JPH0971107A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JPH0971107A
JPH0971107A JP8096864A JP9686496A JPH0971107A JP H0971107 A JPH0971107 A JP H0971107A JP 8096864 A JP8096864 A JP 8096864A JP 9686496 A JP9686496 A JP 9686496A JP H0971107 A JPH0971107 A JP H0971107A
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radius
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/0083Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts characterised by the curvature of the tyre tread

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クラウン輪郭形状を最適化することにより、
カーブ走行及び直線走行の何れが主体の走行条件下でも
ショルダ領域の偏摩耗発生を抑制できる空気入りラジア
ルタイヤの提供。 【構成】 標準内圧充填のタイヤ及びリム組立体の右半
又は左半断面のトレッド部クラウンを相互に異なる曲率
半径R1 、R2 、R3 の少なくとも3種類の複合円弧で
形成し、タイヤ赤道面からの距離L1 、L2 、L3 にて
クラウンをセンタ領域、中間領域、ショルダ領域に区分
けし、標準荷重負荷下の組立体接触領域のクラウン端の
うち無負荷に戻したとき最外側に位置するクラウン端か
らタイヤ赤道面までの距離Wに関し、L1 =(0.3〜
0.6)×W、R1 =(8〜20)×W、L2 =(0.
6〜0.9)×W、R2 =(1.5〜3.5)×W、L
3 =(0.9〜1.0)×W、R3 =(0.5〜1.
0)×Wを満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、乗用車、バンと呼ば
れる一連の自動車、ピックアップ、小型トラックなどの
比較的小型の自動車の使途に供する空気入りラジアルタ
イヤに関し、特に、トレッド部におけるトレッドゴムの
耐偏摩耗性を向上させた空気入りラジアルタイヤに関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車、なかでも上記種類の比較的小型
の自動車が市街地や山坂などに見られるカーブが多い路
面を比較的高頻度で走行する場合、この種の自動車に装
着したタイヤはショルダ部と呼ばれるトレッド部両側領
域のトレッドゴムが中央領域のゴムに比しより多く、よ
り早く摩耗する形態の偏摩耗が生じる傾向を示す。
【0003】この偏摩耗が進展すればトレッド部中央領
域に多量の未活用ゴムを残したまま使用済タイヤとな
り、タイヤの有効利用を阻害することになる。そこでこ
の種の偏摩耗改良手段としてトレッド部断面のクラウン
輪郭形状を成るべく丸くする(小さな曲率半径の円弧で
形成する)ことが有効であるとされ、広く採用されてき
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】たしかにこの改良手段
は、カーブ走行頻度が高い走行条件において上記偏摩耗
の抑制に対し有効ではある反面、直進走行時には却って
この種のショルダ部偏摩耗を増進させる不利な点を合せ
もつことが判明した。このことは直進走行において路面
に対するトレッド部クラウンのセンタ部とショルダ部と
の間の接地長さの差が大きいことに由来するものであ
る。
【0005】従ってこの発明の目的は、カーブ走行及び
直進走行のいずれの走行形態が主体であるかに関わら
ず、また両走行形態の混在比率のいかんに関わらず、ト
レッドゴムのショルダ領域における早期摩耗を阻止し、
