JP2018524286A - 動物脳抽出物を調製するためのプロセス - Google Patents

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Abstract

本発明は動物脳抽出物を調製するためのプロセスに言及する。これはまた、前記プロセスにより得ることができる脳抽出物および、特に、中枢神経系の神経変性疾患および障害の防止および/または治療のための医薬としてのその使用に言及する。この抽出物を含む組成物およびこれらの組成物を調製するためのその使用にも言及する。

Description

本発明は、生物学的材料からの抽出物の調製、ならびに中枢神経系の神経変性疾患および障害の防止および/または治療におけるその使用の分野に属する。
[技術的現状]
神経変性疾患は、神経系に影響を与える原因不明の疾患の群であり、それらの共通の特徴は症状の進行性の経過であり、神経系の1つまたは複数の部分の徐々の崩壊を反映する。人々に影響を与える神経変性疾患の中には、アルツハイマ病、フリードライヒ運動失調症、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、パーキンソン病、ハンチントン病、または脳卒中が含まれる。
神経変性疾患は病因学的治療を有さず、治療介入は場合によっては症候性であり、それらの全てにおいて対症的である。それらは、能力障害、ならびにそれらの患者の間、および彼等の家族の間で高い身体的および心理的苦しみを引き起こす。
社会経済的影響は重要であり、というのも、疾患過程それ自体に、心理的影響、生活の質の損失、就労不能、社会能力の損失、これらの患者の介護者の肉体的・精神的負担および全てのこれらの人々の社会的介護およびヘルスケアに関与する高い経済コストが付加されるに違いないからである。
そのような疾患を防止および/または治療するためのいくつかの薬物が先行技術において記載されている。例えば、アルツハイマ病の軽度から中程度の症状の治療では、ガランタミン、リバスチグミンおよびドネペジルなどのコレステラーゼ(cholesterase)阻害剤が使用され、この疾患の中程度から重度の症状の治療では、メマンチンが使用され、これは、N−メチル−D−アスパラギン酸のアンタゴニストである。これらの薬物療法は、眩暈、頭痛、便秘、悪心、嘔吐、体重減少、または筋力低下などの副作用を引き起こす可能性がある。
神経変性疾患を防止および/または治療するため、または神経系の健康をサポートするために、アジュバントとして神経成分を含む栄養補助組成物および食事組成物の使用が記載されている。神経成分の中には、例えば、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)などのグリセロリン脂質、スフィンゴミエリンおよびセラミドなどのスフィンゴリン脂質、ガングリオシド、セレブロシドおよびスルファチドなどのスフィンゴ糖脂質が含まれる。
この関連で、例えば、様々な動物由来の臓器、乳、木の実、穀類または真菌などの生物学的材料から、異なる程度の純度を有するそのような神経成分を、またはそれらの混合物として得るための異なるプロセスが記載されている。
英国特許GB1256755号では、脳ミトコンドリアの抽出物が記載されており、これは、脳障害、とりわけ、意識および脳浮腫の程度に影響するものの治療または防止に好適である。抽出物は、マンニトールおよびEDTAを含み、7.4のpHに調節された水溶液中でホモジナイズされた脳の異なるスピードでの一連の遠心分離により得られる。
日本特許出願JP−A−1016795号では、硫酸アンモニウム水溶液による抽出から調製されたウシ脳抽出物が記載される。このプロセスを用いると、タンパク質、リン脂質およびスフィンゴ脂質画分が得られる。ロシア特許出願RU−A−1994012010号では、ネルボンセレブロシドをブタ脳から抽出するためのプロセスが記載されている。抽出は、アセトンを用いて実施され、濾液は、エタノールを用いて沈殿させられ、最終生成物はアセトンで洗浄することにより精製される。
中国特許出願CN−A−85102590号では、脳ガングリオシドの抽出物を得るためのプロセスが記載されており、この中では、吸着樹脂が、活性生成物を分離するために使用される。中国特許出願CN−A−1522752号では、脳の神経障害を治療するための、この抽出物の使用が開示される。中国特許出願CN−A−1596733号では、ウシまたはブタ脳の抽出物を調製するためのプロセスが記載されており、これは、脳の粉砕、酵素の組み合わせによるその処置、塩酸による加水分解、中和および凍結乾燥を含む。記載によれば、この抽出物は、身体の栄養状態および脳機能の制御を改善するのに好適である。
中国特許出願CN−A−1771992号では、ポリペプチド、リジン、グルタミン酸、および糖を含む、哺乳類の脳の抽出物が開示される。記載によれば、抽出物は、脳代謝を制御および改善する、ならびに、血管疾患を治療するのに好適である。スペイン特許ES540861号では、ガングリオシドを抽出するための方法が記載されており、これは、ブタ、ウシまたはヒツジ動物の脳をメタノールおよび水の溶液中で、界面活性剤の存在下でホモジナイズすること、カラムを通す精製、および抽出物のカラムを通した最終脱塩を含む。
国際特許出願WO−A−2010/007620号では、ペプチドおよび少なくとも5000Daの分子量を有するタンパク質の混合物を含むブタ脳抽出物が記載されている。筋肉細胞およびニューロンの低酸素およびアポトーシスに対する防御物としてのその使用もまた記載されている。論文Jittiwat et al., Porcine Brain Extract Attenuates Memory Impairments Induced by Focal Cerebral Ischemia, Am. J. Applied Sci., 2009, 6(9), 1662−1668において、アミノ酸アスパラギン酸およびグルタミン酸の混合物を含むブタ脳抽出物、および神経保護剤としてのその使用が記載されておいる。論文Thukham−Mee et al., Neuroprotective Effect against Alzheimer’s Disease of Porcine Brain Extract, Am. J. Applied Sci., 2012, 9(5), 700−708において、アルツハイマ病および加齢による他の認知障害に対する健康補助食品またはアジュバントとしての同じ抽出物の使用が開示される。
国際特許出願WO−A−2006/114790号において、脳とは異なる材料から得られた、極性脂質混合物が開示される。これらの混合物は、PC、PE、PS、PI、およびスフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質を含み、補助食品としてのその使用が記載されている。
欧州特許出願EP−A−2309854号では、高純度スフィンゴミエリンを調製するためのプロセスが記載されており、これはスフィンゴミエリンを含む不溶性画分を得るための、生物学的材料からの脂肪族炭化水素および水溶性ケトンの混合物を用いた総脂質画分の抽出を含み、スフィンゴミエリンを含む不溶性画分はホスホリパーゼを用いた処理により精製される。
異なる自然源、植物および動物の両方から得られる脂質抽出物もまた市販されている。
アバンティ・ポーラ・リピッド社(Avanti Polar Lipids, Inc.)は、数ある生成物の中でも特に、卵、心臓、脳、肝臓、大豆、酵母、および大腸菌由来の様々な天然抽出物を商品化している。それらの中には、完全脂質脳抽出物があり、これは、クロロホルムおよびメタノールの混合物を用いた抽出により得られ、26重量%のPC、10.6重量%のPS、1.6重量%のPI、16.7重量%のPE、2.8重量%のホスファチジン酸、および58.7重量%の未知の化合物を含む。また、脳からの極性脂質の抽出物は、完全脂質抽出物から、アセトンによる沈殿、ジメチルエーテルを用いて得られた沈殿物の抽出により得られる。技術情報によれば、これは、12.6重量%のPC、18.5重量%のPS、33.1重量%のPE、4.1重量%のPI、0.8重量%のホスファチジン酸および30.9重量%の未知の化合物を含む。
