JP2010116519A - ポリスチレン系樹脂高光沢フィルム、積層シート及び積層シート成形品 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂高光沢フィルム、積層シート及び積層シート成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】
二軸延伸機の如き特殊な設備を使用することなく、容易且つ低コストで得ることができ、且つ二軸延伸したPSフィルムと同等の優れた透明性及び光沢性を有するポリスチレン系樹脂高光沢フィルムを提供すると共に、該ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムがラミネートされた積層シート及び該積層シートが成形されてなる積層シート成形品を提供することを課題する。
【解決手段】
平均粒子径が0.1〜1μmのゲルを含み、かつ前記ゲル量が1〜9重量%の範囲にあるポリスチレン系樹脂がフィルム状に押出し成形されてなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂からなるフィルムに関し、詳しくは、ポリスチレンペーパー(以下PSP)やHIPSシートなどの樹脂シート基材とラミネートする用途に適したポリスチレン系樹脂高光沢フィルム、該ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムがラミネートされた積層シート及び該積層シートの成形品に関する。
ポリスチレン系樹脂からなるフィルム(以下、PSフィルムと記す)は、高光沢であるのに加え、透明性及び印刷性に優れた性質を有している。また、PSフィルムは、発泡ポリスチレンシート等に熱ラミネートすることが可能であることから、その用途の1つとして、PSフィルムに裏印刷し、飾色用フィルムとして広く用いられている。
更に、PSフィルムを熱ラミネートした発泡ポリスチレンシート等(以下、積層シートと記す)は、任意の形状に成形され、主にインスタント食品容器、さしみや惣菜などのトレー、弁当箱などの食品用容器として用いられている。
前記PSフィルムは、ポリスチレンからなるフィルムであり、ポリスチレンが非晶性であるために非常に脆い性質を有している。このため、一般に二軸延伸して強度を向上させたフィルムが使用されている(特許文献1参照)。
特開平11−292995号公報
しかしながら、前記二軸延伸を行う際には、フラットダイから押し出された比較的厚めのフィルムを冷却ロールで急冷した後、再び加熱して縦延伸及び横延伸を行う複雑な製造工程を経る必要があるため、製造条件の制御等に手間がかかる上、多額の設備投資が必要となってしまう。
また、前記二軸延伸によってフィルムを製造する際には、ポリスチレン樹脂をそのまま使用するとフィルム切れなどが起こるため、スチレン−ブタジエンブロック共重合体や、スチレン/エチレン/ブチレン−スチレントリブロック共重合体のような水素化ゴムブロックを有する飽和ブロック共重合体を含有させ、強度を改善させる必要がある。
しかるに、このような飽和ブロック共重合体は、フィルムの透明性や光沢性に影響を与えるものであるため、透明性が優れたフィルムを得るためには、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体中のブタジエン含量を少なくする必要があるが、ブタジエン含量を少なくすると非常に脆い性質となってしまい、その結果、製造中に破断しやすく、安定して製造することが困難となってしまう。
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、二軸延伸機の如き特殊な設備を使用することなく、容易且つ低コストで得ることができ、且つ二軸延伸したPSフィルムと同等の優れた透明性及び光沢性を有するポリスチレン系樹脂高光沢フィルムを提供すると共に、該ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムがラミネートされた積層シート及び該積層シートが成形されてなる積層シート成形品を提供することを課題する。
本発明にかかるポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、上記課題を解決すべく構成されたもので、平均粒子径が0.1〜1μmのゲルを含み、かつ前記ゲル量が1〜9重量%の範囲にあるポリスチレン系樹脂がフィルム状に押出し成形されてなることを特徴とする。
かかる構成のポリスチレン系樹脂高光沢フィルムによれば、平均粒子径が0.1〜1μmのゲルを含み、かつ前記ゲル量が1〜9重量%の範囲にあるポリスチレン系樹脂を用いることで、該ゲルがフィルムの展性を改善し、押出し成形によってポリスチレン系樹脂を成形する際に該フィルムの破断を抑制するため、光沢性及び透明性に優れたフィルムが比較的容易に得られることとなる。