トレッドゴムがクラウン幅方向に沿って一様に摩耗して
タイヤの有効利用に寄与し得る長寿命な空気入りラジア
ルタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
この発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部
及び一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部相
互間にわたりトロイド状に連なるトレッド部とからなる
空気入りラジアルタイヤにおいて、上記タイヤを標準リ
ムに組付けて標準内圧を充填したタイヤ及びリム組立体
の回転軸心を含む平面による断面にあらわれるトレッド
部のクラウンは、互いに異なる曲率半径をもつ少なくと
も3種類の円弧を互いに滑らかに連ねた複合円弧からな
り、タイヤ赤道面からクラウン端に向って順次センタ領
域、中間領域及びショルダ領域に区分けしたクラウン
は、タイヤ赤道面から測った各領域の最外側までの距離
(L)及び各領域における円弧の曲率半径(R)をそれ
ぞれ、センタ領域は距離(L1 )及び曲率半径
(R1 )、中間領域は距離(L2 )及び曲率半径
(R2)、ショルダ領域は距離(L3 )及び曲率半径
(R3 )であらわしたとき、上記組立体を標準荷重負荷
の下で平板に押圧した際の接触領域におけるクラウン端
のうち、無負荷状態に戻した組立体での最外側に位置す
るクラウン端からタイヤ赤道面までの距離(W)に関
し、この距離(W)に対応する各領域の距離(L)及び
曲率半径(R)が、L1 =(0.3〜0.6)×W、R
1 =(8〜20)×W、L2 =(0.6〜0.9)×
W、R2 =(1.5〜3.5)×W、L3 =(0.9〜
1.0)×W、R3 =(0.5〜1.0)×W、の関係
を満たすことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】この発明を図1に示す一実施例に
基づき以下詳細に説明する。図1は、空気入りラジアル
タイヤ1を標準リム10に組付けて標準内圧を充填した
タイヤ及びリム組立体の回転軸心を含む平面による断面
のうち右半断面を簡略図解した線図である。左半断面も
非対称を含め右半同様である。なおリムは外側輪郭線の
みを示した。符号10Fはリムフランジである。ここに
標準リム及び標準内圧とは、JATMA YEAR B
OOK(1992、日本自動車タイヤ協会規格)にて定
めるラジアルプライタイヤのサイズに対応する適用リム
及び空気圧−負荷能力対応表に基づく。
【0008】図1において、空気入りラジアルタイヤ1
は一対のビード部2(片側のみ示す)及び一対のサイド
ウォール部3(片側のみ示す)と、該サイドウォール部
3相互間にわたりトロイド状に連なるトレッド部4とか
らなる。なおタイヤ1は、一対のビード部2内に埋設し
たビードコア2c相互間にわたってビード部2、サイド
ウォール部3及びトレッド部4を補強するラジアルカー
カス5と、トレッド部4を強化するベルト6と、ベルト
6の端部を強化するためトレッド部4踏面の円周にほぼ
沿って配列したナイロンコードの、いわゆるレイヤ7と
を備えるのは慣例に従う。またトレッドゴム4tに設け
る溝の図示は省略した。
【0009】トレッド部4のクラウン(タイヤ断面にお
けるトレッド又は踏面の呼び名)4cは互いに異なる曲
率半径をもつ少なくとも3種類(図示例は3種類)の円
弧を滑らかに連ねた複合円弧として形成するものとし、
図示例では曲率半径R1 、R 2 、R3 の複合円弧からな
る。ここに滑らかに連ねるとは、互いに隣接する円弧曲
線が接するように、すなわち二つの円弧曲線が一つの共
有点をもち、この点において接線を共有させるように円
弧を連結させることを指す。
【0010】タイヤ赤道面Eからクラウン4c端に向っ
てクラウン4cを順次センタ領域、中間領域、ショルダ
領域に区分けするものとし、ここにタイヤ赤道面Eから
測った各領域の最外側までの距離L(図示せず)につ
き、符号Lに添字を付して示す図1において、距離L1
