JP2019014552A - エレベーター制御装置及びエレベーター - Google Patents

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Abstract

【課題】群管理制御されるエレベーターでは、同一系統の複数のかごに対して呼びを登録するための乗場呼び釦を使用して保守運転を行うと、保守運転の対象でないかごを利用することができなかった。【解決手段】エレベーター制御装置7が備える運転制御部75は、保守運転の開始の指示が検知されたことにより、保守運転指示部が設けられたかごの動作モードを通常モードから保守運転モードに切替える。規定距離走行部74は、かごの停止位置における乗場ドアが閉められたことがスイッチ検知部72により検知されると、かごの昇降距離が、かごの停止位置から保守可能な規定距離に達するまでかごを走行させる。そして、群管理制御部76は、保守運転モードに切替えられたかごを群管理の制御対象から外して、通常モードが設定された他のかごを群管理の制御対象とする。【選択図】図1

Description

本発明は、エレベーター制御装置及びエレベーターに関する。
エレベーターの保守点検の作業には、作業員が最下階のピット部に侵入して行われる作業と、かご上に乗り込んで行われる作業とがある。このような保守点検にて、かごの停止位置をピット部侵入位置又はかご上搭乗位置に合わせる作業は、実際に作業を行う作業員と、この作業員と共同で保守点検を行う共同作業員とを含む少なくとも二人以上の作業員で行われていた。そして、乗場で待機する作業員が乗場ドアのガラス窓や乗場ドアの隙間からかごの停止位置を確認し、かご内に乗車した共同作業員にかごの走行指示を行うことにより、かごをピット部侵入位置又はかご上搭乗位置に停止させていた。
このように二人以上の作業員が連携しなければ、意図した位置にかごを停止させることができず、かごを適切な位置に停止させるまで非常に手間がかかっていた。このため、特許文献1に開示されたような、保守点検の際にかごの一連の保守用運転の時間を短縮させる技術が知られている。
特許文献1には、乗場釦を押して呼び寄せたかごに対し、乗場側からかごの上又は外側面の点検個所へ接近できるようにするために、所定距離が指定されてから所定時間を計数すると、指定された所定距離だけかごを昇降させる技術が開示されている。
特許文献2には、意図したエレベーターのかごを保守準備走行装置にて保守準備走行させることで、エレベーター利用者の運行に支障を与えることなく、保守運転を可能とする技術が開示されている。
特開2003−2553号公報 特開2013−91543号公報
特許文献1及び2に開示されたように、従来の保守点検では、乗場呼び釦の操作を必要としていた。このため、群管理制御の対象となる同一系列の複数台のエレベーターを運行管理する群管理エレベーターにおいては、同一系列の乗場呼び釦が操作されると、保守点検が行われているエレベーター以外のエレベーターに対し、不要な乗場呼び登録が発生する。このため、保守点検の際には、同一系列の群管理エレベーター全体の運行を停止しなければならず、利用者はエレベーターを利用できなくなる。
特許文献1に開示された技術は、群管理制御が行われない、単独で設置されたエレベーターでなければ用いることができない。また、特許文献2には、乗場呼び釦の操作で保守準備走行装置が起動する際においては、操作された乗場呼び釦が設置された乗場階へのかごの乗場呼び登録が行われないと開示されているが、利用者にとっては、どの乗場呼び釦が使用可能であるか分からない。
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、複数のかごが群管理制御される場合において、エレベーター利用者の運行に支障を与えず一部のかごの保守運転を可能とすることを目的とする。
本発明に係るエレベーター制御装置は、昇降路を昇降する複数のかごの内部に設けられた保守運転指示部により保守運転の開始が指示されたことを検知する指示検知部と、指示検知部により、保守運転の開始の指示が検知されたことにより、保守運転指示部が設けられたかごの動作モードを通常モードから保守モードに切替える運転制御部と、かごの停止位置における乗場ドアが閉められたことを検知する開閉検知部と、かごの昇降距離が、かごの停止位置から保守可能な規定距離に達するまでかごを走行させる規定距離走行部と、保守モードに切替えられたかごを群管理の制御対象から外して、通常モードが設定された他のかごを群管理の制御対象とする群管理制御部と、を備える。
