JP2019010781A - インクジェット記録用圧着用紙及びその製造方法 - Google Patents
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水性顔料インク中の色材顔料は色材染料と異なり水に不溶であるので、インク中に色材顔料を安定に分散させるために色材顔料の比率をあまり上げることができず、鮮明な発色が得られにくい。また、発色濃度を上げる方法の一つとしてインク吸収性の高いシリカ等の填料の配合率を増やすというものもあるが、圧着葉書としての適切な接着力を保持させるためには印字面(圧着用紙においては感圧接着剤塗工層)への填料の配合量を一般的なインクジェット記録用紙程に上げることも好ましくない。
水性顔料インク中の色材顔料は、色材染料と比較して感圧接着剤組成物の塗工層内への吸収性が悪く、塗工層上に色材顔料が残存し易い。このため、塗工層上に残存した色材顔料がドライシーラーで圧着されそのまま保持される間に対向面に転移し、圧着葉書を剥離した際に転移した色材顔料により文字やバーコードの判読が困難になるという問題がある。
吸収性の悪い水性顔料インクを吸収させるためにシリカ等の吸水性の高い填料の配合比率を高くすると、インク付着量を多くした場合、印字された塗工層の塗工層強度が弱くなるために、圧着用紙をドライシーラーで圧着して封滅処理をする際に、ドライシーラーの加圧ロールに色材顔料が剥ぎ取られてロールを汚し、この状態が継続すれば加圧ロールに蓄積した汚れが圧着用紙を汚すという問題が発生する。
各実施例及び比較例における糊化澱粉は次の手順で作成されたものである。原料となる粉末粒子状の澱粉30質量部と水70質量部とを混合し、得られたスラリーを撹拌しながらスラリーに水蒸気を入れることにより加熱し、90℃以上で60分保持した後、加水により冷却と濃度調整を行うことで原料となる澱粉の糊化澱粉が得られる。得られた糊化澱粉の固形分濃度は17質量%であった。
感圧接着剤組成物の調整:無機顔料として、平均粒子径7.0μmで吸油量が300〜330ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−807/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)100質量部と、消泡剤2.8質量部とを水中に添加して十分に分散した後、バインダーとしてケン化度95.5〜97.5mol%の中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)39質量部と尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:MS#4000/日本食品化工社製)を原料とした糊化澱粉10質量部、非剥離性感圧接着剤基剤として天然ゴムにメタクリル酸メチルを重合した天然ゴム系ラテックス122質量部を混合し、高級脂肪酸系潤滑剤0.9質量部を添加した後、インク定着剤として硫酸マグネシウム5.6質量部、澱粉粒子として平均粒子径18μmの小麦粉澱粉16.7質量部を加えて感圧接着剤組成物となる塗料を作成した。
インクジェット記録用圧着用紙の製造方法:作成した塗料をエアーナイフコータにて米坪113g/m2のフォーム用紙の両面に各々の面の塗工量が固形分で6.0g/m2となるように塗工し、インクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)を、ケン化度92.5〜94.5mol%の中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JT−13Y/日本酢ビ・ポバール社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)を、ケン化度93.5〜95.5mol%の中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−33/日本酢ビ・ポバール社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)を、ケン化度96.0〜98.0mol%の中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−23/日本酢ビ・ポバール社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)の配合量を39質量部から28質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)の配合量を39質量部から33質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着紙を得た。
実施例1において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)の配合量を39質量部から45質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:MS#4000/日本食品化工社製)を原料とした糊化澱粉の配合量を10質量部から3.3質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:MS#4000/日本食品化工社製)を原料とした糊化澱粉の配合量を10質量部から7.7質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:MS#4000/日本食品化工社製)を原料とした糊化澱粉の配合量を10質量部から16.7質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径7.0μmで吸油量が300〜330ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−807/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)を、平均粒子径12μmで吸油量が300〜330ml/100gのゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−812/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径7.0μmで吸油量が300〜330ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