英国特許出願公開第1256755号明細書 特開平1−016795号公報 ロシア特許出願公開第1994012010号明細書 中国特許出願公開第85102590号明細書 中国特許出願公開第1522752号明細書 中国特許出願公開第1596733号明細書 中国特許出願公開第1771992号明細書 スペイン特許出願公開第8602834号明細書(スペイン特許出願第19850540861号) 国際特許出願公開第2010/007620号明細書 欧州特許出願公開第2309854号明細書 国際特許出願公開第2006/114790号明細書
Jittiwat et al., Porcine Brain Extract Attenuates Memory Impairments Induced by Focal Cerebral Ischemia, Am. J. Applied Sci., 2009, 6(9), 1662−1668 Thukham−Mee et al., Neuroprotective Effect against Alzheimer’s Disease of Porcine Brain Extract, Am. J. Applied Sci., 2012, 9(5), 700−708
先行技術で開示される解決策にもかかわらず、神経変性疾患の防止および/または治療において使用され、神経系の健康をサポートする神経成分の特定の組み合わせを有する抽出物を調製するための、工業規模で容易に実行可能な、新しいプロセスを提供することが依然として必要である。
[発明の目的]
発明の目的は動物脳抽出物を調製するためのプロセスである。
発明の別の態様は、前記プロセスにより得ることができる脳抽出物である。
発明の別の態様は、この抽出物を含む組成物である。
発明の別の態様は、薬剤として使用するためのこの抽出物である。
発明の別の態様は、組成物の調製のためのこの抽出物の使用である。
発明のプロセスの好ましい実施形態のスキームを示す。 実施例3Aの表Vにおいて示されるY−迷路試験における自発的交替行動に対応する結果を示す。この試験を用いて、空間作業記憶を評価する。横軸には処置群が表され、縦軸には、交替行動平均値のパーセンテージが表される(***p<0.001対ビヒクルおよびSc.Aβで処置した対照群、###p<0.001対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群、ダネット検定)。 実施例3Aの表VIにおいて示されるY−迷路試験における自発的交替行動に対応する結果を示す。この試験を用いて、空間作業記憶を評価する。横軸には処置群が表され、縦軸には、ビヒクルおよびSc.Aβで処置した対照群(群1)に対する、ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群(群2)、発明の抽出物で処置した群(群3)、DHAを含む抽出物で処置した群(群8)、ならびに発明の抽出物およびDHAを含む抽出物で処置した群(群11)についての交替行動のパーセンテージの差の平均値が表される。群2と3の間の差は有意ではないが、群8および11は互いに、かつ他の2つの群に対して、著しく異なっている(**p<0.01対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群、##p<0.01対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群および群8、テューキー検定)。 実施例3Aの表VIIIにおいて示される受動回避試験に対応する結果を示す。この試験を用いて文脈的長期記憶を評価する。横軸には処置群が表され、縦軸には、ステップスルー潜時の平均値が表され、どちらも秒で示される(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対ビヒクルおよびSc.Aβで処置した対照群、p<0.05、###p<0.001対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群、ダネット検定)。 実施例3Aの表VIIIにおいて示される受動回避試験に対応する結果を示す。この試験を用いて文脈的長期記憶を評価する。横軸には処置群が表され、縦軸には、逃避潜時の平均値が表され、どちらも秒で示される(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対ビヒクルおよびSc.Aβで処置した対照群、p<0.05、###p<0.001対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群、ダネット検定)。 実施例3Aの表IXにおいて示される脂質過酸化アッセイに対応する結果を示す。縦軸には、処置群が表され、横軸にはCHP当量/湿組織重量(ECHP)の平均値が表される(**p<0.01、***p<0.001対ビヒクルおよびSc.Aβで処置した対照群、##p<0.01、###p<0.001対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群、ダネット検定)。 実施例3Bの表XIにおいて示される炎症性サイトカインアッセイに対応する結果を示す。縦軸には、処置群が表され、横軸には、サイトカインIL1βについてのpg/mlで表される平均値が表される(***p<0.001対ビヒクルおよびSc.Aβで処置した対照群、##p<0.01、###p<0.001対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群、ダネット検定)。対照群1の結果をベース100とし、他の群は、これを参照する。 実施例3Bの表XIにおいて示される炎症性サイトカインアッセイに対応する結果を示す。縦軸には、処置群が表され、横軸には、IL6についてのpg/mlで表される平均値が表される(***p<0.001対ビヒクルおよびSc.Aβで処置した対照群、##p<0.01、###p<0.001対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群、ダネット検定)。対照群1の結果をベース100とし、他の群は、これを参照する。 実施例3Bの表XIにおいて示される炎症性サイトカインアッセイに対応する結果を示す。縦軸には、処置群が表され、横軸には、TNFαについてのpg/mlで表される平均値が表される(***p<0.001対ビヒクルおよびSc.Aβで処置した対照群、##p<0.01、###p<0.001対ビヒクルおよびAβ25−35で処置した群、ダネット検定)。対照群1の結果をベース100とし、他の群は、これを参照する。
本発明の目的は、
1)ミンチにされた脳をエタノール:水の混合物またはクロロホルム:メタノールの混合物による抽出に供し、L1と呼ばれる液体画分を分離する工程と、
2)液体画分L1の溶媒を蒸留し、アセトンで沈殿させ、S2と呼ばれる固体画分を得る工程と、
3)固体画分S2を鹸化させ、鹸化により得られたアセトンに可溶性の生成物を廃棄し、S3と呼ばれる固体画分を得る工程と、
を含む、動物脳抽出物を調製するためのプロセスである。
本発明の著者は、特に、工業的実行のためのその単純さおよび容易さのために傑出している、ブタ動物から、脳抽出物を調製するための新しいプロセスを開発した。この抽出物は、作業記憶および長期記憶の欠損を防止することができるため、中枢神経系の神経変性疾患および障害の防止および/または治療に好適であり、また、脂質過酸化および炎症性サイトカインのレベルを低減させるので、神経保護活性を提供する。
本記載では、ならびに特許請求の範囲では、単数形「1つの(a、an、one)」または「その(the)」は、文脈により明確に別記されない限り、複数の言及を含む。
発明との関連で、「非極性脂質(non−polar lipid)」という用語は、水に不溶性でアセトンに可溶性のそれらの脂質化合物、例えば、例として、コレステロールを示す。
