JPH0958224A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JPH0958224A
JPH0958224A JP8066278A JP6627896A JPH0958224A JP H0958224 A JPH0958224 A JP H0958224A JP 8066278 A JP8066278 A JP 8066278A JP 6627896 A JP6627896 A JP 6627896A JP H0958224 A JPH0958224 A JP H0958224A
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JP
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tire
tread
width
point
distance
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JP8066278A
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English (en)
Inventor
Kiichiro Kagami
紀一郎 各務
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コーナリング時の限界を高め、しかも偏摩耗の
発生を防止しうる空気入りタイヤを提供する。 【解決手段】カーカス6と、トレッド部2においてカー
カス6の半径方向外側に配されるブレーカ7とを具えた
空気入りタイヤであって、ホイールリムJに装着されか
つ正規内圧を充填した正規状態において、前記トレッド
部2の外表面であるトレッド面2Aは、タイヤ子午線断
面における曲率半径RCが、タイヤ赤道面Cからトレッ
ド端Nまでの距離の20%の距離SPを、タイヤ赤道面
Cとタイヤ軸方向に隔てる点Pからタイヤ軸方向外側に
向かって徐々に減少するとともに、前記トレッド面2A
に、溝巾が1mm以下のサイピング15を配してこのサ
イピング間にリブ16を形成し、かつ前記正規状態に正
規荷重の80%の荷重を負荷させた負荷状態において路
面と接地しうる全てのリブ16は、リブ巾Rw(mm)
と、このリブ巾の中間点からタイヤ赤道点との間の半径
方向距離であるキャンバー量Lc(mm)とが下記式
(1) (Rw)・Lc≦15 …(1)を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コーナリング時の
限界を高め、しかも偏摩耗の発生を防止しうる空気入り
タイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】空気入りタイヤ、とりわけ乗用車用タイ
ヤにおいては、トレッドの断面形状は、1個の曲率半径
で設計されるもの、又はクラウン部とその両側のショル
ダ部とで2〜3の異なる曲率半径を組み合わせることに
より設計されるものなどがある。
【0003】又タイヤ最大断面巾とタイヤ断面高さとの
比であるアスペクト比が0.6を下回るような超偏平ラ
ジアルタイヤは、一般にトレッド部に強靭なベルト層を
配することにより、トレッドの断面形状をほぼ平坦とし
たものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のタイ
ヤは、いずれも図14に示す如くコーナリング時、作用
する横力により、タイヤの外側部分aは、路面に強く押
しつけられるものの、タイヤ内側部分bは、路面から浮
き上がりがちとなる。
【0005】本発明者等は、このような従来のトレッド
断面形状を有するタイヤについて、そのフットプリント
により接地形状を種々確認したところ、図15に示すよ
うな結果を得た。
【0006】図15には、車両の直進時を(A)とし、
コーナリングの初期、つまりハンドルの切り始めを
(B)、ハンドルを切った後、舵角を保持したコーナリ
ング中を(C)として表している。これらの図から明ら
かなように、従来のトレッド断面形状のタイヤは、直進
時は横長長方形であったものが、コーナリング中には縦
長の三角形状へと全く異なる形状変化をなす他、タイヤ
の赤道cより片側のみの接地となることに加え、接地面
積が著しく減少することにより、いわゆるコーナリング
限界に達し、横力を支えきれずに路面グリップを失な
い、通常の車両コントロールを不能とする。
【0007】本発明者は、以上の実状に鑑みて、コーナ
リング中であっても、直進時と略同様の接地形状をな
し、かつ直進時からコーナリング中に至っても接地面積
の減少を防止する、という観点からコーナリング時の限
界を高めるべく鋭意研究を重ねた結果、トレッド部の外
表面であるトレッド面のタイヤ子午線断面における曲率
半径をタイヤ軸方向外側に向かって徐々に減少させれば
良いとの知見に達したのである。
【0008】ところで、このようなトレッド面は、タイ
ヤ子午線断面における曲率半径RCが、タイヤ赤道面C
からトレッド接地端に向かって徐々に減少する形状とな
るため、いわゆる外に凸なる断面形状を有する結果、ト
レッドの接地端側に向かうほどトレッド面とタイヤ赤道
点との間の半径方向距離であるキャンバー量Lcが増大
することになる。
【0009】一般に、平面へ球体のような曲面を押しつ
けたような場合、接触領域の端部には、接触領域の中心
に向かう前記平面に沿った横応力が生じ、この横応力は
曲面の度合いがきついほど大きくなる。従って、本願発
明の如く前記キャンバー量Lc(mm)が大であるトレッ
ド端Nの近傍が路面に接地すると、図7に示す如くかか
る部分では、接地面の中心、つまりタイヤ赤道c側に向
かって収縮するような大きな横応力τが発生し、この横
応力τが、路面との摩擦力を超えると当該接触部分が路
面との間で滑りを生じることとなる。
【0010】ここで、トレッド部2の摩耗は、一般に横
応力τによる仕事量、即ち、[横応力]×[滑り量]、
に比例する。したがって、前記のようなトレッド面で
は、トレッド端部近傍位置に大きな横応力τが生じる結
果、該トレッド端部近傍位置がタイヤ赤道部近傍に比し
て早期に摩耗する偏摩耗が発生しやすいという新たな問
題を提起するに至った。
【0011】本発明者は、コーナリング限界を高い次元
