JP2019011025A - トロリ線曲げ工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回動可能に連結され、その回動端部から回動操作が入力される一対のハンドル21,22と、トロリ線Tの外周の片側から接する第一の接触部30及び第二の接触部40と、トロリ線の外周の逆側から接する第三の接触部50とを備え、一対のハンドルは梃子構造により、第一の接触部及び第二の接触部と第三の接触部とが相対的に接近又は離隔するように移動させ、工具の長手方向の一端部側に一対のハンドルの回動端部が位置し、工具の長手方向の他端部側に第一から第三の接触部が位置している。
【選択図】図1
Description
また、トロリ線は、パンタグラフが摺接した状態で使用されるので、外部からの衝撃や押圧による外乱を受けやすく、これらにより既設のトロリ線に曲がりや凹凸のクセが付いている場合もあった。
そして、楕円部材をトロリ線の一方の側面に当接させると共に一対の可動ローラーをトロリ線の他方の側面に当接させた状態で把手アーム部を操作して一対のアーム部を回動させて、可動ローラーの圧接によりトロリ線のクセの矯正を行っている。
また、機械の動力を利用する場合でも、出力の大きな大型機械が必要となるという問題があった。
上記構成によれば、二段階の梃子構造により、一対のハンドルから加える力に対して第一から第三の接触部によりトロリ線に大きな加圧力を加えることができる。
このような構成とすることにより、第一から第三の接触部の一方の突出側ともう一方の突出側とでそれぞれ外径のサイズが異なるトロリ線を容易に嵌め込むことができ、外径が異なる複数のトロリ線の矯正作業を良好に行うことができる。
このような構成とすることにより、第一から第三の接触部のいずれかが転動してトロリ線の位置ズレを生じることを抑制することができる。
このような構成とすることにより、トロリ線をドラムから引き出した後の地上における曲げ矯正作業において、スタンドに支えられた状態でトロリ線の矯正作業を行うことができ、トロリ線の重量による負担を軽減する。
また、スタンドは着脱可能であることから、必要に応じて使用することができる。
このような構成とすることにより、スタンドに支えられた状態でトロリ線の矯正作業を行う場合に、トロリ線曲げ工具を容易に傾けることができ、トロリ線の姿勢に応じて矯正作業を行うことができる。
このような構成とすることにより、トロリ線の矯正量を調節器で調節することができる。
さらに、本発明のトロリ線曲げ工具は、第一から第三の接触部でトロリ線の矯正作業を行うので、大きく湾曲した場合に限らず、局所的な凹凸等の種々の変形状態にあるトロリ線を矯正することができる。
また、二段階の梃子構造を備えるので、第一から第三の接触部からトロリ線に大きな加圧力を加えることができ、トロリ線が硬質材料からなる場合や径の大きな場合にも矯正す
ることが可能となる。また、これにより、機械の動力を利用する場合でも、出力の大きな大型機械を不要とし、小型の動力機械を使用することが可能となる。
従って、本発明により作業性の高いトロリ線曲げ工具を提供することが可能となる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態はトロリ線曲げ工具10を例示する。
図1はトロリ線曲げ工具10の平面図、図2は側面図である。
なお、以下の説明では、一対のハンドル21,22の長手方向に平行であって、一対のハンドル21,22が相互に回動する際の軌跡を含む平面を「回動面」とする。
一対のハンドル21,22は、同一構造であり、これらは、いずれも、剛性の高い金属、例えば、ステンレス製であって、図1に示すように、棒状の本体部211と、本体部211の一端部から延出された連結部212と、本体部211の他端部に設けられたグリップ213とを備えている。
円筒部214は、一端部が開口して本体部211を挿入可能である。また、他端部は閉塞され、その閉塞端面から延出部215が延出されている。また、円筒部214には、その外周から内側に貫通するネジ穴が二つ形成されており、各ネジ穴に螺入された止めネジにより本体部211に締結固定されている。
ボルト216は、支軸として機能し、ハンドル21とハンドル22とをそれぞれの長手方向に対して垂直な方向に沿った軸回りに回動可能に連結する。これにより、一対のハンドル21,22は、互いの回動端部を近接又は離隔させることができる。
さらに、図2に示すように、前述した回動面に垂直な方向の一方を「上」とし、回動面に垂直な方向の他方を「下」とする。
第一のレバー60は、一端部がハンドル21の延出部215の中間部に回動可能に連結され、他端部は第一の接触部30を支持している。
