従来のロックピンを用いたハンドルロック機構では、ロックピンをロック位置とアンロック位置との間で車体前後方向あるいは車体上下方向に移動させる必要があるのでロックピンの移動距離が比較的大きくなる。したがって、ハンドルロック機構の占有容積が大きくなり、型式やサイズの異なる様々な車体へ簡単に取り付けることが難しかった。
本発明の目的は、上記の技術課題を解決し、ロックピンを用いたハンドルロック方式を採用しながら小型で取付自由度の高いハンドルロック装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、鞍乗り型車両のハンドルをロックするハンドルロック装置において、以下の構成を具備した点に特徴がある。
(1) 車体フレーム側に固定され、一端にロックピンを備えたロックアームを回動させるロックアーム駆動手段と、ハンドル操舵に連動して回動する回動部に設けられ、ロックピンと係合することでハンドル操舵をロックする係合溝を有するロックピン係合手段とを具備し、ロックアーム駆動手段は、ロックピンがロック指令時に係合溝と係合し、アンロック指令時に係合溝から離脱するようにロックアームを回動させるようにした。
(2) ハンドル操舵が、ロックピンの側面と係合溝のハンドルロック側の側壁との当接によりロックされるようにした。
(3) 係合溝のハンドルロック側の側壁が、ロックピンの当接力によりロックピンを係合溝側へ移動させる力を発揮させる向きに構成されるようにした。
(4) ハンドルの左右操舵限界を規定するハンドルストップ機構を具備し、ロックピンと係合溝とがハンドルの左右操舵限界の舵角において係合するようにした。
(5) ロックピンと係合溝とがハンドルの左右操舵限界の舵角以外では係合できないようにした。
(6) ロックピン係合手段を、フロンフォークをハンドルポストに対して操舵自在に支持するブリッジ部材の側面に沿って張り出すように構成されたフランジ形状とした。
(7) ロックアーム駆動手段が、ハンドルの操舵軸と略平行な回動軸にロックアームの他端が連結されたモータを具備し、モータを一方側へ回動させることでロックピンを係合溝に係合させ、モータを他方側へ回動させることでロックピンを係合溝から離脱させるようにした。
(8) 車体フレーム側に固定されたロックピン保持部を更に設け、ロックアーム駆動手段が、ハンドルの操舵軸と平行な回動軸を有するモータと、モータの回動軸に略中央部が連結され、ロックピンが一端および他端に設けられたロックアームとを具備し、モータを一方側へ回動させることで一端および他端のロックピンをそれぞれ係合溝及びロックピン保持部に係合させ、モータを他方側へ回動させることで一端および他端のロックピンをそれぞれ係合溝およびロックピン保持部から離脱させるようにした。
(9) ロックアーム駆動手段を収容するハウジングを具備し、ロックアームがハウジングの開口部から外部へ延設されるようにした。
(10) 車体フレーム側に固定され、係合溝に係合しているロックピンを保持する第2ロックピン保持部を具備した。
(11) 第2ロックピン保持部が、左右一対の腕部でロックピンの側部を弾性的に挟み込むように構成されクリップ型であり、各腕部の先端部内側に係止用突起を設けた。
(12) ロックピンが係合溝と係合する位置まで移動したことを検知する手段と、検知結果を報知する手段とを具備した。
(13) 車両の運転状態に応じてハンドルロックの許否を判断する手段を更に設け、ハンドルロックが許可されないとロックアーム駆動手段によるロックピンの移動が禁止されるようにした。
(14) ハンドルロックの許否を判断する手段は、エンジン回転数および/または車速に基づいてハンドルロックの許否を判断するようにした。
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1) ロックピンをロックアームの一端に設け、ロックアームを回動させてロックピンを係合溝に係合/解除させることでハンドルのロック/アンロックを実現するので、ロックアームの長さを調整するだけで様々な車両への搭載が可能になり、ハンドルロック機構を鞍乗り型車両に搭載する際の自由度を向上させることができる。
(2) ハンドルロックが、ロックピンを係合溝内へ移動させてロックピンの側面を係合溝の側壁に当接させることで実現されるので、ハンドルロック時のハンドルの厳密な位置決めが不要になる。
(3) 係合溝のハンドルロック側の側壁を、ロックピンの当接力によりロックピンを係合溝側へ移動させる力を発揮させる向きに構成したので、ハンドルロック状態でハンドルを操舵させる力が加わっても係合溝からロックピンが外れることを防止できる。