に維持しつつ前記偏摩耗の発生を防止するという要求を
同時に満足させるべく鋭意研究を重ねた結果、前記のよ
うなトレッド面に溝巾が1mm以下のサイピングに挟ま
れるリブを設け、かつこのリブのリブ巾を前記キャンバ
ー量との関係において一定範囲に規制することにより、
直進走行時の接地に際しては、トレッド部を微小に変形
させることができ、前記トレッド接地端での横応力を吸
収しうるとともに、コーナリング時では前記サイピング
が容易に溝巾を閉じることによりトレッド剛性を低下さ
せることなくコーナリング限界を高い次元に維持しうる
ことを見い出したのである。
【0012】以上のように本発明は、コーナリング時の
限界を高めうることを基本とし、かつ偏摩耗の発生を抑
制しうる空気入りタイヤを提供することを目的としてい
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、トレ
ッド部からサイドウォール部を通りビード部のビードコ
アの廻りを折り返して係止されるカーカスプライからな
るカーカスと、トレッド部においてカーカスの半径方向
外側に配されるブレーカとを具えた空気入りタイヤであ
って、ホイールリムに装着されかつ正規内圧を充填した
正規状態において、前記トレッド部の外表面であるトレ
ッド面は、タイヤ子午線断面における曲率半径RCが、
タイヤ赤道面Cからトレッド端までの距離の20%の距
離SPを、タイヤ赤道面Cとタイヤ軸方向に隔てる点P
からタイヤ軸方向外側に向かって徐々に減少するととも
に、前記トレッド面に、溝巾が1mm以下のサイピング
を配してこのサイピング間にリブを形成し、かつ前記正
規状態に正規荷重の80%の荷重を負荷させた負荷状態
において路面と接地しうる全ての前記リブは、リブ巾R
w(mm)と、このリブ巾の中間点からタイヤ赤道点と
の間の半径方向距離であるキャンバー量Lc(mm)と
が下記式(1) √(Rw)・Lc≦15 …(1) を満足することを特徴とする空気入りタイヤである。
【0014】ここで各用語は次のように定義する。先
ず、「トレッド部」とは、路面に接地もしくは接地する
可能性(コーナリング時を含む)のある領域をいう。そ
して「タイヤの接地端」とは、前記負荷状態においてタ
イヤ外面が接地する軸方向の外端をいう。
【0015】また「トレッド端」とは、前記トレッド部
のタイヤ軸方向の外端点をいい、トレッドゴムがタイヤ
最大断面巾点を越えるときには、そのタイヤ最大断面巾
点をトレッド端として定義する。
【0016】又請求項2の発明では、前記トレッド端
は、タイヤ軸方向のタイヤ最大断面巾点に設定し、さら
に請求項3の発明では前記トレッド面の曲率半径RC
を、前記点Pからタイヤ軸方向外側に向かって一定の割
合で減少させている。
【0017】さらに請求項6の発明では、トレッド面
は、タイヤ赤道面Cとトレッド面との交点であるトレッ
ド赤道点から半径方向内方に距離を隔てタイヤ赤道面C
上に原点を有する極座標(R、θ)の点PTの下記
(2)式(但しθはπ/2ラジアンから0までの範囲で
減少し、SWはタイヤ最大断面巾をmm単位で表す値)を
満たす軌跡として定義される曲線であることを特徴とし
ている。 R=(92.46304+50.02951×θ−109.1216×θ2 +43.74487×θ3 +7.385639×θ4 −4.776894 ×θ5 )×(SW/194) …(2)
【0018】また請求項7の発明のように、前記極座標
(R、θ)は、トレッド赤道点から半径方向内方に{7
0.63044×(SW/194)}mmの距離を隔てた
タイヤ赤道面C上に原点を有するように設定している。
【0019】又本発明のタイヤは請求項4のように、前
記請求項6の発明の曲線を基準曲線として、距離Rの前
記基準曲線からのずれ量の許容範囲ALが4%以下の領
域を通る修正曲線とすることもできる他、請求項5の発
明では、前記許容範囲ALを2%以下とより小さくし、
かつ修正曲線はθがπ/2のとき{70.63044×
(SW/194)}mmの距離の前記トレッド赤道点と、
θが0のとき{92.46304×(SW/194)}
の原点高さ相当点とを通るものである。
【0020】なお前記式が与える基準曲線は、トレッド
面に関するものであるが、この曲線は、サイドウォール
部をへてビード部に至るまでそのタイヤ子午断面の輪郭
を実質的に連続して形成させることができる。
【0021】本発明者の実験によれば、タイヤをホイー
ルリムに装着しかつ正規内圧を充填した正規状態におい
て、トレッド部の外表面であるトレッド面を、タイヤ子
午線断面における曲率半径RCが、タイヤ赤道面Cから
トレッド端までの距離の20%の距離SPを、タイヤ赤
道面Cからタイヤ軸方向に隔てる点Pからタイヤ軸方向
外側に向かって徐々に減少するように構成されることに
よって、コーナリング時の限界性能が著しく向上するこ
とが判明した。
【0022】図5には、前記図11と同一の条件に基づ
いて、コーナリング中のタイヤ断面を示し、又図6には
車両の直進時を(A)、コーナリングの初期を(B)、
コーナリング中を(C)とするフットプリントを表して
いる。
【0023】これらの図から明らかなように、本発明の
タイヤは、コーナリング中においてもタイヤ内側bの浮
き上がりが殆どなく、しかも接地形状が直進時では、ほ
ぼタイヤ赤道cを長軸とする縦長の楕円状をなし、これ
がコーナリング初期、コーナリング中へと向かうにつれ
て接地面積を減少させることなく、同等ないしは増大さ
せるとともに、直進時と同様の楕円形状を保持する作用
を発揮することが理解しうる。
【0024】かかる作用は、トレッド曲率半径をタイヤ
軸方向外側に向かって徐々に減少するように定めること
を基本として、トレッド面に、直進時にはタイヤの接地
端よりも軸方向外側に位置することにより接地しない
が、コーナリング時には接地しうることにより、直進時
よりも接地巾を広げうる潜在的接地領域を設ける、とい
う新規な着想に由来している。
【0025】このように、本発明のタイヤは、コーナリ
ング中であっても、直進時と略同様の接地形状をなし、
しかもコーナリング中でも接地面積を直進時と同等又は
増大させることにより、コーナリング時の限界を高め、
操縦安定性を著しく高いレベルへと引き上げうるのであ
る。
【0026】なお、本発明のタイヤは、図6(A)に示
