以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明にかかる複合容器の一例の正面図である。図2は、図1に示す複合容器の開封前の斜視図である。図3は、図2に示す複合容器の開封後の斜視図である。なお、複合容器1では、後述の取出部113を上として説明する。すなわち、複合容器1における各部の位置関係を説明する場合には、図1に示す複合容器1を基準として、上方向(図中Uと示す)、下方向(図中Dと示す)、左方向(図中Lと示す)及び右方向(図中Rと示す)を定義する。また、図1において、複合容器1は、紙面奥行き方向に前面部と背面部とが並んで配されており、紙面手前側を前方側(図2等でFと示す)とし、紙面奥側を後方側(図2等でBと示す)とする。さらに、本書では、スリーブは折り線及び折罫に沿って折り曲げられる。この時、折り線又は折罫を山折り又は谷折りと称する場合がある。山折りは、筒状のスリーブが外側に向かって変形する折り方とし、谷折りは、スリーブが内側に向かって変形する折り方とする。
(第1実施形態)
図1、図2及び図3に示すとおり、複合容器1は、チャック付き袋10と、スリーブ20とを有する。スリーブ20は厚紙の筒状体であり、内部にチャック付き袋10を挿通する。そして、チャック付き袋10とスリーブ20とは、接着剤30で接着される。複合容器1は、使用者が片手の掌でつかんで使用される。そのため、複合容器において、スリーブ20の横幅は60〜135mmが好ましい。なお、本実施形態の複合容器1ではスリーブ20の横幅を110mmとする。また、スリーブ20には詳細を後述するように折り曲げと折り戻しとを繰り返される複数の折り線21、26が設けられる。このため、スリーブ20は折り線21、26以外の部分で折曲されないように、坪量が260〜450g/m2の厚紙により形成される。
チャック付き袋10は、内部にガムやグミ等の菓子、ふりかけ等の粉末や顆粒状の調味料、錠剤や顆粒状の健康食品等の粉体や粒状の収納物を密閉して収納する。チャック付き袋10は袋本体11と、チャック部材12とを備える。
袋本体11は、軟質樹脂フィルムにより形成される。袋本体11は、重ねた軟質樹脂フィルムの辺縁の熱接着部111を熱接着して形成される。なお、軟質樹脂フィルムは、複数の層を積層した積層体の場合もあり、複数の層うちの1層には、アルミニウム等で構成される金属層が含まれてもよい。なお、袋本体11は、2枚の軟質樹脂フィルムを重ね合わせて、周囲に設けられた熱接着部111を熱接着して形成されるが、これに限定されない。例えば、下端又は左右のいずれか一方の端部で折り返した軟質樹脂フィルムの折り返していない周囲を熱接着部111とし、熱接着部111を熱接着して形成してもよい。
袋本体11は、取出部113と、接続部114と、収納部115とを備える。取出部113は、収納部115よりも横幅が狭い形状である。そして、取出部113と収納部115とは、左右方向の中心軸が一致するように上下に並んで配置されており、その間に接続部114が設けられる。接続部114は、収納部115から取出部113に向かって左右方向に狭くなるように、すなわち、絞られて形成されている。
チャック付き袋10の取出部113の両側縁には上端の熱接着部111を切り取る開封用の一対のノッチ112が設けられている。ノッチ112は、取出部113のスリーブ20の上端から上方に突出した部分に配される。なお、ノッチ112は、開封開始部の一例である。開封開始部としては、切込みであるIノッチをあげることができる。また、開封開始部としては三角形状のVノッチ、U字状のUノッチ、五角形状(ホームベース形状)のベースノッチ等の切欠き形状等を使用可能である。また、開封開始部として、微小な孔(傷)を横方向に線状に多数設けた構成である傷痕群を用いてもよい。また、これらに限定されるものではなく、使用者がはさみ、刃物等の道具を用いずに、すなわち、素手でチャック付き袋10を開封することが可能な形状又は構成を広く採用することが可能である。
チャック付き袋10の開封時には、左右方向の両端に設けられたノッチ112の先端をつなぐ線で破断させる。そして、チャック付き袋10のノッチ112よりも上端側の部分を切り取ることで、チャック付き袋10の取出部113に開口部100が形成される。そして、開口部100に沿って左右方向に延びて配されるチャック部材12の係脱によって、開口部100は開閉される。なお、袋本体11の取出部113の上端を熱接着せずに開口部100とし、使用者による切り取りが不要なチャック付き袋10にしてもよい。
図1〜図3に示すように、チャック部材12は、絞り部114の内面に設けられている。ここで、チャック部材12について、図面を参照して説明する。図4は、チャック部材の断面図である。チャック部材12は対向する雄部13と雌部14とを備える。雄部13は支持部131と、嵌合部132とを有する。支持部131は袋本体11の内面に突設される。嵌合部132は、嵌合部131の先端に配される。嵌合部132は支持部131から上下方向に突出する当接面133が袋本体11に面して形成される。
雌部14は支持部141と、凹部142と、爪部143とを備える。支持部141は、袋本体11の内面の雄部13が設けられる面と対向する面に突設される。凹部142は、支持部の先端に嵌合部132が嵌合可能なように配される。爪部143は、凹部142の先端に設けられる。爪部143は凹部142の上下端から互いに接近する方向に突出し、雄部13の当接面133に係合する。
嵌合部132が凹部142に嵌合して爪部143が当接面133に係合することにより、チャック部材12によってチャック付き袋10が密封される。また、雄部13と雌部14とが離れる方向に加重されると爪部143が当接面133上を摺動して爪部143と当接面133との係合が解除される。これにより、チャック付き袋10の開口部100が開かれる。当接面133及び爪部143の傾斜角度や当接面133の長さによってチャック部材12を所望の嵌合強度に形成することができる。本実施形態では上方に配される当接面133が下方に配される当接面133よりも上下方向に長く形成される。すなわち、下方に設けられた当接面133と爪部143との嵌合強度は、上方に設けられた当接面133と爪部143との嵌合強度よりも低い。
スリーブ20は、所定の形状に裁断された厚紙を折り曲げて筒状に形成している。ここで、スリーブ20について、新たな図面を参照して説明する。図5は、スリーブの展開図である。図2、図3、図5等に示すとおり、スリーブ20は、前面部20aと、背面部20bとを備える。また、スリーブ20には、折り線21と、折罫22と、切欠き23とが配される。図5に示すとおり、前面部20aと背面部20bとは、折罫22で隣接する。背面部20bは前面部20aの左右方向の両側方に分割される。スリーブ20は、分割された背面部20bの一端(図5において右端)に折罫22を介して隣接する糊しろ20cを備えている。糊しろ20cは、反対側に設けられた背面部20bに接着剤27により接着される。これにより、スリーブ20が、折罫22を左右方向の両側端として筒状に形成される。