(4) ロックピンと係合溝とがハンドルの左右操舵限界の舵角において係合するようにしたので、操舵限界からハンドルを戻す側の動きを規制するだけでハンドルロックを実現できる。
(5) ロックピンと係合溝とがハンドルの左右操舵限界の舵角以外では係合できないようにしたので、ハンドルの左右操舵限界の舵角以外でハンドルがロックされることを防止できる。
(6) 係合溝をハンドルブリッジ部材の側面に沿って張り出すように構成されたフランジ部に設けたので、デッドスペースの有効利用が可能になる。
(7) 一端にロックピンを備えたロックアームをモータで回動させるようにしたので、ハンドルのロック/アンロックをモータの回動方向の切り替えだけで実現できるようになる。
(8) ロックアームの両端にロックピンを設け、ロックアームの一端に設けたロックピンが係合溝に係合するときに、ロックアームの他端に設けたロックピンが、別途に設けたロックピン保持部により保持されるようにしたので、ハンドルロック時のハンドルに加わる操舵力を2か所に分散でき、より強固なハンドルロックが可能になる。
(9) モータをハウジング内に収容し、ロックアームをハウジングに設けた開口部から外方へ延設するようにしたので、ハウジングによるモータの強固な支持を実現しながらロックアームによるロックピンの移動を実現できるようになる。
(10) 係合溝に係合しているロックピンを更に保持する第2ロックピン保持部を設け、ハンドルロック状態ではロックピンが係合溝および第2ロックピン保持部の2か所で、その動きを規制されるので、強固なハンドルロックが可能になる。
(11) 第2ロックピン保持部を、左右一対の腕部でロックピンの側部を弾性的に挟み込むように構成されクリップ型としたので、厳密な位置決めを行うことなくロックピンを保持できるようになる。
(12) ロックピンが係合溝と係合する位置まで移動したか否かを検知し、その検知結果を報知するようにしたので、ハンドルロックが正常に行われたか否かを簡単に認識できるようになる。
(13) 車両の運転状態に応じてハンドルロックが許可または禁止されるので、走行時のハンドルロックを確実に防止できるようになる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明のハンドルロック装置を搭載した鞍乗り型車両のフレーム構造を示した右部分側面図であり、ここでは、本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
左右一対のフロントフォーク101(R,L)は、ヘッドパイプ102の中心軸Oに沿って挿通されたステアリングステムSTに対して、ヘッドパイプ102の上部でトップブリッジ103により、またヘッドパイプ102の下部でボトムブリッジ104により、左右方向への操舵自在に支持されている。フロントフォーク101(R,L)の下端部では前輪Wfが回動自在に支持されている。フロントフォーク101の上方前部はフロントカウル113で覆われている。
ヘッドパイプ102から車両後方へ左右一対のメインフレーム105(R,L)が延設され、さらに車両後ろ下方へ左右一対のアンダーフレーム106(R,L)が延設されている。ヘッドパイプ102の上部ではハンドルクランプ107によりハンドル108が支持され、ハンドル108の右側端部にはスロットルグリップ109が設けられている。
メインフレーム105とアンダーフレーム106との間にはエンジンEおよび吸気装置110が配置されている。燃料タンク112は、メインフレーム105を跨るように搭載されている。さらに、本実施形態ではヘッドパイプ102の車両後方側にハンドルロック駆動装置200が取り付けられている。
図2は、前記ハンドルロック装置200の取り付け構造および当該ハンドルロック装置200と協働してハンドルロックを実現するハンドルストップ機構の構造を示した斜視図であり、図1と同一の部分には同一の符号を付している。
前記ボトムブリッジ104には、ヘッドパイプ用の貫通孔に隣接して左右一対のストップピン122(L,R)が立設され、ヘッドパイプ101の対応位置には、その周方向に沿って円弧上のストップフランジ121が固定されている。前記ストップピン122(L,R)およびストップフランジ121は、ハンドル操舵を左右の操舵限界に制限するストップ機構を構成し、ハンドル108の左右操舵限界は、ストップフランジ121の左右端部と左右の各ストップピン(L,R)との当接により規定される。