−807/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)を、平均粒子径10.3μmで吸油量が260ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:HP39/PQコーポレーション社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径7.0μmで吸油量が300〜330ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−807/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)を、平均粒子径4.4μmで吸油量が270ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:23D/PQコーポレーション社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径7.0μmで吸油量が300〜330ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−807/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)を、平均粒子径3.0μmで吸油量が300〜330ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−803/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径18μmである小麦粉澱粉の配合量を、16.7質量部から11.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径18μmである小麦粉澱粉の配合量を、16.7質量部から22.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径18μmである小麦粉澱粉の配合量を、16.7質量部から27.8質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、硫酸マグネシウムの配合量を5.6質量部から1.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、硫酸マグネシウムの配合量を5.6質量部から3.3質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、硫酸マグネシウムの配合量を5.6質量部から11.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、硫酸マグネシウムの配合量を5.6質量部から16.7質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、硫酸マグネシウムを塩化カルシウムに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径7.0μmで吸油量が300〜330ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−807/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)を、平均粒子径2.3μmで吸油量が255ml/100gの沈降法シリカ(商品名:カープレックスFPS−1/エボニック社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径7.0μmで吸油量が300〜330ml/100gであるゲル法シリカ(商品名:サイロイドC−807/ダブリュー・アール・グレースジャパン社製)を、平均粒子径15.0μmで吸油量が290ml/100gの沈降法シリカ(商品名:カープレックス#30/エボニック社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)を、ケン化度87.0〜89.0mol%の部分ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JP−18/日本酢ビ・ポバール社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)を、ケン化度99.3mol%以上の完全ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:V/日本酢ビ・ポバール社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:MS#4000/日本食品化工社製)を原料とした糊化澱粉の配合量を10質量部から0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例3において、中間ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:JM−17/日本酢ビ・ポバール社製)の配合量を39質量部から49質量部に変更し、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:MS#4000/日本食品化工社製)を原料とした糊化澱粉の配合量を10質量部から0質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:MS#4000/日本食品化工社製)を原料とした糊化澱粉10質量部を、変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂(商品名:Nipol LX430/日本ゼオン社製)10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径18μmの小麦粉澱粉の配合量を16.7質量部から0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
実施例1において、平均粒子径18μmの小麦粉澱粉の配合量を16.7質量部から0質量部に、尿素リン酸エステル化澱粉(商品名:MS#4000/日本食品化工社製)を原料とした糊化澱粉の配合量を10質量部から0質量部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用圧着用紙を得た。
