JP2019000903A - 鋼の溶製方法及び連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズル閉塞の発生を抑制することができる、鋼の溶製方法及び連続鋳造方法を提供すること。【解決手段】脱炭精錬処理を施した溶鋼に対して、取鍋精錬処理を施した後、脱ガス処理を施すことで2次精錬処理を行う鋼の溶製方法であって、取鍋精錬処理では、スラグ中のAl2O3濃度(mass%)に対するCaO濃度(mass%)の比であるCaO/Al2O3が、1.7以上2.3以下となるように、スラグの成分調整を行う。【選択図】なし

Description

本発明は、鋼の溶製方法及び連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造時には、2次精錬処理で生成された脱酸生成物である介在物により、タンディッシュの上ノズルや、スライディングノズルプレート、浸漬ノズルの内部が狭小化または閉塞した状態である、ノズル閉塞が発生する。ノズル閉塞は、タンディッシュの上ノズルや、スライディングプレート、浸漬ノズルに介在物が付着することで発生するものであり、鋳造速度の低下や連々鋳切れによる生産性の低下を招く。
ノズル閉塞を防止するため、これまで、タンディッシュの大型化や、タンディッシュへの堰の設置、タンディッシュに組み込まれたノズル(上ノズルやスライディングノズルプレート)からの不活性ガスの吹込み等が行われてきた(例えば、特許文献1)。
特開2002−239692号公報
しかしながら、タンディッシュの大型化や堰の設置は、大掛かりな設備改造が必要となるため、既存の設備に適用することが困難であった。
また、タンディッシュに組み込まれたノズルからの不活性ガスの吹込みは、既存の設備に対しても適用が容易な技術であり、一定の効果があることから、ほぼ全ての連続鋳造機で導入されている。しかしながら、ノズルからの不活性ガスの吹込みを行う方法においても、ノズル閉塞の発生を十分に抑制することはできず、特に2次精錬処理で取鍋精錬処理を行う場合では、ノズル閉塞が発生し易いことが問題であった。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、ノズル閉塞の発生を抑制することができる、鋼の溶製方法及び連続鋳造方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、脱炭精錬処理を施した溶鋼に対して、取鍋精錬処理を施した後、脱ガス処理を施すことで2次精錬処理を行う鋼の溶製方法であって、上記取鍋精錬処理では、スラグ中のAl濃度(mass%)に対するCaO濃度(mass%)の比であるCaO/Alが、1.7以上2.3以下となるように、上記スラグの成分調整を行うこととする鋼の溶製方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の鋼の溶製方法を用いて2次精錬処理を施した溶鋼を、連続鋳造機で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、ノズル閉塞の発生を抑制することができる、鋼の溶製方法及び連続鋳造方法が提供される。
タンディッシュに設けられるノズルの内面に介在物が付着した状態を示す部分断面図である。 CaO/AlとSN開度変化量との関係を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<鋼の溶製方法及び連続鋳造方法>
本発明の一実施形態に係る鋼の溶製方法及び連続鋳造方法について説明する。本実施形態では、S濃度が0.003mass%以下の鋼種である低硫鋼を溶製及び連続鋳造する。また、溶製及び連続鋳造する鋼(溶鋼)は、厚板材または薄板材として用いられる汎用的な鋼種である一般鋼であり、高い清浄度が求められる鋼種である高清浄度鋼(軸受鋼や肌焼鋼、バネ鋼、缶材等)とは異なる。