具体的には、ポリスチレン系樹脂中に存在するゲルは、光の透過率が低いものであるため、ポリスチレン系樹脂中にゲルが過剰量存在していたり、その粒子径が大きすぎるものであったりした場合には、フィルム状に押し出し成形された際に、フィルム中にゲルが広く分散し、透明性を低下させてしまう。また、フィルムに入射した光が過剰量のゲルによって散乱してしまい、光沢性が低いものとなってしまう。逆に、ポリスチレン系樹脂中のゲルが過少量であったり、その粒子径が小さすぎるものであったりした場合には、フィルム状に押し出し成形した際に、ゲルの密度が低いフィルムとなり、引張り強度や引張り伸びの性能が低下してしまうため、フィルム状に成形した際に破断などが生じて安定して成形することが困難となってしまう。しかしながら、ポリスチレン系樹脂中のゲルの平均粒子径が0.1〜1μmであり、かつゲル量が1〜9重量%となるように調整することで、光沢性と透明性に悪影響を及ぼすことなくフィルムの展性を向上させることができ、これによって、押出し成形により容易にフィルム状に成形することができるようになり、光沢性と透明性に優れたフィルムを作製することができる。
また、本発明にかかるポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、MD加熱引張り伸びが90%以上、TD加熱引張り伸びが200%以上であることが好ましい。なお、MD(Machine Direction)加熱引張り伸びとは、押出し成形されたポリスチレン系樹脂高光沢フィルムの引取り方向(長手方向)の加熱引張り伸びを意味し、TD(Transverse Direction)加熱引張り伸びとは、MD(引取り方向)と垂直の方向の加熱引張り伸びを意味するものである。
また、本発明にかかるポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、インフレーション方式を用いて押出し成形されてなることが好ましい。
さらに、本発明にかかる積層シートは、前記ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムが発泡ポリスチレンシートに熱ラミネートされてなることを特徴とし、本発明にかかる積層シート成形品は、前記積層シートが成形されてなることを特徴とする。
以上のように、本発明にかかるポリスチレン系樹脂高光沢フィルムによれば、二軸延伸機の如き特殊な設備を使用することなく、容易且つ低コストで得ることができ、且つ二軸延伸したPSフィルムと同等の優れた透明性及び光沢性を有するポリスチレン系樹脂高光沢フィルムを提供すると共に、該ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムがラミネートされた積層シート及び該積層シートが成形されてなる積層シート成形品を提供することができる。
以下、本発明にかかる実施形態について説明する。
本発明にかかるポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、所定の平均粒子径を有するゲルを所定量含有するように構成されたポリスチレン系樹脂が押出し成形されて形成されたフィルムである。該ポリスチレン系樹脂は、平均粒子径が0.1〜1μm、好ましくは、0.2〜0.5μmのゲルを含み、かつゲル量が1〜9重量%、好ましくは、1〜8重量%の範囲となるように構成されたものである。また、該ポリスチレン系樹脂は、メルトフローレイト(MFR)値が、20g/10分以下となるように構成されたものが好ましい。
ゲルの平均粒子径が1μmを超える場合、又はゲル量が9重量%を超える場合には、フィルムの光沢性が低下し、透明度も悪化することとなる。そのため、フィルムの裏側に印刷を施した際の印刷絵柄の鮮明度が低下することとなる。一方、ゲルの平均粒子径が0.1μm未満、又はゲル量が0.5重量%未満である場合には、フィルムの引張り強度や引張り伸びといった性能が低下し、フィルムの加工性を低下させる要因となる。一方、MFRが20g/10分以下となるように構成することで、フィルムの引張り強度や引張り伸びといった性能を向上させることができる。
なお、本発明において、ゲルとは、前記ポリスチレン系樹脂中の軟質成分粒子のことをいい、具体的には、ポリスチレン系樹脂を室温(23℃程度)においてメチルエチルケトン/メタノール(10/1体積比)の混合溶媒に溶解させた際の不溶分を遠心分離により単離し、該不溶分を乾燥させて得られるものである。
また、ゲルの平均粒子径とは、ポリスチレン系樹脂中の軟質成分粒子の平均粒子径を示し、以下の方法により求められる。即ち、透過型電子顕微鏡写真の画像解析により、粒子径(Di)とその個数(Ni)を求め、下記の式により計算されるものである。

平均粒子径=Σ(Ni・Di2)/Σ(NiDi)
また、ゲル量とは、ポリスチレン系樹脂中の軟質成分粒子の重量割合であり、以下の方法により求められる。即ち、ポリスチレン系樹脂0.5gを秤量した重量をW1とし、該ポリスチレン系樹脂を室温(23℃程度)において前記溶媒50mlに溶解させた際に得られるゲルの重量をW2とし、以下の式により計算されるものである。

ゲル量=(W2/W1)×100(%)
また、メルトフローレイト(MFR)値は、JIS K 7210に準拠し、温度200℃、荷重5kgfの条件下で測定された値である。
前記ポリスチレン系樹脂としては、ゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物を用いることができる。該ゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物は、汎用ポリスチレン(GPPS:General purpose polystyrene)と、ゴム変性ポリスチレン(HIPS:High Impact polystyrene)とが混合されて構成されることが好ましく、更にスチレン系熱可塑性エラストマー(以下、エラストマーと記す)等が少量混合されても良い。
