JP2019001920A - 樹脂フィルム、積層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアクリロニトリル以外の樹脂を必須の構成材料として、貼付剤用の包装体を単純な構成で製造可能であり、貼付剤の有効成分の吸着を抑制でき、シール強度が大きい樹脂フィルム及び積層フィルム、並びに前記積層フィルムを用いて得られた包装体の提供。【解決手段】昇温速度2℃/minで、25℃から300℃まで昇温させたときの熱重量減少率が0.4%以下であり、ポリエチレンテレフタレートを含む、樹脂フィルム11を用い、樹脂フィルム11と、それ以外の他の層12と、が積層されてなる積層フィルム1において、樹脂フィルム11を、積層フィルム1の一方の最表層となるように配置し、積層フィルム1における樹脂フィルム11同士の一部を接着して、収容空間を形成して、包装体とする。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂フィルム、積層フィルム及び包装体に関する。
従来から、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品等の保存用包装体として、単層のプラスチックフィルムや、プラスチックフィルムにアルミ箔がラミネートされたプラスチック包装体等が利用されている。このような包装体を用いて、医薬品等を包装したときには、時間の経過とともに、医薬品等が酸素や水蒸気の影響を受けることがあるという問題点とは別に、医薬品等の有効成分の含有量が低下することがあるという問題点があった。これは特に、気化し易い成分を有効成分とする貼付剤で顕著である。
これに対して、ポリアクリロニトリル(PAN)を構成材料とするシーラントフィルムを用いることで、シール部の密封性を高めつつ、有効成分の吸着を抑えた貼付剤収納用包装袋が開示されている。
しかし、PANはコストが高く、さらに、そのペレットを成形してフィルムを作製するときに樹脂粒が混在する、いわゆるフィッシュアイが発生し易いという問題点があった。フィッシュアイが存在するフィルム(シーラントフィルム)は、ヒートシール強度が低下し易く、ピンホールが発生し易いため、気密性が低下し易いという機能上の問題点があり、さらに外観が悪いという意匠上の問題点もあった。
PAN以外の樹脂を構成材料とするシーラントフィルムとしては、2層のポリオレフィン系樹脂層と、これらポリオレフィン系樹脂層とは異なる、1層又は2層の環状ポリオレフィン系樹脂層と、を有するものが開示されている(特許文献1〜2参照)。これらシーラントフィルムは、有効成分が吸着し難く、シール強度が大きく、成膜が容易であるとされている。
特開2013−248742号公報 特開2015−112720号公報
しかし、特許文献1〜2で開示されているシーラントフィルムは、上記のとおり、3層以上の多層構成であり、必須とされる構成が複雑であるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリアクリロニトリル以外の樹脂を必須の構成材料として、貼付剤用の包装体を単純な構成で製造可能であり、貼付剤の有効成分の吸着を抑制でき、シール強度が大きい樹脂フィルム及び積層フィルム、並びに前記積層フィルムを用いて得られた包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].昇温速度2℃/minで、25℃から300℃まで昇温させたときの熱重量減少率が0.4%以下であり、ポリエチレンテレフタレートを含む、樹脂フィルム。
[2].下記方法で前記樹脂フィルムの剥離試験を行ったときに測定されるシール強度が、6N/15mm以上である、[1]に記載の樹脂フィルム。
<剥離試験>
60℃で1週間保管した後の、厚さ30μmの前記樹脂フィルム同士を向かい合わせて、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒、シール幅15mmの条件で、さらに、シール温度を160℃以上のいずれかの温度として、ヒートシールして試験片を作製し、前記試験片のヒートシールされている面同士を剥離させて、シール強度を測定する。
[3].下記方法で前記樹脂フィルムの吸着試験を行ったときに測定されるメントールの吸着量が、5mg/100cm以下である、[1]又は[2]に記載の樹脂フィルム。
<吸着試験>
60℃で1週間保管した後の、大きさが40mm×45mm、厚さが30μmの前記樹脂フィルムの試験片を用意し、空気雰囲気下において、容積が4000cmのガラス製容器内の底部に3gのメントールを配置し、前記容器内の前記メントールの上部10cmの位置に、前記試験片を配置し、この状態で前記容器を密封して、40℃で1週間静置した後、前記容器内から取り出した前記試験片を2mLのエタノール中に浸漬して、静置中に前記試験片に吸着されたメントールをエタノール中に抽出し、メントールの抽出量を測定して、この測定値から前記試験片のメントールの吸着量を求める。
[4].非晶質状態の前記樹脂フィルムについて、昇温速度5℃/minで、25℃から300℃まで昇温させることで、示差走査熱量を測定したとき、前記樹脂フィルムの結晶化を示す温度が150℃以下であるか又は観測されない、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[5].[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂フィルムと、それ以外の他の層と、が積層されてなる積層フィルムであって、前記樹脂フィルムが、前記積層フィルムの一方の最表層となるように配置されている、積層フィルム。
[6].前記他の層が金属箔である、[5]に記載の積層フィルム。
[7].[5]又は[6]に記載の積層フィルムにおける前記樹脂フィルム同士の一部が接着され、形成されている収容空間を有する、包装体。
