JP2001322935A - 神経細胞賦活剤およびその利用 - Google Patents
神経細胞賦活剤およびその利用Info
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Abstract
作用を増強させる効果を有する新規な神経細胞賦活剤を
提供し、β−アミロイド蛋白等による脳神経細胞の障害
を予防し得る有用な組成物を提供する。 【解決手段】次の式(I) 【化1】 (但し、R1及びR2は炭素数が14〜22で、二重結
合数が0〜6の脂肪酸のアルキル残基又はアルケニル残
基)で表されるSQDGを有効成分としてなる脳神経細
胞賦活剤及び該賦活剤を配合してなる医薬用又は食用組
成物。前記SQDGは望ましくは紅藻類、褐藻類等の藻
類から抽出される。
Description
剤およびその利用に関する。より詳しくは、神経細胞の
分化を促進し、神経細胞の障害に対して保護作用を有す
る神経細胞賦活剤、該賦活剤を配合してなる医薬用組成
物および食用組成物に関するものである。
う疾病に対し、直接その細胞を賦活することにより前記
疾病を予防あるいは治療する薬剤は広く探索されている
が、実用上有効な薬剤は未だ見い出されていない。この
ため、外傷、代謝性の要因、脳虚血、パーキンソン病ま
たはダウン症等によって生じる脳神経細胞障害の治療薬
及び予防効果のある機能性食品の開発が切望されてい
る。
るにつれて痴呆高齢者が増えており、とりわけアルツハ
イマー型痴呆が急増している。アルツハイマー型老年痴
呆においては、大脳基底核神経細胞であるアセチルコリ
ン作動性神経細胞の変性および脱落が、学習・記憶力や
知的活動能力の低下の要因として深く関わっていること
が示唆されている(Science,Vol.215,
12,p37,1982)。神経成長因子(NGF)
は、繊維切断によるアセチルコリン作動性神経細胞の変
性および脱落を抑制すること(Neuroscienc
e Lett.Vol.66,p175,1986)、
また、老齢ラットの迷路学習障害を改善すると共にアセ
チルコリン作動性神経細胞の萎縮を抑制することが報告
されている。さらに、NGFは脳虚血スナネズミの海馬
神経細胞の脱落を防ぐことも確かめられており、脳卒中
による後遺症の治療薬としても有用であると考えられ
る。
−アミロイド蛋白により惹起される神経細胞のアポトー
シスを阻害する作用を有するものとしてイリドイド化合
物、トリテルペノイドサポニン類、ガングリオシド等が
知られている。
脂質については、その生理活性面では解明されていない
部分が多く、報告類も少ないのが実情である。
経細胞の細胞死をともなうことなく該細胞の増殖能を抑
制し、かつ分化誘導を促進させ得る神経細胞賦活剤、お
よびこれを利用した医薬用組成物ならびに食用組成物を
提供することにある。
を解決するために、種々の海苔、藻類や陸生植物に存在
する糖脂質についてラット副腎髄質褐色細胞腫由来の神
経系樹立細胞であるPC12細胞の増殖抑制能および分
化誘導促進作用に対する影響を検討したところ、スルホ
キノボシルジアシルグリセロール(以下、SQDGと略
す)がNGF機能の増強効果さらにはβ−アミロイドに
起因する神経細胞死の抑制効果を奏することを見い出
し、本発明を完成するに至った。
(I)
14〜22であり、二重結合の数が0〜6の脂肪酸のア
ルキル残基またはアルケニル残基である。)で表される
SQDGを有効成分としてなる脳神経細胞賦活剤によっ
て前記課題を解決できる。
成する脂肪酸残基としては上記の式(I)のなかのR1
がアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタ
エン酸およびドコサヘキサエン酸からなる群から選ばれ
る1種または2種以上の多価不飽和脂肪酸を含む脂肪酸
のアルキル残基またはアルケニル残基であり、R2がミ
リスチン酸および/またはパルミチン酸を含む脂肪酸の
アルキル残基またはアルケニル残基であることが望まし
い。
のものでも化学合成したものでもさしつかえないが、例
えば、藍藻類、紅藻類、褐藻類または緑藻類に属する藻
類を原料として、これから有機溶剤を用いて抽出して得
られるものを適宜に精製処理を施して用いることが好ま
しい。
は、脳神経細胞に関する賦活作用が脳神経細胞の外傷性
要因による障害、代謝性要因による障害、β−アミロイ
ド蛋白質による障害または脳虚血性要因による障害を予
防する作用あるいは治癒する作用であるものを対象にす
るのがよい。
胞賦活剤を有効成分として配合してなる医薬用組成物ま
たは食用組成物によって前記課題を解決できる。
リセロール骨格の1位もしくは2位に炭素数14〜22
の飽和脂肪酸ならびに不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として
有する。飽和脂肪酸の主なものはミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸等であり、不飽和脂肪酸の主たる
ものはパルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸(ω3)、オクタデカテトラエン酸、アラキ
ドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、
ドコサヘキサエン酸等を例示できる。なお、本発明にお