すように、車両直進走行時においては、接地巾が接地長
さよりも実質的に小さくなる。これにより、排水性を向
上し易く、ウエットグリップ性を向上することも可能と
なり、従って、ウエット時のコーナリング限界を特に向
上しうる。又前記トレッド端をタイヤの最大断面巾点に
設定したときには、前記潜在的接地領域の範囲を大きく
増すことができ、前記した作用を高めうる点で好まし
い。
【0027】さらに前記トレッド面の曲率半径RCを、
一定の割合で減少させることによって前記潜在的接地領
域の増減を、例えばタイヤに作用する荷重に対応して比
例して滑らかに変化させることが可能となる点で好まし
い。
【0028】次に、前記のようなトレッド断面形状がコ
ーナリング時の限界性能を著しく高めるのは既述の通り
であり、そのためにもこのようなトレッド断面形状をタ
イヤの全寿命に亘って保持することが極めて重要な課題
となるが、このようなトレッド面は既述の如く、トレッ
ド面における偏摩耗が生じやすい傾向にある。
【0029】本発明では、このような偏摩耗を、トレッ
ド部に、溝巾が1mm以下のサイピングにより挟まれ、
かつ前記正規状態に正規荷重の80%の荷重を負荷させ
た負荷状態において路面と接地しうる全てのリブ、リブ
巾Rw(mm)と、このリブ巾の中間点からタイヤ赤道
点との間の半径方向距離であるキャンバー量Lc(m
m)とが下記式(1) √(Rw)・Lc≦15 …(1) を満足することにより抑制でき、前記トレッド面の形状
をほぼタイヤ全寿命に亘って維持しうる。なおリブ巾R
w(mm)は、図4に示すように、リブの軸方向内側端か
ら外側端までの距離で測定し、リブ巾の中間点とはこの
距離の中間点とする。
【0030】ここで、前記負荷状態における「正規荷
重」とは、JATMA、ETRTOなどの規格におい
て、タイヤサイズ毎に空気圧−荷重対応表に定められて
いる荷重をいう。又正規荷重の80%としたのは、前記
規格の空気圧(正規内圧)は、一般に荷重に対して最低
限必要な空気圧を示しているため、現実のタイヤ設計に
際しては余裕を持って規格の空気圧よりも高めに設定す
るのが殆どである。このような実状から、基準とする荷
重は、実車条件を想定し規格の空気圧に対応する荷重の
80%に減じている。
【0031】次に、サイピングの溝巾を1mm以下に限
定した理由は次の通りである。トレッド面に形成された
サイピングの溝巾が1mmを越えると、コーナリングに
よる横力作用時に、十分なトレッド剛性を維持しえず、
コーナリングフォースが低下することによりコーナリン
グ限界速度が低くなるからである。
【0032】これに対し、サイピングの溝巾が1mm以
下であれば、コーナリングによる横力作用時に、トレッ
ッドの微小な変形により容易にサイピングを閉じ、隣接
するリブを一体化することによって十分なトレッド剛性
を維持でき、コーナリングフォースを低下させることが
ない。
【0033】さらに、前記サイピングに挟まれるリブ
は、リブ巾Rw(mm)と、キャンバー量Lc(mm)
とが前記式(1)を満足しなければならず、その理由
は、以下のような実験結果に基づいている。即ち、本発
明者等は、前記トレッド形状を有するタイヤを準備し、
特定のキャンバー量の位置に異なる巾のリブを設け、当
該リブでの横応力を測定した。なお横応力は図9に示す
如く、接地面に埋設された横応力センサーSE(センサ
ー直径3.81mm)により測定した。
【0034】この結果、前記キャンバー量Lc(mm)
及びリブ巾Rw(mm)と、前記横応力との関係は、図
8に示すように、キャンバー量が大きいほど、又リブ巾
が大きいほど横応力が大きくなることが判明した。又、
リブ巾Rw(mm)の平方根√(Rw)とキャンバー量
Lc(mm)との積を、下記の理由により一定値以下に
する必要がある。
【0035】一般に、乗用車が主として走行する路面の
なかで、タイヤが摩耗しやすい乾燥したアスファルト路
面は、摩擦係数の平均的な値はおよそ0.75となる。
又乗用車用空気入りタイヤの代表的な空気圧を2.0k
gf/cm2 とすると、タイヤが路面との間で受ける摩擦
力は、[接地圧]×[摩擦係数]で表すことができ、接
地圧と空気圧とはほぼ比例することから、摩擦力は、さ
らに近似的に[空気圧]×[摩擦係数]で求めることが
でき、概ね1.5kgf/cm2 となる。
【0036】したがって、前記横応力が、摩擦力よりも
小さければトレッド面において直進走行時には横滑りは
生じないはずであり、ひいては偏摩耗を抑制することが
できる。そこで、リブ巾Rw(mm)の平方根√(R
w)とキャンバー量Lc(mm)との積を、下記式
(1)の如く15以下に規制することにより、横応力を
摩擦力より小さくすることができる事が判明した。これ
により、当該リブは、横応力によっては横滑りがなく偏
摩耗を抑制しうるのである。 √(Rw)・Lc≦15 …(1)
【0037】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態の一例を
図面に基づき説明する。図1は、右半分でタイヤ内部構
造を、左半分でタイヤの断面の輪郭をそれぞれ示す断面
図であり、空気入りタイヤは、リムサイズ16×7 1/2
のホイールリムに装着されるタイヤサイズ215/45
R16の乗用車用タイヤとしたものを例示している。
【0038】空気入りタイヤは、トレッド部2からサイ
ドウォール部3をへてビード部4のビードコア5で内か
ら外側に巻き上げる折返し部6Aを有するカーカスプラ
イからなるカーカス6と、トレッド部2においてカーカ
ス6の半径方向外側に配されるブレーカ7とを具える。
【0039】なお前記カーカス6は、トレッド面2Aに
沿う前記ブレーカ7と同形状に湾曲する1枚以上、本例
では1枚のカーカスプライからなる。又カーカス6は、
ナイロン、レーヨン、ポリエステルなどの比較的低弾性
な有機繊維コードを好ましく用いるとともに、本例では
ポリエステルコードをタイヤ赤道に対して65゜〜90
゜程度のラジアル方向に配列して構成されたものを例示
している。
【0040】又トレッド部2には、その外表面をなすト
レッドゴム9が配され、トレッド端の点Nを本例ではタ
イヤ断面最大巾点Mに定めるとともにこのトレッドゴム
9は、JISA硬度が50°〜80°程度を好ましく採
用しうる。なおサイドウォールゴム10は本例ではJI
