得られない場合がある。
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、12万〜25万であることが好ましく、より好ましくは14万〜22万、さらに好ましくは15万〜20万である。重量平均分子量が12万未満であると、製膜時にシートのドローダウンやネックインなどが発生して製膜性が低下する傾向にある。また、重量平均分子量が25万を超えると、製膜時の厚みムラ、ダイラインなどが発生し易くなり、シート外観が低下する。
また、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnは、2.0〜3.0であることが好ましく、より好ましくは2.2〜2.8である。Mw/Mnが3.0を超えると、容器成形時の熱板接触による表面荒れが発生し易くなる。一方、Mw/Mnが2.0未満であると、流動性低下による製膜時の厚みムラや容器成形時の賦型不良が発生し易くなる。また、Z平均分子量(Mz)とMwとの比Mz/Mwは、1.5〜2.0であることが好ましく、より好ましくは1.6〜1.9である。Mz/Mwが1.5未満であると、シートのドローダウン、ネックインが発生するなどの製膜性の低下、延伸配向の不足が発生し易くなる。一方、Mz/Mwが2.0を超えると、流動性低下による製膜時の厚みムラやダイラインなどが発生し易くなり、シート外観が低下する。なお、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)は、前記したGPCによる測定方法によって測定される。
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重合方法としては、ポリスチレン等で工業化されている塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法等の公知の重合方法が挙げられる。品質面や生産性の面では、塊状重合法、溶液重合法が好ましく、連続重合であることが好ましい。溶媒としては例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン等のアルキルベンゼン類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類が使用できる。
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重合時には、必要に応じて重合開始剤、連鎖移動剤を使用することができる。重合開始剤としては、有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾネート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ポリエーテルテトラキス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。連鎖移動剤の具体例としては、脂肪族メルカプタン、芳香族メルカプタン、ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマーおよびテルピノーレン等が挙げられる。
((メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂)
(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれるいずれか2以上の単量体を重合してなる共重合体である。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。また、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルが好ましく、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルを用いた(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の場合、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を65/35〜85/15の質量比で含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂が好ましい。
このとき、メタクリル酸メチルの含有量は、65〜85質量%が好ましく、より好ましくは70〜80質量%、さらに好ましくは72〜78質量%である。メタクリル酸メチルの含有量が65質量%未満であると、前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂との混合時にシートの透明性が低下する。一方、メタクリル酸メチルの含有量が85質量%を超えると、アクリル酸ブチルの含有量が低下し、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の不溶化物が発生しやすくなる。
また、アクリル酸ブチルの含有量は、15〜35質量%が好ましく、より好ましくは20〜30質量%、さらに好ましくは22〜28質量%である。アクリル酸ブチルの含有量が15質量%未満であると、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の流動性が低下することにより、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の不溶化物が発生しやすくなる。一方、アクリル酸ブチルの含有量が35質量%を超えると、メタクリル酸メチルの含有量が低下し、シートの透明性が低下する。