本実施形態に係る鋼の溶製方法では、転炉にて脱炭精錬処理を施した溶鋼に対して、2次精錬処理として、取鍋精錬処理及び脱ガス処理を施すことで、目標とする成分及び組成の溶鋼を溶製する。転炉で行われる脱炭精錬処理は、1次精錬ともいい、C濃度の高い溶銑に、上吹きランスや底吹きノズルを介して、主に酸素ガスからなる酸素源を溶銑に吹き込むことで酸化精錬を行い、C濃度の低い溶鋼を溶製するものである。なお、脱炭精錬処理では、脱炭処理とともに、CaO等を含む媒溶剤を添加して酸化精錬を行うことで、溶鉄中のP濃度を低減させる脱燐処理が行われてもよい。
また、脱炭精錬処理が行われた後、転炉から取鍋へと溶鋼を移注(「出鋼」ともいう。)する際に、溶鋼にAlやSi等の還元成分を含む副原料である脱酸剤を添加し、溶鋼の酸素濃度を低減させる脱酸処理が行われる。脱酸剤としては、例えば、金属AlやFeSi等が用いられる。脱酸処理では、出鋼後の溶鋼の酸素濃度を、10massppm以下とすることが好ましい。
2次精錬処理では、はじめに、脱炭精錬処理が施された溶鋼に対して、取鍋精錬処理装置を用いて、主に溶鋼の脱硫処理及び昇熱処理を行う、取鍋精錬処理を施す。
本実施形態で行われる取鍋精錬処理の方法は、LF(Ladle Furnace)法であり、用いられる取鍋精錬処理装置をLF設備ともいう。LF法では、取鍋に収容された溶鋼に対して、取鍋の底部から撹拌用のガス(例えば、Arガス等の不活性ガス)を吹込むことで溶鋼を撹拌させ、取鍋の上方に配された3本の電極を用いてアーク加熱を行うことで溶鋼の昇熱処理を行う。また、LF法では、取鍋内の溶鋼に、各種の副原料や媒溶剤を添加することで、溶鋼や溶鋼浴面に形成されるスラグの成分調整を行う。特に、LF法では、溶鋼のS濃度を調整する(低減させる)ため、強塩基性のスラグを用いて、スラグとメタルとを反応させること(「スラグ精錬」ともいう。)で、脱硫反応を促進させる脱硫処理が行われる。
媒溶剤は、スラグを形成する化合物や混合物であり、CaOやSiO、Al、MgO等の酸化物を含む。LF法では、このような媒溶剤を主に調整して添加することで、スラグの成分を調整する。なお、CaOを含む媒溶剤としては、石灰やドロマイド等を用いることができ、Alを含む媒溶剤としては、ボーキサイトやプリメルトのカルシウムアルミネート等を用いることができる。
副原料は、溶鋼の成分を調整する単体の物質や化合物、混合物であり、調整する成分(例えば、C,Si,Mn,Al,Cr等)を含むものである。また、溶鋼の脱酸を目的に用いられる、AlやSi等の還元成分を含む脱酸剤(例えば、金属AlやFeSi等)も副原料に含まれる。
取鍋精錬処理では、まず、取鍋の底部から吹き込まれる攪拌用のガスにより溶鋼を撹拌させながら、電極を用いてアーク加熱をすることでスラグ及び溶鋼を昇熱処理する、造滓工程を行う。また、造滓工程では、処理前のスラグ厚みの測定結果から転炉からのスラグ流出量を算出し、スラグ中のAl濃度(mass%)に対するCaO濃度(mass%)の比であるCaO/Alが、1.7以上2.3以下となるような、初期の媒溶剤添加量を決定する。その後、昇熱処理を10分程度実施した後、スラグを採取し、迅速に(3分以内に)その成分分析を行う。この際、成分分析を迅速に行うため、簡易的な迅速分析機を使用して、成分分析が行われてもよい。そして、成分分析の結果からスラグ組成を微調整するための媒溶剤を添加し、スラグの成分調整を行う。CaO/Alを上記範囲とすることで、後述のようにCaの溶出を抑えることができるようになるため、連続鋳造時におけるノズル閉塞を防止することができる。なお、溶鋼の酸素濃度が高い場合には、還元処理ができるように、媒溶剤の添加とともに、副原料である脱酸剤が添加されてもよい。この場合、添加された脱酸剤は、溶鋼の酸素と反応し酸化物となりスラグを形成するため、スラグの成分調整に脱酸剤の添加量が考慮されてもよい。