さらに、第一のレバー60は、他端部近傍から、その長手方向に対して概ね直交する方向であって後述する第二のレバー70側に向かって延出されたアーム部61を備えており、後述する第二のレバー70のアーム部71と回動可能に連結されている。
そして、第一のレバー60の一端部では、断面コ字状の内側にハンドル21の延出部215を挿入させた状態で、ボルト62により連結されている。
ボルト62は、支軸として機能し、第一のレバー60とハンドル21の延出部215とを上下方向に沿った軸回りに回動可能に連結する。
さらに、第二のレバー70は、他端部近傍から、その長手方向に対して概ね直交する方向であって第一のレバー60側に向かって延出されたアーム部71を備えており、前述したように、第一のレバー60のアーム部61と回動可能に連結されている。
そして、第二のレバー70の一端部では、断面コ字状の内側にハンドル22の延出部215を挿入させた状態で、ボルト72により連結されている。
ボルト72は、支軸として機能し、第二のレバー70とハンドル22の延出部215とを上下方向に沿った軸回りに回動可能に連結する。
従って、一対のハンドル21,22と第一及び第二のレバー60,70は、いずれも同一の平面(回動面)に沿って回動動作を行うように連結されている。
さらに、第一と第二のレバー60,70は、それぞれが、ボルト63を支点、ボルト62,72を力点とし、第一と第二の接触部30,40を作用点とする梃子構造を構成している。
そして、各ハンドル21,22において、支点(ボルト216)から力点(グリップ213)までの長さは、支点(ボルト216)から作用点(ボルト62,72)までの長さよりも十分に長い。
また、第一と第二のレバー60,70において、支点(ボルト63)から力点(ボルト62,72)までの長さは、支点(ボルト63)から作用点(第一と第二の接触部30,40)までの長さよりも十分に長い。
従って、一対のハンドル21,22と第一と第二のレバー60,70は、二段階の梃子構造を構成し、それぞれの梃子構造が各ハンドル21,22のグリップ213から入力される力を増力するので、第一と第二の接触部30,40においてトロリ線Tにより大きな曲げ荷重を付与することができる。
第一及び第二の接触部30,40は、第一及び第二のレバー60,70の上面から上方に突出した状態で設けられた当接部材としての第一のコマ部材31と、第一及び第二のレバー60,70の下面から下方に突出した状態で設けられた当接部材としての第二のコマ部材32と、第一のコマ部材31と第二のコマ部材32とを回転可能に軸支するボルト33とを備えている。
第二のコマ部材32は、外周に凹部としての凹溝321を有し、第一のコマ部材31よりも小径な滑車状の部材であり、その中心を貫通したボルト33によって回転可能に支持されている。
従って、第一のコマ部材31と第二のコマ部材32は硬質の樹脂から形成されている。これにより矯正作業の際に、トロリ線Tに対する傷の発生を低減することができる。なお、第一のコマ部材31と第二のコマ部材32のトロリ線Tに接触する外周部分のみを樹脂で形成して、その内側は強度の高い金属から形成しても良い。
このボルト33は、支軸として機能し、第一のコマ部材31と第二のコマ部材32とを上下方向に沿った軸回りに回転可能に支持する。
また、同様にして、第一の接触部30の第二のコマ部材32と第二のレバー70の下面との間にも図示しないスペーサーが介挿されており、第一の接触部30の第二のコマ部材32と第二の接触部40の第二のコマ部材32との高さも等しくなるように調整されている。
第三の接触部50は、第一のレバー60のアーム部61の上面から上方に突出した状態で設けられた当接部材としての第一のコマ部材51と、第二のレバー70のアーム部71の下面から下方に突出した状態で設けられた当接部材としての第二のコマ部材52とを備えており、これらは前述したアーム部61,71を連結するボルト63により支持されている。
第一のコマ部材51と第二のコマ部材52は、いずれも、平面視で略扇状であり、その中央部にはボルト63を挿通する上下方向に沿った貫通孔513,523が形成されている。
また、第一及び第二のコマ部材51,52の前端部には、その周面に沿って凹部としての凹溝511,521が形成されている。
また、第二のコマ部材52の凹溝521は、前述した第二のコマ部材32の凹溝321との協働により、トロリ線Tが上下にずれないようにその外周をホールドするためのものである。
第一のコマ部材51と第二のコマ部材52の凹溝511,521の断面形状は、いずれも後方に凹となる円弧状である。
そして、第一のコマ部材51の凹溝511の断面形状は前述した第一のコマ部材31の凹溝311と径の等しい円弧状であり、第二のコマ部材52の凹溝521の断面形状は前述した第二のコマ部材32の凹溝321と径の等しい円弧状である。