また、折り線21は、前面部20a及び背面部20bの左右方向の中央に配されて、上下に延びる。なお、折り線21は、スリーブ20の上端から下端に達する。後述するように、スリーブ20を左右方向に押圧したときに、前面部20a及び背面部20bが折り線21で山折りされる。折り線21は、リード罫又はミシン目により形成される。折り線21の切れ目によって厚紙からなるスリーブ20の一部が貫通する。
切欠き23は、スリーブ20の折罫22よりも上方、すなわち、スリーブ20の上端部の左右両端に設けられる。切欠き23はV字状であり、上部が下部に対して中央側になるように傾斜している。なお、切欠き23の一方の傾斜部分は前面部20aに設けられ、反対の傾斜部分は背面部20bに設けられる。図1に示すように、前面側から見て切欠き23は、袋本体11の絞り部114と同じ傾き及び長さの傾斜部分を有する。
スリーブ20の前面部20aの上端部201は、切欠き23と連続して形成されている。上端部201の左右方向の幅は、袋本体11の取出部113と同じである。また、スリーブ20の背面部20bの上端部202は、切欠き23と連続して形成されている。上端部202の左右方向の幅は、袋本体11の取出部113と同じである。
切欠き23の下方には、折り線241、傾斜折り線242及び連結折り線243が設けられる。折り線241はスリーブ20の前面部20aの左右の端部及び背面部20bの左右の端部にそれぞれ設けられ、内側に谷折りされるように形成される。また、折り線241は切欠き23から下方に延びている。連結折り線243は、前面部20aに設けられる折り線241と背面部20bに設けられる折り線241とを下端部で連結する、連結折り線243を有する。連結折り線243の下端部は円滑な、例えば、微分可能な曲線で形成されている。そして、傾斜折り線242は、折り線241の下部に配されて下方に向かうにしたがって折罫22に接近するように傾斜した直線状である。傾斜折り線242も、前面部20a及び背面部20bに設けられており、折罫22との交点を頂点とするV字状に配される。なお、傾斜折り線242は、折り線241の下端の連結折り線243よりも上方に、上下に並んで設けられている。傾斜折り線242は、2本に限定されず、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
連結折り線243の下端部から、下方に延び、前面部20a及び背面部20bそれぞれに設けられた曲り折り線25が設けられている。曲り折り線25は、連結折り線243の前面部20a側から下方に延びるとともに上下方向の中央部が折罫22から離れるように湾曲している。そして、曲り折り線25は、下端部で折罫22と交差する。曲り折り線25は、折罫22との交差部分から背面部20b内で上方に延びるとともに中央部が折罫22から離れるように湾曲している。そして、背面部20b内で、背面部20b内に配されている連結折り線243と接する。
また、前面部20a及び背面部20bの曲り折り線25の下端部には山折りされる折り線26が設けられる。折り線26はスリーブ20の下端まで延び、下方が折り線21に近づくように傾斜する。
図5に示すように、折り線241、傾斜折り線242、連結折り線243、曲り折り線25及び折り線26は、折罫22を挟んで線対称に形成されている。すなわち、折り線241、傾斜折り線242、連結折り線243、曲り折り線25及び折り線26は、筒状に形成したスリーブ20を前方から見たときに、全面部20aと背面部20bとに同じ形状で形成される。
折り線241、傾斜折り線242、連結折り線243、曲り折り線25及び折り線26は、使用者が左右両端を押圧する(握る)ときに、スリーブ20に不規則なしわが形成されるのを抑制するために設けられる。
次に、チャック付き袋10とスリーブ20との固定について説明する。本実施形態の複合容器1では、前面部20a及び背面部20bとチャック付き袋10とを、接着剤30で接着している。まず、前面部20aとチャック付き袋10との接着部分について説明する。前面部20aとチャック付き袋10とは、接着部31aに配された接着剤30で接着される。接着部31aは、上下に延びる長方形状であり、チャック付き袋10の外面のチャック部材12と前後に重なる部分と交差する。すなわち、接着部31aは、チャック付き袋10の外面でチャック部材12と前後に重なる部分を有する。
図1、図2、図3、図5等に示すように、接着部31aは、前面部20aの中央に設けられた折り線21の近傍(本実施形態のスリーブ20では、前面側から見て左側)に設けられる。上述したとおり、折り線21は、一部でスリーブ20を貫通しており、接着部31aに接着剤30を配置したときに、折り線21に接着剤30が流れると、スリーブ20の外部に接着剤30がはみ出てしまう虞がある。そこで、接着部31aは、折り線21から一定の長さ離れた位置に設けられる。なお、一定の長さは、接着剤30の塗布量によって変化するが、例えば、3mm〜6mm程度を挙げることができる。
また、接着部31aの上端部が、前面部20aの上端201に接近しすぎると、接着部31aに配された接着剤30が、上端201からはみ出てしまう虞がある。そのため、接着部31aの上端と、上端201との間にも所定の長さの間隙が設けられていることが好ましい。
スリーブ20の背面部20bとチャック付き袋10とは、接着部31bに配される接着剤30で接着される。接着部31bは、背面部20bの中央に設けられた折り線21の近傍(本実施形態のスリーブ20では、前面側から見て右側)に設けられる。上述したとおり、折り線21は、一部でスリーブ20を貫通しており、接着部31bに接着剤30を配置したときに、折り線21に接着剤30が流れると、スリーブ20の外部に接着剤30がはみ出てしまう虞がある。そこで、接着部31bは、折り線21から一定の長さ離れた位置に設けられる。なお、一定の長さは、接着剤30の塗布量によって変化するが、例えば、3mm〜6mm程度を挙げることができる。
また、接着部31bの上端部が、背面部20bの上端202に接近しすぎると、接着部31bに配された接着剤30が、上端202からはみ出てしまう虞がある。そのため、接着部31bの上端と、上端202との間にも所定の長さの間隙が設けられていることが好ましい。