また、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂のガラス転移点は、40〜100℃が好ましく、より好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃である。ガラス転移点が低過ぎると、前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂との混合時に耐熱性が低下する可能性がある。また、ガラス転移点が高過ぎると、前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂との混合時に(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂が溶融しにくくなり、均一に混合しにくくなる可能性がある。
(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100万〜1000万であることが好ましく、より好ましくは120万〜600万、更に好ましくは150万〜500万である。(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量が100万未満では、製膜性の向上を図ることができず、電子レンジ加熱に対する耐久性を十分に発揮できない懸念がある。一方、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量が1000万を超えると、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の不溶化物がゲルとして発生し、延伸シートの外観を損ねる懸念がある。(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量の測定は、前記したGPCによる測定方法によって測定される。
(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重合方法としては、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、微細懸濁重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等の公知の重合方法が挙げられる。これらの重合方法の中でも、高分子量体の生成が容易であることから、乳化重合が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を乳化重合によって製造するときの乳化剤としては、公知の乳化剤を用いることができる。例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、高分子乳化剤、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する反応性乳化剤が挙げられる。
(スチレン系樹脂組成物)
スチレン系樹脂組成物は、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を含有している。スチレン系樹脂組成物におけるスチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂との質量比は、90/10〜97/3であることが好ましい。質量比は、より好ましくは91/9〜96/4であり、さらに好ましくは93/7〜95/5である。(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の含有量が3質量%未満であると、製膜性の向上を図ることができず、電子レンジ加熱に対する耐久性を十分発揮できない懸念がある。一方、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の含有量が10質量%を超えると、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の不溶化物がゲルとして発生し、延伸シートの透明性を大きく損ねる懸念がある。
スチレン系樹脂組成物には、ゴム成分を含有する耐衝撃性スチレン系樹脂を、外観および透明性を損ねない程度の量添加してもよい。耐衝撃性スチレン系樹脂を添加することにより、シートの脆性、容器のブロッキング性を改善することができる。
耐衝撃性スチレン系樹脂としては、ゴム成分が含まれるスチレン系樹脂であれば良く、スチレンの単独重合体中にゴム成分が含まれているもの、スチレン−メタクリル酸共重合体中にゴム成分が含まれているもの、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等、いずれも好適に用いることができる。ゴム成分は、マトリックス樹脂となるポリスチレンやスチレン−メタクリル酸共重合体中に、独立して粒子状になって分散していてもよいし、ゴム成分にポリスチレンやスチレン−メタクリル酸共重合体がグラフト重合して粒子状に分散しているものであってもよい。
ゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体などが挙げられる。特に、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体として含まれていることが好ましい。