また、スラグを成分調整する際には、CaO/Alの条件に加え、スラグの各成分が下記の範囲となることが好ましい。CaO、SiO及びAlを下記の範囲とすることで、CaO濃度に対するSiO濃度の比である塩基度が高く、且つ溶融性に優れたスラグを形成することができるため、脱硫効率の高くすることができる。また、MgO濃度を上記範囲とすることで、媒溶剤としてMgOを含有する、安価なレンガ屑等を用いることができるため、溶製に掛かるコストを低減することができる。
CaO:40mass%以上、65mass%以下
SiO:5mass%以上、15mass%以下
Al:20mass%以上、36mass%以下
MgO:3mass%以上、15mass%以下
取鍋精錬処理における造滓工程は、スラグの成分調整及び滓化が行われることで終了する。なお、スラグから溶鋼へのCaの溶出を抑えるため、造滓工程、つまりスラグの成分調整に掛かる時間をできるだけ短くすることが好ましい。本実施形態では、処理前のスラグ厚みの測定結果から転炉からのスラグ流出量を算出し、スラグ中のAl濃度(mass%)に対するCaO濃度(mass%)の比であるCaO/Alが、1.7以上2.3以下となるように、初期の媒溶剤添加量を決定し、昇熱処理を実施する。これにより、昇熱処理を開始してから15分以内にスラグの成分調整(昇熱処理を開始してから、成分分析を行い、微調整のための媒溶剤を添加するまでの工程)が完了する。また、本実施形態では、造滓工程の前に、取鍋内のスラグを除去する除滓を行わなくてもよい。これは、本実施形態で溶製する鋼種は一般鋼であり、成分や介在物等の品質上の観点から、厳格なスラグ改質を求められる高清浄度鋼とは異なるためである。
造滓工程の後、溶鋼を脱硫処理し、溶鋼のS濃度を0.003mass%以下の目標上限値以下まで低減させる、脱硫工程を行う。脱硫工程では、取鍋の底部から吹き込まれる攪拌用のガスにより溶鋼を撹拌させることで、スラグと溶鋼とを反応させて脱硫反応を促進させる。この際、電極を用いてアーク加熱を行い、溶鋼を昇熱させながら脱硫処理を行ってもよい。
脱硫工程では、下記(1)式で示される撹拌動力εを、50W/t以上とすることが好ましく、本実施形態では50W/t以上250W/t以下とする。また、本実施形態では、上記の撹拌動力ε条件で脱硫処理を20分以上行う。なお、(1)式において、Qは吹き込みガス流量(Nm/min)、Tは溶鋼温度(K)、Tは底吹きガスの温度(K)、hは溶鋼の浴面から撹拌ガスを吹き込む位置までの高さである吹き込み深さ(m)、Wは溶鋼量(t)、Pは雰囲気圧力(Pa)である。本実施形態では、溶鋼温度Tを1900K、底吹きガスの温度Tを300K、吹き込み深さhを2.6m、溶鋼量Wを295t、雰囲気圧力Pを101.3kPaとする。脱硫工程における撹拌動力εを50W/t以上とすることで、スラグと溶鋼との反応が促進され、効率よく脱硫処理を行うことができる。
Figure 2019000903
また、脱硫工程では、必要に応じて副原料である脱酸剤を添加しながら脱硫処理を行ってもよい。溶鋼やスラグの酸素ポテンシャルが高い場合には、脱硫反応が阻害されてしまうため、このような場合には脱酸剤を添加することで、脱硫効率を向上させることができる。なお、添加された脱酸剤は、溶鋼の酸素と反応し酸化物を形成しスラグとなるため、スラグの成分が造滓工程における許容範囲内となるように、用いられる脱酸剤の種類や量の調整または追加での媒溶剤の添加が行われてもよい。
そして、溶鋼のS濃度及び温度が目標となることで、脱硫工程が終了し、取鍋精錬処理が終了する。なお、取鍋精錬処理では、溶鋼の目標成分に応じて、副原料を溶鋼に添加し、合金成分等の調整を行ってもよい。
2次精錬処理では、取鍋精錬処理の後、真空脱ガス装置を用いて、溶鋼の成分及び温度の調整を行う脱ガス処理を行う。