内に含まれる領域をセンタ領域、距離L1 と距離L2
の間で区画される領域を中間領域、そして距離L2 と距
離L3 との間で区画される領域をショルダ領域とそれぞ
れ名付け、これらの領域はトレッド全周にわたるものと
する。
【0011】クラウン4c全体輪郭のうち、センタ領域
は曲率半径R1 にて、中間領域は曲率半径R2 にて、シ
ョルダ領域は曲率半径R3 にてそれぞれ形成する。
【0012】ここに上記距離L1 、L2 、L3 は以下に
記すクラウン4cの最外側端Pとの関係にて定める。す
なわち最外側端Pとは、標準内圧を充填したタイヤ1及
びリム10組立体に標準荷重を負荷させて平板に押圧し
た際のトレッド部4踏面の平板との接触領域におけるク
ラウン4cの端のうち、図1に示すように無負荷状態に
戻した組立体のタイヤ1での最外側に位置するクラウン
端を指す。そしてこの最外側端Pからタイヤ赤道面Eま
での距離Wに関し、距離L1 は0.3W〜0.6Wの範
囲内にあり、距離L2 は0.6W〜0.9Wの範囲内に
あり、距離L3は0.9W〜1.0Wの範囲内にあるも
のとする。ここに最外側端Pはタイヤ赤道面Eを挟んで
両側にあらわれるもののうち、距離L1 、L2 、L3
対応する側の最外側端である。なお上記接触領域は標準
荷重負荷の下で組立体の回転軸心と平板の平面とが平行
となる状態で得る。
【0013】さらに上記曲率半径R1 、R2 、R3 も上
記距離同様にクラウン4cの最外側端Pとタイヤ赤道面
Eとの間の距離Wに関し定めるものとし、曲率半径R1
は8W〜20Wの範囲内とし、曲率半径R2 は1.5W
〜3.5Wの範囲内とし、曲率半径R3 は0.5W〜
1.0Wの範囲内とする。このとき曲率半径R1
2、R3 により形成される各円弧を互いに滑らかに連
ねるため、曲率半径R1 の中心はタイヤ赤道面E上にと
り、曲率半径R2 の中心は距離L1 におけるクラウン4
c上の点を通る曲率半径R1 の半径線上にとり、そして
曲率半径R3 の中心は距離L2 におけるクラウン4c上
の点を通る曲率半径R2 の半径線上にとる。
【0014】上述したクラウン形状を有する空気入りラ
ジアルタイヤは以下に述べる作用効果を発揮する。まず
自動車のコーナリング操作頻度が高く、しかもコーナリ
ング時に路面からタイヤトレッド部の踏面に入力される
横力が大きい場合、すなわちタイヤ側から見れば発生す
るサイドフォース又はコーナリングフォースが大きい場
合に従来タイヤに生じていたショルダ領域におけるトレ
ッドゴムの偏摩耗を詳細に観察した結果、以下に述べる
第一及び第二の結論を得た。
【0015】路面に接するトレッドゴム表面に力が作用
し、かつ該表面と路面との間にスリップが生じると、ゴ
ム表面に力の作用方向とほぼ直交する向きの線状縞模様
が生じることが知られていて、この模様はアブレージョ
ンパターンと呼ばれる。そこで上記の偏摩耗発生タイヤ
のアブレージョンパターンを詳細に観察したところ、図
4に概要を示すように、このパターンが踏面幅方向全面
にわたり線状縞の向きをトレッド部踏面の円周にほぼ沿
わせる状態で発生していること、そして重要な点は踏面
中央領域の線状縞模様間隔(ピッチ)が狭い(小さい)
のに対し、ショルダ領域ではこのピッチが中央領域のそ
れに比し著しく大きいことが判明した。なお図4はクラ
ウン(踏面)の輪郭と、クラウンの中央領域及びショル
ダ領域に対応する矢印が指す枠内の模式的アブレージョ
ンパターンとを合せ示す図である。
【0016】上記線状縞模様ピッチの大小はゴム摩耗速
度の速さに比例し、より小さなピッチは摩耗速度がより
遅く、より大きなピッチは摩耗速度がより速いことをあ
らわし、従ってショルダ領域の摩耗量が中央領域のそれ
に比しより大幅に多いことは当然であり、これが生じる
原因は、トレッド部踏面幅方向における各部分において
(トレッドゴム摩耗量)∝(接地圧)×(摩擦係数)×
(横力)の関係が成立し、かつ接地域におけるトレッド
部踏面に加えられる横力と摩擦係数とはクラウン全幅に
わたって一様であるから、結局、接地圧の差にあると言