前記ゴム変性ポリスチレンに使用されるゴム成分としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体類、エチレン−プロピレン−非共役ジエンの三元共重合体類などが挙げられる。また、前記ゴム成分の添加方法としては、特に限定されるものではないが、例えば攪拌器を有する容器に、単量体であるスチレン系化合物及びゴム状重合体を仕込み、攪拌しながら重合させる方法を挙げられる。ポリブタジエンとしては、シス含有率の高いハイシスポリブタジエン及びシス含有量の低いローシスポリブタジエンのいずれも使用することができる。
また、ゴム変性ポリスチレンの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えばスチレンモノマーに対して、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを10〜20重量%添加し、反応温度130〜140℃で重合することが好ましく、その際の攪拌翼の回転数は40〜50rpmに設定することが好ましい。そして、反応率が約40重量%まで重合した後、タワー型重合機に導き、120〜130℃で反応率約80重量%まで重合させ、脱気槽にて未反応モノマーを除去し、ストランドをペレタイザーでカッティグしてペレット状にする手順で行うことが好ましい。
前記エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を用いることが好ましい。該スチレン−ブタジエンブロック共重合体は、スチレン系熱可塑性エラストマーの一種で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムなどに代表されるアルキルリチウム、溶媒にシクロヘキサンを用いて、アニオン重合により合成されるものである。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体は、合成法により色々な形態が可能であるが、基本的にはSBS系(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンのブロック共重合体)であり、重量平均分子量がGPC法によるポリスチレン換算で20万弱のものを用いることが好ましい。
前記エラストマー添加量としては、全樹脂組成物中の3重量%以下であることが好ましい。エラストマー添加量を3重量%以下とすることにより、透明性をより一層高めることができる。また、エラストマーを添加した場合、ゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物中のゴム成分の総量は9重量%以下とすることが好ましい。9重量%以下とすることにより、透明性を高め、フィッシュアイの発生を効果的に防止することができる。
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物を製造する際の汎用ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン及びエラストマーの混合方法については、特に限定されるものではなく、例えばドライブレンドによる方法、あるいは造粒機を通して溶融混練し、均一のペレット状にする方法などを用いることができる。
また、ゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物を製造する際には、必要に応じて滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などを添加しても良く、更にミネラルオイルなどの可塑剤を添加しても良い。
前記ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、インフレーション方式の押出し成形により製造された場合でも、優れた加熱収縮率及び加熱引張り伸びの性能を有するものである。具体的には、該インフレーション方式を用いて形成されたポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、130℃の高温槽中に90分間保持したときのMD加熱収縮率が65%以上、好ましくは65〜100%、TD加熱収縮率が20〜45%となるように形成される。MD加熱収縮率が65%以上であり且つTD加熱収縮率が20〜45%であるように構成することで、十分な強度を有し、且つインフレーション方式によって効率よく製造することができる。