前記トップブリッジ103には、その車体フレーム側の端部に沿って、ロックピン201が係合する溝123を有するロックピン係合フランジ125がアルミダイキャスト等により一体的に設けられている。ハンドルロック装置200は、ヘッドパイプ102の後方に取り付けられた取付板124に対してねじ止め固定されている。前記ハンドルロック装置200は、後述するようにステッピングモータMを備え、ハンドルロック指令があると、一端にハンドルロックピン201を備えたロックアーム207を略水平方向へ回動させ、前記ロックピン係合フランジ125の係合溝123にロックピン201を係合させることでハンドルロックを実現する。
図3は、前記ハンドルロック装置200の動作を示した上面図であり、図4は、ハンドルロック装置200の構造を示した横断面図である。
ハンドルロック装置200は、ステッピングモータMと、ステッピングモータMをケーシング210に対して支持する支持部材203と、モータ軸206をケーシング210に対して回動自在に支持するベアリング204,205と、前記ハンドルロックピン201が一端に立設されたロックアーム207をモータ軸206に固定するフランジ209と、ステッピングモータMの回動方向および回動角度を制御する制御回路208とを主要な構成とする。
ロックアーム207には磁石212が取り付けられ、ハウジング210には、ロックアーム207がロック位置まで回動されたときに前記磁石212と対向する位置にホール素子213が設けられている。ハウジング210は取付板124に対して4本のネジ211で固定され、取付板124はハンドルポスト102およびメインフレーム105(R)に対して溶接255により固定されている。ハウジング201には、前記ロックアーム207を延設するための開口部214が設けられている。
図5,6,7は、ハンドル108を左右の操舵限界角度においてロックする方法を模式的に示した図である。図5はアンロック状態、図6は右操舵限界でのロック状態、図7は左操舵限界でのロック状態を示している。
ハンドルの操舵角が左右の限界内であれば、図5に示したように、ロックピン201はロックピン係合フランジ125の凸状の非係合部123cと当接するので、例えばアーム207が回動されてもハンドルをロックできない。
これに対して、図6に示したように、ストップフランジ121の左端面と左ストップピン122とが当接して更なる右操舵が規制される右操舵限界までハンドル108が操舵されると、ロックピン201がロックピン係合フランジ125の右側の係合溝123bと対向する。この状態で、ステッピングモータMが正転されてロックアーム207が回動されるとロックピン201が係合溝123b内まで回動されるので、ハンドル108の右操舵のみならず左操舵も、係合溝123bの側壁とロックピン201の側面との当接により制限される。したがって、ハンドル108は右操舵角限界位置で完全にロックされることになる。
なお、本実施形態では図6に拡大かつ誇張して示したように、ハンドルロック状態でロックピン201と当接する係合溝123のハンドルロック側の側壁129が、ロックピン201の側面202との当接力により当該ロックピン201を係合溝側へ移動させる力を発揮できるように、ロックピン201の動線L1と側壁102の延長戦L2とが所定の角度θで交わるようにしている。このようにすることで、ハンドルロック状態でハンドルを操舵させる力が加わっても係合溝123からロックピン201が外れにくくできる。
同様に、図7に示したように、ストップフランジ121の右端面と右ストップピン122とが当接して更なる左操舵が規制される右操舵限界までハンドル108が操舵されると、ロックピン201がロックピン係合フランジ125の左側の係合溝123aと対向する。この状態で、ステッピングモータMが正転されてロックアーム207が回動されるとロックピン201が係合溝123a内まで回動されるので、ハンドル108の左操舵のみならず右操舵も、係合溝123aの側壁とロックピン201の側面との当接により制限される。したがって、ハンドル108は左操舵角限界位置で完全にロックされることになる。
このように、本実施形態のハンドルロックは、ロックピン201を係合溝123内へ移動させてロックピン201の側面を係合溝123の側壁に当接させることで実現されるので、ハンドルロック時のハンドルの厳密な位置決めが不要になる。
図8は、前記制御回路208の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、ハンドルのロック信号/アンロック信号を無線通信により取得する無線通信部410と、受信信号の認証し、ロック指令およびアンロック指令のいずれであるかを識別する認証識別部420と、ロック指令時に前記ロックアーム207をロック位置まで回動してハンドルをロックし、またアンロック指令時に前記ロックアーム207をアンロック位置まで回動してハンドルをアンロックするロックアーム駆動部430とを主要な構成としている。