複合容器1では、スリーブ20の内部にチャック付き袋10を挿通し、スリーブ20とチャック付き袋10とを接着剤30で固定している。スリーブ20は、上端201及び202が取出部113と前後に重なる、とともに、チャック付き袋10の下端がスリーブ20の下端よりも下方に位置するように、チャック付き袋10に接着される。
複合容器1は以上のような構成を有している。複合容器1において、収納物を取り出す際、ノッチ112を横方向に破断して切り取り、チャック付き袋10の上端部を切断する。チャック付き袋10の上端部を切断したときには、チャック部材12は嵌合されているものとする。なお、チャック部材12の嵌合が解除されている場合には、スリーブ20のチャック部材12と重なる部分を手指で押圧してチャック部材12の雄部13と雌部14とを係合させることで、チャック部材12は嵌合された状態となり、チャック付き袋10が密封される。
密封された複合容器1は、使用者の掌で把持される。そして、スリーブ20の両側端の曲り折り線25の外側にそれぞれ手指(例えば、親指と人差し指)が配される。両側端の手指が接近するようにスリーブ20の両側端を押圧すると、厚紙により形成されるスリーブ20は剛性が高いため折り線26で山折りされる。
更に折罫22上でスリーブ20が手指により押圧されると、スリーブ20が折り線21で山折りされる。折り線26が山折りされることで、前面部20a及び背面部20bが外側に凸に変形するため、折り線21が山折りになりやすくなる。
この時、前面部20aとチャック付き袋10とを接着する接着剤30が折り線21の近傍で前方から見て左にずれた接着部31aに配置される。また、背面部20bとチャック付き袋10とを接着する接着剤30が折り線21の近傍で前方から見て右にずれた接着部31bに配置される。このため、チャック部材12の前後面が左右でずれる方向に力が働いて左右の折罫22が近づき、中央の折り線21が山折りされる。これにより、チャック部材12の嵌合が解除され、片手でチャック付き袋10の開口部100を開くことができる。
スリーブ20を用いて、チャック付き袋10のチャック部材12を開くときの動作の詳細について図面を参照して説明する。図6は、チャック部材が閉じている複合容器にチャック部材を開く力が作用した状態を示す図である。図7は、チャック部材を開く力が作用した状態を示す図である。なお、図6及び図7では、チャック付き袋10を省略し、チャック付き袋10はスリーブ20と共に移動するものとする。
複合容器1では、チャック部材12が閉じられているとともに、チャック付き袋10とスリーブ20とが接着されている。そのため、前面部20a及び背面部20bが折り線21で山折りされるとき、前面部20a及び背面部20bの下部が、互いに開く方向に力(図6中Pw1で示す)が作用する。このとき、前面部20a及び背面部20bの移動は、チャック部材12を支点(図6中Fu1で示す)として、チャック部材12を内側(図6中Mv1で示す)に、移動する。
そして、前面部20a及び背面部20bが一定量移動すると、前面部20aの上端201と背面部20bの上端202が接触する。ここで、複合容器1のチャック部材12を開くときの動作の支点が、チャック部材12から上端201と上端202との接触点(図7中Fu2で示す)に移動する。そして、スリーブ20は、接触点Fu2を支点として、下部が開く方向に移動する。スリーブ20は、第1上部接着部31a及び第2上部接着部31bでチャック付き袋10と接着されている。第1上部接着部31a及び第2上部接着部31bは、チャック付き袋10の外面のチャック部材12と前後に重なっている。そのため、スリーブ20に作用する力は、接着剤30を介してチャック部材12に作用する。
図7に示すとおり、スリーブ20には、上端の接触点Fu2を支点とし、チャック部材12よりも下部に前面部20a及び背面部20bを開く方向に力が作用している。そのため、チャック部材12が取り付けられている部分は、作用点となり外向きに開く力(図7中Pw2で示す)が作用する。このとき、前面部20a及び背面部20bは、上部が接近するとともに下部が離れた形状に変形している。
そして、前面部20a及び背面部20bの下部に互いに開く方向の力(Pw1)が作用し続けることで、チャック部材12に力Pw2が作用する。力Pw2によって、チャック部材12の嵌合が解除されて、チャック付き袋10の開口部100が開く。なお、図7に示すとおり、チャック部材12に作用する力は、斜め上に作用する。そのため、チャック部材12の雄部13のように、下側の当接面133を上側よりも短くすることで、下側の嵌合が上側に比べて弱くなり、チャック部材12の嵌合が解除され易い。
スリーブ20の両端を内側に押すことで、内部に挿通されたチャック付き袋10のチャック部材12の嵌合を解除する場合において、前面部20a及び背面部20bは、上端201及び上端202の接触点Fu2を支点とし、てこの原理でチャック部材12に嵌合を解除する力を作用させる。チャック部材12の嵌合を解除するには、一定以上の力が必要であるとともに、雄部13及び雌部14を一定長さ以上、離れる方向に移動させる必要がある。また、スリーブ20は、筒状であるため、前面部20a及び背面部20bの下端の移動量には限界がある。そのため、本発明にかかる複合容器1において、スリーブ20の前面部20aの上端201及び背面部20bの上端202は、チャック部材12から上下方向に一定の長さ以上、離れていることが好ましい。
また、接触点Fu2からチャック部材12までの長さが短い場合、長い場合に比べて、チャック部材12に大きな力を作用させることができる。換言すると、チャック部材12までの長さが短い場合には、前面部20a及び背面部20bの接触点Fu2からチャック部材12までの部分に作用する力が大きくなる。そのため、スリーブ20のチャック部材12よりも上方に位置する長さは、スリーブ20の強度、すなわち、スリーブ20の坪量によって最適値は変化する。
また、スリーブ20は、筒状の部材である。そして、複合容器1は、前面部20aと後面部20bとを用いたてこの原理でチャック部材12の嵌合を解除している。スリーブ20の上端、すなわち、上端201と上端202の接触点Fu2を支点として下部が開く方向に移動することでチャック部材12の嵌合が解除される。スリーブ20の上端部では、前面部20aの上端部と背面部20bの上端部とは、上端201と上端202の接触点Fu2で接触しつつ、互いに離れる方向に移動する。そして、スリーブ20では、上端部の左右両端に切欠き23を設けているため、前面部20aの上端部と背面部20bの上端部とは、互いに他方から移動を制限されないため、異なる方向に移動しやすい。これにより、前面部20a及び背面部20bを利用して、てこの原理でチャック部材12の嵌合を解除することが可能である。