いて、SQDGはそのナトリウム塩やカリウム塩等の薬
学的に許容され得る塩を対象に含むものとする。
脂肪酸の種類はとくに限定されるものではないが、前記
の式(I)において、R1はアラキドン酸、エイコサペ
ンタエン酸、ドコサペンタエン酸およびドコサヘキサエ
ン酸からなる群から選ばれる1種または2種以上の多価
不飽和脂肪酸を主体に含む脂肪酸のアルキル残基または
アルケニル残基であり、かつR2はミリスチン酸および
/またはパルミチン酸を主体として含む脂肪酸のアルキ
ル残基またはアルケニル残基であるものが望ましい。
ら採取するには、原料として藍藻類(Anabaena
variabilis、Anacystis nid
ulans、Spirulina platensi
s:スピルリナ等)、紅藻類(Porphyra ye
zoensis:スサビノリ、Gelidium am
ansii:マクサ、Gigartina tenel
la:スギノリ、Gracilaria verruc
osa:オゴノリ等)、褐藻類(Undariapin
natifida:ワカメ、Hizikia fusi
formis:ヒジキ、Laminaria japo
nica:マコンブ、Sargassum horne
ri:アカモク等)または緑藻類(Chlamidom
onassp.:クラミドモナスの一種、Entero
morpha sp.:アオサの一種、Chlorel
la sp.:クロレラ等)に属する藻の藻体を用いる
のが好適である。また、ホウレンソウや大麦の葉等の陸
生植物を原料としてもさしつかえない。
脂肪酸は、1位が多価不飽和脂肪酸を主成分とし、2位
が飽和脂肪酸を主成分とするものが多い。本発明ではこ
のようなタイプのものが好ましい。例えば、紅藻類のア
マノリ属スサビノリの場合、その構成脂肪酸は1位にエ
イコサペンタエン酸、2位にパルミチン酸がそれぞれ多
く存在する(Jap.J.Phycol.,Vol.3
4,p94,1986)。紅藻類のオゴノリ属オゴノリ
の場合は、1位にアラキドン酸、ミリスチン酸およびパ
ルミチン酸が主として存在し、2位にパルミチン酸が多
く存在する(Hydrobiol.,Vol 204/
205,p513,1990)。紅藻類のツノマタ属ツ
ノマタでは、1位にミリスチン酸、パルミチン酸、アラ
キドン酸、エイコサペンタエン酸を、2位にパルミチン
酸を主成分として含む。ヒジキ、ワカメなどの褐藻類で
は、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸が多く、また、エイコサペンタエン酸やアラキドン酸
も存在する(Plant Cell Physiol,
Vol.32,p623,1991)。
うにして調製することができる。すなわち、前記原料を
適宜に細断ないしは粉砕し、ヘキサン、クロロホルム、
アセトン、メタノール、エタノール等の脂質成分抽出用
有機溶媒を用いて抽出処理し、該抽出液から溶媒を除去
して全脂質を得る。ついで、シリカゲル、アルミナ、セ
ファデックス、逆相吸着剤(オクタデシルシリル化シリ
カゲル等)、イオン交換樹脂等を用いたカラムクロマト
グラフィーで分画処理して濃縮画分を採取し、さらに必
要に応じて濃縮精製し、最終的には薄層クロマトグラフ
ィーにより精製処理して目的物であるSQDGを調製す
ることができる。本発明では、かくして得られる適当な
純度のSQDG含有物をそのまま神経細胞賦活剤として
使用できる。あるいは、デンプン、デキストリン、セル
ロース等の公知の賦形剤を混合、成形して本発明の賦活
剤となすことも可能である。
明の神経細胞賦活剤は、脳神経細胞を賦活し、細胞死を
誘発することなくその増殖を抑制して分化を促進する。
すなわち、神経細胞賦活因子として代表的なNGFは、
PC12細胞を刺激して神経細胞様に分化せしめ、神経
突起を伸展させる作用を有するが、本発明のSQDG含
有賦活剤はNGFの共存下においてPC12細胞を神経
細胞様に分化せしめ、神経突起を伸展させる作用が顕著
である。
明の賦活剤は脳神経細胞の外傷性要因、代謝性要因、β
−アミロイド蛋白質、脳虚血性要因等の種々の要因によ
る障害に対して予防作用あるいは治癒作用を有する。こ
の一例として、β−アミロイド蛋白質の活性部位を抜き
出したモデルペプチドであるβ25−35が惹起する神
経細胞への細胞毒性を濃度依存的に軽減する。なお、β
−アミロイド蛋白質は、アルツハイマー病患者の脳に沈
着するアミロイドを構成する蛋白質であり、アルツハイ
マー病の原因の一つであると考えられている(「医学の
あゆみ」、Vol.174,p614−618,199
5)。このことから、本発明のSQDG含有賦形剤は、
β−アミロイド蛋白質の毒性に起因する脳神経細胞の障
害に対しても保護作用を有することが明らかとなった。
なる医薬用組成物および食用組成物について説明する。
SQDGを有効成分としてなる本発明の前記賦活剤は、
これをそのまま、あるいは慣用の医薬製剤担体とともに
医薬用組成物となし、動物およびヒトに投与することが
できる。医薬用組成物の剤形としては特に制限されるも
のではなく、必要に応じて適宜に選択すればよいが、例
えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経
口剤、注射剤、坐剤等の非経口剤があげられる。投与量
は、通常、成人でSQDGの重量として1日あたり20
〜600mgを数回に分けて服用するのが適当である。