本発明によれば、ポリアクリロニトリル以外の樹脂を必須の構成材料として、貼付剤用の包装体を単純な構成で製造可能であり、貼付剤の有効成分の吸着を抑制でき、シール強度が大きい樹脂フィルム及び積層フィルム、並びに前記積層フィルムを用いて得られた包装体が提供される。
本発明の積層フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の包装体の一実施形態を模式的に示す断面図である。
<<樹脂フィルム>>
本発明の樹脂フィルムは、昇温速度2℃/minで、25℃から50℃まで昇温させたときの熱重量減少率が0.4%以下であり、ポリエチレンテレフタレートを含む。
本発明の樹脂フィルムは、シーラントフィルムとして利用可能であり、このような構成を有することにより、貼付剤の有効成分等の、気化し易い成分の吸着を抑制でき、かつシール強度が大きいという特性を有する。そして、このような特性により、本発明の樹脂フィルムは、貼付剤用の包装体を製造するときに用いるのに特に好適である。さらに、本発明の樹脂フィルムは、単層でその効果を発現するため、単純な構成で包装体を製造できる。本発明の樹脂フィルムは、ポリアクリロニトリル以外の樹脂を必須の構成材料としており、ポリアクリロニトリルを必須の構成材料としない。
前記樹脂フィルムが含むポリエチレンテレフタレートは、特に限定されず、例えば、結晶質ポリエチレンテレフタレート及び非晶質ポリエチレンテレフタレートのいずれであってもよいが、非晶質ポリエチレンテレフタレート(A−PET)であることが好ましい。
ポリエチレンテレフタレートの重量平均分子量は、300〜15000であることが好ましく、500〜10000であることがより好ましい。
ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度(Tg)は、50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることがより好ましい。
前記樹脂フィルムが含むポリエチレンテレフタレートは、1種のみでよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート以外の他の成分(本明細書においては、「他の成分」と略記することがある)を含んでいてもよい。
前記他の成分は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。例えば、前記他の成分は、有機化合物及び無機化合物のいずれであってもよいし、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
前記樹脂フィルムが含む他の成分は、1種のみでよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂(本明細書においては、「他の樹脂」と略記することがある);酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等の、公知の各種添加剤等が挙げられる。
前記他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル等が挙げられる。
前記他の成分は、炭化水素以外の成分であることが好ましい。炭化水素(例えば、パラフィン等の常温で液体又は固体の炭化水素等)を含む前記樹脂フィルムは、前記炭化水素を含まない樹脂フィルムよりも、シール強度が大きくなる(本明細書においては、このような作用を示す成分を「シール強度増大成分」と称することがある)ものの、前記有効成分等の気化し易い成分の吸着を抑制できない傾向にある。その理由は定かではないが、シール強度増大成分が樹脂フィルム中からその表面に移行(ブリードアウト)し易く、その結果、樹脂フィルムの表面において、このシール強度増大成分によって気化し易い成分が吸着されてしまうか、又は、シール強度増大成分が樹脂フィルムの表面に移行した後に生じた樹脂フィルム内部の空隙部に、気化し易い成分が吸着されてしまうからではないかと推測される。
樹脂フィルムのシール強度増大成分の含有量は、後述する樹脂フィルムの熱重量減少率の値によって、大まかに把握することが可能である。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
また、前記他の成分は、有機リン化合物以外の成分であることが好ましい。有機リン化合物(例えば、樹脂の加工安定剤として使用される化合物等)を含む前記樹脂フィルムも、前記有効成分等の気化し易い成分の吸着を抑制できない傾向にある。その理由は定かではないが、前記炭化水素の場合と同様の理由が推測される。
樹脂フィルムの前記有機リン化合物の含有量も、後述する樹脂フィルムの熱重量減少率の値によって、大まかに把握することが可能である。
前記樹脂フィルムのポリエチレンテレフタレートの含有量は、特に限定されないが、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが特に好ましく、例えば、99.6質量%以上等であってもよい。ポリエチレンテレフタレートの含有量が前記下限値以上であることで、前記樹脂フィルムにおいて、前記有効成分等の気化し易い成分の吸着をより抑制でき、かつシール強度がより大きくなる。
前記樹脂フィルムのポリエチレンテレフタレートの含有量の上限値は、100質量%である。
換言すると、前記樹脂フィルムの前記他の成分の含有量は、特に限定されないが、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、例えば、0.4質量%以下等であってもよい。前記他の成分の含有量が前記上限値以下であることで、前記樹脂フィルムにおいて、前記有効成分等の気化し易い成分の吸着をより抑制でき、かつシール強度がより大きくなる。
ただし、同様の理由で、前記樹脂フィルムの、シール強度増大成分及び有機リン化合物の合計含有量は、1質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましい。