本発明によれば、乗場呼び釦を操作することなく、かご内の運転盤を操作するだけで、保守運転を行うことが可能である。そして、保守運転されるかごは群管理の制御対象から外れ、保守運転されるかご以外のかごについて群管理の制御対象とすることで、利用者は普段通りに乗場呼び釦を使用することができ、エレベーター利用の不便が生じない。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施の形態に係る群管理エレベーターシステムの全体構成例を示す構成図である。 本発明の一実施の形態に係るA号機のエレベーター制御装置の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態に係る計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態に係るエレベーターにおけるかご上乗り込み運転の動作処理の例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態に係るエレベーターにおける復帰運転の動作処理の例を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
図1は、群管理エレベーターシステムの全体構成例を示す構成図である。
群管理エレベーターシステム20は、建物の昇降路6内に設けられ、群管理制御されるA号機及びB号機の2台のエレベーター1A,1Bを備える。本実施の形態では、2台のエレベーター1A,1Bについて説明するが、3台以上のエレベーターであっても同様に群管理制御される。エレベーター1A,1Bは、同じ構成であるため、以下、エレベーター1Aについて構成及び動作を説明する。
エレベーター1Aは、かご2と、エレベーター制御装置7と、巻上機8と、巻上機エンコーダー9と、主ロープ10と、釣合い錘11と、ガバナ12と、ガバナエンコーダー13と、ガバナロープ14と、を備える。
かご2は、エレベーター1Aに設けられたエレベーター制御装置7の運行制御に従って、昇降路6内を昇降する。かご2には、かご2が乗場に到着すると自動で開閉するかごドア3が設けられている。かごドア3は、作業員が手動で開閉することも可能である。かご2は、主ロープ10の一端に吊り下げられている。主ロープ10の他端には、釣合い錘11が吊り下げられている。このように主ロープ10には、巻上機8を介してかご2と釣り合い錘が吊り下げられているため、かご2は、釣合い錘11に対して相対的に昇降する。
エレベーター制御装置7は、ピット部15に設けられており、巻上機8を含む昇降路6内の機器の動作を制御する。エレベーター制御装置7の詳細な内部構成例は後述する図2に示す。
巻上機8は、主ロープ10を巻上げて、かご2を昇降させる。
巻上機エンコーダー9は、巻上機8に取り付けられ、かご2の昇降距離を計測する昇降距離計測部の一例として用いられる。巻上機エンコーダー9により計測されたかご2の昇降距離は、エレベーター制御装置7に送られる。
ガバナ12には、かご2の昇降と共に移動するガバナロープ14が巻付けられている。ガバナ12は、ガバナロープ14の移動速度、すなわち、かご2の速度が規定値以上になると、かご2を停止させる。
ガバナエンコーダー13は、ガバナ12に取付けられ、かご2の昇降距離を計測する昇降距離計測部の一例として用いられる。ガバナエンコーダー13により計測されたかご2の昇降距離は、エレベーター制御装置7に送られる。
ガバナロープ14は、かご2に一部が取付けられており、かご2の昇降にしたがって移動する。
各階の乗場に、乗場ドア17と、乗場ドアスイッチ18が設けられる。
乗場ドア17は、かごドア3の開閉に連動して開閉する。また、作業員が、乗場ドア17だけを手動で開閉することも可能である。
乗場ドアスイッチ18は、乗場ドア17の開閉を検知し、エレベーター制御装置7に開閉検知信号を出力する。
かご2の内部には、運転盤4が設けられ、かご2の上(かご上16)には、かご上制御ボックス5が設けられている。
