本開示の実施形態は、超臨界改良反応器及び改良反応器システムに関する。実施形態は、中でも、1つ以上の触媒層を備える超臨界改良反応器;1つ以上の触媒層及び1つ以上のパージ流体入口を備える超臨界改良反応器;1つ以上の超臨界改良反応器を備える改良反応器システム;ならびに1つ以上の超臨界改良反応器及び1つ以上の超臨界待機反応器を備える改良反応器システムを含む。
本開示を通して使用される場合、「超臨界」とは、水の臨界圧力及び温度より高い圧力及び温度の物質を示し、したがって、明確に異なる相が存在せず、物質は、液体等の材料を溶解しながら気体の拡散を示し得る。臨界温度及び圧力より高い温度及び圧力では、水の液相及び気相の境界が消失し、流体は、液体及び気体状物質の両方の特徴を有する。超臨界水は、有機溶媒等の有機化合物を溶解することができ、気体のように優れた拡散性を有する。温度及び圧力を制御することにより、超臨界水の特性をより液体状またはより気体状に継続的に「調整」することが可能である。超臨界水は、液相の亜臨界水と比較して低減された密度及びより低い極性を有し、それによって、水中で行うことができる潜在的反応の範囲を大幅に拡大する。超臨界水は、オーバークラッキングまたはコーキングを低減するように重質油を熱処理する上で効果的な溶媒または希釈剤である。
理論に束縛されないが、超臨界水は、超臨界境界に到達するにつれて様々な予想外の特性を有する。超臨界水は、有機化合物に対する極めて高い溶解性を有し、気体との無限の混和性を有する。さらに、ラジカル種がかご効果(すなわち、1つ以上の水分子がラジカル種を包囲し、次いでこれがラジカル種の相互作用を防止する状態)を通して超臨界水により安定化され得る。ラジカル種の安定化は、ラジカル間の縮合の防止を補助し得、それにより本実施形態における全体的コークス生成を低減する。例えば、コークス生成は、ラジカル間縮合の結果であり得る。ある特定の実施形態において、超臨界水は、水蒸気改質反応及び水−ガスシフト反応を通して水素ガスを生成し、次いでこれは改良反応に利用可能である。
超臨界水プロセスにおいて、熱分解反応は、オーバークラッキング及びコーキングを回避するように超臨界水の存在により制御され得る。超臨界水は、非常に低い誘電率を有し、これによって超臨界水はトルエン及びジクロロメタン等の一般的な有機溶媒に適合する。超臨界水は広範な炭化水素を溶解し得るが、超臨界水の高温状態は、超臨界水が炭化水素を溶解する前に他の副反応を引き起こし得る。例えば、所望の期間より長い期間高温状態の水にベンゾピレンを曝露すると、コークスの形成を引き起こし得る。
ここで、図面を参照しながら特定の実施形態を説明する。可能な限り、図面を通して同じまたは同様の部分を参照するために同じ参照番号が使用される。
図1は、改良反応器システムのプロセス100の一実施形態を描写している。図1に示されるように、石油系組成物105は、加圧された石油系組成物116を形成するためにポンプ112内で加圧され得る。加圧された石油系組成物116の圧力は、少なくとも22.1メガパスカル(MPa)であってもよく、これはほぼ水の臨界圧力である。代替として、加圧された石油系組成物116の圧力は、22.1MPaから32MPaの間、または23MPaから30MPaの間、または24MPaから28MPaの間であってもよい。いくつかの実施形態において、加圧された石油系組成物116の圧力は、25MPaから29MPa、26MPaから28MPa、25MPaから30MPa、26MPaから29MPa、または23MPaから28MPaの間であってもよい。
石油系組成物105は、石油、石炭液化油、または生物材料から得られる任意の炭化水素源を示し得る。石油系組成物105の可能な炭化水素源は、あらゆる種類の原油、蒸留された原油、残油、抜頭原油、製油所からの生成物ストリーム、水蒸気分解プロセスからの生成物ストリーム、液化石炭、油またはタールサンドから回収された液体生成物、ビチューメン、油頁岩、アスファルテン、バイオマス炭化水素等を含み得る。特定の実施形態において、石油系組成物105は、常圧残油(AR)、減圧軽油(VGO)、または減圧残油(VR)を含み得る。
再び図1を参照すると、加圧された石油系組成物116は、1つ以上の石油予熱器120内で加熱されて、加圧、加熱された石油系組成物124を形成し得る。一実施形態において、加圧、加熱された石油系組成物124は、前述のように、水の臨界圧力より高い圧力を有し、また75℃を超える温度を有し得る。代替として、加圧、加熱された石油系組成物124の温度は、10℃から300℃の間、または50℃から250℃の間、または75℃から200℃の間、または50℃から150℃の間、または50℃から100℃の間である。いくつかの実施形態において、加圧、加熱された石油系ストリーム124の温度は、75℃から225℃の間、または100℃から200℃の間、または125℃から175℃の間、または140℃から160℃の間であってもよい。
石油予熱器120の実施形態は、天然ガス燃焼加熱器、熱交換器、もしくは電気加熱器、または当技術分野において知られている任意の種類の加熱器を含み得る。いくつかの実施形態において、加圧、加熱された石油系組成物124は、プロセスの後の段階で、二重管熱交換器、またはシェルチューブ熱交換器内で加熱される。
図1に示されるように、水ストリーム110は、任意の水源、例えば1マイクロジーメンス(μS)/センチメートル(cm)未満、例えば0.5μS/cm未満または0.1μS/cm未満の導電率を有する水ストリームであってもよい。水ストリーム110はまた、脱塩水、蒸留水、ボイラー給水(BFW)、及び脱イオン水を含み得る。少なくとも1つの実施形態において、水ストリーム110は、ボイラー給水ストリームである。水ストリーム110は、加圧された水ストリーム118を生成するためにポンプ114により加圧される。加圧された水ストリーム118の圧力は、少なくとも22.1MPaであり、これはほぼ水の臨界圧力である。代替として、加圧された水ストリーム118の圧力は、22.1MPaから32MPaの間、または22.9MPaから31.1MPaの間、または23MPaから30MPaの間、または24MPaから28MPaの間であってもよい。いくつかの実施形態において、加圧された水ストリーム118の圧力は、25MPaから29MPa、26MPaから28MPa、25MPaから30MPa、26MPaから29MPa、または23MPaから28MPaであってもよい。
再び図1を参照すると、加圧された水ストリーム118は、次いで水予熱器122内で加熱され、超臨界水ストリーム126を形成し得る。超臨界水ストリーム126の温度は374℃より高く、これはほぼ水の臨界温度である。代替として、超臨界水ストリーム126の温度は、374℃から600℃の間、または400℃から550℃の間、または400℃から500℃の間、または400℃から450℃の間、または450℃から500℃の間であってもよい。
石油予熱器120と同様に、好適な水予熱器122は、天然ガス燃焼加熱器、熱交換器、及び電気加熱器を含み得る。水予熱器122は、石油予熱器120とは別個の、及び独立したユニットであってもよい。
言及されたように、超臨界水は、温度及び圧力の超臨界境界に到達するにつれて様々な予想外の特性を有する。例えば、超臨界水は、27MPa及び450℃において、1ミリリットル当たり0.123グラム(g/mL)の密度を有し得る。それと比較して、圧力が低減されて過熱蒸気が生成された場合、例えば20MPa及び450℃において、蒸気は、わずか0.079g/mLの密度を有する。理論に束縛されないが、炭化水素により近い密度を有する流体は、過熱蒸気と反応して蒸発し、液相中に混合して、加熱後にコークスを生成し得る重質分画を後に残し得る。コークスまたはコークス前駆体の形成は、ラインを閉塞する可能性があり、除去されなければならない。したがって、超臨界水は、いくつかの用途において蒸気より優れている。
再び図1を参照すると、超臨界水ストリーム126及び加圧加熱された石油ストリーム124は、供給物混合機130内で混合され、組み合わされた供給物ストリーム132を生成し得る。供給物混合機130は、超臨界水ストリーム126及び加圧加熱された石油ストリーム124を混合することができる任意の種類の混合デバイスであってもよい。一実施形態において、供給物混合機130は、混合ティー、均質化混合機、超音波混合機、小型連続撹拌槽反応器(CSTR)、または任意の他の好適な混合機であってもよい。供給物混合機130に供給される石油に対する超臨界水の体積流量比は、水対油(水:油)の比を制御するように変動し得る。一実施形態において、体積流量比は、標準大気温度及び圧力(SATP)において、10:1から1:10、または5:1から1:5、または4:1から1:1であってもよい。いかなる特定の理論にも束縛されないが、水:油比の制御は、オレフィンを他の成分、例えばイソ−パラフィンに変換するのを補助し得る。いくつかの実施形態において、水:油の比は、コークスの形成を防止するために1超であってもよい。いくつかの実施形態において、オレフィン溶液の希釈によってオレフィンは未反応のまま超臨界改良反応器150を通過し得、超臨界改良反応器150は、水:油の比が10を超える場合、大量の水を加熱するために追加的なエネルギー消費を必要とし得るため、水:油の比は、5未満であってもよい。
図1をさらに参照すると、組み合わされた供給物ストリーム132は、次いで、組み合わされた供給物ストリーム132を改良するように構成された反応器システムに導入され得る。組み合わされた供給物ストリーム132は、超臨界改良反応器150の入口ポートを通して導入される。図1に描写されている超臨界改良反応器150は、下降流反応器であり、入口ポートは、超臨界改良反応器150の頂部近くに配置され、出口ポートは、超臨界改良反応器150の底部近くに配置されている。代替として、超臨界改良反応器150は、上昇流反応器であってもよく、入口ポートは、反応器の底部近くに配置されることが企図される。下降流反応器は、反応物質が反応器を通って下方に移動する際に石油改良反応が生じる反応器である。逆に、上昇流反応器は、反応物質が反応器を通って上方に移動する際に石油改良反応が生じる反応器である。