各実施例及び比較例で得られたインクジェット用圧着用紙に、インクジェットプリンター(TruepressJet520、SCREEN社製)を用いて水性顔料インクによるCMYKの各色ベタ印刷を行った。その後、印刷後のインクジェット用圧着用紙を、水分5.5〜7.0%となるように調整し、10cm×10cmの試験片をカットして3枚重ねた後、ドライシーラーMS−9200II(株式会社デュプロ社製)にて感圧接着剤塗工層を設けた親展面同士を加圧接着した。なお、加圧接着する際は、接着直後の剥離強度が約150g/25mm巾となるようにシーラーギャップを設定した。こうして得られた圧着用紙試験片の圧着面同士を剥離し、以下の要領で各種評価を行った。
剥離後の圧着面の記録画像の発色濃度を目視にて評価した。発色濃度の最も高いものを5、発色濃度の最も低いものを1として5段階で評価し、3以上を合格とした。
剥離後に、一方の圧着面に印刷された記録画像が対向面(もう一方の圧着面)に転移していないかを目視にて評価した。対向面への転移が最も少ないものを6、対向面への転移が最も多いものを1として6段階で評価し、3以上を合格とした。
インクジェット記録用圧着用紙を、ドライシーラーMS−9200IIを用いて葉書10,000枚相当分を圧着した後、前記ドライシーラーの加圧ロールの汚れ具合を目視にて評価した。加圧ロールの汚れが最も少ないものを4、加圧ロールの汚れが最も多いものを1として4段階で評価し、3以上を合格とした。
JIS K 5701に記載の展色装置(石川島産業:RI−II型)を用い、感圧接着剤塗工層の白抜けの有無を目視にて判定した。塗工層の白抜けが最も少ないものを6、塗工層の白抜けが最も多いものを1として6段階で評価し、3以上を合格とした。
インクジェットプリンター(TruepressJet520、SCREEN社製)を用い、水性顔料インクによるCMYKの各色ベタ印刷を、印刷速度128m/minにてインクジェット記録用圧着用紙6000mに連続印刷した。印刷後のインクジェット記録用圧着用紙に付着したインク汚れを目視にて観察し、用紙の汚れが最も少ないものを6、用紙への汚れが最も多いものを1として6段階で評価し、3以上を合格とした。インク乾燥性が悪い場合、ベタ印刷部のインクがインクジェットプリンターのフィードロール等に転移し、そのインクが更に用紙に転移することでインクジェット記録用圧着用紙にインク汚れが生じる。
フォーム印刷機で墨、藍、紅、黄の4色10%の網点印刷を、印刷速度200m/minにてインクジェット記録用圧着用紙6000mに連続印刷した。印刷時のロールの繰出し部のブロッキング状態を目視で観察し、ロールの繰出しがスムーズなものを5、ロールの繰出しが不安定なものを1として5段階で評価し、3以上を合格とした。ロールの繰出しが不安定な場合には、印刷機上で用紙の蛇行、及び断紙が発生する。
2 繰り出し部
3 ブロッキング部
4 正常時の繰り出し位置
Claims (13)
- 基紙の少なくとも一方の面に、非剥離性感圧接着剤基剤と無機顔料と澱粉粒子とバインダーと水溶性多価金属塩とを含有する感圧接着剤塗工層を有するインクジェット記録用圧着用紙であって、
前記バインダーとしてケン化度が90〜98mol%の中間ケン化型ポリビニルアルコールと糊化澱粉を含有し、且つ水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタに用いるインクジェット記録用圧着用紙。 - 前記バインダーとしてケン化度が92〜96mol%の中間ケン化型ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記糊化澱粉がリン酸エステル化澱粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記非剥離性感圧接着剤の含有量は、無機顔料100質量部に対して95〜170質量部の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記無機顔料として、非晶質シリカを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記無機顔料として、ゲル法シリカを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記非晶質シリカのISO 787−5に基づいて測定した吸油量が、180〜400ml/100gの範囲であることを特徴とする請求項5又は6に記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記非晶質シリカのレーザー回折法による平均粒子径が、1.0〜15.0μmの範囲であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記澱粉粒子として、レーザー回折法による平均粒子径が10〜20μmである澱粉粒子を、前記無機顔料に対して固形分で10〜30質量%の範囲で含有することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記糊化澱粉の含有量は、前記無機顔料に対して固形分で2.5〜18質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 前記感圧接着剤塗工層の基紙の片面あたりの塗工量が固形分換算で2.0〜12.0g/m2であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 米坪が60〜200g/m2であって、葉書用紙として適した請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着用紙。
- 基紙を用意するステップと、
非剥離性感圧接着剤基剤と無機顔料と澱粉粒子とバインダーと水溶性多価金属塩とを含む感圧接着剤組成物原料を用いて感圧接着剤組成物を調整するステップと、
前記基紙の少なくとも一方の面に、前記感圧接着剤組成物を塗工して感圧接着剤塗工層を設けるステップと、を含み、
前記無機顔料としてゲル法シリカが含まれ、
前記バインダーには、ケン化度が90〜98mol%の中間ケン化型ポリビニルアルコールと糊化澱粉とが含まれる、ことを特徴とする水性顔料インクを用いたインクジェット式プリンタに用いるインクジェット記録用圧着用紙の製造方法。
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