運転盤4は、保守運転の開始を指示するための保守運転指示部の一例として用いられる。かご2内にいる作業員が運転盤4に設けられた各スイッチを操作して、保守運転の開始を指示することができる。保守運転として、例えば、作業員が、かご上16に乗り込むためにかご2を運転するかご上乗り込み運転がある。かご上乗り込み運転では、動作モードがかご上保守運転モードに切替えられている。また、保守運転として、かご2の保守点検が完了したことにより、動作モードを通常モードに戻す復帰運転がある。
運転盤4は、開釦4aと、閉釦4bと、行先階登録釦4cと、保守スイッチ4dと、かご内停止スイッチ4eと、を有する。
開釦4aは、利用者が、かごドア3を開く操作のために設けられる。
閉釦4bは、利用者が、かごドア3を閉める操作のために設けられる。
行先階登録釦4cは、利用者が、かご2の行先階を登録するために設けられる。
保守スイッチ4dは、作業員が、後述の保守運転モードを設定するために設けられる。
かご内停止スイッチ4eは、作業員が、かご2内の作業を継続するために用いられる。かご内停止スイッチ4eが押されると、運転盤4の各スイッチを操作して行われた第1特殊操作が無効とされる。
なお、保守スイッチ4d及びかご内停止スイッチ4eは、例えば、運転盤4の下部に配置され、作業員以外の人に操作されないようカバーで覆われた不図示のボックス内に格納されている。
かご上制御ボックス5は、かご上16に設けられており、かご上制御部の一例として用いられる。かご上16は、作業員が乗り込んで保守点検を行うことが可能なかご2の上にある領域である。かご上制御ボックス5は、かご上16にて保守点検を行う作業員により操作される。かご上制御ボックス5は、かご上停止スイッチ5aと、上昇方向スイッチ5bと、下降方向スイッチ5cと、かご上保守運転スイッチ5dとを有する。
かご上停止スイッチ5aは、作業員が、かご2を非常停止させるために設けられる。かご上停止スイッチ5aが押されると、かご上制御ボックス5を通じて行われた第2特殊操作が無効とされる。
上昇方向スイッチ5bは、作業員が、保守運転時にかご2を上昇する指示を行うために設けられる。
下降方向スイッチ5cは、作業員が、保守運転時にかご2を下降する指示を行うために設けられる。
かご上保守運転スイッチ5dは、作業員が、かご上保守運転モードのオン又はオフを設定するために用いられる。
本実施形態では、エレベーター1Aの動作モードとして、通常モード、保守モード、復帰運転モードがあり、後述する図2に示す運転制御部75により各モードが切替えられる。
通常モードは、各階の乗場へ通常の速度で走行させる動作モードである。
保守モードは、かご2の保守点検を行うときに通常モードから切替えられる動作モードである。
復帰運転モードは、保守モードを通常モードに切替えるまでに設定される動作モードである。例えば、かご上保守運転モード又はピット保守運転モードから通常モードに復帰するまでの間、保守運転されていたかご2を利用者が利用可能とするための運転が行われる。
保守モードとして、保守運転モード、かご上保守運転モード、ピット保守運転モードがある。各動作モードは、エレベーター制御装置7の運転制御部75により切替えられる。
保守運転モードは、通常の保守時に、かご2を通常の速度よりも低速で走行させる動作モードである。
かご上保守運転モードは、作業員がかご上16に乗り込んで保守を行うためにかご2を通常の速度よりも低速で走行させる動作モードである。
ピット保守運転モードは、作業員がピット部15に侵入して保守を行うためにかご2を通常の速度よりも低速で走行させる動作モードである。かご上保守運転モードにおけるかご2の走行速度と、ピット保守運転モードにおけるかご2の走行速度は、同じとしてもよいし、異ならせてもよい。
図2は、A号機のエレベーター制御装置7の内部構成例を示すブロック図である。
エレベーター制御装置7は、例えば、昇降路6の底部、すなわちピット部15に設けられる。エレベーター制御装置7は、特殊操作検知部71と、スイッチ検知部72と、時間計測部73と、規定距離走行部74と、運転制御部75と、群管理制御部76と、を有している。
特殊操作検知部71は、かご2内の保守スイッチ4d、又はかご上制御ボックス5の各スイッチを用いた特殊操作を検知する。特殊操作には、かご上乗り込み運転時に行われる第1特殊操作と、復帰運転時に行われる第2特殊操作とがある。そして、特殊操作検知部71は、乗場ドア17及びかごドア3が開けられたままかご2が停止位置に停止した状態で、作業員により運転盤4に行われた第1特殊操作を検知する。かご上乗り込み運転における第1特殊操作として、例えば、運転盤4の各スイッチを所定の順番で押下する暗号操作が用いられる。また、特殊操作検知部71は、作業員によりかご上制御ボックス5に行われた第2特殊操作を検知する。復帰運転における第2特殊操作として、例えば、かご上制御ボックス5内の各スイッチを所定の順番で押下する暗号操作が用いられる。