また、第一の接触部30の第二のコマ部材32の凹溝321と第二の接触部40の第二のコマ部材32の凹溝321と第三の接触部50の第二のコマ部材52の凹溝521とは、いずれも小径であって径の等しい円弧状であることから、凹溝321,521は溝が深くなり、各溝の底部の距離が広がるので、これらは外径の大きなトロリ線Tのクセ直し作業を好適に行うことができる。
そして、第一のコマ部材51と第二のコマ部材52とは、これらの平坦面512、522の両方に密着する平板状の規制板53により連結されている。
従って、第一のコマ部材51及び第二のコマ部材52はボルト63により支持されているが、規制板53によって、ボルト63を中心とする回動が規制される。
これにより、第一及び第二のコマ部材51,52は、それぞれの凹溝511,521を第一の接触部30の第一及び第二のコマ部材31,32と第二の接触部40の第一及び第二のコマ部材31,32とに向けた状態を維持することができる。
一対のハンドル21,22には、個別に、調節器80が設けられている。
それぞれの調節器80は、円筒部214の外周面に形成されたネジ穴に螺合する調節ネジ81と、調節ネジ81の途中部分に設けられた蝶ナット82とからなる。
そして、ハンドル21側のネジ穴は、円筒部214の外周面のハンドル22側の部分に設けられ、ハンドル22側のネジ穴は、円筒部214の外周面のハンドル21側の部分に設けられている。
また、各調節ネジ81は回転により突出量が変わるので、これにより、一対のハンドル21,22の接近可能な回動範囲を調節することができる。
なお、蝶ナット82は、調節ネジ81の回転によりその突出量を決定した後に、調節ネジ81が回転しないように締結し、調節ネジ81の位置を固定することができる。
図4はスタンド90の全体図、図5はスタンド90の部分拡大図である。
スタンド90は、トロリ線曲げ工具10の前端部近傍における下部、より具体的には、ボルト63の上端部又はボルト63を締結するためのナット64の下端部に対して着脱可能に装備することができる。図2は、スタンド90がナット64の下端部から下方に垂下された状態で装備された状態を示している。
キャップ92は、ゴム、樹脂等からなる。
ボス部材93の下端部と支柱91の上端部には、それぞれ縮径部が形成され、これらがコイルバネ94の一端部と他端部とにそれぞれ挿入されている。そして、コイルバネ94は、ジョイント部材95の内部において、ボス部材93の下端部と支柱91の上端部とを連結している。
また、ボス部材93のピン931は、ジョイント部材95の上端部が当接し、ストッパーとなっている。
そして、ボス部材93と支柱91は、コイルバネ94で連結されると共に、その周囲をさらにジョイント部材95で連結されている。これらは揺動構造を構成している。
この揺動構造により、支柱91とボス部材93の間で撓みが生じて、ボス部材93は支柱91の周囲360°のいずれの方向にも揺動することができるようになっている。
従って、スタンド90をトロリ線曲げ工具10に装着した状態でトロリ線のクセの矯正作業を行う場合に、トロリ線曲げ工具10の先端部をあらゆる方向に傾けることができ、トロリ線Tの形状や姿勢に応じて適正な向きで作業を行うことができる。
また、球体96の背後には押圧バネ97が配置されており、球体96を外側に向かって押圧している。
かかる構造により、球体96の一部がボス部材93の外周から突出した状態となる。また、球体96は押圧バネ97に抗して押し込み可能となっている。
なお、有底穴932内には、球体に限らず、先端が縮径或いは丸みを帯びた筒状ピンを格納しても良い。
上記構成からなるトロリ線曲げ工具10のトロリ線のクセの矯正作業について説明する。
ここでは、図2に示すように、トロリ線曲げ工具10の前端部にスタンド90を装着した状態で作業を行う場合を例示する。
そして、作業者は、一対のハンドル21,22のグリップ213を握り、各ハンドル21,22の回動端部側を左右方向に開くように回動操作する。
これにより、第一及び第二の接触部30,40が前方に、第三の接触部50が後方に移動し、互いに前後方向について離隔する。
また、トロリ線Tの配置に前後して、一対のハンドル21,22の各調節器80の調節ネジ81の突出量を一対のハンドル21,22が閉じすぎないように適宜調節する。
これにより、トロリ線Tの凸状部分が、第一の接触部30の第一のコマ部材31と第二の接触部40の第一のコマ部材31との間で第三の接触部50の第一のコマ部材51により押し込まれ、矯正が行われる。
なお、各調節器80の調節ネジ81の突出量が正確に調節されている場合には、各調節ネジ81同士が当接するまで一対のハンドル21,22の回動端部側が互いに接近する方向に回動させる。