SA硬度が35゜〜65°程度と、前記トレッドゴムよ
り軟質にしている。
【0041】又空気入りタイヤは、前記ビードコア5の
半径方向外面から半径方向外側にのびるビードエーペッ
クス11に加え、本例ではチエーファ12が前記ビード
部4の周囲面の廻りを覆って巻上げられ、しかも硬質ゴ
ムからなるクリンチエーペックス13をビード部外表面
に沿って配することにより、公知の補強をなしうる。
【0042】次に、トレッド部2の外表面であるトレッ
ド面2Aは、タイヤの子午線断面において、曲率を変化
させて湾曲し、図1の左半分に示されるように、本例で
はタイヤ赤道面Cから前記タイヤ最大断面巾点Mまでタ
イヤ軸方向外方に離れるにつれて、徐々に曲率半径RC
を減じるように設定されている。
【0043】なお重要な事項は、タイヤ赤道面Cからト
レッド端Nまでの距離の20%の距離SPを、タイヤ赤
道面Cから隔てるトレッド面上の点をPとするとき、少
なくともトレッド面の曲率半径RCを、この点Pからタ
イヤ軸方向外側に向かって徐々に減少させることであ
る。
【0044】換言すれば、タイヤ赤道面Cを含む前記点
P、P間の範囲は、平坦な直線とすること、単一曲率半
径の円弧とすること、凹状とすること、さらには外側に
向かって徐々に曲率半径RCを減じる曲線とすることの
いずれをも単独で又は組み合わせて採用しうる。
【0045】このようにトレッド面2Aの曲率半径RC
を前記点P、P間の範囲を除外して規定した理由は、か
かる点P、P間の範囲は、通常、路面に充分に接地して
いるから、徐々に曲率半径RCを減じた曲線で形成する
効果が比較的小さいからである。
【0046】次に、本例では、前記トレッド面2Aは、
極座標(R、θ)を用いて点PTの軌跡を与える本発明
者の解析結果から得られた下記の式(2)によって定義
され、この式(2)は、タイヤ軸方向外側に向かって除
々に減少する曲率半径RCのトレッド断面形状を定めう
る。 R=(92.46304+50.02951×θ−109.1216×θ2 +43.74487×θ3 +7.385639×θ4 −4.776894 ×θ5 )×(SW/194) …(2)
【0047】ここでθはπ/2ラジアンから0までの範
囲で減少し、かつSWはタイヤ最大断面巾をmmで表した
値である。またこの式(2)においては、前記原点O
は、トレッド面2Aとタイヤ赤道面Cとの交点であるト
レッド赤道点CPの半径方向下方に{70.63044
×(SW/194)}mmの距離を隔てることになり、空
気入りタイヤが装着されるホイールリムJのフランジの
頂上のフランジ高さGの高さとほぼ一致させている。
【0048】なお前記式(2)は以下のようにして設定
された。先ず、タイヤサイズとホイールリムサイズが定
まると、JATMAなどの規格によりタイヤ最大断面巾
SW、リム巾、ビードベースBLからのリムフランジ高
さGなどが求まる。次に、極座標(R、θ)の原点を、
リムフランジ高さG付近とし、かつ好ましいタイヤ最大
断面巾SWとタイヤ断面高さSHとの比であるアスペク
ト比(SH/SW)を、例えば0.45程度に選択すれ
ば、タイヤ断面高さSHが定まる。
【0049】さらに、トレッド面2Aとタイヤ赤道面C
とが交わる交点であるトレッド赤道点CPからタイヤ最
大断面巾点Mまでの半径方向の距離THと、タイヤ最大
断面巾SWとの比TH/SWが、0.12〜0.3、好
ましくは0.25〜0.3程度となるように、タイヤ最
大断面巾点Mの高さを定める。
【0050】以上により、前記トレッド赤道点CPの原
点からの高さを大略設定しうる。そののち、トレッド赤
道点CP、タイヤ断面最大巾点M、フランジと接する点
BPを通り、この点BPとほぼ同高さに原点Oを設定し
た極座標(R、θ)の前記式(2)を求めうる。
【0051】この式(2)が求まると、この式(2)か
ら、タイヤ最大断面巾SWとタイヤ断面高さSHとのア
スペクト比SH/SWは(G/SW)+0.38015
と改めて設定される。また極座標(R、θ)において、
θがπ/2のときの値は{70.63044×(SW/
194)}mmに設定される。さらにθ=0での原点高さ
相当点での値が{92.46304×(SW/19
4)}mmと求められる。
【0052】このようにして得られた式(2)が定める
曲線は、タイヤ赤道面Cからトレッド端の点N(本例で
はタイヤ最大断面巾点M)に至る範囲、つまり前記点
P、P間の範囲をも含めて、トレッド面2Aの全範囲に
亘って、タイヤ赤道面Cから、いずれのタイヤ軸方向外
側に向かってもトレッド面2Aの曲率半径RCが、連続
して滑らかに減少する。しかもこの曲線は、トレッド面
2Aにおいてタイヤ軸方向に一定の割合で曲率半径RC
を連続して減少させるのである。
【0053】又、本実施例においては、タイヤとホイー
ルリムJとの組立体における前記フランジ高さGは1
7.3mmであり、前記原点Oは、ほぼこの高さと等しく
設定されている。なおこの原点Oの高さはそれほど重要
ではないが、前記軌跡を計算するために設定している。
【0054】次に、前記式(2)は全タイヤ外面の形状
設定のために用いることができ、本例では式(2)は、
前記トレッド端の点Nをタイヤ半径方向内側に越えて、
タイヤのビード部4とホイールリムJのフランジとが接
する点BPまでのサイドウォール部3、ビード部4に至
る外面形状をもともに定めるものとして採用されたもの
を例示している。従って、タイヤ子午断面において、タ
イヤ赤道点CPから、タイヤがリムフランジに接する点
BPまでの間のタイヤ外面の曲率半径は、徐々に減少す
ることとなる。
【0055】このような前記トレッド面2Aは、前記式
(2)の軌跡として定義される曲線を基準曲線とし、前
記距離Rの前記基準曲線からのずれ量の許容範囲ALが
4%以下、好ましくは2%以下の領域を通る修正曲線を
用いることができる。
【0056】このずれ量の許容範囲ALが4%以下と
は、基準曲線の距離Rと、修正曲線における距離R’と
の差の絶対値の距離Rに対する比が、次式で定めるよう
に0.04以下であることを意味し、2%の場合にも同
様にして求めうる。 (R−R’)/R ≦ 0.04
【0057】さらに前記許容範囲ALを、2%以下とし
たときには、修正曲線はθがπ/2のときの{70.6
3044×(SW/194)}mmの距離の前記トレッド