スイッチ検知部72は、運転盤4又はかご上制御ボックス5の各スイッチ等から入力する信号に基づいて、各スイッチ等を通じて行われる指示を検知することが可能な指示検知部の一例として用いられる。スイッチ検知部72は、運転盤4の保守スイッチ4dがオンされると、保守運転の開始が指示されたことを検知し、保守スイッチ4dがオフされると、保守運転の終了が指示されたことを検知する。また、スイッチ検知部72は、乗場ドアスイッチ18の開閉検知信号に基づいて、かご2の停止位置において乗場ドア17が開閉されたことを検知する開閉検知部の一例としても用いられる。また、スイッチ検知部72は、かご上制御ボックス5の各スイッチのオン又はオフを検知することで、かご2の停止の解除が指示されたことを検知することも可能である。
時間計測部73は、かご2内の保守スイッチ4d、又はかご上制御ボックス5の各スイッチを用いた特殊操作が行われた後の経過時間を計測する。例えば、時間計測部73は、保守運転の開始時に、特殊操作検知部71が第1特殊操作を検知してから経過した時間を計測する。また、復帰運転において、時間計測部73は、乗場ドア17が閉められたことがスイッチ検知部72により検知されてから経過した時間を計測する。ただし、復帰運転においても、時間計測部73は、特殊操作検知部71が第2特殊操作を検知してから経過した時間を計測してもよい。
規定距離走行部74は、かご2の昇降距離が、かご2の停止位置から保守可能な規定距離に達するまでかご2を走行させることが可能である。規定距離は、後述する図3に示す不揮発性ストレージC5に記憶されている。規定距離走行部74は、巻上機エンコーダー9又はガバナエンコーダー13のいずれかにより測定されたかご2の昇降距離が規定距離に達するまでかご2を走行させることが可能である。
規定距離走行部74が、運転制御部75に代わってかご2を昇降させるのは、例えば、動作モードがかご上保守運転モード、ピット保守運転モード及び復帰運転モードの時である。かご上保守運転モードでは、規定距離走行部74が、かご2を規定距離だけ下降する制御を行う。ピット保守運転モード及び復帰運転モードでは、規定距離走行部74が、かご2を規定距離だけ上昇する制御を行う。なお、ピット保守運転モードにおいて、かご2は、作業員がピット部15に侵入可能な高さまで上昇する。かご2が規定距離だけ昇降する際の移動速度は、上述した運転制御部75により制御される。
運転制御部75は、通常モードにおける、かご2の運転(かごドア3の開閉、かご2の上昇又は下降等)を制御する。そして、運転制御部75は、スイッチ検知部72により保守運転の開始の指示が検知された運転盤4(保守スイッチ4d)が設けられたかご2、すなわちエレベーター1Aの動作モードを通常モードから保守モードに切替える。そして、作業員による保守作業が完了し、かご上保守運転スイッチ5dがオフされると、運転制御部75は、かご上保守運転スイッチ5dが設けられた設けられたかご2、すなわちエレベーター1Aの動作モードをかご上保守運転モードから通常モードに切替える。ただし、かご上保守運転モードから通常モードに切替えるまでには、一旦、復帰運転モードが設定され、所定の操作が行われなければかご上保守運転モードに戻る。
群管理制御部76は、動作モードが通常モードであるエレベーター1A,1Bの運行を群管理制御する。また、群管理制御部76は、通常モードから保守モードに切替えられたかご2を群管理の制御対象から外して、通常モードが設定された他のかご2を群管理の制御対象とする。本実施の形態では、エレベーター1Aのかご2が群管理の制御対象から外れる。このため、エレベーター1Aのかご2に保守点検が行われている間、エレベーター1Bのかご2を利用者が利用可能となる。
なお、B号機のエレベーター制御装置7は、群管理制御部76を備えない以外は、A号機のエレベーター制御装置7と同じ構成である。また、群管理制御部76は、エレベーター制御装置7とは別の場所に群管理制御装置として構成されてもよい。
次に、エレベーター1Aの各装置を構成する計算機Cのハードウェア構成を説明する。