図8は、チャック部材が開いた状態の複合容器の平面図である。上述したように、スリーブ20の左右両側を内側に押圧することで、チャック付き袋10のチャック部材12の嵌合を解除できる。チャック付き袋10のチャック部材12の嵌合が解除されたことで、前面部20a及び背面部20bが元の形状に戻り、スリーブ20は平面視においてひし形となる(図8参照)。このとき、前面部20a及び背面部20bに接着されているチャック付き袋10が開く。
なお、スリーブ20の両端を押すとき、前面部20a及び背面部20bには、折り線21で山折りになるようなモーメントが作用している。そのため、開閉を繰り返すと、不規則なしわが形成されてしまう虞がある。そこで、前面部20a及び背面部20bにモーメントが作用しても、折り線241、傾斜折り線242、連結折り線243、曲り折り線25及び折り線26で折れ曲るので、不規則なしわが発生するのを抑制できる。従って、複合容器1の美観低下を抑制できる。なお、例えば、スリーブ20の形状やスリーブ20を構成する厚紙の坪量、チャック部材12の嵌合の強さ等によっては、不規則なしわが形成されにくい場合もある。しわが形成されにくい構成の複合容器では、上述した折り線241、傾斜折り線242、連結折り線243、曲り折り線25及び折り線26の一部を省略してもよい。
以上示した複合容器1において、チャック付き袋10では、取出部113の左右方向の長さが収納部115の左右方向の長さよりも小さい。これにより、収納部115から取出部113に移動する収納物の量が制限される。すなわち、複合容器1では、幅が狭い取出部113に開口部100が形成されていることで、開口部100から取り出される収納物の量が制限される。このことから、複合容器1では、収納部115に収納される収納物の収納量を減らすことなく、取出部113から取り出される収納物の量を制限できる。また、取出部113は収納物の取出し時において、筒形に変形する。これにより、取出部113は、収納物を所定の位置(例えば、使用者の手、食器、調理器具、容器等)に導くための管としての役割を果たす。
このことから、複合容器1を使用することで、使用者は、容易に収納物の取出し量を調整できる。また、例えば収納物の量が減った場合等で、開口部100を下方又は側方に向けて複合容器1を振ることで、収納物を外に出す(以下、振出しと称する)場合がある。複合容器1で収納物の振出しを行う場合も、開口部100から収納物を取り出すときの量の調整も容易になる。これらのことから、使用者は、収納物の内容量にかかわらず、容易に必要量の収納物を取り出すことが可能である。
また、例えば、複合容器1に収納されている収納物が調味料等の場合、その種類によって、厨房、テーブルの両方で使用される。このとき、厨房では複合容器1のまま使用し、テーブルでは、別途収納容器(不図示)を用意し、複合容器1から収納物を収納容器に移動させる。そして、収納物が収納された収納容器がテーブル上に配置される。このようなテーブル上に配置される収納容器は、収納物を入れ替えるための開口が狭い場合が多い。複合容器1では、スリーブ20を左右から内側に押す(握る)ことでチャック部材12の嵌合が解除され開口部100が開く構成であり、チャック部材12が嵌合した状態で開口部100を下に向けても、収納物が外部に漏れない。
そこで、複合容器1では、チャック部材12が嵌合した状態で、収納容器の開口に取出部113を挿入し、スリーブ20を操作する(握る)ことでチャック部材12の嵌合を解除して開口部100を開き、収納部115から収納容器に収納物を移動させることが可能である。複合容器1を用いることで、開口が狭い収納容器に、使用者の手指を汚したり、収納物が外部に漏れたりすることなく、収納物を収納部115から収納容器に移動させることが可能である。
また、チャック付き袋10では、収納部115と取出部113とは接続部114で接続されている。そして、接続部114は、収納部115から取出部113に向かって幅が狭く形成されている。これにより、複合容器1を開口部100が下になるように傾けたときに、接続部114によって収納部115内の収納物が取出部113に向かって移動する。例えば、収納部115内の収納物の量が少なく、収納部115の左右方向の端部に収納物が偏って収納されている場合、振出し動作を行うことで収納物を接続部114に移動させ、収納物を取出部113に集めることができる。これにより、容易に収納物を取出すことができる。
複合容器1のチャック付き袋10の内部への収納物の充填について図面を参照して説明する。図9は、複合容器のチャック付き袋を開口する状態を示す斜視図である。図10は、チャック付き袋の内部に収納物を充填している状態を示す斜視図である。
上述したように、複合容器1のチャック付き袋10の収納物を取り出すための開口部100は、収納部115よりも左右方向の長さが短い取出部113に設けられる。すなわち、チャック付き袋10では、開口部100の開口面積も小さい。そのため、収納物を充填するためのノズル41を開口部100から挿入しにくい。そこで、複合容器1では、収納部115の下端に、ノズル41を挿入できる十分な大きさの挿入口110を形成し、挿入口110から収納物を充填する。
図9に示すように、複合容器1は、上下反転した状態でスリーブ20を不図示の保持具で保持される。このとき、チャック付き袋10の下端は、熱溶着されていない。また、チャック付き袋10は、スリーブ20よりも上方に突出している。そして、複合容器1が上下反転して保持された状態において、チャック付き袋10は、スリーブ20よりも上方に突出した部分を先端に吸盤401を備えた一対の開口装置40によって保持される。開口装置40は、吸盤401をチャック付き袋10に接触させ、吸盤401とチャック付き袋10とで囲まれた部分の圧力を低下させることで、チャック付き袋10を保持する。
そして、チャック付き袋10を保持した開口装置40は図9中矢印Ar1で示すように互いに離間する方向(前後方向)に移動する。これにより、チャック付き袋10の下端部が開かれる。すなわち、開口装置40によって、上下反転状態で保持された複合容器1のチャック付き袋10の下端に挿入口110が開口する(図10参照)。
図10に示すように、上下反転状態で保持された複合容器1の上方からノズル41を移動させ、ノズル41の下端をチャック付き袋10の下端に開口した挿入口110から挿入する。ノズル41は、内部を収納物が移動する。ノズル41の内部を移動した収納物は、ノズル41の先端からチャック付き袋10の内部に充填される。なお、収納物がチャック部材12よりも上方に収納されている場合、チャック付き袋10を開封したときに、収納物が外部に漏れやすい状態になっている。そのため、上下反転して保持された複合容器1のチャック付き袋10には、チャック部材12が嵌合している状態で、収納物を充填する。