前記樹脂フィルムの前記他の成分の含有量の下限値は、0質量%である。
前記樹脂フィルムは、後述するその製造方法(フィルム化する工程)において、延伸処理を行った延伸樹脂フィルムであってもよいが、シール強度がより大きくなる点から、延伸処理を行っていない未延伸樹脂フィルムであることが好ましい。
本発明においては、下記方法で前記樹脂フィルムの剥離試験を行ったときに測定されるシール強度は、6N/15mm以上であることが好ましく、10N/15mm以上であることがより好ましく、13N/15mm以上であることが特に好ましい。前記シール強度が前記下限値以上であることで、後述する包装体によって、目的とする包装対象物をより安定して包装できる。
<剥離試験>
60℃で1週間保管した後の、厚さ30μmの前記樹脂フィルム同士を向かい合わせて、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒、シール幅15mmの条件で、さらに、シール温度を160℃以上のいずれかの温度として、ヒートシールして試験片を作製し、前記試験片のヒートシールされている面同士を剥離させて、シール強度を測定する。
なお、前記試験片の作製に用いる前記樹脂フィルムの厚さは30μmであるが、後述する積層フィルム及び包装体を構成する前記樹脂フィルムの厚さは、後述するように、30μmに限定されない。
一方、前記シール強度の上限値は、特に限定されない。ただし、前記シール強度は、40N/15mm以下であることが好ましい。前記シール強度が前記上限値以下である樹脂フィルムは、より容易に製造できる。
本発明においては、前記シール強度は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて決定される数値範囲となるように、適宜調節できる。
例えば、前記シール強度は、好ましくは6〜40N/15mm、より好ましくは10〜40N/15mm、特に好ましくは13〜40N/15mmとすることができる。ただし、これら数値範囲は、前記シール強度の好ましい数値範囲の一例である。
前記剥離試験における前記試験片の作製時に、向かい合わせてヒートシールする2枚の前記樹脂フィルムは、組成(含有成分の種類及び含有量)が同じものである。そして、これら2枚の前記樹脂フィルムは、幅が15mm以上であれば、大きさは特に限定されず、互いに同じ大きさであってもよいし、異なる大きさであってもよい。
ヒートシールする2枚の前記樹脂フィルムは、60℃で1週間保管したものであるが、暗所で保管されたものが好ましく、保管中の相対湿度は20〜60%であることが好ましい。
前記試験片の作製時におけるシール温度は、160℃以上であればよいが、160〜200℃であることが好ましい。前記シール温度がこのような範囲内であることで、シール強度が大きい目的とする前記樹脂フィルムを、より高精度に特定できる。
前記樹脂フィルムの厚さは、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できるが、10〜80μmであることが好ましく、15〜75μmであることがより好ましく、20〜70μmであることが特に好ましい。前記樹脂フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、前記樹脂フィルムの強度がより高くなる。また、前記樹脂フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが避けられる。
前記樹脂フィルムは、昇温速度2℃/minで、25℃から300℃まで昇温させたときの熱重量減少率が0.4%以下であり、0.36%以下であることが好ましく、0.32%以下であることがより好ましい。前記樹脂フィルムは、前記熱重量減少率が前記上限値以下であることで、前記有効成分等の気化し易い成分の吸着を抑制する効果が高くなる。熱重量減少率が低い前記樹脂フィルムは、シール強度増大成分、有機リン化合物等の前記他の成分の含有量が少ないため、このような効果が得られる。
上述の熱重量減少率の測定に供する前記樹脂フィルムの量(使用量)は、10〜20mgであることが好ましい。前記樹脂フィルムの使用量がこのような範囲内であることで、熱重量減少率をより高精度に測定できる。
前記樹脂フィルムが非晶質状態である場合、この樹脂フィルムについて、昇温速度5℃/minで、25℃から300℃まで昇温させることで、示差走査熱量を測定したとき、前記樹脂フィルムの結晶化を示す温度(本明細書においては、「結晶化温度」と略記することがある)が150℃以下であるか又は観測されないことが好ましい。このような樹脂フィルムは、シール強度がより大きくなる。
上述の示差走査熱量を測定したとき、前記樹脂フィルムの結晶化を示す温度が観測される場合、その温度は、95〜145℃であることが好ましく、100〜140℃であることがより好ましい。
上述の示差走査熱量の測定に供する前記樹脂フィルムの量(使用量)は、10〜20mgであることが好ましい。前記樹脂フィルムの使用量がこのような範囲内であることで、示差走査熱量をより高精度に測定できる。
本発明においては、下記方法で前記樹脂フィルムの吸着試験を行ったときに測定されるメントールの吸着量は、5mg/100cm以下であることが好ましい。メントールの前記吸着量が前記上限値以下であることで、後述する包装体によって、目的とする包装対象物包装したときに、包装対象物中の気化し易い成分(例えば、貼付剤中の有効成分等)の包装体(換言すると前記樹脂フィルム)による吸着がより抑制される。
<吸着試験>
60℃で1週間保管した後の、大きさが40mm×45mm、厚さが30μmの前記樹脂フィルムの試験片を用意し、空気雰囲気下において、容積が4000cmのガラス製容器内の底部に3gのメントールを配置し、前記容器内の前記メントールの上部10cmの位置に、前記試験片を配置し、この状態で前記容器を密封して、40℃で1週間静置した後、前記容器内から取り出した前記試験片を2mLのエタノール中に浸漬して、静置中に前記試験片に吸着されたメントールをエタノール中に抽出し、メントールの抽出量を測定して、この測定値から前記試験片のメントールの吸着量を求める。