耐衝撃性スチレン系樹脂の含有量は、シートの外観および透明性を維持するため、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の合計に対して3質量%以下であることが好ましい。また、シートの脆性、容器のブロッキング性の改善効果を十分に与えるため、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の合計に対して0.5質量%以上であることが好ましい。
スチレン系樹脂組成物には、用途に応じて各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、ゲル化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、鉱油等の添加剤、ガラス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維等の補強繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウムなどの充填剤が挙げられる。また、上記スチレン系樹脂組成物をシート化したときの外観の観点から、酸化防止剤およびゲル化防止剤を単独または2種類以上を併用して配合することが好ましい。これらの添加剤は、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂および(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重合工程または脱揮工程、造粒工程にて添加しても良いし、スチレン系樹脂組成物を製造するときに添加しても良い。
上記添加剤の添加量に制限はないが、スチレン系樹脂組成物のシートの透明性を損なわない範囲で添加することが好ましい。
(延伸シート)
本発明の延伸シートは、前記のスチレン系樹脂組成物を延伸加工して得られるものである。延伸加工は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。二軸延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれであってもよい。以下、二軸延伸シートの場合を中心にして説明するが、一軸延伸シートの場合も同様に考えることができる。
二軸延伸シートは、例えば、次のような方法で製造することができる。まず、前記スチレン系樹脂組成物を押出機により溶融混練して、ダイ(特にTダイ)から押し出して未延伸シートを製造する。次に、未延伸シートを縦方向(シート流れ方向、MD;Machine Direction)および横方向(シート流れ方向に垂直な方向、TD;Transverse Direction)の二軸方向に逐次又は同時に延伸することによって、二軸延伸シートが製造される。
二軸延伸シートの厚みは、シートおよび容器の強度、特に剛性を確保するために、0.01mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上である。一方、賦型性および経済性の観点から、二軸延伸シートの厚みは、0.7mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.6mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
二軸延伸シートの縦方向および横方向の延伸倍率はいずれも、1.5〜3.5倍の範囲にあることが好ましい。延伸倍率が1.5倍未満では、シートの耐折性が低下し易い。一方、延伸倍率が3.5倍を超えると、熱成形時の収縮率が大き過ぎることにより賦形性が損なわれるおそれがある。
なお、延伸倍率の測定方法は、以下のとおりである。二軸延伸シートの試験片に対して、縦方向(MD)および横方向(TD)に100mm長の直線Yを引く。JIS K7206:2016に準拠して測定したシートのビカット軟化温度より30℃高い温度のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さZ[mm]を測定する。縦方向および横方向の延伸倍率(倍)は、それぞれ次式によって算出した数値である。
延伸倍率(倍)=100/Z
二軸延伸シートの縦方向および横方向の配向緩和応力はいずれも、0.3〜1.2MPaの範囲にあることが好ましい。配向緩和応力が0.3MPa未満ではシートの耐折性が低下するおそれがある。一方、配向緩和応力が1.2MPaを超えると熱成形時の収縮応力が大き過ぎることにより賦形性が損なわれるおそれがある。また、シートの耐折性および賦形性のバランスの観点から、縦方向および横方向の配向緩和応力の差は0.2MPa以下であると好ましい。
なお、本発明の二軸延伸シートの配向緩和応力は、ASTM D1504に準じて、シートを構成する樹脂組成物のビカット軟化温度より30℃高い温度のシリコーンオイル中でのピーク応力値として測定した値である。
スチレン系樹脂組成物に耐衝撃性スチレン系樹脂が添加されている場合、耐衝撃性スチレン系樹脂に由来するゴム成分の含有量は、延伸シート中のゴム成分の含有量として0.05〜0.3質量%であることが好ましい。ゴム成分の含有量が0.05質量%未満であると、シート脆性の改善効果が十分発揮できないおそれがある。一方、ゴム成分の含有量が0.3質量%を超えると、シートの透明性が低下するおそれがある。
延伸シート中のゴム成分の含有量は、延伸シートをクロロホルムに溶解し、一塩化ヨウ素を加えてゴム成分中の二重結合を反応させた後、ヨウ化カリウムを加え、残存する一塩化ヨウ素をヨウ素に変え、チオ硫酸ナトリウムで逆滴定する一塩化ヨウ素法によって測定される。
