JP6598240B2 - 袋体 - Google Patents
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Description
混合樹脂層の内側に、ポリプロピレン等の鎖状オレフィンのみで形成された鎖状オレフィン樹脂層を積層した積層フィルムを用いる包材も提案されている(例えば、特許文献2)。該包材では、混合樹脂層の内側に鎖状オレフィン樹脂層が積層されていることで接着性が向上するものの、易カット性が低下する問題がある。
[1]第1の層、及び前記第1の層上に積層された第2の層を備える積層フィルムであって、前記第1の層は、該第1の層の総質量に対して、環状オレフィン樹脂の割合が30質量%超70質量%以下で、鎖状オレフィン樹脂の割合が30質量%以上70質量%未満の層であり、前記第2の層は、該第2の層の総質量に対して、環状オレフィン樹脂の割合が30質量%以下で、鎖状オレフィン樹脂の割合が70質量%以上の層である、積層フィルム。
[2]前記第2の層が、前記第2の層の総質量に対して、環状オレフィン樹脂の割合が10〜30質量%で、鎖状オレフィン樹脂の割合が70〜90質量%の層である、[1]に記載の積層フィルム。
[3]総厚みが10〜90μmである、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルムを備える包材。
[5]前記[4]に記載の包材が袋状にされて形成された袋本体を備える袋体。
本発明の包材は、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、易カット性にも優れ、低コストである。
本発明の袋体は、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、易カット性にも優れ、低コストである。
以下、本発明の積層フィルムの一例を示して説明する。
本実施形態の積層フィルム1は、図1に示すように、第1の層10と、第1の層10上に積層された第2の層12とを備える。積層フィルム1は、袋体とされる際には第1の層10が第2の層12よりも内側となるように配置される。
第1の層10は、環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂とを含有する。環状オレフィン樹脂とは、環状構造を有するオレフィン樹脂を意味する。鎖状オレフィン樹脂とは、環状構造を有しない鎖状のオレフィン樹脂を意味する。
環状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
鎖状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、50〜70質量%が好ましい。
第1の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、30〜50質量%が好ましい。
第2の層12は、環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂とを含有する。第2の層12に含有される環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、第1の層で挙げた環状オレフィン樹脂及び鎖状オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。
第2の層に含有させる環状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、第2の層に含有させる鎖状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
第2の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、10〜30質量%が好ましい。環状オレフィン樹脂の割合が10質量%以上であれば、充分な易カット性を確保することがより容易になる。
第2の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、70〜90質量%が好ましい。鎖状オレフィン樹脂の割合が90質量%以下であれば、充分な易カット性を確保することがより容易になる。
積層フィルム1Aは、第1の層10と第2の層12との間に第3の層14が積層されている以外は、積層フィルム1と同じである。
第3の層14は、環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂とを含有する。第3の層14に含有される環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、第1の層で挙げた環状オレフィン樹脂及び鎖状オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。
第3の層に含有させる環状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、第3の層に含有させる鎖状オレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
積層フィルム1Bは、第1の層10における第2の層12と反対側に、別の第2の層12が積層されている以外は、積層フィルム1と同じである。
当該別の第2の層は樹脂組成や層の厚さは上記した第2の層における数値範囲内であればよい。2つの第2の層12は同じ組成であっても別の組成であってもよく、同じ厚さでも異なる厚さでもよい。