前記吸着試験においては、メントールの吸着量を特定するが、メントールの吸着量が前記上限値以下となり、メントールの吸着抑制効果を示す前記樹脂フィルムは、メントール以外の気化し易い成分でも、吸着抑制効果を示す。
前記樹脂フィルム、並びに後述する積層フィルム及び包装体において、吸着が抑制される気化し易い成分としては、例えば、メントール、カンフル、ゲラニオール等のテルペノイド;リモネン等のテルペン;マツタケオール(1−オクテン−3−オール)等の脂肪族不飽和アルコール;安息香酸メチル等の芳香族カルボン酸エステル;ヒノキオール等の芳香族アルコール;サリチル酸メチル等の芳香族ヒドロキシカルボン酸エステル;酢酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル等が挙げられる。
なお、上述の気化し易い成分に、光学異性体等の立体異性体が存在する場合、前記樹脂フィルムが吸着抑制効果を示す対象には、これら立体異性体全般が含まれる。
メントールの前記吸着量は、0.1〜5.0mg/100cmであることが好ましく、0.2〜4.0mg/100cmであることがより好ましい。メントールの前記吸着量が前記上限値以下であることで、上述のような包装体(前記樹脂フィルム)による気化し易い成分の吸着抑制効果がより高くなる。また、メントールの前記吸着量が前記下限値以上となる前記樹脂フィルムは、より容易に製造できる。
前記吸着試験で用いる前記樹脂フィルムの試験片は、60℃で1週間保管したものであるが、上述の剥離試験での試験片の作製に用いた前記樹脂フィルムの場合と同様の条件で保管されたものが好ましい。例えば、前記吸着試験で用いる前記樹脂フィルムの試験片は、暗所で保管されたものが好ましく、保管中の相対湿度は20〜60%であることが好ましい。
前記吸着試験で用いる前記ガラス製容器は、その内部を外部から隔離して、密封可能であり、前記試験片及びメントールを上述のとおり配置可能なものであれば、特に限定されない。好ましい前記ガラス製容器としては、デシケーター等が挙げられるが、これは一例である。
なお、用いるガラス製容器の容積は、4000cm丁度ではなく、例えば、−5〜5%程度の差があっても構わない。ガラス製容器の容積がこの程度の範囲内であれば、吸着試験の結果は、誤差が全くないか、又は無視し得る程度の微細な誤差が生じるだけであり、測定精度に問題を生じない。
前記試験片は、前記ガラス製容器内において、底部に配置されたメントールの上部10cmの位置に配置する。このとき、前記ガラス製容器内においては、前記試験片の最も高さが低い部位が、メントールの最も高さが高い部位から10cm上方の位置に存在するように、前記試験片を配置すればよい。そして、前記試験片は、メントールの直上に位置するように配置することが好ましい。
前記試験片をこのように配置するときには、前記試験片に接触させてこの配置状態を保持するための保持手段を用い、この保持手段によって前記試験片の表面が隠蔽される面積をなしとするか、又は極力小さくするようにして、前記試験片を保持する必要がある。このような保持方法としては、例えば、前記試験片に糸状、紐状、又は細い棒状の支持手段を通し、この支持手段をガラス製容器内の適切な箇所に固定することによって、前記試験片を保持する方法等が挙げられる。
前記試験片をガラス製容器内でこのように配置し、この状態でガラス製容器を密封して、40℃で1週間静置することにより、ガラス製容器内では、メントールが前記試験片に吸着され得る。ここで、「40℃」とは、ガラス製容器内の温度である。
40℃で1週間静置した後は、ガラス製容器内から前記試験片を取り出し、この取り出した試験片を2mLのエタノール中に浸漬する。このように試験片をエタノール中に浸漬することで、静置中に試験片に吸着されたメントールをエタノール中に抽出できる。
ガラス製容器内から取り出した前記試験片は、直ちにエタノール中に浸漬することが好ましい。このように、迅速に試験片をエタノール中に浸漬することで、試験片のメントールの吸着量をより高精度に求められる。ここで、「直ちに」とは、ガラス製容器内から取り出した試験片において、少なくとも、吸着している成分の種類及び吸着量が、いずれも明確な変化を示さない時間内であることを意味する。
前記試験片をエタノール中に浸漬するときには、エタノール中に試験片全体が浸るようにする。
また、試験片を浸漬中のエタノールは、例えば、撹拌子を回転させる方法、超音波を加える方法等の公知の方法によって、撹拌したり、振動させたりするなど、動きを与えてもよい。このようにすることで、メントールの抽出効率が向上することがある。
前記試験片を浸漬するエタノールの温度、及び前記試験片を浸漬中のエタノールの温度は、いずれも20〜40℃であることが好ましい。このようにすることで、試験片のメントールの吸着量をより高精度に求められる。
前記吸着試験においては、前記試験片を浸漬後のエタノールについて、メントールの抽出量を測定し、この測定値から前記試験片のメントールの吸着量を求める。エタノールのメントールの抽出量は、例えば、ガスクロマトグラフィー(GC)等の公知の手法によって測定できる。
<<樹脂フィルムの製造方法>>
本発明の樹脂フィルムは、例えば、その形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を用いて、押出成形法、インフレーション成形法等の公知の方法を適用することで製造できる。ただし、前記樹脂フィルムの製造過程においては、フィルムの延伸処理を行わないことが好ましい。