赤道点CPと、θが0のときの92.46304×(S
W/194)mmの原点高さ相当点とを通るように設定す
るのが好ましい。なおこの原点高さ相当点は、タイヤ最
大断面巾点Mを下に越えた位置となる。
【0058】このように、タイヤ軸方向外側に向かって
曲率半径RCを除々に減じるトレッド面2Aの曲線を、
前記修正曲線のように設定することにより、トレッド断
面形状の選択の巾を増し、目的とするタイヤ性能に適し
た形状を設定しうることとなる。
【0059】また前記式(2)での基準曲線、又は前記
修正曲線の範囲は、前記のように、トレッド面2Aから
サイドウォール部3をこえて前記ホイールリム11のフ
ランジに接する点BPまでとする場合の他、タイヤ最大
断面巾点M、M間などトレッド面2Aをこえる次の範囲
で採用しうる。
【0060】 タイヤ最大断面巾SWの40%(好ま
しくは45%)をタイヤ赤道面Cから隔てる2つのタイ
ヤ外表面上の点間の範囲。 θが30〜90°の範囲、好ましくはθが20〜9
0°、さらに好ましくは、θが10〜90°の範囲。 前記ブレーカ7の最大巾の両端からタイヤ半径方向
外側にのばした直線がタイヤ外表面と交わる交点間の範
囲。
【0061】又本例では、トレッド部2がこのように広
範囲に亘って延在するために、トレッド巾がタイヤ最大
断面巾SWをなし、しかも前記基準曲線ないしは修正曲
線でBP、BP間の領域を連ねることにより、コーナリ
ング時にのみ接地する前記潜在的接地領域を多く確保で
き、しかもトレッド面2Aの湾曲度合いが適当となって
直進時の接地面の減少とコーナリング時の接地領域の増
大をバランスさせ、しかもその移動、変動、面積変化を
滑らかにするには既述の通りである。
【0062】なお、タイヤ最大断面巾点Mのビードベー
スBLからの半径方向の高さは、タイヤ断面高さSHの
25〜75%、好ましくは25〜50%、さらに好まし
くは30〜40%とすることができ、又トレッド端N
は、図3の右半分に示すようにタイヤの断面最大巾点M
よりもタイヤ軸方向内側で定められる場合をも含むが、
これについては、後述する。
【0063】以上述べたように、空気入りタイヤは、タ
イヤ子午線断面において、実質的に連続して湾曲するト
レッド部2を具える。例えば、図1に示す実施例では、
トレッド部2は、タイヤ最大断面巾SWに対するトレッ
ド端Nとトレッド面2Aのタイヤ赤道点CPとの間の半
径方向の距離THの比(TH/SW)を約0.27程度
で湾曲させている。
【0064】この比は、従来のタイヤでは約0.05以
下であり、設計者が、トレッド部2と路面との間の平坦
な接地を保つため可能な限りブレーカ、ベルトなどを平
坦にすることを意図した通常の乗用車及びトラック用タ
イヤとは全く異なる手法である。なお前記比(TH/S
W)は、例えば0.13〜0.3程度の範囲で選択しう
る。
【0065】さらに空気入りタイヤのアスペクト比(S
H/SW)は、前記フランジ高さGをタイヤが装着され
るホイールリムJのフランジの高さとするとき、(G/
SW)+0.38015として定めている。これは、ホ
イールリムJのフランジの高さGのタイヤ最大断面巾S
Wに対する比を大としたときには、アスペクト比(SH
/SW)を増加しうるのであり、これは、タイヤサイズ
に対して規定のホイールリムJを採用するときに、その
タイヤが採りうる好ましいアスペクト比SH/SWを設
定する。又本実施例では、タイヤアスペクト比は0.4
5であり、短いサイドウォール部3を具えるが、これに
限定されるものではない。
【0066】又トレッド部2は、タイヤ半径方向に測定
するトレッドゴム9の厚さを、少なくとも前記点Pから
トレッド端Nに至る範囲をほぼ一定ないしは滑らかに減
少させるのが良い。その結果、後述するブレーカ7、前
記カーカス6も前記トレッド断面形状に沿ったものにな
しうる。
【0067】なお図3の他の実施の形態例では、トレッ
ドゴム9が、タイヤ最大断面巾SWの約0.85倍程度
で延在することにより、トレッド端Nを、タイヤ最大断
面巾点Mよりも半径方向外側に位置させた点においての
み図1の実施例と相違している。
【0068】従って、かかる例では図1のものに比して
サイドウォールゴム10が長寸をなし、サイドウォール
部3での屈曲性を高め、前記潜在的接地領域を円滑に接
地させうる点でより好ましくなり、他は図1の実施例と
同一の作用を奏しうる。なおこのとき、前記比(TH/
SW)は、0.12〜0.20程度となる。
【0069】次に、図1に示すブレーカ7は、ケブラー
コード(1500d/2)よりなる2層のブレーカプラ
イ7A、7Bからなり、この2層のブレーカプライを構
成するケブラーコードはタイヤ赤道に対し15°〜30
°、本例では24°傾斜しており、しかも2層のケブラ
ーコードは互いに逆方向に傾斜している。又ブレーカプ
ライ7Bの半径方向外側には、複数本の有機繊維コード
を平行に並べてトッピングした帯状プライ又は1本の有
機繊維コード、本例ではナイロンコードをタイヤ周方向
に対して実質的に0゜の角度で螺旋に巻き回して形成さ
れたジョイントレス層8を有している。
【0070】また、図1に示されるように、ジョイント
レス層8の外面は、ホイールリムJに装着されかつ正規
内圧を充填したとき、タイヤ子午線断面において、タイ
ヤ赤道面Cからタイヤ軸方向外方に離れるに従い、徐々
に曲率半径を減じるように巻回されることにより、トレ
ッド部2に前記断面形状を保持する好ましいタガ効果を
与える。
【0071】同様に最大巾をなすブレーカプライ7Aの
曲率半径RBは、タイヤ赤道面Cからトレッド端Nまで
の距離の20%の距離SPを、タイヤ赤道面Cと隔てる
ブレーカプライ7Aの外面上の点Bからは、タイヤ軸方
向外側へいずれの側に向かっても徐々に減少している
他、前記曲率半径の減少は、一定の割合としている。
【0072】なお、タイヤ赤道面Cからブレーカプライ
7Aの前記点Bまでの範囲は、直線とすることも、単一
曲率半径の円弧とすることも、除々に曲率半径RBを減
じる曲線とすることもできるのは、トレッド断面形状の
場合と同様である。
【0073】又本例では、極座標(R、θ)を用いて前
記ブレーカプライ7Aの外面の点BTの軌跡を与える次
の式(3)によって定義される漸次減少する曲率半径R
Bのブレーカ形状を具える。又この極座標(R、θ)の