図3は、計算機Cのハードウェア構成例を示すブロック図である。
計算機Cは、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアである。計算機Cは、バスC4にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)C1、ROM(Read Only Memory)C2、RAM(Random Access Memory)C3を備える。さらに、計算機Cは、不揮発性ストレージC5、ネットワークインターフェイスC6を備える。
CPU C1は、本実施の形態例に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM C2から読み出して実行する。RAM C3には、演算処理の途中に発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれる。
不揮発性ストレージC5としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージC5には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、計算機Cを機能させるためのプログラムが記録されている。ROM C2、不揮発性ストレージC5は、CPU C1が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機Cによって実行されるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。このため、ROM C2、不揮発性ストレージC5には、このプログラムが永続的に格納される。
ネットワークインターフェイスC6には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、端子が接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。
<かご上乗り込み運転の動作例>
図4は、エレベーター1Aにおけるかご上乗り込み運転の動作処理の例を示すフローチャートである。
本実施形態では、始めに、エレベーター1Aのかご2を中間階又は最上階に停止させる。このとき、エレベーター1Aは、通常モードに設定されている。そして、作業員は、運転盤4の保守スイッチ4dをオンし(S1)、保守運転モードに切替える(S2)。このとき、スイッチ検知部72は、保守スイッチ4dがオンされたことを検知するため、運転制御部75は、エレベーター1Aの設定を、利用者が誰でも利用可能な通常モードから保守運転モードに切替える。これにより、作業員以外はエレベーター1Aを操作できない状態、すなわち乗場呼び釦を押しても、エレベーター1Aのかご呼びを行えない状態となる。
次に、特殊操作検知部71は、乗場ドア17及びかごドア3が開けられたかご2が停止位置に停止した状態で、かご2内にいる作業員により運転盤4に行われる第1特殊操作を検知したか否かを判定する(S3)。特殊操作検知部71が第1特殊操作を検知しなければ(S3のNO)、再び、ステップS2に戻って保守運転モードを続ける。
一方、特殊操作検知部71が第1特殊操作を検知していれば(S3のYES)、運転制御部75は、動作モードを保守運転モードからかご上保守運転モードに切替える(S4)。次に、時間計測部73は、特殊操作検知部71が第1特殊操作を検知してから経過した時間が一定時間(第1所定時間の一例)を経過したか否かを判定する(S5)。一定時間は、例えば、30秒間としてよい。かご2内にいた作業員は、この一定時間内に、開いているかごドア3及び乗場ドア17を通じてかご2から乗場に出る。
その後、時間計測部73が計測した時間が、一定時間を経過したと判定すると(S5のYES)、ステップS7に移り、乗場にいる作業員が乗場ドア17を閉める乗場ドア17が手動で閉められたことがスイッチ検知部72により検知されると、規定距離走行部74によりかごドア3にドア閉信号が出力され、かごドア3も自動的に閉まる(S7)。
一方、時間計測部73が、一定時間が経過していないと判定すると(S5のNO)、かご内停止スイッチ4eがオンされたか否かを判定する(S6)。スイッチ検知部72が、かご内停止スイッチ4eがオンされたと判定すると(S6のYES)、作業員がかご2の停止を指示し、かご内で作業を継続するため、運転制御部75は、特殊操作検知部71が検知した第1特殊操作を無効とする。この場合、作業員が、かご上乗り込み運転を行うためには、再び運転盤4の第1特殊操作が必要となる(S3)。