超臨界改良反応器150は、水の臨界温度より高い温度及び水の臨界圧力より高い圧力で動作し得る。1つ以上の実施形態において、超臨界改良反応器150は、400から500℃の間、または420℃から460℃の間の温度を有してもよい。超臨界改良反応器150は、等温または非等温反応器であってもよい。さらに、追加の構成要素、例えば撹拌棒または撹拌デバイスがまた、超臨界改良反応器150に含まれてもよい。
超臨界改良反応器150は、式L/Dにより画定される寸法を有してもよく、Lは、超臨界改良反応器150の長さであり、Dは、超臨界改良反応器150の直径である。1つ以上の実施形態において、超臨界改良反応器150のL/D値は、0.5メートル(m)/分(min)を超える流体の空塔速度を達成するのに十分であってもよく、または、1m/minから5m/minの間の流体の空塔速度を達成するのに十分なL/D値であってもよい。流体流量は、5000を超えるレイノルズ数により定義され得る。
ここで、図2を参照すると、超臨界改良反応器150の拡大概略図が示されている。超臨界改良反応器150は、図2に示されるように、触媒層210を含有してもよい。図2に示される実施形態は、ただ1つの触媒層210を有するが、任意の数の触媒層210が利用されてもよいことが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、超臨界改良反応器150は、2つ以上、または3つ以上、または5つ以上の触媒層210を有してもよい。いくつかの実施形態において、超臨界改良反応器150は、10個以上、または15個以上、または20個以上の触媒層210を有してもよい。
図2に示されるように、組み合わされた供給物ストリーム132は、超臨界改良反応器150の頂部または底部に位置してもよい入口ポートを介して、超臨界反応器150に導入され得る。組み合わされた供給物ストリーム132は、重質分画220及び軽質分画230の両方を含んでもよい。
重質分画220は、組み合わされた供給物ストリーム132中の容易に可溶ではない分画を示し得る。重質分画220は、15超の炭素を有する炭化水素を示す。重質分画220は、これらに限定されないが、アスファルテン、重質油、潤滑油基油に分類される炭化水素、他の炭化水素凝集体、多核芳香族化合物、多環芳香族、長鎖アルキル芳香族、パラフィンワックス、ポリナフタレン、ヘテロ有機物、減圧分画、常圧残油及びこれらの組み合わせを含み得る。重質分画220は、この業界における当業者に知られた混合物である、ディーゼル、減圧軽油及び減圧残油の混合物を含んでもよい。重質分画220は、典型的には、270℃超の沸点を有してもよい。いくつかの実施形態において、重質分画220は、24超の炭素、及び340℃超の沸点を有してもよい。重質分画220は、軽質分画230に改良されるまで、触媒層210を通して篩い分けされなくてもよい。本開示にわたり使用される場合、「篩い分けすること」または「篩い分けされた」とは、サイズ排除により粒子をブロックする触媒層210内の細孔の選択性を示す。軽質分画230中の粒子は、触媒層210内の細孔を通過するのに十分なサイズであってもよく、一方、重質分画220の粒子は、それらがより小さい通過可能な粒子まで分解されるまで、サイズ排除によりブロックされ得る。
軽質分画230は、15未満の炭素の炭化水素を含んでもよい。軽質分画230は、いくつかの実施形態において、1モル辺り210グラム(g/mol)未満の分子量、及び270℃未満の沸点を有する。210g/molの分子量は、「Twu」相間を使用した、分子量対沸点、比重(密度)及び粘度の間の推定される相関に基づく。軽質分画230は、ナフサ、ケロシン、ディーゼル、及び同様の化合物を含んでもよい。
組み合わされた供給物ストリーム132が触媒層210を通過する際、重質分画220は、触媒層210により少なくとも部分的に篩い分けされてもよい。触媒層210は、重質分画220を少なくとも部分的に改良し、それをより軽質の炭素含有化合物に分解して、より多くの軽質分画230を形成し得る。軽質分画230は、多孔質触媒層210を通過し得るより軽質の、より小さい炭化水素化合物を含み得る。超臨界改良反応器生成物152は、超臨界改良反応器150における入口ポートの反対側に配置された出口ポートを通って超臨界改良反応器150から出る軽質分画230を含む。他の実施形態において、出口ポートは、入口ポートの反対側でなくてもよく、例えば、超臨界改良反応器150の側部に位置する出口ポートであってもよい。
再び図2を参照すると、触媒層210は、中でも、不均一多孔質金属含有触媒材料を含んでもよい。触媒材料は、これらに限定されないが、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、及びそれらの合金を含む遷移金属から選択され得る。いくつかの実施形態において、触媒材料は、これらに限定されないが、Au、Ag、Pt、Ru、Rh、Os、及びそれらの合金を含む貴金属から選択され得る。触媒材料は、チタン金属上にコーティングされた金等の、別の金属でコーティングされた金属を含み得る。触媒材料は、いくつかの実施形態において、プロモーターを含んでもよい。プロモーターは、アルカリ及びアルカリ土類金属から選択され得る。プロモーターは、いくつかの実施形態において、K、Li、P、B、及び他の同様の元素を含んでもよい。別の実施形態において、触媒材料は、ニッケル含有合金を含んでもよい。商業的に好適な実施形態は、Haynes International製のHastelloy C−276合金、またはSpecials Metals Corporation製のInconel−600/625耐腐食性合金、Monel−400ニッケル銅合金、及びIncoloy−800耐腐食性合金を含む。いくつかの実施形態において、触媒材料は、Mo、Cr、Fe、及びWとの55wt%から60wt%のニッケル合金を含んでもよい。いかなる特定の理論にも束縛されないが、ニッケルが超臨界改良反応器150の過酷な条件に耐え得るように、オーステナイトニッケル−クロム系超合金が使用されてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、ニッケルが酸化されて酸化ニッケルとなってもよく、これは、超臨界改良反応器150内の反応を向上させ得る。
言及されたように、従来、触媒は、超臨界条件における不安定性に起因して、超臨界反応器内では使用されない。しかしながら、本実施形態は、いくつかの実施形態において、超臨界条件下で分解しない1つ以上の触媒層210を含み得る。1つ以上の触媒層210は、いくつかの実施形態において、重質分画220と反応して、重質分画220を軽質分画230に少なくとも部分的に改良し得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の触媒層210は、重質分画220を混合することにより、静的混合機と同様に機能し得る。重質分画220は、典型的には、短い滞留時間及び比較的低い乱流に起因して、超臨界水反応器内であっても容易には可溶ではない。1つ以上の触媒層210は、重質分画220を軽質分画230に少なくとも部分的に改良するために、重質分画220の篩い分け、混合、化学反応による追加的な乱流を提供し得、またはこれらの技術の任意の組み合わせを利用し得る。
いくつかの実施形態において、触媒層210は、固体であってもよい。触媒層210は、いくつかの実施形態において、多孔質であってもよく、または様々な好適な配置で構造的に充填されていてもよい。織触媒層は、様々な織り方及び織構造を有してもよく、例えば、触媒は、メッシュ構造を特徴とし得る。例えば、触媒層210は、10メッシュ(1インチ当たりのワイヤ)から400メッシュ、または20メッシュから200メッシュ、または40メッシュから100メッシュの織構造を有してもよい。さらなる例において、触媒層210は、金属ハニカム、焼結金属ディスク、及び金属織布を含み得る。触媒層210は、様々な織構造を有してもよい。
いくつかの実施形態において、触媒材料は、例えば熱処理または酸化によって、触媒層210の表面を活性化するように処理され得る。限定されない例として、触媒材料は、超臨界改良反応器150内に設置される前に、400℃を超えるが触媒材料の融点未満である温度で、少なくとも1時間空気中で熱処理されてもよい。触媒材料は、触媒を活性化または再生するために、電流、マイクロ波、赤外線(IR)または紫外線(UV)加熱により熱処理されてもよい。いくつかの実施形態において、電流が膜またはワイヤを通して一定に維持されてもよく、これは、いくつかの実施形態において、超臨界改良反応器150から電気的に絶縁されてもよい。いくつかの実施形態において、電流は、毒作用反応を逆転し、再生された触媒表面を維持し得る。いかなる特定の理論にも束縛されないが、熱処理は、触媒の表面上に酸化ニッケル等の酸化物を生成し得る。電流の通電、IRまたはUV光線の照射により、触媒材料の表面酸化を向上させ、例えば高ニッケル合金を形成することができる。さらに、いくつかの実施形態において、電流は、硫黄種及び大分子、例えばアスファルテン及びコークスの触媒材料表面への強力な吸着により引き起こされる毒作用反応を逆転または防止することができる。
いくつかの実施形態において、触媒層210は、反応条件下で超臨界水で調整されてもよい。触媒層210を調整することにより、触媒層210が組み合わされた供給物ストリーム132と接触する前に、触媒上に吸着したラジカル酸素を除去することができる。触媒層210は、数時間、例えば少なくとも2時間超の期間調整されてもよい。触媒層210は、組み合わされた供給物ストリーム132を超臨界改良反応器150に導入する前に調整されてもよい。触媒層210は、超臨界改良反応器150内に含まれる前に活性化されてもよい。活性化は、酸化、還元、及び酸化還元処理を含み得る。