延伸シート中のゲル含有量は、二次成形時の加工性、外観の観点から、少ないことが好ましい。延伸シート中のゲル含有量は、延伸シートをMEK(2−ブタノン)溶剤に溶かし、遠心分離を行い、溶剤不溶分を沈降させ、上澄みを除去した後に乾燥させ秤量することで求めることができる。延伸シート中のゲル含有量は、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
延伸シートは、スチレン単量体の含有量が1000ppm以下であることが好ましく、メタクリル酸単量体の含有量が150ppm以下であることが好ましい。これらの単量体の含有量が規定量よりも多いと、シートを成形加工する際に成形加工機の金型等に付着し、成形品の外観を損ねたり、金型汚れを引き起こしてその後の成形容器の外観を損なう懸念がある。
なお、スチレン単量体およびメタクリル酸単量体の定量は、下記記載のガスクロマトグラフィーを用い、内部標準法にて測定した。
装置名:GC−12A(島津製作所社製)
カラム:ガラスカラム φ3[mm]×3[m]
定量法:内部標準法(シクロペンタノール)
また、延伸シート中の単量体およびオリゴマーの合計の含有量は、加工性、外観、耐熱性の観点から、10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましい。なおオリゴマーとは、スチレン単量体のダイマーやトリマーのことを指し、それらの構造異性体も含まれる。
延伸シートは、透明性を向上させる酸化防止剤として、4−t−ブチルカテコール(以下、TBCと記載することがある。)を含有していることが好ましい。延伸シート中のTBCの含有量は、1〜6ppmの範囲が好ましい。TBCの含有量が1ppm以上であると、延伸シートとしたときの透明性を向上させることができ、一方、6ppm以下であると、TBC自体の着色による透明性の低下を防止できる。また、TBCの含有量は、1〜5ppmであることがより好ましく、1.2〜3ppmであることが更に好ましい。TBCの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析によって測定することができる。
延伸シートにTBCを所定量含有させるには、スチレン系樹脂組成物の製造時にTBCを添加する方法がある。また、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂または(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を製造する際に重合禁止剤としての役割も兼ねてTBCを添加し、脱気工程にて比較的低い樹脂温度と低い減圧度で運転することにより、スチレン系樹脂組成物中にTBCを一定量含有させる方法もある。
TBCと同様の効果を発揮する添加剤としては、他に、t−ブチルヒドロキノン、1,4−ベンゾキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、1,1−ジフェニル―2―ピクリルヒドラジル フリーラジカル、ヒドロキノン、メキノール、フェノチアジン等が挙げられる。TBCに代えて、これらの化合物を用いることもできる。
本発明の延伸シートには、必要に応じて、公知の離型剤・剥離剤(例えばシリコーンオイル)、防曇剤(例えばショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、二酸化珪素等)、帯電防止剤(例えば各種ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等)の内の1種または2種以上を混合して、延伸シートの片面または両面に塗布してもよい。
上記の化合物を延伸シートの表面に塗工する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアロールコーター等を用いて塗工する方法が挙げられる。また、噴霧、浸漬等の方法を採用することもできる。
本発明の延伸シートから成形品を得る方法としては、特に制限はなく、従来の延伸シートの二次成形方法において慣用されている方法を用いることができる。例えば、真空成形法や圧空成形法等の熱成形方法によって二次成形を行うことができる。これらの方法は例えば高分子学会編「プラスチック加工技術ハンドブック」日刊工業新聞社(1995)に記載されている。本発明の延伸シートの成形品の用途としては、電子レンジ加熱用食品包装容器等が本発明の特徴が十分に発揮されるため、特に好ましい。
以下に実施例を用いて、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではない。
[スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の製造]
(実験例1)
内容量200Lのジャケット、攪拌機付きオートクレーブに純水100kg、ポリビニルアルコール100gを加え、130rpmで攪拌した。続いてスチレン72kg、メタクリル酸4kgおよびt−ブチルパーオキサイド20gを仕込み、オートクレーブを密閉して、110℃に昇温して5時間重合を行った(ステップ1)。また、4kgのメタクリル酸を、重合温度が110℃に達した時点から2時間かけて、均等に追加添加した(ステップ2)。さらに140℃で3時間保持し、重合を完結させた(ステップ3)。得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出し、表1に記載のペレット状のスチレン−メタクリル酸共重合樹脂A−1を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、スチレン単量体/メタクリル酸単量体の質量比(%)は、90/10であった。また、GPC測定により求めた重量平均分子量(Mw)は、18万であった。
