JP2019001322A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タイヤ1の赤道面CLを境界とする一方側のトレッド半部5x、5yに、少なくとも1本の周方向溝6a、6bと、その両側に位置する複数の陸部7a、7b、7cを有し、トレッド半部5x、5yの踏面の、タイヤ幅方向断面視における輪郭線Lxは、曲率半径の異なる複数の円弧を含み、かつ、前記複数の円弧のうち、最小曲率半径ARc2の円弧AR2は、トレッド端TEに隣接する陸部の輪郭線内にあり、トレッド半部5x、5yは、ベースゴム層Bxとキャップゴム層Cxとを有し、ベースゴム層Bxは、キャップゴム層Cxよりも貯蔵弾性率が低く、かつ、トレッド端側のタイヤ幅方向端部Bx1が、最小曲率半径の円弧が占める輪郭線部分のタイヤ幅方向長さ中心のタイヤ幅方向両側にそれぞれ、トレッド半部5x、5yの接地幅TWxの0.06倍にわたる領域に位置する。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明の目的は、特に高速旋回時の操縦安定性に優れるタイヤを提供することにある。
即ち、車両の高速旋回時において、タイヤの赤道面を境界とするトレッド半部相互で比較すると、車両装着時に車両の外側となるトレッド半部では、接地圧が増大し、接地面積も増大する。一方、車両装着時に車両の内側となるトレッド半部の接地圧は同外側に比べて低下し、タイヤの接地面積も減少する。このような、トレッドの赤道面を境界とするトレッド半部相互間で接地面積の異なることが、車両の高速旋回時の操縦安定性に悪影響を与えていることが判明した。
この問題を解消するには、車両装着時、車両内側に配されるトレッド半部の接地性をいかに改善するかが重要になる。
そこで、発明者らは、トレッドのいずれか一方側の半部について、接地圧分布の均等化並びに接地面積増加の観点からの検討を行った。その結果、キャップゴム層とベースゴム層とで、硬度の異なるゴムを用いる二層構造の採用に加えて、トレッド半部の踏面の輪郭形状を規定することが、所期した特性の向上に有効であることを見出し、本発明を完成するに到った。
(1)本発明のタイヤは、一対のビードコア間に跨ってトロイダル状に延びるカーカスを骨格とし、該カーカスのタイヤ径方向外側にベルト及びトレッドを順に備えるタイヤであって、前記トレッドの、タイヤの赤道面を境界とする一方側のトレッド半部に、少なくとも1本の周方向溝と、その両側に位置する複数の陸部を有し、前記トレッド半部の踏面の、タイヤ幅方向断面視における輪郭線は、曲率半径の異なる複数の円弧を含み、かつ、前記複数の円弧のうち、最小曲率半径の円弧は、トレッド端に隣接する陸部の輪郭線内にあり、前記トレッド半部は、ベースゴム層と、該ベースゴム層のタイヤ径方向外側に積層するキャップゴム層とを有し、前記ベースゴム層は、前記キャップゴム層よりも貯蔵弾性率が低く、かつ、トレッド端側のタイヤ幅方向端部が、前記最小曲率半径の円弧が占める輪郭線部分のタイヤ幅方向長さ中心のタイヤ幅方向両側にそれぞれ、前記トレッド半部の接地幅の0.06倍にわたる領域に位置することを特徴とする。
(2)前記キャップゴム層の貯蔵弾性率は、前記ベースゴム層の貯蔵弾性率の1.05倍以上4.4倍以下である、上記(1)に記載のタイヤ。
さらに、「輪郭線」とは、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、規定荷重を負荷した状態のタイヤ幅方向断面におけるトレッド踏面の輪郭線である。
以下、図面を参照しながら本発明のタイヤについて、その実施形態を例示して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの幅方向断面図である。本発明に係るタイヤは、タイヤ1として図示するとおり、一対のビードコア2間に跨ってトロイダル状に延びるカーカス3を骨格とし、該カーカス3のタイヤ径方向外側に、2層のベルト4及びトレッド5を順に備える。さらに、トレッドの踏面(以下、トレッド踏面とする)は、図示例では、トレッド5のトレッド端TE間の表面領域である。
即ち、輪郭線Lxは、AR1、AR2及びAR3の3つの円弧を含み、異なる曲率半径ARc1、ARc2及びARc3の円弧AR1、AR2及びAR3を有している。ここで、曲率半径ARc1、ARc2及びARc3のうち、最小の曲率半径ARc2を有する円弧AR2は、トレッド端側陸部7aの輪郭線内にあることが肝要である。
なお、円弧ARの中心c1とは、円弧ARのタイヤ幅方向両端部同士のタイヤ幅方向距離の中心位置に対応する、円弧上の点を指すものとする。また、ベースゴム層Bxのトレッド端TEのタイヤ幅方向端部Bx1とは、最もトレッド端TE側のタイヤ幅方向位置である。