いかなる特定の理論にも束縛されることを意図しないが、触媒層210は、これらに限定されないが、改質反応、ガス−水シフト反応、水素供与、水素化、水素化脱硫、水素化脱窒素、及び水素化脱金属を含む多くの反応を加速させることができる。触媒層210は、改質反応を加速させてもよく、水−ガスシフト反応と同様に、炭化水素は水と反応して水素及び一酸化炭素を生成し、これが水と反応して再び水素及び二酸化炭素を生成する。また、触媒層210は、水素が原油中のアスファルテンから抽出されることを含む、水素供与反応を加速させてもよい。触媒層210は、熱分解から生成された不飽和結合の水素化等の水素化反応を加速させてもよい。触媒層210は、さらに、水素化脱硫、水素化脱窒素、または水素化脱金属等の反応を加速させてもよく、例えば、改質反応により水素が生成され、水素化により硫黄、窒素及び金属が除去される。
ここで図3を参照すると、超臨界改良反応器150の実施形態の別の概略図が描写されており、超臨界改良反応器150は、インサート310を含有している。この実施形態の超臨界改良反応器150は、2つの触媒層212、214を備える。インサート310は、超臨界改良反応器150の内径に適合する金属管を含んでもよい。例えば、インサート310は、超臨界改良反応器150の外壁内に同軸上に配置されてもよい。1つ以上の実施形態において、インサート310は、支持的な性質を有してもよく、これによって、第1の触媒層212及び第2の触媒層214を超臨界改良反応器150の外壁に取り付けることが可能となり得る。インサート310は、触媒層212、214を物理的に支持してもよく、洗浄のために取り外されるか、または組み合わされた供給物ストリーム132の流動により変形した場合には容易に交換され得る。また、インサート310は、図2を参照して議論されたように、1つの触媒層210と共に利用され得る。インサート310には、様々な組成物が企図される。一実施形態において、インサート310は、ステンレススチール、例えばSteel Use Stainless(SUS)316グレードステンレススチールを含んでもよい。インサート310は、いくつかの実施形態において、1mmから50mmの厚さ、または1mmから10mmの厚さ、または5mmの厚さを有してもよい。インサート310の厚さは、いくつかの実施形態において、反応器内側半径の1/100から1/10の間であってもよい。インサート310は、いくつかの実施形態において、環状インサートであってもよい。いくつかの実施形態において、触媒層212及び214、図4を参照しながら議論されるパージ流体入口710、またはその両方が、反応器壁512を通ってインサート310内に貫通してもよい。いくつかの実施形態において、反応器壁512は、最外金属環状壁であってもよい。
図3は、下降流構成の超臨界改良反応器150を描写しており、代替として、いくつかの実施形態において、上昇流構成の超臨界改良反応器150を含み得る。図2に関して以前に言及されたように、組み合わされた供給物ストリーム132は、重質分画及び軽質分画を含んでもよい。組み合わされた供給物ストリーム132が第1の触媒層212、第2の触媒層214、またはその両方を通過する際、重質分画は触媒層212、214、またはその両方により少なくとも部分的に篩い分けされ、触媒層212、214、またはその両方により少なくとも部分的に軽質分画に改良される。軽質分画は、多孔質触媒層212、214、またはその両方を通過することができる。篩い分け及び改良されたら、超臨界改良反応器生成物152は、入口ポートの反対側に配置された出口ポートを通って超臨界改良反応器150から出る。分子は、触媒層212、214を通って篩い分けされるのに十分小さいはずであったため、超臨界改良反応器生成物152は、軽質分画を含み得、重質分画を含み得ない。図3により描写された実施形態において、第1の触媒層212は、組み合わされた供給物ストリーム132に遭遇する第1の触媒層である。上昇流構成の超臨界改良反応器150において、第1の触媒層212は、最も底部の触媒層であってもよいことが留意されるべきである。
いくつかの実施形態において、第1の触媒層212及び第2の触媒層214は、同じまたは異なる組成物を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒層212及び第2の触媒層214は、異なる機能性を達成するために異なる組成物を含んでもよい。理論に束縛されないが、第1の触媒層212の主機能は、大分子を、第2の触媒層214に通過されるより小さい分子に分解することであってもよい。一方、第2の触媒層214は、下降流超臨界改良反応器150を通って移動し得る水素を生成するための改質反応をブーストするように誘導された組成物を有してもよい。これらの組成物はまた、これに限定されないが、遷移金属酸化物、例えば酸化鉄を含み得る。第2の触媒層214内で生成された水素は、再び第1の触媒層212に拡散し、第1の触媒層212内での分解反応を改善し得る。
図3をさらに参照すると、第1及び第2の触媒層212及び214は、異なる空隙体積比を有してもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒層212は、第1の空隙体積比を有し、第2の触媒層214は、第1の空隙体積比と異なる、または同じであってもよい第2の空隙体積比を有する。1つ以上の実施形態において、第2の触媒層214の第2の空隙体積比は、第1の触媒層212の第1の空隙体積比より大きい、または小さくてもよい。さらなる実施形態において、第2の触媒層214の第2の空隙体積比は、第1の触媒層212の第1の空隙体積比より小さくてもよい。空隙体積比は、触媒層における固体表面の体積と比較した場合の、触媒層における空隙空間の体積の比較を示す。比較的小さい空隙体積比は、より大きな空隙体積比を有する触媒層と比較した場合、触媒層により多くの表面積が存在することを示す。第1の触媒層212は、触媒層を閉塞せずに改良される大きな重質分画220に対応するために、第2の触媒層214と比較した場合、より大きい空隙体積比を有してもよい。
この式において、Vapparentは、触媒層の見かけの体積を示し、Vactualは、空隙空間及び細孔体積を除いた触媒層の体積を意味する、触媒層全体の実際の体積を示す。見かけの体積とは、米国材料試験協会(ASTM)標準D−3766において定義される通りのバルク体積を示し、これは、ASTM D−6683に記載の方法に従って触媒の物理的寸法を推定することにより測定される。実際の体積とは、ASTM C−604に従って比重瓶を使用して測定されるような真の体積を示す。
石油系組成物105供給物と最初に接触する第1の触媒層212の空隙体積比がより大きいと、第1の触媒層212は、組み合わされた供給物ストリーム132から大きな重質炭化水素を篩い分けするためのより広い空隙を有することができる。これらの篩い分けされた重質炭化水素は、次いで、より小さい分子に分解され、これは任意選択で、第1の触媒層212より狭い細孔を有し得る第2の触媒層214でさらに分解されてもよい。さらなる実施形態において、さらなる分解及び改良反応を可能にし、したがってより小さい、より改良された炭化水素を生成するためにさらにより狭い細孔を有してもよい追加的な触媒層を含むことが企図される。
触媒層212及び214には、様々な空隙体積比が企図される。例えば、空隙体積比(以前に議論された式に基づく)は、0.1から0.9、または0.25から0.75、または0.3から0.6、または0.35から0.5であってもよい。1つ以上の下降流反応器実施形態において、第2の層の空隙体積比で除した第1の触媒層の空隙体積比である空隙体積比の比は、1から50、または1から10、または1から5、または1から2である。
図3をさらに参照すると、第1の触媒層212及び第2の触媒層214は、互いに接触してもよく、または、代替としてある距離だけ離間してもよい。第1の触媒層212及び第2の触媒層214は、超臨界改良反応器150の長さの少なくとも10%の距離だけ離間してもよい。他の実施形態において、第1の触媒層212及び第2の触媒層214は、超臨界改良反応器150の長さの少なくとも5%、または少なくとも8%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも30%の距離だけ離間してもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒層212は、第1の触媒層212が反応器体積の少なくとも50%下にあるように、改良超臨界反応器150の長さの少なくとも半分の長さだけ下に位置する。他の実施形態において、第1の触媒層212は、反応器体積の少なくとも60%、または反応器体積の少なくとも65%、または反応器体積の少なくとも75%、または反応器体積の少なくとも80%下に位置する。いくつかの実施形態において、第1の触媒層212は、第1の触媒層212の中心から第2の触媒層214の中心まで測定した場合、第2の触媒層214から1mmから500mm離れていてもよい。他の実施形態において、第1の触媒層212は、第2の触媒層214から1mmから350mm、または1mmから200mm、または1mmから100mm離れていてもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒層212は、第2の触媒層214に触れていてもよく、または、第2の触媒層214から1mm未満離れていてもよい。
