JP2015054470A - 非吸着性シーラントフィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、アクリロニトリル系樹脂は、良好なシール強度が得られず、また高価であるため、より好ましい非吸着性シーラントの開発が求められている。
(1)少なくとも、ベース樹脂層と、シール層とからなる非吸着性シーラントフィルムであって、該ベース樹脂層は、ホモPETからなる層であり、該シール層は、ガラス転移点が70〜90℃である非晶性の共重合ポリエステルからなり、該ベース樹脂層上に押出コーティングにより積層される層であることを特徴とする、上記非吸着性シーラントフィルム。
(2)前記シール層を前記ベース樹脂層上に押出コーティングする前に、該ベース樹脂層の積層面にアンカーコート剤を塗布することを特徴とする、上記(1)に記載の非吸着性シーラントフィルム。
<1>本発明の非吸着性シーラントフィルム及びそれを有する積層体の層構成
図1〜4は、本発明の非吸着性シーラントフィルム及びそれを有する積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の非吸着性シーラントフィルムは、図1に示すように、ベース樹脂層1、及びシール層2の2層を基本の構成とする。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
本発明の非吸着性シーラントフィルムのベース樹脂層は、ホモPETからなる。これにより、共重合ポリエステルからなるシール層との層間接着強度が高まる。
本発明において、ホモPETは、テレフタル酸とエチレングリコールとを、エステル交換法、直接エステル化法等の任意の方法により重縮合してなる結晶性PETであり、慣用の添加剤や不可避的に混入する不純物等を除いては、他の共重合成分を積極的には含まないものである。
数平均分子量が20,000〜30,000程度の汎用のホモPETを好適に用いることができる。
本発明の非吸着性シーラントフィルムのシール層は、ガラス転移点が70〜90℃、より好適には70〜80℃である非晶性の共重合ポリエステルからなる。
本発明における共重合ポリエステルとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(PET)が代表例としてあげられる。このような共重合PETとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとを主成分とし、これに、共重合成分としてテレフタル酸以外の多価カルボン酸及び/又はエチレングリコール以外の多価アルコールを、非晶性を示し且つガラス転移点が70〜90℃となるように添加し、共重合して得られる変性PETが用いられる。
また、本発明において、ガラス転移点は、JIS K7121に準拠して測定される。
本発明の非吸着性シーラントフィルムは、ベース樹脂層を形成するホモPETからなる樹脂フィルム上に、シール層を形成する上記共重合PETを押出コーティングすることにより製造される。
押出温度は、共重合PETの種類に応じて当業者が適宜に選択でき、例えば、200〜280℃の広範囲の温度域であってよい。
ここで、ベース樹脂層の層厚は、10〜30μm、より好ましくは10〜20μmである。10μmより薄いと基材としての強度不足であり、また30μmより厚いとシーラントフィルムとして固く、コストも高くなるため好ましくない。
ベース樹脂層上にシール層を押出コーティングする前に、ベース樹脂層の積層面を表面処理してもよい。
本発明のシーラントフィルムに、基材フィルム層を積層して、包装材用積層体を得ることができる。
ここで用いる基材フィルム層としては、プラスチックフィルム等の単層フィルム、または多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装袋及び包装容器に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。好ましく使用される積層体の具体例としては、二軸延伸PETフィルム上に、接着剤層を介してアルミニウム箔を貼り合わせた多層積層フィルムを基材フィルムとして、該アルミニウム箔側の面上に、本発明のシーラントフィルムを、シール層が最表層となるように重ね合せ、ドライラミネート等で積層してもよい。
上記の積層体を使用し、非吸着性シーラントフィルム層が最内層となるように製袋して、包装袋とすることができる。また、上記積層体を、非吸着性シーラントフィルム層を最内層とする蓋材として使用し、包装容器を製造することができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(1)ベース樹脂層として2軸延伸ホモPETフィルム(ユニチカ(株)製PTM;厚さ12μm)を用意し、その一方の面上にポリウレタン系アンカーコート剤(三井化学(株)製タケラック/タケネート、A−3210/A−3075;配合比1/1)を版深20μmの斜線版を用いて塗工量0.4g/m2で塗布した。