原点Oは、式1と同じくタイヤが装着されるホイールリ
ムJのフランジの頂上のフランジ高さGに近い高さであ
って、タイヤ赤道面C上に位置する。なお原点Oの高さ
はそれほど重要ではないが前記軌跡を計算するために設
定する必要がある。 R=(89.02495+58.35249×θ−194.2836×θ2 +168.7756×θ3 −62.10578×θ4 +8.747225 ×θ5 )×(SW/194) …(3)
【0074】ここでθはπ/2ラジアンから0までの範
囲で減少し、かつSWはタイヤ最大断面巾をmmで表した
値である。また前記原点Oは、ブレーカ2の外面とタイ
ヤ赤道面Cとの交点の半径方向下方に{60.9936
3×(SW/194)}mmの距離を隔てており、この式
(3)は、ブレーカプライ7Aの外面の全範囲に亘っ
て、タイヤ赤道面Cのいずれの側に向かって連続して滑
らかに減少する曲線を与える。
【0075】さらに前記ブレーカプライ7Aの外面形状
は、前記式(3)の軌跡としてで定義される前記曲線を
基準曲線として、前記距離Rの前記基準曲線からのずれ
量の許容範囲ALが4%以下の領域を通る修正曲線を用
いて形成することができる。さらに、前記許容範囲AL
を、2%以下とし、修正曲線はθがπ/2のときの{6
0.99363(SW/194)}mmの距離の前記トレ
ッド赤道点と、θが0のときの{89.02495(S
W/194)}mmの原点高さ相当点とを通ることができ
る。このような修正曲線は、ブレーカの外面形状の設定
に際して融通性を与え、タイヤ特性に応じた適当な形状
を定めることができる。
【0076】このように、トレッド面2A、トレッドゴ
ム9の厚さ、ブレーカ7が夫々ともに前記形状となると
きには、ブレーカ7の断面形状はトレッド面2Aの断面
形状にほぼ近く、かつ平行になる。
【0077】次に、前記ブレーカ7は、ブレーカ7のタ
イヤ赤道面Cでの厚さ中央、即ちブレーカ赤道点から最
大巾のジョイントレス層8の端までの半径方向の距離C
B(図2に示す)と、ジョイントレス層8のタイヤ軸方
向の巾BWとの比CB/BWを、0.15〜0.3の範
囲の値としている。これは、トレッド面2Aのタイヤ最
大断面巾SWに対するトレッド端Nとトレッド面2A上
のタイヤ赤道点との間の半径方向の距離THの前記比T
H/SWの値0.15〜0.3と同様な湾曲形状を与え
る。
【0078】なおブレーカ7の形状を前記のように湾曲
させることを前提としたときには、トレッド面2Aとし
てトレッドゴムをほぼ均一厚さとするトレッド部2をそ
のまま好ましく採用しうるが、トレッド端Nに向かって
トレッドゴム9の肉厚を漸増又は漸減する曲面とするこ
ともでき、このときトレッド赤道点CPからトレッド端
Nまでのトレッドゴム9の肉厚変化率はトレッド赤道点
CPでのゴム厚さを基準として20%以上かつ75%以
下が好ましく、さらには25%以上かつ50%以下が望
ましい。又ブレーカ7のタイヤ軸方向最外部分でのトレ
ッドゴム9のゴム厚さは、トレッド赤道点CPでのゴム
厚さを基準として30%以上かつ100%未満が好まし
く、さらに40%以上かつ80%以下が望ましい。
【0079】なおブレーカプライ7A、7B…のタイヤ
軸方向巾は、好ましくはタイヤ断面最大巾SWの50%
以上かつ100%未満が望ましく、さらに85%以下が
望ましい。なお本例ではタイヤ半径方向内側のそれを大
としているが、半径方向外側の方を大としても良く、さ
らには図4に示すようにブレーカプライ7A、7Bをタ
イヤ最大断面巾SWの50〜60%の小巾とし、かつ同
タイヤ最大断面巾SWの60%以上かつ100%未満
の、望ましくは80%以上かつ90%以下の前記ジョイ
ントレス層8を設けることもできる。
【0080】以上のように、本例における空気入りタイ
ヤは、トレッド断面形状を前記の如く特定したことによ
り、路面との接地形状が直進時では、ほぼ縦長の楕円状
をなし、これがコーナリング初期、コーナリング中へと
向かう場合、直進時の接地端のタイヤ軸方向外側の潜在
的接地領域が路面と接地しうる結果、接地面積を同等な
いしは増大させ、かつ直進時と同様の楕円形状を保持す
る作用を発揮することにより、コーナリング時の限界を
著しく高めることができる。
【0081】また、前記トレッド断面形状は、規制され
た物性値からなる有機繊維コード又はこれを用いた帯状
プライを螺旋に巻き回したジョイントレス層8とブレー
カ7を用いたときには、タイヤ全寿命に亘って維持され
ることにより、前記作用効果をより確実に発揮させうる
とともに、タイヤ生産性をも劣化させることがない。
【0082】次に、本発明の空気入りタイヤは、図1、
図11などに示すように、前記トレッド面2Aに、溝巾
が1mm以下のサイピング15を配することにより、こ
のサイピング15に挟まれるリブ16…を複数本形成し
ており、好ましくは4本以上のリブを形成するものが良
い。
【0083】前記トレッド面2Aには、本例ではタイヤ
赤道及びこのタイヤ赤道とトレツド端Nとの間にタイヤ
周方向に連続してのびる4本のサイピング15を配する
ことにより、前記トレッド面2Aに、タイヤ赤道両側に
配される中央リブ16Aと、この中央リブ16Aの両外
側に順次並ぶ左右各3つの側方リブ16B、16C、1
6Dとの合計8つのリブに区分したものを例示してい
る。又タイヤの接地端は図11のS、Sで示す範囲であ
り、従って、リブ16A、16B、16C及び接地端が
位置することとなるリブ16Dは全て接地しうることと
なる。
【0084】そして、本発明では接地する前記各リブ1
6A〜16D全ては、前記式(1)に示したように√
(Rw)×Lcが15以下となるように規定することが
必要である。即ち、タイヤ軸方向外側のリブほどキャン
バー量Lcが大きくなるため、各リブのリブ巾Rw1〜
Rw4を、タイヤ軸方向外側に向けて小さくなるように
設定している。
【0085】なお図10には、各リブ16A〜16Dの
横応力とキャンバー量とを各リブの中間点にて測定した
結果を示しているが、この図から明らかな如く、全ての
リブにおいて、横応力が1.5kgf/cm2 以下、つま
り平均的な摩擦力よりも小さくなっていることが確認で
き、その結果、各リブ16A〜16Dは、横応力による
横滑りを減じ、ひいては偏摩耗を抑制することができ
る。
【0086】このようなサイピング15は、溝巾が1mm