ノズル41からチャック付き袋10内への収納物の充填が終了すると、ノズル41を挿入口110から引き出す。そして、チャック付き袋10の下端を熱接着することで、収納物が内部に充填されたチャック付き袋10が封止される。
開口装置40でチャック付き袋10の下端を開くとき、チャック付き袋10の移動によって、スリーブ20も開く方向に移動される。すなわち、開口装置40がチャック付き袋10を開くときのチャック付き袋10の変位がスリーブ20に伝達される。開口装置40による挿入口110の開口量によっては、スリーブ20が大きく移動し、結果としてチャック部材12の嵌合が解除される場合がある。そのため、開口装置40は、チャック部材12の嵌合が解除されない程度に、挿入口110を開口させる。なお、開口装置40の動作によるチャック部材12の嵌合の解除を防止するため、開口装置40に、スリーブ20の外側からチャック部材12を押えて、チャック部材12の嵌合を維持する機構(不図示)を備えていてもよい。
なお、本実施形態の複合容器1では、チャック付き袋10を開口させる開口装置40を取出部113に取り付けることが困難であり、さらに、ノズル41を開口部100から挿入するのも困難であるため、複合容器1を上下反転させ、下端からノズル41を挿入して収納物を充填した。しかしながら、これに限定されない。例えば、取出部113が開口装置40で保持するために十分な大きさを有し、さらに、開口部100からノズル41を挿入可能な場合、取出部113の開口部100からノズル41を挿入して収納物を充填してもよい。
図1等に示しているとおり、本実施形態にかかる複合容器1では、チャック付き袋10の接続部114の傾斜とスリーブ20の切欠き23の傾斜とが同じ傾斜となっている。そして、スリーブ20にチャック付き袋10を挿通させたとき、スリーブ20の切欠き23の傾斜とチャック付き袋10の接続部114の傾斜とが前後に重なる。すなわち、チャック付き袋10の接続部114の端部と切欠き23の端部とが前後に重なる。しかしながらこれに限定されない。例えば、スリーブ20の切欠き23の形状を変更し、複合容器1を前後方向に見たときにチャック付き袋10の接続部114がスリーブ20よりも小さい、すなわち、接続部114がスリーブ20に完全に隠れるように形成されてもよい。また、複合容器1を前後方向にみたときに接続部114がスリーブ20の切欠き23から突出していてもよい。スリーブ20は、チャック部材12と前後方向に重なるような形状を広く採用することができる。なお、スリーブ20は、左右両端を内側に押したとき、前面部20a及び背面部20bは、上端201及び202同士が互いに押し合うことでチャック部材12の嵌合を解除する、すなわち、開口100を開く。このとき、前面部20a及び背面部20bは、折り線21で山折りされるとともに、下部が上部よりも外側に変形する。そのため、前面部20a及び背面部20bの上端部分の幅が狭くなる。そのため、上端部分では、上端201及び上端202が接触して互いの変形を阻害しないようにするために、切欠き23が設けられていることが好ましい。
本実施形態にかかる複合容器1では、チャック付き袋10の袋本体11として、取出部113の左右方向の中心軸と収納部115の左右方向の中心軸が一致する構成としている。しかしながら、これに限定されるものではない。取出部113と収納部115の左右方向の中心軸が、左右にずれていてもよい。また、中心軸が所定の角度をなすように、取出部113と収納部115が互いに傾いていてもよい。
(第2実施形態)
本発明にかかる複合容器の第2の例について、図面を参照して説明する。図11は、本発明にかかる複合容器の第2の例の正面図である。開口装置40でチャック付き袋10の挿入口110を開く場合、挿入口110の開口量が大きくなると、チャック部材12の嵌合が解除される場合がある。そこで、図11に示すように、スリーブ20vの形状を変更した、複合容器1Vを用いてもよい。なお、複合容器1Vでは、スリーブ20vの下端部の形状がスリーブ20と異なる以外、複合容器1と同じ構成を有している。そのため、複合容器1Vにおいて、複合容器1と実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに詳細な説明は省略する。
図11に示すように、複合容器1Vのスリーブ20vは、中央が上方に向かって傾斜した下端203を有している。すなわち、スリーブ20vの下端は、下方に向かって凹んだ凹形状である。なお、前面部20a及び背面部20bの少なくとも一方又は両方が、このような形状の下端203を有していてもよい。
中央部が凹んだ下端203を備えたスリーブ20vを備える複合容器1Vを上下反転させて支持し、開口装置40でチャック付き袋10を保持し、開口装置40でチャック付き袋10の下端を開く。このとき、チャック付き袋10は、開口装置40によって下端からスリーブ20vの下端まで大きく変形する。下端203を形成することで、下端203から開口装置40までの長さを長くできる。そのため、開口装置40の移動したときのチャック付き袋10の下端203よりも上方の部分の変位がスリーブ20vに伝達されにくくなる。これにより、開口装置40で挿入口110を所定の大きさになるまで開口させても、チャック部材12の嵌合が解除されにくくなる。
複合容器1Vでは、スリーブ20vの形状を調整するだけなので、チャック部材12の嵌合を維持する機構が不要であり、従来の収納物を充填する装置を利用することが可能である。また、挿入口110が大きく開口してもチャック部材12の嵌合が解除されないため、開口装置40の動作の制御を簡略化できる。なお、スリーブ20vの下端203の傾斜は、使用者が握ることで、チャック部材12の嵌合を解除させることができる程度の傾斜である。すなわち、前面部20a、背面部20bを介して、使用者の手指が折罫22を内側に押したとき、その力がチャック部材12に伝達される形状及び強度を有するように形成される。
複合容器1Vのスリーブ20vをこのような形状とすることで、開口装置40に特殊な機構を設けることなく、チャック付き袋10の下端の挿入口110の開口時における、チャック部材12の嵌合の意図しない解除が抑制される。これにより、収納物を充填するときに、チャック部材12よりも取出部113側に収納物が充填されにくい。例えば、使用者が左右のノッチ112でつなぐ線で破断して開口部100を形成するとき、使用者の意図しないタイミングで収納物が漏れ出てくるのを抑制できる。なお、本実施形態において、スリーブ20vの下端203は2本の直線が中心に向かって傾斜した、いわゆる、V字状であるが、これに限定されない。例えば、図11に二点鎖線204で示すような曲線状であってもよい。曲線は、円弧であってもよいし、楕円弧であってもよいが、これらに限定されない。さらには、複数の折れ線を組み合わせた形状であってもよい。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(第3実施形態)