前記樹脂組成物は、前記樹脂フィルムが目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分(例えば、溶媒以外の成分)同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された樹脂フィルム中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
<<積層フィルム>>
本発明の積層フィルムは、上述の本発明の樹脂フィルムと、それ以外の他の層と、が積層されてなる積層フィルムであって、前記樹脂フィルムが、前記積層フィルムの一方の最表層(最も表側、換言すると最も外側に位置する層)となるように配置されているものである。
本発明の積層フィルムは、前記樹脂フィルムを備えていることで、前記樹脂フィルムと同様の効果を示す。
本発明の積層フィルムは、貼付剤用の包装体を製造するときに用いるのに特に好適である。
前記他の層は、目的に応じて任意に選択でき、前記樹脂フィルム以外のものであれば、特に限定されない。
前記他の層の含有成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の層は、1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。前記他の層が複数層である場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、前記他の層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
前記他の層で好ましいものとしては、例えば、酸素バリア層が挙げられる。
また、前記他の層が複数層である場合には、そのうちの少なくとも1層で好ましいものとしては、接着層が挙げられる。
前記酸素バリア層は、酸素バリア材を含み(酸素バリア材を含有成分とし)、前記酸素バリア材は、無機材料及び有機材料のいずれであってもよい。
前記酸素バリア材のうち、無機材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化アルミニウム(アルミナ)等の軽金属及びその化合物;酸化ケイ素、鉄、ブリキ、銅、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の前記軽金属及びその化合物以外の無機物等が挙げられる。
前記酸素バリア材のうち、有機材料としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH);ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ポリメタキシリレンアジパミド(МXD6)等の芳香族ポリアミド等が挙げられる。
これらの中でも、好ましい酸素バリア材としては、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が挙げられる。
酸素バリア層の形態は、酸素バリア材を含んでいれば特に限定されない。
酸素バリア層として、より具体的には、例えば、金属箔、無機物蒸着フィルム、酸素バリア材がコーティングされたフィルム等が挙げられる。
これらの中でも酸素バリア層は、前記積層フィルムを用いて構成された包装体中の包装物(収容物)の保護効果がより高い点では、金属箔又は無機物蒸着フィルムであることが好ましい。
前記金属箔としては、例えば、アルミニウム等の軽金属箔;アルミニウム合金等の軽金属の合金箔;鉄箔、ブリキ箔、表面処理銅箔等のスチール箔等が挙げられる。
これらの中でも前記金属箔は、安価で汎用性が高い点では、アルミニウム箔であることが好ましい。
前記無機物蒸着フィルムとしては、例えば、蒸着によって酸素バリア材が基材フィルムに付着されたものが挙げられる。
前記基材フィルムは、特に限定されないが、具体的なものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ナイロン(登録商標)等のポリアミド;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール等の樹脂等を、延伸して又は未延伸のままフィルム状としたものが挙げられる。
一般的には、ポリエチレンテレフタレートは、弾性率(腰)及び耐熱性が高い基材フィルムを使用したいときに選択され、ナイロン(登録商標)(特に延伸ナイロン(登録商標))は、突刺強度及び耐ピンホール性等が高い基材フィルムを使用したいときに選択され、ポリビニルアルコールは、酸素バリア性が高い基材フィルムを使用したいときに選択される。ただし、このような選択方法は一例である。
前記積層フィルムの用途と、その場合に求められる酸素バリア層の酸素バリア性及び包装物の保護効果等を総合的に考慮すると、酸素バリア層は、金属箔であることがより好ましい。すなわち、前記積層フィルムは、前記樹脂フィルム及び金属箔が積層されてなるものがより好ましい。
前記接着層は、これ以外の2層の間に配置され、これら2層を接着させて、積層フィルムの多層構造をより安定化させる。
接着層は、このような特性を有するものであれば特に限定されない。
接着層として、より具体的には、例えば、接着性樹脂を含むものが挙げられる。
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂である。
前記他の層の厚さは、他の層の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、酸素バリア層の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、7〜50μmであることがより好ましい。酸素バリア層の厚さが前記下限値以上であることで、酸素バリア性及び耐ピンホール性がより向上する。また、酸素バリア層の厚さが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムと、これを用いて構成された包装体の、シール性がより向上する。
他の層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の好ましい他の層の厚さとなるようにするとよい。