第1の触媒層212及び第2の触媒層214はまた、同様または異なる厚さ及び直径を有してもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒層212は、第2の触媒層214より大きい厚さを有してもよい。他の実施形態において、第1の触媒層212は、第2の触媒層214より小さい厚さを有してもよい。触媒層212、214の厚さは、それぞれ触媒層212、214の頂部から触媒層212、214の底部まで測定した場合、1mm未満から350mm、または1から200mm、または20から100mmの範囲であってもよい。
ここで図4を参照すると、超臨界改良反応器150は、パージ流体入口710を備える下降流構成で描写されている。パージ流体入口710は、触媒層210内の閉塞の低減を補助するために、パージ流体660を超臨界反応器150に注入し得る。図4において、触媒層210は、反応器壁512に取り付けられ、インサート310により支持される。図4は、パージ流体660が超臨界改良反応器150内に注入され得る2つのパージ流体入口710を描写している。重質分画は、いくつかの実施形態において、大きいという性質ならびに集塊化及び凝集する傾向に起因して、触媒層210の望ましくない閉塞を引き起こし得る。パージ流体660は、触媒層内に埋没した材料を除去するために、触媒層210内に注入され得る。パージ流体660は、いくつかの実施形態において、超臨界水、ベンゼン、トルエン、キシレン、及び同様の化合物を含むがこれらに限定されない非アスファルテン芳香族炭化水素を含有する超臨界水、ならびに生成物油を含有する超臨界水、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。パージ流体660は、いくつかの実施形態において、酸素含有流体、例えば分子酸素で飽和した水、過酸化水素(H2O2)を含有する水、有機過酸化物を含有する水、有機過酸化物を含有する炭化水素、同様の化合物、またはこれらのいずれかの組み合わせを含有してもよい。いかなる特定の理論にも束縛されないが、システムを通した酸素含有流体の流動は、触媒層210上の汚染物質をCO2及びH2Oに酸化し、反動的な副生成物として熱を生成または別様に発生し得る。図4は、いくつかの実施形態において、パージ流体入口710が、パージ流体660が触媒層210と平行に流動するように位置付けられることを描写している。この構成により、重質分画220中に存在する化合物は、触媒層210を横切って流動し、改良反応を促進することが可能となり得る。
いくつかの実施形態において、パージ流体660は、必要に応じて、または定期的に注入されてもよい。パージ流体660は、手動で、または自動的に注入されてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、パージ流体660は、下降流超臨界改良反応器150が圧力降下を経験した場合に注入されてもよい。下降流超臨界改良反応器150の圧力は、いくつかの実施形態において、触媒層210にわたる圧力差を決定するために監視されてもよい。圧力はまた、触媒層210の下流側の圧力を決定するために監視されてもよい。触媒層210の圧力差は、触媒層210が閉塞していることを示し得る。触媒層210の下流側の圧力は、触媒層210の閉塞を示す可能性があり、超臨界改良反応器150は臨界圧力未満まで下降すべきではないため、反応スキームを監視する上でさらに重要である。
いくつかの実施形態において、パージ流体660は、反応器内の圧力が動作圧力から逸脱した場合に導入されてもよい。いくつかの実施形態において、パージ流体660は、圧力が動作圧力の1%超、または3%超、または5%超、または10%超逸脱した場合、触媒層210から閉塞材料を除去し得る。いくつかの実施形態において、パージ流体660は、圧力が動作圧力から2%未満、例えば1.5%未満または0.5%未満逸脱した場合に注入されてもよい。
パージ流体660は、最適な動作圧力に達するまで、継続的または断続的に、例えば段階的な様式で注入されてもよい。様々な圧力測定デバイスが、動作圧力の測定に企図される。例えば、これらの圧力測定デバイスは、これらに限定されないが、圧力計、圧力変換器、圧力センサ、及びそれらの組み合わせを含んでもよく、閉塞が生じ得る場所に設置され得る。1つ以上の実施形態において、圧力差は、動作圧力の10%(動作圧力25MPaで2.5MPa、または3611psigで360psig)を超えるべきではない。1つ以上の実施形態において、パージ流体入口710は、反応器圧力が動作圧力を許容されない量だけ逸脱した場合に自動的にトリガされてもよい。
図4をさらに参照すると、パージ流体660は、いくつかの実施形態において、加熱及び加圧されてもよい。1つ以上の実施形態において、パージ流体660の温度は、注入点の内部流体温度の200℃以内、または注入点の内部流体温度の150℃以内、または注入点の内部流体温度の100℃以内、または注入点の内部流体温度の50℃以内、または注入点の内部流体温度の25℃以内であってもよい。さらに、パージ流体660の圧力は、注入場所における内部流体の圧力の100%から120%の圧力であってもよい。この場合、正常な非閉塞状態で約25MPaで動作している反応器内にパージ流体660が注入されるならば、パージ流体660は、25から30MPaの範囲内の圧力で注入されてもよく、これらはそれぞれ内部流体の圧力の100%から120%である。さらに、パージ流体660の流速は、組み合わされた供給物ストリーム132の流速の0.001%から10%の流速で注入されてもよい。例えば、内部流体の流速が標準大気温度及び圧力(SATP)において100リットル毎時(L/hr)である場合、パージ流体の流速は、0.001から10L/hrの範囲内であるべきであり、これは、組み合わされた供給物ストリーム132の流速の0.001%から50%である。流速は、動作中の調節により実験的に決定され得る。パージ流体及び超臨界反応器の流速は、組み合わされた供給物ストリーム132の特性に依存し得る。パージ流体、超臨界改良反応器150、またはその両方の流速に影響する因子は、これらに限定されないが、超臨界改良反応器150内の圧力の量、組み合わされた供給物ストリーム132の組成、超臨界反応器内に存在する重質分画220の量、ならびにパージ流体入口710の位置付け及び頻度を含み得る。
パージ流体660は、いくつかの実施形態において、これらに限定されないが、触媒層210を閉塞する化合物を押し出すための溶媒または洗浄流体の使用を含む化学的手段を使用して、触媒層210の閉塞を除去してもよい。他の実施形態において、パージ流体660は、これらに限定されないが、触媒層を閉塞する化合物を押し出すための微視的乱流、熱伝導または物理的衝撃の使用を含む物理的手段を使用して、触媒層210の閉塞を除去してもよい。
再び図4を参照すると、パージ流体入口710は、超臨界改良反応器150に沿った様々な位置に位置してもよい。パージ流体660を注入する1つ以上のポートを有し得る1つ以上のパージ流体入口710が存在してもよい。パージ流体入口710は、下降流及び上昇流構成の両方の超臨界改良反応器150の様々な実施形態において使用され得る。パージ流体入口710は、配管等の注入ラインを備えてもよい。1つ以上の実施形態において、パージ流体入口710は、0.1インチから4インチ、または0.1インチから2インチ、または0.2から0.5インチの外径を有してもよい。いくつかの実施形態において、パージ流体入口710は、1インチから3インチ、または0.5インチから2.5インチ、または1インチから2インチ、または0.1から1.5インチの外径を有してもよい。
ここで、図5を参照すると、超臨界改良反応器150の頭上断面図からの、パージ流体入口710の拡大概略図が示されている。図5において、触媒層210は、例えば触媒層210を反応器壁512に直接溶接することにより、反応器壁512に直接取り付けられている。しかしながら、反応器内で均一な溶接を達成することは困難となり得るため、以前に述べられたように、いくつかの実施形態において、インサート310が使用され得る。示されるように、パージ流体660は、パイプに沿って延在する複数のオリフィスまたは穴を有し得るパージ流体入口710を通して噴霧されてもよい。図5は、触媒層210に平行な方向に流動するパージ流体を描写しているが、パージ流体660は、上方、下方、横方向、時計回り、反時計回りの構成、またはこれらの方向の任意の組み合わせで誘導されてもよい。パージ流体660は、乱流を形成し、軽質及び重質炭化水素を含む組み合わされた供給物ストリーム132を撹拌することにより、触媒層210内に埋没した材料の除去を最適化するために、様々な方向に誘導されてもよい。パージ流体入口710の直径及び長さは、パージ流体660の所望の圧力を生成するように調節されてもよく、本開示の異なる実施形態に従って変動する。さらに、パージ流体入口710の表面積及びパージ流体660の流れもまた、本発明の異なる実施形態に従って変動し得る。
図6は、下方流改良反応器150内に垂直に配置された、複数のレベルで配設された複数のパージ流体入口710を備える超臨界改良反応器150の一実施形態の概略図である。示されるように、1つの線形パージ流体入口が第1の触媒層212と第2の触媒層214との間に配置され、別の線形パージ流体入口が第2の触媒層214の下に配置されている。そのようにして、第2の触媒層214が閉塞している場合、パージ流体入口710が閉塞した触媒層214の上流側及び下流側にパージ流体を注入し、第2の触媒層214の頂部側、底部側、またはその両方の側から埋没した材料を除去することができる。本開示のいくつかの実施形態は、2つ以上のパージ流体入口710、例えば3つ以上のパージ流体入口710、または5つ以上のパージ流体入口710、または8つ以上のパージ流体入口710を有する超臨界改良反応器150を利用し得る。いくつかの実施形態において、超臨界改良反応器150は、10個以上、または15個以上、またはさらには20個以上、または50個以上のパージ流体入口710を備えてもよい。