本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備えるものである。本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備える以外は、公知の態様を採用できる。
本発明の包材においては、本発明の積層フィルムが第1の層と第2の層の2層構成の場合、第1の層が最内層となるように本発明の積層フィルムが設けられることが好ましい。また、本発明の積層フィルムが3層以上の層構成の場合には、本発明の包材において該積層フィルムは、第1の層が最内層となるか又は最内層にできるだけ近く配置されるように設けられることが好ましい。
本実施形態の包材2は、図4に示すように、積層フィルム1と、積層フィルム1における第2の層12側に設けられたアルミニウム箔層16と、アルミニウム箔層16の第2の層12と反対側に設けられた印刷層18と、印刷層18のアルミニウム箔層16と反対側に設けられた基材層20と、を備えている。すなわち、包材2においては、第1の層10、第2の層12、アルミニウム箔層16、印刷層18及び基材層20がこの順に積層されている。
基材層20を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド樹脂(ナイロン等)、オレフィン樹脂(ポリプロピレン等)等が挙げられる。
なお、本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備えるものであれば、前記した包材2には限定されない。例えば、本発明の積層フィルムをそのまま包材として使用してもよい。
本発明の袋体は、本発明の包材が袋状にされて形成された袋本体を備えるものである。本発明の袋体は、本発明の包材がこのように袋状にされた袋本体を備える以外は、公知の態様を採用できる。本発明の袋体は、袋本体に形成される開口部の近傍の内面に嵌合具が取り付けられた嵌合具付き袋体であってもよい。
以下、本発明の袋体の一例を示して説明する。
ノッチ34の形状は、この例では三角形状であるが、特に限定されず、半円形状、直線状等であってもよい。
雄側嵌合部46は、第1基材44の対向面から立ち上がる幹部46aと、幹部46aの先端側に設けられ、幹部46aよりも大きい頭部46bとを備えている。雌側嵌合部52は、第2基材50における対向面から断面円弧状に立ち上がる一対の第1アーム部52aと第2アーム部52bとを備え、それら第1アーム部52aと第2アーム部52bによって凹部52cが形成されている。雄側嵌合部46と雌側嵌合部52とは、雄側嵌合部46の頭部46bが雌側嵌合部52の凹部52c内に嵌まり込むことで、着脱自在に嵌合するようになっている。
袋体3では、嵌合具40の第1基材44と第2基材50が、袋本体30において対向する2枚の包材2のそれぞれに溶着されている。
本発明の袋体が嵌合具を備える場合、嵌合具には環状オレフィン樹脂が含有されていることが好ましい。これにより、内容物の揮発性成分が嵌合具に吸着することも抑制されるため、開封後に内容物を使用する際に、内容物の揮発性成分による効果をより安定して得ることができる。嵌合具に用いる環状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、積層フィルムの説明において挙げたものと同じものが挙げられる。
他の樹脂としては、特に限定されず、例えば、ナイロン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
他の樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明の袋体は、前記した袋体3には限定されない。例えば、本発明の袋体は、嵌合具40以外の公知の態様の嵌合具を備える袋体であってもよく、嵌合具を備えない袋体であってもよい。
[耐薬品性(薬品非吸着性)]
各例において得られた多層フィルムの第2の層が最外層となるように、インパルス式ヒートシール機を用いて、容積100mLの袋体を作成した。得られた袋体に、以下の成分を配合した薬剤−1を100mL封入し、40℃で1週間保存した。
保存後、薬剤−1を廃棄し、袋体内表面に残った薬剤を拭きとった袋体を、エタノールに5時間浸漬し、サンプル中に含まれるサリチル酸メチルをエタノールに抽出した。その抽出液をガスクロマトグラフィーによって以下の測定条件で測定し、袋体に吸着したサリチル酸メチルの量を袋体の内表面の単位面積あたりの量として計算した。
(薬剤−1の配合)
サリチル酸メチル :10質量%、
エタノール :90質量%。
(ガスクロマトグラフィーの測定条件)
検出器 :FID検出器。
(評価基準)
○:検出量15μg/cm2未満。
×:検出量15μg/cm2以上。
ノッチに沿って手切りを行い、以下の評価基準に従って易カット性を評価した。
(評価基準)
○:抵抗なく直線に切れる。
△:やや抵抗あるが直線に切れる。
×:切口が湾曲する。
2枚の積層フィルムにおける内層となる側に、それぞれヒートシーラーを用いてPE製ジッパーテープを150℃で接着し、ジッパーを開閉させた時の状態を観察した。
(評価基準)
○:ジッパーが開閉できる。
×:ジッパーと多層フィルムが界面剥離する。
コストの評価は、以下の評価基準に従って行った。
○:同じ厚みの鎖状オレフィンフィルムに対してコストが+20%以下である。
△:同じ厚みの鎖状オレフィンフィルムに対してコストが+20%超+50%以下である。