図1は、本発明の積層フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す積層フィルム1は、一方の最表層となるように配置された樹脂フィルム11と、その上に配置された他の層12と、を備える。すなわち、積層フィルム1は、樹脂フィルム11及び他の層12が、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
樹脂フィルム11は、上述の本発明の樹脂フィルムである。
樹脂フィルム11は、樹脂フィルム11同士、又は樹脂フィルム11と他の部材との接着を可能とする。樹脂フィルム11を備えていることで、積層フィルム1は、後述するように容易に包装体を構成できる。
積層フィルム1の、他の層12側の一方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)1a、換言すると、他の層12の露出面12aは、後述する包装体においては、露出面となる。
一方、積層フィルム1の、樹脂フィルム11側の他方の表面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)1b、換言すると、樹脂フィルム11の露出面11bは、後述する包装体においては、包装体対象物を収容するための収容部を構成する面となり、包装体対象物との接触面となる。
図1においては、本発明の積層フィルムとして、前記他の層を1層のみ備えた積層フィルム1を示しているが、上述のとおり、本発明の積層フィルムは他の層を2層以上備えていてもよい。ただし、他の層を2層以上備えた前記積層フィルムにおいて、前記樹脂フィルムは、一方の最表層となるように配置されている。すなわち、2層以上の他の層は、積層フィルムの厚さ方向において、すべて前記樹脂フィルムに対して同じ側に配置されている。
本発明の積層フィルムは、上述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
<<積層フィルムの製造方法>>
本発明の積層フィルムは、例えば、あらかじめ製造済みの前記樹脂フィルム上に、前記他の層を新たに形成することで製造してもよいし、あらかじめ製造済みの前記他の層上に、前記樹脂フィルムを新たに形成することで製造してもよいし、前記樹脂フィルム及び他の層を同時に形成して積層することで製造してもよい。ただし、いずれの方法においても、前記樹脂フィルムが前記積層フィルムの一方の最表層となるようにする。より具体的には、以下のとおりである。
なお、本明細書においては、積層フィルムを構成するいずれかの層を、フィルムと称することもある。例えば、「接着層」は「接着フィルム」と称することがある。
本発明の積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、各層(フィルム)を形成することで製造できる。
また、本発明の積層フィルムは、その中のいずれかの層(フィルム)の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を、積層フィルムを構成するための別の層(フィルム)の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、積層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層(フィルム)を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
また、本発明の積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層(フィルム)を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層(接着フィルム)を形成可能なものを用いてもよい。
また、本発明の積層フィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層(フィルム)を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
本発明の積層フィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、積層フィルム中のいずれかの層(フィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分(例えば、溶媒以外の成分)同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
<<包装体>>
本発明の包装体は、上述の本発明の積層フィルムにおける前記樹脂フィルム同士の一部が接着され、形成されている収容空間を有する。
本発明の包装体は、前記樹脂フィルムを用いていることで、前記収容空間(収容部)内の収容物中の気化し易い成分の吸着を抑制でき、かつシール強度が大きいという特性を有する。このような本発明の包装体は、貼付剤用の包装体として特に好適である、さらに、本発明の包装体は、前記樹脂フィルムを用いていることで、単純な構成とすることができる。
図2は、本発明の包装体の一実施形態を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す包装体10は、図1に示す積層フィルム1を用いて形成されたものである。包装体10は、一対の積層フィルム1,1の樹脂フィルム11,11同士の一部が接着され、形成されている収容空間Sを有しており、樹脂フィルム11が他の層12よりも収容空間S側に配置されて、概略構成されている。すなわち、一対の積層フィルム1,1は、これらの樹脂フィルム11,11同士が対向するように配置されており、積層フィルム1の第2面1bが接着面となっている。
包装体10の収容空間Sには、目的とする包装対象物(図示略)が収容される。