図7は、複数のパージ流体入口712及び714を備える別の実施形態の概略図である。具体的には、図7は、併せて使用される2つの様々な種類のパージ流体入口を備える下降流構成の超臨界改良反応器150を描写している。図7は、線形パージ流体入口712及び非線形パージ流体入口714を描写している。線形パージ流体入口は、水平、垂直、またはある角度で斜めに配設され得る直線導管(例えば、直線パイプまたは配管)を示す。一方、非線形パージ流体入口714は、その長さに沿って少なくとも1つの湾曲または曲率を有する非直線導管を示す。線形パージ流体入口712のみの使用、非線形パージ流体入口714のみの使用、線形パージ流体入口712及び非線形パージ流体入口714の両方の使用、または線形パージ流体入口712及び非線形パージ流体入口714の不使用を含む、線形パージ流体入口712及び非線形パージ流体入口714の多くの組み合わせが利用され得る。さらに、本開示の実施形態は、これらに限定されないが、1つの線形パージ流体入口712及び2つの非線形パージ流体入口714の使用またはその逆、2つの非線形パージ流体入口714及び3つの線形パージ流体入口712の使用またはその逆等を含む、1つ以上の線形パージ流体入口712の1つ以上の非線形パージ流体入口714への様々な組み合わせの使用を含んでもよい。
図7をさらに参照すると、以前に言及されたように、非線形パージ流体入口714は、1つ以上の湾曲または1つ以上の曲率を示してもよい。図7は、角度θを含む1つの湾曲を有する非線形パージ流体入口714の一実施形態を描写しており、角度は、非線形パイプの直線セクションにより画定される面に対して定義される。角度θは、任意の好適な角度、例えば鈍角、鋭角、または直角(約90°)であってもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の線形パージ流体入口712は、触媒層により画定される面に対して角度を有してもよい。さらに、非線形パージ流体入口714、線形パージ流体入口712、またはその両方は、これらに限定されないが、以前に言及されたように、時計回り、反時計回り、上、下、及びこれらの組み合わせを含む様々な方向に、パージ流体660を誘導してもよい。
再び図7を参照すると、線形パージ入口712及び非線形パージ流体入口714は、同時に、または独立して操作されてもよい。本開示のいくつかの実施形態において、パージ流体入口712及び714は、1つ以上のパージ流体入口712及び714が待機及び非作動状態にある間、1つ以上のパージ流体入口712及び714が動作し得るように、独立して制御及び独立して操作されてもよい。いくつかの実施形態において、パージ流体入口712及び714は、1つ以上のパージ流体入口712及び714からある体積のパージ流体660を排出して、触媒層210の上部表面において乱流を形成するように連携されてもよい。「乱流」は、組み合わされた供給物ストリーム132の全体的に流れているプロセス流体と、パージ流体660との間の衝突または撹拌を示すために使用され、これは、触媒層210へのアクセスをブロックする重質分画に起因して触媒が非効率的となること、及び触媒層210内の追加的な触媒活性を軽減するのを防止し得る。いくつかの実施形態において、パージ流体660は、触媒層210の閉塞を除去し、触媒層210にわたる重質分画を一掃するために対向流を形成してもよく、これは、重質分画が触媒層210の固体多孔質表面にわたりかき出されるため、流体せん断及び液体/固体せん断の両方をもたらし得る。いくつかの実施形態において、重質分画は対向循環し、これによって重質分画は、超臨界環境中での増加した滞留時間に起因して、化学的または物理的に破壊され得る。いくつかの実施形態において、線形パージ流体入口712は、非線形パージ流体入口714と連携され得る。いくつかの実施形態において、パージ流体入口712及び714の結合は、触媒層210の上部表面に対して「デッドスポット」または渦が生じるのを防止し得る。
図8は、超臨界改良反応器150の断面図としての触媒層210に対するパージ流体入口710の概略断面図である。本開示の一実施形態によれば、パージ流体入口712、714は、触媒層210を取り巻き、包囲してもよい。パージ流体660は、複数の線形パージ流体入口712に接続された環状リングとして配設されたパージ流体入口712、714から注入され得る。示されていないが、図8のパージ流体入口712及び714は、環状リングに沿って複数のオリフィスまたは開口を有してもよく、線形パージ流体入口712は、パージ流体を、近接した触媒層210上の様々な場所に送達し得る。
図9は、触媒層210に対するパージ流体入口710の別の実施形態を利用した超臨界改良反応器150の別の概略断面図である。本発明の別の実施形態によれば、パージ流体入口710は、複数の線形パイプと併せた同心円構成の配設を含み得る。所望の使用用途、ならびに触媒層210の閉塞の可能性及び深刻度に依存して、パージ流体入口710の多くの配設が企図される。
図10は、超臨界反応器システムにおけるプロセス100を描写した本開示の実施液体の概略図であり、一方の超臨界反応器は超臨界改良反応器150であり、他方の超臨界反応器は、超臨界待機反応器140である。本開示を通して使用される場合、「待機」は、組み合わされた供給物ストリーム132を現在改良していない反応器を示す。図10は、下降流構成の超臨界改良反応器150を描写しており、組み合わされた供給物ストリーム132は、超臨界改良反応器150の頂部における入口から導入され、超臨界改良反応器生成物152は、入口と反対側の出口から出る。超臨界改良反応器150は、触媒層210と、触媒層210を反応器壁512に固定し得る任意選択のインサート310とを備えてもよい。
図10は、上昇流構成の超臨界待機反応器140を描写しており、組み合わされた供給物ストリーム132は、底部入口を通って反応器に進入し、超臨界改良反応器生成物152は、入口弁と反対の頂部から出る。超臨界待機反応器140は、触媒層210と、触媒層を反応器壁512に固定し得る任意選択のインサート310とを備えてもよい。超臨界改良反応器150及び超臨界待機反応器140は、別個に、または互いに連動して動作し得る。いくつかの実施形態において、超臨界改良反応器150は、超臨界待機反応器140が待機モードにある間動作可能であってもよく、またはその逆であってもよい。いくつかの実施形態において、超臨界待機反応器140は、洗浄流体で洗浄されてもよい。
洗浄流体125は、1つ以上の触媒層210内の堆積物を除去し得る。洗浄流体125は、超臨界水を含んでもよい。いくつかの実施形態において、洗浄流体125は、ベンゼン、トルエン、及びキシレンを含むがこれらに限定されない非アスファルテン芳香族炭化水素を含有する超臨界水を含んでもよい。洗浄流体125は、パージ流体660と同じまたは異なる組成物であってもよい。洗浄流体125は、パージ流体660に関して以前に説明された実施形態のいずれかによるものであってもよい。洗浄流体125はまた、生成物油を含有する超臨界水、または酸素を含有する超臨界水を含んでもよい。いくつかの実施形態において、酸素を含有する超臨界水は、過酸化水素を含む溶液を標準大気温度及び圧力(SATP)で注入することから生成され得る。超臨界水は、0.1重量パーセント(wt%)から2.0wt%、例えば0.1wt%から0.5wt%、0.5wt%から1.0wt%、1.0wt%から1.5wt%、または1.5wt%から2.0wt%の含量の酸素を含有してもよい。
いくつかの実施形態において、超臨界反応器140または150は、1つ以上の超臨界待機反応器140が洗浄流体125で洗浄されるまで1つ以上の超臨界改良反応器150が動作しているように、動作モードと待機モードとの間で交替してもよい。いくつかの実施形態において、反応器及び触媒層の洗浄またはパージが十分となったら、超臨界待機反応器140が動作状態となって超臨界改良反応器150となってもよく、一方、以前は動作モードにあった超臨界改良反応器150は、洗浄のために超臨界待機反応器140に転換する。
ここで、図11を参照すると、超臨界改良反応器150及び超臨界待機反応器140の機能性を交替させるためのプロセス100の一実施形態の概略図。図1と同様に、図11のプロセス100は、超臨界水ストリーム126及び加圧加熱された石油ストリーム124が、供給物混合機130内で混合され、組み合わされた供給物ストリーム132を生成し得ることを描写している。同時に、いくつかの実施形態において水であってもよい洗浄流体115は、ポンプ113により加圧されて、加圧された洗浄流体ストリーム119を生成し得る。次いで、加圧された洗浄流体ストリーム119は、洗浄流体予熱器121内で加熱され、加熱、加圧された洗浄流体125を形成し得る。水予熱器122、石油予熱器120、及び洗浄流体予熱器121は、独立した、及び別個のユニットとして存在してもよく、または1つの大型加熱ユニットを備えてもよい。
しかしながら、図1とは異なり、図11の組み合わされた供給物ストリーム132は、図11において点線で表されるコントローラユニット(例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)145)と連通したフロースプリッタ137に通過し得る。いくつかの実施形態において、フロースプリッタ137は、下降流改良反応器150の上流側にある弁147を開き、超臨界待機反応器140の下流側にある弁148を閉めることにより、組み合わされた供給物ストリーム132を下降流改良反応器150に誘導する。同様に、洗浄流体125は、コントローラ145と連通しているフロースプリッタ137に進入し得る。いくつかの実施形態において、コントローラ145は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)であってもよい。いくつかの実施形態において、フロースプリッタ137は、超臨界待機反応器140の上流側にある開放弁146を通して洗浄流体125を誘導し、一方で、超臨界改良反応器150の上流側にある弁149を閉鎖する。