発明との関連で、「複合極性脂質(complex polar lipid)」という用語は、それらの構造に脂肪酸部分とのアミド結合を含む脂質化合物、例えば、例として、スフィンゴミエリン、ガングリオシド、セラミド、およびスルファチドを示す。
発明との関連で、「リン脂質(phospholipid)」という用語は、それらの構造にリン酸化グリセリンおよびエステル基により連結された脂肪酸部分を含むそれらの脂質化合物、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミンを示す。
[プロセス]
動物脳抽出物を調製するための発明のプロセスは単純なプロセスであり、以下で記載されるように、顕著な神経保護特性を与える、特定のプロファイルの複合極性脂質を有する抽出物を得ることが可能になる。
発明のプロセスでは、哺乳類由来の、好ましくはブタ、ウシまたはヒツジ源の、より好ましくはブタ源の脳が原料として使用される。
発明のプロセスではミンチにされた脳が使用される。脳は熟練者によく知られた方法により、トリチュレートさせることができる。
(複合極性脂質およびリン脂質の抽出)
発明のプロセスでは、ミンチにされた脳の抽出は、一般に、(v/v)により表される80:20から60:40の間、好ましくは75:25から65:35の間に含まれる、より好ましくは70:30の比の、エタノール:水の混合物を使用することにより実施される。あるいは、抽出は、70:30から60:40の間、より好ましくは68:42から65:45の間に含まれる、より好ましくは66:33の比の、クロロホルム:メタノールの混合物を使用することにより実施される。前記抽出は一般に、撹拌下、40℃から70℃の間、好ましくは50℃から65℃の間、より好ましくは55℃から60℃の間に含まれる温度で、4時間の最低時間の間、好ましくは最低6時間の間、より好ましくは最低8時間の間、実施される。この抽出では、固体残渣は廃棄され、発明のプロセスは、L1と呼ばれる液体画分を用いて続けられる。
エタノール:水またはクロロホルム:メタノールの混合物によるこの抽出プロセスは、数回繰り返すことができる。この場合、複数の抽出からの上澄みがプールされ、その後、プロセスが続けられる。好ましくは、前記抽出は、少なくとも2回実施される。
発明のプロセスは、液体画分L1を用いて続けられる。
(非極性脂質の抽出)
好ましい実施形態では、発明のプロセスは、アセトン、ヘキサン、および超臨界流体、例えば超臨界状態の無水炭酸から選択される溶媒を用いた抽出による、脳の脱脂を行う前工程を含む。好ましくはアセトンが使用される。
前記工程で、脳は脱脂され、その後、エタノール:水またはクロロホルム:メタノールの混合物を用いた抽出が、ミンチにされた脳の上記溶媒の1つを用いた抽出により実施される。そのような抽出により、コレステロールおよび非極性脂質の実質的な除去が可能になる。
発明のプロセスは、好ましくは、ミンチにされた脳を、アセトンによる抽出に供することから構成される工程を含む。そのような抽出後、コレステロールおよび非極性脂質を実質的に含む液体画分が廃棄され、発明のプロセスは、脱脂された固体画分を用いて続けられる。
発明との関連の中で、コレステロールの実質的な除去は、その含量が、ミンチにされ、脱脂された脳の乾燥重量に対し10重量%、好ましくは5重量%、より好ましくは1重量%を超えないことを意味する。
通常、ミンチにされた脳の溶媒による抽出は、液相の含水量が5重量%未満となるまで、数回繰り返される。
ミンチにされ、脱脂された脳は、一般に真空下で、30℃から80℃の間、好ましくは40℃から70℃の間、より好ましくは50℃から65℃の間に含まれる温度で、さらにより好ましくは60℃で、排水され、乾燥される。
このように、脱脂された固体画分は、粉末生成物として得られ、発明のプロセスに組み込まれる。
(溶媒の蒸留およびアセトンによる沈殿)
発明のプロセスは、液体画分L1の1つまたは複数の溶媒を蒸留し、アセトンによる沈殿により、固体画分S2を得る工程を含む。
溶媒は、エタノール:水またはクロロホルム:メタノールを使用することにより発明のプロセスの工程において実施される抽出に由来する。
1つまたは複数の溶媒の蒸留は、当業者によく知られたプロセスにより、例えば、真空下で、50℃から65℃の間に含まれる温度で、好ましくは60℃で、達成させることができる。
アセトンによる沈殿では、3から5倍、好ましくは4倍のアセトンの体積が一般に使用される。
エタノールの蒸留後に得られた水溶液へのアセトンの添加により、固体画分S4の形態での複合極性脂質およびリン脂質の沈殿が得られる。デカンテーションおよび液体画分の除去後、得られた固体はアセトンで繰り返して洗浄することができる。一般に、2−4体積、好ましくは3体積のアセトンが固体について使用され、およそ、20分から1時間の間に含まれる時間、好ましくは30分の間、室温で維持される。アセトンによる各洗浄において、上澄みが廃棄され、複合極性脂質およびリン脂質を含む固体画分が維持される。好ましくは、前記固体画分は真空下、30℃から80℃の間、好ましくは40℃から70℃の間、より好ましくは50℃から65℃の間に含まれる温度で、さらにより好ましくは60℃で乾燥される。よって、固体が、固体画分S2と呼ばれる粉末生成物の形態で得られ、これは、鹸化に供せられる。
発明のプロセスは、好ましくは乾燥された、固体画分S2を用いて続けられる。
(鹸化)
固体画分S2は鹸化される。好ましくは、鹸化は水に懸濁されたこの画分を用いて実施される。
固体画分S2の鹸化の結果は、実質的に発明の抽出物を構成する複合極性脂質、およびまた、前記固体画分中で見られるリン脂質の鹸化由来の化合物(それらの中には、脂肪酸が、おそらくセッケンの形態で存在する)を含む混合物である。
前記固体画分の鹸化は、よく知られた標準プロセスにより、例えば、例として、前記画分を、水酸化アルカリ、好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、より好ましくは水酸化カリウムの水溶液中に、0.3Mから3Mの間、より好ましくは0.4Mから1Mの間に含まれる濃度、より好ましくは0.5Mで、30℃から80℃の間、好ましくは40℃から70℃の間、より好ましくは50℃から65℃の間に含まれる温度で、さらにより好ましくは60℃で、3時間から12時間の間、好ましくは5時間から10時間の間、より好ましくは7時間から9時間の間に含まれる期間、さらにより好ましくは8時間の間懸濁させることにより実施することができる。この画分の鹸化はまた、リパーゼなどの酵素を使用することにより実施され得る。この場合、鹸化は、好ましくは、50℃から60℃の間に含まれる温度で、好ましくは55℃で、5.5から6.5の間に含まれるpHで、好ましくはpH6で実施される。
好ましくは、鹸化は、水酸化アルカリの水溶液を用いた処理により実施される。
固体画分S2が鹸化されるとすぐに、プロセスは発明の抽出物の単離を続ける。
(脳抽出物の単離)
鹸化反応混合物からの発明の脳抽出物の単離は、当業者によく知られた標準方法により実施することができる。例えば、これは、鹸化後に得られた反応混合物の酸性化、アセトンによる沈殿、および固体画分S3と呼ばれる(発明の抽出目的物である)、得られた固体の分離により単離され得る。
酸性化は、濃塩酸などの鉱酸を、1から3の間に含まれるpH値、好ましくは2まで使用することにより実施することができる。
アセトンによる沈殿は、酸性化後に得られる酸懸濁液について実施される。通常、複合極性脂質を沈殿させるために、アセトンは、酸懸濁液の体積に対して3から5体積のアセトンの割合、好ましくは4体積で添加される。
アセトンによる沈殿後、得られた混合物は、デカントされ、リン脂質の鹸化由来の化合物、例えば脂肪酸を含む上澄みが廃棄され得る。デカンテーションおよび液体画分の除去後、得られた固体はアセトンで繰り返して洗浄することができる。一般に、2−4体積、好ましくは3体積のアセトンが固体について使用され、撹拌下、およそ、20分から1時間の間に含まれる時間、好ましくは30分の間、室温で維持される。アセトンによる各洗浄において、上澄みが廃棄され、複合極性脂質(実質的に発明の抽出物を構成する)を含む固体画分が保持される。