まず、図2(a)に示すタイヤのトレッドは、キャップゴム層とベースゴム層との積層構造を有しておらず、一様のゴム硬度である。また、トレッド踏面の輪郭線も一様の曲率円弧を有する。このとき、図2(b)に接地状態を示すとおり、車両の高速旋回時には、車両装着外側のトレッド半部5yにおいては接地圧が高まり、タイヤ周方向における接地長は、外側のトレッド端TEに向かって増大し、同トレッド端TEで上限に達している。これに対して、車両装着内側のトレッド半部5xでは、外側のトレッド半部5yに比してトレッド踏面の接地圧が低くなり、タイヤ幅方向及び周方向における接地面積も小さくなる。
このとき、図3(b)に接地状態を示すとおり、トレッド半部5xでは、図2(b)と比較して、車両の高速旋回時における接地面積が増加する。即ち、ベースゴム層Bxの貯蔵弾性率を低くすると、トレッドの剛性が低くなり、タイヤの転動時の径成長が許容される。特に、車両装着内側のトレッド半部5xでは、同外側のトレッド半部5yに比してトレッド踏面の接地圧が低いことから、上記した径成長は、トレッド半部5xにおいて顕著となる結果、トレッド半部5xにおける接地面積が増加する。
上述のとおり、最小曲率半径の円弧AR2は、トレッド端側陸部7aの接地性の改善に寄与するものである。ここで、ショルダ側陸部7aのタイヤ幅方向長さが赤道側陸部7bよりも大きいと、円弧AR2のタイヤ径方向内側への圧縮変形に伴うタイヤ周方向及び幅方向への膨出を、該陸部外へ逃がすことが難しくなる。その結果、円弧AR2部分の圧縮剛性が過大となり、上述の接地性の改善効果が抑制される可能性がある。そこで、貯蔵弾性率の低いベースゴム層Bxのタイヤ幅方向端部Bx1を、円弧AR2のタイヤ幅方向長さ中心c1からタイヤ幅方向両側に、それぞれ所定の延在範囲に配置することによって、円弧AR2部分の圧縮変形は緩和されて圧縮剛性が下がるため、ショルダ側陸部7aの接地性改善の効果を十分に得ることができる。従って、トレッド半部5xにおける接地面積の増加を図ることができる。
なお、ベースゴム層のタイヤ幅方向長さw1は、以下の手順により測定するものとする。まず、タイヤを120度おきに3箇所でタイヤ幅方向にカットし、次いで、3箇所のタイヤ幅方向断面で、ベースゴム層Bxの、タイヤ幅方向最大長さをそれぞれ計測し、3箇所での平均値を計算して、ベースゴム層Bxのタイヤ幅方向長さw1とする。
好適には、キャップゴム層Cxの貯蔵弾性率E’1は、ベースゴム層Bxの貯蔵弾性率E’2の1.7倍以上3.5倍以下であり、より好適には、2.2倍以上2.7倍以下である。この構成によれば、より効果的にトレッド半部5xの接地性と剛性のバランスを確保することができる。
なお、ベースゴム層Bx及びキャップゴム層Cxのタイヤ幅方向断面における面積は、以下の手順により測定するものとする。まず、タイヤを120度おきに3箇所でタイヤ幅方向にカットする。次いで、3箇所のタイヤ幅方向断面で、ベースゴム層及びキャップゴム層の面積をそれぞれ計測し、3箇所での平均値を計算して、ベースゴム層Bxのタイヤ幅方向断面における面積、キャップゴム層Cxのタイヤ幅方向断面における面積とする。
なお、ベースゴム層Bxのタイヤ径方向長さh1及びキャップゴム層Cxのタイヤ幅方向断面におけるタイヤ径方向長さh2は、タイヤを120度おきに3箇所でタイヤ幅方向にカットし、3箇所のタイヤ幅方向断面で、ベースゴム層Bx、キャップゴム層Cxの最大幅方向長さ及び面積をそれぞれ計測し、面積を最大幅方向長さで除して、3箇所の平均値を算出した値である。
つまり、図示例では、トレッド半部5yは、トレッド半部5xと同様のタイヤ幅方向断面を呈するが、異なるタイヤ幅方向断面とすることもできる。
図5は、本発明の一実施形態に係るタイヤのトレッド踏面を示す展開図である。図示例では、トレッド踏面に、タイヤの赤道面CLに沿って延びる2本の周方向溝6a及び6bと、トレッド端TEとによって区画される複数の陸部、トレッド端側陸部7a及び7cと、赤道側陸部7bとが形成される。
なお、本発明でいうサイプ8とは、トレッド踏面の接地時にサイプの溝壁の少なくとも一部が互いに接触する程度の、幅0.1〜0.4mmの切込みのことをいう。