(実験例2〜5)
実験例1の各種原料仕込み量を調整し、上記と同様の製造条件で、表1に記載の各種スチレン−メタクリル酸共重合樹脂A−2〜A−5を得た。
[(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の製造]
(実験例6)
温度計、窒素導入管、冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコ(容量5リットル)に、分散媒としてイオン交換水300質量部(3000グラム)、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.1質量部、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.01質量部、単量体としてメタクリル酸メチル120質量部、アクリル酸ブチル40質量部を投入した。このセパラブルフラスコに窒素気流を通じることにより、フラスコ内雰囲気の窒素置換を行なった。次いで、内温を60℃まで昇温させ、過硫酸カリウム0.15質量部、脱イオン水5質量部を加えた。その後、加熱攪拌を2時間継続して重合を終了し、アクリル系樹脂ラテックスを得た。
得られたアクリル系樹脂ラテックスを25℃まで冷却後、酢酸カルシウム5質量部を含む70℃の温水500質量部中に滴下した後、90℃まで昇温させて凝析させた。得られた凝析物を分離洗浄後、60℃で12時間乾燥させて、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂B−1を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、メタクリル酸メチル単量体/アクリル酸ブチル単量体の質量比(%)は、75/25であった。(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂B−1のガラス転移点を、JIS K 7121:2012プラスチックの転移温度測定方法に準じた示差走査熱量測定(DSC)により測定したところ、60℃であった。また、GPC測定により求めた重量平均分子量(Mw)は、300万であった。
(実験例7〜10)
実験例6の各種原料仕込み量を調整し、上記と同様の製造条件で、表2に記載の各種(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂B−2〜B−5を得た。
Figure 2019014814
Figure 2019014814
(実施例1)
スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(A−1)95.0質量%、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂(B−1)5.0質量%をハンドブレンドし、ペレット押出機(真空ベント付き二軸同方向押出機 TEM35B (東芝機械製))を用い、押出温度230℃、回転数250rpm、ベント脱揮圧力−760mmHgにてダイプレートを通してストランドとした。その後、水槽にて冷却したのち、ペレタイザーを通してペレット化し、スチレン系樹脂組成物を得た。なお、ベント脱揮圧力は、常圧に対する差圧値として示した。得られたスチレン系樹脂組成物中のスチレン単量体の含有量は500ppm、メタクリル酸単量体の含有量は50ppmであった。また、ビカット軟化温度は130℃であった。また、前記のGPCによる測定方法によってZ平均分子量を測定した結果、60万であった。また、下記の溶融張力の測定方法によって溶融張力を測定した結果、0.6Nであった。
(溶融張力の測定方法)
東洋精機製作所(株)製キャピログラフ1Bを使用し、試料を200℃に加熱し、径1mmで長さ40mmのキャピラリーを用いて、ピストンスピード10mm/分、曳糸速度15m/分で引き取って、溶融張力(N)を測定した。
次に、上記スチレン系樹脂組成物をシート押出機(Tダイ幅500mm、リップ開度1.5mm、φ40mmのエキストルーダー(田辺プラスチック機械社製))を用い、押出温度230℃、吐出量20kg/hにて未延伸シートを得た。このシートをバッチ式二軸延伸機(東洋精機社製)を用いて、(ビカット軟化温度+30)℃に予熱し、歪み速度0.1/secで、MD2.4倍、TD2.4倍(面倍率5.8倍)に延伸し、二軸延伸シートを得た。得られたシートの厚みは0.3mm、延伸倍率(MD/TD)は2.4/2.4倍、配向緩和応力(MD/TD)は0.6/0.6MPaであった。
(実施例2〜13、比較例1〜2)
上記実施例1のスチレン系樹脂組成物の配合組成を、表3および表4に記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、表3および表4の実施例2〜13、比較例1〜2の二軸延伸シートを得た。
得られたシートについて、以下に記載した方法にて各種性能を測定し、評価を行った。○、△、×の相対評価においては、○または△のときを合格と判定した。結果は表3、表4に記載した。
(1)製膜性
未延伸シートにMD方向およびTD方向に20mm間隔で直線を5本ずつ格子状に引いた時の交点25点についてマイクロゲージを用いて厚みを測定し、その標準偏差σを下記基準で評価した。
○:σが0.03mm未満
△:σが0.03mm以上、0.07mm未満
×:σが0.07mm以上
(2)流動性(メルトフローレート)
JIS K7210のH条件(200℃、5kg)に従って測定した。
○:1.0g/10分以上かつ3.0g/10分未満
△:0.5g/10分以上かつ1.0g/10分未満、または、