発明のプロセスは好ましくは、水酸化アルカリを用いて鹸化が実施された場合、固体画分S3中に存在する塩を除去するための洗浄工程をさらに含む。この工程は、酵素鹸化を使用する場合、必要ではない。
前記固体画分からの塩の除去は、前記固体画分を、2つの溶媒間で80:20(v/v)の比のエタノール:水またはアセトン:水の混合物を用いて、酸性化で使用される酸由来のアニオンの濃度が1%未満となるまで洗浄することにより実施することができ、塩酸が工程5)において酸性化剤として使用された場合、洗浄は、塩化物イオン濃度が1%未満となるまで続けられる。
塩の予定の除去後、発明のプロセスは好ましくは、洗浄済み固体画分の乾燥工程を含む。この乾燥工程は一般に、真空下、30℃から80℃の間、好ましくは40℃から70℃の間、より好ましくは50℃から65℃の間に含まれる温度で、さらにより好ましくは60℃で実施される。
このように、リン脂質およびトリアシルグリセリドの含量が10%未満、好ましくは6%未満、より好ましくは1%未満である組成を有し、実質的に、スフィンゴミエリン、ガングリオシド、セラミドおよびスルファチドとしての複合極性脂質から構成される脳抽出物が得られる。
スフィンゴミエリンの含量は、一般に、抽出物の総重量に対して28重量%から43重量%の間を占める。スフィンゴミエリンの群の中には、ジヒドロスフィンゴミエリンもまた含まれる。ガングリオシドの含量は、一般に抽出物の総重量に対して34重量%から46重量%の間を占める。ガングリオシドの群の中には、下記ガングリオシドが含まれる:GM1(モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド)、GM2、GM3(モノシアロジヘキソシルガングリオシド)およびGD1。セラミドの含量は、一般に抽出物の総重量に対して12重量%から19重量%の間を占める。セラミドの群の中には、下記が含まれる:セラミド、ジヒドロセラミド、グルコシルセラミド、およびラクトシルセラミド。スルファチドの含量は、一般に抽出物の総重量に対して2重量%から8重量%の間を占める。抽出物は低パーセンテージのリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン−プラスマロゲン、およびリゾホスファチジルエタノールのプラスマロゲン)およびトリアシルグリセリドを含み、これは通常、抽出物の総重量に対して、10重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは1重量%未満である。抽出物の成分のパーセンテージの合計は100%である。
好ましい実施形態では、発明の抽出物は、水酸化アルカリの水溶液を用いた処理により実施される鹸化工程を含むプロセスにより得られる。この好ましい実施形態では、抽出物は、抽出物の総重量に対して30重量%から43重量%の間、好ましくは32重量%から40重量%の間、より好ましくは33重量%から39重量%の間を占めるスフィンゴミエリンの含量を有する。スフィンゴミエリンの群の中には、ジヒドロスフィンゴミエリンもまた、含まれる。ガングリオシドの含量は、抽出物の総重量に対して36重量%から46重量%の間、好ましくは38重量%から44重量%の間、より好ましくは39重量%から43重量%の間を占める。ガングリオシドの群の中には、下記ガングリオシドが含まれる:GM1(モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド)、GM2、GM3(モノシアロジヘキソシルガングリオシド)およびGD1。セラミドの含量は、一般に抽出物の総重量に対して13重量%から19重量%の間、好ましくは14重量%から18重量%の間、より好ましくは15から17重量%の間を占める。セラミドの群の中には、下記が含まれる:セラミド、ジヒドロセラミド、グルコシルセラミド、およびラクトシルセラミド。スルファチドの含量は、一般に抽出物の総重量に対して2重量%から8重量%の間、好ましくは3重量%から7重量%の間、より好ましくは4重量%から6.5%重量%の間を占める。抽出物は低パーセンテージのリン脂質(例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン−プラスマロゲン、およびリゾホスファチジルエタノールのプラスマロゲン)ならびにトリアシルグリセリドを含み、これは通常、抽出物の総重量に対して、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満である。抽出物の成分のパーセンテージの合計は100%である。
別の実施形態では、発明の抽出物は、酵素処理により実施される鹸化工程を含むプロセスにより得られる。この好ましい実施形態では、抽出物は、抽出物の総重量に対して28重量%から41重量%の間、好ましくは32重量%から39重量%の間、より好ましくは33重量%から37重量%の間を占めるスフィンゴミエリンの含量を有する。スフィンゴミエリンの群の中には、ジヒドロスフィンゴミエリンもまた、含まれる。ガングリオシドの含量は、抽出物の総重量に対して34重量%から44重量%の間、好ましくは36重量%から42重量%の間、より好ましくは39重量%から41重量%の間を占める。ガングリオシドの群の中には、下記ガングリオシドが含まれる:GM1(モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド)、GM2、GM3(モノシアロジヘキソシルガングリオシド)およびGD1。セラミドの含量は、一般に抽出物の総重量に対して12重量%から18重量%の間、好ましくは14重量%から17重量%の間、より好ましくは15から16重量%の間を占める。セラミドの群の中には下記が含まれる:セラミド、ジヒドロセラミド、グルコシルセラミド、およびラクトシルセラミド。スルファチドの含量は、一般に抽出物の総重量に対して2重量%から7重量%の間、好ましくは3重量%から6重量%の間、より好ましくは4重量%から5重量%の間を占める。抽出物は、低パーセンテージのリン脂質(例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン−プラスマロゲン、およびリゾホスファチジルエタノールのプラスマロゲン)ならびにトリアシルグリセリドを含み、これは通常、抽出物の総重量に対して、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、より好ましくは6重量%未満である。抽出物の成分のパーセンテージの合計は100%である。
発明の別の態様は、発明のプロセスにより得ることができる脳抽出物である。好ましくは、抽出物は、水酸化アルカリによる鹸化工程を含む発明のプロセスにより得ることができる。
[組成物]
発明の別の態様は発明の抽出物と、少なくとも1つのビヒクルまたは賦形剤とを含む組成物である。
発明の組成物は医薬組成物、食品調製物、機能性食品調製物、または補助食品であってもよい。
医薬組成物は、薬理活性を有する活性物質、この場合、発明の抽出物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物である。
食品調製物は、乳、乳調製品、ヨーグルト、チーズ、ジュース、スープ、穀類、パスタ、パン、飲料またはスナックなどのマトリクスから構成される、ヒト消費を目的とする組成物である。
機能性食品調製物は、健康効果を提供する成分、例えば、ω3酸、スタノール、ステロール、プレバイオティクス、プロバイオティクス、抗酸化剤、ビタミンおよびミネラルを含むヒト消費を目的とする組成物である。この群の中には、特別な医療目的のための食品、すなわち、医学的管理下の、乳幼児を含む患者の食事管理を目的とする、すなわち、普通の食品またはある一定の栄養分またはその代謝産物を摂取する、消化する、吸収する、代謝するまたは排泄する能力が制限され、もしくは不十分であり、または障害された患者、または、その食事管理が普通食を改良するだけでは達成することができない、他の臨床的に決定される栄養分を必要とする患者のいずれかの食事要求の全てまたは一部を満たすように設計された、特別に加工または配合された食品もまた、含まれる。