×:同じ厚みの鎖状オレフィンフィルムに対してコストが+50%超+100%以下である。
本実施例で使用した原料を以下に示す。
環状オレフィン樹脂(A1):製品名「7010F−600」(ポリプラスチックス社製、ガラス転移温度:110℃)。
LLDPE:製品名「ダウレックス2047G」(直鎖状低密度ポリエチレン、ダウケミカル社製)。
PP:製品名「MA3」(ポリプロピレン、日本ポリプロ社製)。
環状オレフィン樹脂(A1)40質量部と、LLDPE60質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第1の層を形成するための材料−Iを得た。また、第2の層を形成するためのLLDPE100質量部からなる材料−IIを用意した。
キャスト法により、材料−Iで形成された第1の層と、該第1の層の一方の側に材料−IIで形成された第2の層とを備える2層構成の積層フィルムを得た。
環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
環状オレフィン樹脂(A1)30質量部と、LLDPE70質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
環状オレフィン樹脂(A1)70質量部と、LLDPE30質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
環状オレフィン樹脂(A1)70質量部と、LLDPE30質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第1の層を形成するための材料−Iを得た。環状オレフィン樹脂(A1)30質量部と、LLDPE70質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第2の層を形成するための材料−IIを得た。環状オレフィン樹脂(A1)50質量部と、LLDPE50質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第3の層を形成するための材料−IIIを得た。
キャスト法により、材料−Iで形成された第1の層と、材料−IIIで形成された第3の層と、材料−IIで形成された第2の層とを、この順番に備える3層構成の積層フィルムを得た。
環状オレフィン樹脂(A1)70質量部と、LLDPE30質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第1の層を形成するための材料−Iを得た。環状オレフィン樹脂(A1)10質量部と、LLDPE90質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第2の層を形成するための材料−IVを得た。
キャスト法により、材料−Iで形成された第1の層と、該第1の層の両方の側に材料−IVで形成された第2の層を備える3層構成の積層フィルムを得た。
環状オレフィン樹脂(A1)10質量部と、LLDPE90質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
環状オレフィン樹脂(A1)70質量部と、LLDPE30質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)40質量部と、LLDPE60質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
LLDPE100質量部を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
PP100質量部を材料−Iとして使用し、環状オレフィン樹脂(A1)20質量部と、LLDPE80質量部とをタンブラーミキサーを用いて混合した混合物を材料−IIとして使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
一方、第1の層における環状オレフィン樹脂の割合が30質量%以下で、鎖状オレフィン樹脂の割合が70質量%以上である比較例1では、耐薬品性が劣っており、薬品の吸着が充分に抑制されなかった。
第2の層における環状オレフィン樹脂の割合が30質量%超で、鎖状オレフィン樹脂の割合が70質量%未満である比較例2では、コストがかかりすぎる。
第1の層にLLDPEのみを使用した比較例3では、易カット性が不充分であった。
第1の層にPPのみを使用した比較例4では、易カット性及び接着性が不充分であった。
2 包材
3 袋体
10 第1の層
12 第2の層
14 第3の層
16 アルミニウム箔層
18 印刷層
20 基材層
30 袋本体
40 嵌合具
Claims (2)
- 包材が袋状にされて形成された袋本体を備える袋体であって、
前記包材が、第1の層、及び前記第1の層上に積層された第2の層を備える積層フィルムを備え、
前記第1の層が最内層であり、
前記第1の層は、該第1の層の総質量に対して、環状オレフィン樹脂の割合が30質量%超70質量%以下で、鎖状オレフィン樹脂の割合が30質量%以上70質量%未満の層であり、
前記第2の層は、該第2の層の総質量に対して、環状オレフィン樹脂の割合が10〜30質量%で、鎖状オレフィン樹脂の割合が70〜90質量%の層である、袋体。 - 前記積層フィルムの総厚みが10〜90μmである、請求項1に記載の袋体。
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