本発明にかかる複合容器の第3の例について図面を参照して説明する。図12は、本発明にかかる複合容器の第3の例の正面図である。なお、本実施形態にかかる複合容器1Wは、チャック付き袋10wの袋本体11wのノッチ112の間に、開封補助線116が設けられている点で、複合容器1と異なる。これ以外の点において、複合容器1Wは、複合容器1と同じ構成を有している。そのため、複合容器1Wにおいて、複合容器1と同じ構成を有する部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図12に示すように、チャック付き袋10wの取出部113には、左右両側に設けられたノッチ112を繋ぎ、曲線状に形成された開封補助線116が設けられている。開封補助線116は、チャック付き袋10を構成する軟質樹脂フィルムのその線に沿った破断を補助する(容易にする)ものである。複合容器1Wにおいて、ノッチ112で取出部113を破断するとき、一方のノッチ112から形成された切込みが、開封補助線116に沿って進展し、他方のノッチ112に到達する。すなわち、開封補助線116は、破断後に形成される開口部100の形状を決定付ける。
上述のとおり、開封補助線116は、開封後の開口部100の形状を決定するために設けられる。ノッチ112からの切れ込みが進展する構成であればよい。複合容器1Wでは、チャック付き袋10wの内部に外部の空気や湿気等が進入したり、内部に収納された収納物が外部に漏れたりするのは好ましくない。そのため、開封補助線116として、ここでは、弱め線を採用している。弱め線は、チャック付き袋10wの他の部分よりも強度が低くい部分を繋げた線、すなわち、切込みが形成されやすい線である。弱め線としては、チャック付き袋10wを構成する軟質樹脂フィルムの表面及び裏面の少なくとも一方の表層からその厚さ方向の途中まで切れ目が入ったハーフカットである。なお、弱め線としては、ハーフカットに限定されず、切込みが進展しやすいように、強度を落として形成した線を広く採用することができる。
開封補助線116は、中央が下方に凹む曲線である。そのため、開口部100は、取出部113に中央が下方に凹む曲線状に形成される。ここで、開封補助線116の形状の詳細について説明する。図12に示すように、複合容器1Wは、開封補助線116を備える以外は複合容器1と同様の構成を有している。そのため、複合容器1Wにおけるスリーブ20の操作による、チャック部材12の嵌合の解除のメカニズムも同じである。すなわち、スリーブ20の上端201、202を支点として、下端が外側に開くことで、チャック部材12の嵌合が解除される(図7参照)。スリーブ20を押圧してチャック部材12の嵌合が解除された後、取出部113は、下部から前後方向に開く。また、左右方向の中央側が側部よりも先に開く。
取出部113から簡単かつ確実に収納物を取り出すためには、スリーブ20が所定量変形させた時に、開口部100が開かれていることが好ましい。スリーブ20が所定量変形させた時に、開口部100が開かれていない場合、取出部113は開いた下部と、閉じた上部とに分かれ、開いた部分と閉じた部分との境界で、折れてしまうことがある。そして、取出部113に折れが発生すると、開口100を確実に開けなくなる虞がある。そこで、開口100の左右中央部を下方に凹ませることで、取出部113の長さを確保しつつ取出部113の折れを抑制できる。
このような構成とすることで、開口100を確実に開くことができるとともに、取出部113を所定の長さを有する筒形状とすることができる。これにより、取出部113を収納物を取り出すためのノズルとして作用し、複合容器1Wを傾けたときや振出しのために振ったときに容易に所望量の収納物を取り出すことができる。なお、開封補助線116は、チャック付き袋10wの前面側及び背面側の一方に形成されていてもよいし、両方に形成されていてもよい。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(変形例)
本発明にかかる複合容器の第3の例について図面を参照して説明する。図13は、本発明にかかる複合容器の第3の例の変形例の正面図である。なお、本実施形態にかかる複合容器1W2は、チャック付き袋10wの袋本体11wのノッチ112の間に、開封補助線117が設けられている点で、複合容器1Wと異なる。これ以外の点において、複合容器1W2は、複合容器1Wと同じ構成を有している。そのため、複合容器1W2において、複合容器1Wと同じ構成を有する部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図13に示すように、変形例の複合容器1W2において、ノッチ112の間に設けられた開封補助線117は、中央が上方に突出した曲線である。このような構成とすることで、開封補助線117に沿って切断されたときに、取出部113の長さを長くすることが可能である。これにより、収納物を狭い位置に降り出すことができる。
なお、開封補助線としては、前面部20a側及び背面部20b側の両方を左右に延びる直線状であってもよい。また、前面部20a側及び背面部20b側の両方を中央が下方に凹んだ曲線状の開封補助線116を形成してもよい。また、前面部20a側及び背面部20b側の両方を中央が上方に突出した曲線状の開封補助線117を形成してもよい。さらには、前面部20a側又は背面側20bの一方を中央が下方に凹んだ曲線状の開封補助線116としてもよい。前面部20a側又は背面部20b側の一方を中央が上方に突出した曲線状の開封補助線117としてもよい。この場合、曲線状の開封補助線116又は開封補助線117と反対側は、左右に延びる直線状の開封補助線であってもよい。さらには、前面部20a及び背面部20bの一方を曲線状の開封補助線116とし、他方を曲線状の開封補助線117としてもよい。
(第4実施形態)
本発明にかかる複合容器の第4の例について図面を参照して説明する。図14は、本発明にかかる複合容器の第4の例の正面図である。なお、本実施形態にかかる複合容器1Xは、チャック付き袋10xのチャック部材12xの位置が異なる。また、スリーブ20xの切欠き23の形状が異なる。これら以外の点において、複合容器1Xは、複合容器1と同じ構成を有している。そのため、複合容器1Xにおいて、複合容器1と同じ構成を有する部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図14に示すように、複合容器1Xでは、チャック付き袋10xのチャック部材12xが、袋本体11の取出部113に配されている。そして、スリーブ20xは、切欠き23の折罫22に対する角度が小さくなっている。これにより、スリーブ20xの上端201、202は、取付部113のチャック部材12xが設けられている部分よりも上部と前後に重なる。