補助食品は、普通食を補充することを目的とする食品組成物であり、これは、濃縮された栄養分源または栄養効果もしくは生理的効果を有する他の物質から、単一または組み合わせ形態で構成され、投与形態、すなわちカプセル、錠剤、丸薬および他の同様の形態、粉末のサシェ、液体のアンプル、点滴器を備えた瓶、および、小さな単位の部分で取り出されなければならない液体および粉末の他の同様の形態で市販されており、ここで、栄養分には下記物質が含まれる:ビタミン、ミネラル、植物抽出物、または動物(陸生または海洋)源由来の抽出物。
組成物に含まれるビヒクルまたは賦形剤は、組成物の型に依存する。
医薬組成物または補助食品である場合、組成物は薬学的に許容されるビヒクルまたは賦形剤を含み、これは、例えば、ハンドブック、R.C. Rowe et al, Handbook of Pharmaceutical Excipients, 第4版, Pharmaceutical Press, ロンドン, 2003 [ISBN: 0−85369−472−9]に記載されるものから選択され得る。その選択は、調製される医薬組成物の型に依存する。異なる型の医薬剤形の調製は当業者によく知られており、説明は、例えば、ハンドブック、Remington The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, Lippincott Williams & Wilkins, フィラデルフィア, 2000 [ISBN: 0−683−306472]において入手可能である。
好ましくは、発明の組成物は、神経変性および/もしくは中枢神経系疾患を防止および/もしくは治療する、または神経系の健康をサポートするのに好適な少なくとも1つの追加の活性成分を含む。追加の活性成分は、例えば、ω3酸、例えばドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、それらを含む抽出物、およびそれらの混合物(酸の形態で、またはトリグリセリドとして)、セレン、ゲニステイン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、葉酸塩、または中鎖脂肪酸からなる群より選択されてもよい。
より好ましくは、発明の組成物は、DHAおよびEPAを含む、トリグリセリドの形態のω3酸の抽出物を含む。より好ましくは、前記抽出物は、40重量%から60重量%の間のDHA、さらにより好ましくは50重量%のDHAを含む。特に好ましい実施形態では、組成物は、50重量%のDHA、20重量%のEPAならびに酸、リノレン酸(C18:3n3)、ステアリドン酸(C18:4n3)、C20:4n3、C21:5n3およびn3ドコサペンタエン酸(C22:5n3)を含む、トリグリセリドの形態のω3酸の抽出物を含む。
発明の別の態様は、医薬組成物、補助食品、食品調製物および機能性食品調製物からなる群より選択される組成物の調製のための脳抽出物の使用である。
[脳抽出物の使用]
発明の別の態様は、好ましくは神経変性および/または中枢神経系疾患を防止および/または治療するため、ならびに神経系の健康をサポートするための薬剤としての使用のための、発明のプロセスにより得ることができる脳抽出物である。神経変性疾患の中には、好ましくは、認知症、アルツハイマ病、血管性認知症、フリードライヒ運動失調症、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、パーキンソン病、ハンチントン病、または脳卒中が含まれ、より好ましくはアルツハイマ病である。
発明の脳抽出物は、経口的にまたは非経口的に投与することができる。投与される用量は、患者の体重に依存するが、一般に、1日用量は、500mgから5gの間を含む。
発明の脳抽出物は、長く退屈な精製の必要なしで、工業規模で容易に実行することができるプロセスにより得られ、著しい神経保護特性をも有する。
実施例セクションにおいて明記される、マウスモデルにおいて発明の脳抽出物を用いて実施した試験は、驚いたことに、この抽出物の経口投与は空間作業記憶の欠損、ならびに長期記憶の欠損を防止し、また、酸化ストレスの結果である、海馬組織での脂質過酸化のレベルを低減させることにより、および炎症性サイトカインのレベルを低減させることにより、神経保護活性をも有するという結論を支持する。異なる治療は動物の体重増加に対して何の効果も有さなかったことも観察された。発明の抽出物のDHAおよびEPAを含む抽出物との組み合わせは、自発的交替行動試験において相乗効果を有することも観察されており、そのため、この組み合わせは空間作業記憶欠損を防止するのに適切であり得る。
発明は下記実施形態を含む:
1.1)ミンチにされた脳をエタノール:水の混合物またはクロロホルム:メタノールの混合物による抽出に供し、L1と呼ばれる液体画分を分離する工程と、
2)液体画分L1の溶媒を蒸留し、アセトンで沈殿させ、S2と呼ばれる固体画分を得る工程と、
3)固体画分S2を鹸化させ、鹸化により得られたアセトンに可溶性の生成物を廃棄し、S3と呼ばれる固体画分を得る工程と、
を含むことを特徴とする、動物脳抽出物を調製するためのプロセス。
2.脳は、ブタ源であることを特徴とする、実施形態1によるプロセス。
3.エタノール:水の混合物は、(v/v)で表される80:20から60:40の間に含まれる比であることを特徴とする、実施形態1または2によるプロセス。
4.エタノール:水の混合物は、70:30(v/v)の比であることを特徴とする、実施形態3によるプロセス。
5.クロロホルム:メタノールの混合物は、(v/v)で表される70:30から60:40の間に含まれる比であることを特徴とする、実施形態1または2によるプロセス。
6.クロロホルム:メタノールの混合物は、(v/v)で表される66:33の比であることを特徴とする、実施形態5によるプロセス。
7.アセトン、ヘキサンおよび超臨界状態の無水炭酸から選択される溶媒を用いた抽出による、脳の脱脂を行う前工程を含むことを特徴とする、実施形態1から6のいずれかによるプロセス。
8.脳の脱脂を行う前工程は、アセトンを用いて実施されることを特徴とする、実施形態7によるプロセス。
9.鹸化は、水酸化アルカリの水溶液を用いた処理により実施されることを特徴とする、実施形態1から8のいずれかによるプロセス。
10.固体画分S3を洗浄する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態9によるプロセス。
11.固体画分S3を乾燥させる工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態1から10のいずれかによるプロセス。
12.実施形態1から11のいずれかのプロセスにより得ることができる脳抽出物。
13.スフィンゴミエリンの含量は、抽出物の総重量に対して28重量%から43重量%の間を占め、ガングリオシドの含量は、抽出物の総重量に対して34重量%から46重量%の間を占め、セラミドの含量は、抽出物の総重量に対して12重量%から19重量%の間を占め、スルファチドの含量は、抽出物の総重量に対して2重量%から8重量%の間を占め、ならびにリン脂質およびトリアシルグリセリドの含量は、10%未満であり、かつ、抽出物の成分のパーセンテージの合計は、100%であることを特徴とする、実施形態12による抽出物。
14.スフィンゴミエリンの含量は、抽出物の総重量に対して30重量%から43重量%の間を占め、ガングリオシドの含量は、抽出物の総重量に対して36重量%から46重量%の間を占め、セラミドの含量は、抽出物の総重量に対して13重量%から19重量%の間を占め、スルファチドの含量は、抽出物の総重量に対して2重量%から8重量%の間を占め、ならびにリン脂質およびトリアシルグリセリドの含量は、3%未満であり、かつ、抽出物の成分のパーセンテージの合計は、100%であることを特徴とする、実施形態12による抽出物。