える。
【0017】実際に、偏摩耗の観察に供したタイヤと同
種の新品タイヤの接地圧分布を測定した結果を線図とし
て図5に示す。図5は縦軸(E′)がタイヤ赤道面Eと
一致する。図5から明らかなようにショルダ領域で接地
圧が大きなピークを示し、このピーク位置近傍と図4の
左側に示す枠内のアブレージョンパターンとが対応す
る。つまりトレッド部踏面に高頻度で横力が作用する場
合に生じるショルダ領域の偏摩耗は接地圧が支配的要因
であり、この種の偏摩耗改善のためにはクラウン幅方向
の接地圧分布を成るべく一様化に近づけることが必要で
ある、というのが第一の結論である。
【0018】次に、頻繁なコーナリングの繰り返しによ
るトレッドゴム偏摩耗に対する有効改善策として従来か
ら採られてきたより丸形クラウンを備える空気入りラジ
アルタイヤに関し、自動車の直進走行において生じるシ
ョルダ領域のトレッドゴム早期摩耗による偏摩耗を詳し
く調べてみたところ、トレッド部踏面の接地長さがより
短い部分、すなわちショルダ領域がタイヤの転動中常に
走行路面に対してブレーキング挙動を呈し、この挙動に
よりショルダ領域にはほぼ進行方向に沿う向きの、いわ
ばブレーキング力が外力として作用していることが、や
はりアブレージョンパターンの観察より明らかとなっ
た。
【0019】このブレーキング力がより低い接地圧の摩
耗抑制効果を上回る結果、先に示した比例関係式のトレ
ッドゴム摩耗量がショルダ領域にて中央領域を大幅に上
回ることとなり、これが直進走行に供する丸形クラウン
をもつタイヤの偏摩耗を生じさせていた原因であり、こ
の点でこの種の偏摩耗は、コーナリングに伴う強制的摩
耗と対比し、いわば自励摩耗と呼べる種類の摩耗形態で
ある。よって直進走行時において発生する偏摩耗改善の
ためには、トレッド部踏面の接地部分の回転方向に沿う
接地長さをクラウン全幅にわたり成るべく一様化する、
すなわち接地長さ分布を成るべく一様化に近づけるとが
必要である、というのが第二の結論である。
【0020】以上述べた第一及び第二の結論に従って、
コーナリング走行及び直進走行で生じる偏摩耗改善のた
めには、接地圧分布の一様化と接地長さ分布の一様化と
の可能な限りの両立を図ること、又はこれら両者の分布
状態を共に成るべく一様化に近づけることが必要である
ことがわかり、これら分布の一様化にあたり、トレッド
部4踏面の接地状態の或る特定要素を基準とすることが
有用であり、よってこの発明ではこの特定要素として、
標準荷重負荷時における最大接地半幅ではなく、荷重を
完全に取り去った後におけるクラウン4cの最外側端P
とタイヤ赤道面Eとの間の距離Wを採り上げるものであ
る。このことは上記最大接地半幅と上記距離Wとで差が
生じることを見出したからであり、タイヤ1及びリム1
0組立体として最外側端P位置を採り上げるのが実際上
より有効であるからに他ならない。
【0021】また実際の走行状態に成るべく近いタイヤ
形態を採ることが第一、第二の結論を実体化するのに合
理的であり、この点で標準リムに組付けたタイヤに標準
内圧を充填したタイヤ1及びリム10組立体について、
トレッド部4のクラウン4cを、互いに異なる曲率半径
(図1の例でR1 、R2 、R3 )をもつ少なくとも3種
類(図1の例は3種類)の円弧を互いに滑らかに連ねた
複合円弧により形成することにより、実際に則して接地
圧分布の一様化及び接地長さ分布の一様化に近づけるこ
とが容易に実現できる。
【0022】そこで曲率半径R1 、R2 、R3 のそれぞ
れが形成する領域を中央領域、中間領域、ショルダ領域
の3領域(但しタイヤ赤道面Eからの片側領域)に分
け、そしてタイヤ赤道面Eから測ったこれらの各領域の
最外側までの距離Lをセンタ領域は距離L1 、中間領域
は距離L2 、ショルダ領域はL3 としたとき、距離
1、L2 、L3 と、各領域に対応する曲率半径R1
2 、R3 とが、クラウン4cの最外側端Pからタイヤ
赤道面までの距離Wに関し、L1 =(0.3〜0.6)
×W、R1 =(8〜20)×W、L2 =(0.6〜0.