以下の小巾であることは前述の通りであり、これにより
車両のコーナリング中には、トレッド部2に作用する著
しく大きな横力によってサイピング溝壁面を互いに密着
させてサイピング15の溝巾を閉じ、相互に隣り合う各
リブを一体化しうることとなり、コーナリングに際して
トレッド剛性を低下させず、コーナリング限界速度の向
上に役立つのである。
【0087】他方、前記サイピング15は、車両直進時
に作用する程度の前記横応力に対しては、サイピング溝
壁を閉じうる程度の微小な変形によりトレッド横剛性を
適度に低下させることができ、前記トレッド面2Aと路
面との間の横滑りを減じて偏摩耗などを抑制しうる。
【0088】なお、サイピング15の溝深さは、好まし
くは4mm〜12mm、さらに好ましくは4mm〜10mm程度
が良い。前記サイピング15の溝深さが4mmを下回る
と、前記横応力低減効果が少なく、逆に12mmを越える
ときには、かかる溝深さを確保するためにトレッドゴム
の厚さが増し、タイヤ重量が大幅に増加する傾向にある
ため好ましくない。
【0089】又サイピング15は、本例で示した直線状
の他、ジグザグ状、波模様など又はこれらの組み合わせ
たものなどを適宜採用しうる。加えて、トレッド面2A
は、極めて広巾の水保持用溝などの各種のパターン溝を
形成すること、また要求されるパターン性能に応じて1
又はそれ以上の極めて広巾の縦溝、横溝を含んでいても
よい。
【0090】図12には、本発明のタイヤに採用しうる
他のトレッドパターンを示す。図に示すごとく、本例で
は、タイヤ赤道面Cを挟む両側に、溝巾が5mm以上をな
す左右の広巾主溝20と、この広巾主溝20とトレッド
端Nとの間に配された溝巾が1mmかつ溝深さが6mmをな
す4本のサイピング15と、前記広巾主溝20からトレ
ッド端Nとに至ってタイヤ軸方向斜めにのびる横溝21
とを具えるものを例示している。
【0091】前記左右の広巾主溝20、20の間の中央
リブ17Aは、キャンバー量が著しく小さいため、発生
する横応力も小さい結果、本例では前記サイピング15
により分割することなく形成している。又前記広巾主溝
20は、例えば溝巾が5mm以上、好ましくは6mm以上、
本例では6mmであって、溝深さを5mm以上、本例では7
mmとしており、前記中央リブ17Aのリブ巾を20mmと
するように配置している。
【0092】又この広巾主溝20と、トレッド端Nとの
間の陸部に、本例では4本のサイピング15…を配する
ことにより、リブ17B〜17Eを形成し、このうち、
リブ17Dにタイヤの接地端Sが位置しうるように構成
される。つまり、直進走行時、17A〜17Dが接地
し、これらの各リブ17…は、タイヤ軸方向外側に向か
うにつれてその巾を小として前記式(1)を満足するよ
うに設定される。
【0093】なお、リブ17Eは、本明細書において定
義する負荷状態では接地しないため、リブ巾を比較的大
とし、コーナリング時のトレッド剛性を確保するのに役
立ちうるように構成しているが、前記式(1)を充足す
るようにリブ巾を設定するのは差し支えない。
【0094】さらに前記横溝21は、前記リブ17B、
17C間では溝巾を3mmとし、リブ17Dからトレッド
端Nまでの間では溝巾を6mmに広げて排水性を向上しう
るとともに、溝深さは全て6mmとして均一深さとしてい
る。又この横溝21の配設ピッチは本例では38mmとし
ている。
【0095】
【実施例】タイヤサイズが215/45R16に、リム
サイズが16×7 1/2である図1に示すタイヤを表1の
仕様にて複数種試作するとともに、各種のテストを行
い、本発明の効果を確認した。なお、実施例1〜3は本
発明タイヤであり、実施例1、2は図11のトレツドパ
ターン、同実施例3は図12のトレッドパターンであ
る。又比較例1、2は、ともに本発明の構成外としたも
のである。
【0096】又テスト車両は、2000ccの前輪駆動
車でタイヤ空気圧を2.0kg/cm 2 として四輪に装着
し、以下のテストを行った。
【0097】イ)偏摩耗テスト 一般道及び高速道を法定速度で1万km走行し、各リブ
の中間点の摩耗量を測定するとともに、最大摩耗したリ
ブの摩耗量Mdを、最小摩耗したリブの摩耗量Sdで割
った比(Md/Sd)で表示している。したがって、前
記比が1.0に近い程、偏摩耗がなく優れている。
【0098】ロ)操縦安定性テスト 乾燥アスファルト路面のテストコースを走行させ、ドラ
イバーの官能により10点法で評価した。数値が大きい
程良好である。テストの結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】テストの結果から明らかなように、本発明
のタイヤは、上述のようなタイヤ外面形状を採用したに
も拘わらず、偏摩耗を抑制でき、しかも操縦安定性能の
低下などを防止しうることが確認できた。
【0101】
【発明の効果】このように本発明のタイヤは、トレッド
断面形状を前記の如く特定したことにより、路面との接
地形状が、直進時ではほぼ縦長の楕円状をなし、これが
コーナリング初期、コーナリング中へと向かうにつれて
潜在的接地領域が接地することにより、接地面積を同等
ないしは増大し、かつ直進時と同様の縦長楕円形状を保
持することにより、大きな横力をバランス良く受けうる
結果、コーナリング時の限界を著しく高めることができ
る。
【0102】又、前記トレッド面に形成され、かつ溝巾
が1mm以下のサイピングに挟まれて接地する全てのリ
ブについて、リブ巾をキャンバー量との関係において一
定値に規制した結果、操縦安定性を損なうことなくタイ
ヤ接地時の横応力を減じ、偏摩耗を抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す断面図である。
【図2】その空気入りタイヤのブレーカを示す断面図で
ある。
【図3】他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】他の実施の形態を示す断面図である。
【図5】コーナリング中の姿勢を示す断面図である。
【図6】(A)〜(C)は、フットプリントを示す線図
である。
【図7】横応力を説明するタイヤ接地領域を路面側から
見た線図である。
【図8】キャンバー量、リブ巾、横応力の関係を示すグ
ラフである。
【図9】横応力を測定する実施例を示す断面図である。