かかる構成によれば、直進時の排水性を確保しながら、車両の高速旋回時における陸部の、剛性の部分低下を抑制し、旋回性能を向上することができる。即ち、高速旋回時においては、車両の走行速度や旋回度合に応じて横力がタイヤに発生し、サイプ8が接地域内にあるとき、サイプを区画する側壁同士が容易に離間するため、該部分の陸部剛性が低下することになる。そこで、上記のようにサイプの深さ方向の中間域に突出部8cを設けることにより、横入力に抗する形状をサイプに与える。なお、突出部8cは開口部側の延在部8bを介して設けているのは、次の理由による。即ち、突出部8cが開口部Oから形成されると、開口部に鋭角部分が形成されて開口部周辺の剛性低下を招き、また、鋭角部のゴムもげが発生する虞がある。そこで、踏面から径方向に一定の深さを径方向に延びる形状とすることにより、上記不都合を回避することができる。
上記構成によれば、貯蔵弾性率の低いベースゴム層Bxと、横溝とがタイヤ径方向に併存することがないため、トレッドの剛性を確保しながら接地性を向上させ、高速旋回時における操縦安定性を効果的に向上させることができる。さらに、剛性の均一化を図ることができるため、耐偏摩耗性も向上させることができる。
図7は、本発明の他の実施形態に係るタイヤの踏面を示す展開図であり、図8は、本発明の他の実施形態に係るタイヤのトレッド踏面を示す展開図である。なお、図7及び図8において、図1及び図5と同様の構成要素は、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
該サイプ8は、図6に示すサイプ8と同様の構成を有し、湿潤路面を走行する際に、トレッドの接地域内にある水分を内部に収容し、この水分を接地域外で排出することの繰り返しによって、タイヤの排水性能を促進する。
供試タイヤ1〜13(ともに、タイヤサイズは205/55R16)を表1に示す仕様のもと試作し、操縦安定性及び耐偏摩耗性能を評価した。
各供試タイヤをリム(サイズ:7.0J)に組み付け、内圧(240kPa)を付与(充填)した後、排気量2000ccの後輪駆動車両に組み付け、ドライバー1名と同乗者1名が乗車した状態によりテストコースを走行することで、操縦安定性を評価した。
結果は、供試タイヤ1の総合的なグリップ感及び操舵感を100として指数表示した。なお、指数が大きいほど、性能に優れていることを示す。
各供試タイヤをリム(サイズ:7.0J)に組み付け、内圧(240kPa)を付与(充填)した後、排気量2000ccの後輪駆動車両に組み付け、ドライバー1名と同乗者1名が乗車した状態によりテストコースを走行した後における、最も摩耗量の多い部分と最も摩耗量の少ない部分との摩耗量の差を測定し、偏摩耗性を評価した。結果は、供試タイヤ1を100として指数表示した。なお、指数が大きい程、耐偏摩耗性能に優れていることを示す。
Claims (5)
- 一対のビードコア間に跨ってトロイダル状に延びるカーカスを骨格とし、該カーカスのタイヤ径方向外側にベルト及びトレッドを順に備えるタイヤであって、
前記トレッドの、タイヤの赤道面を境界とする一方側のトレッド半部に、少なくとも1本の周方向溝と、その両側に位置する複数の陸部を有し、
前記トレッド半部の踏面の、タイヤ幅方向断面視における輪郭線は、曲率半径の異なる複数の円弧を含み、かつ、前記複数の円弧のうち、最小曲率半径の円弧は、トレッド端に隣接する陸部の輪郭線内にあり、
前記トレッド半部は、ベースゴム層と、該ベースゴム層のタイヤ径方向外側に積層するキャップゴム層とを有し、
前記ベースゴム層は、前記キャップゴム層よりも貯蔵弾性率が低く、かつ、トレッド端側のタイヤ幅方向端部が、前記最小曲率半径の円弧が占める輪郭線部分のタイヤ幅方向長さ中心のタイヤ幅方向両側にそれぞれ、前記トレッド半部の接地幅の0.06倍にわたる領域に位置することを特徴とする、タイヤ。 - 前記キャップゴム層の貯蔵弾性率は、前記ベースゴム層の貯蔵弾性率の1.05倍以上4.40倍以下である、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記キャップゴム層の貯蔵弾性率は、7.5MPa以上12.0MPa以下であり、前記ベースゴム層の貯蔵弾性率は、3.0MPa以上7.0MPa以下である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 前記ベースゴム層のタイヤ径方向外側に位置するトレッドの踏面に、
タイヤ幅方向に延在し、且つ、タイヤ径方向に屈曲するサイプを有する、請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ。 - 前記トレッドの踏面のタイヤ最大外径位置は、タイヤの赤道よりも、トレッド端側にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ。
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