さらに、図11に示されるように、超臨界待機反応器140は、いくつかの実施形態において、1つ以上の圧力センサ143を含有してもよい。同様に、超臨界改良反応器150は、圧力センサ141を含有してもよい。圧力センサ141または143は、超臨界改良反応器150、超臨界待機反応器140、またはその両方の上流側または下流側にあってもよい。圧力センサ141または143は、圧力計、圧力変換器、またはその両方の組み合わせを含んでもよい。圧力センサ141または143は、少なくとも1つの改良反応器の圧力が超臨界反応器140または150の動作圧力から少なくとも1%逸脱した場合に警告するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、圧力センサ141または143は、圧力が動作圧力から少なくとも0.5%、または少なくとも2%、または少なくとも3%、または少なくとも5%、または少なくとも8%、または少なくとも10%逸脱した場合に警告してもよい。圧力センサ141または143は、コントローラ145に結合されてもよい。
図11を再び参照すると、圧力センサ141が、触媒層内の可能な閉塞を示す超臨界改良反応器150内の圧力降下を決定する場合、圧力センサ141は、コントローラ145に信号を送る。それに対応して、コントローラ145は、弁147の閉鎖をトリガし、それにより超臨界改良反応器150への組み合わされた供給物ストリーム132の送達を閉鎖してもよい。同時に、コントローラ145は、弁148の開放をトリガし、それにより超臨界待機反応器140に組み合わされた供給物ストリーム132の送達を迂回させてもよく、これは、結果として、超臨界待機反応器140の動作を洗浄モードから石油改良モードに変換する。さらに、コントローラ145は、弁149の閉鎖及び弁146の開放をトリガし、それにより洗浄流体125が超臨界待機反応器140から超臨界改良反応器150に迂回され、これが結果として超臨界改良反応器150の動作を石油改良モードから洗浄モードに変換する。いくつかの実施形態において、洗浄流体125は、触媒層の閉塞が改善され、圧力の逸脱が許容されるレベルまで低減されるまで注入される。
いくつかの実施形態において、コントローラ145は、圧力センサ141または143により伝送された圧力読み取り値に基づいて、アラームまたは警告をトリガさせてもよい。いくつかの実施形態において、アラームまたは警告は、これらに限定されないが、コンピュータまたはプロセッサを含む電子デバイスに伝送されてもよい。他の実施形態において、アラームまたは警告は、音、閃光、通知、または他の指示方法であってもよい。コントローラ145は、いくつかの実施形態において、圧力センサ141または143により伝送された圧力読み取り値に対応して、パージ流体660の注入を自動的に生じさせてもよい。
請求される主題の精神及び範囲から逸脱せずに、説明された実施形態に様々な修正及び変形を行うことができることが、当業者に明らかなはずである。したがって、本明細書は、説明された様々な実施形態の修正及び変形が、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に含まれる限り、そのような修正及び変形を網羅することが意図される。
本実施形態の様々な特徴を、以下の実施例において例示する。図1及び4に描写されるプロセス100に従ってシミュレーションを実行したが、石油系組成物105は、高圧定量ポンプ112内で加圧され、SATPにおいて1リットル毎時の圧力で、加圧された石油系組成物116が形成された。加圧された石油系組成物116は、150℃に加熱され、加圧、加熱された石油系組成物124が形成された。高圧定量ポンプ114により水ストリーム110が加圧され、SATPにおいて2リットル毎時の圧力で、加圧された水ストリーム118が生成された。次いで、加圧された水ストリーム118は、予熱器122内で加熱され、380℃の温度で超臨界水ストリーム126が形成された。超臨界水ストリーム126及び加熱、加圧された石油系組成物124は、単純なティーフィッティング混合機内で組み合わされ、組み合わされた供給物ストリーム132が形成された。図4を参照すると、組み合わされた供給物ストリーム132は、次いで、触媒層210及び複数のパージ流体入口710を含有する下降流構成の超臨界改良反応器150に導入された。
超臨界改良反応器150は、長さ400mm及び直径60mmであり、5mmの厚さを有する支持環状インサート310を有していた。超臨界改良反応器150及びインサート310は、共にSUS316グレードステンレススチールを含んでいた。超臨界改良反応器150は事実上円筒形であり、断面は実質的に円形であった。管状加熱器が超臨界改良反応器を包囲しており、内部温度は、超臨界改良反応器出口弁の底部から50mmの距離の、超臨界改良反応器の中央に位置する熱電対により監視された。触媒層は、超臨界改良反応器の頂部の入口弁から250mmに位置する、40メッシュを有するHastelloy C−276高ニッケル合金ガーゼの織物を含有する多孔質不均一触媒を含んでいた。触媒のワイヤ直径は0.19mmであり、ワイヤにより占有されていない開放エリアを示す開口エリアは49%であった(例えば、メッシュの51wt%がワイヤであり、メッシュの49wt%が開放エリアである)。組み合わされた供給物ストリーム132は、超臨界改良反応器150の頂部に位置する入口弁を介して触媒層210に導入された。入口弁は、外径0.25インチ(0.635cm)であり、SUS316グレードステンレススチールパイプで構成された。
炭化水素原料の改良及びそれからの不純物の除去を示すために、多孔質不均一触媒層210(40メッシュを有するHastelloy C276高ニッケル合金ガーゼ、織物、直径0.19mm)あり、及びなしで試験を行った。試験の結果を以下の表1に示す。
表1は、触媒の存在が改良及び不純物除去の程度を増加させたことを示している。硫黄、窒素、アスファルテン、コンラドソン炭素、バナジウム、及びニッケルの残留量は、多孔質不均一触媒層を超臨界水反応器に追加することにより低減される。驚くべきことに、また予想外にも、炭化水素の改良及び不純物の除去において概して低い性能を示した下降流反応器は、多孔質不均一触媒層により効率的な性能を示し、また、触媒層は安定であり、行われた試験において分解を生じることはなかった。
本開示の第1の態様は、石油系組成物を改良するためのプロセスであって、混合デバイス内で、超臨界水ストリームを加圧、加熱された石油系組成物と組み合わせ、組み合わされた供給物ストリームを形成するステップと;水の臨界温度より高い温度及び水の臨界圧力より高い圧力で動作している少なくとも1つの下降流超臨界改良反応器を備える改良反応器システムに、組み合わされた供給物ストリームを導入するステップとを含み、下降流超臨界改良反応器は、第1の触媒層及び第2の触媒層を備え、第2の触媒層は、下降流超臨界改良反応器内の第1の触媒層の垂直下方に配置され、第1の触媒層は、第1の空隙容積比を有する不均一多孔質金属含有触媒であり、第2の触媒層は、第2の空隙容積比を有する不均一多孔質金属含有触媒であり、第2の空隙容積比は、第1の空隙容積比とは異なり、下降流超臨界改良反応器は、第1の触媒層、第2の触媒層、またはその両方に近接する下降流超臨界改良反応器の1つ以上の側方位置に配置された、1つ以上のパージ流体入口を含むプロセスに関連してもよい。プロセスはまた、組み合わされた供給物ストリームを、第1の触媒層及び第2の触媒層に通過させるステップであって、組み合わされた供給物ストリーム中の軽質炭化水素は、少なくとも部分的に第1の触媒層及び第2の触媒層を通って流動し、一方組み合わされた供給物ストリーム中の重質炭化水素は、少なくとも部分的に、第1の触媒層の空隙内、第2の触媒層の空隙内、またはその両方で篩い分けされる、通過させるステップと;篩い分けされた重質炭化水素を、超臨界水の存在下で第1の触媒層または第2の触媒層内で少なくとも部分的に軽質炭化水素に変換するステップと;パージ入口を通してパージ流体を注入して、第1の触媒層、第2の触媒層、またはその両方と接触させ、閉塞を低減するステップと;軽質炭化水素及び変換された軽質炭化水素を含む改良された生成物を、下降流超臨界改良反応器の外に通過させるステップとを含む。
本開示の第2の態様は、第2の空隙体積が、第1の空隙体積比より小さい、第1の態様を含んでもよい。
本開示の第3の態様は、パージ流体入口が、第1の触媒層と第2の触媒層との間に垂直に配置されている、第1及び第2の態様を含んでもよい。
本開示の第4の態様は、パージ流体入口が、第1の触媒層の垂直上方に配置されている、第1から第3の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第5の態様は、パージ流体入口が、1つ以上の角度の付いた線形パイプを備え、角度は、第1の触媒層により画定される水平面に対する角度である、第1から第4の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第6の態様は、石油系組成物を改良するためのプロセスであって、混合デバイス内で、超臨界水ストリームを加圧、加熱された石油系組成物と組み合わせ、組み合わされた供給物ストリームを形成するステップと、水の臨界温度より高い温度及び水の臨界圧力より高い圧力で動作している少なくとも1つの超臨界改良反応器を備える改良反応器システムに、組み合わされた供給物ストリームを導入するステップとを含むプロセスに関連してもよい。超臨界改良反応器は、第1の触媒層及び第2の触媒層を備え、第2の触媒層は、超臨界改良反応器内の第1の触媒層の垂直下方に配置され、第1の触媒層は、第1の空隙体積比を有する不均一多孔質金属含有触媒であり、第2の触媒層は、第2の空隙体積比を有する不均一多孔質金属含有触媒であり、第2の空隙体積比は、第1の空隙体積比より小さい。方法はまた、組み合わされた供給物ストリームを、第1の触媒層及び第2の触媒層に通過させるステップであって、組み合わされた供給物ストリーム中の軽質炭化水素は、少なくとも部分的に第1の触媒層及び第2の触媒層を通って流動し、一方組み合わされた供給物ストリーム中の重質炭化水素は、少なくとも部分的に、第1の触媒層の空隙内、第2の触媒層の空隙内、またはその両方で篩い分けされる、通過させるステップと;篩い分けされた重質炭化水素を、超臨界水の存在下で第1の触媒層または第2の触媒層内で少なくとも部分的に軽質炭化水素に変換するステップと;軽質炭化水素及び変換された軽質炭化水素を含む改良された生成物を、超臨界改良反応器の外に通過させるステップとを含む。