本実施形態で行われる脱ガス処理の方法は、RH方式の真空脱ガス法であり、RH方式の真空脱ガス装置を用いて行われる。RH方式の真空脱ガス法では、真空槽の下部に設けられた1対の浸漬管を取鍋内の溶鋼に浸漬させ、真空槽内を減圧させた状態で一方の浸漬管からArガス等の環流ガスを吹き込むことで溶鋼を環流処理する。これにより、溶鋼中のガス成分や介在物が浮上分離されて、溶鋼の成分調整が行われる。また、脱ガス処理では、真空槽内に各種副原料を投入することで、ガス成分以外の各成分の調整が行われる。
さらに、本実施形態の脱ガス処理では、目標の処理終了時の温度に応じて、溶鋼の昇熱処理が行われてもよい。溶鋼の昇熱処理では、真空槽内に設けられた上吹きランスから酸素ガスを真空槽内の溶鋼に噴射し、溶鋼の酸素濃度を上げた状態で、真空槽内の溶鋼にAl等の脱酸剤を添加する。これにより、脱酸剤の酸化反応熱によって、溶鋼の温度を上昇させることができる。このような昇熱処理は、一般的に溶鋼の清浄度がある程度低下するため、清浄度の厳格な鋼種ではできないものとなる。しかし、本実施形態では、溶製する対象鋼種が、汎用的な鋼種であるため、昇熱処理による程度の清浄度の悪化が問題とはならない。
そして、溶鋼が目標の成分組成及び温度となることで脱ガス処理が終了し、2次精錬処理が終了する。なお、脱ガス処理の条件は、一般鋼に適用される慣用的な条件でよく、例えば、120t/min以上200t/min以下の環流量で20分以上処理を行う条件であってもよい。
さらに、本実施形態では、転炉での出鋼以降の2次精錬処理において、溶鋼に添加される副原料(出鋼時の取鍋内への副原料を含む)に含まれるCaの総量を、溶鋼1t当たりに対して、0.02kg以下とすることが好ましい。これにより、後述するように、CaO・Al系の介在物の生成を抑えることができ、ノズル詰まりをさらに低減することができるようになる。
2次精錬処理の後、溶製された溶鋼を連続鋳造機にて連続鋳造することで、スラブ等の鋳片が製造される。連続鋳造では、一般的に取鍋に収容された溶鋼を、中間容器であるタンディッシュに移注し、さらにタンディッシュから鋳型へと移注する。そして、鋳型へと移注された溶鋼は、徐々に冷却凝固されながら連続鋳造機内の鋳造方向に引き抜かれることで、所定の形状の鋳片となる。このような連続鋳造では、溶鋼が排出されるタンディッシュのノズルやこのノズルに接続される浸漬ノズル等の内部に、介在物が付着することで、これらのノズルの内部が閉塞または狭小化するノズル閉塞が問題となる。
図1には、タンディッシュのノズル内に介在物が付着し、ノズル閉塞が発生した状態を示す。図1に示すように、タンディッシュには、上ノズル1と、固定プレート2と、スライドプレート3と、コレクターノズル4と、浸漬ノズル5とが設けられる。上ノズル1は、タンディッシュ内の耐火物に固定して設けられ、溶鋼の排出方向下流側(図1の下側)に固定プレート2が固定される。スライドプレート3は、一方向(図1の左右方向)に摺動可能なように、固定プレートに設けられる。固定プレート2及びスライドプレート3には、中央に円形の孔がそれぞれ形成される。コレクターノズル4は、スライドプレート3に固定して設けられ、溶鋼の排出方向下流側に浸漬ノズル5が固定される。浸漬ノズル5は、溶鋼の排出方向下流側に少なくとも一つの吐出口(不図示)を有し、吐出口を含む排出方向下流側が鋳型内に配される。なお、上ノズル1、固定プレート2、スライドプレート3、コレクターノズル4及び浸漬ノズル5を総称して、ノズルという。連続鋳造では、タンディッシュ内の溶鋼が、このノズル内を通じて鋳型内へと排出される。そして、スライドプレート3を摺動させて、固定プレート2とスライドプレート3との孔の重なり(SN開度)を調整することで、ノズル内を流れる溶鋼の流量を調整する。