15.スフィンゴミエリンの含量は、抽出物の総重量に対して28重量%から41重量%の間を占め、ガングリオシドの含量は、抽出物の総重量に対して34重量%から44重量%の間を占め、セラミドの含量は、抽出物の総重量に対して12重量%から18重量%の間を占め、スルファチドの含量は、抽出物の総重量に対して2重量%から7重量%の間を占め、ならびにリン脂質およびトリアシルグリセリドの含量は、10%未満であり、かつ、抽出物の成分のパーセンテージの合計は、100%であることを特徴とする、実施形態12による抽出物。
16.実施形態12から15のいずれかの抽出物と、少なくとも1つのビヒクルまたは賦形剤とを含むことを特徴とする組成物。
17.医薬組成物、食品調製物、機能性食品調製物、または補助食品であることを特徴とする、実施形態16による組成物。
18.神経変性および/もしくは中枢神経系疾患を防止および/もしくは治療する、または神経系の健康をサポートするのに好適な少なくとも1つの追加の活性成分を含むことを特徴とする、実施形態16または17による組成物。
19.追加の活性成分は、トリグリセリドの形態のω3酸の抽出物を含むことを特徴とする、実施形態18による組成物。
20.追加の活性成分は、DHAおよびEPAを含むことを特徴とする、実施形態19による組成物。
21.薬剤として使用するための、実施形態12から15のいずれかの脳抽出物。
22.神経変性および/または中枢神経系疾患を防止および/または治療するため、ならびに神経系の健康をサポートするための、実施形態21による使用のための脳抽出物。
23.認知症、アルツハイマ病、血管性認知症、フリードライヒ運動失調症、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、パーキンソン病、ハンチントン病、または脳卒中からなる群より選択される神経変性疾患を防止および/または治療するための実施形態22による使用のための脳抽出物。
24.アルツハイマ病を防止および/または治療するための実施形態23による使用のための脳抽出物。
25.医薬組成物、食品調製物、機能性食品調製物、または補助食品を調製するための、実施形態12から15のいずれかによる脳抽出物の使用。
次に、本発明を説明するためにいくつかの実施例が含まれるが、それらは、発明を制限するものと考えるべきではない。
<実施例1:アルカリ鹸化を用いて抽出物を調製するためのプロセス>
凍結したブタ脳をミンチにし、脱脂用の反応器に移した。アセトンを90%より高いアセトンのパーセンテージを達成するのに必要とされる量で添加した。1時間室温で撹拌した後、懸濁液をデカンティングのために静置させた。上澄みを吸い出した。液相の含水量が5%未満となるまで、この操作を繰り返した。生成物を排水させ、真空下、60℃の温度で乾燥させた。粉末生成物を得た(脱脂固体画分)。
前段階で得られた粉末生成物を、体積比70:30(v/v)のエタノール:水の溶液中に、固体の重量に対して7:1の割合で再懸濁させた。これを、55℃から60℃の間に含まれる温度で、最低8時間の期間の間、撹拌させた。その後、撹拌を中止し、これをデカンティングのために静置させた。上澄み液をデカンテーションにより分離し、別の反応器に送った。
最初の反応器中に残っている固体を、同じ割合での第2の再懸濁に供し、これを再び、少なくとも4時間の間、55℃から60℃の間に含まれる温度で撹拌させた。その後、撹拌を中止し、これをデカンティングのために静置させた。上澄み液をデカンテーションにより分離し、第1の抽出からの上澄みを含む反応器に送った。上澄みを合わせたものは液体画分L1を構成した。
エタノールを蒸留した後、水溶液を撹拌下、最初の体積に対して4体積のアセトンを添加することにより沈殿させた。これをデカンティングのために静置させ、上澄みを除去した。固体が得られると、約3体積のアセトンを固体に添加し、少なくとも30分間撹拌した。これをデカントし、上澄みを再び除去した。生成物を排水させ、真空下、60℃の温度で乾燥させた。このように、固体画分S2を得た。
得られた固体生成物を、0.5M水酸化カリウムの水溶液中に60℃の温度で8時間の間、再懸濁させた。懸濁液を、濃塩酸でpH値2まで中和した。
生成物を最初の体積に対して4体積のアセトンで沈殿させた。これをデカントし、抽出物の鹸化由来の脂肪酸を含む上澄みを除去した。
約3体積のアセトンを固体上に添加し、少なくとも30分間、撹拌した。これをデカントし、上澄みを除去した。固体画分S3を得た。
洗浄を、80:20(v/v)比のエタノール:水の溶液で、上澄み中の塩化物濃度が1%未満となるまで実施した。生成物を排水させ、真空下、およそ60℃の温度で乾燥させた。
生成物をHPLCにより、Castro−Perez et al., Comprehensive LC−MS E lipidomic analysis using a shotgun approach and its application to biomarker detection and identification in osteoarthritis patients, J. Proteome Res., 2010, 9(5), 2377−89 (doi: 10.1021/pr901094j)に記載される方法に基づく方法を用いて分析した。正誤表:J. Proteome Res., 2011, 10(7), 3303−8。重量%で表される、異なるバッチで得られた抽出物の組成を、表Iに示す。
Figure 2018524286
発明のプロセスを用いて得られた抽出物は、表IIに示されるように生成物群による含量を有する。
Figure 2018524286
発明の抽出物は高含量のスフィンゴミエリン、ガングリオシドおよびセラミドならびに低含量のスルファチドを有することが観察され得る。リン脂質およびトリアシルグリセリドの存在は著しく低い。
<実施例2:酵素鹸化を用いて抽出物を調製するためのプロセス>
実施例1に記載されるプロセスを実質的に繰り返したが、鹸化工程は、水酸化カリウムを使用する代わりに、酵素レシターゼウルトラ(Lecitase Ultra)(ノボザイムズ(Novozymes))を使用することにより実施した。固体画分S2を、水に、1/60(w/v)固体/水の割合で再懸濁させた。pHを、6に再調整し、これを、55℃まで加熱し、よって、均一な懸濁液を得た。酵素レシターゼウルトラ(Lecitase Ultra)を、この懸濁液に撹拌下、0.2Lの酵素/kgの固体画分S2の速度で添加した。
懸濁液を、撹拌下、55℃の温度で6時間の間、維持した。pHを、6の値で維持するために制御した。6時間後、懸濁液を、75℃まで加熱し、この温度で1時間の間、維持した。その後、pHを塩酸の添加により2まで低下させた。
生成物を最初の体積に対して4体積のアセトンで沈殿させた。これをデカントし、抽出物の鹸化由来の脂肪酸を含む上澄みを除去した。
約3体積のアセトンを固体上に添加し、少なくとも30分間、撹拌した。これをデカントし、上澄みを除去した。固体画分S3を得た。
生成物を排水させ、真空下、およそ60℃の温度で乾燥させた。
表IIIに示されるように、リン脂質およびトリアシルグリセリドの含量がより高いことを除き、実施例1に実質的に類似する組成を有する抽出物を得た。
Figure 2018524286
<実施例3:マウスモデルにおける脳抽出物のアッセイ>
発明の脳抽出物を、神経変性疾患との関連でのその保護効果を決定する目的で、マウスモデルを使用するいくつかの試験に供し、この目的を達成するために、動物行動に由来する応答およびβ−アミロイドペプチドの毒性に由来する生化学マーカ(脂質過酸化および炎症性サイトカインのレベル)の分析を使用した。
「A)脂質過酸化に対する行動および神経保護活性の変化の研究」
[化合物および抽出物]
この研究では、実施例1に記載されるプロセスにより得られた脳抽出物を使用し、再蒸留水中に可溶化した。
50重量%のDHAおよび20重量%のEPAを、トリグリセリドの形態で含むDHAおよびEPAの濃抽出物もまた使用し、ゴマ油中に可溶化した。