スイッチ検知部72が、かご内停止スイッチ4eがオンされていないと判定すると(S6のNO)、運転制御部75は、一定時間後にかごドア3及び乗場ドア17を閉める(S7)。このとき、運転制御部75は、作業員にかご2から降りるようにガイダンスを行ってもよい。
次に、規定距離走行部74は、かご2を規定距離だけ下降し(S8)、乗場の作業員がかご上16に乗り込み可能な位置でかご2を乗場に停止する(S9)。
そして、群管理制御部76は、保守対象の号機を群管理から外す(S10)。本実施の形態では、A号機が群管理から外れるため、B号機が群管理制御部76による制御対象となる。
<復帰運転の動作例>
図5は、エレベーター1Aにおける復帰運転の動作処理の例を示すフローチャートである。
まず、エレベーター1Aは、かご上保守運転モードで稼働している状態である(S11)。そして、かご上16で作業員が保守点検を行っているとする。作業員がかご上16で保守点検を行う際には、かご上停止スイッチ5a及びかご上保守運転スイッチ5dをオンする。これにより、誤ってかご2が走行することを防ぐことができる。
かご上16での保守点検を終えた作業員が、かご上保守運転スイッチ5dをオフする(S12)。かご上保守運転スイッチ5dをオフするとは、かご上16にいる作業員がかご2の停止の解除を指示することである。そして、かご上保守運転スイッチ5dがオフされたことは、スイッチ検知部72により検知される。
次に、特殊操作検知部71は、かご上制御ボックス5の各スイッチを用いて行われる第2特殊操作を検知したか否かを判定する(S13)。特殊操作検知部71が第2特殊操作を検知しなければ(S13のNO)、運転制御部75は、かご上保守運転モードに戻し、ステップS11に戻る。
一方、特殊操作検知部71が第2特殊操作を検知していれば(S13のYES)、運転制御部75は、作業員によって操作されたかご上制御ボックス5が設けられるかご2の動作モードをかご上保守運転モードから復帰運転モードに切替える(S14)。復帰運転モードとは、かご上保守運転モードから通常モードに切替えるまでの間に、一時的に設定される動作モードである。
復帰運転モードでは、スイッチ検知部72が、かご上停止スイッチ5aがオフされたか否かを判定する(S15)。かご上停止スイッチ5aがオフされたとは、かご2の移動を許可することを意味する。このため、スイッチ検知部72が、かご上停止スイッチ5aがオフされていない、すなわちかご上停止スイッチ5aがオンされ、かご2の停止が指示されたと判定すると(S15のNO)、運転制御部75は、スイッチ検知部72が検知した第2特殊操作を無効とし、かご上保守運転モードに戻し、ステップS11に戻る。
スイッチ検知部72が、かご上停止スイッチ5aがオフされていると判定すると(S15のYES)、スイッチ検知部72は、作業員により乗場ドア17が手動で開閉されたか否かを判定する(S16)。この処理は、かご上16にいる作業員が、乗場ドア17を手動で開いてかご上16から降りて乗場に出た後、乗場ドア17を手動で閉めたかを判定するために行われる処理であり、スイッチ検知部72が、乗場ドアスイッチ18の開閉検知信号を受信することで行われる。
スイッチ検知部72が、乗場ドア17が手動開閉されていないと判定すると(S16のNO)、運転制御部75は、かご上保守運転モードに戻し、ステップS11に戻る。このとき、かご上16にいる作業員が再び保守点検を行ったため、乗場ドア17を開けなかったと考えられる。このため、作業員が、かご上16から乗場に降りる際には、再びかご上保守運転スイッチ5dをオフし(S12)、かご上制御ボックス5の各スイッチを用いて行われる第2特殊操作(S13)を行わなければならない。
一方、スイッチ検知部72が、乗場ドア17が手動開閉されていると判定すると(S16のYES)、時間計測部73は、乗場ドア17が手動で開閉されてから経過した時間を計測し、この時間が一定時間(第2所定時間の一例)を経過するまで待つ(S17)。この一定時間は、例えば、30秒間としてよい。このとき、作業員は、かご上16から乗場に降りるため、かご上16には誰もいなくなる。時間計測部73は、乗場ドア17が手動で閉めたときから時間の計測を開始してよいが、乗場ドア17が手動で開かれたときから計測を開始してもよい。そして、時間計測部73は、経過時間が一定時間を超えると、規定距離走行部74にその旨を伝える。