溶鋼がノズル内を通過すると、図1に示すようにノズルの内面に溶鋼中の介在物6が付着する。そして、このような介在物6は、溶鋼の流れだけでは除去できず、鋳造時間の経過に伴って、溶鋼中の介在物が凝集することで徐々に大きくなる。本発明者らは、ノズルの内面に付着した介在物6を採取し、分析した結果、ノズルのどの位置においてもCaO・Al系の介在物が存在することを確認した。そして、本発明者らは、スラグ中のCaOとAlとの関係に着目し、CaO/Alがノズル閉塞の発生に影響することを知見し、本発明をするにいたった。
図2に、CaO/AlとSN開度変化量との関係を示す。SN開度変化量は、ノズルの閉塞状態を示すものであり、所定の鋳込み速度にて鋳込み中の最大のSN開度に対する、基準のSN開度(70%)の差分を示す。上述のようにSN開度は、固定プレート2とスライドプレート3との孔の重なり(固定プレート2に対するスライドプレート3の位置)を示す。具体的には、固定プレート2の孔とスライドプレート3の孔とが完全に重なった位置を100%、SN開度が100%の状態からスライドプレート3を摺動させていき孔同士が全く重ならなくなった位置を0%とする。つまり、図2において、SN開度変化量が大きくなるほど、所定速度でのSN開度が基準のSN開度よりも大きくなっていることを示し、ノズル内に付着した介在物6が多いことを示す。
図2に示すように、CaO/Alが2.3より大きくなると、SN開度変化量が大きくなることが分かる。これは、以下の現象によるものと考えられる。CaO/Alが2.3より大きくなり、スラグ中のCaOの活量が高くなることで、溶鋼中にCaが溶出しやすくなる。スラグ中のCaの溶鋼への溶出は、下記(2)式で示される。なお、(2)式において、(CaO)はスラグ中のCaO、[Al]は溶鋼中のAl、[Ca]は溶鋼中のCa、(Al)はスラグ中のAlをそれぞれ示す。
3(CaO)+2[Al]→3[Ca]+(Al) ・・・(2)
そして、溶鋼中に溶出したCaと溶鋼中のAlとが酸化還元反応することで、CaO・2Al等のノズル内に付着しやすく高融点のCaO・Al系の介在物が生成されることでノズル閉塞が発生することとなる。CaO・2Alの生成は、下記(3)式で示される。なお、(3)式において、[O]は溶鋼中のOを示す。
[Ca]+[O]+2(Al)→CaO・2Al ・・・(3)
さらに、2次精錬処理にて脱硫処理のために取鍋精錬処理を行う場合、スラグ中のCaOの活量が高くなることから、このような傾向が顕著となる。
一方、CaO/Alが1.7未満となる場合、Alが多く存在することとなり、スラグに吸収されきれずに溶鋼中に介在物として存在するAlの量が多くなる。介在物のAlは、ノズルのC成分と反応するため、ノズルの濡れ性を悪くする。このため、溶鋼中のAlが多くなることで、ノズルに介在物が付着しやすくなる。
つまり、取鍋精錬処理にてスラグ中のCaO/Alを1.7以上2.3以下とすることで、ノズル内への介在物6の付着を抑制することができ、ノズル閉塞の発生を抑制することができるようになる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、対象の鋼種をS濃度が0.003mass%以下の低硫鋼としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、対象の鋼種は、合金添加量が多く、熱補償のために2次精錬にて取鍋精錬処理を行う高合金鋼等の鋼種であってもよい。
また、本発明では、溶鋼を転炉から出鋼する際に、出鋼時あるいは出鋼前の取鍋内に、媒溶剤である石灰を添加してもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る鋼の溶製方法は、脱炭精錬処理を施した溶鋼に対して、取鍋精錬処理を施した後、脱ガス処理を施すことで2次精錬処理を行う鋼の溶製方法であって、取鍋精錬処理では、スラグ中のAl濃度(mass%)に対するCaO濃度(mass%)の比であるCaO/Alが、1.7以上2.3以下となるように、スラグの成分調整を行う。