対照群ではゴマ油をビヒクルとして使用した。
β−アミロイドペプチド、Aβ25−35、CAS登録番号131602−53−4、およびスクランブル−β−アミロイドペプチド、Sc.Aβを、ポリペプチド(Polypeptides)社(フランス)から入手した。
[動物]
ジャンヴィエ(Janvier)社(フランス)から入手した、116匹の雄スイスマウス、5週齢、体重30から35gを使用した。各群の動物を、行動実験中を除いて、食物および水に自由にアクセスできる別々のケージに収容した。
[処置群]
116匹の動物を用いて、表IVに示されるように、11の群を構成した。
Figure 2018524286
第1日から第17日の間に、抽出物を、経口的に経口経管栄養により1日1回投与した。
第8日に、アミロイドペプチドSc.AβまたはオリゴマアミロイドペプチドAβ25−35を、β−アミロイドペプチドに関連する毒性を誘発するために、脳室内に注射した(ICV)。ペプチドの調製およびその注射は、Maurice et al., Amnesia induced in mice by centrally administered beta−amyloid peptides involves cholinergic dysfunction, Brain Res., 1996, 706(2), 181−93に記載される方法に従い実施した。
第15日(ペプチド注射後7日)に、Y−迷路における自発的交替行動試験を実施し、空間作業記憶を評価した。第17日に、受動回避試験を実施し、第16日での訓練および第17日での滞留セッションを用いて、文脈的長期記憶を評価した。
第17日に、受動回避試験セッション後、動物を屠殺した。各動物の血液サンプルを収集した。海馬および前頭皮質を解剖し、液体窒素中で凍結し、その後、−80℃で保存した。
海馬を使用して、比色分析法により、2から6匹の動物/群を用いて、脂質過酸化レベルを決定した。他の脳構造を、予定される補足生化学アッセイのために3ヶ月間−80℃で維持した。
[自発的交替行動試験]
第7日に、全ての動物を、Y−迷路における自発的交替行動能力、空間作業記憶の指標について試験した。
Y−迷路を灰色PVCで作製した。各アームは長さ40cm、高さ13cm、底面で幅3cmおよび上面で幅10cmとし、それらは等しい角度で集結した。各動物を1つのアームの端に置き、8分間、迷路を通って自由に移動させた。同じアームへの可能な戻りを含むアーム進入を視覚的にチェックした。交替行動を3つ全てのアームへの連続した進入として規定した。よって、交替行動の最大数は、アーム進入の総数−2であり、交替行動のパーセンテージを、(実際の交替行動の数/交替行動の最大数)×100として計算した。パラメータは、Maurice et al.、前掲書中、およびMeunier et al., The anti−amnesic and neuroprotective effects of donepezil against amyloid beta25−35 peptide−induced toxicity in mice involve an interaction with the sigma1 receptor, Br. J. Pharmacol., 2006, 149(8), 998−1012に記載されるように、交替行動のパーセンテージ(記憶指標)およびアーム進入の総数(探査指標)を含んだ。
極端な行動を示す動物(交替行動パーセンテージ<20%もしくは>90%またはアーム進入数<10)は、計算から除外した。1匹の動物のみ除外した。
[受動回避試験]
この試験を実施するために使用される装置は2−コンパートメント(15×20×15cm高さ)ボックスから構成され、1つは明るくしてあり、白色PVC壁を有し、もう一方は、暗くしてあり、黒色PVC壁および格子フロアを有する。ギロチンドアが2つのコンパートメントを分離した。電気ショック(0.3mAを3秒間)を、ショック発生装置(ラファイエット・インスツルメンツ(Lafayette Instruments)、USA)を用いて格子フロアに届けた。ギロチンドアは最初、訓練セッション中には閉じられた。このセッション中、各動物を白色コンパートメントに入れた。5秒後、ドアを上げた。動物が黒色コンパートメントに進入し、その足を格子フロア上に置いたときに、ドアを閉じ、電気ショックを3秒間、届けた。ステップスルー潜時、すなわち、暗コンパートメントに進入するのに費やされた潜時、および啼鳴の数を記録した。滞留試験を訓練後24時間に実施した。各動物を白色コンパートメントに入れた。5秒後、ドアを上げた。Meunier et al.、前掲書中により記載されるように、ステップスルーおよび逃避潜時(暗コンパートメントからの再進入に対応)を300秒まで記録した。
この型の試験では、訓練セッション中および滞留セッション中10秒より低い潜時を示す動物は、試験に応答することができないと考え、計算から除外する。この研究では、除外された動物はなかった。
[脂質過酸化の決定]
第17日に、各群の動物を全て屠殺し、両方の海馬を速やかに除去した。それらを秤量し、アッセイするまで液体窒素中で維持した。解凍後、1つの海馬/動物を冷メタノール(1/10w/v)中でホモジナイズし、1000gで5分間、遠心分離し、上澄みをエッペンドルフチューブに入れた。各チューブにFeSO 1mM、HSO 0.25M、キシレノールオレンジ1mMを添加し、30分間、室温でインキュベートした。580nmで吸光度を記録した後(A580_1)、10μlのクメンヒドロペルオキシド(CHP)1mMをサンプルに添加し、30分間、室温でインキュベートし、最大酸化レベルを決定した。吸光度を580nmで記録した(A580_2)。脂質過酸化のレベルをCHP当量として、下記式に従い計算し:
CHPE=(A508_1/A508_2)×[CHP](nmolで表される)、
CHP当量/mgの組織として、および対照群データ(Sc.Aβおよびビヒクルで処置した動物)のパーセンテージとして表した。
[統計解析]
受動回避潜時を除く全ての値を、平均±平均値の標準誤差(SEM)として表した。解析を別個に各化合物について、一元配置ANOVA(F値)を用いて実施し、続いて、ダネット事後多重比較検定を実施した。受動回避潜時はガウス分布に従わず、クラスカル・ワリスノンパラメトリックANOVA、続いてダン多重比較検定を用いて解析した。
[結果]
表V(図2.1)では、Y−迷路試験における自発的交替行動に対応する結果が示され、交替行動のパーセンテージの平均値および平均値の標準誤差として表される。
Figure 2018524286
発明の抽出物は、200mg/kgの用量から、Aβ25−35ペプチド毒性により誘導される空間作業記憶欠損を効果的に防止する(群4−6)ことが観察され得る。
表VI(図2.2)では、Y−迷路試験における自発的交替行動に対応する結果が示され、対照群(群1)に対する群2、3、8および11の平均として表される。
Figure 2018524286
群2、3、8および11の結果は、要因(発明の抽出物および抽出物DHA/EPA)の表VIIに従う要因分析2および結果として考えることができる。
Figure 2018524286
要因の各々およびそれらの相互作用についての表VIの結果から計算される効果は下記の通りである。
・発明の抽出物の効果:+7.3
・抽出物DHA/EPAの効果:+16.5
・相互作用の効果:+4,8
2つの抽出物間の相互作用は統計的に有意であり、両方の組み合わせの効果は付加的ではなく、明確な相乗効果を有していることを意味する。
よって、最低用量の発明の抽出物(100mg/kg)とDPAおよびEPAを含む高用量(450mg/kg)の抽出物の組み合わせは相乗効果を有し、これは、別々に投与された成分の効果の合計よりも著しく大きいことが観察され得る。
最低用量の発明の抽出物で処置した群は、ビヒクルおよびβ−アミロイドペプチド、Aβ25−35で処置した群に匹敵する効果を有するが、DHAを含む抽出物と組み合わせて発明の抽出物で処置した群では、得られた効果は両方の抽出物の効果の単純な加算ではなく、より高い効果が得られる。