そして、接着部31a及び接着部31bは、取出部113の外面のチャック部材12xと前後に重なる部分を含むように上下に延びて設けられる。すなわち、接着部31a及び接着部31bは、取出部113及び接続部114に設けられる。なお、接着部31a及び接着部31bとスリーブ20xの上端201及び上端202との位置関係は、複合容器1と同様、接着剤30がはみ出さない程度の隙間が設けられる。
複合容器1Xでは、スリーブ20xの左右両端を中央に押すことで、取出部113に配されているチャック部材12xの嵌合を解除する。複合容器1Xでは、チャック部材12xと一対のノッチ112を結ぶ線で切断した開口100までの距離が短い。スリーブ20xの左右両端を中央に押してチャック部材12xの嵌合を解除する場合において、取出部113が折れにくい。そのため、複合容器1Xは、チャック部材12xの嵌合を確実に解除できるとともに、開口100を確実に開くことが可能である。また、前後方向に見たときに取出部113のスリーブ20xより外側に突出している部分は短いが、接続部114からは一定の長さを有している。そのため、収納物の取出し時において、取出部113は、収納物を吐出するための管として
の役割を果たす。このことからも、使用者の利便性を高めることが可能である。
なお、本実施形態にかかる複合容器1Xにおいて、スリーブ20xは、取出部113の一部と前後に重なっているが、これに限定されない。予め開口部100が形成されている取出部113又は破断によって開口部100が形成された取出部113の全部又は略全部が、スリーブ20xと前後に重なってもよい。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(第5実施形態)
本発明にかかる複合容器の第5の例について図面を参照して説明する。図15は、本発明にかかる複合容器の第5の例の正面図である。なお、本実施形態にかかる複合容器1Yは、チャック付き袋10yの袋本体11y及びチャック部材12yの位置が異なる。これ以外の点において、複合容器1Yは、複合容器1と同じ構成を有している。そのため、複合容器1Yにおいて、複合容器1と同じ構成を有する部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図15に示すように、複合容器1Yのチャック付き袋10yは、袋本体11yとチャック部材12yとを備える。図15に示す袋本体11yは、取出部113yと収納部115yとが直接接続されている。すなわち、袋本体11yは、取出部113yと収納部115yとの接続部分が段差になっている。そして、チャック付き袋10yは、収納部115yの内面の上部、すなわち、取出部113yに近接している部分にチャック部材12yが配されている。なお、スリーブ20は、第1実施形態にかかる複合容器1に用いられるスリーブ20と同じ形状を有している。
そして、チャック付き袋10yの外面のチャック部材12yと重なる部分に接着部31a及び接着部31bが設けられている。接着部31aでチャック付き袋10yの前面側の外面とスリーブ20の前面部20aとが接着剤30を介して接着されている。接着部31bでチャック付き袋10yの背面側の外面とスリーブ20の背面部20bとが接着剤30を介して接着されている。
そして、チャック付き袋10yをスリーブ20に挿入した後、接着部31a及び31bを接着剤30で接着することで、収納部115yの上端、すなわち、取出部113y側の端部の左右両側端が切欠き23の外部に露出する。
以上のような構成を有する複合容器1Yは、スリーブ20の左右両端を中央に押すことで、チャック部材12yの嵌合を解除するとともに取出部113yに形成される開口100を開くことが可能である。そして、チャック付き袋10yのように、取出部113yと収納部115yとを直接接続する構成とすることで、熱接着部111に傾斜部分を無くすことができる。これにより、製造が容易になり、製造に要する時間と手間を減らすことが可能である。また、製造が容易になることから、製造時に発生するばらつきを抑制することも可能である。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(第6実施形態)
本発明にかかる複合容器の第6の例について図面を参照して説明する。図16は、本発明にかかる複合容器の第6の例の正面図である。なお、本実施形態にかかる複合容器1Uは、スリーブ20uの形状が異なる。これ以外の点において、複合容器1Uは、複合容器1と同じ構成を有している。そのため、複合容器1Uにおいて、複合容器1と同じ構成を有する部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図16に示すように、複合容器1Uのスリーブ20uの前面部20aの上端部201及び背面部20bの上端部202が、チャック付き袋10の接続部114に前後に重なる位置に設けられている。このような構成であっても、用者は、片手で収納物を取り出すことが可能である。また、チャック付き袋の前面側及び背面側の摘持が不要であるため、チャック部材の嵌合の解除、すなわち、取付部に設けられた開口部の開閉が容易である。また、スリーブ20uが短いため、構成を簡略化できる。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(第7実施形態)
本発明にかかる複合容器の第7の例について図面を参照して説明する。図17は、本発明にかかる複合容器の第7の例の正面図である。図18は、図17に示す複合容器の開封前の斜視図である。なお、本実施形態にかかる複合容器1Zは、スリーブ20zの形状が異なる。これ以外の点において、複合容器1Zは、複合容器1と同じ構成を有している。そのため、複合容器1Zにおいて、複合容器1と同じ構成を有する部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
切欠き23の下方には、折り線241が設けられる。折り線241はスリーブ20zの前面部20aの左右の端部及び背面部20bの左右の端部にそれぞれ設けられ、内側に谷折りされるように形成される。折り線241は切欠き23から下方に延びている。そして、前面部20aに設けられた折り線241と背面部20bに設けられた折り線241との中間部分の両方と接触し、左右方向に延びる横折り線240が設けられる。