上記トロリ線曲げ工具10は、第一から第三の接触部30〜50が工具の前端部側に配置され、一対のハンドル21,22の回動端部が工具の後端部側に配置されているので、作業者はトロリ線曲げ工具10の後端部を持ち、前端部をトロリ線Tに向けた状態で矯正作業を行うことができる。
従って、トロリ線曲げ工具10を自由な方向に向けて矯正作業を行うことができるので、トロリ線Tがどのような向きであっても矯正作業を行うことができ、作業性の向上を図ることが可能となる。
また、トロリ線Tが布設前の地面に置かれた状態であっても、布設されて吊下された状態であっても、矯正作業を容易に行うことが可能となる。
これにより、トロリ線曲げ工具10の第一から第三の接触部30〜50の上側と下側とで外径のサイズが異なるトロリ線Tを容易に嵌め込むことができ、外径について広い範囲のトロリ線Tの矯正作業を行うことが可能となる。
また、スタンド90は、着脱可能であることから、必要に応じてスタンド90を使用することができる。
さらに、スタンド90は、当該スタンド90を中心とする周囲360°いずれの方向に揺動可能な揺動構造を有しているので、トロリ線Tの矯正作業を行う場合に、スタンド90を除くトロリ線曲げ工具10の全体を任意の方向に容易に傾けることができ、作業に適した姿勢で矯正作業を行うことができる。
上記トロリ線曲げ工具10では、第三の接触部50の第一のコマ部材51と第二のコマ部材52とが規制板53により回転しないように固定される構成を例示したが、第一又は第二の接触部30,40のいずれか一方の第一及び第二のコマ部材を回転しないように規制し、第三の接触部50の第一のコマ部材を滑車状とし、回転可能としても良い。
また、上記トロリ線曲げ工具10は、手動によるトロリ線の矯正作業を例示したが、上記トロリ線曲げ工具10に対して機械的な動力を接続し、一対のハンドル21,22から回動動作を入力する構成としても良い。
そのような構成とした場合、出力の小さな小型の動力機械を使用することが可能である。
21,22 ハンドル
211 本体部
212 連結部
213 グリップ
214 円筒部
215 延出部
216 ボルト
30 第一の接触部
31,51 第一のコマ部材(当接部材)
32,52 第二のコマ部材(当接部材)
311,321,511,521 凹溝(凹部)
33 ボルト
40 第二の接触部
50 第三の接触部
512,522 平坦面
53 規制板
60 第一のレバー
61,71 アーム部
62,63,72 ボルト
64 ナット
70 第二のレバー
80 調節器
90 スタンド
91 支柱
94 コイルバネ
95 ジョイント部材
T トロリ線
Claims (6)
- 回動可能に連結され、その回動端部から回動操作が入力される一対のハンドルと、
トロリ線の外周の片側から接する第一の接触部及び第二の接触部と、
前記トロリ線の外周の逆側から接する第三の接触部とを備え、
前記一対のハンドルから、二段階の梃子構造を介して、前記第一の接触部及び前記第二の接触部と前記第三の接触部とが相対的に接近又は離隔するように移動させることを特徴とするトロリ線曲げ工具。 - 前記第一から第三の接触部は、いずれも、前記一対のハンドルの回動中心線に沿った方向の一方と他方の両方に向かって突出した状態で設けられ、
前記第一から第三の接触部は、いずれも、前記一対のハンドルの回動中心線に沿った方向の一方と他方の両方に、前記トロリ線が嵌まる凹部を有する当接部材を備えており、
前記第一から第三の接触部の、前記一対のハンドルの回動中心線に沿った方向の一方に設けられた前記当接部材の凹部と、前記一対のハンドルの回動中心線に沿った方向の他方に設けられた前記当接部材の凹部は、外径のサイズが異なるトロリ線が嵌まる大きさで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトロリ線曲げ工具。 - 前記第一から第三の接触部は、いずれも、前記トロリ線が嵌まる凹部を有する当接部材を備えており、
前記第一から第三の接触部の少なくとも一つは、前記凹部の向きが変わらぬように、保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトロリ線曲げ工具。 - 工具に対して着脱可能なスタンドを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のトロリ線曲げ工具。
- 前記スタンドは、前記工具を揺動可能とする揺動構造を有していることを特徴とする請求項4に記載のトロリ線曲げ工具。
- 前記一対のハンドルの回動範囲を調節する調節器を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のトロリ線曲げ工具。
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