本開示の第7の態様は、第1の触媒層、第2の触媒層、またはその両方を、少なくとも400℃の温度で加熱することにより活性化させるステップをさらに含む、第1から第6の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第8の態様は、組み合わされた供給物ストリームの導入の前に、第1の触媒層、第2の触媒層、またはその両方を、改良反応器システムの温度及び圧力で超臨界水で調整するステップをさらに含む、第1から第7の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第9の態様は、第1の触媒層及び第2の触媒層が、互いに接触している、第1から第8の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第10の態様は、第1の触媒層及び第2の触媒層が、ある距離だけ離間している、第1から第8の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第11の態様は、第2の空隙体積比に対する第1の空隙体積比の比が1から10である、第1から第8及び第10の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第12の態様は、第1の触媒層、第2の触媒層、またはその両方が、金属ハニカム、焼結金属ディスク、または金属織布からなる群から選択される1つ以上の構造を備える、第1から第11の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第13の態様は、石油系組成物を改良するためのプロセスであって、混合デバイス内で、超臨界水ストリームを加圧、加熱された石油系組成物と組み合わせ、組み合わされた供給物ストリームを形成するステップと、水の臨界温度より高い温度及び水の臨界圧力より高い圧力で動作している1つ以上の下降流超臨界改良反応器を備える改良反応器システムに、組み合わされた供給物ストリームを導入するステップとを含むプロセスに関連してもよい。下降流超臨界改良反応器は、少なくとも1つの触媒層を備え、少なくとも1つの触媒層は、空隙体積比を有する不均一多孔質金属含有触媒であり、下降流超臨界改良反応器は、触媒層に近接する下降流超臨界改良反応器の1つ以上の側方位置に配置された、1つ以上のパージ流体入口を含む。方法はまた、組み合わされた供給物ストリームを、触媒層に通過させるステップであって、組み合わされた供給物ストリーム中の軽質炭化水素は、少なくとも部分的に触媒層を通って流動し、一方組み合わされた供給物ストリーム中の重質炭化水素は、少なくとも部分的に、触媒層の空隙内、またはその両方で篩い分けされる、通過させるステップと;ブロックされた重質炭化水素を、超臨界水の存在下で触媒層内で少なくとも部分的に軽質炭化水素に変換するステップと;パージ入口を通してパージ流体を注入して、第1の触媒層、第2の触媒層、またはその両方と接触させ、閉塞を低減するステップと;軽質炭化水素及び変換された軽質炭化水素を含む改良された生成物を、下降流超臨界改良反応器の外に通過させるステップとを含む。
本開示の第14の態様は、パージ流体入口が、下降流超臨界改良反応器内で水平に延在する1つ以上の線形パイプを備える、第1から第5及び第13の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第15の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、角度をもって位置付けられた1つ以上の線形パイプを備え、角度は、第1の触媒層により画定される水平面に対する角度である、第1から第5及び第13の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第16の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、1つ以上の非線形パイプを備え、非線形パイプは、非線形パイプの直線セクションに対して少なくとも1つの湾曲または曲率を含む、第1から第5及び第13の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第17の態様は、湾曲が、非線形パイプの直線セクションにより画定される面に対して角度θに配向している、第16の態様を含んでもよい。
本開示の第18の態様は、角度θが、鋭角、鈍角、または90°の角度である、第17の態様を含んでもよい。
本開示の第19の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、1つ以上の開口を有する環状リングを備える、第1から第5及び第13の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第20の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、複数のパイプを備える、第1から第5及び第13の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第21の態様は、複数のパイプが、離間している、または相互接続されている、第20の態様を含んでもよい。
本開示の第22の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、1つ以上の開口を有するパイプを有する、第1から第5及び第13から第21の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第23の態様は、パージ流体が、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される芳香族炭化水素も含む、第1から第5及び第13から第22の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第24の態様は、下降流超臨界改良反応器の上流側及び下流側に、1つ以上の圧力センサをさらに備える、第1から第23の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の題25の態様は、圧力センサが、下降流超臨界改良反応器の圧力が動作圧力の1%〜10%逸脱した時にパージ流体を送達するように、パージ流体入口の1つをトリガする、第24の態様を含んでもよい。
本開示の第26の態様は、超臨界改良反応器システムであって、1つ以上の超臨界改良反応器及び1つ以上の超臨界改良待機反応器であって、水の臨界温度より高い温度及び水の臨界圧力より高い圧力で動作する、1つ以上の超臨界改良反応器及び1つ以上の超臨界待機反応器と;1つ以上の超臨界改良反応器の少なくとも1つ、及び1つ以上の超臨界待機反応器の少なくとも1つに結合された1つ以上のコントローラであって、超臨界待機反応器が、組み合わされた供給物ストリームを改良する超臨界改良反応器に変換され、超臨界改良反応器が、洗浄流体の送達により洗浄動作を実行する超臨界待機反応器に変換されるように、超臨界改良反応器及び超臨界待機反応器が機能を交替することを可能にするコントローラとを備える超臨界改良反応器システムに関連する。
本開示の第27の態様は、1つ以上のコントローラの少なくとも1つが、プログラマブルロジックコントローラである、第26の態様を含んでもよい。
本開示の第28の態様は、石油系組成物を改良するためのプロセスであって、混合デバイス内で、超臨界水ストリームを加圧、加熱された石油系組成物と組み合わせ、組み合わされた供給物ストリームを形成するステップと、1つ以上の超臨界改良反応器及び1つ以上の超臨界待機反応器を備える改良反応器システムに、組み合わされた供給物ストリームを導入するステップとを含むプロセスに関連する。超臨界改良反応器及び超臨界待機反応器は両方とも、水の臨界温度より高い温度及び水の臨界圧力より高い圧力で動作し、超臨界改良反応器及び超臨界待機反応器は両方とも、少なくとも1つの触媒層を備え、少なくとも1つの触媒層は、空隙体積比を有する不均一多孔質金属含有触媒である。方法はまた、組み合わされた供給物ストリームを超臨界改良反応器内で改良して、改良された生成物を生成するステップと;改良ステップが超臨界改良反応器内で実行されている間、洗浄流体を超臨界待機反応器内に通過させることにより、超臨界待機反応器を洗浄するステップと;超臨界待機反応器が、組み合わされた供給物ストリームを改良する超臨界改良反応器に変換される一方で、超臨界改良反応器が、洗浄流体の送達により洗浄動作を行う超臨界待機反応器に変換されるように、超臨界改良反応器及び超臨界待機反応器の機能を交替させるステップとを含む。
本開示の第29の態様は、不均一多孔質金属含有触媒が、遷移金属及び貴金属からなる群から選択される1つ以上の成分を含む、第26から第28の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第30の態様は、遷移金属が、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む、1種以上の金属含有成分を構成する、第29の態様を含んでもよい。