9)×W、R2 =(1.5〜3.5)×W、L3
(0.9〜1.0)×W、R3 =(0.5〜1.0)×
W、の関係を満たすことで接地圧分布の一様化及び接地
長さ分布の一様化の両立が得られ、たとえ一様化とはい
えずとも両者を一様な状態に近づけることが可能とな
る。
【0023】このことをこの発明による一実施例(実線
にて示す)と、先に触れた、高頻度横力が作用して偏摩
耗が生じる従来例1a(破線にて示す)及び直進走行で
偏摩耗が生じる従来例2a(一点鎖線にて示す)とのセ
ンタ(タイヤ赤道面E)からショルダまでの接地形状の
上半部分及び接地圧分布を測定した結果を示す図2及び
図3に基づき説明する。測定に供したタイヤはサイズが
175/80R14の乗用車用空気入りラジアルタイヤ
である。なお図2、3の縦軸(E′)はタイヤ赤道面E
と一致し、図2は接地長さ分布を見るため接地の外側輪
郭形状のみを示した。
【0024】図2に示す接地形状の接地長さ分布に関
し、従来例1a(接地形状を破線で示す)はセンタから
ショルダまで全体にわたり均一な分布を示す一方、従来
例2aはタイヤ赤道面Eで最大値を示し、そこからショ
ルダ端に向うにつれ当初は漸減し、それ以降急激に減少
する分布を示す。これに対し実施例の接地長さ分布はセ
ンタ領域で均一であり、中間領域では漸減傾向を示すに
止まり、そしてショルダ領域で急激に減少する分布を示
している。なお接地面積は何れのタイヤでもほぼ同一で
あるため図のような形態を示す。
【0025】図2に示す接地形状に対応する接地圧分布
を示す図3に基づき、まず先に触れたショルダ領域の接
地圧につき以下述べる。数多くの接地圧分布測定実験の
結果の一例を図3に示すように、乗用車用空気入りラジ
アルタイヤではクラウン4cのショルダ領域におけるト
レッド部4踏面の接地圧が高くなる傾向を有するのは止
むを得ないところであり、この高接地圧部分が大きな横
力の作用により他の部分に比しより多く摩耗するため偏
摩耗が生じる。特に従来例1aはタイヤ赤道面Eから測
った距離が0.6W〜0.9Wの間から接地圧が急激に
上昇し、そこから同様距離1Wのあたりまで高接地圧領
域が存在することを見出した。
【0026】そこでまず、ショルダ領域のクラウン曲率
半径R3 を成るべく小さくとり、接地圧の減少を図るこ
とが必要であり、その際曲率半径R3 が小さくなり過ぎ
ると図2に示す従来例2aに近似した接地長さ分布を示
すのを回避するため、半径R 3 の最小値を0.5Wとし
て直進時の耐偏摩耗性を有利に保持する。また曲率半径
3 の最大値は1Wに抑えることにより接地圧の大きな
上昇を抑制する。ここにショルダ領域における距離L3
を0.9W〜1.0Wの範囲内としたのは、市場要求に
より摩耗性能の変更を要する場合が生じるためである。