そして、規定距離走行部74は、一定時間を経過した後、復帰運転モードに切替えられたかご2を停止位置から規定距離だけ上昇させる制御を行い(S18)、かご2を乗場に停止する(S19)。
次に、群管理制御部76は、規定距離だけ走行したことにより、運転制御部75により復帰運転モードから通常モードに切替えられたかご2を、他のかご2と共に群管理の制御対象に戻す。このため、群管理制御部76は、A号機のエレベーター1Aを群管理制御の対象に戻し(S20)、運転制御部75が通常モードに復帰する(S21)。以降の処理では、運転制御部75が通常モードでかご2を運転する。以上により、かご上乗り込み運転及び復帰運転の動作処理が終了する。
以上説明した一実施の形態に係る群管理エレベーターシステム20では、群管理制御される複数のかご2の一つを保守運転モードによる保守運転とし、乗場呼び釦を保守運転に用いない。また、他のかご2を通常モードによる通常運転とすることで、利用者は他のかご2を利用することができる。このように保守運転されるかご2以外のかご2について群管理の制御対象とされるため、利用者は普段通りに乗場呼び釦を使用することができ、エレベーター利用の不便が生じない。
また、かご上16への乗り込み運転に際して、かご2内の運転盤4により第1特殊操作を行うと、動作モードをかご上保守運転モードに切替えるため、作業員以外の者が不用意にかご上保守運転モードに切替えることができない。また、かご内で第1特殊操作が行われてから一定時間内に作業員がかご2から乗場に降り、一定時間が経過した後、かごドア3及び乗場ドア17が閉まると、かご2が規定距離だけ下降するため、かご2内に作業員や他の利用者が乗り込まないようにすることができる。また、作業員は、安全にかご上16に乗り込んで保守点検を行うことが可能である。
また、復帰運転に際して、かご上16に乗り込んだ作業員が、かご上保守運転スイッチ5dをオフし、かご上制御ボックス5を通じて第2特殊操作を行うことで復帰運転モードに切り替わる。そして、かご上停止スイッチ5aがオフされ、乗場ドア17が手動で開閉された後に、かご2が規定距離だけ上昇して乗場に停止する。このため、かご上16に作業員以外の他の利用者が乗り込まないようにすることができる。また、保守点検が完了したかご2を速やかに群管理制御の対象に戻すことができる。
なお、上述した実施の形態において図4のかご上乗り込み運転における、第1特殊操作を検知する処理と、第1特殊操作を検知してから経過した時間を計測する処理を除いてもよい。同様に、図5の復帰運転における、第2特殊操作を検知する処理と、第2特殊操作を検知してから経過した時間を計測する処理を除いてもよい。
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1A,1B…エレベーター、2…かご、3…かごドア、4…運転盤、5…かご上制御ボックス、6…昇降路、7…エレベーター制御装置、9…巻上機エンコーダー、13…ガバナエンコーダー、17…乗場ドア、18…乗場ドアスイッチ、20…群管理エレベーターシステム、71…特殊操作検知部、72…スイッチ検知部、73…時間計測部、74…規定距離走行部、75…運転制御部、76…群管理制御部

Claims (9)

  1. 昇降路を昇降する複数のかごの内部に設けられた保守運転指示部により保守運転の開始が指示されたことを検知する指示検知部と、
    前記指示検知部が保守運転の開始の指示を検知したことにより、前記保守運転指示部が設けられた前記かごの動作モードを通常モードから保守運転モードに切替える運転制御部と、
    前記かごの停止位置における乗場ドアが閉められたことを検知する開閉検知部と、
    前記かごの昇降距離が、前記かごの前記停止位置から保守可能な規定距離に達するまで前記かごを走行させる規定距離走行部と、
    前記保守運転モードに切替えられた前記かごを群管理の制御対象から外して、前記通常モードが設定された他のかごを群管理の制御対象とする群管理制御部と、を備える
    エレベーター制御装置。
  2. 前記乗場ドア、及び前記乗場ドアに連動して開閉するかごドアが開けられたまま前記かごが前記停止位置に停止した状態で、前記保守運転指示部に行われた第1特殊操作を検知する特殊操作検知部と、