また、前記ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、そのMD加熱引張り伸びが90%以上、好ましくは95〜200%、TD加熱引張り伸びが200%以上、好ましくは200〜400%となるように形成されている。MD加熱引張り伸びが90%以上であり且つTD加熱引張り伸びが200%以上であるように構成することで、フィルム状に成形した後の変形を抑制することができる。前記ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムの厚みとしては、通常50μm以下に成形することが好ましく、10〜40μmとなるように成形することがより好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、発泡ポリスチレンシートの飾色用フィルムとして用いることができる。具体的には、ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、発泡ポリスチレンシートに熱ラミネートされて積層シートの一部として用いることができる。この際、積層シートの意匠性を向上させるために、ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムの裏側(前記発泡ポリスチレンシートに接着される側)に多色刷り印刷機等によって印刷を施すようにしてもよい。
前記発泡ポリスチレンシートとしては、ポリスチレンペーパー(以下PSP)の一般名で知られる1.5〜15倍程度(密度で0.5〜0.06g/ml)の発泡倍率のものを用いることが好ましい。該発泡体シートの平均厚みとしては、0.5〜5mmであることが好ましく、1.0〜3.0mmであることがより好ましい。該発泡体シートの平均厚みが0.5〜5mmであることで、発泡体シートを成形する際の成形性を高めることができ、積層シートや該積層シートを成形した成形品の剛性を高めることができ、且つ断熱効果を良好なものにすることができる。
前記発泡ポリスチレンシート用の樹脂としては、主としてポリスチレンを用いることができるが、ポリスチレンに少量のゴム成分が含有した耐衝撃性ポリスチレンを使用することもできる。これらの重合体は目的に応じて1種あるいは2種以上組合せて使用しても良い。発泡ポリスチレンシートの製造方法としては、一般的に知られる押出し発泡による方法、押出しシートを後加熱して発泡させる方法などを採用することができるが、生産性と経済性からサーキュラーダイを用いた押出発泡による方法を用いることが好ましい。
また、ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムが発泡ポリスチレンシートに熱ラミネートされた積層シートは、成形されて積層シート成形品としてもよい。該積層シート成形品は、食品用容器などに用いることができる。また、積層シートを成形する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、加熱されて軟化した積層シートと金型との間の空間を真空状態にし、シートを金型に密着させて成形を行う真空成形や、加熱されて軟化した積層シートを圧縮空気により金型に密着させて成形を行う圧空成形を用いることができ、好ましくは、真空成形を行うとともに圧空成形を行う真空圧空成形を用いて形成することもできる。
以上のように本発明にかかるポリスチレン系樹脂高光沢フィルムによれば、二軸延伸機の如き特殊な設備を使用することなく、容易且つ低コストで得ることができ、且つ二軸延伸したPSフィルムと同等の優れた透明性及び光沢性を有するポリスチレン系樹脂高光沢フィルムを提供すると共に、該ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムがラミネートされた積層シート及び該積層シートが成形されてなる積層シート成形品を提供することができる。
即ち、前記ポリスチレン系樹脂高光沢フィルムは、ポリスチレン系樹脂中のゲルの平均粒子径が0.1〜1μmであり、かつゲル量が1〜9重量%となるように調整することで、光沢性と透明性に悪影響を及ぼすことなくフィルムの展性を向上させることができ、これによって、押出し成形により容易にフィルム状に成形することができるようになり、光沢性と透明性に優れたフィルムを作製することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
使用材料
下記の材料を用いて、実施例及び比較例のフィルムを作製した。
(1)汎用ポリスチレン 商品名:日本ポリスチBX970X(日本ポリスチレン株式会社製GPPS)<以下、GPPSと略す>、MFR:1.7g/10分。
(2)ゴム変性ポリスチレン 商品名:日本ポリスチH545X(日本ポリスチレン株式会社製HIPS)<以下、HIPSと略す>、作製方法:連続バルク重合法により作製、平均ゲル粒子径:0.3μm、ゲル量:27重量%、MFR:3.6g/10分。
(3)エラストマー1 商品名:タフプレンA(旭化成工業株式会社製)、成分:スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−ブタジエンブロック共重合体)。
(4)エラストマー2 商品名:アサフレックス810(旭化成工業株式会社製)、成分:スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−ブタジエンブロック共重合体)。
(5)二軸延伸フィルム 商品名:OPSフィルム(GM)NO(旭化成工業株式会社製)
実施例及び比較例
(1)実施例1:上記GPPSとHIPSとを下記表1に記載の割合となるように配合し、住友重機械モダン株式会社製90φインフレーション成形機(環状ダイリップの直径125mm)を用いて、押し出し機温度180℃、ダイ温度190℃の条件下で、厚さ20μmのフィルムを作製した。作製されたフィルム中(ゴム変性ポリスチレン由来)のゲルの平均粒子径は、0.3μmであり、ゲル量は、1.3重量%となっている。