剤、細粒剤、散剤としての経口剤は、例えば、デンプ
ン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロ
ース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従っ
て製造される。これらの製剤中のSQDGの配合量は特
に限定されるものではなく適宜設計できる。この種の製
剤には本発明の賦活剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活
性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等
を適宜に使用することができる。
リン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピル
スターチ、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等を例示でき
る。崩壊剤としてはデンプン、ヒドロキシプロピルスタ
ーチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボ
キシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセ
ルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等を例
としてあげることができる。界面活性剤の例としてラウ
リル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を
あげることができる。滑沢剤では、タルク、ロウ類、水
素添加植物油、蔗糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アル
ミニウム、ポリエチレングリコール等を例示できる。流
動性促進剤では、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニ
ウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウ
ム等を例としてあげることができる。また、SQDGは
懸濁液、エマルション剤、シロップ剤、エリキシル剤と
しても投与することができ、これらの各種剤形には、矯
味矯臭剤、着色剤を含有させてもよい。
せしめるには、患者の年齢、体重、疾患の程度により異
なるが、通常、成人でSQDGの重量として1日あたり
1〜60mgの静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射が
適当である。この非経口投与剤は常法に従って製造さ
れ、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブ
ドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、ラッカセイ油、
大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール等を用
いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐
剤、安定剤を加えてもよい。また、この非経口剤は安定
性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾
燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液
剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等
張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤を加えてもよい。こ
れら製剤中のSQDGの配合量は特に限定されるもので
はなく任意に設定できる。その他の非経口剤の例とし
て、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐
剤等があげられ、これらも常法に従って製造される。
成物である。すなわち、前述のようにして得られるSQ
DGを有効成分としてなる脳神経細胞賦活剤は、これを
そのまま液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジ
ュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳、サラダ油、ドレ
ッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育
児用粉乳、ケーキミックス、粉末状または液状の乳製
品、パン、クッキー等に添加したり、必要に応じてデキ
ストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等ととも
にペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン
等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や栄養補
助食品等として利用できる。
る本発明の神経細胞賦活剤の配合量は、当該食品や組成
物の種類や状態等により一律に規定しがたいが、約0.
01〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%
である。配合量が0.01重量%未満では経口摂取によ
る所望の効果が小さく、50重量%を超えると食品の種
類によっては風味を損なったり当該食品を調製できなく
なる場合がある。なお、本発明の神経細胞賦活剤は、こ
れをそのまま食用に供してもさしつかえない。
は、脳神経細胞の障害を予防あるいは治癒をねらいとし
て利用するものであれば、それを使用する上で何ら制限
を受けることなく適用されるが、とりわけ外傷性脳神経
細胞障害、代謝性の要因による脳神経細胞障害、脳虚血
性脳神経細胞障害、パーキンソン病またはダウン症によ
る脳神経細胞障害等の治癒に対して有効である。また、
これらの疾患の予防措置の手段としても使用することが
可能である。
/メタノール(1:1,v/v、以下とくに断らないか
ぎり同様。)100mlを加え、ホモジナイザー中で室
温下15分間抽出処理を行った。同様の操作をさらに2
回繰り返し、抽出液を集め、細かい抽出残渣を濾過して
除去した後、分液漏斗に移し、Bligh−Dyer法
に従ってクロロホルム層と水−メタノール層とに分離し
た。クロロホルム層を採り、減圧下で濃縮、乾固して乾
固物を得た(抽出量54mg、収率1.8%)。この乾
固物を少量のクロロホルム/メタノール(1:4)に溶
解させ、これを脂質の粗抽出液とした。
1)100mlに代えてヘキサン/エタノール(1:
1)60mlを用い、50℃にて2時間抽出処理するこ
とを除いて同様に処理し、抽出乾固物(抽出量35m
g、収率1.2%)を得た。この乾固物を少量のクロロ
ホルム/メタノール(1:4)に溶解させ、脂質の粗抽
出液とした。
懸濁させたDEAE−Toyopeal(東ソー社製)
を内径10mmのガラスカラムに約50mmの高さに充
填し、クロロホルム/メタノール(1:4)100ml
で前記カラムを洗浄した。これに実施例1に記載の方法
で2バッチ処理して得た粗抽出液を添加し、クロロホル
ム/メタノール(1.4)100mlで溶出させフラク
ション1を得た。次に、5M酢酸アンモニウム水溶液
0.5mlを添加したクロロホルム/メタノール(1:
4)100mlで溶出させフラクション2を得た。
ノール懸濁させ内径10mmのガラスカラムに約50m
mの高さに充填し、50mlのメタノールと50mlの
クロロホルムで順次カラムを洗浄した。濃縮・乾固した
実施例1−1で得たフラクション1の濃縮乾固物をクロ
ロホルムに溶解させ、前記イアトロビーズカラムに添加
した。まず、クロロホルム/アセトン(20:5)50
mlで溶出させフラクション3を得た。ついで、アセト
ン100mlさらにメタノール50mlを流し、順次カ
ラム内に残留する脂質を溶出させ、アセトン溶出画分
(フラクション4)およびメタノール溶出画分(フラク
ション5)を得た。
各画分を減圧下で濃縮し、少量のクロロホルム/メタノ
ール(1:1)に溶解させ、これを脂質類の分析用試料
とした。各分析用試料を薄層クロマトグラフィー(TL
C)に供して同定を行った。なお、TLCの展開溶媒の
組成は、フラクション2:クロロホルム/アセトン/メ
タノール/酢酸/水=50:20:10:15:5、フ
ラクション3:ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸=8
0:20:0.5、フラクション4および5:クロロホ
ルム/メタノール/水=70:21:3であった。各フ
ラクションに含まれる脂質の組成は次のとおりであっ
た。 フラクション2:ホスファチジルグリセロール(P
G)、SQDG、微量のホスファチジン酸(PA)およ
びホスファチジルイノシトール(PI)。 フラクション3:トリアシルグリセロール(TG)、微
量の未同定物質。 フラクション4:モノガラクトシルジアシルグリセロー
ル(MGDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール
(DGDG)。 フラクション5:ホスファチジルエタノールアミン(P
E)、ホスファチジルコリン(PC)、微量の未同定物
質。
ら、原料(スサビノリ乾燥物)中の脂質成分の組成を求
めたところ、MGDG:10.5%、DGDG:25.