    前記特殊操作検知部が前記第1特殊操作を検知してから経過した時間を計測する時間計測部を備え、
    前記規定距離走行部は、前記時間計測部により計測された時間が第1所定時間を経過した後、前記乗場ドアが閉められたことが前記開閉検知部により検知された場合に、前記かごを前記規定距離だけ走行させる制御を行う
    請求項1に記載のエレベーター制御装置。
  3. 前記運転制御部は、前記動作モードが前記保守運転モードであって、前記保守運転指示部により前記かごの停止が指示されたことが前記指示検知部により検知された場合には、前記特殊操作検知部により検知された前記第1特殊操作を無効とする
    請求項2に記載のエレベーター制御装置。
  4. 前記運転制御部は、前記かごの上部に設けられるかご上制御部により前記かごの停止の解除が指示されたことが前記指示検知部により検知されたことにより、停止の解除が指示された前記かごの前記動作モードを前記保守運転モードから復帰運転モードに切替え、
    前記規定距離走行部は、前記復帰運転モードに切替えられた前記かごを停止位置から前記規定距離だけ走行させる制御を行い、
    前記群管理制御部は、前記規定距離だけ走行したことにより、前記運転制御部により前記復帰運転モードから前記通常モードに切替えられた前記かごを、他の前記かごと共に群管理の制御対象に戻す
    請求項2に記載のエレベーター制御装置。
  5. 前記規定距離走行部は、前記かご上制御部に行われた第2特殊操作が前記特殊操作検知部により検知された場合に、前記乗場ドアが閉められたことが前記開閉検知部により検知されてから、前記時間計測部が計測した時間が第2所定時間を経過した後、前記かごを前記規定距離だけ走行させる制御を行う
    請求項4に記載のエレベーター制御装置。
  6. 前記運転制御部は、前記動作モードが前記復帰運転モードであって、前記かご上制御部により前記かごの停止が指示されたことが前記指示検知部により検知された場合には、前記特殊操作検知部により検知された前記第2特殊操作を無効とする
    請求項5に記載のエレベーター制御装置。
  7. 前記保守運転モードは、作業員が前記かごの上に乗り込んで保守を行うためのかご上保守運転モード、又は、前記作業員がピット部に侵入して保守を行うためのピット保守運転モードのいずれかであって、
    前記かご上保守運転モードでは、前記規定距離走行部により、前記規定距離だけ前記かごが下降する制御が行われ、前記ピット保守運転モードでは、前記規定距離走行部により、前記規定距離だけ前記かごが上昇する制御が行われる
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレベーター制御装置。
  8. 前記規定距離走行部は、前記かごを吊り下げるロープを巻上げる巻上機に取付けられた巻上機エンコーダー、又は、ガバナロープが巻付けられるガバナに取付けられたガバナエンコーダーのいずれかにより測定された前記かごの昇降距離が前記規定距離に達するまで前記かごを走行させる
    請求項7に記載のエレベーター制御装置。
  9. 昇降路を昇降する複数のかごと、
    前記かご毎に前記かごの昇降距離を計測する複数の昇降距離計測部と、
    前記かごの運行を制御する複数のエレベーター制御装置と、を備え、
    前記エレベーター制御装置は、
    複数の前記かごの内部に設けられた保守運転指示部により保守運転の開始が指示されたことを検知する指示検知部と、
    前記指示検知部が保守運転の開始の指示を検知したことにより、前記保守運転指示部が設けられた前記かごの動作モードを通常モードから保守運転モードに切替える運転制御部と、
    前記かごの停止位置における乗場ドアが閉められたことを検知する開閉検知部と、
    前記昇降距離計測部により計測された前記かごの前記昇降距離が、前記かごの前記停止位置から保守可能な規定距離に達するまで前記かごを走行させる規定距離走行部と、
    前記保守運転モードに切替えられた前記かごを群管理の制御対象から外して、前記通常モードが設定された他のかごを群管理の制御対象とする群管理制御部とを有する
    エレベーター。
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