また、前面部20aに設けられる折り線241の下端部と背面部20bに設けられる折り線241の下端部とは、連結折り線243で連結される。連結折り線243の下端部は円滑な、例えば、微分可能な曲線で形成されている。そして、折り線241の下部には、下方に向かうにしたがって折罫22に接近するように傾斜した直線状の傾斜折り線242を備える。傾斜折り線242も、前面部20a及び背面部20bに設けられており、折罫22との交点を頂点とするV字状に配される。なお、傾斜折り線242は、折り線241の下端の連結折り線243よりも上方に、上下に並んで設けられている。傾斜折り線242は、2本に限定されず、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
横折り線240、折り線241、傾斜折り線242及び連結折り線243は、折罫22を挟んで線対称に形成されている。すなわち、横折り線240、折り線241、傾斜折り線242及び連結折り線243は、筒状に形成したスリーブ20zを前方から見たときに、前面部20aと背面部20bとに同じ形状で形成される。
横折り線240、折り線241、傾斜折り線242及び連結折り線243は、使用者が左右両端を押圧するときに、スリーブ20zに不規則なしわが形成されるのを抑制するために設けられる。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
本発明にかかる複合容器は、軟質樹脂フィルムにより形成した袋本体の上部の内面に一対のチャック部材を対向配置したチャック付き袋と、前面部と背面部と両側端の折罫とを有して厚紙により形成されるとともに前記チャック付き袋を挿通する筒状のスリーブとを備え、前記チャック付き袋の表面の少なくとも前記チャック部材と前後に重なる位置で前記スリーブを接着剤により接着した複合容器であって、前記チャック付き袋は、内部に物品を収納する収納部と、前記収納部の上部と連続して形成されるとともに左右方向の長さが前記収納部よりも短い取出部とを備える。
このように構成することで、本発明にかかる複合容器は、スリーブを左右から内側に押す、すなわち、握ることでチャック部材の嵌合を解除して、取出部から収納部に収納された物品(収納物)を外部に取り出すことが可能になる。これにより、使用者は、片手で収納物を取り出すことが可能である。また、チャック付き袋の前面側及び背面側の摘持が不要であるため、チャック部材の嵌合の解除、すなわち、取付部に設けられた開口部の開閉が容易である。
収納部から収納物を取り出す際、収納物は収納部から取出部に移動した後に、取出部に設けられた開口部から外部に取り出される。取出部の左右方向の長さは収納部よりも短いので収納部から取出部に移動する収納物の量が制限される。そのため、使用者が、複合容器を上下反対にしたり、複合容器を振ったりして、収納物を外部に取り出す場合にも、取り出される収納物の量が一定に制限される、すなわち、収納部から取り出される収納物の量の調整が容易である。また、取出部はチャック部材の嵌合を解除したとき、取出部は収納物を導くための管としての役割を果たす。取出部の左右方向の長さが短いことから、管としての役割を果たす場合において、管の内径が小さくなるため収納物を取り出すときに、収納物が拡散しにくい。すなわち、収納物を取り出すときに周囲に分散させることなく、所望する位置に導くことが可能である。
さらに、複合容器は、チャック部材が嵌合している状態のときには開口部を下にしても収納物が外部に漏れにくい。そのため、開口が狭い容器等に複合容器の収納物を移動させる際には、収納物の漏れを抑制しつつ取出部を容器の開口に挿入できる。そして、取出部を容器の開口に挿入した状態で、スリーブを操作する(握る)ことで、チャック部材の嵌合を解除して、収納部の収納物を開口が狭い容器に移動させることができる。これにより、使用者の手指や周囲に収納物が付着するのを抑制しつつ、収納物を複合容器から開口が狭い容器に簡単に移動させることができる。これらのことから、本発明にかかる複合容器は、使用者にとって利便性が高い。
上述した複合容器において、前記収納部と前記取出部とは、前記収納部から前記取出部に向かって左右方向の長さが小さくなる接続部を介して接続されている。このようにすることで、取出部を収納部の下になるように複合容器を傾けたときに、接続部によって収納部に収納された収納物が、取出部に導かれる。このように、接続部を備えることで、収納物の量が少ない場合でも収納物が取出部に移動しやすい。そのため、収納物の収納量にかかわらず、収納物を取出部から取り出すことが可能である。
上述した複合容器において、 前記スリーブの上端が、前記取出部と前後方向に重なるようにしてもよい。このようにすることで、チャック部材が配される位置にかかわらず、チャック部材の嵌合の解除をより確実に行うことができる。
上述した複合容器において、 前記チャック部材は、左右方向の長さが前記取出部よりも長い部分に配置されていてもよい。このようにすることで、収納物を取り出すときにチャック部材が邪魔になりにくい。これにより、収納物を容易に取り出すことが可能である。
上述した複合容器において、 前記チャック部材が、前記取出部に配置されている。このようにすることで、チャック部材と取出部の開口部までの長さを短くできるため、チャック部材の嵌合が解除されるときに、取出部が折れ曲がりにくくなり、開口部を確実に形成することができる。これにより、収納物を容易に取り出すことが可能である。
上述した複合容器において、 前記取出部は、側縁に開封用の一対の開封開始部と 前記前面部側又は前記背面部側の少なくとも一方に形成され、前記一対の開封開始部を連結する開封補助線と、を備えるこのようにすることで、開封が容易であるとともに、開口を一定の形状とすることが可能である。これにより、収納物を容易かつ確実に取り出すことが可能である。なお、開封補助線としては、中央部が下方に凹んだ曲線状の線、中央部が上方に突出した曲線状の線を挙げることができる。
上述した複合容器において、 前記チャック付き袋の下端部が、前記スリーブの下端部よりも下方に位置する。このようにすることで、チャック付き袋の下端から、収納物を充填することが可能である。これにより、取出部から収納物の充填が困難な場合でも、収納物を充填することが可能である。
上述した複合容器において、 前記紙スリーブの前面部及び背面部の下端部は、左右中央部分が上方に凹んだ辺縁形状を有する。このようにすることで、チャック付き袋の下端から収納物を充填するためにチャック付き袋の下端を開口させたとき、チャック部材の嵌合が解除されにくい。これにより、チャック部材よりも先端側に収納物が移動しにくく、チャック付き袋の開封と共に収納物が漏れる等の不具合が発生しにくい。