なお、本実施形態では前記制御回路208に無線通信部410、認証識別部420およびロックアーム駆動部430の全てを実装する場合を例にして説明するが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、その一部の機能をECU等に分散して実装するようにしても良い。
無線通信部410は、アンテナATで受信したロック指令/アンロック指令の無線信号を復調部411で復調して認証識別部420へ提供する。認証識別部420において、認証部421は、受信信号に含まれる識別コードと既登録の識別コードとを比較、照合して受信信号の正当性を評価する。識別部422は、自車宛ての受信信号がロック指令及びアンロック指令のいずれであるかを識別し、識別結果をロックアーム駆動部430へ通知する。
ロックアーム駆動部430において、ロック規制部431は、ECUがエンジン回転数NEおよび車速Vに基づいて決定したハンドルロックの許否を判断する。本実施形態では、エンジン回転数NEが所定回転数以下及び車速VがゼロであればECUがロック許可信号を出力するので、ロック規制部431はロック許可信号の有無に基づいてハンドルロックの許否を判断する。
モータ駆動部432は、ロック指令が検知されたときにECUがハンドルロックを許可していると、ステッピングモータMを正転させてロックアーム207を所定のロック位置まで回動させるパルス信号を発生する。
これに対して、アンロック指令が検知されると、ステッピングモータMを逆転させてロックアーム207を所定のアンロック位置まで回動させるパルス信号を発生する。ステップモータMの動作モードに制限はなく、フルステップモード、ハーフステップモードおよびマイクロステップモードのいずれで動作させても良い。
位置判定部433は、ロック指令に応答して所定のパルス信号を出力した後、前記ホール素子213の出力信号に基づいて、ロックアーム207が所定のロック位置まで回動されてハンドルロックが完了したか否かを判断する。
報知部434は、前記位置判定部433による判定結果をスピーカ440から出力する。本実施形態では、ロックアーム207が所定のロック位置まで回動されていれば所定のロック完了音を出力し、ロックアーム207が所定のロック位置まで回動されていなければ所定の警報音を出力する。
本実施形態によれば、ロックアーム207の長さを調整するだけで様々な車両への搭載が可能になり、ハンドルロック機構を鞍乗り型車両に搭載する際の自由度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、ロックピン201と係合溝123とがハンドルの左右操舵限界の舵角において係合するようにしたので、操舵限界からハンドルを戻す側の動きを規制するだけでハンドルロックを実現できる。しかも、ロックピン201と係合溝123とがハンドルの左右操舵限界の舵角以外では係合できないようにしたので、ハンドルの左右操舵限界の舵角以外でハンドルがロックされることを防止できる。
さらに、本実施形態によれば、係合溝123をハンドルブリッジ部材の側面に沿って張り出すように構成されたフランジ部125に設けたので、デッドスペースの有効利用が可能になる。
さらに、本実施形態によれば、一端にロックピン201を備えたロックアーム207をモータMで回動させるようにしたので、ハンドルのロック/アンロックをモータの回動方向の切り替えだけで実現できるようになる。
図9は、本発明の第2実施形態に係るハンドルロック装置のロック機構を示した図であり、前記と同一の符号は同一又は同等部分を表している。
図10は、アンロック時におけるロックアーム207とロックピン係合フランジ125との相対的な位置関係を示した図であり、図11は、右操舵限界でのロック時におけるロックアーム207とロックピン係合フランジ125との相対的な位置関係を示した図である。図12は、前記ハンドルロック装置200の横断面図である。
本実施形態では、ロックアーム207がその中央位置においてモータ軸206と連結され、ロックピン201がロックアーム207の一端のみならず他端にも立設され、一端側のロックピン201aがロック位置まで移動すると、他端側のロックピン201bがロックピン保持部131に保持される。前記ロックピン保持部131は、車体フレームの適所に溶接255等の適宜の手段により強固に固定されている。
本実施形態によれば、ロック状態のハンドルに加わる操舵力を2つのロックピン201a,201bに分散できるので、大きな操舵力が加わった場合でも、これをモータ軸206のみならずロックピン保持部131でも支持できる。したがって、より強固なハンドルロックを実現できるようになる。