包装体10においては、収容空間S内に収容されている収容物(包装対象物)が、気化し易い成分を含んでいても(例えば、前記収容物が有効成分を含む医薬品、医薬部外品又は化粧品等の貼付剤であっても)、収容空間Sを形成している樹脂フィルム11は、気化し易い成分の吸着を抑制できる。したがって、包装体10で包装された収容物においては、保存中での気化し易い成分の含有量の低下が抑制される。また、樹脂フィルム11はシール強度が大きいため、包装体10は、目的とする包装対象物をより安定して包装できる。
包装体10の有効表面積及びヘッドスペース(収容空間Sの容量)は、特に限定されず、包装対象物の種類に応じて適宜選択できる。例えば、包装体10が、医薬品、医薬部外品又は化粧品等の保存用途で用いられる場合、包装体10の有効表面積は0.0005〜0.020mであることが好ましく、ヘッドスペースは包装対象物の重量(包装対象物の比重を1とする)の0.005〜1.00倍であることが好ましい。
ここまでは、本発明の包装体として、図1に示す積層フィルム1を用いたものについて説明したが、本発明の包装体は、本発明の他の実施形態の積層フィルムを用いて形成されたものであってもよい。
本発明の包装体は、上述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図2に示す包装体10は、一対の同じ種類の積層フィルム1,1を用いたものであるが、本発明の包装体は、一対の異なる種類の積層フィルム用いたものであってもよい。
また、本発明の包装体は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記積層フィルム以外の他の構成を備えていてもよい。前記他の構成は特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
<<包装体の製造方法>>
本発明の包装体は、一対の前記積層フィルムを用いて、収容空間を有するように、前記樹脂フィルム同士の一部を接着することで製造できる。
前記樹脂フィルム同士の接着は、例えば、公知の各種ラミネート法を適用することで、行うことができる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<樹脂フィルムの製造>
非晶質ポリエチレンテレフタレート(A−PET)樹脂(三菱ケミカル社製「ノバペックスGM700Z」、ガラス転移温度70℃)1kgにエタノール2Lを加え、30分間撹拌した後、ろ過してエタノールを除去し、真空乾燥機を用いて23℃で1時間乾燥させた。
以上により得られたA−PET樹脂を用いて、押出成形法により、延伸処理を行うことなく、未延伸のA−PETフィルム(厚さ30μm)を製造した。
<樹脂フィルムの評価>
(熱重量減少率)
上記で得られたA−PETフィルムを細かく裁断し、試料としてその20mgをはかり採って、示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)を行った。測定は、試料の昇温速度を2℃/minとし、試料を25℃から300℃まで昇温させることで行った。このときの熱重量減少率(%)の測定結果を表1に示す。
(結晶化温度)
上記で得られたA−PETフィルムを細かく裁断し、試料としてその20mgをはかり採って、示差走査熱量計(セイコーインスツル社製「DSC−6200」)を用いて、示差走査熱量(DSC)を測定した。測定は、試料の昇温速度を5℃/minとし、試料を25℃から300℃まで昇温させることで行った。このときの、試料の結晶化を示す温度(℃)を確認した。結果を表1に示す。
(シール強度)
上記で得られたA−PETフィルム2枚を、60℃で1週間保管した。
次いで、この保管後のフィルム同士を向かい合わせて、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒、シール幅15mmの条件で、さらに、シール温度を160℃として、ヒートシールして試験片を作製した。
次いで、引張試験機(エー・アンド・デイ社製「TENSILON RTG−1310」)を用いて、これら試験片のヒートシールされている面同士を剥離させて、このときの剥離力を測定し、この測定値をシール強度(N/15mm)とした。結果を表1に示す。
(メントールの吸着量)
上記で得られたA−PETフィルム(厚さ30μm)を、40mm×45mmの大きさに裁断して、試験片を作製し、この試験片を60℃で1週間保管した。
一方、容積が4000cmのガラス製デシケーターを用意し、空気雰囲気下において、その底部に、シャーレに載せた3gのメントールを配置した。そして、デシケーター内の、このメントールの上部10cmの位置に、前記試験片を配置した。より具体的には、前記試験片の長手方向を、ガラス製デシケーターの底面に対して垂直な方向に合わせ、前記試験片の最も高さが低い部位(下端)が、メントールの最も高さが高い部位から10cm上方の位置に存在するように、また、前記試験片がメントールの直上に位置するように、前記試験片の配置位置を調節した。前記試験片は、これに糸を通し、この糸をガラス製デシケーター内の適切な箇所に固定することによって、デシケーター内で保持した。そして、この状態でデシケーターを密封して、40℃で1週間静置した。
次いで、デシケーター内から前記試験片を取り出し、直ちにこの試験片を、23℃の2mLのエタノール中に浸漬して、上記の静置中にデシケーター内で前記試験片に吸着されたメントールをエタノール中に抽出した。
次いで、メントールを抽出後のエタノールを、ガスクロマトグラフィーにより分析し、メントールの含有量(抽出量)を測定して、この測定値から、前記試験片のメントールの吸着量(mg/100cm)を算出した。エタノールのメントールの含有量は、あらかじめ作成しておいた検量線を用いて測定した。また、ガスクロマトグラフィーは、下記条件で行った。結果を表1に示す。
・ガスクロマトグラフィーの条件
検出器:FID
カラム:アジレントテクノロジー社製「DB−17MS」