【0027】次に中間領域については、図3に一例を示
すように、タイヤ赤道面Eから測った距離が0.6W前
後位置で接地圧が上昇を開始し、そしてショルダ領域に
次いで高い接地圧分布領域が存在することを確かめた。
そこで中間領域は上記と合せ考慮し、距離L2 を0.6
W〜0.9Wに設定し、距離L1 と距離L2 との間を中
間領域と定め、この領域の曲率半径R2 を成るべく大き
く設定してショルダ領域の接地圧を低減させるのが望ま
しいところ、大きくし過ぎるとショルダ領域の曲率半径
3 をいくら変更(小さく)しても結果的に接地圧が一
番高いショルダ領域の接地圧を従来例1a対比抑制でき
ず、大きな横力の入力による偏摩耗をもたらすため、こ
れを回避して曲率半径R2 の最大値を3.5Wとするも
のである。
【0028】その結果、図3の実施例の曲線上2点鎖線
で囲った領域Aに示すように、この領域Aでは従来例1
aより高い接地圧が得られる結果、ショルダ領域にて従
来例1aより著しく低い接地圧が得られることがわか
る。また曲率半径R2 の最小値を1.5W未満とすれば
ショルダ領域の接地長さが短くなり過ぎて、直進走行時
の耐偏摩耗性を損ねるため不可である。
【0029】最後にセンタ領域では、ショルダ領域の接
地圧を低減させるため曲率半径R1の値を成るべく大き
くするのが望ましい反面、あまり大きくし過ぎるとセン
タ領域内に短い接地長さ部分が生じる一方、ショルダ部
の接地長さが長くなる、いわゆる蝶々タイプの接地輪郭
となり直進走行時の耐摩耗性を損ねる。そこでこの不具
合を回避するため曲率半径R1 の上限を20Wとする。
また曲率半径R1 が8Wを下回ると、曲率半径R2 、R
3 を先に述べた上限値としても中間領域及びショルダ領
域での接地長さがセンタ領域のそれに比し大幅に短くな
り過ぎて、やはり直進走行時の耐偏摩耗性を損ねるため
不可である。以上述べたようにして、ショルダ領域に生
じる偏摩耗を有利に改善することができる。
【0030】以上述べたところはカーブ走行と直進走行
とが適度に混在し、一方の走行に極端に偏らない走行で
の耐偏摩耗性向上に適合するクラウン形状であるが、道
路状況によっては比較的曲率が大きなカーブ走行を主と
する偏った使用条件又は直進走行を主とする偏った使用
条件が存在するので、この走行条件の偏りに対しては以
下に記す距離L1 〜L3 と距離Wとの関係及び曲率半径
1 〜R3 と距離Wとの関係をもつクラウン形状の採用
がより一層の耐偏摩耗性向上に有効である。
【0031】すなわち前者のカーブ走行を主とする使用
条件下では、L1 =(0.5〜0.6)×W、R1
(8〜12)×W、L2 =(0.8〜0.9)×W、R
2 =(1.5〜2.5)×W、L3 =(0.9〜1.