4%、PG:21.5%、SQDG:17.0%、P
C:15.7%、PE:微量、TG:3.0%、その
他:6.8%であった。
らSQDGに相当するスポットをかきとり、クロロホル
ム/メタノール(1:1)に溶解させ、濾過および溶媒
除去してほぼ純品のSQDGを得た。ついで、これを常
法により塩酸加水分解処理、またはリゾプス デレマー
(Rhizopus delemar)由来のリパーゼ
(シグマ社製試薬)を用いて酵素加水分解処理して、前
者からSQDGの1位および2位の構成脂肪酸、後者か
ら1位の構成脂肪酸を遊離せしめた。各々のメチルエス
テル化処理を経てガスクロマトグラフィー(GLC)分
析に供した。この結果、SQDGの1位を構成する主な
脂肪酸はエイコサペンタエン酸.91.0%、アラキド
ン酸:1.8%、パルミチン酸:4.6%であり、2位
の主な構成脂肪酸はパルミチン酸:92.5%、オレイ
ン酸:2.8%であった。
腎髄質由来褐色細胞腫より樹立された細胞株(親クロム
細胞腫細胞)であり、神経成長因子(NGF)に応答し
て神経突起を伸展し、神経細胞様に分化する。そこで、
このPC12細胞(ドイツ・マックスプランク研究所か
ら分譲)をT−25培養フラスコ中で静置培養し、SQ
DGの神経突起伸展作用、すなわち分化誘導能を検討し
た。培養液はRPMI1640培地に10%(v/v)
馬血清と5%(v/v)牛胎児血清を含み、37℃、5
%二酸化炭素混有空気中でpH7.2〜7.4に保っ
た。SQDG(実施例3記載の方法により調製)は、ジ
メチルスルホキシドに溶解し、ミリポアフィルター
(0.2μm)にて濾過滅菌後、PC12細胞培養液に
終濃度10μMを添加した。 分化誘導の陽性対照に
は、NGF(シグマ社製試薬)をリン酸緩衝液に溶解さ
せ終濃度100ng/mlを添加し、SQDG単独及び
NGFとSQDG共存下での分化誘導への影響を4日間
光学顕微鏡により形態観察を行った。なお、分化誘導は
細胞体の長径より長い突起を形成したものを陽性と判断
した。この結果を表1に示す。同表中の記号は、培養4
日後の神経突起形成状態について−:なし、+:あり、
++および+++:顕著にありを意味する。
起の伸展が見られたが、SQDG単独では細胞形態の桿
状化が観察されたものの神経突起の明確な伸展作用は観
察されなかった。しかし、NGFとSQDGの共存によ
り、NGFの神経突起形成は顕著に促進されることが明
らかになった。
にβ−アミロイド蛋白質(42アミノ酸残基)の関与が
明らかになっている。本実施例では、β−アミロイドペ
プチドの強毒性フラグメント(β−アミロイドの25残
基から35残基の11残基ペプチド、以下β25−35
と略す)を用いて、神経細胞のモデル細胞に対する細胞
死誘導とそれに対するSQDGの防衛効果を検討した。
ポリオルニチンで細胞接着面に処理を施した96ウェル
プレートでPC12細胞(実施例4と同じ)を培養し、
β25−35(大阪ペプチド研究会より入手)およびS
QDG(実施例4と同じ)を各単独あるいは同時添加し
た。2日間培養後培養上清中に細胞内から漏出する乳酸
脱水素酵素(LDH)活性を測定し、細胞死の指標とし
た。この結果を表2に示す。
添加は対照群(無添加群)と比較して有意な差は認めら
れなかったが、β25−35添加群は対照群と比較して
著しい細胞死が誘導された。また、β25−35とSQ
DGの同時添加群では細胞死が防御され、SQDGはβ
−アミロイドペプチドの強毒性フラグメントであるβ2
5−35のPC12細胞に対する毒性を軽減させること
が判明した。
G150mg、精製大豆油125mg、ミツロウ15m