上記(1)の構成によれば、スラグから溶鋼へのCaの溶出を抑えることができ、CaO・Al系の介在物の生成を抑制することができる。また、溶鋼中のAlを低減することができるため、Alによるノズル内面の濡れ性の悪化を抑制することができる。このため、ノズル閉塞の発生を抑制することができる。さらに、ノズル閉塞を抑制するに当たり、タンディッシュの大型化や堰の設置等の大掛かりな設備改造を必要としないため、既存の設備においても容易に適用することができる。
(2)上記(1)の構成において、2次精錬処理にて精錬される溶鋼は、S濃度の上限が0.003mass%以下の鋼種である。
上記(2)の構成によれば、ノズル閉塞が発生しやすい、脱硫処理のために取鍋精錬処理を行う低硫鋼において、ノズル閉塞の発生を抑制することができる。
(3)上記(1)または(2)の構成において、取鍋精錬処理では、調整されるスラグ中のMgO濃度を、3mass%以上15mass%以下とする。
上記(3)の構成によれば、媒溶剤としてMgOを含有する、安価なレンガ屑等を用いることができるため、溶製に掛かるコストを低減することができる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、2次精錬処理では、添加する副原料に含まれるCaの総量を、溶鋼1t当たりに対して0.02kg以下とする。
ここで、溶鋼のCa濃度が7ppm超となる場合、(3)式の反応が促進し、ノズルの閉塞が発生する可能性がある。しかし、上記(4)の構成によれば、副原料による溶鋼中のCa濃度の上昇を抑えることができるため、溶鋼のCa濃度を7ppm以下にすることができ、ノズル閉塞の発生をより抑制することができる。
(5)本発明の一態様に係る鋼の連続鋳造方法は、上記(1)〜(4)のいずれかの構成の鋼の溶製方法を用いて2次精錬処理を施した溶鋼を、連続鋳造機で連続鋳造する。
上記(5)の構成によれば、連続鋳造を行う際に、ノズル閉塞の発生を抑制することができ、鋳造速度の低下や連々鋳切れによる生産性の低下を抑えることができる。
1 上ノズル
2 固定プレート
3 スライドプレート
4 コレクターノズル
5 浸漬ノズル

Claims (5)

  1. 脱炭精錬処理を施した溶鋼に対して、取鍋精錬処理を施した後、脱ガス処理を施すことで2次精錬処理を行う鋼の溶製方法であって、
    前記取鍋精錬処理では、スラグ中のAl濃度(mass%)に対するCaO濃度(mass%)の比であるCaO/Alが、1.7以上2.3以下となるように、前記スラグの成分調整を行うこととする鋼の溶製方法。
  2. 前記2次精錬処理にて精錬される溶鋼は、S濃度の上限が0.003mass%以下の鋼種であることを特徴とする請求項1に記載の鋼の溶製方法。
  3. 前記取鍋精錬処理では、調整される前記スラグ中のMgO濃度を、3mass%以上15mass%以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼の溶製方法。
  4. 前記2次精錬処理では、添加する副原料に含まれるCaの総量を、前記溶鋼1t当たりに対して0.02kg以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼の溶製方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼の溶製方法を用いて2次精錬処理を施した溶鋼を、連続鋳造機で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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