0)×W、R3 =(0.5〜0.75)×W、の関係を
満たすこと、そして後者の直進走行を主とする使用条件
下では、L1 =(0.3〜0.5)×W、R1 =(12
〜20)×W、L2 =(0.6〜0.8)×W、R2
(2.5〜3.5)×W、L3 =(0.9〜1.0)×
W、R3 =(0.75〜1.0)×W、の関係を満たす
ことである。
【0032】またカーブ走行と直進走行とが適度に混在
する使用条件下でも、L1 =(0.4〜0.6)×W、
1 =(8〜15)×W、L2 =(0.75〜0.8
5)×W、R2 =(2.0〜3.0)×W、L3
(0.9〜1.0)×W、R3 =(0.5〜0.8)×
W、の関係を満たすものとすれば、より一層顕著な偏摩
耗改善に寄与する。
【0033】
【実施例】サイズが175/80R14の乗用車用空気
入りラジアルタイヤ1で、カーカス5はポリエステルコ
ードのラジアル配列になる1プライからなり、ベルト6
は2層のスチールコード交差層からなり、そしてレイヤ
7は1260D/2のナイロンコード層からなる。この
タイヤ1を標準リム10の5J×14に組付け、これに
標準内圧190kPaを充填してタイヤ及びリム組立体
とした。この組立体に荷重495kgを負荷した後、無
負荷状態に戻したトレッド部4踏面上で最外側端Pとタ
イヤ赤道面Eとの間の距離Wは60mmであった。実施
例のタイヤは13例準備し、その他従来例1、2及び比
較例1〜6のタイヤを合せて8例準備した。これら合計
21種類のタイヤの赤道面Eからの距離L1 、L2 、L
3 及びクラウン4cの曲率半径R1 、R2 、R3 の距離
Wに掛け合せる数値のみを、実施例は表1に、従来例及
び比較例は表2にそれぞれ示す。この数値については例
えば表中0.5は0.5W、9.0は9.0Wのことで
あり、以下同じである。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】これら21種類のタイヤを乗用車に装着し
て、下記の2種類の走行条件による実地走行にて偏摩耗
試験を実施した。 条件(1);横方向入力(サイドフォース又はコーナリ
ングフォース)が頻繁に作用する、主として一般市街地
及びカーブの多い山坂の走行条件。 条件(2);高速道路における直進走行を主とする走行
条件。 評価方法は所定距離走行後におけるクラウン4cの幅方
向単位幅5mm当りの摩耗量を測定し、ショルダ領域の
摩耗量のセンタ領域の摩耗量に対する比の値を求めた。
この値が1.0に近いほど耐偏摩耗性が良い。この比の
値を表1及び表2それぞれの下欄に示す。
【0037】さらにタイヤの偏平比の呼びがより小さい
タイヤで効果を確かめるため、サイズが205/70R
14の乗用車用空気入りラジアルタイヤ1を採り上げ、
このタイヤ1を標準リム10の51/2J×14に組付
け、これに標準内圧195kPaを充填したタイヤ及び
リム組立体の実施例14及び比較例7、8を準備した。
この組立体に荷重590kgを負荷した後、無負荷状態
に戻したトレッド部4踏面上で最外側端Pとタイヤ赤道
面Eとの間の距離Wは72mmであった。先に述べた実
施例及び比較例と同様に距離L1 、L2 、L3 及びクラ
ウン4cの曲率半径R1 、R2 、R3 の距離Wに掛け合
せる数値のみを表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】これら3種類のタイヤも先の例と同じ試験
条件(1)、(2)に従い実地走行させ、耐偏摩耗性に
ついてもやはり同じ評価方法にて比の値を求め、この値
の1.0に対する大小によった。比の値を表3の下欄に
示す。
【0040】表1、3の条件(1)、(2)の欄に示し
た比の値から明らかなように各実施例のタイヤは、カー
ブ走行及び直進走行の両走行条件下で、トレッドゴム4
tのセンタ領域摩耗量に対するショルダ領域の摩耗量は
揃っていて、かつそれほど大きな値とはならずに偏摩耗
とは呼べない良好な摩耗状態を呈している。これに対し
表2、3に同様に示す比の値から、従来例及び比較例の
タイヤは少なくとも何れかの走行条件にてショルダ領域
の摩耗量がセンタのそれに比し著しく進んでいて、明ら
かに偏摩耗と呼べる摩耗状態を示していることがわか
る。
【0041】
【発明の効果】この発明によれば、従来は少なくともカ