【図10】キャンバー量と横応力との関係を示すグラフ
である。
【図11】本発明に採用しうるトレッドパターンの展開
図である。
【図12】本発明に採用しうるトレッドパターンの展開
図である。
【図13】ブレーカに作用する張力を説明する斜視図で
ある。
【図14】従来のタイヤのコーナリング中の姿勢を示す
断面図である。
【図15】(A)〜(C)は、従来のタイヤのフットプ
リントを示す線図である。
【符号の説明】
2 トレッド部 3 サイドウォール部 4 ビード部 5 ビードコア 6 カーカス 7 ブレーカ 15 サイピング 16 リブ J ホイールリム 2A トレッド面 C タイヤ赤道面 N トレッド端 S タイヤの接地端 SW タイヤ最大断面巾 SH タイヤ断面高さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B60C 11/04 7504−3B B60C 11/06 B 11/113 7504−3B 11/08 D

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部からサイドウォール部を通りビ
    ード部のビードコアの廻りを折り返して係止されるカー
    カスプライからなるカーカスと、トレッド部においてカ
    ーカスの半径方向外側に配されるブレーカとを具えた空
    気入りタイヤであって、 ホイールリムに装着されかつ正規内圧を充填した正規状
    態において、前記トレッド部の外表面であるトレッド面
    は、 タイヤ子午線断面における曲率半径RCが、タイヤ赤道
    面Cからトレッド端までの距離の20%の距離SPを、
    タイヤ赤道面Cとタイヤ軸方向に隔てる点Pからタイヤ
    軸方向外側に向かって徐々に減少するとともに、 前記トレッド面に、溝巾が1mm以下のサイピングを配
    してこのサイピング間にリブを形成し、かつ前記正規状
    態に正規荷重の80%の荷重を負荷させた負荷状態にお
    いて路面と接地しうる全ての前記リブは、リブ巾Rw
    (mm)と、このリブ巾の中間点からタイヤ赤道点との
    間の半径方向距離であるキャンバー量Lc(mm)とが
    下記式(1) √(Rw)・Lc≦15 …(1) を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】前記トレッド端は、タイヤ軸方向のタイヤ
    最大断面巾点であることを特徴とする請求項1記載の空
    気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】前記トレッド面の曲率半径RCは、前記点
    Pからタイヤ軸方向外側に向かって一定の割合で減少す
    ることを特徴とする請求項1乃至2記載の空気入りタイ
    ヤ。
  4. 【請求項4】前記トレッド面は、タイヤ赤道面Cとトレ
    ッド面との交点であるトレッド赤道点から半径方向内方
    に距離を隔てタイヤ赤道面C上に原点を有する極座標
    (R、θ)の点PTの下記(2)式(但しθはπ/2ラ
    ジアンから0までの範囲で減少し、SWはタイヤ最大断
    面巾をmm単位で表す値)を満たす軌跡として定義される
    曲線を基準曲線として、距離Rの前記基準曲線からのず
    れ量の許容範囲ALが4%以下の領域を通る修正曲線か
    らなる請求項1乃至3記載の空気入りタイヤ。 R=(92.46304+50.02951×θ−109.1216×θ2 +43.74487×θ3 +7.385639×θ4 −4.776894 ×θ5 )×(SW/194) …(2)
  5. 【請求項5】前記許容範囲ALは、2%以下でありかつ
    修正曲線はθがπ/2のときの{70.63044×
    (SW/194)}mmの距離の前記トレッド赤道点と、
    θが0のときの{92.46304×(SW/19
    4)}mmの原点高さ相当点とを通ることを特徴とする請
    求項4記載の空気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】前記トレッド面は、タイヤ赤道面Cとトレ
    ッド面との交点であるトレッド赤道点から半径方向内方
    に距離を隔てタイヤ赤道面C上に原点を有する極座標
    (R、θ)の点PTの下記(2)式(但しθはπ/2ラ
    ジアンから0までの範囲で減少し、SWはタイヤ最大断
    面巾をmm単位で表す値)を満たす軌跡として定義される
    曲線であることを特徴とする請求項1乃至3記載の空気
    入りタイヤ。 R=(92.46304+50.02951×θ−109.1216×θ2 +43.74487×θ3 +7.385639×θ4 −4.776894 ×θ5 )×(SW/194) …(2)
  7. 【請求項7】前記極座標(R、θ)は、前記トレッド赤
    道点から半径方向内方に{70.63044×(SW/
    194)}mmの距離を隔てたタイヤ赤道面C上に原点を
    有することを特徴とする請求項6記載の空気入りタイ
    ヤ。
  8. 【請求項8】前記トレッド部は、トレッド端のビードベ
    ースからの半径方向の高さが、トレッド赤道点のビード
    ベースからの半径方向の高さであるタイヤ断面高さSH
    の25〜50%であることを特徴とする請求項1乃至7
    記載の空気入りタイヤ。
  9. 【請求項9】前記トレッド部は、トレッド赤道点からト
    レッド端までの半径方向の距離THと、タイヤ最大断面
    巾SWとの比TH/SWが、0.15〜0.3であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至8記載の空気入りタイヤ。
  10. 【請求項10】前記タイヤ最大断面巾SWは、前記タイ
    ヤ断面高さSHに対するアスペクト比(SH/SW)
    が、Gをタイヤが装着されるホイールリムのフランジの
    高さとするとき、(G/SW)+0.38015とほぼ
    等しいことを特徴とする請求項1乃至9記載の空気入り
    タイヤ。
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