gおよびビタミンE10mgを窒素ガス雰囲気下で約4
0℃に加温し、十分に混合して均質な液状物とした。こ
れをカプセル充填機に供給して1粒内容量300mgの
ゼラチン被覆カプセル製剤を試作した。この製剤は医薬
用組成物または食用組成物として利用できるものであ
る。
おいて、採取したアサクサノリおよびスサビノリを篩付
き木製型枠に流し込んですき、乾燥機中で約50℃にて
2時間乾燥し、さらにトンネル型ヒーターで150〜1
80℃にて6〜7秒間加熱処理して焼き海苔をつくっ
た。別に、味付け用タレとして塩5.0kg、調味料
2.0kg、砂糖8.6kg、唐辛子0.3kg、醤油
2.0リットル、みりん1.8リットル、水6.0リッ
トルの混合液に加えて実施例2に記載の方法により調製
した抽出乾固物250gを配合して均質化したものを作
成し、このタレを前記焼き海苔に塗布し乾燥して本発明
の味付け焼き海苔を試作した。このものは、市販の味付
け焼き海苔と比較して外観、風味および食感のいずれに
おいても孫色なく、健康の維持増進を訴求する食品とし
て利用できるものであった。
活作用および保護作用を示し、外傷、代謝性の要因、脳
虚血、β−アミロイド蛋白質、パーキンソン病およびダ
ウン症等による脳神経細胞障害に対する予防および治癒
に極めて有用なSQDGを有効成分としてなる神経細胞
賦活剤が提供される。該賦活剤は神経成長因子(NG
F)と併用することにより、神経細胞の分化誘導を顕著
に促進し、相乗的な神経突起形成能を発現させる機能を
有する。また、本発明によれば、前記機能を有する神経
細胞賦活剤を配合してなる医薬用組成物および食用組成
物が提供され、これらの組成物は脳神経細胞の障害に対
する予防あるいは治療のための手段として活用され得
る。
Claims (6)
- 【請求項1】次に示す式(I) 【化1】 (ただし、R1およびR2は炭素数が14〜22で、二
重結合の数が0〜6の脂肪酸のアルキル残基またはアル
ケニル残基である。)で表されるスルホキノボシルジア
シルグリセロールを有効成分としてなる脳神経細胞賦活
剤。 - 【請求項2】上記の式(I)において、R1がアラキド
ン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸およ
びドコサヘキサエン酸からなる群から選ばれる1種また
は2種以上の多価不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルキル
残基またはアルケニル残基であり、R2がミリスチン酸
および/またはパルミチン酸を含む脂肪酸のアルキル残
基またはアルケニル残基である請求項1に記載の賦活
剤。 - 【請求項3】上記の式(I)で表されるスルホキノボシ
ルジアシルグリセロールが藍藻類、紅藻類、褐藻類また
は緑藻類に属する藻類の藻体を原料とし、これから溶剤
抽出されるものである請求項1または2に記載の賦活
剤。 - 【請求項4】脳神経細胞に対する賦活作用が脳神経細胞
の外傷性障害、代謝性要因による障害、β−アミロイド
蛋白質による障害または脳虚血性障害を予防あるいは治
癒する作用である請求項1〜3のいずれか1項に記載の
賦活剤。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の脳神
経細胞賦活剤を有効成分として配合してなる医薬用組成
物。 - 【請求項6】請求項1〜4のいずれか1項に記載の脳神
経細胞賦活剤を有効成分として配合してなる食用組成
物。
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