(2)次いで、このアンカーコート剤塗布面上に、シール層として非晶性PET(東洋紡(株)製SI−173;ガラス転移点78℃)を押出コーティングにより層厚30μmとなるように積層し、ベース樹脂層/アンカーコート剤層/シール層の層構成を有する本発明の非吸着性シーラントフィルムを製造した。
(3)一方、2軸延伸PETフィルム(東洋紡績(株)製E5100;厚さ12μm)を用い、その一方の面上に接着剤(ロックペイント(株)製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H−7;配合比10/1)を、版深90μmの斜線版を用いて塗工量3.0g/m2で塗布し、厚さ7μmのアルミ箔(日本製箔(株)製 A1N30H−O)と貼り合せ、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させて、基材フィルムとした。(4)上記基材フィルムのアルミ箔を設けた面に接着剤を同様に塗布し、上記(2)で製造した本発明のシーラントフィルムを、シール層が最外層となるように貼り合せ、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させて、積層体を製造した。得られた積層体の層構成は以下のとおりであった:
基材フィルム層(PETフィルム/接着剤層/アルミ箔)/接着剤層/ベース樹脂層/アンカーコート剤層/シール層
シール層の形成において、非晶性PETの代わりに低密度ポリエチレン樹脂(LDPE;日本ポリエチレン(株)製ノバテックLC522)を使用した以外は、実施例1と同様にして、シーラントフィルム及び積層体を製造した。
シール層の形成において、非晶性PETの代わりに直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE;住友化学(株)製 スミカセンCW8003)を使用した以外は、実施例1と同様にして、シーラントフィルム及び積層体を製造した。
(1)吸着性試験(l−メントール)
実施例及び比較例のシーラントフィルムを10cm×10cm四方に切り取り、その初期重量を測定した。
容積10リットルのステンレス容器内にl−メントール固体(純正化学(株))10gを入れ、蓋をして容器内をl−メントール蒸気で満たし、その中に切り取ったシーラントフィルムを吊り下げて、40℃で7日間保管した。
保管後、シーラントフィルムを取り出して重量を測定し、初期重量との差からl−メントールの吸着量を算出した。
実施例及び比較例のシーラントフィルムを5cm×5cm四方に切り取り、その初期重量を測定した。
シール層側の面に酢酸dl−α−トコフェロール溶液(関東化学(株))を塗布し、ガラスシャーレに塗布面を下にして密着させ、蓋をして40℃で7日間保管した。
保管後、シーラントフィルムを取り出して塗布面の酢酸dl−α−トコフェロール溶液を除去した後、重量を測定し、初期重量との差から酢酸dl−α−トコフェロールの吸着量を算出した。
実施例及び比較例のシーラントフィルムを、ベース樹脂層を外側にして重ね合せ、ヒートシーラー(テスター産業(株)製TP−701S HEAT SEAL TESTER)で、160℃で1秒間、圧力1kgf/cm2でヒートシールした。
次いで、これを幅15mmの短冊状に切り出し、テンシロン引張試験機((株)オリエンテック製 RTC−1310A)を用いて圧着されたシール部を引き剥がし、シール強度を測定した。このときの引張速度は300mm/分とした。
以下の表に結果を示す。
B.基材フィルム
C.接着剤層
1.ベース樹脂層
2.シール層
3.アンカーコート剤層
4.オゾン処理層
5.樹脂フィルム
6.接着剤層
7.アルミニウム箔
Claims (2)
- 少なくとも、ベース樹脂層と、シール層とからなる非吸着性シーラントフィルムであって、
該ベース樹脂層は、ホモポリエチレンテレフタレートからなる層であり、
該シール層は、ガラス転移点が70〜90℃である非晶性の共重合ポリエステルからなり、該ベース樹脂層上に押出コーティングにより積層される層であることを特徴とする、上記非吸着性シーラントフィルム。 - 前記シール層を前記ベース樹脂層上に押出コーティングする前に、該ベース樹脂層の積層面にアンカーコート剤を塗布することを特徴とする、請求項1に記載の非吸着性シーラントフィルム。
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