表VIII(図3.1および3.2)では、秒で表された、受動回避試験に対応する結果が、ステップスルー潜時および逃避潜時の平均値および平均値の標準誤差として示されている:
Figure 2018524286
発明の抽出物は、200mg/kgの用量から(群4−6)、特に500mg/kgから、Aβ25−35ペプチド毒性により誘導される長期記憶欠損を効果的に防止することが観察され得る。
表IX(図4)では、脂質過酸化試験に対応する結果が示されており、CHP当量/湿組織重量(ECHP)の平均値および平均値の標準誤差として表されている。
Figure 2018524286
発明の抽出物は、100mg/kgの用量から、酸化ストレスの結果としての脂質過酸化のレベルの低減において神経保護活性を有することが観察され得る。500mg/kgの用量から、完全な妨害が観察される(群5および6)。
「B)炎症性サイトカインに関連する神経保護活性の研究」
[化合物および抽出物]
この研究では、実施例1に記載されるプロセスにより得られた脳抽出物を使用し、再蒸留水中に可溶化させた。
対照群ではゴマ油をビヒクルとして使用した。
β−アミロイドペプチド、Aβ25−35、CAS登録番号131602−53−4、およびスクランブル−β−アミロイドペプチド、Sc.Aβを、ポリペプチド(Polypeptides)社(フランス)から入手した。
[動物]
ジャンヴィエ(Janvier)(フランス)社から入手した、72匹の雄スイスマウス、5週齢、体重30から35gを使用した。各群の動物を、行動実験中を除いて、食物および水に自由にアクセスできる別々のケージに収容した。
[処置群]
72匹の動物を用いて、各々12匹の動物の6つの群を、表Xに示されるように構成した:
Figure 2018524286
第1日から第31日の間(群1、2、5および6について)または第15日から第31日の間(群3および4について)に、抽出物を、経口経管栄養により1日1回、経口投与した。
第22日に、アミロイドペプチドSc.AβまたはオリゴマアミロイドペプチドAβ25−35を脳室内に注射し(ICV)、β−アミロイドペプチドに関連する毒性を誘発した。ペプチドの調製およびその注射を、Maurice et al.、前掲書中に記載される方法に従い実施した。
第31日に動物を屠殺した。血液サンプルを各動物から収集した。海馬および前頭皮質を解剖し、液体窒素で凍結させ、−80℃の温度で維持した。6匹の動物/群において、海馬を使用して、ELISAにより、炎症性サイトカインインターロイキン−1β(IL1β)、インターロイキン−6(IL6)および腫瘍壊死因子α(TNFα)のレベルを決定した。
[ELISAアッセイ]
下記市販キットを使用した。
・IL1β:問い合わせ番号SEA563Mu(USCNライフサイエンス(Life Science))
・IL6:問い合わせ番号SEA079Mu(USCNライフサイエンス)
・TNFα:問い合わせ番号EMTNFA01(サーモサイエンティフィック(ThermoScientific))
海馬を調製し、2連で下記プロセスに従いアッセイした:海馬を解凍後、50mM Trisおよび150mM NaCl緩衝溶液中、pH7.5でホモジナイズし、10秒間超音波処理した。5000gで10分間、4℃での遠心分離後、上澄みを製造者の指示に従い、ELISAアッセイのために使用した。各アッセイにおいて、450nmでの吸光度を記録し、サンプル濃度を、較正曲線を使用して計算した。結果を、マーカpg/ml上澄みとして表した。
[統計解析]
全ての値を、平均±平均値の標準誤差(SEM)として表した。解析を各処置について、一元配置ANOVA(F値)、続いてダネット事後多重比較検定を使用して実施した。
[結果]
表XI(図5)では、pg/mlで表される、3つの炎症性サイトカインについて得られた結果が示される(平均値および平均値の標準誤差)。
Figure 2018524286
図5では、結果は、対照群1の値に100が割り当てられ、他の群はその値を参照するように表される。下記が観察され得る。
・Aβ25−35ペプチドの注射は、スクランブル−β−アミロイドペプチド、Sc.Aβで処置した動物に比べ、動物の海馬において炎症を非常に著しく増加させた。
・発明の抽出物は抗炎症効果を有し、この効果はAβ25−35ペプチドにより誘導される炎症性サイトカインに対する神経保護活性と関連し得る。特に、効果は、用量が100mg/kgで4週間、または1000mg/kgで2週間である場合、より著しいものとなる。

Claims (15)

  1. 1)ミンチにされた脳をエタノール:水の混合物またはクロロホルム:メタノールの混合物による抽出に供し、L1と呼ばれる液体画分を分離する工程と、
    2)前記液体画分L1の溶媒を蒸留し、アセトンで沈殿させ、S2と呼ばれる固体画分を得る工程と、
    3)前記固体画分S2を鹸化させ、前記鹸化により得られたアセトンに可溶性の生成物を廃棄し、S3と呼ばれる固体画分を得る工程と、
    を含むことを特徴とする、動物脳抽出物を調製するためのプロセス。
  2. 前記脳は、ブタ源であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記エタノール:水の混合物は、(v/v)で表される80:20から60:40の間に含まれる比であることを特徴とする、請求項1または2に記載のプロセス。
  4. 前記クロロホルム:メタノールの混合物は、(v/v)で表される70:30から60:40の間に含まれる比であることを特徴とする、請求項1または2に記載のプロセス。
  5. アセトン、ヘキサンおよび超臨界状態の無水炭酸から選択される溶媒を用いた抽出による、前記脳の脱脂を行う前工程を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. 前記鹸化は、水酸化アルカリの水溶液を用いた処理により実施されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 前記固体画分S3を洗浄する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のプロセス。
  8. 前記固体画分S3を乾燥させる工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセスにより得ることができる脳抽出物。
  10. スフィンゴミエリンの含量は、前記抽出物の総重量に対して28重量%から43重量%の間を占め、ガングリオシドの含量は、前記抽出物の総重量に対して34重量%から46重量%の間を占め、セラミドの含量は、前記抽出物の総重量に対して12重量%から19重量%の間を占め、スルファチドの含量は、前記抽出物の総重量に対して2重量%から8重量%の間を占め、ならびにリン脂質およびトリアシルグリセリドの含量は、10%未満であり、かつ、前記抽出物の成分のパーセンテージの合計は、100%であることを特徴とする、請求項9に記載の抽出物。
  11. 請求項9または10に記載の抽出物と、少なくとも1つのビヒクルまたは賦形剤とを含むことを特徴とする組成物。
  12. 神経変性および/もしくは中枢神経系疾患を防止および/もしくは治療する、または神経系の健康をサポートするのに適する少なくとも1つの追加の活性成分を含むことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記追加の活性成分は、トリグリセリドの形態のω3酸の抽出物を含むことを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
  14. 薬剤として使用するための、請求項9または10に記載の脳抽出物。
  15. 医薬組成物、食品調製物、機能性食品調製物、または補助食品を調製するための、請求項9または10に記載の脳抽出物の使用。
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