3.0g/10分以上かつ5.0g/10分未満
×:0.5g/10分未満または5.0g/10分以上
(3)延伸性
二軸延伸シートにMD方向およびTD方向に50mm間隔で直線を5本ずつ格子状に引いた時の交点25点についてマイクロゲージを用いて厚みを測定し、その標準偏差σを下記基準で評価した。
○:σが0.05mm未満
△:σが0.05mm以上、0.10mm未満
×:σが0.10mm以上
(4)透明性
JIS K−7361−1:1997に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)を用いて、二軸延伸シートのヘーズを測定した。
◎:ヘーズ1.5%未満
○:ヘーズ1.5%以上、3.0%未満
△:ヘーズ3.0%以上、5.0%未満
×:ヘーズ5.0%以上
(5)賦型性
熱板成形機HPT?400A(脇坂エンジニアリング社製)にて、熱板温度150℃、加熱時間2.0秒の条件で、フードパック(寸法 蓋:縦150×横130×高さ30mm、本体:縦150×横130×高さ20mm)を成形し、賦型性を下記基準にて評価した。
○:良好
△:コーナー部に僅かな形状不良
×:寸法と異なる形状またはコーナー部に著しい形状不良
(6)耐熱性
上記成形条件で得られたフードパックを110℃に設定した熱風乾燥機に60分間入れた後、容器の変形を目視で観察した。
○:変形なし
△:軽微な変形、外寸変化5%未満
×:大変形、外寸変化5%以上
(7)耐油性
上記フードパックのヒンジ部にサラダ油(日清製油社製)、マヨネーズ(味の素社製)、ココナードML(登録商標、花王社製)の試験液をしみ込ませたガーゼ10×10mmを貼り付け、60℃オーブンにて24時間静置し、付着部の表面観察を行った。
○:変化無し
△:わずかに白化あり
×:著しい白化、割れあり
(8)電子レンジ加熱耐性
上記フードパックの蓋中央に5mm×5mmの範囲でマヨネーズを9点付着させ、容器本体に水300gを入れ、蓋容器をかぶせて1500Wの電子レンジで90秒間加熱した後、マヨネーズ付着部分の様子を目視で評価した。
○:変化なし
△:白化あり、容器がわずかに変形
×:穴あきあり、容器が著しく変形
Figure 2019014814
Figure 2019014814
表3、表4の結果より、実施例1〜13のスチレン系樹脂組成物はいずれも、Z平均分子量が30万〜300万であり、溶融張力が0.2N〜1.5Nであった。
表3、表4の結果より、実施例1〜13の二軸延伸シートはいずれも、製膜性(製膜性、流動性、延伸性)、シート性能(透明性)、成形性(賦型性)が良好であり、耐熱性、耐油性、電子レンジ加熱耐性の何れにおいても優れた性能を有するものであった。
一方、比較例1のスチレン系樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を含有しないものであり、Z平均分子量が27万であり、溶融張力が0.15Nと低いものであった。比較例1の二軸延伸シートは、製膜性(延伸性)、成形性、電子レンジ加熱耐性に劣るものであった。
比較例2のスチレン系樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の含有率が高いものであり、Z平均分子量が300万を超え、溶融張力は1.5Nを超えるものであった。比較例2の二軸延伸シートは、製膜性(流動性)と耐熱性に劣るものであった。

Claims (9)

  1. スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂を含有し、Z平均分子量30万〜300万であるスチレン系樹脂組成物からなる延伸シート。
  2. 前記スチレン系樹脂組成物は、200℃の環境下で引取速度15m/minにおける溶融張力が0.2N〜1.5Nである請求項1に記載の延伸シート。
  3. 前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の重量平均分子量が100万〜1000万である請求項1または請求項2に記載の延伸シート。
  4. 前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の質量比が90/10〜97/3である請求項1〜3のいずれか1項に記載の延伸シート。
  5. 前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量が12万〜25万である請求項1〜4のいずれか1項に記載の延伸シート。
  6. 前記スチレン−メタクリル酸共重合樹脂は、スチレン単量体単位とメタクリル酸単量体単位を84/16〜94/6の質量比で含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の延伸シート。
  7. 前記(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂は、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位を65/35〜85/15の質量比で含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の延伸シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の延伸シートを二次成形してなる成形品。
  9. 電子レンジ加熱用食品包装容器である請求項8に記載の成形品。
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