キャリヤーガス(流量):窒素ガス(1.5mL/min)
試料注入口温度:270℃
カラム初期温度:120℃
検出器温度:270℃
カラム昇温速度:3℃/min
<樹脂フィルムの製造及び評価>
[比較例1]
非晶質ポリエチレンテレフタレート(A−PET)樹脂(中国三房巷社製「CZ−333」、ガラス転移温度72℃)995gに、加工安定剤(6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ] −2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,F][1,3,2]ジオキサホスフェピン、住友化学社製「スミライザーGP」)5gを加えて、二軸混練機を用いて混練し、押出成形法により、延伸処理を行うことなく、未延伸のA−PETフィルム(厚さ30μm)を製造した。
上記で得られたA−PETフィルムについて、実施例1と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
<樹脂フィルムの評価>
[比較例2]
市販の二軸延伸PETフィルム(東洋紡績社製「E5107」、X方向に3倍、Y方向に4倍延伸、厚さ30μm)を用意した。
このフィルムについて、厚さは異なるが、実施例1と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2019001920
上記結果から明らかなように、実施例1の樹脂フィルム(未延伸A−PETフィルム)は、シール強度が大きく、メントールの吸着量が少なく、貼付剤用の包装体を製造するのに適したものであった。また、実施例1の樹脂フィルムは、貼付剤用の包装体を単純な構成で製造可能なものであった。実施例1の樹脂フィルムは、熱重量減少率が低く、かつ結晶化温度が低いという特性を有していた。
これに対して、比較例1の樹脂フィルム(未延伸A−PETフィルム)は、シール強度が大きいものの、メントールの吸着量が多く、貼付剤用の包装体を製造するのに適さないものであった。比較例1の樹脂フィルムは、熱重量減少率が高く、かつ結晶化温度が低いという特性を有していた。熱重量減少率が高いことは、この樹脂フィルムが、比較的融点が低い添加剤を多目に含んでいることを示しており、上記の加工安定剤を用いたことと整合しており、この樹脂フィルムのシール強度と、メントールの吸着量は、この添加剤の影響を受けていることを示唆していた。
また、比較例2の樹脂フィルム(二軸延伸PETフィルム)は、メントールの吸着量が少ないものの、シール強度が小さく、貼付剤用の包装体を製造するのに適さないものであった。比較例2の樹脂フィルムは、熱重量減少率が低く、かつ結晶化温度が観測されないという特性を有していた。
本発明は、包装対象物が含んでいる、気化し易い成分の吸着を抑制でき、かつシール強度が大きい包装体として利用可能であり、包装対象物が貼付剤である、貼付剤用の包装体として利用するのに、特に好適である。
1・・・積層フィルム
1a・・・積層フィルムの第1面
1b・・・積層フィルムの第2面
11・・・樹脂フィルム
11b・・・樹脂フィルムの露出面
12・・・他の層
12a・・・他の層の露出面
10・・・包装体
S・・・包装体の収容空間

Claims (7)

  1. 昇温速度2℃/minで、25℃から300℃まで昇温させたときの熱重量減少率が0.4%以下であり、ポリエチレンテレフタレートを含む、樹脂フィルム。
  2. 下記方法で前記樹脂フィルムの剥離試験を行ったときに測定されるシール強度が、6N/15mm以上である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
    <剥離試験>
    60℃で1週間保管した後の、厚さ30μmの前記樹脂フィルム同士を向かい合わせて、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒、シール幅15mmの条件で、さらに、シール温度を160℃以上のいずれかの温度として、ヒートシールして試験片を作製し、前記試験片のヒートシールされている面同士を剥離させて、シール強度を測定する。
  3. 下記方法で前記樹脂フィルムの吸着試験を行ったときに測定されるメントールの吸着量が、5mg/100cm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。
    <吸着試験>
    60℃で1週間保管した後の、大きさが40mm×45mm、厚さが30μmの前記樹脂フィルムの試験片を用意し、空気雰囲気下において、容積が4000cmのガラス製容器内の底部に3gのメントールを配置し、前記容器内の前記メントールの上部10cmの位置に、前記試験片を配置し、この状態で前記容器を密封して、40℃で1週間静置した後、前記容器内から取り出した前記試験片を2mLのエタノール中に浸漬して、静置中に前記試験片に吸着されたメントールをエタノール中に抽出し、メントールの抽出量を測定して、この測定値から前記試験片のメントールの吸着量を求める。
  4. 非晶質状態の前記樹脂フィルムについて、昇温速度5℃/minで、25℃から300℃まで昇温させることで、示差走査熱量を測定したとき、前記樹脂フィルムの結晶化を示す温度が150℃以下であるか又は観測されない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂フィルムと、それ以外の他の層と、が積層されてなる積層フィルムであって、
    前記樹脂フィルムが、前記積層フィルムの一方の最表層となるように配置されている、積層フィルム。
  6. 前記他の層が金属箔である、請求項5に記載の積層フィルム。
  7. 請求項5又は6に記載の積層フィルムにおける前記樹脂フィルム同士の一部が接着され、形成されている収容空間を有する、包装体。
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