図13は、本発明の第3実施形態に係るハンドルロック装置のロック機構を示した図であり、前記と同一の符号は同一又は同等部分を表している。
上記の第2実施形態では、ロック状態のハンドルに加わる操舵力を2か所に分散させるために、ロックアーム207の両端にロックピン201a,201bを立設し、各ロックピン201a,201bの動きを異なる部材(123,131)で規制していた。これに対して、本実施形態では第1実施形態と同様に、ロックピン201はロックアーム207の一端のみに設け、このロックピン201を2つの独立した保持部材(123,401)で保持するようにした点に特徴がある。
ハンドルポスト102には、車体後方を指向してクリップ状保持部401が溶接255により強固に立設固定されている。クリップ状保持部401は、左右一対の保持アーム401a、401bを弾性的に片持ち支持して構成され、各保持アーム401a、401bの先端内側には、一対の離脱防止突起402a,402aが相互に対向するように設けられている。
本実施形態では、後に図14を参照して詳述するように、離脱防止突起402a,402aが2つの傾斜面の頂部として構成されているので、ロックピン201がクリップ状保持部401に保持される際およびクリップ状保持部401から離脱する際に、ロックピン201が各保持アーム401a、401bを円滑に押し開くことを可能にしながら、クリップ状保持部401からのロックピン201の意図しない離脱を防止できるようにしている。
図14は、ロックアーム207の回動によりロックピン201がクリップ状保持部401の両保持アーム401a、401bにより、そのハンドル操舵方向への動きが規制されてハンドルロックが実現される様子を時系列で示した図である。本実施形態では、離脱防止突起402a,402aがいずれも、2つの傾斜面402b,402cの頂部として構成されている。
ハンドルが左右の操舵限界まで操舵された状態でロック指令が検知されると、同図(a)に示したように、ロックアーム207の回動によりロックピン201がクリップ状保持部401の両保持アーム401a、401b間に向かって回動を開始する。ロックアーム207の回動が更に進むと、同図(b)に示したように、ロックピン201が各保持アーム401a、401bの傾斜面402cに当接し、各保持アーム401a、401bを、その弾性力に抗して押し開くようにして進み、前記突起部402aを超えることで前記係合溝123に係合する位置へ到達する。そして、同図(c)に示したように、ロックピン201が前記係合溝123と係合する相対位置では、離脱防止突起402a,402aによりロックピン201の係合溝123からの離脱が阻止されるので、意図しないハンドルロック解除が防止される。
なお、アンロック指令に応答してロックピン201がクリップ状保持部401から離脱する際も、ロックピン201が各保持アーム401a、401bの傾斜面402bに当接し、各保持アーム401a、401bを、その弾性力に抗して押し開くようにして戻り、前記突起部402aを超えることで前記係合溝123から離脱できる。
本実施形態では、ハンドルロック状態において、ロックピン201のハンドル操舵方向への動きを2か所で規制できるので、より強固なハンドルロックを実現できるようになる。
メインフレーム105とアンダーフレーム106との間にはエンジンEおよび吸気装置110が配置されている。燃料タンク112は、メインフレーム105を跨るように搭載されている。さらに、本実施形態ではヘッドパイプ102の車両後方側にハンドルロック装置200が取り付けられている。
ロックアーム207には磁石212が取り付けられ、ハウジング210には、ロックアーム207がロック位置まで回動されたときに前記磁石212と対向する位置にホール素子213が設けられている。ハウジング210は取付板124に対して4本のネジ211で固定され、取付板124はヘッドパイプ102およびメインフレーム105(R)に対して溶接255により固定されている。ハウジング201には、前記ロックアーム207を延設するための開口部214が設けられている。
なお、本実施形態では図6に拡大かつ誇張して示したように、ハンドルロック状態でロックピン201と当接する係合溝123のハンドルロック側の側壁129が、ロックピン201の側面202との当接力により当該ロックピン201を係合溝側へ移動させる力を発揮できるように、ロックピン201の動線L1と側壁129の延長戦L2とが所定の角度θで交わるようにしている。このようにすることで、ハンドルロック状態でハンドルを操舵させる力が加わっても係合溝123からロックピン201が外れにくくできる。