(2)実施例2:上記GPPSとHIPSとを下記表1に記載の割合で配合したこと以外は実施例1と同一条件でフィルムを作製した。作製されたフィルム中(ゴム変性ポリスチレン由来)のゲルの平均粒子径は、0.3μmであり、ゲル量は、5.2重量%となっている。
(3)実施例3:上記GPPS、HIPS及びエラストマー1を下記表1に記載の割合で配合したこと以外は実施例1と同一条件でフィルムを作製した。作製されたフィルム中(ゴム変性ポリスチレン由来)のゲルの平均粒子径は、0.3μmであり、ゲル量は、2.1重量%となっている。
(4)実施例4:上記GPPS、HIPS及びエラストマー2を下記表1に記載の割合で配合したこと以外は実施例1と同一条件でフィルムを作製した。作製されたフィルム中(ゴム変性ポリスチレン由来)のゲルの平均粒子径は、0.3μmであり、ゲル量は、2.1重量%となっている。
(5)比較例1:上記GPPSのみを用いたこと以外は実施例1と同一条件でフィルムを作製しようとしたが、切断が多発し、試験を実施することができなかった。
(6)比較例2:上記GPPSとHIPSとを下記表1に記載の割合で配合したこと以外は実施例1と同一条件でフィルムを作製した。作製されたフィルム中(ゴム変性ポリスチレン由来)のゲルの平均粒子径は、0.3μmであり、ゲル量は、9.1重量%となっている。
(7)比較例3:上記二軸延伸フィルムを使用した。
試験内容
(1)加熱収縮試験
上記実施例及び比較例のフィルムを130℃の雰囲気下に90分間静置し、収縮率を測定した。
i MD加熱収縮率:フィルムの引取り方向(Machine Direction:以下MD、と称する)の加熱収縮率。
ii TD加熱収縮率:MDと垂直の方向(Transverse Direction:以下TD、と称する)の加熱収縮率。
iii 測定方法:フィルムを直径Aの円状に切り出したサンプルを、130℃の恒温槽中に90分間保持した後の、MDの径(B1)とTDの径(B2)とを測定した。そして、下記の式によりMD及びTD加熱収縮率を求めた。

・MD加熱収縮率(%)= 100 × (A − B1)/A
・TD加熱収縮率(%)= 100 × (A − B2)/A
(2)加熱引張り伸び試験
上記実施例及び比較例のフィルムをMD、TD各々について平行部分の幅10mm、標線間距離40mmのダンベル状に打ち抜いたサンプルを用いて100℃にて、破断時伸びを測定した。測定方法としては、JIS K7113に準拠し、引張りスピード:500mm/minで測定を行った。
(3)透明度試験
JIS K7136に準拠し、上記実施例及び比較例のフィルムのヘイズ値を測定した。なお、ヘイズ値は、その値が小さいほど透明度に優れていることを示すものである。
(4)光沢度試験1
JIS Z8741に準拠し、日本電色工業製の一体型光沢計VG−2000を使用して60度鏡面法により上記実施例及び比較例のフィルムの光沢度を測定した。
(5)光沢度試験2(成形品の試験)
実施例1で得たフィルムと比較例3のフィルムとを使用し、これらを発泡ポリスチレンシートに熱ラミネートして積層シートを作製した。そして、該積層シートをフィルム面が容器の内側となるように真空成形して容器を成形した。なお、実施例1及び比較例3のフィルムの発泡ポリスチレンシートと接着される面には、あらかじめ黒色系の印刷を施した。そして、成形された容器の内側底面における光沢度を光沢度試験1と同様の方法にて測定した。
Figure 2010116519
上記の試験結果によると、ゲル量が1重量%に満たない比較例1のフィルムでは、フィルムの伸び性能が劣っており、また、ゲル量が9重量%を超える比較例2のフィルムでは、光沢性および透明性の劣るフィルムとなっていることが認められる。これに対し、本発明に係る実施例1〜4のフィルムでは、二軸延伸フィルムである比較例3と略同等の光沢性および透明性とを有すると共に、優れた伸び性能を有するものとなっており、光沢性と透明性に優れたフィルムを押出し成形によって容易に作製しうることが認められる。

Claims (5)

  1. 平均粒子径が0.1〜1μmのゲルを含み、かつ前記ゲル量が1〜9重量%の範囲にあるポリスチレン系樹脂がフィルム状に押出し成形されてなることを特徴とするポリスチレン系樹脂高光沢フィルム。
  2. MD加熱引張り伸びが90%以上、TD加熱引張り伸びが200%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂高光沢フィルム。
  3. インフレーション方式を用いて押出し成形されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂高光沢フィルム。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のポリスチレン系樹脂高光沢フィルムが発泡ポリスチレンシートに熱ラミネートされてなることを特徴とする積層シート。
  5. 請求項4に記載の積層シートが成形されてなることを特徴とする積層シート成形品。
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