本開示の第31の態様は、貴金属が、Au、Ag、Pt、Ro、Rh、Os、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む、1種以上の金属含有成分を構成する、第29の態様を含んでもよい。
本開示の第32の態様は、不均一多孔質金属含有触媒が、金属複数層または合金を含む、第26から第31の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第33の態様は、不均一多孔質金属含有触媒が、プロモーターをさらに含む、第26から第32の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第34の態様は、超臨界改良反応器、超臨界待機反応器、またはその両方の上流側及び下流側に、1つ以上の圧力センサをさらに備える、第26から第33の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第35の態様は、圧力センサが、超臨界改良反応器からの組み合わされた供給物ストリームの遮断、及び洗浄動作の開始をトリガする、第34の態様を含んでもよい。
本開示の第36の態様は、洗浄流体が、超臨界水を含む、第26から第35の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第37の態様は、洗浄流体が、超臨界水及び油を含む、第26から第36の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第38の態様は、洗浄流体が、超臨界水及び酸素を含み、酸素含量は、0.1重量パーセント(wt%)から2.0wt%の間である、第26から第37の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第39の態様は、石油系組成物を改良するための反応器であって、第1の触媒層と、超臨界反応器内の第1の触媒層の垂直下方に配置された第2の触媒層と、第1の触媒層、第2の触媒層、またはその両方に近接して配置された複数のパージ流体入口とを含み、第1の触媒層、及び第2の触媒層は、少なくとも不均一多孔質金属含有触媒を含み、第1の触媒層は、第1の空隙体積比を備え、第2の触媒層は、少なくとも第2の空隙体積比を備え、少なくとも第2の空隙体積比は、第1の空隙体積比より小さい反応器に関連する。
本開示の第40の態様は、反応器が、最外金属管状壁と、金属管状壁の内側に同軸上に配置されたインサートとを備える、第39の態様を含んでもよい。
本開示の第41の態様は、第1の触媒層、第2の触媒層、及びパージ流体入口が、インサートにより支持される、第39または第40の態様を含んでもよい。
本開示の第42の態様は、石油系組成物を改良するための反応器であって、第1の触媒層と、超臨界反応器内の第1の触媒層の垂直下方に配置された第2の触媒層とを含み、第1の触媒層及び第2の触媒層は、少なくとも不均一多孔質金属含有触媒を含み、第1の触媒層は、第1の空隙体積比を備え、第2の触媒層は、第2の空隙体積比を備え、第2の空隙体積比は、第1の空隙体積比より小さい反応器に関連する。
本開示の第43の態様は、第1の触媒層及び第2の触媒層が、異なる組成物を含む、第39から第42の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第44の態様は、第1の触媒層及び第2の触媒層が、互いに接触している、第39から第43の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第45の態様は、第1の触媒層及び第2の触媒層が、ある距離だけ離間している、第39から第43の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第46の態様は、第2の空隙体積比に対する第1の空隙体積比の比が1から10である、第39から第43及び第45の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第47の態様は、第1の触媒層、第2の触媒層、またはその両方が、金属ハニカム、焼結金属ディスク、及び金属織布からなる群から選択される1つまたは構造を備える、第39から第46の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第48の態様は、反応器が、最外金属管状壁と、金属管状壁の内側に同軸上に配置されたインサートとを備える、第42から第47の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第49の態様は、第1の触媒層及び第2の触媒層が、インサートにより支持される、第48の態様を含んでもよい。
本開示の第50の態様は、石油系組成物を改良するための反応器であって、少なくとも1つの触媒層であって、空隙体積比を有する不均一多孔質金属含有触媒を含む少なくとも1つの触媒層と、少なくとも1つの触媒層に近接して配置され、少なくとも1つの触媒層にパージ流体を送達するように構成された少なくとも1つのパージ流体入口とを備える反応器に関連する。
本開示の第51の態様は、触媒層が、金属ハニカム、焼結金属ディスク、及び金属織布からなる群から選択される1つまたは構造を備える、第50の態様を含んでもよい。
本開示の第52の態様は、反応器が、最外金属管状壁と、金属管状壁の内側に同軸上に配置されたインサートとを備える、第50及び第51の態様を含んでもよい。
本開示の第53の態様は、第1の触媒層、第2の触媒層、及びパージ流体入口が、インサートにより支持される、第52の態様を含んでもよい。
本開示の第54の態様は、不均一多孔質金属含有触媒が、遷移金属及び貴金属からなる群から選択される1つ以上の成分を含む、第39から第53の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第55の態様は、遷移金属が、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む、1種以上の金属含有成分を構成する、第54の態様を含んでもよい。
本開示の第56の態様は、貴金属が、Au、Ag、Pt、Ro、Rh、Os、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含む、1種以上の金属含有成分を構成する、第54の態様を含んでもよい。
本開示の第57の態様は、触媒層の不均一多孔質金属含有触媒が、金属複数層または合金を含む、第39から第56の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第58の態様は、不均一多孔質金属含有触媒が、プロモーターをさらに含む、第39から第57の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第59の態様は、パージ流体入口が、下降流超臨界改良反応器内で水平に延在する1つ以上の線形パイプを備える、第39から第41及び第50から第58の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第60の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、角度をもって位置付けられた1つ以上の線形パイプを備え、角度は、第1の触媒層により画定される水平面に対する角度である、第39から第41及び第50から第58の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第61の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、1つ以上の非線形パイプを備え、非線形パイプは、非線形パイプの直線セクションに対して少なくとも1つの湾曲または曲率を含む、第39から第41及び第50から第58の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第62の態様は、湾曲が、非線形パイプの直線セクションにより画定される面に対して角度θに配向している、第61の態様を含んでもよい。
本開示の第63の態様は、角度θが、鋭角、鈍角、または90°の角度である、第62の態様を含んでもよい。
本開示の第64の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、1つ以上の開口を有する環状リングを備える、第39から第41及び第50から第58の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第65の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、複数のパイプを備える、第39から第41及び第50から第58の態様のいずれかを含んでもよい。
本開示の第66の態様は、複数のパイプが、離間している、または相互接続されている、第65の態様を含んでもよい。
本開示の第67の態様は、1つ以上のパージ流体入口が、1つ以上の開口を有するパイプを有する、第39から第41及び第50から第66の態様のいずれかを含んでもよい。
本実施形態を詳細に説明したが、本開示の原理及び範囲から逸脱せずに、様々な変更、置換、及び改変を行うことができることが理解されるべきである。したがって、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその適切な法的な均等物により決定されるべきである。
文脈上異なる定義が明示されていない限り、単数形は複数形の参照を含む。同様に、全ての範囲は、全体を通して、1つの特定の値から、別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、前記範囲内の全ての組み合わせと共に、その1つの特定の値から他の特定の値までであることが理解されるべきである。