ーブ走行及び直進走行のうち何れか一方の走行が主とな
る走行条件にてショルダ部の偏摩耗発生が余儀なくされ
ていたのに対し、トレッド部のクラウン輪郭形状を最適
化することにより、上記両走行条件下でこの偏摩耗発生
を有効に抑制した耐偏摩耗性に優れる長寿命な空気入り
ラジアルタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による空気入りラジアルタイヤとリム
との右半断面図である。
【図2】この発明による一実施例の接地長さ分布を説明
する接地輪郭図である。
【図3】この発明による一実施例の接地圧分布の説明図
である。
【図4】従来タイヤのアブレージョンパターンの説明図
である。
【図5】従来タイヤの接地圧分布の説明図である。
【符号の説明】
1 空気入りラジアルタイヤ 2 ビード部 3 サイドウォール部 4 トレッド部 4c クラウン 4t トレッドゴム 5 カーカス 6 ベルト 7 レイヤ 10 リム R1 、R2 、R3 クラウン曲率半径 L1 、L2 、L3 タイヤ赤道面からの距離 E タイヤ赤道面 W 距離

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビード部及び一対のサイドウォー
    ル部と、該サイドウォール部相互間にわたりトロイド状
    に連なるトレッド部とからなる空気入りラジアルタイヤ
    において、 上記タイヤを標準リムに組付けて標準内圧を充填したタ
    イヤ及びリム組立体の回転軸心を含む平面による断面に
    あらわれるトレッド部のクラウンは、互いに異なる曲率
    半径をもつ少なくとも3種類の円弧を互いに滑らかに連
    ねた複合円弧からなり、 タイヤ赤道面からクラウン端に向って順次センタ領域、
    中間領域及びショルダ領域に区分けしたクラウンは、タ
    イヤ赤道面から測った各領域の最外側までの距離(L)
    及び各領域における円弧の曲率半径(R)をそれぞれ、
    センタ領域は距離(L1 )及び曲率半径(R1 )、中間
    領域は距離(L2 )及び曲率半径(R2)、ショルダ領
    域は距離(L3 )及び曲率半径(R3 )であらわしたと
    き、上記組立体を標準荷重負荷の下で平板に押圧した際
    の接触領域におけるクラウン端のうち、無負荷状態に戻
    した組立体での最外側に位置するクラウン端からタイヤ
    赤道面までの距離(W)に関し、この距離(W)に対応
    する各領域の距離(L)及び曲率半径(R)が、 L1 =(0.3〜0.6)×W、R1 =(8〜20)×
    W、 L2 =(0.6〜0.9)×W、R2 =(1.5〜3.
    5)×W、 L3 =(0.9〜1.0)×W、R3 =(0.5〜1.
    0)×W、の関係を満たすことを特徴とする空気入りラ
    ジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 上記距離(W)に関し距離(L)と曲率
    半径(R)とが、 L1 =(0.5〜0.6)×W、R1 =(8〜12)×
    W、 L2 =(0.8〜0.9)×W、R2 =(1.5〜2.
    5)×W、 L3 =(0.9〜1.0)×W、R3 =(0.5〜0.
    75)×W、の関係を満たす請求項1に記載したタイ
    ヤ。
  3. 【請求項3】 上記距離(W)に関し距離(L)と曲率
    半径(R)とが、 L1 =(0.3〜0.5)×W、R1 =(12〜20)
    ×W、 L2 =(0.6〜0.8)×W、R2 =(2.5〜3.
    5)×W、 L3 =(0.9〜1.0)×W、R3 =(0.75〜
    1.0)×W、の関係を満たす請求項1に記載したタイ
    ヤ。
  4. 【請求項4】 上記距離(W)に関し距離(L)と曲率
    半径(R)とが、 L1 =(0.4〜0.6)×W、R1 =(8〜15)×
    W、 L2 =(0.75〜0.85)×W、R2 =(2.0〜
    3.0)×W、 L3 =(0.9〜1.0)×W、R3 =(0.5〜0.
    8)×W、の関係を満たす請求項1に記載したタイヤ。
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